コンクリート舗装施工機械の走行方法及び走行装置
【課題】レール上及び舗装面上で円滑に且つ所定の経路を正確に走行することが出来るコンクリート舗装施工機械の走行方法と走行装置の提供。
【解決手段】レール(R)或いは路面(舗装面G)上を転動する走行車輪(5)と、走行車輪(5)の幅方向両端に設けられた一対のガイド輪(6)と、ガイド輪(6)を走行車輪(5)下方の位置(レールRの頭部Rfを挟む位置)と走行車輪(5)上方の位置(路面Gと干渉しない位置)に上下動するガイド輪移動装置(60)とを備えている。
【解決手段】レール(R)或いは路面(舗装面G)上を転動する走行車輪(5)と、走行車輪(5)の幅方向両端に設けられた一対のガイド輪(6)と、ガイド輪(6)を走行車輪(5)下方の位置(レールRの頭部Rfを挟む位置)と走行車輪(5)上方の位置(路面Gと干渉しない位置)に上下動するガイド輪移動装置(60)とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート舗装を施工する技術に関する。より詳細には、本発明は、レールを敷設した領域と舗装面とが断続的に存在するコンクリート舗装の施工現場で、コンクリート舗装施工機械(コンクリート機械)をレール上と、舗装面上で円滑に走行させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート舗装施工機械(コンクリート機械)は、一般的には施工現場にレールを敷設し、そのレール上を走行しつつ作業を行う。
図15に示すように、レールRを敷設する路面Gに多少の不陸(路面に対する凹凸)があったとしても、スペーサS等を配置してレールRの平坦性を確保して敷設することにより、コンクリートの敷均し面を平坦にすることができるからである。
【0003】
また、コンクリート機械がレールR上を走行する際には、コンクリート機械の操向操作が不要となり、施工現場と施工機械との位置的関係が常に一定に保たれることも、コンクリート機械がレール上を走行しつつ舗装作業を行う理由として挙げられる。
コンクリート舗装の規模が大きく、施工エリアが連続的にある程度の長い距離があるような工事であれば、レールの敷設は時間的に余裕を持って行うことができる。その場合、品質的にも良好な結果が得られることが大いに期待できる。
【0004】
図16、図17は従来のコンクリート機械の走行装置の一例を示している。
図16において、全体を符号100Jで示すコンクリート機械の走行装置は、走行用台車2、駆動用スプロケット21、駆動用エンドレスチェーン22、アイドラスプロケット23、走行用モータ24、走行車輪6Jを備えている。
図17(図16のY矢視図)は、コンクリート機械の走行装置100Jの全体の一部であり、走行装置100Jの一部(片側)を示している。
【0005】
従来のコンクリート機械の走行装置100Jにおいては、コンクリート機械の横方向への逸脱を防ぐために、走行車輪6Jの両側或いは片側には、レールRを挟み込むためのツバ6Jtが設けられている。
しかし、コンクリート機械の走行装置100JがレールRから路面Gに降りた場合に、ツバ6Jtが路面Gを圧接すると、ツバ6Jtの接地面積が小さいため、ツバ6Jtが路面Gに食い込んでしまい、路面Gを損傷してしまう。そのため、従来の走行装置100Jは、レールR上しか走行できなかった。
一方、路面Gが鉄板のように十分に頑丈な場合は、ツバの巾が狭く、接触面積が小さいため、走行に必要な路面との摩擦力を確保することは困難である。
【0006】
従来のコンクリート機械の走行装置100Jは、上述したような走行車輪6Jの構造上の理由により、施工可能な工事現場が限られてしまう。
そして、コンクリート舗装を行なうべき施工エリアが不連続に(断続的に)設定されている場合においても、施工しない舗装面を損傷しない様にするため、施工機械の走行装置100Jを自走して移動するに際しては、移動のためだけにレールを敷設しなければならない。
図18は、そのような施工現場を示している。
【0007】
図18において、道路200のセンターラインLcの図18における上方が走行帯(走行レーン)210であり、図18における下方が施工レーン230であって、施工レーン230は施工エリア221、222を含んでいる。
センターラインLcの図18における上方で且つセンターラインLcの近傍には、複数のコーン240が設置されている。
図18において、例えば20mの施工エリア221が右側にあり、左(矢印X)に50m移動した同一線上に30mの施工エリア222がある場合、図16、図17の施工機械の走行装置100Jを自走させて移動するためには、施工エリア221、222の間の50mにもレールを敷設する必要がある。
【0008】
或いは、コンクリート機械運搬用トラック(回送車)を手配し、施工エリア221でコンクリート機械を運搬用回送車に積み込み、運搬して、施工エアリア222でコンクリート機械を荷下ろしして、施工を行なう必要がある。そして、コンクリート機械の積み込みや積み下ろしには、クレーン等の重機が必要となる。
コンクリート機械は一般的には機能の異なる複数の機械から編成されており、運搬用回送車を使用する場合は、機械の台数に応じた運搬回数が必要となる。とりわけ、夜間工事等時間的な制約を受ける作業の場合、レールの敷設にしても回送車での運搬にしても現場作業にとっては大きな負担となる。
【0009】
その他の従来技術として、例えば、レール上を走行する鉄道車両と、舗装路上を走行する自動車が、同一の道路を走行可能な交通システムが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る交通システムはレール上も舗装路上も走行する自走車両を提案するものではないので、上述したコンクリート舗装施工における問題を解消することは出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−115202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、レール上及び舗装面上で円滑に且つ所定の経路を正確に走行することが出来るコンクリート舗装施工機械の走行方法と、走行装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のコンクリート舗装施工機械(100)の走行方法は、レール(R)上を走行する場合には、走行車輪(5)の幅方向両端に設けられた一対のガイド輪(6)がレール(R)の頭部(Rf)を挟む位置となる様に、ガイド輪移動装置(60)によってガイド輪(6)を走行車輪(5)下方の位置に降下し、路面(舗装面G)を走行する場合には、ガイド輪(6)が路面(G)と干渉しない様に、ガイド輪移動装置(60)によってガイド輪(6)を走行車輪(5)上方の位置に上昇することを特徴としている。
【0013】
本発明のコンクリート舗装施工機械(100)の走行方法において、ガイド輪移動装置(60)によってガイド輪(6)を走行車輪(5)下方の位置に降下するに際しては、先端にガイド輪(6)が回転可能に軸支されているガイドピン(61)に設けられている突起(位置決めピン62)を、ガイドピン(61)を収容するケーシング(ガイド輪移動装置のケーシング63)に形成された垂直方向溝(64a)内を下方に移動させ、ケーシング(63)に形成された下方の水平溝(64b)内を移動させ、
ガイド輪(6)を走行車輪(5)下方の位置に保持するに際しては、当該下方の水平溝(64b)内に形成された凹部(位置決めピン保持部64c)に前記突起(位置決めピン62)を保持し、
ガイド輪移動装置(60)によってガイド輪(6)を走行車輪(5)上方の位置に上昇するに際しては、ガイドピン(61)に設けられている突起(位置決めピン62)を、ガイドピン(61)を収容するケーシング(ガイド輪移動装置のケーシング63)に形成された垂直方向溝(64a)内を上方に移動させ、ケーシング(63)に形成された上方の水平溝(64d)内を移動させ、
ガイド輪(6)を走行車輪(5)上方の位置に保持するに際しては、当該上方の水平溝(64d)内に形成された凹部(位置決めピン保持部64e)に前記突起(位置決めピン62)を保持するのが好ましい。
【0014】
或いは、本発明のコンクリート舗装施工機械(100)の走行方法において、ガイド輪移動装置(60A)によってガイド輪(6A)を走行車輪(5A)下方の位置に降下するに際しては、走行車輪(5A)を有する走行装置のケーシング(2)に取り付けられたL字状に折曲したレバー(6B)を回動して、レバー(6B)の端部に取り付けられたガイド輪(6A)をレール(R)の頭部(Rf)部を挟む位置まで回動し、
ガイド輪移動装置(60A)によってガイド輪(6A)を走行車輪(5A)上方の位置に上昇するに際しては、走行車輪(5)を有する走行装置のケーシング(2)に取り付けられたL字状に折曲したレバー(6B)をガイド輪(6A)が下降する場合とは反対方向へ回動して、レバー(6B)の端部に取り付けられたガイド輪(6A)を路面(G)と干渉しない位置まで回動することが好ましい。
【0015】
また本発明のコンクリート舗装施工機械(100)の走行装置(100J:第1実施形態)は、レール(R)或いは路面(舗装面G)上を転動する走行車輪(5)と、走行車輪(5)の幅方向両端に設けられた一対のガイド輪(6)と、ガイド輪(6)を走行車輪(5)下方の位置(レールRの頭部Rfを挟む位置)と走行車輪(5)上方の位置(路面Gと干渉しない位置)に上下動するガイド輪移動装置(60)とを備えることを特徴としている。
【0016】
本発明のコンクリート舗装施工機械(100)の走行装置(100J)において、先端にガイド輪(6)が回転可能に軸支されているガイドピン(61)を有し、ガイドピン(61)には半径方向外方に突出した突起(位置決めピン62)が設けられており、ガイド輪移動装置(60)はガイド輪(6)毎に設けられており、ガイドピン(61)を収容するケーシング(ガイド輪移動装置のケーシング63)を備え、当該ケーシング(ガイド輪移動装置のケーシング63)には垂直方向に延在する垂直方向溝(64a)と水平方向に延在して垂直方向位置が異なる2本の水平方向溝(64b、64d)が連続的に形成されており、垂直方向溝(64a)と水平方向溝(64b、64d)の幅寸法(W)はガイドピンの突起(位置決めピン62)が進入可能に設定されており、水平方向溝(64b、64d)にはガイドピンの突起(位置決めピン62)を保持する凹部(位置決めピン保持部64c、64e)が形成され、下方の水平方向溝(64b)はガイドピンの突起(位置決めピン62)が凹部(位置決めピン保持部64c)に進入した場合にガイド輪(6)が走行車輪(5)下方の位置(レールRの頭部Rf部を挟む位置)となるように垂直方向位置が設定され、上方の水平方向溝(64d)はガイドピンの突起(位置決めピン62)が凹部(位置決めピン保持部64e)に進入した場合にガイド輪(6)が走行車輪(5)上方の位置(路面Gと干渉しない位置)となるように垂直方向位置が設定されているのが好ましい。
【0017】
或いは、本発明のコンクリート舗装施工機械(101)の走行装置(101J:第2実施形態)において、ガイド輪移動装置(60A)はL字状に折曲したレバー(6B)を有し、当該レバー(6B)はその折曲部(6Bo)を中心に回動可能に(走行車輪5Aを有する走行装置のケーシング2に)取り付けられ、当該レバー(6B)の一端(6Be)には一対のガイド輪(6A)が回転可能に取り付けられており、当該レバー(6B)の他端(6Bf)を移動することによりガイド輪(6A)を走行車輪(5A)下方の位置(レールRの頭部Rfを挟む位置)と走行車輪(5A)上方の位置(路面Gと干渉しない位置)に移動する機能を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
上述する構成を具備する本発明によれば、ガイド輪(6)を下降してレール(R)の頭部(Rf)の左右に位置せしめれば、走行車輪(5)がレール(R)から外れる様な外力が付加されたとしても、レール(R)左右のガイド輪(6)によって、走行車輪(5)がレール(R)から脱輪しないようにガイドされる。その結果、走行車輪(5)はレール(R)から脱輪すること無く、レール(R)上を進行する。
そのため本発明を適用したコンクリート舗装施工機械(100)の走行装置(100J)は、レール(R)から外れること無く、レール(R)上を正確に走行することが出来る。
【0019】
一方、ガイド輪(6)を上昇して走行輪(5)よりも上方に位置させれば、走行車輪(5)が路面(舗装面G)上を転動するに際して、ガイド輪(6)が舗装面(G)と干渉することはない。
そして、走行車輪(5)は舗装面(G)上を転動し、コンクリート舗装施工機械(100)は舗装面(G)上を円滑に移動することが出来る。その際に、走行車輪(5)は接地面が大きく形成されているので、走行車輪(5)により舗装面(G)を損傷してしまうことはない。
それに加えて、走行車輪(5)を合成樹脂でライニングして構成すれば、路面(G:舗装面)との摩擦力を得るのに適している。また、舗装面(G)を転動するに際して、コンクリート舗装施工機械(100)に過度な振動を付加してしまうことはない。
【0020】
この様に、本発明によれば、ガイド輪(6)を上下動することにより、レール(R)上及び舗装面(G)上を、容易且つ円滑に移動することが出来る。
そのため、レール(R)を敷設した領域と舗装面(G)とが断続的に存在する施工条件においても、従来技術で必要とされた回送車の手配や、荷下ろし用クレーンの配置等が不要であり、コンクリート舗装施工機械がレール上を走行するべき領域と舗装面上を走行するべき領域の境界において、回送車への搬入或いは搬出作業が不要となる。
なお、コンクリート機械の搬送に際しては、レールを敷設した領域とレールを敷設していない舗装路との境界部において、レール上と舗装路面との段差を解消するためには、例えば、テーパレール(RT:図19参照)を、通常のレール(R)に接続部材(Jr)によって接続すれば良い。
【0021】
夜間工事等、時間的に厳しい制約をうける作業であっても、本発明を実施すれば、当該搬入或いは搬出作業を節約して、その分だけ施工期間を短縮することが可能となる。また、全ての施工領域でレールを連続敷設する必要もない。
そして、本発明によれば、コンクリート舗装を施工する施工期間を短縮して、コスト、労力を大幅に減少することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態を適用したコンクリート舗装施工機械がレール上を走行している状態を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図2におけるガイド輪及びレールを示す部分拡大正面図である。
【図4】図3の符号A4で示す部分の拡大正面図である。
【図5】図4で示す部材の内部構造を点線で示す部分拡大正面図である。
【図6】図5のA6で示す部分の拡大図であり図5とは異なる角度から見た図である。
【図7】第1実施形態に係るコンクリート舗装施工機械が路面を走行している状態を示す側面図である。
【図8】図7におけるガイド輪及び路面を示す部分拡大正面図である。
【図9】図8の符号A8で示す部分の拡大正面図である。
【図10】図9で示す部材の内部構造を点線で示す部分拡大正面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るコンクリート舗装施工機械の走行装置がレール上を走行している状態の要部を示す部分拡大側面図である。
【図12】図11の正面図である。
【図13】第2実施形態に係るコンクリート舗装施工機械の走行装置が路面を走行している状態の要部を示す部分拡大側面図である。
【図14】図13の正面図である。
【図15】コンクリート舗装の施工領域にレールを敷設した状態を示す側面図である。
【図16】従来技術に係る走行装置によりレール上を走行している状態を示す部分拡大側面図である。
【図17】図15の正面図である。
【図18】従来技術の問題点を説明するためのコンクリート舗装の施工領域を簡略化して示した平面図である。
【図19】コンクリート舗装施工機械がレールと路面の間を移動する際に用いられるテーパレールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に図1〜図10を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
第1実施形態の説明に先立って、図1、図2を参照して、第1実施形態を適用したコンクリート舗装施工機械(以下、「コンクリート機械」と記載する)について説明する。
【0024】
図1、図2において、全体を符号100で示すコンクリート機械として、コンクリートスプレッダと称される施工機械の一例が示されている。コンクリート機械100は、本体フレーム1と走行装置100Jを備えており、走行装置100Jは、走行用台車2、1対の高さ調整ジャッキ3、1対の伸縮式脚4、4個の走行車輪5、走行車輪1個当りに1対設けられたガイド車輪6、パドル7、発電機9を備えている。ここで、発電機9は、本体フレーム1の上面には載置されている。
伸縮式脚4の下端は、走行用台車2の上面に接続されている。そして伸縮式脚4は脚背面部材41を有し、脚背面部材41は本体フレーム1の支持部材10と接続している。図1において、左右1対の支持部材10は、本体フレーム1の左右両端を支持している。
また、伸縮式脚4はジャッキ用駆動モータ3Mを備えており、ジャッキ用駆動モータ3Mによって高さ調整ジャッキ3がジャッキの軸を伸縮し、それに伴い伸縮式脚4が伸縮する。
パドル7は、パドル駆動モータ7M、動力伝達装置71によって回転駆動され、舗装路面Gのコンクリートを敷き均す。パドル駆動モータ7M及び動力伝達装置71は、本体フレーム1の両端部(図1における左右両端部)近傍に配置されている。
【0025】
図1、図2では、コンクリート機械100がレールR上を走行している状態が示されている。係る状態では、走行車輪5はレール上を移動しており、ガイド輪6は下降して走行車輪5よりも下方の位置にあり、レールRの頭部Rf(図4参照)の左右にレールRを挟む様に位置している。
走行用台車2は、走行車輪5と、ガイド輪6と、ガイド輪6を上昇し或いは下降する機構(以下、「ガイド輪移動装置」と記載する)60とを備えている。
図2における符号2Mは、走行用台車2を走行させるためのモータを示している。
【0026】
走行車輪5は、外周部が合成樹脂(例えば、ウレタン樹脂)をライニングして構成されているのが好ましい。外周部をウレタン樹脂等でライニングして構成することにより、レールR上或いは舗装面(路面)G上を走行するのに必要な摩擦係数を得ることが出来る。それと共に、振動を吸収して、コンクリート機械100の本体部に損傷を与えないようにすることが出来るからである。
【0027】
ガイド輪6が下降してレールRの頭部Rfを挟む様に、その左右に位置しており、走行車輪5がレールR上を移動している状態が、図3(図2のY矢視図)、図4(図3のA4部拡大図)で示されている。
図4において、ガイド輪移動装置60は、1対のガイドピン61、1対の位置決めピン62、ケーシング63、ケーシング63に形成されたガイド溝64を備えている。
ガイド輪6は、ガイドピン61の図4における下端に回転自在に軸支されている。そして、ガイド輪6は、図4では図示しない垂直軸(ガイドピン61の中心軸:図4の上下方向に延在する仮想軸線)を中心軸として回転する。
【0028】
図3、図4で示すように、ガイド輪6が下降してレールRの頭部Rfの左右に位置しているため、走行車輪5がレールRから外れる様に移動しても、或いは、走行車輪5がレールRから外れる様な外力が負荷されたとしても、レールRの左右に位置しているガイド輪6によって、走行車輪5がレールRから脱輪することが防止される。換言すれば、走行車輪5は、ガイド6によってレールRから脱輪しないようにガイドされる。
そのため、走行車輪5はレールRから脱輪すること無く、レールR上を進行する。そして、コンクリート機械100は、レールRから外れること無く、レールR上を正確に走行することが出来る。
【0029】
ガイド輪6を下降して、レールRの頭部Rfの左右に位置せしめる構造(図3、図4で示す状態とするための構造)について、図5、図6を参照して説明する。
図5において、表面からは見えない各種部材や配管系は、点線で示されている。
ケーシング63にはガイド溝64が形成されている。
ガイドピン61は、当該ブッシュ70の内周面を摺動して、ケーシング63内を図5の垂直方向に移動する。
ガイドピン61の下端には小径部61bが形成されており、小径部61bには鉄製のガイド輪6が回転自在に軸支されている。
ガイド輪移動装置60とガイドピン61下端の小径部61bとの間には、ブッシュ70が嵌合されている。
小径部61bの先端(下端)には、皿ビス69によってエンドプレート68が取り付けられている。このエンドプレート68によって、ガイド輪6が垂直方向下方へ脱落してしまうことを防止している。
【0030】
ガイドピン61の軸中心には、ガイドピン61の全長にわたってグリース通路67aが形成されている。グリース通路67aにおける小径部61bの領域には、グリース通路67aに直交する方向のグリース通路67bが形成され、グリース通路67bはガイドピン61の外周面に開口している。なお、グリース通路67aの下端は、皿ビス69によって閉塞されている。
図5において、ガイドピン61の上端には、グリースニップル66が取り付けられている。グリースニップル66にグリースを給脂すれば、グリースはグリース通路67aを下降し、グリース通路67bの開口部から小径部61bの外周に排出し、ガイド輪6の内周と小径部61b外周との間を潤滑する。
【0031】
ガイドピン61の軸方向の概略中央には、位置決めピン62がガイドピン61に直交するように固設されている。
図6において、ケーシング63に形成された溝64は、垂直方向溝64a、下方の水平溝64b、上方の水平溝64dから構成されている。下方の水平溝64bは、垂直方向溝64aの下端と連続し、上方の水平溝64dは、垂直方向溝64aの下端と連続している。
図6における下方の水平溝64bの右端には、位置決めピン保持部64cが下方に突出して形成されている。位置決めピン保持部64cは、位置決めピン62を、その位置に保持する機能を有している。
同様に、図6における上方の水平溝64dの右端には、位置決めピン62をその位置に保持する位置決めピン保持部64eが形成されている。
【0032】
ガイド輪移動装置60によってガイド輪6を走行車輪5下方の位置に降下するに際しては、図6において、ガイドピン61に設けられている位置決めピン62を、垂直方向溝64a内を下方に移動させ、引き続き下方の水平溝64b内を移動させる。
そして、位置決めピン62を、下方の水平溝64bの右端に形成された位置決めピン保持部64cに位置させれば、位置決めピン62は位置決めピン保持部64cに保持され、ガイド輪6は走行車輪5下方の位置に降下する。
【0033】
図1〜図6では、コンクリート機械100がレールR上を移動する状態を示している。
これに対して、図7〜図10では、コンクリート機械100の走行装置100Jが路面(舗装面G)を移動する状態を示している。
図7〜図9で示す走行車輪5が舗装面G上を移動している状態では、ガイド輪6が上昇して走行車輪5よりも上方に位置している。
【0034】
図7〜図9は、ガイド輪6が上昇して、走行車輪5の上方位置に保持されている状態を示している。
図7〜図9で示すように、ガイド輪6が上昇して走行輪5よりも上方に位置しているため、走行車輪5が舗装路G上を転動する際に、ガイド輪6は舗装面Gとは干渉しない。そして、走行車輪5は舗装面G上を転動し、コンクリート機械100は舗装面G上を円滑に移動することが出来る。
その際に、走行車輪5は接地面が大きく形成されているので、走行車輪5により舗装面Gを損傷してしまうことはない。
それに加えて、上述した様に走行車輪5は合成樹脂をライニングして構成されているため、舗装面Gとの摩擦力を得るのに適しており、また、舗装面Gを転動するに際して振動を吸収する。そのため、コンクリート機械100に過度な振動が伝達されてしまうことはない。
【0035】
ガイド輪6が上昇して、走行車輪5の上方位置に保持されている状態について、図10をも参照して説明する。
ここで、図10において点線で示す各種部材は、図5を参照して説明した部材と同一である。
【0036】
ガイド輪移動装置60によってガイド輪6を走行車輪5上方の位置に上昇するに際しては、ガイドピン61に設けられている位置決めピン62を、ケーシング63に形成された垂直方向溝64a内を上方に移動させる。そして、位置決めピン62を上方の水平溝64d内で移動させる。
そして、位置決めピン62を、水平溝64d内に形成された位置決めピン保持部64eまで移動すれば、位置決めピン62は位置決めピン保持部64eに保持される。これにより、ガイド輪6は、走行車輪5上方の位置に保持される。
【0037】
次に、図11〜図14を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図11〜図14の第2実施形態は、ガイド輪と、ガイド輪を上下動して走行車輪下方の位置或いは走行車輪上方の位置に保持する構成及び作用効果が、図1〜図10の第1実施形態とは異なっている。
【0038】
図11、図12では、ガイド輪が下降してレールの頭部を挟む様に、その左右に位置しており、走行車輪がレール上を移動している状態が示されている。
図11、図12において、コンクリート機械101の走行装置101Jは、走行用台車2に4個の走行車輪5Aを備えており、その前後両端部(図11では、一端部のみを示す)にはガイド輪移動装置60Aが装備されている。
ガイド輪移動装置60Aは、ヒンジブラケット2H、L字状レバー6B、ガイド輪6Aを有している。ガイド輪6Aは、L字状レバー6Bの先端に、2個(一対)設けられている。
【0039】
ヒンジブラケット2Hは、走行用台車2の前後両端部に取り付けられている(図11では、一端部のみを示す)。
ヒンジブラケット2Hには、ヒンジピン2Phにより、L字状レバー6Bの折曲部6Boが回動可能に軸支されている。
L字状レバー6Bの一端6Beには、筒状の軸受6Cが固着されている。ここで軸受6Cは、L字状レバー6Bの厚み方向に延在しており、L字状レバー6Bの一端6Beを貫通している。
筒状の軸受6Cには車軸6Dが挿通され、車軸6Dは、軸受6Cと平行に延在している。そして車軸6Dの両端には、1対のガイド輪6Aが回転自在に軸支されている。
【0040】
1対のガイド輪6A間の寸法は、レールRの頭部Rfの幅方向寸法より若干大きい目に設定されている。
具体的には、1対のガイド輪6A間の寸法は、1対のガイド輪6A間にレールRの頭部Rfを収容可能であり、且つ、走行車輪5AがレールRから脱輪しない程度に、ガイド輪6AとレールRの頭部Rfとの間の隙間が小さくなる様な寸法に設定されている。
【0041】
図11、図12で示すように、1対のガイド輪6AがレールRの頭部Rfを挟む様に位置させて、走行車輪5Aが脱輪することなくレールR上を移動している場合には、L字状レバー6Bの他端6Bfは、走行用台車2の前端面2fに対して離隔するように、図11の左方に位置している。
L字状レバー6Bが図11、図12の状態を維持するために、図示しないレバー位置保持部材が、走行用台車2の前端面2fに設けられている。
【0042】
図11で示すように、L字状レバー6Bの端部6Bfを走行用台車2の前端面2fから離隔するように図11の左方へ傾斜させれば、L字状レバー6Bはヒンジピン2Phを中心に反時計方向へ回動する。
その結果、L字状レバー6Bの端部6Beが下方へ移動して、端部6Beに軸支された1対のガイド輪6AがレールRの頭部Rfを挟み込む。そして、1対のガイド輪6AがレールRの頭部Rfを挟み込むことにより、走行車輪5AがレールRから脱輪するのが防止される。
【0043】
一方、ガイド輪6Aが上昇して走行車輪5Aよりも上方に位置しており、走行車輪5Aが舗装面G上を移動している状態が、図13、図14で示されている。
図13、図14において、L字状レバー6Bの他端6Bf側は、図示しないレバー位置保持部材によって、走行用台車2の垂直の前端面2fと平行になるように、保持されている。
図11で示す状態から、L字状レバー6Bの端部6Bfを時計方向に回動すれば、L字状レバー6Bの端部6Beが上方へ移動して、端部6Beに軸支された1対のガイド輪6Aは、レールRの頭部Rfよりも上方へ移動する。
係る状態であれば、図13、図14で示す様に、ガイド輪6Aは、舗装面Gに接触しないので、ガイド輪6Aによって舗装面Gが傷つけられることはない。
【0044】
図11〜図14の第2実施形態における上述した以外の構成及び作用効果は、図1〜図10の第1実施形態と同様である。
【0045】
図示の実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)によれば、ガイド輪6、6Aを上下動することにより、レールR上及び舗装面G上を、容易且つ円滑に走行(或いは移動)することが出来る。
そのため、レールRを敷設した領域と舗装面Gとが断続的に存在する施工条件においても、従来技術で必要とされた回送車の手配や、荷下ろし用クレーンの配置等が不要となり、コンクリート機械100、101がレールR上を走行するべき領域と舗装面G上を走行するべき領域の境界において、回送車への搬入或いは搬出の作業が不要となる。
【0046】
これにより、夜間工事等、時間的に厳しい制約をうける作業において、当該搬入或いは搬出作業に必要な時間を節約して、その分だけ作業時間を短縮することが出来る。また、全ての施工領域においてレールRを連続敷設する必要もない。
その結果、図示の実施形態によれば、コンクリート舗装の施工時間、コスト、労力を大幅に減少することが可能となる。
なお、コンクリート機械100、101がレールを敷設した領域とレールを敷設していない舗装路との境界部を通過する際に、レール上と舗装路面との段差を解消するため、図19で示すテーパレールRTを、通常のレールRに接続部材Jrによって接続する。
【0047】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0048】
1・・・本体フレーム
2・・・走行装置のケーシング/走行用台車
3・・・高さ調整ジャッキ
4・・・伸縮式脚
5・・・走行車輪
6・・・ガイド車輪
7・・・パドル
60・・・ガイド輪移動装置
61・・・ガイドピン
62・・・位置決めピン
63・・・ケーシング
64・・・ガイド溝
R・・・レール
100、101・・・コンクリート機械(コンクリート舗装施工機械)
100J、101J・・・走行装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート舗装を施工する技術に関する。より詳細には、本発明は、レールを敷設した領域と舗装面とが断続的に存在するコンクリート舗装の施工現場で、コンクリート舗装施工機械(コンクリート機械)をレール上と、舗装面上で円滑に走行させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート舗装施工機械(コンクリート機械)は、一般的には施工現場にレールを敷設し、そのレール上を走行しつつ作業を行う。
図15に示すように、レールRを敷設する路面Gに多少の不陸(路面に対する凹凸)があったとしても、スペーサS等を配置してレールRの平坦性を確保して敷設することにより、コンクリートの敷均し面を平坦にすることができるからである。
【0003】
また、コンクリート機械がレールR上を走行する際には、コンクリート機械の操向操作が不要となり、施工現場と施工機械との位置的関係が常に一定に保たれることも、コンクリート機械がレール上を走行しつつ舗装作業を行う理由として挙げられる。
コンクリート舗装の規模が大きく、施工エリアが連続的にある程度の長い距離があるような工事であれば、レールの敷設は時間的に余裕を持って行うことができる。その場合、品質的にも良好な結果が得られることが大いに期待できる。
【0004】
図16、図17は従来のコンクリート機械の走行装置の一例を示している。
図16において、全体を符号100Jで示すコンクリート機械の走行装置は、走行用台車2、駆動用スプロケット21、駆動用エンドレスチェーン22、アイドラスプロケット23、走行用モータ24、走行車輪6Jを備えている。
図17(図16のY矢視図)は、コンクリート機械の走行装置100Jの全体の一部であり、走行装置100Jの一部(片側)を示している。
【0005】
従来のコンクリート機械の走行装置100Jにおいては、コンクリート機械の横方向への逸脱を防ぐために、走行車輪6Jの両側或いは片側には、レールRを挟み込むためのツバ6Jtが設けられている。
しかし、コンクリート機械の走行装置100JがレールRから路面Gに降りた場合に、ツバ6Jtが路面Gを圧接すると、ツバ6Jtの接地面積が小さいため、ツバ6Jtが路面Gに食い込んでしまい、路面Gを損傷してしまう。そのため、従来の走行装置100Jは、レールR上しか走行できなかった。
一方、路面Gが鉄板のように十分に頑丈な場合は、ツバの巾が狭く、接触面積が小さいため、走行に必要な路面との摩擦力を確保することは困難である。
【0006】
従来のコンクリート機械の走行装置100Jは、上述したような走行車輪6Jの構造上の理由により、施工可能な工事現場が限られてしまう。
そして、コンクリート舗装を行なうべき施工エリアが不連続に(断続的に)設定されている場合においても、施工しない舗装面を損傷しない様にするため、施工機械の走行装置100Jを自走して移動するに際しては、移動のためだけにレールを敷設しなければならない。
図18は、そのような施工現場を示している。
【0007】
図18において、道路200のセンターラインLcの図18における上方が走行帯(走行レーン)210であり、図18における下方が施工レーン230であって、施工レーン230は施工エリア221、222を含んでいる。
センターラインLcの図18における上方で且つセンターラインLcの近傍には、複数のコーン240が設置されている。
図18において、例えば20mの施工エリア221が右側にあり、左(矢印X)に50m移動した同一線上に30mの施工エリア222がある場合、図16、図17の施工機械の走行装置100Jを自走させて移動するためには、施工エリア221、222の間の50mにもレールを敷設する必要がある。
【0008】
或いは、コンクリート機械運搬用トラック(回送車)を手配し、施工エリア221でコンクリート機械を運搬用回送車に積み込み、運搬して、施工エアリア222でコンクリート機械を荷下ろしして、施工を行なう必要がある。そして、コンクリート機械の積み込みや積み下ろしには、クレーン等の重機が必要となる。
コンクリート機械は一般的には機能の異なる複数の機械から編成されており、運搬用回送車を使用する場合は、機械の台数に応じた運搬回数が必要となる。とりわけ、夜間工事等時間的な制約を受ける作業の場合、レールの敷設にしても回送車での運搬にしても現場作業にとっては大きな負担となる。
【0009】
その他の従来技術として、例えば、レール上を走行する鉄道車両と、舗装路上を走行する自動車が、同一の道路を走行可能な交通システムが提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る交通システムはレール上も舗装路上も走行する自走車両を提案するものではないので、上述したコンクリート舗装施工における問題を解消することは出来ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−115202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、レール上及び舗装面上で円滑に且つ所定の経路を正確に走行することが出来るコンクリート舗装施工機械の走行方法と、走行装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のコンクリート舗装施工機械(100)の走行方法は、レール(R)上を走行する場合には、走行車輪(5)の幅方向両端に設けられた一対のガイド輪(6)がレール(R)の頭部(Rf)を挟む位置となる様に、ガイド輪移動装置(60)によってガイド輪(6)を走行車輪(5)下方の位置に降下し、路面(舗装面G)を走行する場合には、ガイド輪(6)が路面(G)と干渉しない様に、ガイド輪移動装置(60)によってガイド輪(6)を走行車輪(5)上方の位置に上昇することを特徴としている。
【0013】
本発明のコンクリート舗装施工機械(100)の走行方法において、ガイド輪移動装置(60)によってガイド輪(6)を走行車輪(5)下方の位置に降下するに際しては、先端にガイド輪(6)が回転可能に軸支されているガイドピン(61)に設けられている突起(位置決めピン62)を、ガイドピン(61)を収容するケーシング(ガイド輪移動装置のケーシング63)に形成された垂直方向溝(64a)内を下方に移動させ、ケーシング(63)に形成された下方の水平溝(64b)内を移動させ、
ガイド輪(6)を走行車輪(5)下方の位置に保持するに際しては、当該下方の水平溝(64b)内に形成された凹部(位置決めピン保持部64c)に前記突起(位置決めピン62)を保持し、
ガイド輪移動装置(60)によってガイド輪(6)を走行車輪(5)上方の位置に上昇するに際しては、ガイドピン(61)に設けられている突起(位置決めピン62)を、ガイドピン(61)を収容するケーシング(ガイド輪移動装置のケーシング63)に形成された垂直方向溝(64a)内を上方に移動させ、ケーシング(63)に形成された上方の水平溝(64d)内を移動させ、
ガイド輪(6)を走行車輪(5)上方の位置に保持するに際しては、当該上方の水平溝(64d)内に形成された凹部(位置決めピン保持部64e)に前記突起(位置決めピン62)を保持するのが好ましい。
【0014】
或いは、本発明のコンクリート舗装施工機械(100)の走行方法において、ガイド輪移動装置(60A)によってガイド輪(6A)を走行車輪(5A)下方の位置に降下するに際しては、走行車輪(5A)を有する走行装置のケーシング(2)に取り付けられたL字状に折曲したレバー(6B)を回動して、レバー(6B)の端部に取り付けられたガイド輪(6A)をレール(R)の頭部(Rf)部を挟む位置まで回動し、
ガイド輪移動装置(60A)によってガイド輪(6A)を走行車輪(5A)上方の位置に上昇するに際しては、走行車輪(5)を有する走行装置のケーシング(2)に取り付けられたL字状に折曲したレバー(6B)をガイド輪(6A)が下降する場合とは反対方向へ回動して、レバー(6B)の端部に取り付けられたガイド輪(6A)を路面(G)と干渉しない位置まで回動することが好ましい。
【0015】
また本発明のコンクリート舗装施工機械(100)の走行装置(100J:第1実施形態)は、レール(R)或いは路面(舗装面G)上を転動する走行車輪(5)と、走行車輪(5)の幅方向両端に設けられた一対のガイド輪(6)と、ガイド輪(6)を走行車輪(5)下方の位置(レールRの頭部Rfを挟む位置)と走行車輪(5)上方の位置(路面Gと干渉しない位置)に上下動するガイド輪移動装置(60)とを備えることを特徴としている。
【0016】
本発明のコンクリート舗装施工機械(100)の走行装置(100J)において、先端にガイド輪(6)が回転可能に軸支されているガイドピン(61)を有し、ガイドピン(61)には半径方向外方に突出した突起(位置決めピン62)が設けられており、ガイド輪移動装置(60)はガイド輪(6)毎に設けられており、ガイドピン(61)を収容するケーシング(ガイド輪移動装置のケーシング63)を備え、当該ケーシング(ガイド輪移動装置のケーシング63)には垂直方向に延在する垂直方向溝(64a)と水平方向に延在して垂直方向位置が異なる2本の水平方向溝(64b、64d)が連続的に形成されており、垂直方向溝(64a)と水平方向溝(64b、64d)の幅寸法(W)はガイドピンの突起(位置決めピン62)が進入可能に設定されており、水平方向溝(64b、64d)にはガイドピンの突起(位置決めピン62)を保持する凹部(位置決めピン保持部64c、64e)が形成され、下方の水平方向溝(64b)はガイドピンの突起(位置決めピン62)が凹部(位置決めピン保持部64c)に進入した場合にガイド輪(6)が走行車輪(5)下方の位置(レールRの頭部Rf部を挟む位置)となるように垂直方向位置が設定され、上方の水平方向溝(64d)はガイドピンの突起(位置決めピン62)が凹部(位置決めピン保持部64e)に進入した場合にガイド輪(6)が走行車輪(5)上方の位置(路面Gと干渉しない位置)となるように垂直方向位置が設定されているのが好ましい。
【0017】
或いは、本発明のコンクリート舗装施工機械(101)の走行装置(101J:第2実施形態)において、ガイド輪移動装置(60A)はL字状に折曲したレバー(6B)を有し、当該レバー(6B)はその折曲部(6Bo)を中心に回動可能に(走行車輪5Aを有する走行装置のケーシング2に)取り付けられ、当該レバー(6B)の一端(6Be)には一対のガイド輪(6A)が回転可能に取り付けられており、当該レバー(6B)の他端(6Bf)を移動することによりガイド輪(6A)を走行車輪(5A)下方の位置(レールRの頭部Rfを挟む位置)と走行車輪(5A)上方の位置(路面Gと干渉しない位置)に移動する機能を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
上述する構成を具備する本発明によれば、ガイド輪(6)を下降してレール(R)の頭部(Rf)の左右に位置せしめれば、走行車輪(5)がレール(R)から外れる様な外力が付加されたとしても、レール(R)左右のガイド輪(6)によって、走行車輪(5)がレール(R)から脱輪しないようにガイドされる。その結果、走行車輪(5)はレール(R)から脱輪すること無く、レール(R)上を進行する。
そのため本発明を適用したコンクリート舗装施工機械(100)の走行装置(100J)は、レール(R)から外れること無く、レール(R)上を正確に走行することが出来る。
【0019】
一方、ガイド輪(6)を上昇して走行輪(5)よりも上方に位置させれば、走行車輪(5)が路面(舗装面G)上を転動するに際して、ガイド輪(6)が舗装面(G)と干渉することはない。
そして、走行車輪(5)は舗装面(G)上を転動し、コンクリート舗装施工機械(100)は舗装面(G)上を円滑に移動することが出来る。その際に、走行車輪(5)は接地面が大きく形成されているので、走行車輪(5)により舗装面(G)を損傷してしまうことはない。
それに加えて、走行車輪(5)を合成樹脂でライニングして構成すれば、路面(G:舗装面)との摩擦力を得るのに適している。また、舗装面(G)を転動するに際して、コンクリート舗装施工機械(100)に過度な振動を付加してしまうことはない。
【0020】
この様に、本発明によれば、ガイド輪(6)を上下動することにより、レール(R)上及び舗装面(G)上を、容易且つ円滑に移動することが出来る。
そのため、レール(R)を敷設した領域と舗装面(G)とが断続的に存在する施工条件においても、従来技術で必要とされた回送車の手配や、荷下ろし用クレーンの配置等が不要であり、コンクリート舗装施工機械がレール上を走行するべき領域と舗装面上を走行するべき領域の境界において、回送車への搬入或いは搬出作業が不要となる。
なお、コンクリート機械の搬送に際しては、レールを敷設した領域とレールを敷設していない舗装路との境界部において、レール上と舗装路面との段差を解消するためには、例えば、テーパレール(RT:図19参照)を、通常のレール(R)に接続部材(Jr)によって接続すれば良い。
【0021】
夜間工事等、時間的に厳しい制約をうける作業であっても、本発明を実施すれば、当該搬入或いは搬出作業を節約して、その分だけ施工期間を短縮することが可能となる。また、全ての施工領域でレールを連続敷設する必要もない。
そして、本発明によれば、コンクリート舗装を施工する施工期間を短縮して、コスト、労力を大幅に減少することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態を適用したコンクリート舗装施工機械がレール上を走行している状態を示す正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】図2におけるガイド輪及びレールを示す部分拡大正面図である。
【図4】図3の符号A4で示す部分の拡大正面図である。
【図5】図4で示す部材の内部構造を点線で示す部分拡大正面図である。
【図6】図5のA6で示す部分の拡大図であり図5とは異なる角度から見た図である。
【図7】第1実施形態に係るコンクリート舗装施工機械が路面を走行している状態を示す側面図である。
【図8】図7におけるガイド輪及び路面を示す部分拡大正面図である。
【図9】図8の符号A8で示す部分の拡大正面図である。
【図10】図9で示す部材の内部構造を点線で示す部分拡大正面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るコンクリート舗装施工機械の走行装置がレール上を走行している状態の要部を示す部分拡大側面図である。
【図12】図11の正面図である。
【図13】第2実施形態に係るコンクリート舗装施工機械の走行装置が路面を走行している状態の要部を示す部分拡大側面図である。
【図14】図13の正面図である。
【図15】コンクリート舗装の施工領域にレールを敷設した状態を示す側面図である。
【図16】従来技術に係る走行装置によりレール上を走行している状態を示す部分拡大側面図である。
【図17】図15の正面図である。
【図18】従来技術の問題点を説明するためのコンクリート舗装の施工領域を簡略化して示した平面図である。
【図19】コンクリート舗装施工機械がレールと路面の間を移動する際に用いられるテーパレールを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に図1〜図10を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
第1実施形態の説明に先立って、図1、図2を参照して、第1実施形態を適用したコンクリート舗装施工機械(以下、「コンクリート機械」と記載する)について説明する。
【0024】
図1、図2において、全体を符号100で示すコンクリート機械として、コンクリートスプレッダと称される施工機械の一例が示されている。コンクリート機械100は、本体フレーム1と走行装置100Jを備えており、走行装置100Jは、走行用台車2、1対の高さ調整ジャッキ3、1対の伸縮式脚4、4個の走行車輪5、走行車輪1個当りに1対設けられたガイド車輪6、パドル7、発電機9を備えている。ここで、発電機9は、本体フレーム1の上面には載置されている。
伸縮式脚4の下端は、走行用台車2の上面に接続されている。そして伸縮式脚4は脚背面部材41を有し、脚背面部材41は本体フレーム1の支持部材10と接続している。図1において、左右1対の支持部材10は、本体フレーム1の左右両端を支持している。
また、伸縮式脚4はジャッキ用駆動モータ3Mを備えており、ジャッキ用駆動モータ3Mによって高さ調整ジャッキ3がジャッキの軸を伸縮し、それに伴い伸縮式脚4が伸縮する。
パドル7は、パドル駆動モータ7M、動力伝達装置71によって回転駆動され、舗装路面Gのコンクリートを敷き均す。パドル駆動モータ7M及び動力伝達装置71は、本体フレーム1の両端部(図1における左右両端部)近傍に配置されている。
【0025】
図1、図2では、コンクリート機械100がレールR上を走行している状態が示されている。係る状態では、走行車輪5はレール上を移動しており、ガイド輪6は下降して走行車輪5よりも下方の位置にあり、レールRの頭部Rf(図4参照)の左右にレールRを挟む様に位置している。
走行用台車2は、走行車輪5と、ガイド輪6と、ガイド輪6を上昇し或いは下降する機構(以下、「ガイド輪移動装置」と記載する)60とを備えている。
図2における符号2Mは、走行用台車2を走行させるためのモータを示している。
【0026】
走行車輪5は、外周部が合成樹脂(例えば、ウレタン樹脂)をライニングして構成されているのが好ましい。外周部をウレタン樹脂等でライニングして構成することにより、レールR上或いは舗装面(路面)G上を走行するのに必要な摩擦係数を得ることが出来る。それと共に、振動を吸収して、コンクリート機械100の本体部に損傷を与えないようにすることが出来るからである。
【0027】
ガイド輪6が下降してレールRの頭部Rfを挟む様に、その左右に位置しており、走行車輪5がレールR上を移動している状態が、図3(図2のY矢視図)、図4(図3のA4部拡大図)で示されている。
図4において、ガイド輪移動装置60は、1対のガイドピン61、1対の位置決めピン62、ケーシング63、ケーシング63に形成されたガイド溝64を備えている。
ガイド輪6は、ガイドピン61の図4における下端に回転自在に軸支されている。そして、ガイド輪6は、図4では図示しない垂直軸(ガイドピン61の中心軸:図4の上下方向に延在する仮想軸線)を中心軸として回転する。
【0028】
図3、図4で示すように、ガイド輪6が下降してレールRの頭部Rfの左右に位置しているため、走行車輪5がレールRから外れる様に移動しても、或いは、走行車輪5がレールRから外れる様な外力が負荷されたとしても、レールRの左右に位置しているガイド輪6によって、走行車輪5がレールRから脱輪することが防止される。換言すれば、走行車輪5は、ガイド6によってレールRから脱輪しないようにガイドされる。
そのため、走行車輪5はレールRから脱輪すること無く、レールR上を進行する。そして、コンクリート機械100は、レールRから外れること無く、レールR上を正確に走行することが出来る。
【0029】
ガイド輪6を下降して、レールRの頭部Rfの左右に位置せしめる構造(図3、図4で示す状態とするための構造)について、図5、図6を参照して説明する。
図5において、表面からは見えない各種部材や配管系は、点線で示されている。
ケーシング63にはガイド溝64が形成されている。
ガイドピン61は、当該ブッシュ70の内周面を摺動して、ケーシング63内を図5の垂直方向に移動する。
ガイドピン61の下端には小径部61bが形成されており、小径部61bには鉄製のガイド輪6が回転自在に軸支されている。
ガイド輪移動装置60とガイドピン61下端の小径部61bとの間には、ブッシュ70が嵌合されている。
小径部61bの先端(下端)には、皿ビス69によってエンドプレート68が取り付けられている。このエンドプレート68によって、ガイド輪6が垂直方向下方へ脱落してしまうことを防止している。
【0030】
ガイドピン61の軸中心には、ガイドピン61の全長にわたってグリース通路67aが形成されている。グリース通路67aにおける小径部61bの領域には、グリース通路67aに直交する方向のグリース通路67bが形成され、グリース通路67bはガイドピン61の外周面に開口している。なお、グリース通路67aの下端は、皿ビス69によって閉塞されている。
図5において、ガイドピン61の上端には、グリースニップル66が取り付けられている。グリースニップル66にグリースを給脂すれば、グリースはグリース通路67aを下降し、グリース通路67bの開口部から小径部61bの外周に排出し、ガイド輪6の内周と小径部61b外周との間を潤滑する。
【0031】
ガイドピン61の軸方向の概略中央には、位置決めピン62がガイドピン61に直交するように固設されている。
図6において、ケーシング63に形成された溝64は、垂直方向溝64a、下方の水平溝64b、上方の水平溝64dから構成されている。下方の水平溝64bは、垂直方向溝64aの下端と連続し、上方の水平溝64dは、垂直方向溝64aの下端と連続している。
図6における下方の水平溝64bの右端には、位置決めピン保持部64cが下方に突出して形成されている。位置決めピン保持部64cは、位置決めピン62を、その位置に保持する機能を有している。
同様に、図6における上方の水平溝64dの右端には、位置決めピン62をその位置に保持する位置決めピン保持部64eが形成されている。
【0032】
ガイド輪移動装置60によってガイド輪6を走行車輪5下方の位置に降下するに際しては、図6において、ガイドピン61に設けられている位置決めピン62を、垂直方向溝64a内を下方に移動させ、引き続き下方の水平溝64b内を移動させる。
そして、位置決めピン62を、下方の水平溝64bの右端に形成された位置決めピン保持部64cに位置させれば、位置決めピン62は位置決めピン保持部64cに保持され、ガイド輪6は走行車輪5下方の位置に降下する。
【0033】
図1〜図6では、コンクリート機械100がレールR上を移動する状態を示している。
これに対して、図7〜図10では、コンクリート機械100の走行装置100Jが路面(舗装面G)を移動する状態を示している。
図7〜図9で示す走行車輪5が舗装面G上を移動している状態では、ガイド輪6が上昇して走行車輪5よりも上方に位置している。
【0034】
図7〜図9は、ガイド輪6が上昇して、走行車輪5の上方位置に保持されている状態を示している。
図7〜図9で示すように、ガイド輪6が上昇して走行輪5よりも上方に位置しているため、走行車輪5が舗装路G上を転動する際に、ガイド輪6は舗装面Gとは干渉しない。そして、走行車輪5は舗装面G上を転動し、コンクリート機械100は舗装面G上を円滑に移動することが出来る。
その際に、走行車輪5は接地面が大きく形成されているので、走行車輪5により舗装面Gを損傷してしまうことはない。
それに加えて、上述した様に走行車輪5は合成樹脂をライニングして構成されているため、舗装面Gとの摩擦力を得るのに適しており、また、舗装面Gを転動するに際して振動を吸収する。そのため、コンクリート機械100に過度な振動が伝達されてしまうことはない。
【0035】
ガイド輪6が上昇して、走行車輪5の上方位置に保持されている状態について、図10をも参照して説明する。
ここで、図10において点線で示す各種部材は、図5を参照して説明した部材と同一である。
【0036】
ガイド輪移動装置60によってガイド輪6を走行車輪5上方の位置に上昇するに際しては、ガイドピン61に設けられている位置決めピン62を、ケーシング63に形成された垂直方向溝64a内を上方に移動させる。そして、位置決めピン62を上方の水平溝64d内で移動させる。
そして、位置決めピン62を、水平溝64d内に形成された位置決めピン保持部64eまで移動すれば、位置決めピン62は位置決めピン保持部64eに保持される。これにより、ガイド輪6は、走行車輪5上方の位置に保持される。
【0037】
次に、図11〜図14を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。
図11〜図14の第2実施形態は、ガイド輪と、ガイド輪を上下動して走行車輪下方の位置或いは走行車輪上方の位置に保持する構成及び作用効果が、図1〜図10の第1実施形態とは異なっている。
【0038】
図11、図12では、ガイド輪が下降してレールの頭部を挟む様に、その左右に位置しており、走行車輪がレール上を移動している状態が示されている。
図11、図12において、コンクリート機械101の走行装置101Jは、走行用台車2に4個の走行車輪5Aを備えており、その前後両端部(図11では、一端部のみを示す)にはガイド輪移動装置60Aが装備されている。
ガイド輪移動装置60Aは、ヒンジブラケット2H、L字状レバー6B、ガイド輪6Aを有している。ガイド輪6Aは、L字状レバー6Bの先端に、2個(一対)設けられている。
【0039】
ヒンジブラケット2Hは、走行用台車2の前後両端部に取り付けられている(図11では、一端部のみを示す)。
ヒンジブラケット2Hには、ヒンジピン2Phにより、L字状レバー6Bの折曲部6Boが回動可能に軸支されている。
L字状レバー6Bの一端6Beには、筒状の軸受6Cが固着されている。ここで軸受6Cは、L字状レバー6Bの厚み方向に延在しており、L字状レバー6Bの一端6Beを貫通している。
筒状の軸受6Cには車軸6Dが挿通され、車軸6Dは、軸受6Cと平行に延在している。そして車軸6Dの両端には、1対のガイド輪6Aが回転自在に軸支されている。
【0040】
1対のガイド輪6A間の寸法は、レールRの頭部Rfの幅方向寸法より若干大きい目に設定されている。
具体的には、1対のガイド輪6A間の寸法は、1対のガイド輪6A間にレールRの頭部Rfを収容可能であり、且つ、走行車輪5AがレールRから脱輪しない程度に、ガイド輪6AとレールRの頭部Rfとの間の隙間が小さくなる様な寸法に設定されている。
【0041】
図11、図12で示すように、1対のガイド輪6AがレールRの頭部Rfを挟む様に位置させて、走行車輪5Aが脱輪することなくレールR上を移動している場合には、L字状レバー6Bの他端6Bfは、走行用台車2の前端面2fに対して離隔するように、図11の左方に位置している。
L字状レバー6Bが図11、図12の状態を維持するために、図示しないレバー位置保持部材が、走行用台車2の前端面2fに設けられている。
【0042】
図11で示すように、L字状レバー6Bの端部6Bfを走行用台車2の前端面2fから離隔するように図11の左方へ傾斜させれば、L字状レバー6Bはヒンジピン2Phを中心に反時計方向へ回動する。
その結果、L字状レバー6Bの端部6Beが下方へ移動して、端部6Beに軸支された1対のガイド輪6AがレールRの頭部Rfを挟み込む。そして、1対のガイド輪6AがレールRの頭部Rfを挟み込むことにより、走行車輪5AがレールRから脱輪するのが防止される。
【0043】
一方、ガイド輪6Aが上昇して走行車輪5Aよりも上方に位置しており、走行車輪5Aが舗装面G上を移動している状態が、図13、図14で示されている。
図13、図14において、L字状レバー6Bの他端6Bf側は、図示しないレバー位置保持部材によって、走行用台車2の垂直の前端面2fと平行になるように、保持されている。
図11で示す状態から、L字状レバー6Bの端部6Bfを時計方向に回動すれば、L字状レバー6Bの端部6Beが上方へ移動して、端部6Beに軸支された1対のガイド輪6Aは、レールRの頭部Rfよりも上方へ移動する。
係る状態であれば、図13、図14で示す様に、ガイド輪6Aは、舗装面Gに接触しないので、ガイド輪6Aによって舗装面Gが傷つけられることはない。
【0044】
図11〜図14の第2実施形態における上述した以外の構成及び作用効果は、図1〜図10の第1実施形態と同様である。
【0045】
図示の実施形態(第1実施形態及び第2実施形態)によれば、ガイド輪6、6Aを上下動することにより、レールR上及び舗装面G上を、容易且つ円滑に走行(或いは移動)することが出来る。
そのため、レールRを敷設した領域と舗装面Gとが断続的に存在する施工条件においても、従来技術で必要とされた回送車の手配や、荷下ろし用クレーンの配置等が不要となり、コンクリート機械100、101がレールR上を走行するべき領域と舗装面G上を走行するべき領域の境界において、回送車への搬入或いは搬出の作業が不要となる。
【0046】
これにより、夜間工事等、時間的に厳しい制約をうける作業において、当該搬入或いは搬出作業に必要な時間を節約して、その分だけ作業時間を短縮することが出来る。また、全ての施工領域においてレールRを連続敷設する必要もない。
その結果、図示の実施形態によれば、コンクリート舗装の施工時間、コスト、労力を大幅に減少することが可能となる。
なお、コンクリート機械100、101がレールを敷設した領域とレールを敷設していない舗装路との境界部を通過する際に、レール上と舗装路面との段差を解消するため、図19で示すテーパレールRTを、通常のレールRに接続部材Jrによって接続する。
【0047】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
【符号の説明】
【0048】
1・・・本体フレーム
2・・・走行装置のケーシング/走行用台車
3・・・高さ調整ジャッキ
4・・・伸縮式脚
5・・・走行車輪
6・・・ガイド車輪
7・・・パドル
60・・・ガイド輪移動装置
61・・・ガイドピン
62・・・位置決めピン
63・・・ケーシング
64・・・ガイド溝
R・・・レール
100、101・・・コンクリート機械(コンクリート舗装施工機械)
100J、101J・・・走行装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を走行する場合には、走行車輪の幅方向両端に設けられた一対のガイド輪がレールの頭部を挟む位置となる様に、ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪下方の位置に降下し、路面を走行する場合には、ガイド輪が路面と干渉しない様に、ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪上方の位置に上昇することを特徴とするコンクリート舗装施工機械の走行方法。
【請求項2】
ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪下方の位置に降下するに際しては、先端にガイド輪が回転可能に軸支されているガイドピンに設けられている突起を、ガイドピンを収容するケーシングに形成された垂直方向溝内を下方に移動させ、ケーシングに形成された下方の水平溝内を移動させ、
ガイド輪を走行車輪下方の位置に保持するに際しては、当該下方の水平溝内に形成された凹部に前記突起を保持し、
ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪上方の位置に上昇するに際しては、ガイドピンに設けられている突起を、ガイドピンを収容するケーシングに形成された垂直方向溝内を上方に移動させ、ケーシングに形成された上方の水平溝内を移動させ、
ガイド輪を走行車輪上方の位置に保持するに際しては、当該上方の水平溝内に形成された凹部に前記突起を保持する請求項1のコンクリート舗装施工機械の走行方法。
【請求項3】
ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪下方の位置に降下するに際しては、走行車輪を有する走行装置のケーシングに取り付けられたL字状に折曲したレバーを回動して、レバーの端部に取り付けられたガイド輪をレールの頭部を挟む位置まで回動し、
ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪上方の位置に上昇するに際しては、走行車輪を有する走行装置のケーシングに取り付けられたL字状に折曲したレバーをガイド輪が下降する場合とは反対方向へ回動して、レバーの端部に取り付けられたガイド輪を路面と干渉しない位置まで回動する請求項1のコンクリート舗装施工機械の走行方法。
【請求項4】
レール或いは路面上を転動する走行車輪と、走行車輪の幅方向両端に設けられた一対のガイド輪と、ガイド輪を走行車輪下方の位置と走行車輪上方の位置に上下動するガイド輪移動装置とを備えることを特徴とするコンクリート舗装施工機械の走行装置。
【請求項5】
先端にガイド輪が回転可能に軸支されているガイドピンを有し、ガイドピンには半径方向外方に突出した突起が設けられており、ガイド輪移動装置は各ガイド輪毎に設けられており、ガイドピンを収容するケーシングを備え、当該ケーシングには垂直方向に延在する垂直方向溝と水平方向に延在して垂直方向位置が異なる2本の水平方向溝が連続的に形成されており、垂直方向溝と水平方向溝の幅寸法はガイドピンの突起が進入可能に設定されており、水平方向溝にはガイドピンの突起を保持する凹部が形成され、下方の水平方向溝はガイドピンの突起が凹部に進入した場合にガイド輪が走行車輪下方の位置となるように垂直方向位置が設定され、上方の水平方向溝はガイドピンの突起が凹部に進入した場合にガイド輪が走行車輪上方の位置となるように垂直方向位置が設定されている請求項4のコンクリート舗装施工機械の走行装置。
【請求項6】
ガイド輪移動装置はL字状に折曲したレバーを有し、当該レバーはその接曲部を中心に回動可能に取り付けられ、当該レバーの一端には一対のガイド輪が回転可能に取り付けられており、当該レバーの他端を移動することによりガイド輪を走行車輪下方の位置と走行車輪上方の位置に移動する機能を有する請求項4のコンクリート舗装施工機械の走行装置。
【請求項1】
レール上を走行する場合には、走行車輪の幅方向両端に設けられた一対のガイド輪がレールの頭部を挟む位置となる様に、ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪下方の位置に降下し、路面を走行する場合には、ガイド輪が路面と干渉しない様に、ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪上方の位置に上昇することを特徴とするコンクリート舗装施工機械の走行方法。
【請求項2】
ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪下方の位置に降下するに際しては、先端にガイド輪が回転可能に軸支されているガイドピンに設けられている突起を、ガイドピンを収容するケーシングに形成された垂直方向溝内を下方に移動させ、ケーシングに形成された下方の水平溝内を移動させ、
ガイド輪を走行車輪下方の位置に保持するに際しては、当該下方の水平溝内に形成された凹部に前記突起を保持し、
ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪上方の位置に上昇するに際しては、ガイドピンに設けられている突起を、ガイドピンを収容するケーシングに形成された垂直方向溝内を上方に移動させ、ケーシングに形成された上方の水平溝内を移動させ、
ガイド輪を走行車輪上方の位置に保持するに際しては、当該上方の水平溝内に形成された凹部に前記突起を保持する請求項1のコンクリート舗装施工機械の走行方法。
【請求項3】
ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪下方の位置に降下するに際しては、走行車輪を有する走行装置のケーシングに取り付けられたL字状に折曲したレバーを回動して、レバーの端部に取り付けられたガイド輪をレールの頭部を挟む位置まで回動し、
ガイド輪移動装置によってガイド輪を走行車輪上方の位置に上昇するに際しては、走行車輪を有する走行装置のケーシングに取り付けられたL字状に折曲したレバーをガイド輪が下降する場合とは反対方向へ回動して、レバーの端部に取り付けられたガイド輪を路面と干渉しない位置まで回動する請求項1のコンクリート舗装施工機械の走行方法。
【請求項4】
レール或いは路面上を転動する走行車輪と、走行車輪の幅方向両端に設けられた一対のガイド輪と、ガイド輪を走行車輪下方の位置と走行車輪上方の位置に上下動するガイド輪移動装置とを備えることを特徴とするコンクリート舗装施工機械の走行装置。
【請求項5】
先端にガイド輪が回転可能に軸支されているガイドピンを有し、ガイドピンには半径方向外方に突出した突起が設けられており、ガイド輪移動装置は各ガイド輪毎に設けられており、ガイドピンを収容するケーシングを備え、当該ケーシングには垂直方向に延在する垂直方向溝と水平方向に延在して垂直方向位置が異なる2本の水平方向溝が連続的に形成されており、垂直方向溝と水平方向溝の幅寸法はガイドピンの突起が進入可能に設定されており、水平方向溝にはガイドピンの突起を保持する凹部が形成され、下方の水平方向溝はガイドピンの突起が凹部に進入した場合にガイド輪が走行車輪下方の位置となるように垂直方向位置が設定され、上方の水平方向溝はガイドピンの突起が凹部に進入した場合にガイド輪が走行車輪上方の位置となるように垂直方向位置が設定されている請求項4のコンクリート舗装施工機械の走行装置。
【請求項6】
ガイド輪移動装置はL字状に折曲したレバーを有し、当該レバーはその接曲部を中心に回動可能に取り付けられ、当該レバーの一端には一対のガイド輪が回転可能に取り付けられており、当該レバーの他端を移動することによりガイド輪を走行車輪下方の位置と走行車輪上方の位置に移動する機能を有する請求項4のコンクリート舗装施工機械の走行装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−202346(P2011−202346A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67528(P2010−67528)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000181354)鹿島道路株式会社 (46)
【出願人】(505389695)首都高速道路株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000181354)鹿島道路株式会社 (46)
【出願人】(505389695)首都高速道路株式会社 (47)
【Fターム(参考)】
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