説明

コンテンツ保護システム

【課題】従来とは異なる方式により、ユーザによるコンテンツの利用の可否を制御することのできるコンテンツ保護システムを提供する。
【解決手段】ユーザ端末10は、コンテンツを再生又は実行する際に、当該コンテンツの利用権限があるか否かを判定し、コンテンツの利用権限がないと判定される場合に、ライセンス管理装置20に当該コンテンツの利用権限の取得を要求し、ライセンス管理装置20は、利用権限の取得をユーザ端末10から要求された場合に、当該要求を受け付けた時期に応じて設定された有効期限の情報を含むライセンス情報を生成してユーザ端末10に送信し、ユーザ端末10は、ライセンス管理装置20から受信したライセンス情報により示される有効期限が到来するまでの間、当該コンテンツの利用権限があると判定するコンテンツ保護システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザによるコンテンツの利用の可否を制御するコンテンツ保護システム、当該コンテンツ保護システムを構成するユーザ端末、コンテンツ保護方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、著作権保護などのために、ゲームや映像、楽曲などのコンテンツのユーザによる利用を一定条件下でのみ許可するコンテンツ保護技術が提案されている。このようなコンテンツ保護技術を利用することで、例えば一定期間に限ってユーザにコンテンツの再生を許可するなど、ユーザによるコンテンツの利用を制限することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的の一つは、従来とは異なる方式により、ユーザによるコンテンツの利用の可否を制御することのできるコンテンツ保護システム、当該コンテンツ保護システムを構成するユーザ端末、コンテンツ保護方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るコンテンツ保護システムは、ユーザ端末と、ライセンス管理装置と、を含むコンテンツ保護システムであって、前記ユーザ端末は、コンテンツを再生又は実行する際に、当該コンテンツの利用権限があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記コンテンツの利用権限がないと判定される場合に、前記ライセンス管理装置に当該コンテンツの利用権限の取得を要求する利用権限要求手段と、を含み、前記ライセンス管理装置は、前記利用権限の取得を前記ユーザ端末から要求された場合に、当該要求を受け付けた時期に応じて設定された有効期限の情報を含むライセンス情報を生成するライセンス情報生成手段と、前記生成したライセンス情報を前記ユーザ端末に送信するライセンス情報送信手段と、を含み、前記判定手段は、前記ライセンス管理装置から受信したライセンス情報により示される有効期限が到来するまでの間、当該コンテンツの利用権限があると判定することを特徴とする。
【0005】
前記コンテンツ保護システムにおいて、前記ライセンス情報生成手段は、前記要求を受け付けた時期から予め定められた利用可能時間だけ経過した時期に応じて設定された有効期限の情報を含むライセンス情報を生成することとしてもよい。
【0006】
また、前記コンテンツ保護システムにおいて、前記ユーザ端末は、前記コンテンツを取得する際に、当該コンテンツに対する仮のライセンス情報を生成する手段をさらに含み、前記利用権限要求手段は、前記仮のライセンス情報が存在する場合に、前記ライセンス管理装置に前記コンテンツの利用権限の取得を要求することとしてもよい。
【0007】
さらに、前記仮のライセンス情報には、仮の有効期限の情報が含まれ、前記ユーザ端末は、前記コンテンツの利用権限に関する情報として、前記ライセンス情報を取得する前には、前記仮の有効期限を表示し、前記ライセンス情報を取得した後には、当該ライセンス情報により示される有効期限を表示する手段をさらに含むこととしてもよい。
【0008】
また、前記コンテンツ保護システムにおいて、前記利用権限要求手段は、前記ライセンス管理装置に前記コンテンツの利用権限の取得を要求する際に、前記コンテンツの再生又は実行を指示したユーザを特定するユーザ特定情報を前記ライセンス管理装置に送信し、前記ライセンス情報生成手段は、前記ユーザ特定情報により特定されるユーザに対して前記コンテンツの利用権限を付与するライセンス情報を生成済みか否かを判定し、生成済みでない場合に、新たに当該ユーザに対するライセンス情報を生成し、前記ライセンス情報送信手段は、前記ユーザ特定情報により特定されるユーザに対して前記ライセンス情報を生成済みである判定された場合には、当該生成済みのライセンス情報を前記ユーザ端末に送信することとしてもよい。
【0009】
また、本発明に係るユーザ端末は、ライセンス管理装置と接続され、コンテンツを再生又は実行する際に、当該コンテンツの利用権限があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記コンテンツの利用権限がないと判定される場合に、前記ライセンス管理装置に当該コンテンツの利用権限の取得を要求する利用権限要求手段と、を含み、前記判定手段は、前記利用権限の取得要求に応じて前記ライセンス管理装置から受信したライセンス情報により示される、前記ライセンス管理装置が前記利用権限の取得要求を受け付けた時期に応じて設定された有効期限が到来するまでの間、当該コンテンツの利用権限があると判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るコンテンツ保護方法は、ライセンス管理装置と接続されたユーザ端末を用いたコンテンツ保護方法であって、前記ユーザ端末が、コンテンツを再生又は実行する際に、当該コンテンツの利用権限があるか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記コンテンツの利用権限がないと判定される場合に、前記ライセンス管理装置に当該コンテンツの利用権限の取得を要求する利用権限要求ステップと、を実行し、前記判定ステップでは、前記利用権限の取得要求に応じて前記ライセンス管理装置からライセンス情報を受信した場合に、当該ライセンス情報により示される、前記ライセンス管理装置が前記利用権限の取得要求を受け付けた時期に応じて設定された有効期限が到来するまでの間、当該コンテンツの利用権限があると判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るプログラムは、ライセンス管理装置と接続されたコンピュータを、コンテンツを再生又は実行する際に、当該コンテンツの利用権限があるか否かを判定する判定手段、及び前記判定手段により前記コンテンツの利用権限がないと判定される場合に、前記ライセンス管理装置に当該コンテンツの利用権限の取得を要求する利用権限要求手段、として機能させるためのプログラムであって、前記判定手段は、前記利用権限の取得要求に応じて前記ライセンス管理装置から受信したライセンス情報により示される、前記ライセンス管理装置が前記利用権限の取得要求を受け付けた時期に応じて設定された有効期限が到来するまでの間、当該コンテンツの利用権限があると判定することを特徴とする。このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に記憶されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンテンツ保護システムの概要図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るユーザ端末の構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るコンテンツ保護システムの機能を示す機能ブロック図である。
【図4】コンテンツの配信時に本発明の実施の形態に係るコンテンツ保護システムが実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
【図5】ライセンス管理装置が記憶する利用許可条件の情報の一例を示す図である。
【図6】コンテンツの利用開始時に本発明の実施の形態に係るコンテンツ保護システムが実行する処理の流れの一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ保護システム1の全体概要を示す概要図である。コンテンツ保護システム1は、複数のユーザ端末10と、ライセンス管理装置20と、を含んで構成される。各ユーザ端末10は、通信ネットワーク30を介してライセンス管理装置20と通信可能に接続されている。通信ネットワーク30は、インターネットやローカルエリアネットワーク、無線通信ネットワークなど、各種のネットワークであってよい。
【0015】
ユーザ端末10は、ユーザがゲーム等のコンテンツを利用するために用いる情報処理装置であって、家庭用ゲーム機や携帯型ゲーム機、パーソナルコンピュータ等であってよい。なお、本実施形態においてユーザ端末10が処理(再生又は実行)する対象となるコンテンツは、ゲームコンテンツ、動画像、静止画像、音声データ、電子書籍など、各種のものであってよい。ユーザ端末10が、ゲームコンテンツなどのプログラム型のコンテンツを実行したり、動画像、静止画像、音声データ、電子書籍などのデータ型のコンテンツを再生したりすることにより、ユーザは、これらのコンテンツの内容を視聴する(すなわち、コンテンツを利用する)ことができる。なお、本明細書のこれ以降の部分では、説明の便宜上、ユーザにコンテンツを利用させるためにユーザ端末10が当該コンテンツに対して実行する処理を、コンテンツの再生と称するが、この「コンテンツの再生」にはプログラム型のコンテンツに対するプログラム実行の処理が含まれてもよい。
【0016】
図2は、ユーザ端末10の構成を示す構成ブロック図である。同図に示すように、ユーザ端末10は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、計時部14と、を含んで構成される。また、ユーザ端末10は、操作部15及び出力部16と接続される。
【0017】
制御部11は、CPU等のプログラム制御デバイスであって、記憶部12に記憶されたプログラムに従って各種の情報処理を実行する。記憶部12は、RAMやROM等のメモリ素子を含んで構成され、制御部11が実行するプログラムや、このプログラムによる処理の対象となるデータを記憶する。特に本実施形態では、記憶部12には、ユーザ端末10が再生対象とするコンテンツのデータが記憶される。また、記憶部12は制御部11のワークメモリとしても機能する。
【0018】
通信部13は、通信ネットワーク30を介して他の装置との間でデータを授受するためのインタフェースであって、ユーザ端末10は、通信部13を経由してライセンス管理装置20との間で情報の送受信を行う。また、計時部14は、リアルタイムクロック等を含んで構成され、現在日時を計時する。制御部11は、計時部14が計時している時刻情報を参照することにより、現在日時の情報を取得できる。
【0019】
操作部15は、ユーザの操作入力を受け付けるデバイスであって、例えばキーボードやマウス、家庭用ゲーム機のコントローラなどであってよい。また、操作部15は、ユーザ端末10の筐体表面に配置された操作ボタンやスイッチ等の操作部材を含んでもよい。ユーザは、操作部15に対して操作を行うことで、ユーザ端末10に対して、視聴するコンテンツの選択や、コンテンツ視聴の開始/中断などの指示を行う。
【0020】
出力部16は、ユーザ端末10による再生対象となるコンテンツの内容を出力するデバイスである。具体的に、コンテンツが動画像や静止画像、電子書籍などであれば、出力部16はコンテンツの内容を表示する表示装置であってよい。また、コンテンツが音声データであれば、出力部16はヘッドフォンやスピーカ等の音声出力装置であってよい。また、出力部16は、これらの双方を含んでもよい。なお、操作部15と同様に、出力部16もユーザ端末10の筐体と一体的に形成されてもよい。出力部16がコンテンツの内容を画像として表示したり、音声として再生したりすることにより、ユーザは、ユーザ端末10が再生するコンテンツの内容を視聴できる。
【0021】
ライセンス管理装置20は、サーバコンピュータ等の情報処理装置であって、各ユーザ端末10からの要求に応じて、当該ユーザ端末10がコンテンツを再生するために必要となるライセンス情報を送信する。また、本実施形態では、ライセンス管理装置20は、各ユーザ端末10が再生対象とするコンテンツ自身も保持しており、ユーザ端末10からの要求に応じて当該コンテンツも配信することとする。
【0022】
ライセンス管理装置20は、図1に示すように、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、計時部24と、を含んで構成される。
【0023】
制御部21は、CPU等のプログラム制御デバイスであって、記憶部22に記憶されたプログラムに従って各種の情報処理を実行する。記憶部22は、RAMやROM等のメモリ素子、及びハードディスク等のディスクデバイスを含んで構成され、制御部21が実行するプログラムや、このプログラムによる処理の対象となるデータを記憶する。また、記憶部22は制御部21のワークメモリとしても機能する。
【0024】
通信部23は、通信ネットワーク30を介して他の装置との間でデータを授受するためのインタフェースであって、ライセンス管理装置20は、通信部23を経由して各ユーザ端末10との間で情報の送受信を行う。また、計時部24は、リアルタイムクロック等を含んで構成され、現在日時を計時する。制御部21は、計時部24が計時している時刻情報を参照することにより、現在日時の情報を取得できる。
【0025】
ここで、本実施形態に係るコンテンツ保護システム1によるコンテンツ保護の概要について、説明する。本実施形態では、ユーザ端末10は、ライセンス管理装置20が配信するコンテンツを取得し、再生する。本実施形態でライセンス管理装置20が配信するコンテンツは、当該コンテンツの配信者が指定した条件(利用許可条件)を満たした状態でしか再生できないように、暗号化されるなどの方法で保護されている。そのため、保護されたコンテンツを再生するために、ユーザ端末10は、ライセンス管理装置20から、当該コンテンツの利用権限があることを示すライセンス情報(以下、ライセンスファイルLという)を取得する必要がある。このライセンスファイルLには、前述した利用許可条件に関する情報が含まれており、ユーザ端末10は、この利用許可条件に基づいて、コンテンツの再生の可否を判定する。すなわち、ユーザ端末10は、ユーザが再生を指示するコンテンツについて、対応するライセンスファイルLを取得しており、かつ、当該ライセンスファイルLが示す利用許可条件を満たしていると判定した場合のみ、コンテンツを再生する。これにより、ライセンス管理装置20を通じてコンテンツを配信する配信者は、自分の意図した制限のもとでユーザがコンテンツを視聴するよう制御することができる。
【0026】
具体的に、本実施形態では、ライセンス管理装置20は、以下の2つの形態の制限のもとで、ユーザ端末10に対してコンテンツを提供することができる。すなわち、第1の形態は、対象とするユーザに自由にコンテンツの視聴を許可する形態である。以下、この第1の形態の制限が設定されるコンテンツを、提供型のコンテンツという。なお、提供型のコンテンツには、コンテンツの視聴が可能な有効期限(以下、有効期限XDという)が設定される場合がある。有効期限XDが設定される場合、その有効期限XDが到来するまでの間、ユーザはコンテンツを視聴することができるが、有効期限XDが到来すると、ユーザはそれ以降コンテンツを視聴することができなくなる。この場合の有効期限XDは、コンテンツの配信時に予め決定される。
【0027】
一方、第2の形態は、対象とするユーザに限られた時間だけコンテンツの利用を許可する形態である。以下、この第2の形態の制限が設定されるコンテンツを、レンタル型のコンテンツという。このレンタル型のコンテンツは、例えば3時間や1日などというように、ユーザが当該コンテンツを利用可能な時間(以下、利用可能時間PHという)が制限される。ただし、この利用可能時間PHの起算タイミングをコンテンツの配信時としてしまうと、ユーザは、コンテンツ配信後すぐにコンテンツの視聴を開始しなければ、利用可能時間PHにわたってコンテンツを視聴することができなくなってしまい、利便性が低い。また、コンテンツのデータサイズが大きく、そのダウンロードに時間がかかる場合、コンテンツの配信開始より前に利用可能時間PHの起算が開始されてしまうと、ダウンロードに要する時間の分だけコンテンツを視聴できる時間が短くなってしまうことになる。そこで本実施形態では、コンテンツの配信時ではなく、ユーザ端末10がコンテンツの再生を最初に開始する時点を起算点として、利用可能時間PHのカウントが進行するように制御することとする。こうすれば、ユーザはコンテンツのダウンロードが終わった後、自分の都合のよいタイミングでコンテンツの視聴を開始し、その時点からコンテンツの配信者によって設定された利用可能時間PHが経過するまでの間、コンテンツを視聴することができる。
【0028】
なお、レンタル型のコンテンツについても、上述した利用可能時間PHの制限に加えて、提供型の場合と類似する有効期限がコンテンツの配信時に設定されてもよい。以下では、レンタル型のコンテンツに関してコンテンツの配信時に設定される有効期限を、仮有効期限TXDという。レンタル型のコンテンツにおいては、ユーザが実際にコンテンツの視聴を可能な有効期限XDは、コンテンツの配信時には決定されず、ユーザ端末10がコンテンツの再生を最初に開始しようとした時点で最終的に決定されることになる。具体的に、仮有効期限TXDが設定されたレンタル型コンテンツの有効期限XDは、ユーザが当該コンテンツの視聴を開始しようとした時点から起算して利用可能時間PHだけ経過したタイミングと、仮有効期限TXDが示す時期と、のいずれか早い方の時期に決定される。なお、ここでは二つの時期のいずれか早い方の時期としたが、これに代えて、有効期限XDは、ユーザが当該コンテンツの視聴を開始しようとした時点から利用可能時間PHだけ経過したタイミングと、仮有効期限TXDが示す時期と、のいずれか遅い方の時期に決定されてもよい。また、仮有効期限TXDが設定されていないコンテンツの場合の有効期限XDは、ユーザが当該コンテンツの視聴を開始しようとした時点から利用可能時間PHが経過したタイミングに決定される。ユーザは、提供型の場合と同様に、このようにして決定された有効期限XDが到来するまでの間、コンテンツを視聴することができる。
【0029】
以下、本実施形態に係るコンテンツ保護システム1が実現する機能について、説明する。図3は、コンテンツ保護システム1が実現する機能を示す機能ブロック図である。同図に示すように、ユーザ端末10は、機能的に、コンテンツ取得部41と、コンテンツ再生制御部42と、ライセンス取得部43と、を含んで構成される。これらの機能は、制御部11が記憶部12に格納されたプログラムを実行することで、実現される。また、ライセンス管理装置20は、機能的に、コンテンツ配信部44と、ライセンス情報提供部45と、を含んで構成されている。これらの機能は、制御部21が記憶部22に格納されたプログラムを実行することで、実現される。なお、制御部11及び制御部21のそれぞれが実行するプログラムは、例えば光ディスク等のコンピュータ読み取り可能な各種の情報記憶媒体に格納されて提供されてよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0030】
ユーザ端末10のコンテンツ取得部41は、ユーザからの指示などに基づいて、ライセンス管理装置20に対してコンテンツの取得要求を送信する。そして、当該取得要求に応じてライセンス管理装置20が配信するコンテンツのデータを受信することにより、コンテンツを取得し、記憶部12に格納する。
【0031】
本実施形態では、提供型のコンテンツの場合、コンテンツ配信の際に併せてライセンスファイルLがライセンス管理装置20からユーザ端末10に送信される。コンテンツ視聴の有効期限XDが設定される場合、ライセンスファイルLには、この有効期限XDを示す情報が含まれる。一方、レンタル型のコンテンツの場合、コンテンツの配信時にはライセンスファイルLはユーザ端末10に提供されない。その代わりにユーザ端末10は、ライセンス管理装置20からコンテンツを取得した際に、当該コンテンツに関連づけて、仮のライセンス情報(以下、ダミーライセンスファイルDという)を生成する。このダミーライセンスファイルDの生成処理については、後に詳しく説明する。
【0032】
ユーザ端末10のコンテンツ再生制御部42は、コンテンツの再生を実行する際に、当該コンテンツに対応するライセンスファイルLを用いて、当該コンテンツの利用権限があるか否かを判定する。具体的に、コンテンツ再生制御部42は、例えばユーザがコンテンツの再生を指示するなどして、当該コンテンツの再生を開始しようとする場合、まず当該コンテンツの利用権限を示す情報が格納されたライセンスファイルLが存在するか否かを判定する。ライセンスファイルLが存在する場合、さらにそのライセンスファイルLに格納されている利用許可条件の情報を参照して、コンテンツの再生を指示したユーザに当該コンテンツの再生を許可するか否かを判定する。特に本実施形態では、ライセンスファイルLには、利用許可条件の一つとして、当該コンテンツの再生が許可される有効期限XDを示す情報が格納される場合がある。この場合、コンテンツ再生制御部42は、この有効期限XDの情報を計時部24が計時する現在日時と比較して、有効期限XDが到来したか否かを判定する。そして、有効期限XDが到来している(すなわち、現在日時が有効期限XD以降である)場合、コンテンツの再生は許可されないと判定する。一方、有効期限XDが到来しておらず、ライセンスファイルLに含まれるその他の利用許可条件も満たされる場合には、コンテンツの再生を許可すると判定し、コンテンツの再生処理を開始する。
【0033】
また、そもそも対応するライセンスファイルLが存在しない場合、通常は、コンテンツの再生は許可されない。しかし、本実施形態では、ライセンスファイルLの代わりに当該コンテンツに対応するダミーライセンスファイルDが存在する場合には、コンテンツ再生制御部42は、ライセンス取得部43に対してライセンスファイルLの取得を指示する。当該指示に応じてライセンス取得部43がライセンスファイルLの取得に成功すれば、コンテンツ再生制御部42は、この新たに取得されたライセンスファイルLに格納されている利用許可条件に従って、コンテンツの再生が許可されるか否かを判定する。
【0034】
ユーザ端末10のライセンス取得部43は、ユーザが再生を指示するコンテンツの利用権限がないとコンテンツ再生制御部42が判定する場合に、当該コンテンツの利用権限の取得をライセンス管理装置20に対して要求する。より具体的に、ライセンス取得部43は、コンテンツ再生制御部42がこれから再生しようとするコンテンツに対してダミーライセンスファイルDが存在する場合に、コンテンツ再生制御部42の指示に従って、ライセンス管理装置20に対して当該コンテンツのライセンスファイルLの取得要求を送信する。そして、この取得要求に応じてライセンス管理装置20のライセンス情報提供部45が提供するライセンスファイルLを、記憶部12に格納する。これにより、コンテンツ再生制御部42は、新たに取得されたライセンスファイルLに基づいて、コンテンツを再生することができる。
【0035】
ライセンス管理装置20のコンテンツ配信部44は、前述したようにユーザ端末10のコンテンツ取得部41からコンテンツの取得要求を受け付けた場合に、当該ユーザに対してコンテンツを配信する。
【0036】
ライセンス管理装置20のライセンス情報提供部45は、ユーザ端末10の要求に応じて、要求されたコンテンツの利用権限を当該ユーザ端末10に付与するライセンスファイルLを送信する。このとき、例えばライセンス情報提供部45は、課金処理などを実行したうえでライセンスファイルLをユーザ端末10に送信してもよい。
【0037】
なお、ライセンス情報提供部45は、対象となるコンテンツが提供型の場合、コンテンツ配信部44がユーザ端末10にコンテンツを配信する際に、ライセンスファイルLを生成してユーザ端末10に提供する。一方、対象となるコンテンツがレンタル型の場合、ライセンス情報提供部45は、コンテンツ配信部44がコンテンツを配信する際には、ライセンスファイルLを生成せず、その代わりに、ユーザ端末10がダミーライセンスファイルDを生成するために必要な情報を提供する。具体的に、ライセンス情報提供部45は、利用可能時間PH及び仮有効期限TXDの情報をユーザ端末10に提供する。なお、当該コンテンツに対して仮有効期限TXDの制限が設定されない場合には、仮有効期限TXDの情報をユーザ端末10に送信する必要はない。
【0038】
さらに、ライセンス情報提供部45は、レンタル型のコンテンツについて利用可能時間PH及び(もし必要であれば)仮有効期限TXDの情報をユーザ端末10に送信した場合、これらの情報を、提供したユーザ、及び対象となるコンテンツを特定する情報と関連づけて、記憶部22に記憶しておく。そして、その後、当該ユーザがコンテンツを視聴しようとした場合には、ユーザ端末10から送信されるライセンス取得要求に対して、この記憶部22に記憶されている情報に基づいてライセンスファイルLを生成する。すなわち、ライセンス情報提供部45は、ユーザからレンタル型のコンテンツに対するライセンス取得要求を受け付けた場合、まず当該コンテンツ及び当該ユーザに関連づけられた利用可能時間PH及び仮有効期限TXDの情報が記憶部22に記憶されているか否かを判定する。もしそのような情報が存在しなければ、当該ユーザは当該コンテンツの視聴権限を取得していないことになるので、ライセンスファイルLを提供できない旨の応答をユーザ端末10に対して送信する。
【0039】
一方、記憶部22に利用可能時間PH及び仮有効期限TXDの情報が記憶されていれば、ライセンス情報提供部45は、当該ライセンス取得要求を受け付けた時期と、この利用可能時間PH及び仮有効期限TXDの情報と、に応じて設定された有効期限XDの情報を含むライセンスファイルLを生成する。そして、生成したライセンスファイルLを、ライセンス取得要求を行ったユーザ端末10に対して送信する。ライセンスファイルLを受信したユーザ端末10は、その内容を記憶部12に記憶し、記憶されたライセンスファイルLが示す利用権限に基づいて、コンテンツの再生処理を実行する。
【0040】
具体的に、ライセンス情報提供部45は、ライセンス取得要求を受け付けた場合、計時部24が計時している現在日時の情報を取得し、この現在日時から利用可能時間PHだけ経過した時期に応じて設定される有効期限XDの情報を含むライセンスファイルLを生成する。すなわち、まずライセンス情報提供部45は、現在日時に利用可能時間PHを加算した日時を算出する。そして、この算出された日時、及び記憶部22に記憶されていた仮有効期限TXDのうち、いずれか早い方の日時を、有効期限XDとして決定する。さらにライセンス情報提供部45は、この有効期限XDが到来するまでの間だけ、ライセンス取得要求を行ったユーザに対して要求されたコンテンツの利用権限を付与するライセンスファイルLを生成し、ユーザ端末10に送信する。前述の通り、レンタル型のコンテンツについては、ユーザ端末10からのライセンス取得要求は、ユーザ端末10が当該コンテンツの再生を開始しようとした時点で行われる。そのため、このようにライセンス取得要求を受け付けた時期を考慮して有効期限XDを決定することで、仮有効期限TXDまで時間的余裕があれば、ユーザはコンテンツの再生開始時から利用可能時間PHが経過するまでの間、コンテンツを視聴することができる。
【0041】
なお、ライセンス情報提供部45は、一度ライセンスファイルLを生成してユーザ端末10に提供した場合、そのライセンスファイルLを記憶部22に格納しておくこととする。そして、同じユーザから同じコンテンツを対象としたライセンス取得要求を受け付けた場合、新たにライセンスファイルLを生成するのではなく、記憶部22に格納しておいたライセンスファイルLを提供することとする。こうすれば、同じコンテンツに対して一度決定された有効期限XDは変更されないことになり、ユーザがコンテンツの視聴を中断して再開するたびに、有効期限XDが延びてしまうことを避けることができる。
【0042】
次に、本実施形態に係るコンテンツ保護システム1が実行する処理の流れの具体例について、説明する。
【0043】
まず、コンテンツの配信が行われる際の処理の流れの具体例について、図4のフロー図を用いて説明する。この処理は、例えばライセンス管理装置20が配信対象とするコンテンツのリストをユーザ端末10が取得してユーザに提示し、その中から取得対象とするコンテンツをユーザが選択した場合に実行される。
【0044】
最初に、ユーザ端末10は、ユーザが取得対象として選択したコンテンツについて、その利用許可条件に関する情報の提供をライセンス管理装置20に対して要求する(S1)。この要求には、要求を行うユーザを特定するユーザ特定情報(例えばユーザID)、及び要求の対象となったコンテンツを特定するコンテンツ特定情報(例えばコンテンツID)が含まれる。これに応じてライセンス管理装置20のライセンス情報提供部45は、当該コンテンツに関連づけて予め設定されている利用許可条件に関する情報を、ユーザ端末10に送信する(S2)。ここで送信対象となる情報は、例えば、提供型のコンテンツであれば有効期限XDの情報、レンタル型のコンテンツであれば仮有効期限TXD及び利用可能時間PHの情報などである。また、コンテンツが提供型かレンタル型かを示す情報を含んでもよい。
【0045】
さらにライセンス情報提供部45は、ユーザ端末10に対して利用許可条件に関する情報を送信した旨を記憶部22内に記憶する。具体的に、ライセンス情報提供部45は、S1の要求に含まれるユーザ特定情報及びコンテンツ特定情報に関連づけて、S2で送信した利用許可条件に関する情報を記憶する(S3)。図5は、この処理でライセンス管理装置20の記憶部22に記憶される情報の一例を示す図である。この図は、ユーザU1に対して、レンタル型のコンテンツC1の利用を許諾する場合の例を示しており、ユーザU1が当該コンテンツC1の視聴を開始してから3時間が経過するまでの間、コンテンツの視聴が許可されることになる。また、有効期間の開始時期にはS2の情報を送信したタイミングの現在日時が、終了時期には仮有効期限TXDが格納される。
【0046】
次に、ユーザ端末10のライセンス取得部43は、ユーザのコンテンツ取得指示に応じて、以下に示す処理を実行する。すなわち、まずライセンス取得部43は、S2で取得した情報を用いて、ユーザが取得を指示したコンテンツの種別(提供型かレンタル型か)を判定する(S4)。なお、S2で取得された情報に直接コンテンツが提供型かレンタル型かを示す情報が含まれていない場合でも、利用可能時間PHの情報の有無によって、コンテンツの種別を判定することができる。
【0047】
S4でコンテンツの種別が提供型と判定される場合、ライセンス取得部43は、ライセンス管理装置20にライセンス取得要求を送信する(S5)。これに応じて、ライセンス管理装置20のライセンス情報提供部45は、対象のコンテンツのライセンスファイルLを生成して、ユーザ端末10に送信する(S6)。このライセンスファイルLには、S2でユーザ端末10に送信された有効期限XDの情報が含まれる。
【0048】
一方、S4でコンテンツの種別がレンタル型と判定される場合、ライセンス取得部43は、S2で取得した仮有効期限TXD及び利用可能時間PHの情報を含んだダミーライセンスファイルDを生成する(S7)。
【0049】
S6で送信されたライセンスファイルLを受信した場合、及びS7でダミーライセンスファイルDを生成した場合のいずれにおいても、ライセンス取得部43は、取得したファイルを記憶部12に書き込む(S8)。その後、ユーザ端末10のコンテンツ取得部41が、ライセンス管理装置20に対してコンテンツの取得要求を送信する(S9)。これを受けてライセンス管理装置20のコンテンツ配信部44は、要求されたコンテンツを配信する(S10)。配信されたコンテンツは、ユーザ端末10の記憶部12内に書き込まれる(S11)。
【0050】
以上の処理により、ユーザ端末10は、ユーザが選択したコンテンツを取得するとともに、当該コンテンツに対応したライセンスファイルL又はダミーライセンスファイルDを取得する。なお、ライセンスファイルLは、コンテンツの再生に必要な利用権限がユーザ端末10にあることを示す情報であり、それ自体、不正なユーザによって改竄等ができないようにする必要がある。そのため、ライセンス管理装置20は、ライセンスファイルLを生成する際に、当該ライセンスファイルLに対して電子署名を付与することとする。これにより、ユーザ端末10側でのライセンスファイルLの書き換えを防止できる。さらに、ユーザ端末10によって取得されたライセンスファイルLは、例えば記憶部12内のユーザからのアクセスが制限される領域に記憶するなどの方法で保護されることとしてもよい。一方、ダミーライセンスファイルDについては、このような保護を行う必要は必ずしもない。
【0051】
また、ライセンスファイルLとダミーライセンスファイルDとは、その少なくとも一部のデータ形式が互いに共通であってもよい。また、これらのファイルは、互いに同じファイル名で記憶部12内に記憶されてもよい。特にライセンスファイルL内の有効期限XDの情報と、ダミーライセンスファイルD内の仮有効期限TXDの情報とが、同様の形式で各ファイル内に記憶されることにより、ライセンス取得部43は、例えばユーザがコンテンツの使用条件の表示を指示した場合に、当該コンテンツに対応づけてライセンスファイルLが記憶されているかダミーライセンスファイルDが記憶されているかを判別することなく、いずれかのファイルから有効期限XD又は仮有効期限TXDの情報を読み出して、当該コンテンツの視聴終了期限を示す情報として、ユーザに提示することができる。すなわち、ライセンス取得部43は、ユーザがコンテンツの利用権限に関する情報の表示を指示した場合、ライセンスファイルLを未取得の状態(ダミーライセンスファイルDが存在する状態)では、ダミーライセンスファイルDに含まれる仮有効期限TXDを表示し、ライセンスファイルLを取得した後には、このライセンスファイルLに含まれる有効期限XDを表示することとする。そして、この場合に、ライセンスファイルLとダミーライセンスファイルDが同じファイル名でアクセスでき、かつライセンスファイルL内の有効期限XDの格納場所とダミーライセンスファイルD内の仮有効期限TXDの格納場所とが一致していれば、ライセンス取得部43は、現在コンテンツに関連づけて記憶されているのがライセンスファイルLであっても、あるいはダミーライセンスファイルDであっても、同様の手順でこのような情報の表示を行うことができる。なお、ダミーライセンスファイルDが記憶されている状態においては、ユーザ端末10は、仮有効期限TXDだけでなく、利用可能時間PHの情報もユーザの要求に応じてユーザに提示してもよい。
【0052】
次に、ユーザ端末10がコンテンツを再生する際の処理の流れの具体例について、図6のフロー図を用いて説明する。
【0053】
まず、ユーザ端末10のコンテンツ再生制御部42は、ユーザからコンテンツの再生を指示する操作を受け付けると、再生を指示されたコンテンツに対応するライセンスファイルLが存在するか否かを判定する(S21)。ライセンスファイルLが存在しないと判定された場合、さらにコンテンツ再生制御部42は、ダミーライセンスファイルDが存在するか否かを判定する(S22)。
【0054】
なお、このS21及びS22の判定は、一度に実行されてもよい。例えば前述したようにライセンスファイルLとダミーライセンスファイルDとが同じファイル名で記憶されている場合、コンテンツ再生制御部42は、再生指示の対象となったコンテンツに対応するファイル名のライセンスファイルにアクセスし、その種別を判定することで、記憶部12内に正規のライセンスファイルLが存在するのか、ダミーライセンスファイルDが存在するのか、あるいはいずれの種類のファイルも存在しないのか、を確認できる。この場合、ライセンスファイルL及びダミーライセンスファイルDのそれぞれには、自分自身の種別(正規のライセンスファイルLか、又はダミーライセンスファイルDか)を示す種別情報が含まれていることとする。こうすれば、コンテンツ再生制御部42は、再生が指示されたコンテンツに対応するいずれかの種類のライセンスファイルが存在する場合に、当該ファイル内に含まれる種別情報を参照することで、このファイルが正規のライセンスファイルLなのか、あるいはダミーライセンスファイルDなのかを判定できる。あるいは、ユーザ端末10は、自分自身が所持するライセンスファイルの種別を示す種別情報を別途保持してもよい。この場合、例えば前述した図4のフローのS8の処理を実行する際に、ライセンス取得部43は、併せて記憶部12に記憶したファイルの種別(正規のライセンスファイルLか、又はダミーライセンスファイルDか)を示す種別情報を記録しておく。こうすれば、コンテンツ再生制御部42は、コンテンツの再生を指示された場合、当該コンテンツに対応する種別情報を参照することで、S8で記憶部12に記憶されたファイルがライセンスファイルLなのか、あるいはダミーライセンスファイルDなのかを判別できる。また、ユーザ端末10は、再生対象として指定されたコンテンツに対応するライセンスファイル自体のデータ構造や記録されているデータ項目などの違いから、ライセンスファイルLとダミーライセンスファイルDとを識別してもよい。
【0055】
ライセンスファイルLもダミーライセンスファイルDも存在しない場合、ユーザ端末10は、このコンテンツの利用権限をなんら保持していないことになる。そのため、コンテンツ再生制御部42は、コンテンツの再生ができない旨のメッセージを表示するなどして、処理を終了する(異常終了)。一方、ダミーライセンスファイルDが存在する場合、現時点でユーザ端末10はライセンスファイルLを保持していないが、ライセンス管理装置20からライセンスファイルLを取得可能であることになる。そこで、ライセンス取得部43が、コンテンツ再生制御部42からの指示に応じて、ライセンス管理装置20に対してライセンス取得要求を送信する(S23)。このライセンス取得要求には、再生対象のコンテンツを特定するコンテンツ特定情報と、再生を指示するユーザを特定するユーザ特定情報と、が含まれている。
【0056】
ライセンス取得要求を受け付けたライセンス管理装置20のライセンス情報提供部45は、まず、当該要求に係るユーザ及びコンテンツについて、既にライセンスファイルLを発行したか否かを判定する(S24)。ライセンス取得要求を行ったユーザに対して、当該要求の対象となったコンテンツの利用権限を付与するライセンスファイルLをまだ発行していない場合、ライセンス情報提供部45は、新たにライセンスファイルLを生成して、記憶部22内に格納する(S25)。このときライセンス情報提供部45は、前述した図4のS3の処理で記憶部22に記憶されている仮有効期限TXD及び利用可能時間PHの情報と、現在日時の情報と、を用いて有効期限XDを決定し、決定した有効期限XDの情報を含んだライセンスファイルLを生成することとする。
【0057】
一方、S24で既にライセンスファイルLを発行済みであると判定した場合、発行されたライセンスファイルLは、過去に図6の処理が実行された際に、前述したS25で記憶部22に格納されていることになる。そこで、S24でライセンスファイルLが発行済みであると判定された場合、及びS25で新たにライセンスファイルLを生成した場合のいずれの場合も、ライセンス情報提供部45は、このライセンスファイルLをユーザ端末10に対して送信する(S26)。
【0058】
S26で送信されたライセンスファイルLを受信したユーザ端末10のライセンス取得部43は、このライセンスファイルLを記憶部12内に書き込む(S27)。このときライセンス取得部43は、併せて再生対象となるコンテンツに関連づけられたダミーライセンスファイルDを削除する。正規のライセンスファイルLを取得したことにより、ダミーライセンスファイルDは不要となるからである。さらに、前述したようにユーザ端末10が保持するライセンスファイルの種別情報が記憶部12に記憶されている場合、ライセンス取得部43は、S27の処理の実行時に、この種別情報を、ダミーライセンスファイルDを示す情報から正規のライセンスファイルLを示す情報に書き換える。
【0059】
S21でライセンスファイルLが存在すると判定された場合、及びS27でライセンスファイルLを記憶部12に書き込んだ場合のいずれの場合も、コンテンツ再生制御部42は、このライセンスファイルLを用いて、ユーザが要求したコンテンツ再生の可否を判定し(S28)、コンテンツの利用権限があると判定されれば、コンテンツの再生を開始する(S29)。なお、S28におけるライセンスファイルLを用いた判定の結果、コンテンツの再生が許可されないと判定された場合、コンテンツ再生制御部42は、コンテンツの再生ができない旨のメッセージを表示するなどして、処理を終了する(異常終了)。
【0060】
なお、以上説明した処理の例においては、ユーザ端末10は、ライセンス管理装置20から取得したライセンスファイルLを記憶部12内に格納し、次回以降、同じユーザが同じコンテンツの再生を指示したときには、記憶部12内のライセンスファイルLを用いて再生の可否を判定することとした。しかしながら、ユーザ端末10は、コンテンツ再生の指示をユーザから受け付けるたびに、ライセンス管理装置20からライセンスファイルLを取得し、取得したライセンスファイルLを用いてコンテンツ再生の可否を判定することとしてもよい。こうすれば、ユーザ端末10が長期間にわたって記憶部12内にライセンスファイルLを保持する必要はなくなり、不正なユーザがライセンスファイルLを改竄するなどのリスクを低減することができる。
【0061】
また、以上の説明においては、ユーザ端末10を一人のユーザが使用し、かつ一人のユーザは一つのユーザ端末10を使用することを想定している。しかしながら、一人のユーザは複数のユーザ端末10を使用してもよい。この場合、本実施形態では、コンテンツの利用権限は、ユーザ単位で付与されることとしている。そのため、同じユーザが複数のユーザ端末10を使用する場合には、この複数のユーザ端末10間で同じライセンスファイルLが共有される必要がある。このような制御を可能とするため、以上説明した処理の例では、ライセンス管理装置20は、一旦ユーザ端末10にライセンスファイルLを提供した後も、記憶部22内にライセンスファイルLを保持しておくこととしている。そして、当該ライセンスファイルLを提供したユーザ端末10以外のユーザ端末10からライセンス取得要求を受け付けた場合でも、それが同じユーザからの要求であれば、記憶部22内に記憶されているライセンスファイルLを提供する。これにより、複数のユーザ端末10に同じライセンスファイルLが提供されることになる。なお、以上の説明と異なり、ライセンス管理装置20は、複数のユーザ端末10のそれぞれに独立にコンテンツの利用権限を付与してもよい。
【0062】
また、複数のユーザが一つのユーザ端末10を利用する場合、これらのユーザは、互いに独立にライセンス管理装置20からライセンスファイルLを取得する必要があることとしてもよい。この場合、各ユーザは、自分がユーザ端末10を使用する際に、例えばパスワードを入力するなどの方法でユーザ認証を受ける。そして、ユーザ端末10は、認証されたユーザに対して利用権限を付与するように、ライセンス管理装置20に対してライセンス取得要求を送信する。こうすれば、複数のユーザが一つのユーザ端末10を共用する場合であっても、ライセンス管理装置20は各ユーザに独立に利用権限を付与することができる。
【0063】
あるいは、一つのユーザ端末10を複数のユーザが共用する場合、これらのユーザ間ではライセンスファイルLを共有できることとしてもよい。この場合、例えばユーザ端末10が、一人のユーザについてあるコンテンツを再生するためのライセンスファイルLを取得すれば、このライセンスファイルLによって許可される範囲内で、他のユーザも同じコンテンツを視聴できる。ただし、これまで説明したように、本実施形態では、レンタル型のコンテンツについては、最初に当該コンテンツの再生をユーザが指示したタイミングから、利用可能時間PHの進行が開始する。そのため、例えばあるユーザが対価を支払うなどしてレンタル型のコンテンツの利用権限を取得した場合に、その利用可能時間PHの進行が他のユーザの視聴を契機として開始してしまうのは好ましくない。そこで、レンタル型のコンテンツに関しては、初回のコンテンツ再生開始時(すなわち、まだライセンスファイルLを取得できておらず、ダミーライセンスファイルDが記憶部12に記憶されている状態でのコンテンツ再生開始時)には、ユーザ端末10は、当該コンテンツの再生を指示したユーザと、ダミーライセンスファイルDの取得を指示したユーザとが一致するか否かの判定を行い、一致する場合にのみ、ライセンス管理装置20に対してライセンス取得要求を送信することとしてもよい。
【0064】
なお、以上の説明では、コンテンツの再生開始時のみライセンスファイルLを用いてコンテンツの利用権限があるか否かの判定を行うこととしているが、ライセンスファイルLに有効期限XDの情報が含まれる場合、ユーザ端末10は、コンテンツの再生中にも、有効期限XDが到来するか否かを監視することとしてもよい。その結果、コンテンツの再生途中で有効期限XDが到来した場合、ユーザ端末10はコンテンツの再生を終了する。なお、この場合において、ユーザ端末10は、有効期限XDが到来するより前の所定のタイミングで、有効期限XDの到来が近いことをユーザに知らせる警告メッセージを出力してもよい。特にゲームコンテンツの場合、ゲームの実行途中で有効期限XDが到来してしまい、突然ゲームが終了してしまうのは望ましくない。そこで、このような警告メッセージを出力することで、ユーザは有効期限XDが到来してしまう前に例えばゲームの実行状態を保存(セーブ)するなどの対応をとることができる。なお、この警告メッセージの出力タイミングは、例えば有効期限XDの5分前など、予め定められた時間だけ有効期限XDより以前のタイミングであってよい。あるいは、コンテンツごとに定められた時間だけ有効期限XDより以前のタイミングであってもよい。この場合、各コンテンツの警告タイミングを規定する情報は、当該コンテンツのデータに含まれてユーザ端末10に提供されてもよいし、ライセンス管理装置20がライセンスファイルLの生成時に当該ライセンスファイルL内に含めてもよい。
【0065】
なお、本発明の実施の形態は、以上説明したものに限られない。例えば以上の説明ではライセンス管理装置20がライセンスファイルLだけでなくコンテンツもユーザ端末10に対して配信することとしたが、コンテンツの配信はライセンス管理装置20とは別のコンテンツ配信装置が実行することとしてもよい。また、以上の説明ではユーザ端末10がライセンス管理装置20から提供される仮有効期限TXD及び利用可能時間PHの情報を用いてダミーライセンスファイルDを生成することとしたが、これに限らず、例えばライセンス管理装置20がダミーライセンスファイルDを生成してユーザ端末10に送信することとしてもよい。また、以上説明した有効期限XDや利用可能時間PHの制限と組み合わせて、コンテンツにはこれ以外にも各種の利用許可条件が設定されてよい。
【符号の説明】
【0066】
1 コンテンツ保護システム、10 ユーザ端末、11,21 制御部、12,22 記憶部、13,23 通信部、14,24 計時部、15 操作部、16 出力部、20
ライセンス管理装置、30 通信ネットワーク、41 コンテンツ取得部、42 コンテンツ再生制御部、43 ライセンス取得部、44 コンテンツ配信部、45 ライセンス情報提供部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と、ライセンス管理装置と、を含むコンテンツ保護システムであって、
前記ユーザ端末は、
コンテンツを再生又は実行する際に、当該コンテンツの利用権限があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記コンテンツの利用権限がないと判定される場合に、前記ライセンス管理装置に当該コンテンツの利用権限の取得を要求する利用権限要求手段と、
を含み、
前記ライセンス管理装置は、
前記利用権限の取得を前記ユーザ端末から要求された場合に、当該要求を受け付けた時期に応じて設定された有効期限の情報を含むライセンス情報を生成するライセンス情報生成手段と、
前記生成したライセンス情報を前記ユーザ端末に送信するライセンス情報送信手段と、
を含み、
前記判定手段は、前記ライセンス管理装置から受信したライセンス情報により示される有効期限が到来するまでの間、当該コンテンツの利用権限があると判定する
ことを特徴とするコンテンツ保護システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ保護システムにおいて、
前記ライセンス情報生成手段は、前記要求を受け付けた時期から予め定められた利用可能時間だけ経過した時期に応じて設定された有効期限の情報を含むライセンス情報を生成する
ことを特徴とするコンテンツ保護システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコンテンツ保護システムにおいて、
前記ユーザ端末は、前記コンテンツを取得する際に、当該コンテンツに対する仮のライセンス情報を生成する手段をさらに含み、
前記利用権限要求手段は、前記仮のライセンス情報が存在する場合に、前記ライセンス管理装置に前記コンテンツの利用権限の取得を要求する
ことを特徴とするコンテンツ保護システム。
【請求項4】
請求項3に記載のコンテンツ保護システムにおいて、
前記仮のライセンス情報には、仮の有効期限の情報が含まれ、
前記ユーザ端末は、前記コンテンツの利用権限に関する情報として、前記ライセンス情報を取得する前には、前記仮の有効期限を表示し、前記ライセンス情報を取得した後には、当該ライセンス情報により示される有効期限を表示する手段をさらに含む
ことを特徴とするコンテンツ保護システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコンテンツ保護システムにおいて、
前記利用権限要求手段は、前記ライセンス管理装置に前記コンテンツの利用権限の取得を要求する際に、前記コンテンツの再生又は実行を指示したユーザを特定するユーザ特定情報を前記ライセンス管理装置に送信し、
前記ライセンス情報生成手段は、前記ユーザ特定情報により特定されるユーザに対して前記コンテンツの利用権限を付与するライセンス情報を生成済みか否かを判定し、生成済みでない場合に、新たに当該ユーザに対するライセンス情報を生成し、
前記ライセンス情報送信手段は、前記ユーザ特定情報により特定されるユーザに対して前記ライセンス情報を生成済みである判定された場合には、当該生成済みのライセンス情報を前記ユーザ端末に送信する
ことを特徴とするコンテンツ保護システム。
【請求項6】
ライセンス管理装置と接続され、
コンテンツを再生又は実行する際に、当該コンテンツの利用権限があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記コンテンツの利用権限がないと判定される場合に、前記ライセンス管理装置に当該コンテンツの利用権限の取得を要求する利用権限要求手段と、
を含み、
前記判定手段は、前記利用権限の取得要求に応じて前記ライセンス管理装置から受信したライセンス情報により示される、前記ライセンス管理装置が前記利用権限の取得要求を受け付けた時期に応じて設定された有効期限が到来するまでの間、当該コンテンツの利用権限があると判定する
ことを特徴とするユーザ端末。
【請求項7】
ライセンス管理装置と接続されたユーザ端末を用いたコンテンツ保護方法であって、
前記ユーザ端末が、
コンテンツを再生又は実行する際に、当該コンテンツの利用権限があるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記コンテンツの利用権限がないと判定される場合に、前記ライセンス管理装置に当該コンテンツの利用権限の取得を要求する利用権限要求ステップと、
を実行し、
前記判定ステップでは、前記利用権限の取得要求に応じて前記ライセンス管理装置からライセンス情報を受信した場合に、当該ライセンス情報により示される、前記ライセンス管理装置が前記利用権限の取得要求を受け付けた時期に応じて設定された有効期限が到来するまでの間、当該コンテンツの利用権限があると判定する
ことを特徴とするコンテンツ保護方法。
【請求項8】
ライセンス管理装置と接続されたコンピュータを、
コンテンツを再生又は実行する際に、当該コンテンツの利用権限があるか否かを判定する判定手段、及び
前記判定手段により前記コンテンツの利用権限がないと判定される場合に、前記ライセンス管理装置に当該コンテンツの利用権限の取得を要求する利用権限要求手段、
として機能させるためのプログラムであって、
前記判定手段は、前記利用権限の取得要求に応じて前記ライセンス管理装置から受信したライセンス情報により示される、前記ライセンス管理装置が前記利用権限の取得要求を受け付けた時期に応じて設定された有効期限が到来するまでの間、当該コンテンツの利用権限があると判定する
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−18662(P2012−18662A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266999(P2010−266999)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】