説明

コンテンツ再生装置およびコンテンツ配信システム

【課題】コンテンツのCMの再生状態がコンテンツ提供者の意図に沿ったものか否かをサーバ側で判別する。
【解決手段】コンテンツ本編に挿入されたCMを構成するGOPのヘッダであるRDIパックのMNFI_DTにCM毎の連続番号であるシーンIDと、CMを構成するGOP毎の連続番号である連続カウンタとからなる場面データを記述したコンテンツをクライアントに送信する。クライアントは受信したコンテンツを記録媒体へ記録し、記録媒体から読み出したコンテンツを再生する。コンテンツの再生中にシーンDI、連続カウンタ値の連続性に基づいてCM部分が通常再生されたか、早送り再生、あるいはスキップされたかを検出し、検出した再生状態をサーバへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はサーバからダウンロードしたコンテンツを再生するコンテンツ再生装置およびコンテンツ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコンテンツ配信者は配信するコンテンツにある企業のコマーシャル(以下、CMと略称する)を挿入して企業から広告収入を得ている。しかし、HDDレコーダ等の記録再生装置の普及により、ユーザは配信コンテンツを一旦記録媒体に記録し、CM部分をスキップして再生することが可能となっている。これは、企業にとってCMの価値が下がることになり、好ましくない。このため、ユーザにCMの視聴を促す技術が種々開発されている。一例として特許文献1に記載のコンテンツ受信記録再生装置はコンテンツの再生要求があった際には(ステップ401)、当該再生要求のあったコンテンツの再生処理を行う(ステップ402)。当該コンテンツの再生処理に伴い、これに含まれる各CM部分の再生がされたと判断(当該判断は、制御部231によって記憶部232に格納されているCM情報テーブル60から各CMの記録場所を取得し、当該記録場所のデータが再生されたか否かを判別することによって行われる)された場合には(ステップ403)、CM情報テーブル60の当該各CM部分に該当する視聴履歴フラグを“1”にし(ステップ405)、当該再生されたCMのCM情報と視聴履歴フラグとを、コンテンツ受信記録再生装置23の装置識別情報とともにコンテンツ配信サーバ3へと送信する(ステップ406)。これにより、コンテンツ配信側でのCM視聴状況の判別を可能とさせる。
【0003】
また、コンテンツの再生要求があった場合に、未視聴のCMが所定量を超えている場合には(ステップ901)、強制的に未視聴CMの再生処理を行い(ステップ902)、未視聴CMが所定量を下回った場合にのみ指示されたコンテンツの再生処理を行うようにすることで、より未視聴CMの視聴を促すようにすることもできる。
【0004】
特許文献1では、コンテンツ配信サーバ3はCMが再生されたか否かは判別できるが、どのように再生されたかは不明である。例えば、倍速再生したか等倍再生したのかは判別できなかった。そのため、CM付きのコンテンツの配信者が意図する再生状態(通常は等倍再生)でCMが再生されたか否か判別することはできなかった。
【特許文献1】特開2007−194765号公報(段落0033、段落0041、図4、図9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来のコンテンツ配信システムでは配信サーバ側はCMの再生状態を判別することができないという欠点がある。
【0006】
本発明の目的は、コンテンツの一場面の再生状態がコンテンツ提供者の意図に沿ったものか否かをサーバ側で判別できるコンテンツ再生装置およびコンテンツ配信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決し目的を達成するために、本発明は以下に示す手段を用いている。
【0008】
本発明の一態様によれば、コンテンツ再生装置は識別情報を有する場面を含むコンテンツを受信する手段と、受信したコンテンツを記録媒体へ記録する手段と、前記記録媒体から読み出したコンテンツを再生する手段と、コンテンツの再生中に前記場面の再生状態を検出し、検出した状態をサーバへ送信する手段とを具備するものである。
【0009】
本発明の一態様によれば、コンテンツ配信システムはダウンロードしたコンテンツを記録媒体へ記録する手段を具備するクライアントと、前記クライアントが接続され得るサーバとからなるコンテンツ配信システムにおいて、前記サーバは前記クライアントから要求されたコンテンツに識別情報を有する場面を挿入して前記クライアントへ送信する手段を具備し、前記クライアントは前記記録媒体から読み出したコンテンツを再生する手段と、コンテンツの再生中に前記場面の識別情報を再生し、再生した識別情報に基づいて前記場面の再生状態を検出し、検出した状態を示す状態情報をサーバへ送信する手段を具備し、前記サーバは前記状態情報に基づいて前記場面が通常再生されたか否かを判定する手段を具備するものである。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、コンテンツの特定の場面に識別情報を組み込んだことにより、サーバ側で該特定の場面の再生状態を認識することができ、該場面の再生状態がコンテンツ提供者の意図に沿ったものか否かをサーバ側で判別することできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明によるコンテンツ再生装置およびコンテンツ配信システムの実施の形態を説明する。
【0012】
第1の実施の形態
図1は本発明の第1の実施の形態に係るコンテンツ再生装置とサーバとからなるコンテンツ配信システムの構成を示す図である。コンテンツ再生装置である記録再生装置10がネットワーク12を介してコンテンツ配信サーバ14に接続される。記録再生装置10はクライアントとも呼ばれる。記録再生装置10には再生映像を表示するモニタ装置16が接続される。
【0013】
コンテンツ配信サーバ14は配信されるコンテンツ、CM、アンケートを記憶するデータベース22と、制御CPU部26と、ネットワーク12に接続される通信ポート34とからなる。
【0014】
本実施形態では、コンテンツには本編の間にCMが挿入されており、CMには場面データ(詳細は後述)が付加されている。場面データとはシーンID(CMのIDと等価であり、CM毎に付される連続番号)と、連続カウンタ(1つのCMにおいてGOP毎に付される連続番号)と、アンケートID(通常、CM毎に付される)を含む。本システムは、CMの視聴後に当該CMの内容に関するクイズのようなアンケートを配信し、視聴者がアンケートに対する適切な回答を返信すると何か特典が貰える。これにより、CMのより確実な視聴を促すことができる。
【0015】
制御CPU部26はコンテンツ・アンケート送信処理部28と、アンケートID・アンケート回答受信処理部30と、シーンID・再生状態情報・マシンID受信処理部32とからなる。再生状態情報は再生装置の再生状態が変化した時(再生開始時、再生停止時、スキップ時、早送り再生開始時)にサーバへその旨を伝えるための情報である。マシンIDは当該コンテンツを再生する再生装置のIDである。
【0016】
記録再生装置10の一例はハードディスク装置内蔵のDVD記録再生機である。記録再生装置10はハードディスクドライブ部46で保存されたコンテンツをDVDドライブ部42によりDVD44に記録する。記録再生装置10はネットワーク12と接続される通信ポート72と、制御CPU部56と、ユーザ操作入力部74と、メモリ部52と、チューナ部54と、記録再生信号処理部50も含む。
【0017】
ユーザ操作入力部74はリモートコントローラ、操作パネル等のユーザの種々の指示を入力するものである。制御CPU部56はコンテンツ・アンケート受信処理部58と、再生モード処理部60、シーン検出処理部62、シーン内アンケート処理部64、再生モードとシーン照合処理部66と、アンケートID・アンケート回答送信処理部68と、シーンID・再生状態情報・マシンID送信処理部70とからなる。再生モードは通常再生、早送り再生、スキップ等を含む。メモリ部52は場面データを格納する。
【0018】
本実施形態では配信するコンテンツはDVD−VR規格に従ったコンテンツであるとする。図2は本実施形態のDVD−VRフォーマットのコンテンツのデータフォーマットを示す。
【0019】
例えば、0.5秒(15枚の画面)程度の画面(ピクチャ)をグループ化してGOP(グループオブピクチャ)が形成される。幾つかのGOPでCMが構成される。実施形態では、本編の間に数個のCMが連続して配置される。1GOP内の画面データの中には少なくとも1枚は完結情報(前後画面の情報を利用せず1枚だけで閉じた画面データであり、Iピクチャと称する)を含み、この完結情報を元に1GOP内の画面データがランダムアクセス可能である。各GOPの前にはRDI(リアルタイムデータインフォメーション)パックが配置される。
【0020】
RDIパックは14バイトのパックヘッダと、24バイトのシステムヘッダと、6バイトのパケットヘッダと、1バイトのサブストリームIDと、2003バイトのRDIデータからなるトータル2048バイトのデータである。パケットヘッダとサブストリームIDとRDIデータはRDI_PKTとも称される。
【0021】
図3に示すように、RDIデータはRBP(相対バイト位置)0〜15の16バイトのRDI_GI(リアルタイムデータインフォメーションジェネラルインフォメーション)フィールドと、RBP16〜23の8バイトのDCI_CCI(ディスプレイコントロールインフォメーションとコピーコントロールインフォメーション)フィールドと、RBP24〜1994の1971バイトのMNFI(マニュファクチャラーズインフォメーション)フィールドと、RBP1995〜2002の8バイトのリザーブフィールドのトータル2003バイトからなる。リザーブフィールドは著作権保護のためにリザーブされている。
【0022】
RDI_GIは後続のビデオデータとの同期をとるための再生状態情報と録画時間とからなり、RBP0〜1の2バイトのリザーブフィールドと、RBP2〜7の6バイトのVOBU_S_PTM(VOBUの開始PTM)フィールドと、RBP8〜10の3バイトのリザーブフィールドと、RBP11〜15の5バイトのVOBU_REC_TM(VOBUの記録時間)フィールドのトータル16バイトからなる。
【0023】
DCI_CCIはDCI・CCIのステータスと、アスペクト比、サブタイトルモード、フィルムカメラモード等の表示制御情報(DCI)と、コピー世代管理情報等のコピーコントロール情報(CCI)からなる
MNFIはRBP24〜26の3バイトのリザーブフィールドと、RBP27〜58の32バイトのMNF_ID(マニュファクチュラID)フィールドと、RBP59〜1994の1936バイトのMFNI_DT(マニュファクチュラズインフォメーションデータ)フィールドのトータル1971バイトからなる。
【0024】
MNF_IDはMDFI_DTのマニュファクチュラIDを記述する。マニュファクチュラIDはマニュファクチュラ(機器製造会社)に固有の情報である。MFNI_DTはマニュファクチュラ独自の情報を記述する。
【0025】
MFNI_DTのRBP0〜7の8バイトはシーンID、RBP8〜9の2バイトは連続(continuous)カウンタ、RBP10〜14の5バイトはアンケートIDであリ、これらはCM部分のGOPのRDIパックについては記述されるが、本編コンテンツのGOPのRDIパックについては記述されない。なお、MFNI_DTの残りの1921バイトについては他のデータが適宜記述されるので、本編コンテンツについても記述される場合がある。
【0026】
シーンIDは1つのCMコンテンツに対する識別番号であリ、挿入したCMにその順番に連続番号が付けられる。図2の例では、CM1を構成するGOPのRDIにはシーンID(=1)が、CM2を構成するGOPのRDIにはシーンID(=2)が、CM3を構成するGOPのRDIにはシーンID(=3)が記述される。1つのCMコンテンツは複数のGOPから構成されることが殆どであるので、1つのCMコンテンツを構成するGOPのIDとしてGOP毎に連続カウンタが設けられる。CM1の1番目のGOPのRDIには連続カウンタ(=1)が、2番目のGOPのRDIには連続カウンタ(=2)が、3番目のGOPのRDIには連続カウンタ(=3)が、…記述される。アンケートIDは当該CMに関連するアンケートを識別するIDである。アンケートIDは各RDIパックに記述する必要は無く、CMコンテンツを構成するGOPの少なくともいずれか1つ、例えば一番最初あるいは一番最後のGOPのRDIのみに記述するだけでもよい。これは、CMコンテンツ毎に1つのアンケートが決まっているので、各GOP毎に記述しておく必要がないからである。
【0027】
記録再生信号処理部50は図4に示すようにDVD44、ハードディスク等の記録媒体から読み出したデータストリーム(記録情報)をRDIパック82と、GOPを構成するビデオパック86、オーディオパック88、サブピクチャパック84とに分解するデマルチプレクサ80からなる。RDIパック82は制御CPU部56に供給され、シーンID、連続カウンタ、アンケートIDが制御CPU部56で処理される。サブピクチャパック84とビデオパック86はビデオデコーダ90に、オーディオパック88はオーディオデコーダ92に供給され、映像・音声がモニタ装置16で再生される。
【0028】
図5は本コンテンツ配信システムの再生動作を示すフローチャートである。記録再生装置10は図5のブロック#102でコンテンツを購入(無料の場合は単に視聴)することを決定し、コンテンツのダウンロードを要求する。サーバ14はブロック#202でコンテンツにCMを挿入する(図2参照)。CM部分のGOPのヘッダであるRDIパック内のMNFI_DT内に場面データ(図3のシーンID、連続カウンタ、アンケートID)を書き込む。サーバ14はブロック#204でCM、場面データを付加したコンテンツを、ダウンロード要求があった記録再生装置10に送信する。
【0029】
記録再生装置10はブロック#104でコンテンツを受信すると、ブロック#106でコンテンツを記録する。なお、コンテンツの配信フォーマットは図2のフォーマットではなく、所定のフォーマットであるが、記録時に図2のフォーマットに変換(データの再配置)される。
【0030】
ブロック#108でコンテンツの再生を開始する。ブロック#110で再生部分はCM部分であるか否かを判定する。CM部分のGOPのRDIパックにのみ場面データが記述されているので、シーンIDを検出すると、CM部分が再生されていることを判定できる。CM部分の再生(シーンID)を検出するまでブロック#110が繰り返される。シーンIDを検出すると、ブロック#112でシーンID、再生開始情報、マシンIDを送信する。再生開始情報はシーンIDで特定されるCM部分の再生開始(通常再生)を表すものである。マシンIDは当該記録再生装置10を特定する情報である。
【0031】
サーバ14はブロック#206でシーンID、通常再生開始情報、マシンIDを受信する。サーバ14は受信データに基づいて記録再生装置10がCMを通常再生開始したことを認識する。
【0032】
記録再生装置10はブロック#114で各RDIパック内のMNFI_DT内のシーンIDが変化したか否かを判定する。1つのCMの通常再生が終わり、他のCMの再生が開始すると、シーンIDが変化する。シーンIDが変化していない場合は、同じCMの通常再生中であり、ブロック#128の処理が実行される。シーンIDが変化した場合は、記録再生装置10はブロック#116でシーンIDが連続的に変化したか否かを判定する。連続して変化した場合は、1つのCMの通常再生から連続する次のCMの通常再生に移ったことを意味するので、ブロック#122の処理が実行される。
【0033】
シーンIDが連続的に変化していない場合は、CMがスキップされた可能性があると判断できる。あるCMのスキップをコンテンツ提供者が再生状況に応じて指示(プレイリストに記載)することがある。そのため、ブロック#118でスキップがコンテンツ提供者の指示(意図)であるか否か判定する。スキップがコンテンツ提供者の指示ではない場合、CMが(コンテンツ提供者の意図に反してユーザの操作により)スキップされたと判定し、ブロック#120で記録再生装置10はスキップ開始情報(通常再生された最後のGOPのRDIのシーンIDも含む)をサーバ14へ送信する。サーバ14はブロック#208で記録再生装置10がCMをスキップ開始したことを認識する。記録再生装置10はブロック#120の処理の後、ブロック#136の処理を実行する。
【0034】
スキップがコンテンツ提供者の指示ではない場合、記録再生装置10はブロック#122で通常再生が終了したCMの最後のGOPのRDIに記述されているアンケートIDをサーバ14へ送信する。サーバ14はブロック#210でアンケートIDを受信すると、IDに応じたアンケートを記録再生装置10へ送信する(ブロック#212)。記録再生装置10はブロック#124でアンケートを受信して、アンケート内容を表示し、視聴者に回答を入力させる。アンケートはCMを視聴していないと正解できないクイズを含み、これにより現実には視聴しないがCMを再生するだけの状況を防止できる。アンケートの回答のサーバ14への送信は保留する。これは、頻繁なサーバへのアクセスを防止するためである。
【0035】
記録再生装置10はブロック#126でアンケートIDを送信したCMのシーンIDを記憶する。
【0036】
記録再生装置10はブロック#128で連続カウンタの値が連続しているか否かを判定する。CMが通常再生されている間は、再生に従いGOPが変化すると、連続カウンタも連続して変化する。連続カウンタが不連続に変化している時はスキップ(GOPがスキップ)された場合であるので、ブロック#130でスキップ開始情報(通常再生された最後のGOPのRDIのシーンIDも含む)をサーバ14へ送信する。サーバ14はブロック#214で記録再生装置10がCMの通常再生からスキップに切り替わったことを認識する。記録再生装置10はブロック#130の処理の後、ブロック#136の処理を実行する。
【0037】
連続カウンタが連続に変化していても、通常再生とは限らず早送り再生している場合がある。図2に示すように各GOPは0.5秒間隔で配置されているので、通常再生の場合はRDIは所定(0.5秒)の間隔で再生される。そのため、記録再生装置10はブロック#132で連続カウンタの連続変化のレートが所定のレート以上か否かを調べることにより、通常再生か早送り再生かを判別できる。連続変化のレートが所定レート以上である場合は、早送り再生であると判定できるので、ブロック#134で早送り再生開始情報(通常再生された最後のGOPのRDIのシーンIDも含む)をサーバ14へ送信する。サーバ14はブロック#216で記録再生装置10がCMの通常再生から早送り再生に切り替わったことを認識する。記録再生装置10はブロック#134の処理の後、ブロック#136の処理を実行する。
【0038】
連続変化のレートが所定レート以上で無い場合は、通常再生が続行していると判定できる。記録再瀬装置10はブロック#136で再生停止の指示の有無を判定する。再生停止指示が無い場合は、ブロック#112の処理を実行する。再生停止指示があった場合は、記録再生装置10はブロック#138で停止情報と、今までに入力していて送信を保留していたアンケート回答をサーバ14へ送信する。サーバ14はブロック#218で停止情報とアンケート回答を受信する。
【0039】
サーバ14はCMが通常再生され、アンケートIDが記録再生装置10から送信されると、ユーザに特典を与える。特典としては、商品・サービスの次回購入時に有効な割引等がある。さらに、正解するためにはCMの視聴が条件であるアンケート回答が正解である場合は、さらなる特典を視聴者へ与える。これにより、ユーザのCMの視聴を促すことが出来る。
【0040】
一例として、ユーザが記録再生装置10を操作してサーバ14にアクセスし「歌手AAA」のライブビデオを購入したとする。サーバ14はユーザの購入履歴から「歌手AAA」に関する情報を収集し、それに応じたCMをライブビデオに付加するとともに、CM部分のRDIに場面データを記述してから、コンテンツを記録再生装置10へ送信する。
【0041】
ユーザがライブビデオを再生し、CM部分の再生になると、場面データを再生し、再生状況に応じた情報をサーバ14へ送信する。CMが通常再生されたことを認識すると、サーバ14は次回購入時に有効な割引の特典をユーザに与え、正しいアンケート回答が送信されると、さらなる特典(無料等)を視聴者へ与える。
【0042】
図6はある再生状態の一例における記録再生装置10からサーバ14への送信情報の内容と送信タイミングを説明するための図である。ここでは、本編の間に5つのCMが連続して挿入されている例を説明する。CM1は通常再生され、CM2は全体がスキップされ、CM3は途中で逆方向にスキップされ、そこから通常再生が再開され、CM4は途中で通常再生が終了され、CM5の開始までスキップされ、CM5は通常再生される。
【0043】
CM1の通常再生開始時(t1)にCM1の通常再生開始を示す通常再生信号S1がサーバ14に送信される。
【0044】
CM1の通常再生終了時(t2)にCM1のアンケートID(=00001)とCM2のスキップ信号(ID=00002)がサーバ14に送信される。CM2は通常再生開始とともにスキップされ、次にCM3が通常再生される。
【0045】
CM3の再生開始時(t3)にCM3の通常再生開始を示す通常再生信号S3がサーバ14に送信される。
【0046】
CM3の通常再生途中のタイミングt5でCM3のスキップを示すスキップ信号(ID=00003)がサーバ14に送信される。
【0047】
スキップ後のタイミングt4でCM3の通常再生開始を示す通常再生信号S3がサーバ14に送信される。
【0048】
CM4の通常再生途中のタイミングt7でCM3のスキップを示すスキップ信号(ID=00004)がサーバ14に送信される。
【0049】
CM5の通常再生開始時(t8)でCM5の通常再生開始を示す通常再生信号S5がサーバ14に送信される。
【0050】
CM5の通常再生が終了し、停止指示が入力されるとする。すると、タイミングt9でCM5のアンケートID(=00005)と、CM再生終了信号がサーバ14に送信される。
【0051】
なお、図6では早送り再生は示しておらず、スキップしか示していないが、早送り再生の場合も同様に早送り再生を検出したら早送り再生信号をサーバ14に送信する。
【0052】
以上説明したように第1の実施の形態によれば、CM部分のRDIパック内のMNFI_DT内にCMを識別する連続番号であるシーンIDと、CM内のGOPに対して連続して付された連続番号である連続カウントと、CMに対応するアンケートIDを記述することにより、記録再生装置10はコンテンツの再生中にシーンIDあるいは連続カウンタの変化状況に応じてCMが通常再生されているのか、早送り再生されているのか、スキップされたのかを認識することができる。認識結果は通常再生開始信号、早送り再生開始信号、スキップ信号として、サーバ14に送信される。このため、コンテンツ提供者側は視聴者が自分が意図した再生状態(通常再生状態)でCMを再生しているか否かを認識することができる。記録再生装置10からサーバ14への送信は再生状態が変化する時に行われるが、即時性の必要とされないアンケート回答はその都度送信せずに、次の送信の機会まで保留される。このため、サーバアクセスの回数を減らしてサーバの負荷を軽減し、合わせてクライアント機器側の処理の効率を上げている。
【0053】
以上本発明によれば、コンテンツのCM部分に再生状況を検出するための場面データを記述し、CMの再生中に読み出された場面データに基づいてCMコンテンツの再生状況を判断し、判断結果をコンテンツ配信サーバへ送信することにより、サーバはCMがコンテンツの配信者が意図する再生状態が再生されたか否かを判別することはできる。これにより、配信者はCMの視聴を促進する策を講じることが出来る。
【0054】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。例えば、場面データにアンケートIDを含ませて、CMが通常再生されたらアンケートを送信したが、これは省略してもよい。また、早送り再生やスキップをシーンIDや連続カウンタの変化の連続性に基づいて判定したが、これに限らず、ユーザ操作入力部74からの操作指示に応じて判定しても良い。
【0055】
また、本発明は、コンピュータに所定の手段を実行させるための(あるいはコンピュータを所定の手段として機能させるための、あるいはコンピュータに所定の機能を実現させるための)プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体としても実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録再生装置と、コンテンツ配信サーバとからなるコンテンツ配信システムの概略を示すブロック図。
【図2】コンテンツの一例としてのDVD−VR規格のコンテンツのデータフォーマットを示す図。
【図3】図2のRDIデータの詳細の一例を示す図。
【図4】図1の記録再生信号処理部の一例の詳細を示す図。
【図5】図1のシステムの動作を示すフローチャート。
【図6】図1のシステムでクライアントからサーバへ送信される情報とそのタイミングを説明するための図。
【符号の説明】
【0057】
10…記録再生装置、12…ネットワーク、14…コンテンツ配信サーバ、16…モニタ装置、22…データベース、26…制御CPU部、42…DVDドライブ部、46…ハードディスクドライブ部、50…記録再生信号処理部、56…制御CPU部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツ配信サーバに接続され得るコンテンツ再生装置において、
識別情報を有する場面を含むコンテンツを受信する手段と、
受信したコンテンツを記録媒体へ記録する手段と、
前記記録媒体から読み出したコンテンツを再生する手段と、
コンテンツの再生中に前記場面の再生状態を検出し、検出した状態をサーバへ送信する手段と、
を具備するコンテンツ再生装置。
【請求項2】
前記場面は複数の画面グループからなり、該画面グループは複数の画面からなり、該画面グループは場面の識別情報と、画面の識別情報とを含むヘッダが付加されており、
前記送信手段は、前記場面の識別情報、前記画面の識別情報に応じて前記場面の再生状態を検出する請求項1記載のコンテンツ再生装置。
【請求項3】
前記場面を構成する画面グループのヘッダは場面に応じたアンケートの識別情報をさらに含み、
前記送信手段は前記場面の通常再生が終了すると、前記アンケートの識別情報を前記サーバへ送信する請求項2記載のコンテンツ再生装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記場面の通常再生開始、通常再生終了、再生状態の変化を示す情報を前記サーバへ送信する請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載のコンテンツ再生装置。
【請求項5】
前記場面の再生状態の変化は通常再生から早送り再生への変化、通常再生からスキップへの変化、早送り再生から通常再生への変化、スキップから通常再生への変化を含むことを特徴とする請求項4記載のコンテンツ再生装置。
【請求項6】
ダウンロードしたコンテンツを記録媒体へ記録する手段を具備するクライアントと、前記クライアントが接続され得るサーバとからなるコンテンツ配信システムにおいて、
前記サーバは前記クライアントから要求されたコンテンツに識別情報を有する場面を挿入して前記クライアントへ送信する手段を具備し、
前記クライアントは前記記録媒体から読み出したコンテンツを再生する手段と、
コンテンツの再生中に前記場面の識別情報を再生し、再生した識別情報に基づいて前記場面の再生状態を検出し、検出した状態を示す状態情報をサーバへ送信する手段を具備し、
前記サーバは前記状態情報に基づいて前記場面が通常再生されたか否かを判定する手段を具備するコンテンツ配信システム。
【請求項7】
前記場面は複数の画面グループからなり、該画面グループは複数の画面からなり、該画面グループは場面の識別情報と、画面の識別情報とを含むヘッダが付加されており、
前記クライアントの送信手段は、前記場面の識別情報、前記画面の識別情報に応じて前記場面の再生状態を検出する請求項6記載のコンテンツ配信システム。
【請求項8】
前記場面を構成する画面グループのヘッダは場面に応じたアンケートの識別情報をさらに含み、
前記クライアントの送信手段は前記場面の通常再生が終了すると、前記アンケートの識別情報を前記サーバへ送信し、
前記サーバは前記アンケートの識別情報に応じたアンケートを前記クライアントに送信する請求項7記載のコンテンツ配信システム。
【請求項9】
前記クライアントの送信手段は、前記場面の通常再生開始、通常再生終了、再生状態の変化を示す情報を前記サーバへ送信する請求項6乃至請求項8のいずれか一項記載のコンテンツ配信システム。
【請求項10】
前記場面の再生状態の変化は通常再生から早送り再生への変化、通常再生からスキップへの変化、早送り再生から通常再生への変化、スキップから通常再生への変化を含むことを特徴とする請求項9記載のコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−141435(P2009−141435A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−312814(P2007−312814)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】