説明

コンサルティング家電システム、サーバ装置、ホームサーバ装置および家電機器に対するコンサルティング情報の提供方法

【課題】家電機器の販売後に、機器の使用状況に応じた使用方法を家電機器に提供する。
【解決手段】サーバ10と家電機器20とは、通信ネットワーク1によって相互に通信可能に接続される。家電機器20は、家電機器の動作状態を示す使用状況情報をサーバ10に送信する。サーバ10は、受信した使用状況情報に基づき、ユーザ情報データベース16を更新する。また、サーバ10は、設計情報データベース15やユーザ情報データベース16を参照して、家電機器20の使用方法を示すコンサルティング情報を求め、家電機器20に送信する。コンサルティング情報は、家電機器20の使用上のトラブルを解消するため操作や、家電機器を最適な状態で使用するための情報である。家電機器20は、受信したコンサルティング情報に従って動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電機器の使用方法を示すコンサルティング情報を家電機器に対して提供するコンサルティング家電システム、および、家電機器に対するコンサルティング情報の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家電機器は、一般家庭に広く浸透し、人々の生活を大きく変化させてきた。例えば、冷蔵庫や洗濯機などの白物家電は家事の効率を大幅に向上させ、テレビやステレオなどの映像音響機器は新しい娯楽を提供してきた。また、パーソナルコンピュータや携帯電話などの個人用/家庭用情報通信機器も、家庭の情報化に大きな役割を果たしてきた。
【0003】
従来の家電機器では、販売後の機器の使用方法は、その機器を購入したユーザにすべて委ねられる。すなわち、ユーザは、取り扱い説明書や店頭での説明などによって家電機器の使用方法を習得し、その知識に基づいて家電機器を使用する。単純な家電機器であれば、このような使用形態でも特に問題は生じない。例えば、ボタンを押せば炊飯を始める機能のみを有する炊飯器であれば、ユーザは取り扱い説明書を見るか、あるいは、見るまでもなく、使用方法を直ちに習得することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、最近の家電機器の機能は、従来に比べて著しく複雑化している。例えば、炊飯器の場合、多くの炊飯器が、通常の炊飯機能に加えて、タイマー機能や保温機能やお粥炊き機能などを備えている。このような家電機器の複雑化に伴い、ユーザ側とメーカ側とにそれぞれ次のような問題が生じている。
【0005】
ユーザ側では、家電機器の操作性が低下し、家電機器を簡単に使用できないという問題が生じている。ユーザは、ボタンやスイッチなどを用いて家電機器を操作し、ランプの点灯や液晶ディスプレイ上の表示などにより機器の状態を確認する。家電機器の機能が複雑化すると、機器の本体やリモコンに多数のボタンやスイッチを設ける必要が生じ、液晶ディスプレイに機器の状態をアイコンで表示しても、ユーザには機器の状態を認識しづらくなる。また、ユーザは機器の状態に応じて適切な操作を行う必要があるが、このような機器の設計上の制約が機器の操作性を低下させている。
【0006】
一例を挙げると、炊飯器は、一般に保温状態では炊飯を開始できないように設計される。しかし、炊飯ボタンを押しても炊飯が開始されない場合、保温状態を表すランプの点灯を見落としたユーザは、炊飯器が故障したと判断してしまう。また、ユーザは、ランプの点灯を認識しても、保温状態では炊飯を開始できないという設計上の制約を知らなければ、やはり炊飯器が故障したと判断してしまう。
【0007】
このように機器の操作性が低下すると、家電機器の一部の機能しか使用されない状況が生じる。すなわち、ユーザは、最低限の使用方法のみを習得した後、家電機器をその使用方法でのみ使用し、メーカ側が用意した豊富な機能を全く使用しなくなる。例えば、炊飯器の場合、多くのユーザは、通常の炊飯機能のみを使用し、お粥炊き機能などを全く使用しなくなる。このような状況では、家電機器の機能が高度化しても、ユーザはその恩恵を全く受けていないといえる。
【0008】
一方、メーカ側では、家電機器の使用方法についての問い合わせに応答するコストが増加するという問題が生じている。多くの家電機器メーカは、「お客様相談センター」を設け、ユーザからの電話による問い合わせに対応している。家電機器の使用中にトラブルが発生した場合、ユーザは、センターのオペレータにトラブルの状況を説明する必要がある。しかし、トラブルの状況を的確に説明できるユーザは極めて希であり、多くのユーザは「機器が正常に動作しない」としか説明できない。例えば、先に述べた炊飯器の例では、多くのユーザは、ランプの点灯を認識していても、単に「炊飯できない」としか状況を説明できない。このためセンターでは、故障発生のようにメーカでなければ対処できないトラブルと、ボタンを1回押せば簡単に解消できるトラブルとを容易に区別できない状況が生じている。簡単な問い合わせに対する応答にも複雑な問い合わせと同様の手間とコストがかかるため、センター全体の管理運営コストが増加してしまう。
【0009】
この問題は、家電機器の機能が複雑化したにもかかわらず、メーカ側には家電機器の使用状況を把握し、販売後に家電機器の使用方法を提案する仕組みがないことに起因している。
【0010】
それ故に、本発明は、家電機器の販売後であっても、家電機器の使用方法を示すコンサルティング情報を家電機器に対して提供するコンサルティング家電システムと、家電機器に対するコンサルティング情報の提供方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の局面は、家電機器とサーバ装置とをネットワークで接続して構成されたコンサルティング家電システムであって、家電機器は、サーバ装置と通信する第1の通信手段と、ユーザからの指示を入力する入力手段と、機器固有の処理を行う処理手段と、入力手段から入力された指示に基づき処理手段を制御し、自らの動作状態をサーバ装置に送信する第1の制御手段とを備え、サーバ装置は、家電機器と通信する第2の通信手段と、家電機器の設計情報を蓄積する設計情報データベースと、家電機器のユーザ情報を蓄積するユーザ情報データベースと、家電機器から受信した家電機器の動作状態を用いてユーザ情報データベースを更新し、家電機器の動作状態とユーザ情報データベースと設計情報データベースとに基づき、家電機器の使用方法を示すコンサルティング情報を求める第2の制御手段とを備える。
【0012】
このような第1の局面によれば、家電機器は自らの動作状態をサーバに送信し、サーバ装置は受信した動作状態と設計情報とユーザ情報とに基づきコンサルティング情報を求める。従、家電機器の販売後に、機器の使用状況に応じたコンサルティング情報を求めることができる。
【0013】
第2の局面は、第1の局面において、第2の制御手段は、コンサルティング情報を家電機器に送信し、第1の制御手段は、入力手段から入力された指示とサーバ装置から受信したコンサルティング情報とに基づき、処理手段を制御することを特徴とする。
【0014】
このような第2の局面によれば、サーバ装置は求めたコンサルティング情報を送信し、家電機器は受信したコンサルティング情報に従って動作する。従、ユーザは、家電機器の使用方法を意識することなく、家電機器を最適な方法で使用することができる。
【0015】
第3の局面は、第1の局面において、家電機器をネットワークに接続するためのホームサーバ装置をさらに備える。
【0016】
このような第3の局面によれば、家電機器は、ホームサーバ装置を介してサーバ装置と通信する。従、家電機器は、家庭内でのみ通信可能な機能を有するものとすることができる。
【0017】
第4の局面は、サーバ装置とネットワークで接続された家電機器であって、サーバ装置と通信する通信手段と、ユーザからの指示を入力する入力手段と、機器固有の処理を行う処理手段と、入力手段から入力された指示に基づき処理手段を制御し、自らの動作状態をサーバ装置に送信する制御手段とを備える。
【0018】
このような第4の局面によれば、家電機器は、自らの動作状態をネットワークに接続されたサーバ装置に送信することができる。従、コンサルティング情報システムにおける家電機器として使用することができる。
【0019】
第5の局面は、第4の局面において、制御手段は、サーバ装置から機器の制御方法を示すコンサルティング情報を受信し、入力手段から入力された指示とコンサルティング情報とに基づき、処理手段を制御することを特徴とする。
【0020】
このような第5の局面によれば、家電機器は、サーバ装置から受信したコンサルティング情報に従って動作する。従、ユーザは、家電機器の使用方法を意識することなく、家電機器を最適な方法で使用することができる。
【0021】
第6の局面は、第5の局面において、制御手段は、入力手段から自動制御すべき旨の指示を受けた場合に、コンサルティング情報に基づき処理手段を制御することを特徴とする。
【0022】
このような第6の局面によれば、家電機器は、ユーザから指示された場合にコンサルティング情報に従って動作する。従、ユーザは、コンサルティング情報に従った自動制御を行うか否かを、自ら選択することができる。
【0023】
第7の局面は、第5の局面において、コンサルティング情報を表示する表示手段をさらに備え、制御手段は、入力手段から自動制御すべき旨の指示を受けた場合に、コンサルティング情報に基づき処理手段を制御することを特徴とする。
【0024】
このような第7の局面によれば、家電機器は、コンサルティング情報を表示し、ユーザから指示された場合にコンサルティング情報に従って動作する。従、ユーザは、機器の使用方法を意識することなく、かつ、安全性を確認しながら、家電機器を最適な方法で使用することができる。
【0025】
第8の局面は、第4の局面において、制御手段は、動作状態が異常となったときに、自らの動作状態をサーバ装置に送信することを特徴とする。
【0026】
このような第8の局面によれば、家電機器は、異常が発生したときに自動的に動作状態をサーバ装置に送信する。従、ユーザは、異常発生を意識することなく、家電機器の異常状態を自動的に解消することができる。
【0027】
第9の局面は、第4の局面において、制御手段は、自らの動作状態を所定の時間間隔でサーバ装置に送信することを特徴とする。
【0028】
このような第9の局面によれば、家電機器は定期的に動作状態をサーバ装置に送信するので、サーバ装置は家電機器の現在の動作状態を知ることができる。従、サーバ装置は、家電機器の現在の動作状態に基づきコンサルティング情報を作成し、家電機器に提供することができる。
【0029】
第10の局面は、第4の局面において、通信手段は、ネットワークに接続されたホームサーバ装置を介してサーバ装置と通信することを特徴とする。
【0030】
このような第10の局面によれば、家電機器は、ホームサーバ装置を介してサーバ装置と通信する。従、家電機器は、家庭内でのみ通信可能な機能を有するものとすることができる。
【0031】
第11の局面は、家電機器とネットワークで接続されたサーバ装置であって、家電機器と通信する通信手段と、家電機器の設計情報を蓄積する設計情報データベースと、家電機器のユーザ情報を蓄積するユーザ情報データベースと、家電機器から受信した家電機器の動作状態を用いてユーザ情報データベースを更新し、家電機器の動作状態とユーザ情報データベースと設計情報データベースとに基づき、家電機器の使用方法を示すコンサルティング情報を求める制御手段とを備える。
【0032】
このような第11の局面によれば、サーバ装置は、家電機器から受信した動作状態と設計情報とユーザ情報とに基づきコンサルティング情報を求める。従、コンサルティング情報システムにおけるサーバ装置として使用することができる。
【0033】
第12の局面は、第11の局面において、制御手段は、コンサルティング情報を家電機器に送信することを特徴とする。
【0034】
このような第12の局面によれば、サーバ装置は、求めたコンサルティング情報を用いて家電機器を遠隔制御することができる。従、ユーザは、家電機器の使用方法を意識することなく、家電機器を最適な方法で使用することができる。
【0035】
第13の局面は、第11の局面において、制御手段は、家電機器のユーザごとに割り当てられたユーザ識別子を用いて家電機器を識別し、一のユーザ識別子を有する家電機器の動作状態に基づき、そのユーザ識別子を有する他の家電機器の使用方法を示すコンサルティング情報を求めることを特徴とする。
【0036】
このような第13の局面によれば、サーバ装置は、ある家電機器の動作状態に基づき、同じ家庭内にある他の家電機器についてのコンサルティング情報を求める。従、ユーザは、家電機器の使用方法を意識することなく、家電機器を組み合わせて最適な方法で使用することができる。
【0037】
第14の局面は、家電機器とサーバ装置とをネットワークで接続するためのホームサーバ装置であって、家電機器と通信する第1の通信手段と、ネットワークを介してサーバ装置と通信する第2の通信手段と、家電機器から受信した家電機器の動作状態をサーバ装置に送信し、サーバ装置から受信した家電機器の使用方法を示すコンサルティング情報を家電機器に送信する制御手段とを備える。
【0038】
このような第14の局面によれば、ホームサーバ装置は、家電機器から送信された動作状態とサーバ装置から送信されたコンサルティング情報とを中継する。従、コンサルティング家電システムにおけるホームサーバ装置として使用することができる。
【0039】
第15の局面は、第14の局面において、受信したコンサルティング情報を表示する表示手段と、ユーザからの指示を入力する入力手段とをさらに備え、制御手段は、入力手段から自動制御すべき旨の指示を受けた場合に、コンサルティング情報を家電機器に送信することを特徴とする。
【0040】
このような第15の局面によれば、サーバ装置は、コンサルティング情報を表示し、ユーザから指示された場合にコンサルティング情報を中継する。従、ユーザは、機器の使用方法を意識することなく、かつ、ホームサーバ装置を用いて安全性を確認しながら、家電機器を最適な方法で使用することができる。
【0041】
第16の局面は、ネットワークで接続されたサーバ装置から家電機器へ、家電機器の使用方法を示すコンサルティング情報を提供する方法であって、家電機器は、サーバ装置と通信する第1の通信ステップと、ユーザからの指示を入力する入力ステップと、機器固有の処理を行う処理ステップと、入力ステップで入力された指示に基づき処理ステップの実行を制御し、自らの動作状態をサーバ装置に送信する第1の制御ステップとを実行し、サーバ機器は、家電機器の設計情報を蓄積する設計情報データベースと、家電機器のユーザ情報を蓄積するユーザ情報データベースとを備え、家電機器と通信する第2の通信ステップと、家電機器から受信した家電機器の動作状態を用いてユーザ情報データベースを更新し、家電機器の動作状態とユーザ情報データベースと設計情報データベースとを用いて家電機器についてコンサルティング情報を求める第2の制御ステップとを実行する。
【0042】
このような第16の局面によれば、家電機器は自らの動作状態をサーバに送信し、サーバ装置は受信した動作状態と設計情報とユーザ情報とに基づきコンサルティング情報を求める。従、家電機器の販売後に、機器の使用状況に応じたコンサルティング情報を求めることができる。
【0043】
第17の局面は、第16の局面において、第2の制御ステップは、コンサルティング情報を家電機器に送信し、第1の制御ステップは、入力ステップで入力された指示とサーバ装置から受信したコンサルティング情報とに基づき、処理ステップの実行を制御することを特徴とする。
【0044】
このような第17の局面によれば、サーバ装置は求めたコンサルティング情報を送信し、家電機器は受信したコンサルティング情報に従って動作する。従、ユーザは、家電機器の使用方法を意識することなく、家電機器を最適な方法で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1ないし第4の実施形態に係るコンサルティング家電システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に係るコンサルティング家電システムにおける家電機器の構成をより詳細に示すブロック図
【図3】本発明の第1の実施形態に係るコンサルティング家電システムの使用形態を示す図
【図4】本発明の第1の実施形態に係るコンサルティング家電システムの他の使用形態を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態に係るコンサルティング家電システムの使用形態を示す図
【図6】本発明の第3の実施形態に係るコンサルティング家電システムにおけるホームサーバの構成をより詳細に示すブロック図
【図7】本発明の第3の実施形態に係るコンサルティング家電システムの使用形態を示す図
【図8】本発明の第3の実施形態に係るコンサルティング家電システムにおけるホームサーバの表示画面を示す図
【図9】本発明の第4の実施形態に係るコンサルティング家電システムの使用形態を示す図
【図10】本発明の第1ないし第4の実施形態の変形例に係るコンサルティング家電システムの構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0046】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るコンサルティング家電システムの構成を示すブロック図である。図1に示すコンサルティング家電システムは、サーバ10、複数の家電機器20−1〜n、ホームサーバ30、および、通信ネットワーク1を備える。サーバ10は、従来のお客様相談センターを代替するコンサルティングセンターに設置され、家電機器20−1〜nとホームサーバ30とは、各家庭に設置される。サーバ10と家電機器20−1〜nとは、通信ネットワーク1とホームサーバ30とによって相互に通信可能に接続される。なお、図1では図面の簡略化のため1軒の家庭内の家電機器のみを示しているが、実際のコンサルティング家電システムには多数の家庭内の家電機器が含まれる。
【0047】
コンサルティング家電システムとは、コンサルティングセンターに設置されたサーバ10と家庭内の家電機器20−1〜nとを通信ネットワーク1を用いて接続し、家電機器20−1〜nは自らの動作状態をサーバ10に送信し、サーバ10は家電機器20−1〜nの動作を遠隔制御するものである。以下では、家電機器20−1〜nの使用方法を示す情報をコンサルティング情報と呼ぶ。コンサルティング情報は、サーバ10によって作成され、サーバ10から家電機器20−1〜nに提供される。
【0048】
通信ネットワーク1は、双方向通信可能な任意の通信ネットワークである。通信ネットワーク1は、例えば、インターネットでも有線通信網でも衛星通信網でもよい。また、必要に応じて、上り通信と下り通信とで異なる通信ネットワークを用いてもよい。
【0049】
家電機器20−1〜nは、洗濯機や冷蔵庫などの白物家電や、テレビやステレオなどの映像音響機器や、パーソナルコンピュータや携帯電話などの情報通信機器などである。各家電機器20−1〜nは、それぞれ各機器に予め定められた処理を行う。例えば、炊飯器は炊飯処理を行い、洗濯機は洗濯処理を行う。家電機器20−1〜nの詳細については後述する。
【0050】
ホームサーバ30は、家電機器20−1〜nを通信ネットワーク1に接続するゲートウェイとして機能する。ホームサーバ30は、コンサルティング家電システム用の専用機でもよく、有線通信網または/および無線通信網に接続されたテレビやインターネットに接続されたパーソナルコンピュータなどで実現されてもよい。家電機器20−1〜nは、有線または無線でホームサーバ30と通信する。また、家電機器20−1〜nは、直接またはホームサーバ30を介して相互間で通信してもよい。
【0051】
サーバ10は、CPU11、入力部12、表示部13、通信部14、設計情報データベース15、および、ユーザ情報データベース16を備える。サーバ10は、コンサルティング家電システムのホストコンピュータとして機能する。
【0052】
CPU11は、後述するように、ユーザ情報データベース16の更新やコンサルティング情報の作成などの処理を行う。入力部12は、サーバ10のオペレータからの指示を受け取る。表示部13は、CPU11の制御に従い、各種のデータをディスプレイに表示させる。通信部14は、通信ネットワーク1を経由して家電機器20−1〜nと通信する機能を有する。
【0053】
設計情報データベース15には、家電機器20−1〜nの設計情報が機種ごとに予め蓄積されている。設計情報データベース15に蓄積された設計情報には、例えば、家電機器の状態遷移や、各状態における表示内容や、各状態において取るべき処理や、設計上の制約条件や、使用上のノウハウなど、コンサルティング情報の作成の際に参照される任意のデータが含まれる。この設計情報は、コンピュータで処理可能なデータとして表現されたものでもよく、自然言語で表現されたものでもよい。この設計情報は、家電機器20−1〜nを設計した部門から提供される。例えば、設計部門のデータベース(図示せず)とサーバ10とを通信ネットワーク1で接続し、設計部門のデータベースの内容を設計情報データベースに複写することとしてもよい。
【0054】
ユーザ情報データベース16には、家電機器20−1〜nのユーザ情報が蓄積される。ここで、ユーザ情報とは、家電機器20−1〜nから受信した家電機器の動作状態を、コンサルティング情報の作成に役立つ任意の形式に変換したものをいう。このユーザ情報には、例えば、各家庭が所有する家電機器の一覧情報や、ユーザからの過去の問い合わせ履歴などが含まれる。ユーザ情報データベース16は、家電機器20−1〜nから受信した動作状態を反映するために随時更新され、コンサルティングセンターの運営を通じて構築される。
【0055】
図2は、家電機器20の構成をより詳細に示すブロック図である。図2において、家電機器20は、制御部21、入力部22、表示部23、通信部24、および、処理部25を備える。入力部22は、例えば、家電機器20の本体やリモコンに設けられたボタンやスイッチなどである。表示部23は、家電機器20の本体に設けられたランプや液晶ディスプレイなどである。家電機器20のユーザは、入力部22を用いて家電機器20を操作し、表示部23を用いて家電機器20の状態を確認する。通信部24は、ホームサーバ30と通信する機能を有する。家電機器20は、通信部24の機能によってサーバ10と相互に通信する。
【0056】
処理部25は、各家電機器20に固有の処理を行う。例えば、家電機器20が炊飯器である場合、処理部25は、炊飯用ヒーターを加熱したり、タイマー制御を行ったりする。サーバ10からコンサルティング情報が提供されていないときには、家電機器20は、従来の家電機器と同様に動作する。このとき制御部21は、入力部22から入力された指示に従って処理部25を制御し、機器の状態を表示部23に表示させる。
【0057】
家電機器20−1〜nのユーザには、ユーザごとに固有の識別子(以下、ユーザIDという)が予め割り当てられている。ユーザID26は、家電機器20の販売時など適切なタイミングで、オフラインまたはオンライン操作により制御部21に記録される。また、各家電機器20−1〜nには、機器ごとに固有の識別子(以下、機器IDという)が予め割り当てられている。機器ID27は、家電機器20の製造時に制御部21に記録される。これに加えて、制御部21は、家電機器20の動作状態を表す機器状態28を管理する。機器状態28が変化するのは、例えば、入力部22において新たな操作が指示されたときや、処理部25の状態が変化したときなどである。なお、機器ID27は、家電機器20の製造時に制御部21に記録されるとしたが、製造時に限らず、適切なタイミングでオフラインまたはオンライン操作によって制御部21に記録してもよい。
【0058】
家電機器20−1〜nは、予め定めたタイミングで、家電機器の動作状態を示す使用状況情報をサーバ10に送信する。具体的には、制御部21が、ユーザID26と機器ID27と機器状態28とに基づき使用状況情報を作成し、通信部24が、作成された使用状況情報をホームサーバ30と通信ネットワーク1とを経由してサーバ10へ送信する。
【0059】
家電機器20−1〜nが使用状況情報を送信するタイミングや頻度は、任意でよい。例えば、家電機器20−1〜nは、電源が供給されている間は3分に1回程度の頻度で定期的に使用状況情報を送信してもよく、機器状態28が異常状態になったときにのみ使用状況情報を送信してもよい。ここで異常状態とは、例えば、機器の故障を検出した状態や、ユーザが同じボタンを押し続ける状態などをいう。
【0060】
サーバ10の通信部14は、受信した使用状況情報をCPU11に出力する。CPU11は、受信した使用状況情報と、設計情報データベース15に蓄積された設計情報と、ユーザ情報データベース16に蓄積されたユーザ情報とに基づき、自動的に家電機器の使用方法を示すコンサルティング情報を作成する。例えば、設計情報には家電機器の各状態において取るべき処理が含まれ、ユーザ情報には各家庭が所有する家電機器の一覧情報が含まれているとする。この場合、使用状況情報を受け取ったCPU11は、まず、ユーザIDと機器IDとを検索キーとしてユーザ情報データベース16を検索し、その家電機器がその家庭に設置されていることを確認する。次に、CPU11は、機器IDと機器状態とを検索キーとして設計情報データベース15を検索し、その状態において取るべき処理を求める。この際に取るべき処理としては、例えば、家電機器20の機器状態28を所定の正常状態に復帰させる処理や、サーバ10のオペレータを呼び出す処理などがある。CPU11は、このようなデータベース検索処理により、コンサルティング情報を作成することができる。また、CPU11は、推論システムなど人工知能的手法を用いて、コンサルティング情報を作成してもよい。
【0061】
通信部14は、作成したコンサルティング情報を家電機器20−1〜nに対して送信する。送信されたコンサルティング情報は、通信ネットワーク1とホームサーバ30とを経由して、家電機器20−1〜nに到達する。
【0062】
家電機器20−1〜nの通信部24は、受信したコンサルティング情報を制御部21に出力する。制御部21は、受信したコンサルティング情報を用いて、家電機器20の動作を制御する。これにより、家電機器20−1〜nは、サーバ10から提供されたコンサルティング情報に従って動作する。
【0063】
一方、CPU11は、受信した使用状況情報を用いて、ユーザ情報データベース16を更新する。CPU11は、受信した使用状況情報を分類して整理し、これに基づきユーザ情報データベース16を更新する。例えば、機器状態28が異常状態になったときに使用状況情報を送信するコンサルティング情報システムでは、CPU11は、各機器に発生しやすい異常状態を求め、これをユーザ情報としてユーザ情報データベース16に蓄積する。このように受信した使用状況情報に基づきユーザ情報データベース16を随時更新し、これを用いてコンサルティング情報を求めることにより、より良いコンサルティング情報を求めることができる。
【0064】
ただし、ユーザ情報データベース16に蓄積されたユーザ情報が十分でない間、特に初期段階で主に他の家電機器で得られた類型/典型的な情報が蓄積されている状態の間は、CPU11は、主に設計情報データベース15に蓄積された設計情報を参照してコンサルティング情報を作成する。この場合、CPU11は、受信した使用状況情報と求めたコンサルティング情報とを表示部13に表示させ、オペレータが入力部12を用いて指示した内容に従い、求めたコンサルティング情報を修正してもよい。ユーザ情報データベース16は、コンサルティングセンターの運営を通じて徐々に構築され、やがてコンサルティング情報を作成するために十分なユーザ情報を有するにようになる。その後にCPU11は、設計情報データベース15に蓄積された設計データと、ユーザ情報データベース16に蓄積されたユーザ情報とを参照して、コンサルティング情報を作成する。
【0065】
本実施形態に係るコンサルティング家電システムによれば、家電機器20−1〜nに対して、次のようなコンサルティング情報を提供することができる。図3は、コンサルティング家電システムを家電機器についての問い合わせ処理に適用した場合の使用形態を示す図である。図3において、家電機器20は、機器状態28が異常状態になったときに、ユーザID26と機器ID27と機器状態28とを含んだ使用状況情報をサーバ10に送信する。この使用状況情報を受信したサーバ10は、異常状況を解除するためのコンサルティング情報を作成し、家電機器20に送信する。これにより、家電機器20の異常状況を自動的に解除して、家電機器20を正常な状態に回復させることができる。また、コンサルティング情報を用いて家電機器20を遠隔制御できない場合、CPU11は、その旨を表示部13に表示させる。サーバ10のオペレータは、表示部13の表示内容を見て、例えばサービスマンを派遣するなどの対応を行う。
【0066】
例えば、先に述べた炊飯器の例について説明する。炊飯器(家電機器20に相当する)は、炊飯ボタンが繰り返し押されたことを異常状態と判断し、その旨を示す使用状況情報をサーバ10に送信する。この使用状況情報を受信したサーバ10は、保温状態にある場合に炊飯ボタンが繰り返し押された場合には保温状態を解除すべきと判断し、保温状態を解除するコンサルティング情報を炊飯器に送信する。炊飯器の制御部21は、受信したコンサルティング情報に基づき、保温状態にある機器状態28を炊飯可能な状態に設定する。これにより、ユーザは、自分で保温状態を解除しなくても、炊飯を開始することができる。
【0067】
また、サーバ10は、保温状態でない場合に炊飯ボタンが繰り返し押された場合には炊飯器が故障したと判断する。この場合、サーバ10は、故障である旨を示すコンサルティング情報を炊飯器に送信するとともに、その旨を表示部13に表示させる。サーバ10のオペレータは、表示部13の表示内容を見て、サービスマンを派遣するなどの対応を行う。
【0068】
図3に示す使用形態によれば、ユーザ側には、メーカに問い合わせをすることなく、家電機器20のトラブルを自動的に解決できるという効果がある。また、メーカ側には、家電機器についての簡単なトラブルを遠隔操作で自動的に解決できるので、コンサルティングセンターの管理運営コストを、従来の「お客様相談センター」に比べて大幅に削減することができるという効果がある。
【0069】
図4は、コンサルティング家電システムを家電機器の最適制御に適用した場合の使用形態を示す図である。図4において、家電機器20は、所定の時間間隔で、ユーザID26と機器ID27と機器状態28とを含んだ使用状況情報をサーバ10に送信する。この使用状況情報を受信したサーバ10は、機器の最適な使用方法を示すコンサルティング情報を作成し、家電機器20に送信する。これにより、ユーザは、家電機器20の使用方法を意識することなく、家電機器20を最適な方法で使用することができる。
【0070】
例えば、コンサルティング情報を用いた冷蔵庫の最適制御について説明する。冷蔵庫(家電機器20に相当する)は、所定の時間間隔で、設定された庫内温度と測定された庫内温度とを含んだ使用状況情報をサーバ10に送信する。これによりサーバ10は、同じ機種の冷蔵庫から多数の使用状況情報を受信する。サーバ10は、過去に作成したコンサルティング情報とその効果とを比較して、この機種の冷蔵庫を最適に制御するためのノウハウを獲得し、ユーザ情報としてユーザ情報データベース16に蓄積する。サーバ10は、求めたユーザ情報に基づきコンサルティング情報を作成して、各冷蔵庫に送信する。各冷蔵庫は、受信したコンサルティング情報に従って動作し、その時点で知られている最適な方法で動作する。これにより、ユーザは、冷蔵庫の使用方法を意識することなく、その時点で知られている最適な方法で冷蔵庫を使用することができる。
【0071】
以上に示すように本実施形態に係るコンサルティング家電システムでは、コンサルティングセンターに設置されたサーバと家庭内の家電機器とを通信ネットワークを用いて接続し、家電機器は自らの動作状態をサーバに送信し、サーバは家電機器の動作を遠隔制御する。本システムを問い合わせ処理や機器の最適制御に適用することにより、ユーザは機器の使用方法を意識することなく、家電機器を最適な方法で使用することができ、メーカはコンサルティングセンターの管理運営コストを大幅に削減しつつ、高機能化した家電機器を設計意図に従って機能させることで、ユーザ満足度を拡大することができる。
【0072】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るコンサルティング家電システムは、ある家電機器の動作状態に基づき、他の家電機器に対するコンサルティング情報を作成することを特徴とする。なお、以下に示す第2ないし第4の実施形態に係るコンサルティング家電システムのブロック図は、第1の実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0073】
図5は、本実施形態に係るコンサルティング家電システムの使用形態を示す図である。一例として、家電機器20−1および20−2が、それぞれ、電子レンジおよび食器洗い機である場合について説明する。電子レンジ20−1は、ユーザからの指示により料理を行ったときには、ユーザID26と機器ID27と機器状態28と料理内容とを含んだ使用状況情報をサーバ10に送信する。例えば、電子レンジ20−1は、油もの料理を行った場合には、油もの料理を行った旨を示す使用状況情報をサーバ10に送信する。
【0074】
サーバ10は、受信した使用状況情報をユーザ情報としてユーザ情報データベース16に蓄積するとともに、油汚れが良く落ちる洗い方をする旨を示すコンサルティング情報を食器洗い機20−2に送信する。このコンサルティング情報を受信した食器洗い機20−2は、切り替え可能な複数の洗剤のうちから油汚れに強い洗剤を用いて洗浄したり、あるいは、通常よりも長い時間かけて洗浄したりする。これにより、食器洗い機20−2は、確実に油汚れを落とすことができる。
【0075】
家庭内には多数の家電機器が存在するので、ある機器の動作状態に応じて他の機器を制御すべき場合は無数にある。例えば、テレビで映画を見るときには、室内の照明を暗めに制御すればよい。また、エアコンの冷房機能が「強」に設定されたときには、冷蔵庫の製氷室の能力を上げるように制御すればよい。また、冷蔵庫内の食品を用いてできる料理の種類を電子レンジに表示してもよい。この場合、サーバ10は、1台の家電機器の動作状態に基づき複数の家電機器に対するコンサルティング情報を作成してもよく、複数の家電機器の動作状態に基づき、1台または複数の家電機器に対するコンサルティング情報を作成してもよい。
【0076】
以上に示すように、本実施形態に係るコンサルティング家電システムでは、ある家電機器の動作状態に基づき、他の家電機器に対するコンサルティング情報を作成する。これにより、ユーザは、機器の使用方法を意識することなく、複数の各家電機器を組み合わせて最適な方法で使用することができる。
【0077】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るコンサルティング家電システムは、コンサルティング情報をユーザに提示し、ユーザの確認後にコンサルティング情報に従った制御を行うことを特徴とする。例えば、コンロが点火すべき旨を示すコンサルティング情報を受信して無条件に点火制御を行うと、火災が発生する可能性がある。このため、本実施形態に係るコンサルティング家電システムでは、各家電機器は、ユーザが確認した場合に限り、コンサルティング情報に従って動作する。
【0078】
図6は、本実施形態に係るコンサルティング家電システムにおけるホームサーバ30の構成をより詳細に示すブロック図である。図6において、ホームサーバ30は、CPU31、入力部32、表示部33、第1の通信部34、第2の通信部35、および、記憶部36を備える。このホームサーバ30は、典型的にはパーソナルコンピュータによって実現される。また、テレビや家庭用電話機や携帯電話などに、ホームサーバ30の機能を持たせることもできる。
【0079】
CPU31は、ホームサーバ30全体の制御を行う。入力部32は、例えば、キーボードやマウスやタッチパネルなどであり、表示部33は、CRTや液晶ディスプレイなどである。表示部33には家電機器20−1〜nに対するコンサルティング情報が表示される。ユーザは、入力部32を用いて各家電機器20−1〜nがコンサルティング情報に従うか否かを選択する。第1の通信部34は通信ネットワーク1を介して通信する機能を有し、第2の通信部35は家電機器20−1〜nと通信する機能を有する。記憶部36は、家庭における各種のデータを蓄積する。
【0080】
図7は、本実施形態に係るコンサルティング家電システムの使用形態を示す図である。図7において、家電機器20は、ホームサーバ30と通信ネットワーク1とを介して、家電機器20の使用状況情報をサーバ10へ送信する。ホームサーバ30の内部では、CPU31が、第2の通信部35で受信した使用状況情報を第1の通信部34へ出力する。サーバ10は、第1の実施形態と同様に、受信した使用状況情報に基づきコンサルティング情報を作成し、通信ネットワーク1を介して送信する。
【0081】
ホームサーバ30は、サーバ10から受信したコンサルティング情報を一時的に保留し、その内容を表示部33に表示させる。ホームサーバ30の内部では、CPU31が、第1の通信部34で受信したコンサルティング情報を記憶部36に記憶させ、その内容を表示部33に表示させる。
【0082】
図8は、コンサルティング情報を表示したホームサーバ30の表示画面の例を示す図である。CPU31は、例えば、コンロに対して点火すべき旨を示すコンサルティング情報を受信した場合には、図8(a)に示す画面を表示部33に表示させる。ユーザは、図8(a)に示す画面を見たときには、実際にコンロに点火してよいか否かを判断し、入力部32を用いてその判断結果を入力する。
【0083】
点火する旨が選択された場合には、CPU31は、記憶部36から読み出したコンサルティング情報を第2の通信部35へ出力する。第2の通信部35は、このコンサルティング情報を家電機器20−1〜nへ送信する。これにより、コンロは、サーバ10から送信されたコンサルティング情報に従って、点火処理を行う。これに対して点火しない旨が選択された場合には、CPU31は、記憶部36に記憶させたコンサルティング情報を消去する。この場合、ユーザは、入力部22を用いて各家電機器20−1〜nを操作する。
【0084】
また、コンサルティング情報が選択肢を有する場合にも、同様の考え方を適用することができる。図8(b)は、選択肢を有するコンサルティング情報を表示した場合の表示画面の例である。例えば、室温が高い場合に提供されるコンサルティング情報が、「エアコンの温度を下げる」、「エアコンの風量を強くする」および「扇風機を回す」の3つの選択肢を有するとする。CPU31は、このコンサルティング情報を受信した場合、これらの選択肢をすべて表示部33に表示させる。ユーザは、入力部32を用いて、3つの選択肢のいずれか、または、いずれも選択しない旨を入力する。ユーザがいずれかの選択肢を選択した場合には、ホームサーバ30は、選択されたコンサルティング情報を家電機器20−1〜nに送信する。ユーザがいずれの選択肢も選択しない場合には、ホームサーバ30は、受信したコンサルティング情報を廃棄する。この場合、ユーザは、入力部22を用いて各家電機器20−1〜nを操作する。
【0085】
以上に示すように、本実施形態に係るコンサルティング家電システムでは、コンサルティング情報は、ホームサーバの画面上に表示され、ユーザの確認後に各家電機器に送信される。これにより、ユーザは、機器の使用方法を意識することなく、かつ、安全性を確認しながら、家電機器を最適な方法で使用できる。工場などと異なり、制御元で機器の動作環境を完全に把握できない家庭については、本実施形態で示した半自動制御は不可欠である。
【0086】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係るコンサルティング家電システムは、ホームサーバがサーバ機能の一部を分担することを特徴とする。
【0087】
図9は、本実施形態に係るコンサルティング家電システムの使用形態を示す図である。上述したようにホームサーバ30は、記憶部36を備えている。ホームサーバ30は、例えば1日に1回の頻度で、通信ネットワーク1を用いて、サーバ10のデータベースの内容を記憶部36にダウンロードする。具体的には、ホームサーバ30は、設計情報データベース15に蓄積された設計情報とユーザ情報データベース16に蓄積されたユーザ情報とのうち、ホームサーバ30に接続された家電機器20−1〜nに関するデータを記憶部36にダウンロードする。これにより、ホームサーバ30は、ローカルデータベースを有する。CPU31は、家電機器20から使用状況情報を受信したときには、記憶部36に蓄積されたローカルデータベースを参照して、サーバ10と同様の手法で家電機器20に対するコンサルティング情報を作成する。ホームサーバ30は、作成したコンサルティング情報を家電機器20に送信する。
【0088】
このように各家庭に設置されたホームサーバ30が、コンサルティングセンターに設置されたサーバ10の機能を分担して実行することにより、サーバ10の処理の負荷を軽減することができる。
【0089】
なお、第1から第4までの実施形態では、いずれも、サーバ10と家電機器20−1〜nは、ホームサーバ30を経由して通信することとしたが、これに代えて図10に示すように、両者が通信ネットワーク1を介して直接に通信してもよい。この場合、ホームサーバ30が有する通信機能、および、コンサルティング情報の表示/選択機能は、必要に応じて各家電機器20−1〜nに実装される。
【0090】
また、サーバは家電機器からの使用状況情報を受信したときに、コンサルティング情報を作成することとしたが、これに代えて、サーバが家電機器に使用状況情報の送信を指示し、家電機器からの使用状況情報を受信したときに、コンサルティング情報を作成してもよい。これにより、コンサルティングセンターが主体となって、各家庭における家電機器の所有状況や使用状況を調査し、各家庭に設置された家電機器をコンサルティング情報を用いて遠隔制御することができる。
【0091】
また、ホームサーバや家電機器にコンサルティング情報を画面表示することとしたが、周辺機器を追加して、他の手段でコンサルティング情報をユーザに提示してもよい。例えば、音声合成機能を有する周辺機器を追加して、コンサルティング情報を音声出力で提示してもよく、音声出力と画面表示とを併用して提示してもよい。また、サーバは家電機器の使用方法を撮影したビデオ映像データをコンサルティング情報として提供し、家庭では受信したビデオ映像データをテレビなどで構成されたホームサーバに表示してもよい。
【0092】
また、コンサルティング情報は個別の使用状況に応じた使用方法を示すものとしたが、従来から冊子として家電機器に同梱されていた取り扱い説明書をコンサルティング情報としてサーバから送信してもよい。
【0093】
また、家電機器は動作状態として電力消費量などをサーバに通知し、サーバは家電機器を低消費電力で動作させるためのコンサルティング情報を提供してもよい。このような使用形態によれば、家庭に配置された多数の家電機器に対して、最適な省エネ制御をすることできる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、家電機器の使用方法を示すコンサルティング情報を家電機器に対して提供するコンサルティング家電システム等に利用可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 通信ネットワーク
10 サーバ
11、31 CPU
12、22、32 入力部
13、23、33 表示部
14、24、34、35 通信部
15 設計情報データベース
16 ユーザ情報データベース
20、40 家電機器
21 制御部
25 処理部
26 ユーザID
27 機器ID
28 機器状態
30 ホームサーバ
36 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家電機器とサーバ装置とをネットワークで接続して構成されたコンサルティング家電システムであって、
前記家電機器は、
前記サーバ装置と通信する第1の通信手段と、
ユーザからの指示を入力する入力手段と、
機器固有の処理を行う処理手段と、
前記入力手段から入力された指示に基づき前記処理手段を制御し、自らの動作状態を前記サーバ装置に送信する第1の制御手段とを備え、
前記サーバ装置は、
前記家電機器と通信する第2の通信手段と、
前記家電機器の設計情報を蓄積する設計情報データベースと、
前記家電機器のユーザ情報を蓄積するユーザ情報データベースと、
前記家電機器から受信した前記家電機器の動作状態を用いて前記ユーザ情報データベースを更新し、前記家電機器の動作状態と前記ユーザ情報データベースと前記設計情報データベースとに基づき、前記家電機器の使用方法を示すコンサルティング情報を求める第2の制御手段とを備えた、コンサルティング家電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−109995(P2012−109995A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−280535(P2011−280535)
【出願日】平成23年12月21日(2011.12.21)
【分割の表示】特願2001−113052(P2001−113052)の分割
【原出願日】平成13年4月11日(2001.4.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】