説明

コンタミ付着を防止したダイシング装置

【目的】 半導体ウェーハの表面からコンタミを確実に除去し、且つ切り溝内部のコンタミも確実に除去できるようにした、ダイシング装置を提供する。
【構成】 半導体ウェーハ等のワークを切削するダイシング装置において、ブレードを冷却するブレード冷却ノズルの外に、ウェーハ表面を洗浄する洗浄ノズルが装着されており、この洗浄ノズルの先端をウェーハ表面から20mm以下に設定すると共に、洗浄水の供給圧を30kg/cm2 〜300kg/cm2 に設定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボンディングパット等にコンタミが付着するのを防止したダイシング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、半導体ウェーハ等のワークを切削するダイシング装置においては、例えば図5、図6に示すように回転ブレードaを冷却するための冷却ノズルbを、回転ブレードaの下部に近接させて設け、切削時に冷却水cを噴射すると共に、回転ブレードaのやや側部の上方にウェーハの表面を洗浄するための洗浄ノズルdを設けて洗浄水eをほぼ扇形状に噴射させ、切り粉等のコンタミをウェーハfの表面から洗い流すようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例の場合、冷却水cは切削時に水圧約3kg/cm2 、流量約0.75l/minで冷却ノズルbから噴射させ、洗浄水eは水圧約3kg/cm2 、流量約1.5l/minで洗浄ノズルdから噴射させているが、ダイシング後に顕微鏡で調べてみると、時には図7に示すようにウェーハfの表面全体にコンタミ付着Aの現象が見られ、又図8に示すように切り溝gからコンタミが浮き上がって表面付着Bする現象が見られた。本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされ、ウェーハの表面からコンタミを確実に除去し、且つ切り溝内部のコンタミも確実に除去できるようにした、ダイシング装置を提供することを課題としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記課題を技術的に解決するための手段として、本発明は、半導体ウェーハ等のワークを切削するダイシング装置において、このダイシング装置にはブレードを冷却するブレード冷却ノズルの外に、ウェーハ表面を洗浄する洗浄ノズルが装着されており、この洗浄ノズルの先端はウェーハ表面から20mm以下に設定されると共に、洗浄水の供給圧が30kg/cm2 〜300kg/cm2 に設定されていることを要旨とするものである。
【0005】
【作 用】ウェーハの表面に近接配置した洗浄ノズルの先端から強い水圧の洗浄水を噴射することで、ウェーハ表面のコンタミを確実に洗い流すことができると共に、冷却ノズルから噴射される冷却水によって切り溝内部のコンタミも追い出すことができる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面により詳細に説明する。図1において、1はダイシング切削部に設けられたホイールカバーであり、その一側面の中央部に洗浄ノズル2が下向きに設けられると共に、前方部には冷却水ノズル3が傾斜させて取り付けられている。
【0007】前記洗浄ノズル2は、その先端がチャックテーブル4上に載置固定された半導体ウェーハ5の表面からの高さHが20mm以下に設定されると共に、その洗浄ノズルから噴射される洗浄水6の供給圧は30kg/cm2 〜300kg/cm2 に設定されている。
【0008】前記冷却水ノズル3は、その軸線方向と水平とのなす角度θ1 が10°〜60°となるように傾斜して取り付けられ、且つその冷却水ノズルから噴射される冷却水7の放射角度(開き角度)θ2 が7°〜10°で、流量は0.5l/min〜2.0l/minとなるように設定されている。
【0009】8は回転ブレードであり、図2に示すようにスピンドルハウジング9に保持されたスピンドル10の先端部に装着され、前記ホイールカバー1によりほぼ上半部が覆われるようにしてある。
【0010】本発明に係るダイシング装置は上記のように構成され、前記チャックテーブル4に載置固定された半導体ウェーハ5を回転ブレード8によりダイシングするが、この切削時に冷却水ノズル3から冷却水7が噴射されると共に、洗浄ノズル2からは洗浄水6が噴射される。
【0011】冷却水ノズル3から噴射される冷却水7は、回転ブレード8の前方から切削部分に向けてその両側面にほぼ均等に掛かるように噴射されるので回転ブレードの刃部を冷却することができ、しかも切断ラインに沿って勢い良く跳ね返るので切り溝5a内に入り混んだコンタミを追い出すことができる。
【0012】一方、洗浄ノズル2から勢い良く噴射されたは洗浄水6は、半導体ウェーハ5の表面中心部で跳ね返ると共に周辺部に向けて速く流れるため、表面に付着したコンタミや切り溝から追い出されたコンタミ等を半導体ウェーハ5の表面から確実に洗い流すことができる。
【0013】ダイシング後の半導体ウェーハを顕微鏡で観察したところ、図3のように半導体ウェーハ5の表面全体に渡ってコンタミの付着は見られず、且つ図4に示すように切り溝5aの近辺もきれいであって従来のようにコンタミが浮き上がって表面に付着する現象も見られなかった。
【0014】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、ダイシング装置においてウェーハの表面に近接配置した洗浄ノズルの先端から強い水圧の洗浄水を噴射することで、ウェーハ表面のコンタミを確実に洗い流すことができると共に、冷却ノズルから噴射される冷却水によって切り溝内部のコンタミも追い出すことができる等の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るダイシング装置の要部の正面図である。
【図2】 同、側面図である。
【図3】 ダイシング後に半導体ウェーハ表面の一部を顕微鏡で見た状態図である。
【図4】 同、切り溝近辺を顕微鏡で見た状態図である。
【図5】 従来例の要部の正面図である。
【図6】 同、一部切欠き側面図である。
【図7】 従来例におけるダイシング後に半導体ウェーハ表面の一部を顕微鏡で見た状態図である。
【図8】 同、切り溝近辺を顕微鏡で見た状態図である。
【符号の説明】
1…ホイールカバー 2…洗浄ノズル 3…冷却水ノズル 4…チャックテーブル 5…半導体ウェーハ 5a…切り溝 6…洗浄水 7…冷却水 8…回転ブレード 9…スピンドルハウジング 10…スピンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 半導体ウェーハ等のワークを切削するダイシング装置において、このダイシング装置にはブレードを冷却するブレード冷却ノズルの外に、ウェーハ表面を洗浄する洗浄ノズルが装着されており、この洗浄ノズルの先端はウェーハ表面から20mm以下に設定されると共に、洗浄水の供給圧が30kg/cm2 〜300kg/cm2 に設定されていることを特徴とする、コンタミ付着を防止したダイシング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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