説明

コンテンツアイテムのコレクションのうちの少なくとも1つを選択する方法

コンテンツアイテムのコレクションのうちの各々について、複数のコンテンツ分類のうちの少なくとも1つへの帰属を示すデータが、利用可能にされる。少なくとも1つのアイテムを選択する方法は、少なくとも一次元の空間を占める幾何学構成15のセクション16の表現を表示するステップを含む。前記幾何学構成15は、前記少なくとも一次元の空間と分類帰属を示す前記データの領域との間のマッピングに従って、各セクション16が分類を表すようなセクション16に分割される。前記空間内の部分空間を規定する信号が受け取られ、規定された前記部分空間に相応のコンテンツデータの少なくとも1つのアイテムの選択を行うのに前記マッピングが用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツデータのアイテムのコレクションのうちの少なくとも1つを選択する方法に関する。
【0002】
本発明は、コンテンツデータのアイテムのコレクションのうちの少なくとも1つを選択するためのシステムにも関する。
【0003】
本発明は、コンピュータプログラムにも関する。
【背景技術】
【0004】
国際特許出願公開第WO 2007/044389号は、音楽ライブラリを視角化するための方法及び装置を開示している。ディスク視覚化は、ライブラリの各ジャンルを表す様々なセクタに分けられる。各セクタの大きさは、ライブラリ全体に対する関連ジャンルのメディアアイテムの数と比例し得る。メディアアイテムは、マークで表されてもよく、メディアアイテムの分類に従ってディスク視覚化内に配設され得る。メディアアイテムを1つずつ付加することによってプレイリストが作成されてもよく、又はプレイリストは、論理フィルタリング基準のセットに従うスマートプレイリストであり得る。
【0005】
既知の方法及びシステムの問題は、メディアアイテムの1つずつの選択は、面倒であり、且つデータ処理システムが対応する数の選択コマンドを処理することを必要とすることにある。多数の分類のうちの特定の1つに対応しない複雑な好みを示すためには、ユーザが別々に設定しなければならないであろう多数のフィルタの使用が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、冒頭の段落において規定されているタイプの方法、システム及びコンピュータプログラムであって、所定の分類の組み合わせとして表されるユーザの好みに応じたコンテンツデータのアイテムの効率的な選択を可能にする方法、システム及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、本発明によるコンテンツデータのアイテムのコレクションのうちの少なくとも1つを選択する方法であり、コンテンツデータの各アイテムについて、複数のコンテンツ分類のうちの少なくとも1つへの帰属を示すデータが利用可能である方法であって、
少なくとも一次元の空間を占める幾何学構成のセクションの表現を表示するステップであって、
前記幾何学構成は、前記少なくとも一次元の空間と分類帰属を示す前記データの領域との間のマッピングに従って、各セクションが分類を表すようなセクションに分割されるステップと、
前記空間内の部分空間を規定する信号を受け取るステップと、
前記マッピングを用いて、規定された前記部分空間に相応のコンテンツデータの少なくとも1つのアイテムの選択を行うステップとを含む方法によって達成される。
【0008】
前記部分空間は前記セクションのうちの2つ以上と重なり合う場合があり、各セクションは分類を表すことから、前記部分空間を規定する前記信号は、分類の組み合わせで表される好みを示すのに使用可能である。前記マッピングは、データ処理システムにおいて、分類帰属を示すデータと幾何学データの領域との間の変換をするのに用いられる。それ故、コンテンツデータの1つ又は複数の前記アイテム自体が、帰属度関数を介してこれらの分類と関連づけられることから、又はコンテンツデータの複数のアイテムが、分類の組み合わせであるアンサンブルを形成することから、前記分類の組み合わせに従って、コンテンツデータの1つ以上のアイテムを選択することが可能である。前記方法は効率的である。なぜなら、多数の分類の同時選択を可能にする直観的なインタフェースが供給されるからである。
【0009】
前記方法の実施例は、前記セクションの上にオーバーレイされる少なくとも1つの第2の幾何学構成の表現を表示するステップと、
前記第2の幾何学構成の形状、大きさ及び位置のうちの少なくとも1つを適合させるためのグラフィカルユーザインタフェースを供給することによって前記部分空間を規定する前記信号を取得するステップとを含む。
【0010】
効果は、ユーザが簡単で直観的な方法で分類の組み合わせを選択することを可能にすることである。前記ユーザは1つ又は複数の前記第2の幾何学的構成の表現を見ることができることから、分類の(重み付けされた)組み合わせの好みを直観的に表現することが可能である。分類の組み合わせの好みは、分類を表す前記セクションとの重複部分を変えることによって、相対的に容易に表現され得る。
【0011】
実施例においては、前記セクションの前記分割及び表現は、前記セクションが中心的な場所の周りに接線方向に配設されるように表されるような分割及び表現である。
【0012】
効果は、分類の組み合わせの好みを表現するのに用いられる第2の幾何学構成の数が、相対的に少なく、好ましくは1つに保たれ得ることである。前記第2の幾何学構成が、主に、好ましい組み合わせの分類を表すセクションを覆うが、他のセクションは覆わないように、前記第2の幾何学構成の形状、大きさ及び位置のうちの少なくとも1つを適合させることが可能である。前記セクションが、直線的に配設される場合には、これは可能ではないであろう。なぜなら、例えば、直線の両端に位置する、分類を表すセクションは、間にあるセクションも覆うことなしには、1つの第2の幾何学構成によって覆われることができないからである。
【0013】
コンテンツデータの各アイテムについて、各分類の帰属度関数値を示すデータが利用可能である実施例は、
分類の帰属度関数値間の相関関係を識別するために、前記コレクションの中のコンテンツデータの複数のアイテムについて、前記データを分析するステップと、
分類の組み合わせであって、前記分類の組み合わせの前記帰属度関数が、コンテンツデータのあらゆるアイテムに対して最も高い値の組み合わせを持つ可能性が最も高い分類の組み合わせが、隣接するセクションに割り当てられる確率を最大化するように、前記分類に前記セクションを割り当てるステップとを含む。
【0014】
この実施例は、分類の組み合わせの選択及び他のものの除外を更に容易にする。なぜなら、前記実施例は、ユーザが、望ましくない分類を表すセクションによって隔てられたセクションの上に前記第2の幾何学構成を配置することを望む可能性を減らすからである。
【0015】
コンテンツデータの各アイテムについて、各分類の帰属度関数値を示すデータが利用可能である実施例は、
少なくとも、分類であって、前記第2の構成がオーバーレイされるセクションによって表される分類への帰属度を示す値のセットにマッピングするための値を、各第2の構成に関連づけるステップと、
1つ又は複数の前記第2の構成に関連づけられた前記値にもっともぴったり一致する帰属度関数値を持つと決定されたコンテンツデータのアイテムを選択するステップとを含む。
【0016】
従って、厳密に、多数の分類のうちの1つに分類されず、複数の分類に多少強く関連づけられる特性を持つことを示すデータが与えられるコンテンツデータのアイテムの選択がなされる。即ち、各々の分類と関連する分類法をコンテンツデータの前記アイテムに適用した数値結果を示すデータが用いられる、又はコンテンツデータの前記アイテムが各々の分類に帰属するものである確率を示す値のセットで構成されるデータが用いられる。同じ特徴は、ユーザが、好みは、幾つかの分類と関連する特性を持つコンテンツデータのアイテムであるという感覚で分類の組み合わせの好みを表現することを可能にする。コンテンツデータの選択される前記アイテムは、各々、表現された前記好みに可能な限りぴったり一致する。
【0017】
前記方法の実施例は、複数の分類の帰属度関数値のセットにマッピングするための値を、
前記セクションに対する、前記第2の幾何学構成の重心の位置と、
前記第2の幾何学構成と前記第2の幾何学構成の表現がオーバーレイされる前記セクションとの間の重なり度合いとのうちの一方に従って、決定するステップを含む。
【0018】
効果は、分類の重み付けされた組み合わせの好みが表現され得ることである。ユーザは、1つだけの第2の幾何学構成の大きさ及び/又は位置を変えることによって重み係数の組み合わせを直観的な方法で示すことができる。これは、前記ユーザが、前記第2の幾何学構成の表現と、前記セクションの表現を比較することができるからである。
【0019】
実施例においては、前記幾何学構成は、前記コレクションの中のコンテンツデータの少なくとも最低限の数のアイテムが少なくとも最低限の帰属度を持つ分類に対応する多数のセクションに分割される。
【0020】
従って、前記コレクションの中のコンテンツデータの如何なるアイテムによっても表現されない分類の好みが表現されることが防止される。従って、データ処理システムにおいて、データの不必要な入力が防止され、不必要な検索及び選択コマンドの繰り返しも防止される。
【0021】
実施例においては、前記幾何学構成及び前記幾何学構成によって占められる空間は、二次元のものである。
【0022】
効果は、セグメントの表現が、他のどのセグメントの表現によっても(前記幾何学構成及び空間が三次元のものである場合には見えにくくされるであろうようには)見えにくくされないことである。他の効果は、前記部分空間を、前記セグメントのうちの或る特定のものだけに一致し、他のものには一致しないように規定することをより容易にすることである。
【0023】
別の態様によれば、本発明によるコンテンツデータのアイテムのコレクションのうちの少なくとも1つを選択するためのシステムは、コンテンツデータの各アイテムについて、複数のコンテンツ分類のうちの少なくとも1つへの帰属を示すデータにアクセスでき、前記システムは、少なくとも一次元の空間を占める幾何学構成であって、前記少なくとも一次元の空間と分類帰属を示す前記データの領域との間のマッピングに従って、各セクションが分類を表すようなセクションに分割される幾何学構成を生成するよう構成され、前記システムは、
表示装置に対するインタフェースであって、前記幾何学構成の前記セクションの表現を前記表示装置に表示させるためのインタフェースと、
前記空間内の部分空間を規定する信号を取得するためのユーザインタフェースとを含み、
前記システムは、前記マッピングを用いて、規定された前記部分空間に相応のコンテンツデータの少なくとも1つのアイテムの選択を行うよう構成される。
【0024】
分類を表す前記セグメントのうちの或る特定のものと一致する部分空間を規定すること可能にすることにより、容易且つ相対的に効率的な方法で、選択基準として、分類の組み合わせの好みが表現され得る。
【0025】
前記システムの実施例は、本発明による方法を実行するよう構成される。
【0026】
本発明の別の態様によれば、機械可読媒体に取り込まれる場合に、情報処理能力を持つシステムに、本発明による方法を実行させることが可能な命令のセットを含むコンピュータプログラムが提供される。
【0027】
添付の図面を参照して、本発明を更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】コレクションの中のデジタルデータのアイテムの選択を可能にするユーザインタフェースを供給するためのシステムのブロック図である。
【図2】ユーザインタフェースの簡略化したスクリーンショットである。
【図3】ユーザインタフェースの一部として円セクションの表示を生成する方法のフローチャートである。
【図4】円セクションにおける位置とコンテンツデータのアイテムの分類帰属度関数値との間のマッピングを図示するための図である。
【図5】コンテンツデータのアイテムを選択する第1の方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
データ処理システム1は、データ処理装置2と、表示装置3と、ユーザ入力装置4と、スピーカシステム5とを含む。データ処理装置2は、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、エンターテイメントコンソール、PDA(personal digital assistant)若しくは携帯電話の電話機などの移動データ処理装置、又は例えば圧縮オーディオ及び/若しくはビデオデータを知覚できる形態で再生するための携帯型メディアプレーヤであり得る。図示されているデータ処理システム1においては、表示装置3は、データ処理装置2のビデオ出力インタフェース6に接続される。ユーザ入力装置4は、入力データ信号を、データ処理装置2に、データ処理装置2の入力データインタフェース7を介して供給するよう配設される。別の実施例においては、表示装置3は、データ処理装置2のハウジングに組み込まれる。更に別の実施例においては、ユーザ入力装置4及び表示装置3は、タッチスクリーンなどの単一の装置に統合される。ユーザ入力装置4は、キーボード、マウス、ジョイスティック、スタイラスなどを含む種類の装置であって、存在し得る装置の幾つか又は全てを表すことに注意されたい。
【0030】
データ処理装置2は、中央処理装置8と、メインメモリ9と、オーディオファイル、ビデオファイル、実行可能コードを含むファイル、文書処理ファイルなどのようなコンテンツデータのアイテムを記憶するためのデータ記憶装置10とを更に含む。以下においては、オーディオファイルの例を用いて、コンテンツデータのアイテムを選択する方法を説明する。データ処理装置2は、ネットワーク、例えばインターネットを通じて外部システムからオーディオファイルを取得するためのネットワークインタフェース11を含む。データ処理装置2は、オーディオファイル中のデータによって表されるオーディオ信号を、スピーカシステム5を用いて知覚できる形態で再生するためのデジタル信号処理装置12及びオーディオ出力段13を更に含む。
【0031】
データ処理システム1は、データ処理装置2にインストールされる適切なソフトウェアを用いてコンテンツデータのアイテムのコレクションのうちの少なくとも1つを選択する方法を実行するよう構成される。コンテンツデータのアイテムのコレクションは、データ記憶装置10に記憶されるコンテンツデータのアイテムだけでなく、ネットワーク及びネットワークインタフェース11を通してアクセス可能な外部システムに記憶されるコンテンツデータのアイテムも含むことができる。
【0032】
前記方法は、複数の分類のうちの少なくとも1つへの帰属を示すデータを利用する。前記データは、コンテンツデータのアイテムに関連して記憶されるメタデータ(記述データ)として含まれ得る。或る実施例においては、データ処理装置2は、まず、分類帰属を示すデータを取得する。このようなデータは、ネットワークインタフェース11を用いて、例えば、コンテンツデータのアイテムの識別子を外部供給源に提示し、返信として分類データを受け取ることによって、外部供給源から取得され得る。別の実施例においては、特徴ベクトル、即ち、距離測度が規定され得る順序集合の要素又は数値が利用される。詳細には、パラメータ値のうちの少なくとも幾つかは、コンテンツデータのアイテムに含まれる知覚できる形態での再生のための信号の所定の分析を実行することによって取得可能であり得る。オーディオ信号の場合、特徴ベクトル座標の例は、音量、低音域、調子、明るさ、帯域幅及びメル周波数ケプストラム係数を含む。他のパラメータ値は、オーディオトラックの発売された年などの人間が生成した記述情報から導き出されてもよい。
【0033】
コンテンツデータのアイテムの、特定の分類への帰属度は、分類法を用いて、即ち、コンテンツデータのアイテムの特徴の、分類を表す特徴との類似度を推量するアルゴリズムを用いて、決定され得る。或る実施例においては、データ処理装置2が、この決定プロセスを実行する。別の実施例においては、データ処理装置2は、予め決定された分類帰属度関数の値を取り出す。一般に、コンテンツデータのアイテムの、或る分類と関連する分類帰属度関数の値は、そのコンテンツデータのアイテムがその分類に帰属する確率を表すが、必ずしもそうである必要はない。
【0034】
以下においては、コレクションの中のコンテンツデータの各アイテムとベクトルvが関連づけられ、ベクトルの各要素が、多数の分類のうちの所定の1つに関連する帰属度関数の値を示すと仮定する。帰属度関数は、用いられる分類に依存して、或る尺度(好ましくは正規化された尺度、例えば零から1まで)の実数の値又は2進値だけを持つことができる。
【0035】
本願明細書においては、「分類」という用語は、必ずしもジャンル又はタイプに限定されないコンテンツデータのアイテムの特性を示すのに用いられていることに注意されたい。オーディオファイルの場合、分類は、アーティスト、発売された年又は年代などに対応し得る。別の実施例においては、分類は、聴取者の気分、例えば、「甘美」、「ファンキー」、「ハッピー」などに対応し得る。分類は、例えば、再生頻度、ダウンロード日時などのコンテンツデータのアイテムの利用を表すデータの特定の値又は値の範囲にも対応し得る。発売された年代に対応する分類の例を用いると、帰属度関数値は、特定のアイテムがどのくらい特定の年代に分類されるのかを示すことができる。従って、60年代、70年代、80年代及び90年代に対応する分類がある場合には、1963年に発売されたオーディオトラックを表すコンテンツデータのアイテムは、例えば[0.3、0、0、0]という値を持つベクトルと関連づけられ得る。この例においては、帰属度関数の値は、帰属度関数が関連づけられる分類への、コンテンツデータのアイテムの帰属確率と比例しない。分類法が、各々の年代に特有の、又はクラシック、ロック、ポップ、カントリーなどの音楽の特定のスタイルを表す、ビート及びテンポの特徴についてのオーディオトラックの分析に基づくものである場合には、これは異なるであろう。後者の場合には、オーディオトラックは、一般に、2つ以上のスタイルに特有の特徴を持つであろう。帰属度関数値で構成されるベクトルは、オーディオトラックの特徴が関連スタイルに特有のものである程度を表すであろう。
【0036】
図2は、データ処理システム1によって供給される、ユーザが分類の特定の組み合わせの好みを表すことを可能にするためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を図示するスクリーンショット14を示している。
【0037】
データ処理システム1は、内部で仮想幾何学構成を生成し、それを、分類を表すセクションに分割し、セクションの表現を表示する。或る実施例においては、幾何学構成は、三次元のもの、例えば、球体又は立方体であり、従って、前記表現は、表示装置3の画面における三次元物体の二次元表現である。セクションの表現は、幾何学構成の表現に正確に対応する必要はない。例えば、前記表現は、幾何学構成の分解図であってもよい。しかしながら、前記表現においては、セクション間の相互の関係は維持される。
【0038】
幾何学構成が、二次元のもの、例えば、多角形又は円である場合には、相対的に少ない処理能力しか必要とされない。そのセクションの表現がそうではない場合には、少なくとも幾何学構成自体が接続されるが、簡単に接続される必要はない。それは、例えば、環であり得る。例においては、幾何学構成は、N個の円セクション16−i、i=1、…、Nに分割される円15である。ここで、Nは、表現される分類の数に対応する。
【0039】
データ処理システム1は、円15の上にオーバーレイされる選択エリア17の形状、大きさ及び位置のうちの少なくとも1つを適合させるためのGUIを供給する。図2においては、選択エリア17は、明確な形のない幾何学構成である。ユーザ入力装置4からの信号によって制御されるカーソル19が、その位置及び範囲を制御する。ユーザは、選択エリア17が、より多くの又はより少ない円セグメント16のより大きい部分又はより小さい部分を覆うように、円セグメント16を横切る選択エリア17の境界のセクションを、カーソル19を用いてドラッグすることができる。点18は、選択エリア17の重心の位置を示す。これは、選択エリア17の境界が変わるのに従って絶えず計算し直される。別の実施例においては、選択エリア17は、例えば楕円である場合、あまり適合できない。ユーザは、前記楕円においては、位置と短軸及び長軸の長さとを変更することができる、又は短軸及び長軸の向きを変更する(即ち、楕円を回転させる)ことができる。
【0040】
データ処理装置2は、円15に付けられる座標系と、コンテンツデータのアイテムの分類帰属を示すデータの領域、即ち、ベクトルの要素が、N個の分類の各々の分類に関連する帰属度関数の値であるベクトルによって占められるベクトル空間との間のマッピングを維持する。円セグメント16によって規定される領域に対する選択エリア17の位置及び範囲は、マッピングを用いて、コンテンツデータのアイテムと関連する分類帰属を示すデータに従ってコンテンツデータのアイテムを選択するためのフィルタ基準に変換される。
【0041】
GUIの特徴は、フィルタ基準として、分類の好ましい(重み付けされた)組み合わせを選択することを可能にすることを目的とする。選択エリア17による円セグメント16のバイパスを容易にするため、円セグメント16は、中心的な場所、円15の中心の周りに接線方向に配設される。同じ効果は、隣接セクションと共有するセクション縁端部が中心的な場所に向けられるように別の多角形を適切に分割することによって、達成可能である。
【0042】
データ処理装置2は、組み合わせて選択される可能性が最も高い分類を表す円セグメント16が、確実に、(接線方向に見て)互いに隣接して配置されるよう、図3に図示されているアルゴリズムのようなアルゴリズムを用いるようにも構成される。この目的のため、データ処理装置2は、アクセスが供給されるコレクションの中のコンテンツデータのアイテムを具備する分類帰属を示すデータを分析する。
【0043】
第1のステップ20においては、コレクションの中のコンテンツデータの少なくとも最低限の数のアイテムが少なくとも最低限の帰属度を持つ分類が決定される。最低限の数若しくは最低限の程度のいずれか、又は両方の値は零であり得る。即ち、最低限の数が零である場合、このステップ20は、コンテンツデータの少なくとも1つのアイテムが零より大きい又は或る最小値より大きい帰属度関数値を持つ関連帰属度関数を備える全ての分類のアイデンティティの決定を含む。円15は、対応する数、N個の円セグメント16に分割される。従って、予め規定された分類が用いられる場合、コンテンツデータのアイテムのコレクションの中に帰属するものがない予め規定された分類は示されない。
【0044】
コンテンツデータの各アイテムはベクトルv[n]、n=1、…、Nと関連づけられると仮定する。ここで、v[n]は、アイテムが分類nに帰属する確率を示す。各分類iについて、v[i]≧v[j]、∀j≠iであるベクトルvが選択され、選択されたベクトルvの平均分類ベクトルv(i)が計算される(ステップ21)。
【0045】
次に(ステップ22)、そのベクトルの平均分類ベクトルv(i)の要素が、要素値の大きい順に並べ替えられ、要素値の順序において互いに最も近い分類を表すセグメント16も(それらを隔てる円セグメント16の数の観点から)接線方向において互いに最も近いように、その分類の距離行列が計算される。例えば、第2の分類の平均分類ベクトルがv(2)=[0.2、0.8、0.3、0.4]である場合には、インデックスの順序は2−4−3−1になるであろう。その場合、第2の分類の距離行列は、
【数1】

である。
【0046】
これらの2つのステップ21、22は、各分類i、i=1、…、Nについて繰り返される。
【0047】
次いで、前のステップ22において計算された全ての距離行列Dの平均である平均距離行列
【数2】

が計算される(ステップ23)。
【0048】
次いで(ステップ24)、4つのセグメント16に対する4つの分類のあり得る各割り当てaの距離行列δが、誤差を最小限にするよう、平均距離行列
【数3】

と比較される。
【数4】

【0049】
が最小である割り当てaが、円セグメント16に対する分類の割り当てとして選ばれる。
【0050】
図4及び5には、選択エリア17によって表される基準に従ってコンテンツデータのアイテムを選択する方法が図示されている。一般に、少なくとも、分類であって、円セグメント16の上に選択エリア17がオーバーレイされる円セグメント16によって表される分類への帰属度を示す値のセットにマッピングするための値が、選択エリア17と関連づけられる。次いで、選択エリア17と関連づけられた値にもっともぴったり一致する帰属度関数値を持つと決定されたコンテンツデータのアイテムが選択される。或る実施例においては、円15に対する選択エリア17の位置を表す値が、分類帰属度関数の値の領域にマッピングされる。しかしながら、図示されている方法においては、逆のことが行われる。コンテンツデータのアイテムと関連する分類帰属度関数値が、円15と関連する座標系にマッピングされ、その座標系内で距離が計算される。
【0051】
従って、図4を参照すると、コンテンツデータのアイテムを表す点25は、各々の円セグメントにおける個々のベクトルの合計であるベクトルoの終点に対応する位置に配置される。これらの個々のベクトルの各々は、長さpを持ち、セグメントを二分する線に沿って方向づけられる。ここで、pは、分類iの帰属度関数値である。図4に図示されている座標系においては、コンテンツデータのアイテムと関連するベクトルoは、
【数5】

という式によって与えられる。ここで、Nは、分類の数であり、従って、円セグメント16の数である。一例として、コンテンツデータのアイテムと関連する分類ベクトルvが[0.3、0.8、0.1、0.4]である場合、円15と関連する座標系におけるコンテンツデータのアイテムと関連する位置は、0.2+0.4jである。
【0052】
図5に目を向けると、選択は以下のように進む。まず(ステップ26)、ユーザが選択エリア17を調節することが可能になる。次いで、点18によって表される選択エリア17の重心の位置が決定される(ステップ27)。次いで(ステップ28)、円15と関連する座標系にマッピングされる場合に重心の位置に最も近い帰属度関数値と関連するコンテンツデータのアイテムが選択される。図示されている実施例においては、選択エリア17の輪郭内にあるものだけが選択される。他のものは捨てられる(ステップ29)。この方法においては、選択エリア17の範囲も選択プロセスに影響を及ぼす。
【0053】
別の実施例においては、選択エリア17の重心の位置を決定するステップ27が実行されない。その代わりに、円15に関連する座標系と帰属度関数値の領域との間のマッピングに従って選択エリア17内に位置する帰属度関数値の組み合わせに関連するコンテンツデータのアイテムの全てが選択される。
【0054】
更に別の実施例においては、選択エリア17と円セグメント16の上に選択エリア17の表現がオーバーレイされる円セグメント17との間の重なり度合いが決定される。この値のセットが分類帰属度ベクトル空間内の位置を示すベクトルを形成し、その位置に最も近い分類帰属度ベクトルに関連するコンテンツデータのアイテムが選択される。
【0055】
この実施例は、例えば、ポップ、ロック、クラシック、カントリー、ジャズ、R&Bなどの分類のセットへの帰属度を示す帰属度関数値のセットに関連づけられるコンテンツデータのアイテム、例えばオーディオトラックの使用を含む。ユーザは、例えば、分類「ロック」に割り当てられた円セグメント16の20%と、分類「ポップ」に割り当てられた円セグメントの30%とを覆うよう、選択エリア17を調節することができる。その場合、データ処理装置2は、値{0.2、0.3}に対して所定の距離の範囲内の帰属度関数値のセットに関連づけられる全てのオーディオトラックを選択する。
【0056】
更に別の実施例においては、選択エリア17と円セグメント16の上に選択エリア17の表現がオーバーレイされる円セグメント17との間の重なり度合いも決定される。しかしながら、この実施例においては、コンテンツデータのアイテムは、コンテンツアイテムの、様々な分類にほとんど属する割合が、それらの分類を表す円セグメント16との重なり度合いの値の分布に対応するように、コンテンツデータのアイテムが最も高い帰属確率を持つ分類に従って選択される。
【0057】
この実施例も、例えば、ポップ、ロック、クラシック、カントリー、ジャズ、R&Bなどの分類のセットへの帰属度を示す帰属度関数値のセットに関連づけられるコンテンツデータのアイテム、例えばオーディオトラックの使用を含む。ユーザは、例えば、分類「ロック」に割り当てられた円セグメント16の20%と、分類「ポップ」に割り当てられた円セグメントの30%とを覆うよう、選択エリア17を調節することができる。この実施例においては、オーディオトラックのコレクションは、ほとんど「ポップ」であるオーディオトラックの、ほとんど「ロック」であるオーディオトラックに対する割合が、3:2であるように、形成される。
【0058】
上記の実施例の各々において、必要とするユーザ側の操作の少ない直観的な方法でフィルタ基準を設定することを可能にするGUIが供給される。フィルタ基準は、単一の分類ではなく、分類の好ましい組み合わせを表す。
【0059】
上記の実施例は、本発明を限定するものではなく例示するものであり、当業者は、添付の請求項の範囲から逸脱しない多くの別の実施例を設計することができるであろうことに注意されたい。請求項において、括弧内に配置されるいかなる参照符号も、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する」という動詞及びその語形変化の使用は、請求項において明記されている要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を除外しない。要素の単数形表記は、このような要素の複数の存在を除外しない。本発明は、幾つかの別個の素子を有するハードウェアによって実施されてもよく、適切にプログラムされたコンピュータによって実施されてもよい。幾つかの手段を挙げている装置の請求項においては、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの同一のアイテムによって実施されてもよい。単に、特定の手段が、相互に異なる従属請求項において引用されているという事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように用いられることができないことを示すものではない。
【0060】
コンテンツデータのアイテムは、例えば、オーディオデータ若しくはビデオデータ、又はこれらの組み合わせを含み得る。分類帰属度関数値は、二進数の値又は連続的尺度の値であり得る。本願明細書においては、分類帰属度関数値は、前記分類に関連する確率的分類法の使用を介して取得可能であると記載したが、分類帰属度関数値を取得するのに他の方法も用いられ得る。
【0061】
当業者には明らかであろうように、「手段」は、動作中に、単独で又は他の要素と協働して、指定された機能を、独立して又は他の機能と共に、実行する又は実行するよう設計される、あらゆる(ばらばらの又は集積した、回路又は電子的要素などの)ハードウェア又は(プログラム又はプログラムの一部などの)ソフトウェアを含むよう意図されている。「コンピュータプログラム」は、光ディスクなどのコンピュータ可読媒体に記憶される、又はインターネットなどのネットワークを介してダウンロード可能な、又は任意の他の方法で販売可能な、あらゆるソフトウェア製品を意味すると理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツデータのアイテムのコレクションのうちの少なくとも1つを選択する方法であり、コンテンツデータの各アイテムについて、複数のコンテンツ分類のうちの少なくとも1つへの帰属を示すデータが利用可能である方法であって、
少なくとも一次元の空間を占める幾何学構成のセクションの表現を表示するステップであって、
前記幾何学構成は、前記少なくとも一次元の空間と分類帰属を示す前記データの領域との間のマッピングに従って、各セクションが分類を表すようなセクションに分割されるステップと、
前記空間内の部分空間を規定する信号を受け取るステップと、
前記マッピングを用いて、規定された前記部分空間に相応のコンテンツデータの少なくとも1つのアイテムの選択を行うステップとを含む方法。
【請求項2】
前記セクションの上にオーバーレイされる少なくとも1つの第2の幾何学構成の表現を表示するステップと、
前記第2の幾何学構成の形状、大きさ及び位置のうちの少なくとも1つを適合させるためのグラフィカルユーザインタフェースを供給することによって前記部分空間を規定する前記信号を取得するステップとを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セクションの前記分割及び表現が、前記セクションが中心的な場所の周りに接線方向に配設されるように表されるような分割及び表現である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
コンテンツデータの各アイテムについて、各分類の帰属度関数値を示すデータが利用可能である、請求項2又は3に記載の方法であって、
分類の帰属度関数値間の相関関係を識別するために、前記コレクションの中のコンテンツデータの複数のアイテムについて、前記データを分析するステップと、
分類の組み合わせであって、前記分類の組み合わせの前記帰属度関数が、コンテンツデータのあらゆるアイテムに対して最も高い値の組み合わせを持つ可能性が最も高い分類の組み合わせが、隣接するセクションに割り当てられる確率を最大化するように、前記分類に前記セクションを割り当てるステップとを含む方法。
【請求項5】
コンテンツデータの各アイテムについて、各分類の帰属度関数値を示すデータが利用可能である、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の方法であって、
少なくとも、分類であって、前記第2の構成がオーバーレイされるセクションによって表される分類への帰属度を示す値のセットにマッピングするための値を、各第2の構成に関連づけるステップと、
第2の構成に関連づけられた前記値にもっともぴったり一致する帰属度関数値を持つと決定されたコンテンツデータのアイテムを選択するステップとを含む方法。
【請求項6】
複数の分類の帰属度関数値のセットにマッピングするための値を、
前記セクションに対する、前記第2の幾何学構成の重心の位置と、
前記第2の幾何学構成と前記第2の幾何学構成の表現がオーバーレイされる前記セクションとの間の重なり度合いとのうちの一方に従って、決定するステップを含む請求項2乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記幾何学構成が、前記コレクションの中のコンテンツデータの少なくとも最低限の数のアイテムが少なくとも最低限の帰属度を持つ分類に対応する多数のセクションに分割される請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記幾何学構成及び前記幾何学構成によって占められる空間が二次元のものである請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
コンテンツデータのアイテムのコレクションのうちの少なくとも1つを選択するためのシステムであって、
前記システムが、コンテンツデータの各アイテムついて、複数のコンテンツ分類のうちの少なくとも1つへの帰属を示すデータにアクセスでき、
前記システムが、少なくとも一次元の空間を占める幾何学構成であって、前記少なくとも一次元の空間と分類帰属を示す前記データの領域との間のマッピングに従って、各セクションが分類を表すようなセクションに分割される幾何学構成を生成するよう構成され、
前記システムが、
表示装置に対するインタフェースであって、前記幾何学構成の前記セクションの表現を前記表示装置に表示させるためのインタフェースと、
前記空間内の部分空間を規定する信号を取得するためのユーザインタフェースとを含み、
前記システムが、前記マッピングを用いて、規定された前記部分空間に相応のコンテンツデータの少なくとも1つのアイテムの選択を行うよう構成されるシステム。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法を実行するよう構成される請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
機械可読媒体に取り込まれる場合に、情報処理能力を持つシステムに、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法を実行させることが可能な命令のセットを含むコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−541090(P2010−541090A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527575(P2010−527575)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際出願番号】PCT/IB2008/053904
【国際公開番号】WO2009/044315
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】