説明

コンソールボックス

【課題】コンソールドアを開位置にスライド操作した状態でも意匠性を保つとともに、コンソールドアのスライドをロックするロック機構の部品点数の削減を図る。
【解決手段】収納空間12の上面付近に設けられたスライドベース14と、コンソールドア20の内側に設けられたインナカバー22と、インナカバーに支持された一つのロック部材30とを備えている。そして、スライドベース14とインナカバー22との間に、コンソールドア20を閉位置あるいは開位置にスライド操作するためのガイド機構が構成されている。ロック部材30とスライドベース14に設定された第1ロック部17aおよび第2ロック部17bとによってロック機構が構成されている。ロック機構は、コンソールドア20が閉位置あるいは開位置にスライド操作されたときのロック部材が第1ロック部あるいは第2ロック部に選択的に係合してコンソールドア20のスライドをロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用のコンソールボックスに関し、詳しくはコンソールドアのスライド操作によってコンソール本体における収納空間の上面を開閉することができる形式のコンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のコンソールボックスは、コンソール本体に対してコンソールドアを車両の前後方向へスライド操作することにより、コンソール本体の収納空間の上面を開放して収納空間内のカップホルダーや小物用トレイにアクセスすることが可能になっている。また、コンソールドアのスライドを、収納空間の上面を閉ざした閉位置と上面を開放した開位置との二位置においてロックする構成になっている。
コンソールドアをスライドさせる構造は、例えば特許文献1に開示されているようにコンソール本体の左右両サイドにレール部材がそれぞれ固定され、これらのレール部材に沿ってコンソールドアを手動によって前後方向へスライド操作するようになっている。なお、コンソールドアをロックする構成としては、一般に両レール部材に沿ってコンソールドアと一緒に移動するロックピンを設け、これらのロックピンをコンソールドアの閉位置と開位置との二位置で個々のレール部材側に係合させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−299242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようにコンソール本体の両サイドに固定された一対のレール部材に沿ってコンソールドアをスライド操作する構成では、コンソールドアを開位置にスライド操作したときにコンソール本体側のレール部材が見えることになり、意匠性が損なわれる。また、コンソールドアを二位置でロックするためのロックピンが、一対のレール部材毎に個別に必要となり、ロック機構を構成する部品点数が多くなってしまう。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、コンソールドアを開位置にスライド操作した状態でも意匠性を保つとともに、コンソールドアのスライドをロックするロック機構の部品点数の削減を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
第1の発明は、上面が開放された収納空間を有するコンソール本体と、このコンソール本体に対して収納空間の上面を閉ざした閉位置あるいは収納空間の上面を開放した開位置にスライド操作することが可能なコンソールドアとを備えたコンソールボックスであって、コンソール本体における収納空間の上面付近で、かつ、コンソールドアが開位置にスライド操作された状態においても該コンソールドアに被われた位置に設けられたスライドベースと、コンソールドアの内側に設けられたインナカバーと、このインナカバーに支持された一つのロック部材とを備えている。そして、スライドベースとインナカバーとの間において、コンソールドアを閉位置あるいは開位置にスライド操作するための案内が可能なガイド機構が構成されている。また、ロック部材とスライドベースに設定された第1ロック部および第2ロック部とによってロック機構が構成されている。このロック機構は、コンソールドアが閉位置あるいは開位置にスライド操作されたときのロック部材が第1ロック部あるいは第2ロック部に選択的に係合してコンソールドアのスライドをロックするように設定されている。
【0007】
このように、スライドベースとインナカバーとの間に構成されているガイド機構は、コンソールドアを開位置にスライド操作した状態でもコンソール本体およびコンソールカバーに被われて外部から見えず、意匠性が高められる。また、インナカバーに支持された一つのロック部材とスライドベースの第1ロック部および第2ロック部とによってコンソールドアのスライドをロックするためのロック機構を構成しているので、このロック機構の部品点数が削減される。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、ロック機構を構成しているロック部材は、コンソールドアのスライド操作方向に長く、かつ、その中間箇所がインナカバーに対して回動可能に支持されている。このロック部材の一方の端部はスライドベースの第1ロック部および第2ロック部に係合する方向への付勢力を受けており、他方の端部はロック解除レバーの操作力を受けるように位置している。このロック解除レバーの操作に連動してロック部材が付勢力に抗して回動することにより、ロック機構のロックが解除されるように構成されている。
【0009】
この構成においては、ロック解除レバーの操作に連動する一つのロック部材のみの回動によってロック機構のロックを解除することができ、ロック解除のための作動系統の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】コンソールドアが閉じた状態のコンソールボックスを表した斜視図。
【図2】コンソールドアが開いた状態のコンソールボックスを表した斜視図。
【図3】コンソールボックスの縦断面図。
【図4】コンソールドアが閉じた状態のコンソールボックスの一部を表した縦断面図。
【図5】コンソールドアが開いた状態のコンソールボックスの一部を表した縦断面図。
【図6】コンソールボックスの横断面図。
【図7】コンソールボックスの構成部材を表した分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
本実施の形態のコンソールボックスは、車両のフロントシートあるいはリヤシートにおける左右のシート間に配置されるセンタコンソールボックスであり、その構成はコンソール本体10とコンソールドア20とに大別される(図1および図2)。コンソールドア20は、コンソール本体10に対して車両の前後(F−R)方向へスライドすることができる。つまり、コンソールドア20は、手動によって図1の閉位置あるいは図2の開位置にスライド操作され、それぞれの位置でロックされるようになっている。
コンソールドア20を図2の開位置にスライド操作することで、コンソール本体10における収納空間12(図3〜図6)の上面のうち、F側の一部が開放される。また、コンソールドア20は、後述するように図2の開位置において後方へ回動操作することが可能であり、それによって収納空間12の上面全体を開放することができる。
【0012】
図3〜図6で示されているように、コンソール本体10はインナボックス10aおよびアウタボックス10bによって構成され、インナボックス10aの内部は上面が開放された収納空間12となっている。この収納空間12の上面を被った状態で、前述のようにコンソールドア20が位置している。
収納空間12内のF側スペースには、コンソールドア20を図2の開位置にスライド操作することで部分的に開放された上面からアクセスすることが可能なカップホルダー等(図示省略)が設けられている。なお、収納空間12のその他のスペースは、各種の小物類を効率よく収納できる構造になっている。
【0013】
コンソール本体10には、収納空間12における上面付近のR側寄りの位置においてスライドベース14が配置されている。このスライドベース14は、R側の両サイドから下方へ延びる一対のヒンジアーム15を有する(図7)。これらのヒンジアーム15は、コンソール本体10(アウタボックス10b)に対し、図3および図5で示す支点18を中心として回動できるように支持されている。
図6および図7で示すように、スライドベース14の両サイドには個々に外方へ張り出したフランジ形状のレール部16が、コンソールドア20のスライド方向(F−R方向)に連続して形成されている。また、スライドベース14の上面には、左右のほぼ中間部において上方へ突出した箱形の案内凸部17が形成されている。この案内凸部17についても、F−R方向に連続した構成になっている。この案内凸部17において、F側の端部には凹形状の第1ロック部17aが構成され、R側の端部にはその外側面によって第2ロック部17bが構成されている。なお、案内凸部17の上面は、第1ロック部17aと第2ロック部17bとを結ぶ案内面17cになっている。
【0014】
コンソールドア20の内側には、インナカバー22がビス止め等の手段で装着されている。このインナカバー22における両サイドの内面側には、スライドベース14の両レール部16に対して個別に嵌り合った嵌合部24がそれぞれ形成されている(図6)。このインナカバー22の両嵌合部24がスライドベース14の両レール部16に案内されて移動することにより、前述のようにコンソールドア20がコンソール本体10に対してF−R方向へスライドすることになる。
このように、スライドベース14の両レール部16とインナカバー22の両嵌合部24とにより、コンソールドア20を閉位置あるいは開位置にスライド操作するための「ガイド機構」が構成されている。
【0015】
インナカバー22の内側には、左右のほぼ中間部においてロック部材30が設けられている。このロック部材30は、F−R方向に長い板状の部材であるが、その長さも横幅もインナカバー22に比べて小さく、インナカバー22の内側に収まる寸法に設定されている。そして、ロック部材30の両サイドには、長さ方向の中間箇所において支持軸32がそれぞれ設けられている(図7)。これらの支持軸32が、インナカバー22に対して回動可能に支持されている。
ロック部材30におけるR側の端部には、スライドベース14における案内凸部17の上面に向けて突出した突片34が設けられている。そして、インナカバー22とロック部材30のR側端部との間には、コイルスプリング36が設けられている。なお、このスプリング36には、インナカバー22の内面に設けられている位置決め突起26が嵌り込んでおり、それによってスプリング36が定位置に保持されている。
【0016】
スプリング36の弾性力によってロック部材30のR側端部は、突片34を案内凸部17の上面に押し付ける方向の付勢力を受けている。そこで、コンソールドア20が前述の閉位置にあるときは、ロック部材30のR側端部に作用しているスプリング36の付勢力により、突片34が案内凸部17の第1ロック部17aに係合している(図4)。また、コンソールドア20が開位置にあるときは、突片34が案内凸部17の第2ロック部17bに係合している(図5)。これにより、コンソールドア20は、閉位置あるいは開位置においてスライドがロックされる。
このように、スライドベース14の両ロック部17a,17b、ロック部材30の突片34およびスプリング36が主体となってコンソールドア20のスライドを閉位置あるいは開位置でロックするための「ロック機構」が構成されている。この「ロック機構」は、前述した従来技術のように一対のレール部材毎にロックピンを設けた構成と異なり、「ロック機構」を構成する部品点数が削減される。
【0017】
コンソールドア20のF側内面には、ロック解除レバー40が設けられている。このロック解除レバー40の両サイドには、支持軸42がそれぞれ設けられており(図7)、これらの支持軸42はインナカバー22に対して回動可能に支持されている。ロック解除レバー40のR側端部は、ロック部材30におけるF側端部の上面にフェルト等の緩衝材(図示省略)を介して接触している。
ロック解除レバー40を、そのF側下面に指先を掛けて支持軸42回りに回動操作することにより、ロック部材30のF側端部がロック解除レバー40の操作力を受けて押し下げられる。この結果、図4の仮想線で示すようにロック部材30がスプリング36の付勢力に抗して支持軸32回りに回動する。これにより、例えばコンソールドア20の閉位置においては、ロック部材30の突片34がスライドベース14における案内凸部17の第1ロック部17aから抜け出て「ロック機構」のロックが解除される。
【0018】
つづいて、コンソールボックスにおけるコンソールドア20の開閉操作について説明する。
コンソールドア20が図1で示す閉位置にあるとき、既に述べたようにロック部材30の突片34がスライドベース14における案内凸部17の第1ロック部17aに係合しており(図4)、コンソールドア20は該閉位置でロックされている。
コンソールドア20を図2で示す開位置にスライド操作するには、前述のようにロック解除レバー40を回動操作してロック部材30を図4の仮想線で示すように回動させ、該ロック部材30の突片34と案内凸部17の第1ロック部17aとの係合を外す。この結果、閉位置におけるコンソールドア20のスライドロックが解除されるので、該コンソールドア20を図2の開位置に向けてスライド操作する。
【0019】
コンソールドア20のスライドは、スライドベース14の両レール部16とインナカバー22の両嵌合部24とで構成されている前述の「ガイド機構」によって円滑に操作することができる。このとき、ロック部材30の突片34は、スプリング36の付勢力によってスライドベース14における案内凸部17の案内面17cに接触しており、コンソールドア20のスライドに伴って案内面17cに沿って移動する。そして、コンソールドア20が図2で示す開位置に到達すると、ロック部材30の突片34が案内凸部17の第2ロック部17bに係合し(図5)、コンソールドア20は図2の開位置でロックされる。
この開位置において、前述の場合と同様にロック解除レバー40を回動操作し、それに連動するロック部材30の回動によって突片34と案内凸部17の第2ロック部17bとの係合を外せば、開位置でのスライドロックを解除することができる。これにより、コンソールドア20を再び閉位置に向けてスライド操作することが可能となる。
【0020】
このように、コンソールドア20が開位置にスライド操作された状態においても、スライドベース14は該コンソールドア20で被われている(図5)。しかも、スライドベース14は、コンソール本体10の内側に配置されている(図6)。これらのことから、「ガイド機構」を構成しているスライドベース14の両レール部16とインナカバー22の両嵌合部24とは、コンソールドア20を開位置にスライド操作した状態でもコンソール本体10およびコンソールドア20に被われて外部から見えない。
なお、開位置におけるコンソールドア20は、ロック解除レバー40の操作によって回動ロック機構(図示省略)のロックを解除することにより、前述のようにスライドベース14と共に図3および図5で示す支点18を中心として後方へ回動操作して収納空間12の上面全体を開放することができる。
【符号の説明】
【0021】
10 コンソール本体
12 収納空間
14 スライドベース
17a 第1ロック部
17b 第2ロック部
20 コンソールドア
22 インナカバー
30 ロック部材
36 スプリング


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放された収納空間を有するコンソール本体と、このコンソール本体に対して収納空間の上面を閉ざした閉位置あるいは収納空間の上面を開放した開位置にスライド操作することが可能なコンソールドアとを備えたコンソールボックスであって、
コンソール本体における収納空間の上面付近で、かつ、コンソールドアが開位置にスライド操作された状態においても該コンソールドアに被われた位置に設けられたスライドベースと、コンソールドアの内側に設けられたインナカバーと、このインナカバーに支持された一つのロック部材とを備え、スライドベースとインナカバーとの間において、コンソールドアを閉位置あるいは開位置にスライド操作するための案内が可能なガイド機構が構成され、ロック部材とスライドベースに設定された第1ロック部および第2ロック部とによってロック機構が構成され、このロック機構は、コンソールドアが閉位置あるいは開位置にスライド操作されたときのロック部材が第1ロック部あるいは第2ロック部に選択的に係合してコンソールドアのスライドをロックするように設定されているコンソールボックス。
【請求項2】
請求項1に記載されたコンソールボックスであって、
ロック機構を構成しているロック部材は、コンソールドアのスライド操作方向に長く、かつ、その中間箇所がインナカバーに対して回動可能に支持されており、このロック部材の一方の端部はスライドベースの第1ロック部および第2ロック部に係合する方向への付勢力を受けており、他方の端部はロック解除レバーの操作力を受けるように位置し、このロック解除レバーの操作に連動してロック部材が付勢力に抗して回動することにより、ロック機構のロックが解除されるように構成されているコンソールボックス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−254233(P2010−254233A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109441(P2009−109441)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(308013436)小島プレス工業株式会社 (386)
【Fターム(参考)】