説明

コンテナ用空調補助システム及びコンテナ

【課題】コンテナ内の空気を一様に調整することが可能なコンテナ用空調補助システム及び該空調補助システムを備えるコンテナを提供する。
【解決手段】電動ファン7の作動によってボックス体5内には負圧が発生し、これにより、コンテナ1内の空気は、空気取入口13からボックス体5内に取り入れられ、さらに、ドライアイス14との接触により冷却される。冷却された空気は、電動ファン11によってコンテナ1の天井6へ向けて送出され、送出された空気は、コンテナ1の天井6に取り付けられた電動ファン7に誘引され、コンテナ1の天井6に沿ってコンテナ1の天井6と積荷3との間の空間23に送出される。これにより、コンテナ内の空気を一様に冷却(調整)することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナ用空調補助システム及び該空調補助システムを備えるコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
コンテナで輸送中の積荷(積載物)の品質を確保する上で、コンテナ内の温度を一定に保つことは重要である。例えば、特許文献1記載の発明には、高断熱性を有し且つ空気流入口及び空気流出口が設けられた密閉式の外箱と、該外箱の内空間に隙間をあけて配設された熱伝導率の大きい冷却フィン付きの内箱と、該内箱の中に収容されたドライアイスと、内箱の中で発生した二酸化炭素を人体に無害の場所へ排出するための二酸化炭素排出部とを備え、さらに、外箱の内空間に、空気流入口を介して流入した空気を内箱と接触させながら空気流出口へ流すための空気流路と、該空気流出口から流出した空気を所定方向へ吹き出す電気モータ駆動のファンとを設けた冷風冷凍機が開示されている。そして、特許文献1には、当該冷風冷凍機を車輌用コンテナに使用した場合、コンテナ内が低温に維持されることを示す実験結果が開示されている。
【0003】
しかしながら、上記実験結果は、空のコンテナ、すなわち、積荷が積載されていない状態のコンテナについて実施したものであり、積荷が積載されたコンテナとは条件が異なるため、当然、積荷が積載されたコンテナでは実験結果が異なる。つまり、コンテナに積荷を満載し、積荷とコンテナの天井との間に僅かな隙間(例えば300mm程度)しか残されていない状況で、特許文献1記載の冷風冷凍機をコンテナ後部の床部上に設置して実験した場合、積荷が障害となることから、空のコンテナの時のような空気の対流をコンテナ内に発生させることができない。このような条件下では、コンテナ内に温度のむらが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3134526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、積載状況に影響されることなく、コンテナ内の空気を一様に調整することが可能なコンテナ用空調補助システム及び該空調補助システムを備えるコンテナを提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のコンテナ用空調補助システムは、コンテナ内の空気を取り入れる空気取入口と、該空気取入口から取り入れられた空気を上方へ向けて吹き出す吹出用ファン装置とを有し、前記コンテナに着脱可能に設置されるボックス体と、前記コンテナの天井に設けられ、前記ボックス体の吹出口から吹き出された空気を誘引して前記コンテナ内で循環させる循環用ファン装置と、を含み、前記ボックス体には、前記空気取入口から前記ボックス体内に取り入れられた空気を前記コンテナ内の空調目的に応じて調整する機能を有する収容物が収容されることを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のコンテナは、コンテナ内の空気を取り入れる空気取入口と、該空気取入口から取り入れられた空気を上方へ向けて吹き出す吹出用ファン装置とを有し、前記コンテナに着脱可能に設置されるボックス体と、前記コンテナの天井に設けられ、前記ボックス体の吹出口から吹き出された空気を誘引して前記コンテナ内で循環させる循環用ファン装置と、を含み、前記ボックス体には、前記空気取入口から前記ボックス体内に取り入れられた空気を前記コンテナ内の空調目的に応じて調整する機能を有する収容物が収容されるコンテナ用空調補助システムを備えることを特徴とする。
【0008】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)、(3)、(6)、(7)、(10)項の各々が、特許請求の範囲に記載した請求項1−5の各々に相当する。
【0009】
(1)コンテナ内の空気を取り入れる空気取入口と、該空気取入口から取り入れられた空気を上方へ向けて吹き出す吹出用ファン装置とを有し、コンテナに着脱可能に設置されるボックス体と、コンテナの天井に設けられ、ボックス体の吹出口から吹き出された空気を誘引してコンテナ内で循環させる循環用ファン装置と、を含み、ボックス体には、空気取入口からボックス体内に取り入れられた空気をコンテナ内の空調目的に応じて調整する機能を有する収容物が収容されることを特徴とするコンテナ用空調補助システム。
本項に記載のコンテナ用空調補助システムによれば、コンテナ内の空気は、空気取入口からボックス体内に取り入れられた後、収容物と接触して空調目的に応じて調整(処理)される。言い換えると、空調目的に応じた機能を有する収容物は、空気取入口からボックス体内に取り入れられた空気に空調目的に応じて作用(例えば、冷却等)する。調整された空気は、吹出用ファン装置によって上方へ向けてボックス体外へ送出され、さらに、コンテナの天井に取り付けられた循環用ファン装置に誘引され、コンテナの天井に沿ってコンテナの天井と積荷(積載物)との間の空間に送出される。この空間に送出された空気は、積荷に沿って流れ、やがてボックス体の空気取入口からボックス体内に取り入れられる。このようにして、コンテナ内の空気を順次調整することができる。
本項の態様において、ボックス体は、例えば、持ち運びが容易なクーラーボックスを流用することが可能である。この場合、ボックス体の蓋に、吹出用ファン装置としての電動ファンとフィルタを有する空気取入口とを並べて設けることができる。本項の態様では、例えば、牽引車(車両)のコンテナに積荷を搬入後、ボックス体をコンテナの妻扉の近傍に載置する。この場合、循環用ファン装置をボックス体の上方に取り付けて、循環用ファン装置によって誘引した空気を前方(車両前部方向)へ向けて送出するのが望ましい。ボックス体は、ベルト等を利用してコンテナの床部の溝に固定することができる。
【0010】
(2)循環用ファン装置は、パネル型電動ファンであって、トルクヒンジを介してコンテナの天井に取り付けられることを特徴とする(1)のコンテナ用空調補助システム。
本項に記載のコンテナ用空調補助システムによれば、循環用ファン装置は、必要に応じて折り畳みコンテナの天井に格納することが可能になり、積荷の搬入/搬出時における積荷との接触による循環用ファン装置の破損を防ぐことができる。
本項の態様において、循環用ファン装置は、積荷の積載状況に応じて、適宜移設することが可能である。また、循環用ファン装置は、把手を備えており、該把手に棒の先に取り付けたフックを引っ掛けることで、容易に操作(折り畳んだり引き出したり)することが可能である。
【0011】
(3)ボックス体は、システムの連続運転と間欠運転とを選択する運転選択手段を備えることを特徴とする(1)、(2)のコンテナ用空調補助システム。
本項に記載のコンテナ用空調補助システムによれば、例えば、牽引車のバッテリから電力供給を受けない場合、すなわち、例えば、システムがバッテリ等の電源を独自に備える場合、運転選択手段によって間欠運転を選択することで、システムが有効に作用する運転持続時間を引き延ばすことができる。本項の態様によれば、システムの連続運転における運転持続時間及び間欠運転における運転持続時間を概ね推定することができるので、輸送スケジュールに応じて連続運転と間欠運転とを適宜に選択することができる。例えば、コンテナ内の空気の状態を目的に応じたセンサ(例えば、温度センサ)によって監視し、該センサの検出結果に応じてシステムのオン/オフを切り替えるようにシステムを構成することもできるが、この場合、システムの運転持続時間、すなわち、電源の電力供給持続時間を推定することは極めて困難であり、運転状況によっては輸送中、予想しない早い段階で、電源の電力供給が途絶え、システムが機能しなくなるおそれがある。本項の態様では、このような事態を回避することができる。
【0012】
(4)運転選択手段は、吹出用ファン装置の連続運転/停止/間欠運転を切り替える切替スイッチと、循環用ファン装置の連続運転/停止/間欠運転を切り替える切替スイッチとを含み、各切替スイッチは、ボックス体に取り付けられた操作パネルに配置されることを特徴とする(3)のコンテナ用空調補助システム。
本項に記載のコンテナ用空調補助システムによれば、例えば、各切替スイッチがコンテナの内壁に配置される場合と比較して、コンテナの構造を簡素化することができる。なお、操作パネルには、各切替スイッチの他、システムのオン/オフを切り替えるメインスイッチを配置することもできる。
【0013】
(5)ボックス体は、電源ユニットを備えることを特徴とする(1)−(4)のコンテナ用空調補助システム。
本項に記載のコンテナ用空調補助システムによれば、コンテナに電源ユニットを取り付けた場合と比較して、コンテナの構造を簡素化することができる。
本項の態様において、電源ユニットは、例えば、牽引車のバッテリからDC24Vの電力供給を受けるように構成することができる。また、電源ユニットは、電力会社から供給されるAC100Vの電力を受けるように構成することができる。さらに、電源ユニットは、複数個の乾電池によって構成される電池セルから電力供給を受けるように構成することができる。この場合、電池セルは、電源ユニットの筐体内に収容される。そして、電源ユニットは、これら電力供給源を適宜選択できるように構成することができる。例えば、定格電圧を24Vに設定して、電力供給源を牽引車のバッテリと電池セルとで選択するように構成することができる。この場合、DC1.5Vの乾電池を16個直列に接続して電池セルを構成すればよい。なお、1.2Vの二次電池を使用するように構成するもできる。
【0014】
(6)ボックス体は、コンテナの床部に設けられた凹形状のボックス収容部に収容されることを特徴とする(1)−(5)のコンテナ用空調補助システム。
本項に記載のコンテナ用空調補助システムによれば、コンテナ内の積載スペースをより有効利用することが可能になる。また、ボックス体をコンテナに設置した状態で積荷を搬入/搬出することが可能になり、作業効率を向上させることができる。
【0015】
(7)収容物は、蓄熱剤であることを特徴とする(1)−(6)のコンテナ用空調補助システム。
本項に記載のコンテナ用空調補助システムによれば、例えば、本システムを冷蔵コンテナに採用した場合、ボックス体内に冷却機能を有する蓄熱剤(蓄冷剤)としてドライアイス(収容物)を収容することで、コンテナの冷蔵装置を補助することができる。ここで、コンテナがリーファコンテナ(エンジン付冷蔵コンテナ)であった場合、例えば、青函トンネル等の距離が長いトンネルでは、防災上、リーファコンテナのエンジンを停止しなくてはならず、特に、積荷が生鮮食料品であった場合、トンネル通過中における積荷の品質の低下が懸念されたが、本システムによってコンテナ内の温度上昇を防ぐことで、トンネル通過中の積荷の品質の低下を防ぐことができる。
本項の態様において、蓄熱剤(収容物)を蓄冷剤(保冷剤)とした場合、ドライアイスの他、例えば、ペットボトルに入れた水を凍らせたものを使用することができる。また、蓄熱剤を保温剤(発熱体)とすることで、本システムを温熱コンテナ内の暖房装置の補助に利用することができる。
【0016】
(8)コンテナの床部に、予冷用ファン装置を備えることを特徴とする(7)のコンテナ用空調補助システム。
本項に記載のコンテナ用空調補助システムによれば、冷蔵コンテナを予冷することができる。
本項の態様において、予冷用ファン装置の電力供給源は、吹出用ファン装置及び循環用ファン装置と同一とすることができるが、例えば、独自に、牽引車のバッテリからDC24Vの電力供給を受けるように構成することもできる。予冷用ファン装置は、コンテナ内が効果的に予冷されるように配置する。
【0017】
(9)収容物は、脱臭剤であることを特徴とする(1)−(6)のコンテナ用空調補助システム。
本項に記載のコンテナ用空調補助システムによれば、本システムを用いてコンテナ内の空気を脱臭することができる。例えば、製造後間もないコンテナにおいては、コンテナ内に特有の臭気(ベニヤ板から発せられる臭気等)を伴うものがあり、積荷よっては、この臭気が移ると、品質上問題となるものがある。本項の態様では、ボックス体内に収容物として脱臭機能を有する脱臭フィルタを収容し、問題となる臭気を取り除くことで、積荷に臭気が移ることを防止し、積荷の品質を確保することができる。
【0018】
(10)上記(1)−(9)のコンテナ用空調補助システムを備えることを特徴とするコンテナ。
本項に記載のコンテナによれば、コンテナ内の環境(空気の状態)をより効率的に一様に(例えば、温度)調整することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、積載状況に影響されることなく、コンテナ内の空気を一様に調整することが可能なコンテナ用空調補助システム及び該空調補助システムを備えるコンテナを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態のコンテナ用空調補助システムを採用した冷蔵コンテナの概略構成を示す図であって、特に、コンテナの妻扉が開かれた状態を示す図である。
【図2】本実施形態のコンテナ用空調補助システムの電源ユニットを含むボックス体の全体図である。
【図3】図2において、ボックス体の蓋体が開かれた状態を示す図である。
【図4】図3において、ボックス体にドライアイスが収容された状態を示す図である。
【図5】図4において、ドライアイスの代わりに、氷が入ったペットボトルがボックス体に収容された状態を示す図である。
【図6】電源ユニットに収容された電池セルを示す図である。
【図7】電源ユニットに設けられた操作パネルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。本実施形態のコンテナ用空調補助システムは、冷蔵コンテナに搭載された冷蔵装置を補助してコンテナ内の温度上昇を軽減させるシステムであって、図1にその概略構成を示す。
図1は、本システムが採用されたコンテナ1の妻扉2を開いた状態を示し、コンテナ1内には、天井との間に300mm程度の隙間を有する積荷3(積載物)が積載されている。この図に示されるように、本システムは、コンテナ1の床部4に着脱可能に設置された2つのボックス体5と、コンテナ1の天井6に移設可能に取り付けられた2つの電動ファン7(循環用ファン装置)とを含む。
【0022】
電動ファン7(循環用ファン装置)は、DC24Vで駆動されるパネル型電動ファンであって、トルクヒンジ(図示省略)を介してコンテナ1の天井6に取り付けられる。これにより、電動ファン7は、積荷3の搬入/搬出時に折り畳んでコンテナ1の天井6に格納することで、積荷3との接触による破損が防止される構造になっている。なお、電動ファン7は、積載条件に応じてトルクヒンジとともに移設可能である。また、電動ファン7には把手(図示省略)が設けられており、所定長さの棒の先に取り付けたフックをこの把手に引っ掛けることで、天井6が比較的高いコンテナ1であっても、電動ファン7(トルクヒンジ)の角度調整及び格納の操作を容易に実施することができる。
【0023】
図2及び図3に示されるように、ボックス体5は、市販のクーラーボックスを流用したものであって、一対のヒンジ8によって開閉可能な蓋体9を有し、該蓋体9には、持ち運びに際して使用する折り畳み式の把手10が設けられている。蓋体9は、把手10の一側(図2及び図3における右側)に電動ファン11(吹出用ファン装置)を備えており、また、把手10の他側(図2及び図3における左側)には、フィルタ12を有する空気取入口13が設けられている。なお、電動ファン11は、電動ファン7(循環用ファン装置)同様、DC24Vで駆動されるパネル型電動ファンである。
【0024】
図4に示されるように、ボックス体5には、収容物として適量のドライアイス14(蓄熱剤)が収容される。この状態で、蓋体9を閉じて電動ファン11(吹出用ファン装置)を作動させると、ボックス体5内部に負圧が発生し、コンテナ1内の空気が空気取入口13からボックス体5内へ取り入れられる。ボックス体5内へ取り入れられた空気は、ドライアイス14との接触によって冷却された後、電動ファン11によって外部(コンテナ1内)へ上方へ向けて送出される。なお、ボックス体5に収容される蓄熱剤は、ボックス体5内へ取り入れられた空気を冷却する機能を有するものであれば、ドライアイス14の他、図5に示されるように、ペットボトル15に入れた水を凍らせたもの等とすることができる。
【0025】
図6に示されるように、本システムは、電動ファン7(循環用ファン装置)と電動ファン11(吹出用ファン装置)とに対してDC24Vの電力を供給する電力供給源としての電源ユニット16を有する。電源ユニット16は、ステンレス製の筐体を備え、この筐体内には、DC1.5Vの単一乾電池を16個直列に接続して構成されたDC24Vの電池セル17が収容されている。電源ユニット16は、ボックス体5の一側面(図2及び図3における右側面)に着脱可能に取り付けられており、筐体の上部には電源ユニット16の単独での持ち運びの際に使用する把手18が設けられている。なお、電池セル17からの電力供給と牽引車のバッテリからDC24Vの電力供給とを適宜選択することができるように本システムの電源ユニット16を構成することは、当業者であれば容易に実施できるであろう。
【0026】
図7に示されるように、電源ユニット16の上部には、操作パネル19が設けられる。この操作パネル19には、電動ファン7(循環用ファン装置)の連続運転/停止/間欠運転を切り替える天井ファン切替スイッチ20(運転選択手段)と、電動ファン11(吹出用ファン装置)の連続運転/停止/間欠運転を切り替えるBOXファン切替スイッチ21(運転選択手段)と、本システムのオン/オフを切り替えるメインスイッチ22とが配置されている。なお、各電動ファン7、11の間欠運転時における運転間隔は、電源ユニット16の筐体内に設けられた各タイマー(図示省略)の設定により任意に調整することができる。
【0027】
次に、本実施形態の作用を説明する。
まず、各電動ファン7(循環用ファン装置)を折り畳んでコンテナ1の天井6に格納した状態(水平な状態)で、コンテナ1に積荷3(積載物)を搬入する。積荷3の搬入後、各電動ファン7の角度調整を行う。次に、ドライアイス14(収容物、図4参照)を収容した各ボックス体5をコンテナ1の床部4に固定する。なお、各ボックス体5は、妻扉2の近傍にベルト(図示省略)を用いて固定され、コンテナ1の幅方向(図1における左右方向)へ間隔をあけて、且つ、電動ファン11(吹出用ファン装置)がコンテナ1の幅方向中央側に配置されるようにして固定される。また、各電動ファン7と電源ユニット16とは、コネクタ等を用いて接続される。
【0028】
運転者は、輸送スケジュール、外気温度、積荷3の積載状態等を考慮して、電動ファン7(循環用ファン装置)及び電動ファン11(吹出用ファン装置)の運転モードを各切替スイッチ20、21(運転選択手段)の操作により切り替え、間欠運転を選択した場合、必要に応じて、その運転間隔を調整する。次に、運転者は、メインスイッチ22を操作して本システムの運転を開始、すなわち、各電動ファン7、11を作動させた後、コンテナ1の妻扉2を閉じる。電動ファン11の作動によってボックス体5内には負圧が発生し、これにより、コンテナ1内の空気は、空気取入口13からボックス体5内に取り入れられた後、ドライアイス14との接触により冷却される。
【0029】
冷却された空気は、電動ファン11(吹出用ファン装置)によって上方、すなわち、コンテナ1の天井6へ向けてボックス体5外へ送出される。また、冷却されて送出された空気は、コンテナ1の天井6に取り付けられた電動ファン7(循環用ファン装置)に誘引され、さらに、コンテナ1の天井6に沿ってコンテナ1の天井6と積荷3との間の空間23に送出される。送出された空気は、積荷3の表面に沿って流れ、やがてボックス体5の空気取入口13から再びボックス体5内に取り入れられる。
【0030】
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、コンテナ1内に積荷3の冷却(空調)に向けて効果的な空気の流れを形成し、コンテナ1内の温度むら(冷却むら)を防止することができる。これにより、積荷3の品質を確保することができる。
また、ボックス体5には、市販のクーラーボックスを流用したので、本システムを安価に製造することができる。
また、切替スイッチ20及び21(運転選択手段)の操作によって、電動ファン7(循環用ファン装置)及び電動ファン11(吹出用ファン装置)の運転モードを、連続運転/停止/間欠運転に切り替えるように構成したので、本実施形態のように、システムが独自の電源(電池セル17)を備えている場合、すなわち、外部からの電力供給が受けられない場合、間欠運転を選択することで、システムの運転持続時間を引き延ばすことができる。本システムでは、システムの運転持続時間を概ね推定することができるので、輸送スケジュールに応じて連続運転と間欠運転とを適宜に選択することができる。例えば、コンテナ1内の空気の温度を温度センサによって監視し、該温度センサの検出結果に応じてシステムのオン/オフを切り替えるように構成したシステムでは、システムの運転持続時間の推定が極めて困難であることから、輸送中、予想しない早い段階で、電源の電力供給が途絶えて、システムが機能しなくなるおそれがあるが、本システムでは、このような事態を回避することができる。
また、電動ファン7(循環用ファン装置)を、トルクヒンジを介してコンテナ1の天井6に取り付けたので、積荷3の搬入/搬出に際して電動ファン7を折り畳んでコンテナ1の天井6に格納しておくことができ、積荷3との接触による電動ファン7の破損を防ぐことができる。
【0031】
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば、次のように構成することができる。
本実施形態では、ボックス体5は、市販のクーラーボックスを流用したが、断熱機能を有する容器を製作してボックス体5として使用することができる。また、断熱機能を必要としない場合、クーラーボックスを流用せずに、他の適当な容器をボックス体5として流用してもよい。
本実施形態では、2つのボックス体5をコンテナ1の床部4に設置するとともに2つの電動ファン7(循環用ファン装置)を取り付けて本システムを構成したが、これらの数量及び配置は、コンテナの種類、積荷3の積載状態等に応じて適宜設定することができる。
本実施形態では、ボックス体5をコンテナ1の床部4にベルトで固定したが、ボックス体5は、コンテナ1の床部4に設けた凹形状のボックス収容部(床下収容部)に収容することができる。この場合、コンテナ1内の積載スペースをより有効利用することが可能になる。また、ボックス体5をコンテナ1に設置した状態で積荷3を搬入/搬出することが可能になるため、作業効率を向上させることができる。
本実施形態では、収容物としてボックス体5にドライアイス14(蓄熱剤)を収容したが、空調目的に応じて他の収容物を収容することができる。例えば、空調目的がコンテナ1内の脱臭である場合、ボックス体5に脱臭剤を収容する。これにより、コンテナ1内の空気を効果的に脱臭することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 コンテナ、5 ボックス体、6 天井、7 電動ファン(循環用ファン装置)、11 電動ファン(吹出用ファン装置)、13 空気取入口、14 ドライアイス(収容物、蓄熱剤)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ内の空気を取り入れる空気取入口と、該空気取入口から取り入れられた空気を上方へ向けて吹き出す吹出用ファン装置とを有し、前記コンテナに着脱可能に設置されるボックス体と、
前記コンテナの天井に設けられ、前記ボックス体の吹出口から吹き出された空気を誘引して前記コンテナ内で循環させる循環用ファン装置と、
を含み、
前記ボックス体には、前記空気取入口から前記ボックス体内に取り入れられた空気を前記コンテナ内の空調目的に応じて調整する機能を有する収容物が収容されることを特徴とするコンテナ用空調補助システム。
【請求項2】
前記ボックス体は、前記システムの連続運転と間欠運転とを選択する運転選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用空調補助システム。
【請求項3】
前記ボックス体は、前記コンテナの床部に設けられた凹形状のボックス収容部に収容されることを特徴とする請求項1または2に記載のコンテナ用空調補助システム。
【請求項4】
前記収容物は、蓄熱剤であることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ用空調補助システム。
【請求項5】
コンテナ内の空気を取り入れる空気取入口と、該空気取入口から取り入れられた空気を上方へ向けて吹き出す吹出用ファン装置とを有し、前記コンテナに着脱可能に設置されるボックス体と、前記コンテナの天井に設けられ、前記ボックス体の吹出口から吹き出された空気を誘引して前記コンテナ内で循環させる循環用ファン装置と、を含み、前記ボックス体には、前記空気取入口から前記ボックス体内に取り入れられた空気を前記コンテナ内の空調目的に応じて調整する機能を有する収容物が収容されるコンテナ用空調補助システムを備えることを特徴とするコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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