説明

コンテンツデータ制御方法、コンテンツデータ制御装置およびプログラム

【課題】 個々のMIDIファイル、オーディオ形式ファイルに格納された複数の楽曲を切れ目無く再生する。
【解決手段】 複数の楽曲を切れ目無く結合したシーケンスファイルを作成し、該シーケンスファイルを再生することによって複数の楽曲を再生する。個々のMIDIファイル等の再生結果である音声信号の振幅が所定の閾値Thを超えると該音声信号の記録を開始し、MIDIファイル等の再生が終了した後に音源から出力される音声信号の振幅が該閾値Th未満になると、記録を停止するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子楽器等に用いて好適なコンテンツデータ制御方法、コンテンツデータ制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電子楽器においてはMIDIデータ等の演奏情報を記録することができ、該演奏情報を他の電子楽器において再生することができる。しかし、各電子楽器において最終的に生成される楽音信号は当該電子楽器に搭載されている音源のグレードに応じて決定されるため、安価な電子楽器においては高品位な楽音信号を再生することは困難である。そこで、MIDIデータをオーディオ形式(PCM形式またはMP3形式)の楽音信号に変換するとともにオーディオ形式ファイルに格納し、これを記録および再生できる電子楽器が特許文献1に開示されている。また、かかる電子楽器においては、再生すべき複数のMIDIファイルまたはオーディオ形式ファイルを予め指定しておくことにより、これらの楽曲を連続して自動的に再生することが可能である。
【0003】
【特許文献1】特開2004 −45706号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えばディスコ等において楽曲を放音する場合には、楽曲相互間に全く切れ目が無いように複数の楽曲を再生することが望まれている。上述した技術においては複数の楽曲を連続的に再生することは可能ではあるが、楽曲と楽曲の間に若干の無音区間が生じてしまうという問題がある。これは、再生するノーマルファイルやMIDIファイルを切り替えるときに若干のオーバーヘッドが生じることや、ノーマルファイルやMIDIファイルそのものに楽曲の前後に若干の無音区間が存在することに起因する。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、無音区間を排除し複数の楽曲を切れ目無く再生できるコンテンツデータ制御方法、コンテンツデータ制御装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を具備することを特徴とする。なお、括弧内は例示である。
請求項1記載のコンテンツデータ制御方法にあっては、各々が一の楽曲を再生するためのデータ(演奏情報またはオーディオデータ)を記録する複数のコンテンツファイル(ノーマルファイル,MIDIファイル)の再生順序を指定する過程と、該指定された順序で前記各コンテンツファイルを再生することによりオーディオデータを生成し、これら生成したオーディオデータを結合して結合オーディオデータ(データ部)を生成するとともに、前記結合オーディオデータにおける前記各オーディオデータの開始位置を示す開始位置データと、該結合オーディオデータとを含むシーケンスファイルを作成するシーケンスファイル作成過程と、作成された何れかのシーケンスファイルを選択する過程と、該選択されたシーケンスファイルに含まれる開始位置データによって示された複数の開始位置の中から何れかの開始位置を選択する過程と、該選択された開始位置から、該選択されたシーケンスファイルの再生を開始する過程とを有することを特徴とする。
さらに、請求項2記載の構成にあっては、請求項1記載のコンテンツデータ制御方法において、前記シーケンスファイル作成過程においては、前記各オーディオデータのレベルが所定の第1の閾値(閾値Th)以上になったときに、当該オーディオデータの前記結合オーディオデータへの結合を開始するとともに、前記各オーディオデータのレベルが所定の第2の閾値(閾値Th)未満になったときに、当該オーディオデータの前記結合オーディオデータへの結合を終了することを特徴とする。
さらに、請求項3記載の構成にあっては、請求項1記載のコンテンツデータ制御方法において、前記コンテンツファイルはMIDIデータを記録したファイルであることを特徴とする。
さらに、請求項4記載の構成にあっては、請求項1記載のコンテンツデータ制御方法において、何れかのシーケンスファイルの指定と、該指定されたシーケンスファイルに含まれる何れかのオーディオデータの指定を受信する過程と、該指定されたシーケンスファイルのパスを記録するとともに、指定された前記オーディオデータの開始位置を再生開始位置データとして記録して成るパスファイルを生成するパスファイル生成過程とを有することを特徴とする。
さらに、請求項5記載の構成にあっては、請求項4記載のコンテンツデータ制御方法において、何れかのパスファイルの指定を受信するパスファイル指定受信過程と、該指定されたパスファイルに前記パスが記録されたシーケンスファイルを、前記再生開始位置データによって指定された再生開始位置から再生するパスファイル再生過程とを有することを特徴とする。
さらに、請求項6記載の構成にあっては、請求項4記載のコンテンツデータ制御方法において、前記指定されたシーケンスファイルに含まれる他のオーディオデータであって、再生すべき最後のオーディオデータである終了オーディオデータの指定を受信する過程と、該指定された終了オーディオデータの終了位置を再生終了位置データとして前記パスファイルに記録する過程とさらに有することを特徴とする。
さらに、請求項7記載の構成にあっては、請求項6記載のコンテンツデータ制御方法において、何れかのパスファイルの指定を受信するパスファイル指定受信過程と、該指定されたパスファイルに前記パスが記録されたシーケンスファイルを、前記再生開始位置データによって指定された再生開始位置から、前記再生終了位置データによって指定された再生終了位置に至るまで再生するパスファイル再生過程とを有することを特徴とする。
また、請求項8記載のコンテンツデータ制御装置にあっては、請求項1ないし7の何れかに記載のコンテンツデータ制御方法を実行することを特徴とする。
また、請求項9記載のプログラムにあっては、請求項1ないし7の何れかに記載のコンテンツデータ制御方法を処理装置に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このように、本発明によれば、予めコンテンツファイルを再生してシーケンスファイルを作成しておくことにより、複数の楽曲等を切れ目なく連続して再生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
1.実施例のハードウエア構成
まず、本発明の一実施例の電子楽器のハードウェア構成を図1を参照し説明する。
図1において、2は鍵盤やスイッチ、ボリューム等から成る操作子群であり、その操作状態は検出回路4を介して検出される。8は表示回路であり、表示部6に各種情報を表示する。10は音源回路であり、バス26を介して供給されたMIDIデータに基づいてPCM形式の楽音信号(オーディオデータ)を合成し、該楽音信号をオーディオ再生回路12に供給する。オーディオ再生回路12は、バス26を介して受信したオーディオ形式(PCM形式またはMP3形式を指す。以下同様)の楽音信号、あるいは音源回路10を介して受信した楽音信号をアナログ信号に変換し、サウンドシステム14を介して発音させる。
【0008】
ここで、オーディオ再生回路12においては、再生された楽音信号のサンプリング値と、サンプリング周期毎にカウントアップされるサンプリングカウント値とがオーディオ再生回路12内部のレジスタ12aに書き込まれる。16は通信インタフェースであり、MIDI鍵盤、シーケンサ等の外部機器18との間でMIDI信号を入出力する。24はCPUであり、ROM20に格納された制御プログラムに基づいて、バス26を介して各部を制御する。22はRAMであり、CPU24によって読み出し/書き込み自在になっており、該制御プログラムに使用される各種データ等を格納する。
【0009】
2.実施例の動作
次に、本実施例の動作について説明するが、まず本実施例において用いられる用語について説明しておく。
(1)MIDIファイル:MIDIファイルは、「1」ファイルに「1」楽曲を収録したMIDIデータのファイルである。
(2)ノーマルファイル:ノーマルファイルは、「1」ファイルに「1」楽曲を収録したオーディオ形式のファイルである。
(3)シーケンスファイル:シーケンスファイルはヘッダ部とデータ部とから成る。データ部は「1」ファイル複数楽曲のオーディオ形式のデータを切れ目なく収録したデータであり、ヘッダ部はデータ部における各楽曲の先頭アドレスを記述したデータである。
(4)パスファイル:シーケンスファイル内の再生開始タイミングおよび再生終了タイミングのアドレスを記述したファイルである。
上記ファイルのうち、(1)MIDIファイルおよび(2)ノーマルファイルは公知の技術によって作成可能なものであり、ここではRAM22内に既に作成されていることとする。一方、(3)シーケンスファイルおよび(4)パスファイルは後述する処理により作成されるものである。
【0010】
2.1.シーケンスファイルの作成
ユーザが操作子群2においてシーケンスファイルの作成を指示する所定の操作を実行すると、図2に示すシーケンスファイル作成ルーチンが起動される。図2において処理がステップSP10に進むと、RAM22内に既に作成されているMIDIファイルおよびノーマルファイルの一覧が表示部6に表示される。ここで、ユーザはシーケンスファイルに含めるべき楽曲に係るMIDIファイルまたはノーマルファイル(以下、再生対象ファイルという)と、これら再生対象ファイルの再生順序とを指定することができる。
【0011】
ここで、再生対象ファイルを再生順序で配列したリストを「再生リスト」と呼ぶ。この再生リストの作成が完了した後に所定の完了操作が実行されると、空のシーケンスファイルが作成された後、処理はステップSP12に進む。ステップSP12においては、再生リストに属する再生対象ファイルであって未だ再生されていないものの中から先頭に位置する再生対象ファイルが特定され、該再生対象ファイルの再生が開始される。すなわち、該再生対象ファイルがオーディオ形式ファイルであれば、当該オーディオ形式ファイルの内容が所定のブロック単位で順次オーディオ再生回路12に供給される。これにより、サンプリングタイミング毎に楽音信号が再生され、サウンドシステム14を介して発音される。一方、該再生対象ファイルがMIDIファイルであれば、当該MIDIファイルに記録されたイベントデータが音源回路10に順次供給される。これにより、音源回路10において楽音信号が合成され、該楽音信号がオーディオ再生回路12に順次供給され、該楽音信号(PCM形式のサンプリング値)がレジスタ12aに順に記録されるとともに、サウンドシステム14を介して発音されることになる。
【0012】
次に、処理がステップSP14に進むと、オーディオ再生回路12のレジスタ12aが読み出され、読み出されたサンプリング値に基づいて再生中の楽音信号のエンベロープ値が計算され、計算された振幅値が所定の閾値Th以上であるか否かが判定される。なお、閾値Thは、無音であると判断しても差し支えない程度の低いレベルに設定しておくとよい。ステップSP14において「NO」と判定されると、振幅値が閾値Thに達するまで処理が待機される。そして、ステップSP14において「YES」と判定されると、処理はステップSP16に進む。ここでは、先に作成されたシーケンスファイルに対して、必要に応じてレジスタ12aのサンプリング値が記録される。すなわち、ステップSP14において最初に「YES」と判定されたタイミングにおいては、その時点のサンプリング値が直ちにシーケンスファイルに記録され、その後はレジスタ12a内のサンプリングカウント値がカウントアップされる毎にサンプリング値が記録される。
【0013】
次に、処理がステップSP18に進むと、CPU24における再生対象ファイルの再生が完了したか否かが判定される。すなわち、再生対象ファイルの内容を全て音源回路10またはオーディオ再生回路12に供給した時点でCPU24における再生処理が完了するため、かかるデータ転送が完了したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP16に戻る。これにより、以後、シーケンスファイルには、サンプリング周期毎に、再生対象ファイルの再生により順次発生しているPCM形式のサンプリングデータが追加記録されてゆくことになる。そして、CPU24における再生対象ファイルの再生が完了すると処理はステップSP20に進み、サンプリング値のエンベロープ値が閾値Th未満になったか否かが判定される。
【0014】
すなわち、CPU24における再生が完了したとしても、音源回路10またはオーディオ再生回路12においては未だ楽音信号の生成が完了していないこともあるため、レジスタ12aを介して読み出されるサンプリング値のエンベロープ値に基づいて、楽曲の終端部分が検出されるのである。特に、再生対象ファイルがMIDIファイルである場合は、最後のノートオフイベントが音源回路10に送信された後であっても暫く余韻が残っていることがあるため、この余韻が終わったタイミング(エンベロープ値が閾値Th未満になったタイミング)が楽曲の終了タイミングである。
【0015】
ここでエンベロープ値が閾値Th以上であれば「NO」と判定され、エンベロープ値が閾値Th未満になるまでステップSP16〜SP20のループが繰り返され、サンプリング周期毎にサンプリング値がシーケンスファイルに書き込まれてゆくことになる。そして、ステップSP20において「YES」と判定されると、処理はステップSP22に進む。ここではシーケンスファイル内において既にサンプリング値の記録が完了したアドレスが、終了アドレスとしてRAM22内の所定領域に記録される。次に、処理がステップSP24に進むと、再生リストに属する全ての再生対象ファイルの再生が完了したか否かが判定される。
【0016】
ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP12に戻り、残りの未再生の再生対象ファイルに対して、上記ステップSP12〜SP22の処理が繰り返されることになる。そして、全ての再生対象ファイルの再生が完了すると、ステップSP24において「YES」と判定され処理はステップSP26に進む。ここでは、先にステップSP22において記録された終了アドレスに基づいて、シーケンスファイルのヘッダ部が作成される。ここで、ヘッダ部には、データ部に属する各楽曲の先頭位置データが記録される。まず、データ部における最初の楽曲の先頭位置データはデータ部の開始アドレスであり、二番目以降の楽曲の先頭位置データは前の楽曲の終了アドレスに等しい。次に、処理がステップSP28に進むと、このように作成されたヘッダ部と上記データ部とが結合され、これによってシーケンスファイルが完成する。
【0017】
2.2.パスファイルの作成
ユーザが操作子群2においてパスファイルの作成を指示する所定の操作を実行すると、図3に示すパスファイル作成ルーチンが起動される。図3において処理がステップSP30に進むと、RAM22内に格納されているシーケンスファイルのリストが表示部6に表示され、ユーザによって何れかのシーケンスファイルが選択される。そして、ユーザにより、当該シーケンスファイルに含まれる一または複数の楽曲が選択される。但し、ここで複数の楽曲が選択される場合には、シーケンスファイル内のデータ部においてこれら楽曲が連続して記録されたものである必要がある。
【0018】
次に、処理がステップSP32に進むと、選択された一または複数の楽曲のうち先頭楽曲の先頭位置データと、最終楽曲の最後尾を表すデータがシーケンスファイルのヘッダ部から読み出される。なお、「最後尾を表すデータ」とは、一般的には次の楽曲の先頭位置データである。但し、選択された楽曲のうちの最終楽曲がシーケンスファイル内の最終楽曲でもある場合は、「最後尾を表すデータ」はデータ部そのものの最終アドレスである。次に、処理がステップSP34に進むと、当該シーケンスファイルのパス(当該シーケンスファイルが格納されているアドレスを示すデータ)と、先頭楽曲の先頭位置データである再生開始位置データと、最後尾を表すデータである再生終了位置データとが一のファイルに記録される。この記録されたファイルがパスファイルである。
【0019】
2.3.ファイル選択動作
ユーザが何れかのファイルを再生するとき、最初に再生対象となるファイルを選択する必要がある。かかる場合にユーザが操作子群2において所定のファイル選択操作を実行すると、図4に示すファイル選択ルーチンが起動される。図において処理がステップSP40に進むと、表示部6に再生可能な全てのファイル、すなわちMIDIファイル、ノーマルファイル、シーケンスファイル、およびパスファイルが表示される。次に、処理がステップSP42に進むと、ユーザによって何れかのファイルが選択されるまで処理が待機する。そして、何れかのファイルが選択されると、処理はステップSP44に進む。
【0020】
ステップSP44においては、選択されたファイルはシーケンスファイルであるか否かが判定される。ここで「YES」と判定されると、処理はステップSP46に進み、再生開始楽曲を指定するようにユーザに促すメッセージとともに、該シーケンスファイルに属する全ての楽曲のリストが表示部6に表示される。ここで、ユーザは必要に応じて何れかの楽曲を再生開始楽曲として指定することができるが、再生開始楽曲を未指定にすることもできる。そして、ユーザによる指示が入力されると、処理はステップSP48に進む。ここでは、再生開始楽曲が指定された場合には、その旨と、該再生開始楽曲の先頭位置データである再生開始位置データとがRAM22内の所定領域に格納される。
【0021】
2.4.ファイル再生動作
次に、ユーザが操作子群2において所定の再生スタート操作を実行すると、図5に示す再生スタートルーチンが起動される。図において処理がステップSP50に進むと、先にファイル選択ルーチン(図4)において選択されたファイルの種類が判別される。次に、ステップSP52〜SP54においては、そのファイルの種類に応じて処理が分岐される。以下、ファイルの種類毎に処理の内容を説明する。
【0022】
まず、何れかのパスファイルが選択されると、ステップSP52を介して処理はステップSP56に進み、該パスファイルに含まれるパスに基づいて、再生対象のシーケンスファイルが読み出される。次に、処理がステップSP58に進むと、該パスファイルに含まれる再生開始位置データで指定される先頭楽曲の先頭位置データが該シーケンスファイルの再生開始位置として設定される。次に、処理がステップSP60に進むと、再生終了位置データで指定された、最終楽曲の最後尾を表すデータが該シーケンスファイルの再生終了位置として設定される。次に、処理がステップSP62に進むと、該再生開始位置から該再生終了位置まで、該シーケンスファイルが再生される。
【0023】
また、何れかのMIDIファイルまたはノーマルファイルが選択された場合には、ステップSP52,SP54を介して処理はステップSP68に進む。ここでは、選択されたファイルが、その先頭位置から最終位置まで再生される。
【0024】
また、シーケンスファイルが選択された場合には、ステップSP54を介して処理はステップSP64に進む。ここでは、先のファイル選択ルーチン(図4)において、再生開始位置データが指定されたか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP68に進み、上述したMIDIファイルおよびパスファイルの場合と同様に、選択されたシーケンスファイルの再生が、その先頭位置から開始される。従って、該シーケンスファイルに属する全楽曲が再生されることになる。また、ステップSP64において「YES」と判定されると、処理はステップSP66に進む。ここでは、先のファイル選択ルーチンにおいて指定されRAM22に格納された再生開始位置データに係る箇所から、該シーケンスファイルの再生が開始される。そして、該シーケンスファイルは、この再生先頭楽曲から該シーケンスファイルの末尾の楽曲に至るまで再生されることになる。
【0025】
以上のように、本実施例によれば、MIDIファイルまたはノーマルファイルを再生しつつ、実質的に楽曲を構成する部分のみを結合してシーケンスファイルを作成できるから、複数の楽曲を切れ目無く再生することができる。さらに、シーケンスファイルを再生する場合には再生開始楽曲を指定することができ、また当該シーケンスファイルを参照するパスファイルにおいては、該シーケンスファイル内の再生すべき楽曲の範囲を指定できるから、当該シーケンスファイルを部分的に再生することも可能である。
【0026】
3.変形例
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記実施例においては、電子楽器上で動作するアプリケーションプログラムによってシーケンスファイル、パスファイル等の作成や再生を行ったが、このアプリケーションプログラムのみをCD−ROM、フレキシブルディスク等の記録媒体に格納して頒布し、あるいは伝送路を通じて頒布することもできる。
【0027】
(2)上記実施例においては、シーケンスファイルに対してノーマルファイルの再生結果の記録を開始する記録開始レベルおよび記録を停止する記録終了レベルを同一値(閾値Th)にしたが、両者は異なる値であってもよい。また、シーケンスファイルに対してノーマルファイルの再生結果の記録を開始する条件および記録を停止する条件は、再生結果のレベルを監視すること以外にも種々の方法が可能である。例えば、CPU24によってノーマルファイルまたはMIDIファイルの再生が開始されたタイミングを、そのままシーケンスファイルに対して記録を開始するタイミングとし、CPU24によるノーマルファイルまたはMIDIファイルの再生が完了したタイミングを、そのままシーケンスファイルに対して記録を停止するタイミングとしてもよい。
【0028】
(3)また、MIDIファイルを再生する場合においては、該MIDIファイルから最初にノートオンイベントが検出されたときに記録を開始してもよい。これにより、MIDIファイルによって実際に楽音信号が発生するタイミングにきわめて近いタイミングでシーケンスファイルの記録を開始することができる。
【0029】
(4)上記実施例においてはコンテンツデータとしてMIDIデータ、オーディオデータ等の楽曲データを適用した例を説明したが、コンテンツデータは楽曲データに限定されるものではなく、例えば動画等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例の電子楽器のブロック図である。
【図2】シーケンスファイル作成ルーチンのフローチャートである。
【図3】パスファイル作成ルーチンのフローチャートである。
【図4】ファイル選択ルーチンのフローチャートである。
【図5】再生スタートルーチンのフローチャートである。
【符号の説明】
【0031】
2:操作子群、4:検出回路、6:表示部、8:表示回路、10:音源回路、12:オーディオ再生回路、12a:レジスタ、14:サウンドシステム、16:通信インタフェース、18:外部機器、20:ROM、22:RAM、24:CPU、26:バス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が一の楽曲を再生するためのデータを記録する複数のコンテンツファイルの再生順序を指定する過程と、
該指定された順序で前記各コンテンツファイルを再生することによりオーディオデータを生成し、これら生成したオーディオデータを結合して結合オーディオデータを生成するとともに、前記結合オーディオデータにおける前記各オーディオデータの開始位置を示す開始位置データと、該結合オーディオデータとを含むシーケンスファイルを作成するシーケンスファイル作成過程と、
作成された何れかのシーケンスファイルを選択する過程と、
該選択されたシーケンスファイルに含まれる開始位置データによって示された複数の開始位置の中から何れかの開始位置を選択する過程と、
該選択された開始位置から、該選択されたシーケンスファイルの再生を開始する過程と
を有することを特徴とするコンテンツデータ制御方法。
【請求項2】
前記シーケンスファイル作成過程においては、前記各オーディオデータのレベルが所定の第1の閾値以上になったときに、当該オーディオデータの前記結合オーディオデータへの結合を開始するとともに、前記各オーディオデータのレベルが所定の第2の閾値未満になったときに、当該オーディオデータの前記結合オーディオデータへの結合を終了することを特徴とする請求項1記載のコンテンツデータ制御方法。
【請求項3】
前記コンテンツファイルはMIDIデータを記録したファイルであることを特徴とする請求項1記載のコンテンツデータ制御方法。
【請求項4】
何れかのシーケンスファイルの指定と、該指定されたシーケンスファイルに含まれる何れかのオーディオデータの指定を受信する過程と、
該指定されたシーケンスファイルのパスを記録するとともに、指定された前記オーディオデータの開始位置を再生開始位置データとして記録して成るパスファイルを生成するパスファイル生成過程と
を有することを特徴とする請求項1記載のコンテンツデータ制御方法。
【請求項5】
何れかのパスファイルの指定を受信するパスファイル指定受信過程と、
該指定されたパスファイルに前記パスが記録されたシーケンスファイルを、前記再生開始位置データによって指定された再生開始位置から再生するパスファイル再生過程と
を有することを特徴とする請求項4記載のコンテンツデータ制御方法。
【請求項6】
前記指定されたシーケンスファイルに含まれる他のオーディオデータであって、再生すべき最後のオーディオデータである終了オーディオデータの指定を受信する過程と、
該指定された終了オーディオデータの終了位置を再生終了位置データとして前記パスファイルに記録する過程と
さらに有することを特徴とする請求項4記載のコンテンツデータ制御方法。
【請求項7】
何れかのパスファイルの指定を受信するパスファイル指定受信過程と、
該指定されたパスファイルに前記パスが記録されたシーケンスファイルを、前記再生開始位置データによって指定された再生開始位置から、前記再生終了位置データによって指定された再生終了位置に至るまで再生するパスファイル再生過程と
を有することを特徴とする請求項6記載のコンテンツデータ制御方法。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れかに記載のコンテンツデータ制御方法を実行することを特徴とするコンテンツデータ制御装置。
【請求項9】
請求項1ないし7の何れかに記載のコンテンツデータ制御方法を処理装置に実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−251313(P2006−251313A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67173(P2005−67173)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】