説明

コンテンツ受信再生蓄積装置

【課題】メタデータが付加された動画像等のコンテンツを再生及び蓄積中にメタデータが欠落しても受信装置においてコンテンツの再生及び蓄積を可能とする装置を提供する。
【解決手段】本発明によるコンテンツ受信再生蓄積装置は、現在再生セグメントに続いて再生されるべき次期再生セグメントの再生開始時間を判別し、再生開始時間が到来するまでに次期再生セグメントに対応付けられたメタデータを受信できたか否かを判別して、次期再生メタデータを受信できなかった場合、現在再生セグメントに対応付けられたメタデータの少なくとも一部を含むメタデータを次期再生セグメントに対応付けられる補間メタデータとして生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はメタデータが付加された動画像等のコンテンツを受信、再生及び蓄積するコンテンツ受信再生蓄積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルコンテンツ(以下、単にコンテンツと称する)の放送、配信が普及しつつある。コンテンツを再生可能な受信装置は既に広く普及しているが、更にコンテンツを蓄積可能な受信装置もHDD(Hard Disk Drive)内蔵の受信装置等の普及に伴い普及し始めている。コンテンツを蓄積する方法としてコンテンツの分割単位であるセグメントの各々にメタデータを対応付けて蓄積する方法が知られている。コンテンツ(プログラム)とセグメントの関係は例えば非特許文献1に示されている。セグメントに対応付けられるメタデータとしては例えば非特許文献2に示されるセグメントロケーターやキーフレームなどが挙げられる。受信装置がこれらのメタデータを取得する方法としては例えば特許文献1に示されるようにコンテンツ放送時にカルーセル方式で配信されたものを取得する方法やwebサーバなどから別途取得する方法が知られている。
【非特許文献1】Broadcast and On-line Service: Search, select and rightful use of content on personal storage systems (TV-Anytime Phase 1"); Part3: MetadataETSI TS 102 822-3-1 V1.2.1
【非特許文献2】サーバ型放送における符号化、伝送及び蓄積制御方式ARIB STD-B38 1.3版
【特許文献1】特開2002−251328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記したメタデータの取得方法には以下に示すような問題点があった。
【0004】
第1に特許文献1に示されるようにカルーセル方式でメタデータを配信する方法においては、ネットワーク障害等で受信装置がメタデータを受信できなかった場合、コンテンツの再生及び蓄積を開始できない、あるいは、再生及び蓄積処理が途中で停止してしまうという問題点があった。これは、カルーセル方式は通常、所定量のデータを受信しなければ受信完了の状態にならないという方式であるため、メタデータの一部でも欠落するとコンテンツを再生及び蓄積できなくなることに起因する。また、カルーセル方式は通常、受信装置からコンテンツを配信するサーバへデータの一部の配信を要求できない方式でもあるため、一度メタデータが欠落すると受信装置からはコンテンツの再生及び蓄積を制御することができないという問題点があった。
【0005】
第2にメタデータの配信要求をwebサーバに対して行う場合、受信装置がコンテンツを受信できても、メタデータを受信できない事象が発生するという問題点があった。これは、通常、webサーバへの通信はコンテンツの配信に比較して障害が生じやすいためである。また、特定のドメイン間の通信をサービスプロバイダが禁止した場合にも同様に受信装置がコンテンツを受信できても、メタデータを受信できない事象が発生するという問題点があった。
【0006】
更にwebサーバは放送配信局と比較して、例えばDOS(Denial Of Service)攻撃などの外部からの攻撃を受けやすいため、障害も発生しやすい。webサーバに障害が発生しメタデータを配信できなくなると、受信装置がコンテンツを受信できても、メタデータを受信できないという事象が生じる。また、受信装置がwebサーバへメタデータの配信を要求する通信機能を備えていないためにメタデータを受信できず、コンテンツを再生及び蓄積できないという問題点があった。通信機能を備えるには当該機能を実現する部品や装置が別途必要であり相当のコストが必要になるため通信機能を備えていない受信装置も多い。
【0007】
上記したように従来技術においては通信ネットワークや配信サーバの安定性及び信頼性が低下した場合に受信装置がメタデータを受信できず、コンテンツを再生及び蓄積できなくなるという問題点があった。
【0008】
本発明は上記した如き問題点に鑑みてなされたものであって、メタデータが付加された動画像等のコンテンツを再生及び蓄積中にメタデータが欠落しても受信装置においてコンテンツの再生及び蓄積を可能とする装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によるコンテンツ受信再生蓄積装置は、コンテンツを構成する一連のセグメントと前記セグメントの各々に対応付けられたメタデータとを受信する受信部と、前記セグメントと前記メタデータとを蓄積する蓄積部と、前記メタデータを参照しつつ前記セグメントを順次再生する再生部と、を含むコンテンツ受信再生装置であって、前記再生部が現在再生している現在再生セグメントに対応付けられたメタデータに基づいて、当該現在再生セグメントに続いて再生されるべき次期再生セグメントの再生開始時刻を判別する再生時刻判別部と、前記再生開始時刻が到来するまでに前記次期再生セグメントに対応付けられたメタデータを前記受信部が受信したか否かを判別するメタデータ受信判別部と、前記受信部が当該メタデータを受信しなかったと前記メタデータ受信判別部が判別した場合、前記現在再生セグメントに対応付けられたメタデータの少なくとも一部を含むメタデータを前記次期再生セグメントに対応付けられる補間メタデータとしてこれを前記蓄積部に供給する補間メタデータ生成部と、を含むことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明によるコンテンツ受信再生蓄積装置を配信サーバと共に表すブロック図である。
【0012】
配信サーバ1はコンテンツ受信再生蓄積装置2に放送データを配信する(図1中のBC)。本実施例における放送データにはデジタル放送の多重化伝送方式として知られているMPEG2−TS(Moving Picture Experts Group - Transport Stream)方式によって多重化されたデータ(以下、多重化MPEG−TSと称する)が含まれているものとする。また、多重化MPEG−TSには動画像などのコンテンツが多重化されている。更に多重化MPEG−TSにはコンテンツに対応付けられたメタデータも多重化されている場合がある。
【0013】
コンテンツ受信再生蓄積装置2は、受信部3と、多重分離部4と、蓄積部5と、再生部6と、メタデータ処理部7とを含む。
【0014】
受信部3は配信サーバ1から配信される放送データを受信する(同図中のBC)。放送データには上述の如くコンテンツが含まれており、更にメタデータも含まれている場合がある。続いて受信部3は放送データに含まれる多重化MPEG−TSを取り出して多重分離部4に供給する(同図中のMP)。更に受信部3はメタデータ処理部7が発するメタデータ要求を配信サーバ1へ送信する機能も有する(同図中のRQ)。このとき、配信サーバ1がメタデータ要求に応じてメタデータを配信すれば受信部3はこれを受信してメタデータ処理部7へ供給する(同図中のRQ)。
【0015】
多重分離部4は受信部3から供給された多重化MPEG−TSに多重化されているコンテンツを取り出し、当該コンテンツを構成する一連のセグメントを再生部6及び蓄積部5に供給する(同図中のES1及びES2)。また、多重分離部4はメタデータが多重化MPEG−TSに多重化されている場合には、これを取り出しメタデータ処理部7に供給する(同図中のMD1)。図3はコンテンツとセグメントの関係を表す図である。同図に表されるようにコンテンツは通常、一連の複数のセグメント0〜n(nは正整数)からなる。メタデータはこれらセグメントの各々に対応付けられている。セグメントは0、1、・・・、nの順に再生及び蓄積処理がなされる。図4はセグメントに対応付けられるメタデータの例を表す図である。本実施例におけるメタデータはARIB STD-B38「サーバ型放送における符号化、伝送及び蓄積制御方式」に規定されるプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報、デスクリプション情報、セグメントロケーター情報及びキーフレームロケーター情報とする。なお、上記した情報は一例であり、メタデータは上記以外の情報でも良い。メタデータを参照しつつ前記セグメントを順次再生する。
【0016】
蓄積部5は多重分離部4から供給されたセグメント(同図中のES2)を蓄積する。また、蓄積部5はメタデータ処理部7から供給されたメタデータ(同図中のMD4)を蓄積する。
【0017】
再生部6は多重分離部4から供給されるセグメント(同図中のES1)をメタデータを参照しつつ順次、再生する(同図中のPC)。また再生部6は圧縮符号化されたコンテンツを復号する機能を有する。通常、動画像などのコンテンツは圧縮符号化されているため、再生部6はこれに復号処理を施してから動画像を再生する。更に再生部6は復号処理時などにコンテンツに含まれるキーフレームロケーター情報を抽出し、これをメタデータ処理部7に供給する(同図中のKF)。
【0018】
図2はメタデータ処理部7を表すブロック図である。メタデータ処理部7は、メタデータ取得部8と、セグメント管理部9と、補間メタデータ生成部13と、対再生部通信部14と、対蓄積部通信部15とを含む。
【0019】
メタデータ取得部8は外部から供給されるメタデータを取得する。供給されるメタデータとは例えば、多重分離部4から供給されるメタデータ(図1及び2中のMD1)や配信サーバ1から受信部3を経由して供給されるメタデータ(同図中のRQ)である。ただし、メタデータ取得部8はこれら以外からメタデータを取得しても良い。メタデータ取得部8は取得したメタデータをセグメント管理部9に供給する(図2中のMD2)。
【0020】
セグメント管理部9は、再生時刻判別部10と、メタデータ受信判別部11と、メタデータ情報抽出部12と、を含む。
【0021】
セグメント管理部9はメタデータ(同図中のMD3)や生成開始信号など(同図中のCM)を補間メタデータ生成部13に供給する。また、セグメント管理部9はクロック信号を受信している(図2中のCL)。クロック信号はコンテンツ受信再生蓄積装置2の内部で生成したものでも良いし、外部から到来したものでも良い。セグメント管理部9はコンテンツ停止信号を受信したら(同図中のST)、補間メタデータ生成部13に生成停止信号を供給する(同図中のCM)。コンテンツ停止信号は例えばコンテンツ受信再生蓄積装置2のユーザーによる操作や再生蓄積中のコンテンツの終了確認処理などにより発せられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
再生時刻判別部10はクロック信号に基づいて時刻を把握している。また、再生時刻判別部10は把握した時刻と再生部6が現在再生しているセグメント(以下、現在再生セグメントと称する)に対応付けられたメタデータとに基づいて、当該セグメントの再生終了時刻を判別すると共に、当該セグメントに続いて再生されるべきセグメント(以下、次期再生セグメントと称する)の再生開始時刻を判別する。例えば再生時刻判別部10はセグメントロケーター情報に基づいてこれらの時刻を判別する。通常、セグメントロケーター情報には再生開始時刻情報及びセグメント長情報が含まれている。再生時刻判別部10はこれらの情報に基づいてコンテンツ内における各セグメントの再生開始時刻及び終了時刻を判別することができる。
【0023】
セグメント管理部9は現在再生セグメントの再生終了時刻が到来したら、補間メタデータ生成部13に生成停止信号を供給する(同図中のCM)。またセグメント管理部9は次期再生セグメントの再生開始時刻が到来したら補間メタデータ生成部13に生成開始信号を供給する(同図中のCM)。セグメント管理部9は生成開始信号の供給と同時にメタデータを補間メタデータ生成部13に供給する(同図中のMD3)。更にセグメント管理部9はメタデータ上書き信号を補間メタデータ生成部13に供給する場合がある(同図中のCM)。これは現在再生セグメントの再生終了時刻が到来するまでにメタデータ取得部8が現在再生セグメントに対応付けられるメタデータを取得した場合になされる。セグメント管理部9はメタデータ上書き信号の供給と同時にメタデータ取得部8が取得したメタデータを補間メタデータ生成部13に供給する(同図中のMD3)。
【0024】
メタデータ受信判別部11は受信部3がメタデータを受信したか否かを判別する。本実施例においては受信部3が放送データに含まれるメタデータを受信し(図1中のBC)、多重分離部4を経由してこれをメタデータ取得部8へ供給する(図1及び2中のMD1)か、メタデータ要求に応じて配信されたメタデータを直接メタデータ取得部8へ供給する(同図中のRQ)。そのため本実施例におけるメタデータ受信判別部11はメタデータ取得部8がメタデータを取得できたか否かを判別する。
【0025】
メタデータ受信判別部11における判別処理は次の2つである。第1の判別処理は次期再生セグメントの再生開始時刻が到来するまでに当該次期再生セグメントに対応付けられたメタデータをメタデータ取得部8が取得したか否かの判別である。メタデータ受信判別部11が次期再生メタデータを取得できなかったと判別した場合、メタデータ情報抽出部12が現在再生セグメントに対応付けられたメタデータの情報を抽出し、これを補間メタデータ生成部13に供給する。第2の判別処理はメタデータ情報抽出部12が現在再生セグメントに対応付けられるメタデータの情報を抽出してこれを補間メタデータ生成部13に供給した後に、当該現在再生セグメントの再生終了時刻が到来するまでにメタデータ取得部8が当該現在再生セグメントに対応付けられるメタデータを取得したか否かの判別である。メタデータ受信判別部11が当該メタデータを取得できたと判別した場合、セグメント管理部9は当該メタデータを上書き信号と共に補間メタデータ生成部13に供給する。
【0026】
メタデータ情報抽出部12はメタデータ受信判別部11によってメタデータ取得部8が次期再生セグメントに対応付けられたメタデータを取得できなかったと判別された場合、現在再生セグメントに対応付けられたメタデータの情報を抽出する。本実施例において抽出される情報はプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報、デスクリプション情報及びセグメントロケーター情報である。セグメント管理部9はこれらの情報を補間メタデータ生成部13に供給する(図2中のMD3)。
【0027】
補間メタデータ生成部13はセグメント管理部9からメタデータ情報と生成開始信号とを供給されたら(同図中のCM、MD3)、補間メタデータの生成を開始する。図5は補間生成処理の対象及び補間メタデータ生成部13における処理の例を表す図である。補間生成処理の対象となる情報はプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報、デスクリプション情報及びセグメントロケーター情報である。この場合、補間メタデータ生成部13は現在再生セグメントに対応付けられたメタデータに含まれるプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報及びデスクリプション情報を含むメタデータを次期再生セグメントに対応付けられる補間メタデータとして生成する。このとき補間メタデータ生成部13は補間メタデータのセグメント長を現在再生セグメントに対応付けられたメタデータのセグメント長と等しくしてメタデータを生成できる。更にこのとき補間メタデータ生成部13は補間メタデータに現在再生セグメントに対応付けられたメタデータに含まれる再生終了時刻を再生開始時刻として含ませることができる。ここでの再生終了時刻は再生時刻判別部10により判別される。なお、上記したメタデータの情報及び生成処理は一例であり、補間メタデータ生成部13はこれらと異なる情報を処理しても良いし、別の方法で補間メタデータを生成しても良い。
【0028】
また、補間メタデータ生成部13は対再生部通信部14を経由して再生部6から供給されたキーフレームロケーター情報(同図中のKF)を供給されたメタデータに含めることにより補間メタデータを生成する。供給されるキーフレームロケーター情報は通常、現在再生セグメントに対応付けられたものである。また、補間メタデータ生成部13はセグメント管理部9からメタデータと上書き信号とを供給されたら(同図中のMD3、CM)、当該メタデータに含まれる情報を補間メタデータに上書きする。本実施例においては補間メタデータが含む情報の内、プログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報、デスクリプション情報及びセグメントロケーター情報の各々について当該供給されたメタデータの情報を上書きする。なお、上記したメタデータの情報及び生成処理は一例であり、補間メタデータ生成部13はこれらと異なる情報を処理しても良いし、別の方法でメタデータを生成しても良い。また、補間メタデータ生成部13はセグメント管理部9から生成停止信号を供給されたら(同図中CM)、補間メタデータの生成を停止し、対蓄積装置通信部15を経由して補間メタデータを蓄積部5に供給する(図1及び2中のMD4)。
【0029】
対再生部通信部14は再生部6から供給されるキーフレームロケーター情報を補間メタデータ生成部13に中継する(図1及び2中のKF)。対蓄積部通信部15は補間メタデータ生成部13から供給される補間メタデータを蓄積部5に中継する(同図中のMD4)。
【0030】
以下に図6及び7を参照しつつ、コンテンツ受信再生蓄積装置2の動作を説明する。図6はPSI受信処理から補間メタデータ生成処理までの処理ルーチンを表すフローチャートである。
【0031】
コンテンツ受信再生蓄積装置2は最初にPSI(Program Service Information)を受信したら(S11)、PSIに含まれる情報に基づいて受信、再生及び蓄積処理の初期化を行う。ここでのPSIは放送において再生に必要な情報の総称である。コンテンツ受信再生蓄積装置2はコンテンツを構成する先頭セグメント(図3におけるセグメント0)に対応付けられるメタデータを受信したら(S12)、再生及び蓄積処理を開始する(S13)。以降、補間メタデータ生成処理を実行しつつ再生及び蓄積処理を継続する(S14)。
【0032】
図7は補間メタデータ生成処理ルーチンを表すフローチャートである。
【0033】
最初にメタデータ受信判別部11は、次期再生セグメントの再生開始時刻が到来するまでに次期再生セグメントに対応付けられたメタデータを受信できたか否かを判別する(S201)。ここでの再生開始時刻は再生時刻判別部10によって判別される。メタデータ受信判別部11が当該メタデータを受信できたと判別したら、セグメント管理部9が当該メタデータと生成開始信号とを補間メタデータ生成部13に供給する(S202)。補間メタデータ生成部13はメタデータと生成開始信号とを供給されたら再生部6から供給されたキーフレームロケーター情報を当該メタデータに追加することにより補間メタデータを生成する(S203)。メタデータ受信判別部11が先頭セグメントに対応付けられるメタデータを受信できなかったと判別したら、メタデータ情報抽出部12が現在再生セグメントに対応付けられたメタデータの情報の少なくとも一部を抽出する(S204)。本実施例において抽出される情報はプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報、デスクリプション情報及びセグメントロケーター情報である。セグメント管理部9はこれらの情報を生成開始信号と共に補間メタデータ生成部13に供給する(S204)。
【0034】
補間メタデータ生成部13はメタデータの情報と生成開始信号を供給されたら、次期再生セグメントに対応付けられる補間メタデータを生成する(S205)。当該生成は例えば補間メタデータ生成部13が現在再生セグメントに対応付けられたメタデータに含まれるプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報及びデスクリプション情報を補間メタデータに含ませることによってなされる。また、このとき補間メタデータ生成部13は次の3つの処理によっても補間メタデータを生成できる。1つは補間メタデータのセグメント長を現在再生セグメントに対応付けられたメタデータのセグメント長と等しくする。1つは補間メタデータに現在再生セグメントに対応付けられたメタデータ含まれる再生終了時刻を再生開始時刻として含ませる。もう1つは再生部6から供給されたキーフレームロケーター情報を補間メタデータに追加する。
【0035】
メタデータ受信判別部11は現在再生セグメントの再生終了時刻が到来するまで継続してメタデータ取得部8が現在再生セグメントに対応付けられるメタデータを取得したか否かを判別する(S206)。メタデータ受信判別部11が当該メタデータを取得できたと判別した場合、セグメント管理部9は当該メタデータを上書き信号と共に補間メタデータ生成部13に供給する(S207)。補間メタデータ生成部13はメタデータと上書き信号とを供給されたら、当該メタデータの情報を補間メタデータに上書きする(S208)。上書きされる情報は例えばプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報、デスクリプション情報及びセグメントロケーター情報である。再生時刻判別部10が現在再生セグメントの再生終了時刻が到来したと判別したら、セグメント管理部9が補間メタデータ生成部13に生成停止信号を供給する(S209)。補間メタデータ生成部13は生成停止信号を供給されたら生成した補間メタデータを蓄積部5に供給する(S210)。セグメント管理部9はコンテンツを構成する一連のセグメントの各々に対応付けられるメタデータの情報に基づいてコンテンツが終了したか否かを判別する(S211)。例えばセグメント管理部9はセグメントロケーター情報に含まれるセグメント長が指定されていない場合にコンテンツが終了したと判断する。セグメント管理部9はコンテンツの再生が終了していないと判断した場合、メタデータ受信判別部11によるメタデータの取得判別処理に戻る(S201)。
【0036】
上記した処理によりメタデータが付加された動画像等のコンテンツを再生及び蓄積中に通信ネットワークや配信サーバの障害などによってメタデータが欠落しても、コンテンツ受信再生蓄積装置が過去に受信したメタデータに基づいてメタデータを補間生成することにより継続してコンテンツを再生及び蓄積することが可能である。
【実施例2】
【0037】
図8はテンプレートデータ記憶部16を含むメタデータ処理部7を表すブロック図である。テンプレートデータ記憶部16以外のブロックは実施例1と同一であるため、これらについての説明は省略する。
【0038】
テンプレートデータ記憶部16は補間メタデータ生成部13に含まれる。テンプレートデータ記憶部16は何らかの手段により与えられたテンプレートデータ(図8中のTM)を記憶する。当該手段としては例えば工場における設定、受信装置の使用者による入力、配信サーバ1によるデータの作成及び配信などが挙げられるが、これら以外の手段でも良い。また、補間メタデータ生成部13にはメタデータ取得部8から供給されるメタデータ及びテンプレートデータ記憶部16に記憶されているテンプレートデータのいずれを使用すべきかを表す優先度を設定できる。優先度の設定手段も同様に例えば工場における設定などが挙げられるが、これ以外の手段で設定されても良い。
【0039】
以下に図9及び10を参照しつつ、コンテンツ受信再生蓄積装置2の動作を説明する。図9はPSI受信処理からテンプレート処理までの処理ルーチンを表すフローチャートである。
【0040】
コンテンツ受信再生蓄積装置2は最初にPSIを受信したら(S31)、PSIに含まれる情報に基づいて受信、再生及び蓄積処理の初期化を行う。本実施例においてはコンテンツを構成する先頭セグメントに対応付けられるメタデータを受信できたか否かにかかわらず、コンテンツ受信再生蓄積装置2は再生及び蓄積処理を開始する(S32)。以降、テンプレート処理を実行しつつ再生及び蓄積処理を継続する(S33)。
【0041】
図10はテンプレート処理ルーチンを表すフローチャートである。
【0042】
テンプレートデータ記憶部16は何らかの手段により与えられたテンプレートデータを予めを記憶しておく(S401)。メタデータ受信判別部11は次期再生セグメントの再生開始時刻が到来するまでに次期再生セグメントに対応付けられたメタデータを受信できたか否かを判別する(S402)。メタデータ受信判別部11が当該メタデータを受信できたと判別したら、セグメント管理部9が当該メタデータを生成開始信号と共に補間メタデータ生成部13に供給する(S403)。補間メタデータ生成部13はメタデータの情報と生成開始信号を供給されたら、次期再生セグメントに対応付けられる補間メタデータを生成する(S404)。メタデータ受信判別部11が先頭セグメントに対応付けられるメタデータを受信できなかったと判別したら、セグメント管理部9はテンプレートデータに基づく生成開始を指示する生成開始信号を補間メタデータ生成部13に供給する(S405)。補間メタデータ生成部13は生成開始信号を供給されたら、テンプレートデータ記憶部16に記憶されているテンプレートデータの少なくとも一部を含むメタデータを補間メタデータとして生成する(S406)。図11はテンプレート処理の対象及び補間メタデータ生成部13における処理の例を表す図である。補間メタデータ生成部13における処理の対象となる情報は実施例1と同様にプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報、デスクリプション情報及びセグメントロケーター情報である。補間メタデータ生成部13はテンプレートデータのプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報及びデスクリプション情報を含むメタデータを生成する。また、このとき補間メタデータ生成部13は次の3つの処理によっても補間メタデータを生成できる。1つは補間メタデータのセグメント長をテンプレートデータのセグメント長と等しくする。1つは補間メタデータに現在再生セグメントに対応付けられたメタデータ含まれる再生終了時刻を再生開始時刻として含ませる。もう1つは再生部6から供給されたキーフレームロケーター情報を補間メタデータに追加する。図10中における記号S407〜S412の処理は実施例1と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0043】
上記した処理によりコンテンツ受信再生蓄積装置がコンテンツを構成する先頭セグメントに対応付けられるメタデータを受信できなかった場合においても、テンプレートデータ記憶部16に記憶されているメタデータに基づいてメタデータを補間生成することによりコンテンツの再生及び蓄積処理を開始することができる。また、コンテンツ受信再生蓄積装置が当該メタデータを受信したか否かにかかわらずテンプレートデータ記憶部16に記憶されているメタデータに基づいてメタデータを補間生成することによりコンテンツの再生及び蓄積処理を開始するまでの時間を短縮できる。更に、実施例1と同様にコンテンツを再生及び蓄積中に通信ネットワークや配信サーバの障害などによってメタデータが欠落しても、コンテンツ受信再生蓄積装置が過去に受信したメタデータに基づいてメタデータを補間生成することにより継続してコンテンツを再生及び蓄積することが可能である。
【実施例3】
【0044】
本実施例におけるメタデータ処理部7は図8に表わされるブロック図と同一である。また、PSIの受信及び初期化処理は実施例2と同様である。
【0045】
図13は本実施例におけるテンプレート処理及び補間メタデータ生成処理ルーチンを表すフローチャートである。以下に図13を参照しつつ、コンテンツ受信再生蓄積装置2の動作を説明する。
【0046】
テンプレートデータ記憶部16は何らかの手段により与えられたメタデータを予め記憶しておく(S501)。メタデータ受信判別部11は先頭セグメントの再生開始時刻が到来するまでに当該セグメントに対応付けられるメタデータを受信できたか否かを判別する(S502)。メタデータ受信判別部11が当該メタデータを受信できたと判別した場合の処理は実施例1及び2と同様である(S503、S504)。メタデータ受信判別部11が先頭セグメントに対応付けられるメタデータを受信できなかったと判別したら、セグメント管理部9はテンプレートデータに基づく生成開始を指示する生成開始信号を補間メタデータ生成部13に供給する(S505)。補間メタデータ生成部13は生成開始信号を供給されたら、テンプレートデータ記憶部16に記憶されているテンプレートデータの少なくとも一部を含むメタデータを補間メタデータとして生成する(S506)。本実施例においてテンプレートデータ記憶部16に記憶されているテンプレートデータが利用されるのはここまでである。
【0047】
続いてメタデータ処理部7が行う処理S506〜S512は実施例1と同様の処理がなされる。また、次期再生セグメントに対応付けられる補間メタデータの生成処理(S513、S514、S506)も実施例1と同様に現在再生セグメントに対応付けられたメタデータに基づく生成処理がなされる。すなわち、メタデータ受信判別部11は次期再生セグメントの再生時刻が到来するまでに次期再生セグメントに対応付けられるメタデータを受信できているか否かを判別する(S513)。メタデータ受信判別部11が当該メタデータを受信できなかったと判別したら、メタデータ情報抽出部12は現在再生セグメントに対応付けられたメタデータの少なくとも一部を抽出し、セグメント管理部9がこれらの情報を生成開始信号と共に補間メタデータ生成部13に供給する(S514)。補間メタデータ生成部13はメタデータの情報と生成開始信号を供給されたら、次期再生セグメントに対応付けられる補間メタデータを生成する(S506)。
【0048】
補間メタデータ生成部13にはメタデータ取得部8から供給されるメタデータ及びテンプレートデータ記憶部16に記憶されているテンプレートデータのいずれを使用すべきかを表す優先度を設定できる。優先度の設定手段としては例えば工場における設定などが挙げられるが、これ以外の手段で設定されても良い。テンプレートデータ記憶部16に記憶されているテンプレートデータの優先度が高い場合、先頭のセグメントの再生開始時刻が到来するまでに当該セグメントに対応付けられるメタデータを受信できたとしても、補間メタデータ生成部13がテンプレートデータ記憶部16に記憶されているテンプレートデータの少なくとも一部を含むメタデータを次期再生セグメントに対応付けられる補間メタデータとして生成する。
【0049】
上記した処理によりコンテンツを構成する先頭セグメントに対応付けられるメタデータをテンプレートデータ記憶部16に記憶されているテンプレートデータに基づいて生成し、以降のセグメントに対応付けられるメタデータを過去に受信したメタデータに基づいて補間生成することにより、再生蓄積の開始時間を短縮でき、かつ、メタデータ補間生成の精度を向上できる。実施例1と同様に、コンテンツを再生及び蓄積中に通信ネットワークや配信サーバの障害などによってメタデータが欠落しても、コンテンツ受信再生蓄積装置が過去に受信したメタデータに基づいてメタデータを補間生成することにより継続してコンテンツを再生及び蓄積することが可能である。また、コンテンツは通常、セグメント単位で再生蓄積されるが、本実施例においてはテンプレートデータ記憶部16に記憶させるセグメント長を自在に設定可能であるため、コンテンツの再生蓄積単位を制御できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明によるコンテンツ受信再生蓄積装置を配信サーバと共に表すブロック図である。
【図2】メタデータ処理部を表すブロック図である。
【図3】コンテンツとセグメントの関係を表す図である。
【図4】セグメントに対応付けられるメタデータの例を表す図である。
【図5】補間生成処理の対象及び補間メタデータ生成部における処理の例を表す図である。
【図6】PSI受信から補間メタデータ生成までの処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図7】補間メタデータ生成処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図8】テンプレートデータ記憶部を含むメタデータ処理部を表すブロック図である。
【図9】PSI受信からテンプレート処理までの処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図10】テンプレート処理ルーチンを表すフローチャートである。
【図11】テンプレート処理の対象及び補間メタデータ生成部における処理における処理の例を表す図である。
【図12】テンプレート処理及び補間メタデータ生成処理ルーチンを表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0051】
1 配信サーバ
2 コンテンツ受信再生蓄積装置
3 受信部
4 多重分離部
5 蓄積部
6 再生部
7 メタデータ処理部
8 メタデータ取得部
9 セグメント管理部
10 再生時刻判別部
11 メタデータ受信判別部
12 メタデータ情報抽出部
13 補間メタデータ生成部
14 対再生部通信部
15 対蓄積部通信部
16 テンプレートデータ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを構成する一連のセグメントと前記セグメントの各々に対応付けられたメタデータとを受信する受信部と、前記セグメントと前記メタデータとを蓄積する蓄積部と、前記メタデータを参照しつつ前記セグメントを順次再生する再生部と、を含むコンテンツ受信再生装置であって、
前記再生部が現在再生している現在再生セグメントに対応付けられたメタデータに基づいて、当該現在再生セグメントに続いて再生されるべき次期再生セグメントの再生開始時刻を判別する再生時刻判別部と、
前記再生開始時刻が到来するまでに前記次期再生セグメントに対応付けられたメタデータを前記受信部が受信したか否かを判別するメタデータ受信判別部と、
前記受信部が当該メタデータを受信しなかったと前記メタデータ受信判別部が判別した場合、前記現在再生セグメントに対応付けられたメタデータの少なくとも一部を含むメタデータを前記次期再生セグメントに対応付けられる補間メタデータとしてこれを前記蓄積部に供給する補間メタデータ生成部と、を含むことを特徴とするコンテンツ受信再生装置。
【請求項2】
前記補間メタデータ生成部は、前記現在再生セグメントに対応付けられたメタデータに含まれるプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報及びデスクリプション情報の内の少なくとも1を含むメタデータを前記補間メタデータとする請求項1に記載のコンテンツ受信再生装置。
【請求項3】
前記補間メタデータ生成部は前記補間メタデータのセグメント長を前記現在再生セグメントに対応付けられたメタデータのセグメント長と等しくすることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ受信再生装置。
【請求項4】
前記再生時刻判別は、前記現在再生セグメントに対応付けられたメタデータに基づいて、当該現在再生セグメントの再生終了時刻を判別する再生終了時刻判別手段を含み、
前記補間メタデータ生成部は前記補間メタデータに前記再生終了時刻を前記次期再生セグメントの再生開始時刻として含ませることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ受信再生装置。
【請求項5】
前記再生部は、前記コンテンツに含まれるキーフレーム情報を抽出するキーフレーム抽出手段を含み、
前記補間メタデータ生成部は前記補間メタデータに前記キーフレーム情報を含めることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ受信再生装置。
【請求項6】
前記補間メタデータ生成部は、前記再生部が前記現在再生セグメントを再生中に前記受信部が当該現在再生セグメントに対応付けられたメタデータを受信したと前記メタデータ受信判別部が判別した場合、当該メタデータに含まれる情報を前記補間メタデータに含ませることを特徴とする請求項5に記載のコンテンツ受信再生装置。
【請求項7】
前記補間メタデータ生成部は、テンプレートデータを記憶するテンプレートデータ記憶部を含み、
前記テンプレートデータの少なくとも一部を含むメタデータを前記補間メタデータとすることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ受信再生装置。
【請求項8】
前記テンプレートデータ記憶部は、プログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報及びデスクリプション情報の内の少なくとも1を記憶し、
前記補間メタデータ生成部は、前記テンプレートデータ記憶部が記憶しているプログラムリファレンス情報、タイムベースリファレンス情報及びデスクリプション情報の内の少なくとも1を含むメタデータを前記補間メタデータとする請求項7に記載のコンテンツ受信再生装置。
【請求項9】
前記テンプレートデータ記憶部は、前記テンプレートデータのセグメント長の情報を記憶し、
前記補間メタデータ生成部は、前記補間メタデータのセグメント長を前記テンプレートデータのセグメント長と等しくすることを特徴とする請求項7に記載のコンテンツ受信再生装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−187371(P2008−187371A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18261(P2007−18261)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】