説明

コンテナ

【課題】床面等に載置し場合も、金属製の下面が直接床面に接触して床面等を傷つけることが無いようなトレーを多数収容することができるコンテナを提供する。
【解決手段】パレット上に収容されるトレー60は、収容物66が載置される下面部材62と、下面部材62の周囲に配置される側壁部材61とを有する。側壁部材61は、下面部材62の下に間隙68が確保されるように下面部材62より下方に突出する足部64と、トレー60を段積みした場合に上段のトレー60の前部62が載置されて係止される係止部63とを有する。パレットに載置される最も下のトレーの下面部材の下の間隙のパレット上に、ずれ防止部材56が配置され、これによりトレーの内側からトレーの前記足部の位置が規定され、トレー60のパレット上の位置が規定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばディスプレー装置などの製造に用いる薄板状の、ガラスもしくは樹脂、又はフィルム等の搬送に用いて好適なコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置やプラズマ表示装置などの平面表示装置では、その製造過程で、ガラス基板を破損しないように、また基板表面が汚れないように、基板を保管及び搬送する必要があり、そのようなガラス基板の搬送に適したコンテナが要望されている。しかしながら、従来、ガラス基板などの薄板を破損させずに、さらに基板表面が汚れないように適切に搬送できるコンテナは無かった。また、従来のコンテナでは開口部がコンテナの上部に設けられているため、薄板を上方から入れて、上方から取り出す作業を必要とし、薄板を割らないようにコンテナに出し入れすることが困難であった。そこで、そのような薄板の搬送に適したコンテナとして、コンテナの側方から薄板を取り出せるようにした薄板用コンテナが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【特許文献1】特開平10−310145号公報
【特許文献2】特開2003−40271号公報
【0003】
これらの薄板用コンテナでは、薄板を縦置きにしてコンテナの内部に収容するようにしてあるため、小面積の薄板の場合にはたわみ等の問題が発生せずに良好に搬送することができる。しかしながら、近年、平面表示装置の表示画面の拡大とともに使用されるガラス基板のサイズも大きくなり、薄板を縦置きでコンテナの内部に配置するとたわみ等が生じるようになった。たわみを生じさせないためには、薄板同士を十分に間隔を開けて配置する必要があるが、そのような方法ではコンテナに収容できるガラス基板の枚数が少なくなり、効率よく搬送を行うことが困難になる。一方で、ガラス基板などの薄板を、コンテナに単純に横置きにして収容すると、薄板が割れるなどの課題がある。さらには、そのようなサイズの大きいガラス基板を扱うにつれて、コンテナへのガラス基板の収容やコンテナからのガラス基板の取り出しを、クリーンルーム等のガラス基板を処理する場所において直接行いたいという要望も強くなっている。
このような問題に対処することのできるコンテナとして、薄板ガラスを少数ずつトレーに収容し、トレーをパレットに載せた状態で搬送用コンテナに収容するようにしたコンテナが、本願出願人らによって提案されている(特許文献3参照)。
【特許文献3】特開2005−104530号公報
【0004】
ところで、薄板ガラス等を少数ずつ収容するトレーとしては、金属製の下面(底面)部材の周囲に樹脂製の側壁を形成した形態のものが一般的に用いられている。特に、大型のガラス板等を収容し搬送する場合は、ガラス板が破損し易い上に重量も重いことから、収容物を主に支える下面部材として金属部材を用いたトレーが用いられることがある。
しかしながら、下面が金属部材で構成されたトレーは、例えばこれをコンテナから取り出した時には、金属面が製造現場等の床面と接触することとなる。このようなトレーで液晶表示装置に用いる薄板ガラスを搬送することを考えると、トレーが取り出されて供給されるのはクリーンルーム内の製造ラインである可能性が高く、前述したような従来のトレーでは、金属部材で構成されたトレーの下面がクリーンルームの床面に直接接触して載置されることとなる。
【0005】
このような状態は、種々の点で好ましくない。
例えば、トレーの金属製下面部材がクリーンルームの床面と直接接触すると、クリーンルームの床面を傷つける可能性がある。特に、トレーの金属製下面部材と樹脂製の側壁とがビスにより接続されている場合には、トレーの下面からさらに下側にビスの頭部分が突出している場合があり、そのような金属製の突起があると、クリーンルーム等の床面の損傷はさらに深刻なものとなる。
また、クリーンルーム等の床面に損傷が生じると、傷ついた部分から削れた粉塵がクリーンルーム内に発生することとなり、クリーンルーム内の清浄度が低下し、クリーンルーム内での処理や製造物の品質に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、ともに硬い部材であるそのようなトレーの金属製の下面部材とクリーンルームの床面とが接触すると、トレー自身に傷がつく可能性もある。
【0006】
また、そのようなトレーは、直接製造ラインや搬送ライン等の搬送用ローラ上に載置されて搬送される可能性があるが、その場合も、トレーの下面が金属製部材であると、搬送用ローラ等を傷つける可能性があり好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、例えば薄板状物品等の収容物を収容して床面等に載置された場合も、金属製の下面が直接載置された場所の床面等に接触して床面等を傷つけることが無いような、薄板状物品を収容するのに好適なトレーを多数収容することができ、また、収容物を破損すること無くその多数のトレーを適切に搬送することができるようなコンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るコンテナは、
パレットと、
前記パレット上に収容空間を形成するように前記パレットの周縁に沿って装着される複数の側板と、
前記収容空間の上方開口を閉塞するように前記複数の側板の上辺に装着される上蓋と、
所望の収容物を収容し、必要に応じて段積みされて前記パレット上の収容空間に収容されるトレーと、を有するコンテナであって、
前記トレーは、
前記収容物が載置される下面部材と、
前記下面部材の周囲に配置される側壁部材であって、前記下面部材の下に間隙が確保されるように当該下面部材より下方に突出する足部と、当該トレーを段積みした場合に上段のトレーの前記足部が載置されて係止される係止部とを有する側壁部材と、を有し、
前記パレットに載置される最も下の前記トレーの前記下面部材の下の前記間隙の前記パレット上に配置されるずれ防止部材により、当該トレーの内側から当該トレーの前記足部の位置が規定され、前記トレーの前記パレット上の位置が規定されることを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記トレーの前記側壁部材は樹脂製であり、前記下面部材は金属製であることを特徴とする。
【0010】
また好ましくは、前記ずれ防止部材は、位置が変更可能に前記パレット上に設置されていることを特徴とする。
【0011】
また好ましくは、本発明に係るコンテナは、
外部パレットと、
前記外部パレット上に収容空間を形成するように前記外部パレットの周縁に沿って装着される複数の側板と、
前記収容空間の上方開口を閉塞するように前記複数の側板の上辺に装着される上蓋と、
前記収容空間内の前記外部パレット上に載置される内部パレットと、を有し、
前記トレーは、前記内部パレット上に載置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば薄板状物品等の収容物を収容して床面等に載置された場合も、金属製の下面が直接載置された場所の床面等に接触して床面等を傷つけることが無いような薄板状物品を収容して好適なトレーを多数収容することができ、また、収容物を破損すること無くその多数のトレーを適切に搬送することができるようなコンテナを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るコンテナの分解斜視図、
図2は側板と外部パレットとの取付構造を示す分解斜視図、
図3は内部パレット、トレー及び押え板の収容状態を示す分解斜視図、
図4は内部パレットと外部パレット上の底板の凸部材との係止状態を説明するための図、
図5は凸部材の設置方法を説明するための図、
図6はトレー、その内部パレットへの載置方法及びその段積み状態を説明するための図、
図7はずれ防止部材の設置方法を説明するための第1の図、
図8はずれ防止部材の設置方法を説明するための第2の図、
図9はトレーの他の載置方法を説明するための図、
図10はずれ防止部材の他の設置形態を説明するための図である。
【0014】
本実施形態においては、LCDパネル等の薄板ガラスやフィルム等の板状の物品を収容し、搬送等するのに好適なトレー及びコンテナを例示して本発明を説明する。
図1に示すように、本実施形態のコンテナ2は、底部に外部パレット8を有する。本実施形態の外部パレット8には、フォークリフトの爪部が差し込まれるリフト用孔10が形成してある。外部パレット8は、例えばステンレスなどの金属で構成してあることが好ましいが、プラスチックなどの金属以外の材質で構成することも可能である。
外部パレット8の上には、例えばポリプロピレン製の板等で構成してある底板12が載置される。この底板12には、底板12上に載置される後述する内部パレットのずれを防止しその位置を規定する凸部材40が4箇所設置されている。凸部材40の構成及び設置方法等においては後述する。
【0015】
外部パレット8の周縁の四辺位置には、対向する2枚の第1の側板14及び対向する2枚の第2の側板16の計4枚の側板14及び16が着脱自在に装着される。外部パレット8の上で、これら4枚の側板14及び16で囲まれた空間が、例えば薄板ガラス等の所望の収容物を収容するための内部空間18となる。4枚の側板14及び16は、それぞれ、金属あるいはダンボールプラスチック等を材質とする1枚のパネル15で構成してあり、後述するように、外部パレット8に対して折り畳み自在で着脱自在となっている。
また、底板12、側板14及び16で囲まれた内部空間18の上方開口を閉じるために、側板14及び16の上端に、矩形の上蓋20が上止め金具22により着脱自在に装着される。上蓋20も、金属あるいはダンボールプラスチック等の材料により構成される。
【0016】
外部パレット8の上の四隅位置には、下金具24が立設してあり、また、各下金具24を接続するように、外部パレット8の周縁に沿って帯状金具36が設置されている。
各下金具24の内側には、図2に示すように、断面略L字形状の係止片26が固定してあり、上下方向に延びる垂直溝28と、その垂直溝28の下端部に連続するように水平方向に延びる水平溝30とを形成するようになっている。
【0017】
一方、第1の側板14を構成するパネル15の両側端部には、高さ方向に沿って金属製の側端金枠32が装着してある。各側端金枠32は、パネル15を補強する作用を有する。また、各側端金枠32には、図1に示す第2の側板16を構成するパネルの両端部がそれぞれスライド式に差し込まれるためのスライド溝34が形成してある。また、この側端金枠32の下端部に、回動用突起38が設けられている。
【0018】
各回動用突起38は、図2に示すように、下金具24の垂直溝28に挿入され、その垂直溝28の下端部で、水平方向に移動させることで(図2中矢印A)、係止片26により上方への抜け止めがなされる。従って、第1の側板14を構成するパネル15は、外部パレット8に対して上方への抜け止めがなされ、その状態で、パネル15は、コンテナ2の内側方向Bへの回動が許容される。パネル15のコンテナ外側への回動は、パネル15が、外部パレット8の上に固定された下金具24、係止片26及び帯状金具36に当接することにより制限される。
【0019】
また、2枚の第1の側板14が、上述したように外部パレット8の対辺上に垂直に設置された状態において、これら対向する第1の側板14の両側において各々対向配置されるスライド溝34に、各々第2の側板16が挿入される。これにより、第1の側板14は内側方向Bへの回動が不能となり、外部パレット8の周縁上に垂直な状態で固定される。また、そのようにスライド溝34に挿入された対向する2枚の第2の側板16も、2枚の第1の側板14の両端を接続する状態で外部パレット8の対辺上に垂直に設置される。
【0020】
本実施形態のコンテナ2においては、このようにして形成された内部空間18に、図3に示すような内部パレット42、トレー60及び押え板70を収容する。例えば薄板ガラス等の所望の収容物は、このトレー60内に収容される。
【0021】
内部パレット42は、フォークリフトの爪部が差し込まれるリフト用孔44が形成してあり、外部パレット8と同様に、例えばステンレスなどの金属で構成してあることが好ましいが、プラスチックなどの金属以外の材質で構成することも可能である。
前述したように、外部パレット8の底板12には、内部パレット42の位置を規定し、底板12上の内部パレット42の位置を固定するための凸部材40が複数設置されており、内部パレット42の底面に形成される開口部にこの複数の凸部材40が各々嵌合されることにより、内部パレット42は底板12の床面内において凸部材40に係止され、その位置が規定される。すなわち、内部パレット42の底板12の床面上の位置が固定される。
【0022】
例えば、内部パレット42が図4に示すような底面形状である場合、すなわち内部パレット42が部材46により構成されており底面に部材46の間隙としての開口48が形成されている場合、底板12には、同じく図4に示すような配置で凸部材40が形成されているのが好適である。このような配置で内部パレット42の底面開口48と底板12の凸部材40が掛合した場合、内部パレット42は底板12の床面内のいずれの方向にも一切移動することができない。すなわち、内部パレット42は凸部材40に係止されてその位置が固定された状態となり、底板12上で内部パレット42の位置がずれることは無い。
【0023】
凸部材40の底板12への設置方法は任意の方法でよい。例えば図5(A)に示すように、凸部材40をリベット50により底板12に固定するようにしてもよい。また、図5(B)に示すように、底板12に設けられた開口52を介して凸部材40を底板12の表側に突出させ、例えば図示のごとく底板12の裏面にて底板12と凸部材40の足部分を接着剤53により貼着するようにしてもよい。
なお、本実施形態において、凸部材40は金属製である。
【0024】
また、凸部材40の位置は、変更可能にしておくのが好適である。そのような構成としておけば、凸部材40の配置を変更するのみで、使用する内部パレット42の種類を変更することができ、トレー60の変更及び収容物の変更も容易に行うことができる。すなわち、内部パレット42の種類、トレー60の種類、あるいは収容物の種類によらず外部パレット8、底板12、側板14、16及び上蓋20を共通的に用いることができる。
【0025】
凸部材40の位置を変更するためには、凸部材40を底板12に対して着脱可能な構成にしておく必要がある。その方法として、例えば、図5(B)に示すような開口52を所定間隔で、あるいは使用する可能性のある内部パレット42に合わせて所定の位置で、予め底板12に設けておき、使用する内部パレット42に応じて、適切な位置の開口52から凸部材40を突出させるようにすればよい。
あるいはまた、使用する内部パレット42の種類ごとに、その内部パレット42に対応して凸部材40が設置された底板12を予め用意しておき、使用する内部パレット42を変更する場合には、底板12自体を取り替えることにより実質的に凸部材40の配置を変更するようにしてもよい。
【0026】
トレー60は、図6に示すように、側壁部材61と底板62とを有する。
側壁部材61は、その上部に水平方向外側に突出した把持部63が形成されており、また、その下部に水平方向外側に突出した後底板62よりもさらに下側に突出した足部64が形成されている。把持部63の上面角部には、切り欠き部631が形成されており、トレー60を段積みした時に、図6に示すように、この把持部63の切り欠き部631に、その上に積載されるトレー60の足部64がちょうど係合するようになっている。トレー60の全周において、側壁部材61にこのような把持部63、足部64及び切り欠き部631が形成されており、トレー60の全周において、段積みされる上のトレー60の足部64が下のトレー60の切り欠き部631に載置されることにより、段積みされる上下のトレー60は、水平方向の相対的な位置が固定される。すなわち、上下のトレー60は、鉛直方向に真っ直ぐ段積みされた状態となり、相対的に水平方向にずれることはできない状態となる。
【0027】
また、このような構成の側壁部材61においては、側壁部材61の足部64を形成する水平方向外側に突出した部分のした面、換言すれば足部64の内側を形成する面であって鉛直方向下向きを指向する面である水平面641に対して、図6に示すように、底板62が、ビス67により設置されている。従って、底板62の設置位置は、足部64の最下部よりも上方となり、トレー60の足部64の下部には、下部空間68が形成されることになる。すなわち、トレー60は、いわゆる”上げ底”の形態に形成される。
また、側壁部材61の把持部63は、トレー60を作業者が持ち上げて搬送等をする場合に、指を引っ掛けるために使用される。
なお、本実施形態において、側壁部材61は樹脂製であり、底板62はアルミニウム等の金属製である。
【0028】
図3に戻って、内部パレット42上には、トレー60を載置するための底板(内側底板)54が装着されており、底板54の上面には、底板54上のトレー60の位置を規定してトレー60を固定するためのずれ防止部材56が設置されている。
本実施形態においては、図示のごとく、トレー60は2列に段積みされて底板54上に載置される。そしてずれ防止部材56は、図6に示すように、段積みされるトレー60の一番下のトレー60の底板62の下の下部空間68に収容されるように底板54上に配置され、この下部空間68において、下部空間68の内側から最も下のトレー60の足部64を規定するように配置される。
本実施形態においては、図3に示すように、2列に段積みされた各トレー60の最も下の各トレー60の角部に対して、その角部を構成する各2辺の足部64の位置を内側から規定するように、計8個のずれ防止部材56が配置されている。
【0029】
ずれ防止部材56の底板54への設置方法は任意の方法でよい。例えば図7(A)に示すように、ずれ防止部材56をボルト561及びナット562により底板54に固定するようにしてもよい。また、図7(B)に示すように、底板54に設けた凸部541を、ずれ防止部材56に設けた凹部563に挿入することにより、ずれ防止部材56が底板54に対して水平方向に移動不可能なような構成としてもよい。また、その反対に、図8(A)に示すように、ずれ防止部材56に設けた凸部562を底板54に設けた凹部542に挿入することにより、ずれ防止部材56が底板54に対して水平方向に移動不可能なような構成としてもよい。さらには、図8(B)に示すように、ずれ防止部材56をリベット565により底板54に固定するようにしてもよい。
なお、本実施形態において、底板54及びずれ防止部材56は、ともに、樹脂、スチール、アルミニウム、ステンレス等任意の部材で形成してよい。
【0030】
なお、ずれ防止部材56の位置は、変更可能にしておくのが好適である。そのような構成としておけば、ずれ防止部材56の配置を変更するのみで、使用するトレー60の種類を変更することができる。
ずれ防止部材56の位置を変更するためには、ずれ防止部材56を底板54に対して着脱可能な構成にしておく必要がある。その方法として、例えば、図7(A)あるいは図8(B)に示すようなボルト561あるいはリベット565が挿入可能な開口、図7(B)に示すような凸部541、あるいは、図8(A)に示すような凹部542を所定間隔で、あるいは使用する可能性のあるトレー60に合わせて所定の位置で、予め底板54に設けておき、使用するトレー60に応じて、適切な位置にずれ防止部材56を設置するようにすればよい。
【0031】
あるいはまた、使用するトレー60の種類ごとに、そのトレー60に対応してずれ防止部材56が設置された底板54を予め用意しておき、使用するトレー60を変更する場合には、底板54自体を取り替えることにより実質的にずれ防止部材56の配置を変更するようにしてもよい。
【0032】
また、ずれ防止部材56の形態としては、他の形態でもよい。例えば、図9に示すように、トレー60の足部64の内周、すなわち底板62の下部空間68の全領域に対応するような1枚の板状のずれ防止部材56を内部パレットの底板54上に載置し、これによりトレー60の内部パレット42上の位置を規定するようにしてもよい。
また、このような板状のずれ防止部材56を用いる場合、ずれ防止部材56を底板54に固定する方法は任意でよい。
例えば、図10(A)に示すようにボルト561及びナット562で固定するようにしてもよいし、図10(B)に示すようにずれ防止部材56に設けられた凹部563と底板54に設けた凸部541を嵌合するようにしてもよいし、図10(C)に示すようにずれ防止部材56に設けられた凸部564と底板54に設けられた凹部542を嵌合するようにしてもよい。また、図示しないがリベットにより固定するようにしてもよい。
【0033】
図3に戻って、コンテナ2の内部空間18内の内部パレット42上に載置された一群のトレー60の上部には、押え板70が載置される。押え板70は、第1の側板14により囲まれる内部空間18に内接する大きさ、すなわち、外寸が内部空間18の内寸とほぼ等しくなるような大きさの板状部材である。
また、押え板70の上側、すなわち押え板70と上蓋20との間には、緩衝材72が装着される。緩衝材72は、押え板70と上蓋20との間隙を埋めることができる厚みとなるように装着される。換言すれば、緩衝材72は、コンテナ2に収容されるトレー60の量(高さ)に応じて、その厚みが調整可能に押え板70に装着される。そのためには、例えば、緩衝材72は所定の厚みの緩衝部材を積み重ねて構成するものとし、各緩衝部材は、例えば面ファスナー等により容易に着脱可能な構成であることが望ましい。押え板70としては、任意の材料でよいが、例えばゴム等の弾性部材が好適である。
【0034】
このように、押え板70を内部空間18内のトレー60の上に配置し、また、押え板70と上蓋20との間に緩衝材72を装着することにより、最も上のトレー60の収容物がトレー60からこぼれたり飛び出したりするのを防ぐことができる。また、段積みされたトレー60自体が上下方向に振動することを防ぐことができ、収容物をより安全に収容し、搬送等することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態のコンテナ2によれば、収容物は、個々に、あるいは適切な数量ずつトレー60に収容されてコンテナに収容されるので、破損せずに適切に収容、搬送が行える。一方で、コンテナ2には、トレー60を多数収容することができるので、例えば薄板ガラスのような破損する危険性の高い物品であっても、破損することの無い安全な状態で大量に、収容し搬送することができる。
また、その多数のトレー60は、内部パレット42に搭載されてコンテナ2に収容されるので、そのコンテナ2への出し入れは、フォークリフト等を用いることにより一括して行うことができ、効率よく行うことができる。また、内部パレット42を用いることにより、例えばクリーンルームや製造ライン等、防塵性が要求されるような場所に対しても、多数のトレー60を一括して搬送することができる。
【0036】
そして特に本実施形態のトレー60は、図6にその構成を示すように、底板62よりもさらに下の位置に側壁部材61の足部64の先端が配置されているので、トレー60を例えば平らな床面等に載置した場合に、底板62が直接床面に接触することが無い。すなわち、金属製の底板62が床面に接触することが無く、樹脂製の側壁部材61の足部64の最下端のみが床面に設置される。
従って、トレー60を構成する金属製の部材が直接床面や搬送用ローラ等と接触し床面や搬送用ローラ等が傷つくことを防ぐことができる。
【0037】
また、底板12に設置される凸部材40の位置を変更するのみでコンテナ2に収容できる内部パレット42を変更することができ、また内部底板54に設置されるずれ防止部材56の位置を変更するのみで内部パレット42に段積みされるトレー60の種類を変更することができる。従って、前述したような安全で大量な収容物の収容及び搬送を、任意の収容物に対して実施することができ、利便性が格段に向上する。
【0038】
また、内部パレット42上において、トレー60の位置を規定するずれ防止部材56は、トレー60の底板62の下部空間68を利用して、トレー60の足部64の内側からトレー60の位置を規定している。従って、内部パレット42の上に、内部パレット42の上面と同じサイズのトレー60をも載置することができる。
【0039】
また、押え板70及び緩衝材72等によりトレー60の振動を吸収するようにしているので、より一層収容物を安全に収容し搬送することができる。
【0040】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
例えば、前述した実施形態においては、コンテナ2に、トレー60を2列で段積みして収容した。しかしながら、トレー60は1列で収容してもよいし、3列以上で収容してもよく、何ら2列に限定されるものではない。
【0041】
また、前述した実施形態においては、凸部材40は外部パレット8上に載置された底板12上に設置され、枠部材56は内部パレット42上に載置された底板54上に設置されるものとした。しかしながら、凸部材40は実質的に外部パレット8上に配置されればよく、また、枠部材56は実質的に内部パレット42上に配置されればよく、各々底板12あるいは底板54を介して設置する必要は無い。また、実質的に外部パレット8と底板12とが一体的に形成されているため、あるいは、内部パレット42と底板54とが一体的に形成されているために、凸部材40及び枠部材56が各々外部パレット8及び内部パレット42に直接的に配置されているとされる場合もあるが、そのような構成も当然、本願発明の範囲内である。なお、本願の特許請求の範囲において言う外部パレット及び内部パレットは、そのような各場合(底板12や底板54が存在しない場合、あるいは、それらを各パレットと一体的にみなした場合)をも含む広い概念である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係るコンテナの分解斜視図である。
【図2】図2は側板と外部パレットとの取付構造を示す分解斜視図である。
【図3】図3は内部パレット、トレー及び押え板の収容状態を示す分解斜視図である。
【図4】図4は内部パレットと外部パレット上の底板の凸部材との係止状態を説明するための図である。
【図5】図5は凸部材の設置方法を説明するための図である。
【図6】図6はトレー、その内部パレットへの載置方法及びその段積み状態を説明するための図である。
【図7】図7はずれ防止部材の設置方法を説明するための第1の図である。
【図8】図8はずれ防止部材の設置方法を説明するための第2の図である。
【図9】図9はトレーの他の載置方法を説明するための図である。
【図10】図10はずれ防止部材の他の設置形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0043】
2…コンテナ
8…外部パレット
10…リフト用孔
12…底板
14…第1の側板
16…第2の側板
18…内部空間
20…上蓋
22…上止め金具
24…下金具
26…係止片
28…垂直溝
30…水平溝
32…側端金枠
34…スライド溝
36…帯状金具
38…回動用突起
40…凸部材
42…内部パレット
44…リフト用孔
46…パレット用部材
48…開口
50…リベット
52…開口
53…接着剤
54…底板
56…枠部材
60…トレー
61…側壁部材
62…底板
63…把持部
64…足部
68…下部空間
70…押え板
72…緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットと、
前記パレット上に収容空間を形成するように前記パレットの周縁に沿って装着される複数の側板と、
前記収容空間の上方開口を閉塞するように前記複数の側板の上辺に装着される上蓋と、
所望の収容物を収容し、必要に応じて段積みされて前記パレット上の収容空間に収容されるトレーと、を有するコンテナであって、
前記トレーは、
前記収容物が載置される下面部材と、
前記下面部材の周囲に配置される側壁部材であって、前記下面部材の下に間隙が確保されるように当該下面部材より下方に突出する足部と、当該トレーを段積みした場合に上段のトレーの前記足部が載置されて係止される係止部とを有する側壁部材と、を有し、
前記パレットに載置される最も下の前記トレーの前記下面部材の下の前記間隙の前記パレット上に配置されるずれ防止部材により、当該トレーの内側から当該トレーの前記足部の位置が規定され、前記トレーの前記パレット上の位置が規定されることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記トレーの前記側壁部材は樹脂製であり、前記下面部材は金属製であることを特徴とする請求項1に記載のコンテナ。
【請求項3】
前記ずれ防止部材は、位置が変更可能に前記パレット上に設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンテナ。
【請求項4】
外部パレットと、
前記外部パレット上に収容空間を形成するように前記外部パレットの周縁に沿って装着される複数の側板と、
前記収容空間の上方開口を閉塞するように前記複数の側板の上辺に装着される上蓋と、
前記収容空間内の前記外部パレット上に載置される内部パレットと、を有し、
前記トレーは、前記内部パレット上に載置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−269373(P2007−269373A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98065(P2006−98065)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000229117)日本ゼオン株式会社 (1,870)
【Fターム(参考)】