説明

コンタクトピン及びICソケット

【課題】プランジャトップとプランジャボトムのかしめを無くし、外径寸法を小さくする
ことができ、端子間距離が狭いパッケージの電気的テストに使用し易いコンタクトピンを
提供する。
【解決手段】コンタクトピン2は、プランジャボトム7の折り曲げ片28,28でコイル
スプリング22の一端側を保持でき、プランジャトップ15の折り曲げ片35,35でコ
イルスプリング22の他端側を保持でき、プランジャボトム7とプランジャトップ15を
かしめることなく、プランジャボトム7,コイルスプリング22,及びプランジャトップ
15を一体として組み付けることができる。そのため、コンタクトピン2は、かしめ代を
設ける必要が無い分だけ外径Dの寸法を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パッケージのバーンインテスト等の電気的テストに使用されるコンタクト
ピン及びこれを備えたICソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のコンタクトピン100を示すものである。なお、図4(a)がコンタク
トピン100の正面図であり、図4(b)が図4(a)のA6−A6線に沿って切断して
示すコンタクトピン100の断面図である。
【0003】
この図4に示すコンタクトピン100は、導電性金属で形成された有底筒形状のプラン
ジャボトム101と、このプランジャボトム101内に一部が収容された導電性金属製の
コイルスプリング102と、プランジャボトム101の開口端側にスライド可能に嵌合さ
れると共にコイルスプリング102の他部を収容するプランジャトップ103と、を有し
ている。そして、この図4に示すコンタクトピン100のプランジャトップ103は、コ
イルスプリング102を僅かに押し縮めた状態で、開口端104側がかしめられて(縮径
変形させられて)、そのかしめられた開口端104側がプランジャボトム101の上部外
周側突起105にコイルスプリング102のばね力で押し付けられて引っ掛かり、プラン
ジャボトム101からの抜け止めがなされ、プランジャボトム101の底部106に着座
するコイルスプリング102で弾性的に支持されている。この図4に示したコンタクトピ
ン100と同様の構成が特許文献1に開示されている。
【0004】
このようなコンタクトピン100は、絶縁性樹脂製のハウジング107に収容されてI
Cソケットを構成し、プランジャボトム101の下端が図示しない基板上に押し付けられ
、プランジャトップ103のクラウン形状の端子接触部108にパッケージ110の端子
111が押し付けられることにより、パッケージ110と基板とを電気的に接続し、パッ
ケージ110のバーンインテスト等の電気的テストを行うことができるようになっている

【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−247170号公報(特に、図1参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図4に示すコンタクトピン100は、プランジャトップ103の開口端104側がプラ
ンジャボトム101の上部外周側突起105にかしめられるようになっているため、かし
め代を設ける分だけ外径寸法が大きくなる。そのため、このような構造のコンタクトピン
100は、端子111間の距離(端子ピッチ)が狭いパッケージ110の電気的テストに
使用し難いという問題を有している。
【0007】
そこで、本発明は、プランジャトップとプランジャボトムのかしめを無くし、外径寸法
を小さくすることができ、端子間距離が狭いパッケージの電気的テストに使用し易いコン
タクトピン及びこれを備えたICソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係るコンタクトピン2は、図3に示すように、(1)導電性金属材料
で形成された有底筒形状のプランジャボトム7と、(2)前記プランジャボトム7のばね
収容穴25内に一部が収容された導電性を有するコイルスプリング22と、(3)前記プ
ランジャボトム7の開口部外周側にスライド可能に嵌合されるプランジャボトム収容穴3
2を有し、前記プランジャボトム7から出っ張る前記コイルスプリング22の他部が前記
プランジャボトム収容穴32内に収容されるようになっている有底筒形状の導電性金属材
料製プランジャトップ15と、を備えている。そして、前記コイルスプリング22の一端
が前記プランジャボトム7のばね収容穴25内のばね受け部26に着座し、前記コイルス
プリング22の他端が前記プランジャボトム収容穴32内のばね受け部33に着座するよ
うになっている。前記プランジャボトム7は、周方向に沿って片持ち梁状に延びるプラン
ジャボトム側折り曲げ片28が周方向に等間隔で一対形成され、前記プランジャボトム側
折り曲げ片28が前記ばね収容穴25内に押し込まれるように折り曲げられて前記コイル
スプリング22の一端側を保持するようになっている。また、前記プランジャトップ15
は、周方向に沿って片持ち梁状に延びるプランジャトップ側折り曲げ片35が周方向に等
間隔で一対形成され、前記プランジャトップ側折り曲げ片35が前記プランジャボトム収
容穴32内に押し込まれるように折り曲げられて前記コイルスプリング22の他端側を保
持するようになっている。
【0009】
請求項2の発明に係るICソケット1は、図1乃至図3に示すように、前記請求項1の
発明に係るコンタクトピン2を絶縁性樹脂材料製のハウジング3に複数収容してなり、前
記コンタクトピン2の前記プランジャボトム7を基板10上に乗せ、前記コンタクトピン
2の前記プランジャトップ15にパッケージ5の端子6を乗せ、前記パッケージ5の前記
端子6を前記基板10へ向けて押圧することにより、前記コンタクトピン2の前記コイル
スプリング22を押し縮めて前記プランジャトップ15を押し下げ、前記パッケージ5の
前記端子6と前記基板10とをコンタクトピン2を介して電気的に接続できるようになっ
ている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プランジャボトムのプランジャボトム側折り曲げ片でコイルスプリン
グの一端側を保持でき、プランジャトップのプランジャトップ側折り曲げ片でコイルスプ
リングの他端側を保持でき、プランジャボトムとプランジャトップをかしめることなく、
プランジャボトム,コイルスプリング,及びプランジャトップを一体として組み付けるこ
とができるため、かしめ代を設ける必要が無い分だけ外径寸法を小さくすることができる
。その結果、本発明に係るコンタクトピンは、端子間の距離が狭いパッケージの電気的テ
ストに使用し易くなる。また、本発明に係るコンタクトピンを備えたICソケットは、端
子間の距離が狭いパッケージの電気的テストに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るICソケットを示す図である。図1(a)がICソケットの平面図であり、図1(b)が図1(a)のA1−A1線に沿って切断して示すICソケットの断面図であり、図1(c)が図1(a)のA2−A2線に沿って切断して示すICソケットの断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係るICソケットの一部を拡大して示す断面図である。
【図3】本発明に係るコンタクトピンの詳細を示す図である。図3(a)がコンタクトピンの正面図であり、図3(b)がコンタクトピンの平面図であり、図3(c)が図3(a)のA3−A3線に沿って切断して示すコンタクトピンの断面図であり、図3(d)が図3(a)のA4−A4線に沿って切断して示すコンタクトピンの断面図であり、図3(e)が図3(a)のA5−A5線に沿って切断して示すコンタクトピンの断面図であり、図3(f)がコンタクトピンの一部を変形した例を示す図である。
【図4】従来のコンタクトピンを示すものである。図4(a)がコンタクトピンの正面図であり、図4(b)が図4(a)のA6−A6線に沿って切断して示すコンタクトピンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0013】
(ICソケット)
図1は、本発明の実施形態に係るICソケット1を示す図である。ここで、図1(a)
がICソケット1の平面図であり、図1(b)が図1(a)のA1−A1線に沿って切断
して示すICソケット1の断面図であり、図1(c)が図1(a)のA2−A2線に沿っ
て切断して示すICソケット1の断面図である。なお、図1(b)及び図1(c)におい
て、コンタクトピン2は断面せずに記載してある。
【0014】
図1に示すように、ICソケット1は、絶縁性樹脂材料(例えば、PBT,PC,PP
S)で形成されたハウジング3と、ハウジング3の複数のコンタクトピン収容穴4にそれ
ぞれ装着された複数のコンタクトピン2と、を有している。なお、コンタクトピン収容穴
4及びこのコンタクトピン収容穴4に装着されるコンタクトピン2は、測定対象となるパ
ッケージ5の端子6に一対一に対応するように配置されている。また、隣り合うコンタク
トピン2,2同士は、電気的に隔離されている。
【0015】
図2(a)は、図1(b)のB部拡大図であり、ハウジング3に装着したコンタクトピ
ン2の下端面8(プランジャボトム7の下端面8)を基板10上に乗せた状態を示す図で
ある。この図2(a)に示すように、ハウジング3は、下側の第1ハウジング部11と、
この第1ハウジング部11上に重ねた状態で固定(ファスナー、ねじ等で着脱可能に固定
)される第2ハウジング部12と、を有している。
【0016】
図2(a)に示すように、第1ハウジング部11は、コンタクトピン2のプランジャボ
トム7の外周側に僅かな隙間をもって嵌合する第1ガイド穴13と、この第1ガイド穴1
3の上端から上方へ向かって拡開するように略テーパ状に形成された逃がし穴14と、を
有している。この第1ハウジング部11の第1ガイド穴13は、コンタクトピン2のプラ
ンジャボトム7をX−Y平面内において位置決めすると共に、コンタクトピン2のプラン
ジャボトム7の上下動(スライド移動)を案内するようになっている。また、逃がし穴1
4は、図2(c)に示すように、プランジャトップ15が十分に下降移動できるように、
プランジャトップ15の移動スペースが確保され、且つ、コンタクトピン2のプランジャ
トップ15の下端外周縁16に当接して、コンタクトピン2がハウジング3から抜け落ち
るのを防止できるようになっている。また、図2(d)に示すように、この第1ハウジン
グ部11の逃がし穴14は、コンタクトピン2を基板10上に乗せない状態において、コ
ンタクトピン2の下端外周縁16がコンタクトピン2の自重で着座した場合に、コンタク
トピン2のプランジャトップ15が第2ハウジング部12の第2ガイド穴18から抜け出
ない深さに形成されている。
【0017】
図2(a)に示すように、第2ハウジング部12は、上面側に開口し、且つ、コンタク
トピン2のプランジャトップ18の上下動を案内する第2ガイド穴18と、この第2ガイ
ド穴18と第1ハウジング部11の逃がし穴14とを連通してプランジャトップ15の抜
け止め突起17の上下動を可能にする第3ガイド穴20と、を有している。第2ガイド穴
18は、コンタクトピン2のプランジャトップ15をX−Y平面内において位置決めする
ようになっている。第3ガイド穴20は、第2ガイド穴18よりも大径で且つ第2ガイド
穴18及び第1ガイド穴13と同心となるように形成されており、第2ガイド穴18との
段差部に天井面21が形成されている。この第3ガイド穴20の天井面21は、プランジ
ャトップ15の抜け止め突起17に当接して、プランジャトップ15が第2ハウジング部
12の上面側から抜け出るのを阻止すると共に、プランジャトップ15が第2ハウジング
部12の上面から突出する寸法を規制するようになっている。第2ハウジング部12にお
ける第2ガイド穴18及び第3ガイド穴20は、第1ハウジング部11における第1ガイ
ド穴13及び逃がし穴14と共にコンタクトピン収容穴4を構成している。
【0018】
図2(b)は、ICソケット1のハウジング3を基板10上に密着させて固定し、コン
タクトピン2のプランジャボトム7の下端面8を基板10上の通電パターン(図示せず)
に密着させた状態を示すものである。この図2(b)において、コンタクトピン2は、プ
ランジャボトム7がコイルスプリング22を押し縮めてハウジング3のコンタクトピン収
容穴4内に押し込まれ、プランジャトップ15の抜け止め突起17が第3ガイド穴20の
天井面21にコイルスプリング22のばね力で押し付けられている(図3(c)参照)。
【0019】
図2(c)は、ハウジング3が基板10上に固定されたICソケット1のコンタクトピ
ン2にパッケージ5の端子6を押し付けた状態を示すものである。この図2(c)におい
て、コンタクトピン2は、プランジャトップ15がコイルスプリング22を押し縮めて押
し下げられ、プランジャトップ15のうちでハウジング3の上方に突出していた部分の一
部がハウジング3のコンタクトピン収容穴4内に押し込まれる(図3(c)参照)。これ
によって、コイルスプリング22がプランジャボトム7とプランジャトップ15とに適正
なばね力で接触し、プランジャトップ15とプランジャボトム7とがコイルスプリング2
2を介して電気的に接続され、パッケージ5の端子6と基板10上の通電パターンとがコ
ンタクトピン2を介して電気的に接続される。その結果、パッケージ5のバーンインテス
ト等の電気的テストが安定的に且つ確実に行われる。
【0020】
(コンタクトピン)
図3は、コンタクトピン2の詳細を示す図である。なお、図3(a)がコンタクトピン
2の正面図であり、図3(b)がコンタクトピン2の平面図であり、図3(c)が図3(
a)のA3−A3線に沿って切断して示すコンタクトピン2の断面図であり、図3(d)
が図3(a)のA4−A4線に沿って切断して示すコンタクトピン2の断面図であり、図
3(e)が図3(a)のA5−A5線に沿って切断して示すコンタクトピン2の断面図で
ある。
【0021】
図3に示すように、コンタクトピン2は、プランジャボトム7,コイルスプリング22
及びプランジャトップ15が組み合わされて構成されている。
【0022】
プランジャボトム7は、上方(+Z軸方向)に向けて開口する有底円筒形状になってお
り、導電性金属材料(ベリリウム銅、黄銅、又はリン青銅等)で形成されている。このプ
ランジャボトム7は、円筒部23の一端側(下端側)を底部24で塞ぐようになっており
、円筒部23と底部24とで区画される空間がばね収容穴25になっている。このプラン
ジャボトム7のばね収容穴25内には、コイルスプリング22の一部(自由高さの略半分
)が伸縮できるように収容されている。そして、ばね収容穴25の穴底(ばね受け部)2
6には、コイルスプリング22の下端(一端)が着座している。
【0023】
また、プランジャボトム7の円筒部23は、ばね収容穴25の穴底26よりも少し上方
側(コイルスプリング22の線径dよりも僅かに大きな寸法だけ上方側)の位置で、且つ
、周方向に沿って等間隔(180°間隔)となる位置に、コンタクトピン22を正面側か
ら見ると略コ字形状に見えるスリット(切り込み)27がそれぞれ形成されている。そし
て、このプランジャボトム7の円筒部23は、略コ字形状に見えるスリット27で囲まれ
た部分に、周方向に沿って片持ち梁状に延びる折り曲げ片(プランジャボトム側折り曲げ
片)28が形成されている。このプランジャボトム7の一対の折り曲げ片28は、ばね収
容穴25内に押し込まれるように折り曲げられることにより、穴底26との間にコイルス
プリング22の下端側の一部を挟むようにして保持するようになっている。
【0024】
コイルスプリング22は、導電性金属材料(例えば、SWP)で形成された圧縮コイル
ばねであり、表面に金メッキが施され、良好な導電機能とばね機能を発揮できるようにな
っている。
【0025】
プランジャトップ15は、下方(−Z軸方向)に向けて開口する有底円筒形状になって
おり、プランジャボトム7と同様の導電性金属材料(ベリリウム銅、黄銅、又はリン青銅
等)で形成されている。このプランジャトップ15は、円筒部30の一端側を頂部31で
塞ぐようになっている。また、このプランジャトップ15は、円筒部30と頂部31とで
区画された空間がプランジャボトム7の開口部外周側にスライド移動可能に嵌合されるプ
ランジャボトム収容穴32になっている。そして、このプランジャボトム収容穴32内に
は、プランジャボトム7から出っ張るコイルスプリング22の他部(自由高さの略半分)
が伸縮できるように収容されている。そして、プランジャボトム収容穴32の穴底(ばね
受け部)33には、コイルスプリング22の上端(他端)が着座している。
【0026】
また、プランジャトップ15は、プランジャボトム収容穴32の穴底33よりも少し下
方側(コイルスプリング22の線径dよりも僅かに大きな寸法だけ下方側)の位置で、且
つ、円筒部30の周方向に沿って等間隔(180°間隔)となる位置に、コンタクトピン
2を正面側から見ると略コ字形状に見えるスリット(切り込み)34がそれぞれ形成され
ている。そして、このプランジャトップ15は、その略コ字形状に見えるスリット34で
囲まれた部分に、周方向に沿って片持ち梁状に延びる折り曲げ片(プランジャトップ側折
り曲げ片)35が形成されている。このプランジャトップ15の円筒部30に形成された
一対の折り曲げ片35,35は、プランジャボトム収容穴32内に押し込まれるように折
り曲げられることにより、穴底33との間にコイルスプリング22の上端側の一部を挟む
ようにして保持するようになっている。
【0027】
また、プランジャトップ15は、その円筒部30の開口部寄りの外周側に、リング状の
抜け止め突起36が一体に形成されている。このリング状の抜け止め突起36は、第2ハ
ウジング部12の第3ガイド穴20に沿って上下動できるようになっている(図2(b)
〜(c)参照)。また、抜け止め突起36は、第2ハウジング部12の第3ガイド穴20
の天井面21に当接し、コンタクトピン2がハウジング3の上方に抜け出るのを防止して
いる(図2(b)参照)。また、抜け止め突起36は、図2(b)に示すように、ICソ
ケット1が基板10上に固定された状態において、プランジャトップ15がコイルスプリ
ング22でZ軸方向(上方)に向けて付勢されるため、コイルスプリング22のばね力で
第3ガイド穴20の天井面21に押し付けられ、プランジャトップ15の頂面37のZ軸
方向における位置決めを行うようになっている。その結果、ハウジング3に装着された複
数のコンタクトピン2は、そのプランジャトップ15の頂面37の高さ位置(基板10上
面からの高さ位置)が精度良く揃うことになる。
【0028】
なお、図3(c)に示すように、コンタクトピン2は、例えば、外径Dが0.7mm、
高さHが2mm、肉厚tが0.1mm程度の大きさになっている。
【0029】
(本実施形態の効果)
以上のように構成された本実施形態に係るコンタクトピン2は、プランジャボトム7の
折り曲げ片28,28でコイルスプリング22の一端側を保持でき、プランジャトップ1
5の折り曲げ片35,35でコイルスプリング22の他端側を保持でき、プランジャボト
ム7とプランジャトップ15をかしめることなく、プランジャボトム7,コイルスプリン
グ22,及びプランジャトップ15を一体として組み付けることができるため、かしめ代
を設ける必要が無い分だけ外径Dの寸法を小さくすることができる。その結果、本実施形
態に係るコンタクトピン2は、端子6間の距離が狭いパッケージ5の電気的テストに使用
し易くなる。また、本実施形態に係るコンタクトピン2を備えたICソケット1は、端子
6間の距離が狭いパッケージ5の電気的テストに使用できる。
【0030】
また、本実施形態に係るコンタクトピン2は、プランジャボトム7とプランジャトップ
15をかしめるようになっている従来例と同じ外径寸法にする場合、かしめ代を設けない
分だけコイルスプリング22の平均径を大きくすることができると共に、線径dを太くす
ることができ、コイルスプリング22のばね力を大きくすることができる。その結果、本
実施形態に係るコンタクトピン2は、パッケージ5の端子6とプランジャトップ15との
接触圧を高めることができ、パッケージ5の端子6とプランジャトップ15との接触をよ
り一層安定化させることができる。
【0031】
(変形例)
なお、上記実施形態に係るコンタクトピン2は、正面側から見た折り曲げ片28,35
の形状が略矩形形状であるが(図3(a)参照)、図3(f)に示すように、折り曲げ片
28,35の先端形状を先端に向かうにしたがって細くなるように切り欠いてもよい。こ
のようにすれば、折り曲げ片28,35をコイルスプリング22の隙間に係合し易くなる
(図3(c)参照)。
【0032】
また、上記実施形態に係るコンタクトピン2は、プランジャトップ15の頂面37が平
坦面であるが、プランジャトップ15の頂部をパッケージ5の端子6の形状に合わせて適
宜変更(例えば、図4の従来例に示すクラウン形状に変形)してもよい。
【0033】
また、上記実施形態に係るコンタクトピン2は、プランジャボトム7の下端面8が平坦
面であるが、プランジャボトム7の下端面8を図4に示す従来例と同様の円錐面としても
よい。
【0034】
また、上記実施形態に係るコンタクトピン2は、BGAタイプのパッケージに限られず
、下面側に端子が形成されたパッケージの電気的テストに広く適用できる。
【符号の説明】
【0035】
1……ICソケット、2……コンタクトピン、3……ハウジング、5……パッケージ、
6……端子、7……プランジャボトム、10……基板、15……プランジャトップ、22
……コイルスプリング、25……ばね収容穴、26,33……穴底(ばね受け部)、28
……折り曲げ片(プランジャボトム側折り曲げ片)、32……プランジャボトム収容穴、
35……折り曲げ片(プランジャトップ側折り曲げ片)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性金属材料で形成された有底筒形状のプランジャボトムと、
前記プランジャボトムのばね収容穴内に一部が収容された導電性を有するコイルスプリ
ングと、
前記プランジャボトムの開口部外周側にスライド可能に嵌合されるプランジャボトム収
容穴を有し、前記プランジャボトムから出っ張る前記コイルスプリングの他部が前記プラ
ンジャボトム収容穴内に収容されるようになっている有底筒形状の導電性金属材料製プラ
ンジャトップと、
を備え、前記コイルスプリングの一端が前記プランジャボトムのばね収容穴内のばね受
け部に着座し、前記コイルスプリングの他端が前記プランジャボトム収容穴内のばね受け
部(穴底)に着座するようになっているコンタクトピンにおいて、
前記プランジャボトムは、周方向に沿って片持ち梁状に延びるプランジャボトム側折り
曲げ片が周方向に等間隔で一対形成され、前記プランジャボトム側折り曲げ片が前記ばね
収容穴内に押し込まれるように折り曲げられて前記コイルスプリングの一端側を保持し、
前記プランジャトップは、周方向に沿って片持ち梁状に延びるプランジャトップ側折り
曲げ片が周方向に等間隔で一対形成され、前記プランジャトップ側折り曲げ片が前記プラ
ンジャボトム収容穴内に押し込まれるように折り曲げられて前記コイルスプリングの他端
側を保持する、
ようになっていることを特徴とするコンタクトピン。
【請求項2】
前記請求項1に記載のコンタクトピンを絶縁性樹脂材料製のハウジングに複数収容して
なり、前記コンタクトピンの前記プランジャボトムを基板上に乗せ、前記コンタクトピン
の前記プランジャトップにパッケージの端子を乗せ、前記パッケージの前記端子を前記基
板へ向けて押圧することにより、前記コンタクトピンの前記コイルスプリングを押し縮め
て前記プランジャトップを押し下げ、前記パッケージの前記端子と前記基板とをコンタク
トピンを介して電気的に接続できるようになっている、
ことを特徴とするICソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−209043(P2012−209043A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72250(P2011−72250)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】