コンセントプラグの補助具
【課題】従来、固定されていない電源コンセントに差し込まれたコンセントプラグを片手で抜き取ることは難しく、況して手が不自由な人には極めて困難なことである。この為の補助具も売られているが、価格も高価な上に欠点も多い。
そこで本願発明はこの課題を解決する為に成されたものである。
【解決手段】レバー部に作用具を有する一対のアーム部を連設し、更にコの字型のスリットによって形成する係止具は電極挿入口を備えていて、前記レバー部との間で可動可能としている。そして電気機器のコンセントプラグの片方の電極を電極入口に挿入すると装着完了し、レバー部を押圧すると作用具が電源コンセントを押して、電極から電源コンセントが離れる。
そこで本願発明はこの課題を解決する為に成されたものである。
【解決手段】レバー部に作用具を有する一対のアーム部を連設し、更にコの字型のスリットによって形成する係止具は電極挿入口を備えていて、前記レバー部との間で可動可能としている。そして電気機器のコンセントプラグの片方の電極を電極入口に挿入すると装着完了し、レバー部を押圧すると作用具が電源コンセントを押して、電極から電源コンセントが離れる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般の電気機器を使用するとき、その電気機器のコンセントプラグに取り付けることによって、電源側のコンセントが延長コードのように固定されていない不安定な状態にあっても、コンセントプラグを片手で且つ容易に抜き取ることができるコンセントプラグの補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の壁面に備えられている電源コンセントに、電気機器側のコンセントプラグを差し込んで使用するとき、コンセントプラグを差し込む動作や引き抜く動作は、通常片手で難なく行うことができる。しかし電源コンセントに二俣用の器具を付けて、この器具にコンセントプラグを差し込んで電気機器を使用した場合に、この二俣用の器具からコンセントプラグを引き抜こうとするとき、コンセントプラグのみを抜くつもりでも、二俣用の器具がコンセントプラグに付いたまま一緒に抜けて、同じ電源を使用している他の電気機器への通電を遮断してしまう事は稀なことではない。従って二俣用の器具使用しているときは、この二俣用の器具を片方の手で押さえながらコンセントプラグを引き抜くので必ず両手での動作になる。更に延長コードのように電源側のコンセントが固定されていない場合には、例え床面や壁面を利用して片手でコンセントプラグを差し込めたとしても、このコンセントプラグを片手で引き抜くことは出来ない。そこでこの課題を解決に導こうとする技術も数多く出願されているが、殆どの技術が実用性を欠くものであり、稀に商品化された技術も見られるが、これはアダプター形式によるもので、電源コンセントとコンセントプラグとの間に独立して介在させていて、その構造はコンセントプラグを抜き取るためのレバーの他に、雄雌両方の電極も組み込まれた複雑なもので、価格もそれなりに高価であり大きさも大きい。
従って、必要最小限の構成として小さく、且つコンセントプラグに装着して上記の課題を解決するものは無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 意匠登録 1305732
【特許文献2】 特許公開 2004−31298
【特許文献3】 特許公開 2000ー48907
【発明の概要】
【0004】
本願発明に係わるコンセントプラグの補助具は、電源コンセントに差し込まれたコンセントプラグ本体を片手で且つ容易に抜き取れることを目的として成されたもので、レバー部1に一対のアーム部2a・2bを連設し、更にアーム部2a・2bの間に作用具3を連設して、この作用具3と前記アーム部2a・2bの間に設けたコの字型のスリット7とヒンジ部8によって係止具5を形成し、更にこの係止具5には、本願コンセントプラグの補助具13をコンセントプラグ本体31に装着する際、二本の電極のうち何れか一方の電極を挿入する為の挿入口6を形成し、また前記一対のアーム部2aとアーム部2bの間に連設した作用具3には、二本の電極のうち残りの片方の電極を回避する形状に凹部4を形成している。そしてこの作用部3と前記係止具5は、所要の強度が得られる範囲内に於て最小限の厚さとするものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
文献1の電源プラグアダプターによると、アダプター本体の両側にテコの原理を利用したレバーと、このレバーに連設する押圧部が左右対称に軸着され、更にアダプター本体には電源コンセントに差し込むための雄電極と、この雄電極の後ろに雌電極を設けて電源プラグアダプターとしている。
【0006】
文献2の差し込みプラグカバーによると、プラグカバー本体の中にコンセントプラグを入れて使用するもので、本体部分の端部に電極挿入用の孔と、この孔の対象側に指を掛けて引くためのリングを形成して差し込みプラグカバーとしている。
【0007】
文献3のプラグ外し具によると、塵取り型のプラグ外し具本体の中央に差し込みプラグの電極挿入用の孔を設け、また本体の外側に指を掛けるための小さなリングを形成してプラグ外し具としている。
【0008】
上記文献によると、先ず文献1の使用方法は、コンセントプラグを直接電源コンセントに差し込むのではなく、先にコンセントプラグを電源プラグアダプターに差し込んでからこの電源プラグアダプターを電源コンセントに差し込む二段構造としている。そしてコンセントプラグを抜き取るときは、左右対称に設けているレバーを押圧すると、これに連設する部材がテコの原理によって作動し、電源コンセントを電極の抜け方向に押すことによって、電源プラグアダプター本体を抜き取れるものとしている。
この文献によると電源プラグアダプター本体の構成が極めて複雑であり、コンセントプラグ自体よりも大きく、価格もコンセントプラグの価格に対して不釣り合いな程の高価になってしまう事が明らかであり、この意匠の電源プラグアダプターが現時点において利用されていない理由の一つと考えられる。 またこの意匠の電源プラグアダプターを実際に使用するときを考えると、一般家屋内の他にも庭や工場等で延長コードを介して使用する場合が究めて多いので、このような状況で電気機器を手に持ったまま移動すると、電源プラグアダプターのレバーが障害物に引っ掛かかってコンセントプラグが抜けてしまう事は言うまでもなく、電源プラグアダプター自体を破損する事もあり得る。
上記のように、この電源プラグアダプターは様々な課題がある。
【0009】
次に文献2によると、差し込みプラグカバーの本体全てが一体に構成されていて、その使用方法は、差し込みプラグカバーの中に差し込みプラグを入れて電極のみを開口部から突出させ、そのまま差し込みプラグを電源コンセントに差し込むものとしている。
そして差し込みプラグを抜き取るときは、電極の対象側に形成したリングに指を掛けて引けばよい。この差し込みプラグカバーは文献1に比べると、構成が簡略化されていて安価に制造できそうであるが、延長コード等のように電源コンセント自体が固定されていない状態では、差し込みプラグを片手で抜き取ることは出来ない根本的な課題がある。
【0010】
次に文献3によると、プラグ外し具の全てが文献2と同じく一体に構成されていて、その使用方法は、先ずプラグを電源コンセントに差し込むときは、プラグ外し具にプラグの電極を挿入してそのまま差しこめば良く、プラグを抜き取るときは、プラグ外し具に形成したリングに指を掛けて手前に引くと、テコの原理によってプラグが抜き取れるものとしている。
しかしこの構成もテコの原理を利用した部分は文献2と異なっているが、延長コード等のように電源コンセント自体が不安定な状態のときは、プラグを片手で抜き取ることはできない。また、この構成によるとプラグを抜き取ったあとに、プラグ外し具がプラグから脱落してしまう可能性が高い等の課題がある。
以上、上記文献の他に同類の出願は数多く成されていて、コンセントプラグを抜き取る為にテコの原理を利用した構成をコンセントプラグ本体に組み込んでいる出願が多く、これらの出願はプラグ自体も大きく、また部品の点数も多くなるので、製造単価が上がり売値が高価になってしまう課題があり、またコンセントプラグに装着する構成のもでも、不安定な電源コンセントから片手で抜き取れない他、価格においても課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は上記の課題を解決するために次のような構成としている、レバー部1に作用具3を有するアーム部2a・2bと電極挿入口6を有する係止具5を備えたことを特長としたコンセントプラグの補助具である。
【発明の作用】
【0012】
この発明の構成と作用を実施例1の図面に基づいて詳細に説明する。
先ず構成について、図1はこの発明の基本的構成の斜視図であって、構成の全てが厚さに応じて硬軟を有する樹脂素材によるもので、レバー部1の両側にアーム部2a・2bを連設し、更にアーム部2a・2bの下部に、電極凹部4を有する作用具3を、前記アーム部2a・2bの間隔を保つ目的をも兼ねて形成している。そしてアーム部2a・2bの先端も作用具3と同じ働きをするものとしている。
また図2に示すように、アーム部2aから作用具3そしてアーム部2bに掛けて設けたコの字型のスリット7と、前記レバー部1の下端部に設けたヒンジ部8によって四角形の係止具5を形成し、この係止具5のほぼ中央に電極32aを挿入する四角形の電極挿入口6を設けている。そして前記レバー部1とアーム部2a・2bの肉厚はレバー部1を指先で押圧しても変形を阻止出来るものとし、また作用部3と係止具5の肉厚は所要の強度が確保できる範囲内で出来る限り薄い方が良い。
更に、前記作用具3と係止具5の位置的関係は、前記作用具3に形成する電極凹部4からスリット7を介して前記係止具5に形成した電極挿入口6までの距離を、コンセントプラグ本体31の電極32aと電極32bの内法に等しいものとする。
更に、前記レバー部1の上部に湾曲自在の肉薄部12を設け、この肉薄部12の上端に脱落防止具9を連設している。そしてこの脱落防止具9は中央に電気コードを挿通する為の孔部10と、この孔部10から外に通じて孔部10を開放する切部11を設けて、コンセントプラグの補助具13としている。
以下構成の説明において厚さが薄い部分を肉薄部と称する。
【0013】
次にこの発明の作用について図3・図4に基づいて説明する。
先ず図3に示すように、本発明のコンセントプラグの補助具13をコンセントプラグ本体31に装着するには、凹部4に電極32bを位置させて挿入口6に電極32aを電極の根元まで挿入した状態にしておいて、肉薄部12を湾曲させて脱落防止具9に設けた切り込み11を開いて電気コード33を孔部10の中に入れると装着を完了する。
次に電気機器を使用するときは、コンセントプラグ本体31にコンセントプラグの補助具13を装着したまま電源コンセント34に差し込めば良い。この電源コンセントは壁面に固定された電源コンセントは元より、この電源コンセントに差し込まれた二俣器具や延長コード端部のコンセント等種類を選ばない。
そして図3に示すように、電源コンセント34に差し込まれているコンセントプラグ本体31を引き抜くときは、図4に示すようにコンセントプラグの補助具13のレバー部1とコンセントプラグ本体31とを指先で摘むと、押圧されたレバー部1はヒンジ部8を支点にして可動角度の範囲内でコンセントプラグ31の側に動き、アーム部2a・2bもテコの原理によって同じ角度分動く、この作用によってアーム部2a・2bとこれに設けた作用部3に電源コンセント34に抜け方向への力が働き、コンセントプラグ本体31と電源コンセント34の間隔を広げるので、電極32a・32bは電源コンセント34から抜ける。
【発明の効果】
【0014】
本願発明のコンセントプラグの補助具は上記の構成と作用によって、次に述べる効果がある。
1.本願コンセントプラグの補助具をコンセントプラグ本体に装着しておくと、如何なる状態の電源コンセントに差し込んだ場合でも、指先で摘むことによって片手で容易にコンセントプラグを抜き取ることができる。つまりコンセントプラグ本体を抜き取る方法が、電源コンセントを押し出すことによって電極が抜けるので、二俣器具を使用していても、二俣器具を電源コンセントに押付ける状態となって、コンセントプラグ本体のみを抜き取ることができる。特に延長コード等を使用しているときのように、その電源コンセント自体が極めて不安定な状態の場合や、片方の手に電気機器を持ったままの状態でも、片手で容易にコンセントプラグ本体を抜き取ることができる。
【0015】
2.本願コンセントプラグの補助具は、合成樹脂のヒンジ加工によって全構成を一体に制作できるので、極めて安価にて提供できるものである。
【0016】
3.本願コンセントプラグの補助具は、合成樹脂によるヒンジ加工の代わりに軸着としてレバー部・アーム部・作用部と係止具を別体に制作すると、二色による構成が可能で見た目にも優美に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の実施例1の斜視図
【図2】図1のA−A矢視図
【図3】本願発明の使用状態を示す正面図
【図4】図3の作用を示す正面図
【図5】本願発明の実施例2の側面図
【図6】図5のB−B矢視図
【図7】本願発明の実施例3の正面図
【図8】図7のC−C矢視のコンセントプラグを省略した側面図
【図9】本願発明の実施例4の正面図。
【図10】図9のD−D矢視のコンセントプラグを省略した側面図
【図11】本願発明の実施例5の断面図。
【図12】本願発明の実施例6の正面図。
【図13】図12のE−E矢視図
【符号の説明】
【0018】
1:レバー部 2a:アーム部 2b:アーム部 2c:アーム部
3:作用具 4:凹部 5:係止具 6:挿入口
7:スリット 8:ヒンジ部 9:落脱防止具 10:孔部
11:切部 12:肉薄部 13:コンセントプラグの補助具
21:帯型脱落防止具 22:凸型留め具 23:凹型留め具
24:脱落防止具 25:レバー凹部 26:板状脱落防止具
27:粘着テープ 28:軸着部 29:脱落防止具
31:コンセントプラグ本体 32a・32b:電極 33:電気コード
34:電源コンセント
【発明を実施するための形態】
【実施例2】
【0019】
本願発明の実施例2を図5・図6によって説明する。
この実施例の脱落防止具以外は実施例1と全く同じ構成としている。
先ず図5は、コンセントプラグ本体31に本願コンセントプラグの補助具13を装着した側面図であって、レバー部1の上部に形成した肉薄部12の上端に肉薄の帯型脱落防止具21を連接していて、この帯型脱落防止具21は一端側に凸型留め具22を形成し、他端側には凹型留め具23を形成している。
この実施例の使用方法は、コンセントプラグの補助具をコンセントプラグ本体に装着したとき、図6に示すように、前記帯型脱落防止具21を電気コード33に巻き付けて、凸型留め具22と凹型留め具23を嵌合して繋ぎ止めることによって、コンセントプラグの補助具13のコンセントプラグ本体31からの脱落を防止することができる。
【0020】
次に本願発明の実施例3を図7・図8によって説明する。
先ず図7に示すように、レバー部1の上部を装着するコンセントプラグ本体31の側に湾曲させてその先端をコンセントプラグ本体31の近くまで延ばしている。また図8に示すように係止具5はアーム部2a・2bの側にバネ効果を有する脱落防止具24・24を、前記アーム部2a・2bと平行且つ向かい合わせに形成している。
この構成によると、コンセントプラグの補助具13をコンセントプラグ本体31に装着した際、脱落防止具24・24のバネ効果によって、コンセントプラグ本体31を挟み掴めるので、コンセントプラグの補助具13のコンセントプラグ本体31からの脱落を防止できる。また、図8に示すように、前記レバー部1の上部に形成する湾曲部を二俣にしてレバー凹部25を形成し、このレバー凹部25は、レバー部1を押圧したときにレバー部1の先端がコンセントプラグ本体31に突き当たるのを防止することと共に、電気機器を手に持ったまま移動して床に電気コードを引きずっても、レバー部1に形成する湾曲部によって、コンセントプラグの補助具13が障害物等に引っ掛かるのを防止できる。
【0021】
次に、本願発明の実施例4を図9・図10によって説明する。
先ず、この実施例もレバー部1の上部にレバー凹部25を設けている点は実施例3と同じ構成としていて、実施例3と異なる点は、係止具5のアーム部2a・2bの側に極めて肉薄の板状脱落防止具26を形成していて、この板状脱落防止具26の内側には粘着テープ27を設けている。この構成によると、コンセントプラグの補助具13をコンセントプラグ本体31に装着したときに、コンセントプラグ本体31の内側に設けている粘着テープ27を圧着することによって、コンセントプラグの補助具13のコンセントプラグ本体31からの脱落を防止できる。
【0022】
次に、本願発明の実施例5を図11によって説明する。
前記実施例1ではレバー部1と係止具5を合成樹脂のヒンジ加工によって一体に構成しているが、この実施例は実施例1のヒンジ部8を軸着部28としたもので、この構成によるとレバー部1と係止具5を別体に制作するので、係止具5に形成する脱落防止具がより複雑な構成になっても自在に対応できる他、二色の構成が可能となる。
【0023】
次に、本願発明の実施例6を図12・図13によって説明する。
先ず、図12に示すように、この実施例は前記実施例1を向き合わせに構成していて、左右一対のレバー部1・1の上部にそれぞれ肉薄部12・12を連接し、この肉薄部12・12の端部に、切部11を有する脱落防止具29を形成することによって左右の構成を一体化している。
次に前記実施例1と同じく、レバー部1に電極挿入口6を有する係止具5を形成しているが、レバー部1の片側にアーム部2aと、逆側に極めて短いアーム部2cを連設していて、この構成のまま互いに組み合わせている。このアーム部2aと2cの長さを変えている理由は、逆にアーム部の長さを同じに揃える為には、アーム部の長さを短くしなければならない。しかし電極を抜き取る方法が、テコの作用で電源コンセントを押すようにして抜き取るので、その押す長さが短くなって、電極32a・32bが電源コンセントから抜けきらないからである。
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般の電気機器を使用するとき、その電気機器のコンセントプラグに取り付けることによって、電源側のコンセントが延長コードのように固定されていない不安定な状態にあっても、コンセントプラグを片手で且つ容易に抜き取ることができるコンセントプラグの補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の壁面に備えられている電源コンセントに、電気機器側のコンセントプラグを差し込んで使用するとき、コンセントプラグを差し込む動作や引き抜く動作は、通常片手で難なく行うことができる。しかし電源コンセントに二俣用の器具を付けて、この器具にコンセントプラグを差し込んで電気機器を使用した場合に、この二俣用の器具からコンセントプラグを引き抜こうとするとき、コンセントプラグのみを抜くつもりでも、二俣用の器具がコンセントプラグに付いたまま一緒に抜けて、同じ電源を使用している他の電気機器への通電を遮断してしまう事は稀なことではない。従って二俣用の器具使用しているときは、この二俣用の器具を片方の手で押さえながらコンセントプラグを引き抜くので必ず両手での動作になる。更に延長コードのように電源側のコンセントが固定されていない場合には、例え床面や壁面を利用して片手でコンセントプラグを差し込めたとしても、このコンセントプラグを片手で引き抜くことは出来ない。そこでこの課題を解決に導こうとする技術も数多く出願されているが、殆どの技術が実用性を欠くものであり、稀に商品化された技術も見られるが、これはアダプター形式によるもので、電源コンセントとコンセントプラグとの間に独立して介在させていて、その構造はコンセントプラグを抜き取るためのレバーの他に、雄雌両方の電極も組み込まれた複雑なもので、価格もそれなりに高価であり大きさも大きい。
従って、必要最小限の構成として小さく、且つコンセントプラグに装着して上記の課題を解決するものは無かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 意匠登録 1305732
【特許文献2】 特許公開 2004−31298
【特許文献3】 特許公開 2000ー48907
【発明の概要】
【0004】
本願発明に係わるコンセントプラグの補助具は、電源コンセントに差し込まれたコンセントプラグ本体を片手で且つ容易に抜き取れることを目的として成されたもので、レバー部1に一対のアーム部2a・2bを連設し、更にアーム部2a・2bの間に作用具3を連設して、この作用具3と前記アーム部2a・2bの間に設けたコの字型のスリット7とヒンジ部8によって係止具5を形成し、更にこの係止具5には、本願コンセントプラグの補助具13をコンセントプラグ本体31に装着する際、二本の電極のうち何れか一方の電極を挿入する為の挿入口6を形成し、また前記一対のアーム部2aとアーム部2bの間に連設した作用具3には、二本の電極のうち残りの片方の電極を回避する形状に凹部4を形成している。そしてこの作用部3と前記係止具5は、所要の強度が得られる範囲内に於て最小限の厚さとするものである。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
文献1の電源プラグアダプターによると、アダプター本体の両側にテコの原理を利用したレバーと、このレバーに連設する押圧部が左右対称に軸着され、更にアダプター本体には電源コンセントに差し込むための雄電極と、この雄電極の後ろに雌電極を設けて電源プラグアダプターとしている。
【0006】
文献2の差し込みプラグカバーによると、プラグカバー本体の中にコンセントプラグを入れて使用するもので、本体部分の端部に電極挿入用の孔と、この孔の対象側に指を掛けて引くためのリングを形成して差し込みプラグカバーとしている。
【0007】
文献3のプラグ外し具によると、塵取り型のプラグ外し具本体の中央に差し込みプラグの電極挿入用の孔を設け、また本体の外側に指を掛けるための小さなリングを形成してプラグ外し具としている。
【0008】
上記文献によると、先ず文献1の使用方法は、コンセントプラグを直接電源コンセントに差し込むのではなく、先にコンセントプラグを電源プラグアダプターに差し込んでからこの電源プラグアダプターを電源コンセントに差し込む二段構造としている。そしてコンセントプラグを抜き取るときは、左右対称に設けているレバーを押圧すると、これに連設する部材がテコの原理によって作動し、電源コンセントを電極の抜け方向に押すことによって、電源プラグアダプター本体を抜き取れるものとしている。
この文献によると電源プラグアダプター本体の構成が極めて複雑であり、コンセントプラグ自体よりも大きく、価格もコンセントプラグの価格に対して不釣り合いな程の高価になってしまう事が明らかであり、この意匠の電源プラグアダプターが現時点において利用されていない理由の一つと考えられる。 またこの意匠の電源プラグアダプターを実際に使用するときを考えると、一般家屋内の他にも庭や工場等で延長コードを介して使用する場合が究めて多いので、このような状況で電気機器を手に持ったまま移動すると、電源プラグアダプターのレバーが障害物に引っ掛かかってコンセントプラグが抜けてしまう事は言うまでもなく、電源プラグアダプター自体を破損する事もあり得る。
上記のように、この電源プラグアダプターは様々な課題がある。
【0009】
次に文献2によると、差し込みプラグカバーの本体全てが一体に構成されていて、その使用方法は、差し込みプラグカバーの中に差し込みプラグを入れて電極のみを開口部から突出させ、そのまま差し込みプラグを電源コンセントに差し込むものとしている。
そして差し込みプラグを抜き取るときは、電極の対象側に形成したリングに指を掛けて引けばよい。この差し込みプラグカバーは文献1に比べると、構成が簡略化されていて安価に制造できそうであるが、延長コード等のように電源コンセント自体が固定されていない状態では、差し込みプラグを片手で抜き取ることは出来ない根本的な課題がある。
【0010】
次に文献3によると、プラグ外し具の全てが文献2と同じく一体に構成されていて、その使用方法は、先ずプラグを電源コンセントに差し込むときは、プラグ外し具にプラグの電極を挿入してそのまま差しこめば良く、プラグを抜き取るときは、プラグ外し具に形成したリングに指を掛けて手前に引くと、テコの原理によってプラグが抜き取れるものとしている。
しかしこの構成もテコの原理を利用した部分は文献2と異なっているが、延長コード等のように電源コンセント自体が不安定な状態のときは、プラグを片手で抜き取ることはできない。また、この構成によるとプラグを抜き取ったあとに、プラグ外し具がプラグから脱落してしまう可能性が高い等の課題がある。
以上、上記文献の他に同類の出願は数多く成されていて、コンセントプラグを抜き取る為にテコの原理を利用した構成をコンセントプラグ本体に組み込んでいる出願が多く、これらの出願はプラグ自体も大きく、また部品の点数も多くなるので、製造単価が上がり売値が高価になってしまう課題があり、またコンセントプラグに装着する構成のもでも、不安定な電源コンセントから片手で抜き取れない他、価格においても課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は上記の課題を解決するために次のような構成としている、レバー部1に作用具3を有するアーム部2a・2bと電極挿入口6を有する係止具5を備えたことを特長としたコンセントプラグの補助具である。
【発明の作用】
【0012】
この発明の構成と作用を実施例1の図面に基づいて詳細に説明する。
先ず構成について、図1はこの発明の基本的構成の斜視図であって、構成の全てが厚さに応じて硬軟を有する樹脂素材によるもので、レバー部1の両側にアーム部2a・2bを連設し、更にアーム部2a・2bの下部に、電極凹部4を有する作用具3を、前記アーム部2a・2bの間隔を保つ目的をも兼ねて形成している。そしてアーム部2a・2bの先端も作用具3と同じ働きをするものとしている。
また図2に示すように、アーム部2aから作用具3そしてアーム部2bに掛けて設けたコの字型のスリット7と、前記レバー部1の下端部に設けたヒンジ部8によって四角形の係止具5を形成し、この係止具5のほぼ中央に電極32aを挿入する四角形の電極挿入口6を設けている。そして前記レバー部1とアーム部2a・2bの肉厚はレバー部1を指先で押圧しても変形を阻止出来るものとし、また作用部3と係止具5の肉厚は所要の強度が確保できる範囲内で出来る限り薄い方が良い。
更に、前記作用具3と係止具5の位置的関係は、前記作用具3に形成する電極凹部4からスリット7を介して前記係止具5に形成した電極挿入口6までの距離を、コンセントプラグ本体31の電極32aと電極32bの内法に等しいものとする。
更に、前記レバー部1の上部に湾曲自在の肉薄部12を設け、この肉薄部12の上端に脱落防止具9を連設している。そしてこの脱落防止具9は中央に電気コードを挿通する為の孔部10と、この孔部10から外に通じて孔部10を開放する切部11を設けて、コンセントプラグの補助具13としている。
以下構成の説明において厚さが薄い部分を肉薄部と称する。
【0013】
次にこの発明の作用について図3・図4に基づいて説明する。
先ず図3に示すように、本発明のコンセントプラグの補助具13をコンセントプラグ本体31に装着するには、凹部4に電極32bを位置させて挿入口6に電極32aを電極の根元まで挿入した状態にしておいて、肉薄部12を湾曲させて脱落防止具9に設けた切り込み11を開いて電気コード33を孔部10の中に入れると装着を完了する。
次に電気機器を使用するときは、コンセントプラグ本体31にコンセントプラグの補助具13を装着したまま電源コンセント34に差し込めば良い。この電源コンセントは壁面に固定された電源コンセントは元より、この電源コンセントに差し込まれた二俣器具や延長コード端部のコンセント等種類を選ばない。
そして図3に示すように、電源コンセント34に差し込まれているコンセントプラグ本体31を引き抜くときは、図4に示すようにコンセントプラグの補助具13のレバー部1とコンセントプラグ本体31とを指先で摘むと、押圧されたレバー部1はヒンジ部8を支点にして可動角度の範囲内でコンセントプラグ31の側に動き、アーム部2a・2bもテコの原理によって同じ角度分動く、この作用によってアーム部2a・2bとこれに設けた作用部3に電源コンセント34に抜け方向への力が働き、コンセントプラグ本体31と電源コンセント34の間隔を広げるので、電極32a・32bは電源コンセント34から抜ける。
【発明の効果】
【0014】
本願発明のコンセントプラグの補助具は上記の構成と作用によって、次に述べる効果がある。
1.本願コンセントプラグの補助具をコンセントプラグ本体に装着しておくと、如何なる状態の電源コンセントに差し込んだ場合でも、指先で摘むことによって片手で容易にコンセントプラグを抜き取ることができる。つまりコンセントプラグ本体を抜き取る方法が、電源コンセントを押し出すことによって電極が抜けるので、二俣器具を使用していても、二俣器具を電源コンセントに押付ける状態となって、コンセントプラグ本体のみを抜き取ることができる。特に延長コード等を使用しているときのように、その電源コンセント自体が極めて不安定な状態の場合や、片方の手に電気機器を持ったままの状態でも、片手で容易にコンセントプラグ本体を抜き取ることができる。
【0015】
2.本願コンセントプラグの補助具は、合成樹脂のヒンジ加工によって全構成を一体に制作できるので、極めて安価にて提供できるものである。
【0016】
3.本願コンセントプラグの補助具は、合成樹脂によるヒンジ加工の代わりに軸着としてレバー部・アーム部・作用部と係止具を別体に制作すると、二色による構成が可能で見た目にも優美に仕上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の実施例1の斜視図
【図2】図1のA−A矢視図
【図3】本願発明の使用状態を示す正面図
【図4】図3の作用を示す正面図
【図5】本願発明の実施例2の側面図
【図6】図5のB−B矢視図
【図7】本願発明の実施例3の正面図
【図8】図7のC−C矢視のコンセントプラグを省略した側面図
【図9】本願発明の実施例4の正面図。
【図10】図9のD−D矢視のコンセントプラグを省略した側面図
【図11】本願発明の実施例5の断面図。
【図12】本願発明の実施例6の正面図。
【図13】図12のE−E矢視図
【符号の説明】
【0018】
1:レバー部 2a:アーム部 2b:アーム部 2c:アーム部
3:作用具 4:凹部 5:係止具 6:挿入口
7:スリット 8:ヒンジ部 9:落脱防止具 10:孔部
11:切部 12:肉薄部 13:コンセントプラグの補助具
21:帯型脱落防止具 22:凸型留め具 23:凹型留め具
24:脱落防止具 25:レバー凹部 26:板状脱落防止具
27:粘着テープ 28:軸着部 29:脱落防止具
31:コンセントプラグ本体 32a・32b:電極 33:電気コード
34:電源コンセント
【発明を実施するための形態】
【実施例2】
【0019】
本願発明の実施例2を図5・図6によって説明する。
この実施例の脱落防止具以外は実施例1と全く同じ構成としている。
先ず図5は、コンセントプラグ本体31に本願コンセントプラグの補助具13を装着した側面図であって、レバー部1の上部に形成した肉薄部12の上端に肉薄の帯型脱落防止具21を連接していて、この帯型脱落防止具21は一端側に凸型留め具22を形成し、他端側には凹型留め具23を形成している。
この実施例の使用方法は、コンセントプラグの補助具をコンセントプラグ本体に装着したとき、図6に示すように、前記帯型脱落防止具21を電気コード33に巻き付けて、凸型留め具22と凹型留め具23を嵌合して繋ぎ止めることによって、コンセントプラグの補助具13のコンセントプラグ本体31からの脱落を防止することができる。
【0020】
次に本願発明の実施例3を図7・図8によって説明する。
先ず図7に示すように、レバー部1の上部を装着するコンセントプラグ本体31の側に湾曲させてその先端をコンセントプラグ本体31の近くまで延ばしている。また図8に示すように係止具5はアーム部2a・2bの側にバネ効果を有する脱落防止具24・24を、前記アーム部2a・2bと平行且つ向かい合わせに形成している。
この構成によると、コンセントプラグの補助具13をコンセントプラグ本体31に装着した際、脱落防止具24・24のバネ効果によって、コンセントプラグ本体31を挟み掴めるので、コンセントプラグの補助具13のコンセントプラグ本体31からの脱落を防止できる。また、図8に示すように、前記レバー部1の上部に形成する湾曲部を二俣にしてレバー凹部25を形成し、このレバー凹部25は、レバー部1を押圧したときにレバー部1の先端がコンセントプラグ本体31に突き当たるのを防止することと共に、電気機器を手に持ったまま移動して床に電気コードを引きずっても、レバー部1に形成する湾曲部によって、コンセントプラグの補助具13が障害物等に引っ掛かるのを防止できる。
【0021】
次に、本願発明の実施例4を図9・図10によって説明する。
先ず、この実施例もレバー部1の上部にレバー凹部25を設けている点は実施例3と同じ構成としていて、実施例3と異なる点は、係止具5のアーム部2a・2bの側に極めて肉薄の板状脱落防止具26を形成していて、この板状脱落防止具26の内側には粘着テープ27を設けている。この構成によると、コンセントプラグの補助具13をコンセントプラグ本体31に装着したときに、コンセントプラグ本体31の内側に設けている粘着テープ27を圧着することによって、コンセントプラグの補助具13のコンセントプラグ本体31からの脱落を防止できる。
【0022】
次に、本願発明の実施例5を図11によって説明する。
前記実施例1ではレバー部1と係止具5を合成樹脂のヒンジ加工によって一体に構成しているが、この実施例は実施例1のヒンジ部8を軸着部28としたもので、この構成によるとレバー部1と係止具5を別体に制作するので、係止具5に形成する脱落防止具がより複雑な構成になっても自在に対応できる他、二色の構成が可能となる。
【0023】
次に、本願発明の実施例6を図12・図13によって説明する。
先ず、図12に示すように、この実施例は前記実施例1を向き合わせに構成していて、左右一対のレバー部1・1の上部にそれぞれ肉薄部12・12を連接し、この肉薄部12・12の端部に、切部11を有する脱落防止具29を形成することによって左右の構成を一体化している。
次に前記実施例1と同じく、レバー部1に電極挿入口6を有する係止具5を形成しているが、レバー部1の片側にアーム部2aと、逆側に極めて短いアーム部2cを連設していて、この構成のまま互いに組み合わせている。このアーム部2aと2cの長さを変えている理由は、逆にアーム部の長さを同じに揃える為には、アーム部の長さを短くしなければならない。しかし電極を抜き取る方法が、テコの作用で電源コンセントを押すようにして抜き取るので、その押す長さが短くなって、電極32a・32bが電源コンセントから抜けきらないからである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源コンセントに差し込まれたコンセントプラグを片手で抜き取る為に、コンセントプラグに補助具を装着したままで、コンセントプラグを電源コンセントに挿入する補助具において、レバー部に作用具を有するアーム部と電極挿入口を有する係止具を備えたことを特長としたコンセントプラグの補助具。
【請求項2】
レバー部に脱落防止具を備えた、特許請求の範囲第1項記載のコンセントプラグの補助具。
【請求項3】
係止具に脱落防止具を備えた、特許請求の範囲第1項記載のコンセントプラグの補助具。
【請求項1】
電源コンセントに差し込まれたコンセントプラグを片手で抜き取る為に、コンセントプラグに補助具を装着したままで、コンセントプラグを電源コンセントに挿入する補助具において、レバー部に作用具を有するアーム部と電極挿入口を有する係止具を備えたことを特長としたコンセントプラグの補助具。
【請求項2】
レバー部に脱落防止具を備えた、特許請求の範囲第1項記載のコンセントプラグの補助具。
【請求項3】
係止具に脱落防止具を備えた、特許請求の範囲第1項記載のコンセントプラグの補助具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−186129(P2012−186129A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64939(P2011−64939)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(598009913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(598009913)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]