説明

コンテンツ提供システム、コンテンツ再生装置、コンテンツ配信システム、コンテンツ提供システムの制御方法、コンテンツ再生装置の制御方法、制御プログラム、および、記録媒体

【課題】コンテンツの不正再生を防止しつつ、安全で確実にコンテンツ代金の回収を行うコンテンツ配信システムを実現する。
【解決手段】コンテンツ提供システム200は、コンテンツを再生する携帯電話機1に対して、暗号化コンテンツ(D2)を送信するコンテンツ暗号化部42と、各コンテンツに対応した、再生制限を解除するための権利情報を記録する権利情報DB71と、携帯電話機1のユーザから受け付けた購入要求メッセージ(D3)に含まれる、コンテンツIDに基づいて、購入されたコンテンツを特定する端末ID取得部61と、上記特定されたコンテンツに対応する権利情報を、権利情報DB71から特定する権利情報生成部63と、携帯電話機1が読み取り可能であって、携帯電話機1に上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体に、上記特定された権利情報を記録する権利情報出力部64とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツをユーザのコンテンツ再生装置に配信するコンテンツ提供システム、コンテンツ再生装置、コンテンツ配信システム、コンテンツ提供システムの制御方法、コンテンツ再生装置の制御方法、制御プログラム、および、記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術の発達に伴い、音楽データや映像データなどの大容量のマルチメディアコンテンツを快適な速さで通信網を介して送受信できるようになってきている。ユーザは、通信網を介して所望のコンテンツを簡単にサーバから自分のコンテンツ再生装置にダウンロードして、該コンテンツを快適に楽しむことができる。
【0003】
しかし、このようにコンテンツを容易に取得し利用することが可能になった反面、有料コンテンツや、著作権で利用が制限されているコンテンツが正規ユーザ以外にも不正に利用されることが増えてきている。これは、デジタルコンテンツは簡単にコピーして利用できるためである。これらの不正利用に対抗するための著作権保護対策やコンテンツ不正利用防止対策は、コンテンツを提供することで利益を得るコンテンツ提供業者にとって避けられない課題である。
【0004】
有料コンテンツの代価を確実に回収して不正利用を防止するためのコンテンツ配信システムとしては、例えば、特許文献1の音楽配信システムが挙げられる。
【0005】
特許文献1には、曲(コンテンツ)のIDを印字したカードを端末機のユーザに購入させ、上記IDに基づき端末機が要求した曲を、サーバが上記IDを照合して端末機に配信する音楽配信システムが開示されている。ユーザにカードを購入させることにより曲の代価を確実に回収している。
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、曲の不正流出の可能性が考慮されていない。したがって、曲がサーバから端末機に配信されるまでの間にネットワーク上で曲が不正に入手されたり、不正コピーされたりして、正規ユーザ以外の端末機で不正に再生されることを防止できないという問題がある。
【0007】
このような不正利用を防止するための著作権保護(DRM;Digital Rights Management)技術として、Separate Delivery方式が一般に利用されている(非特許文献1を参照)。
【0008】
非特許文献1の方式では、コンテンツ(Media Object)が暗号化などの処理によって、利用(再生)できない状態で配信され、コンテンツを利用可能にする権利情報(Right Object)が別に提供(販売)される。これにより、ユーザは曲を自由に入手/コピーできる一方で、コンテンツの正規利用のために必ず権利情報を購入しなければならない仕組みになっている。これにより、コンテンツが不正に再生されることを防止し、コンテンツ提供業者が確実に課金の機会を得られるコンテンツ配信システムを実現することができる。
【特許文献1】特開2003−15660号公報(2003年1月17日公開)
【非特許文献1】"Digital Rights Management-Approved Version 1.0-15 Jun 2004"、[online]、平成16年6月15日、OMA(Open Mobile Alliance)、[2006年10月24日検索]、インターネット<URL:http://www.openmobilealliance.org/release_program/docs/DRM/V1_0-20040625-A/OMA-Download-DRM-V1_0-20040615-A.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の技術では、以下の問題を生じる。具体的には、コンテンツ配信システムを非特許文献1の方式で実現した場合、課金の方法としては、オンライン決済システムが採用される。これは、上記権利情報は一般にXMLデータであってオンラインで配信されるため、それと引き換えにコンテンツの代価を回収する必要があるからである。
【0010】
しかしながら、オンライン決済システムでは、クレジットカード情報が漏洩するなどの虞がある。さらに、このようなオンライン決済システムを、セキュリティ面で脆弱な携帯電話機などをユーザ端末機として含むコンテンツ配信システムに採用するのはセキュリティ上特に好ましくないという問題がある。
【0011】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンテンツの不正再生を防止しつつ、安全で確実にコンテンツ代金の回収を行うコンテンツ提供システム、コンテンツ再生装置、コンテンツ配信システム、コンテンツ提供システムの制御方法、コンテンツ再生装置の制御方法、制御プログラム、および、記録媒体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のコンテンツ提供システムは、上記課題を解決するために、コンテンツを再生するコンテンツ再生装置に対して、通信ネットワークを介して、再生制限がかけられているコンテンツを送信するコンテンツ送信手段と、再生制限がかけられている各コンテンツに対応した、再生制限を解除するための権利情報を記録する権利情報記録部と、上記コンテンツ再生装置の利用者から受け付けた上記コンテンツの購入要求に含まれる、上記コンテンツを特定するためのコンテンツ特定情報に基づいて、購入されたコンテンツを特定するコンテンツ特定手段と、上記コンテンツ特定手段によって特定されたコンテンツに対応する権利情報を、上記権利情報記録部から特定する権利情報特定手段と、上記コンテンツ再生装置が読み取り可能であって、該コンテンツ再生装置に上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体に、上記権利情報特定手段によって特定された権利情報を記録する権利情報記録手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、コンテンツ送信手段は、まず、コンテンツ再生装置が再生するコンテンツを、再生制限がかけられている状態で、通信ネットワークを介して送信する。再生制限がかけられているコンテンツとは、権利情報を取得しなければ完全に再生することができない状態のコンテンツである。
【0014】
上記コンテンツの再生制限を解除するための権利情報は、コンテンツごとに権利情報記録部に記録されている。
【0015】
次に、コンテンツ特定手段は、コンテンツ再生装置の利用者によって上記コンテンツの購入要求が行われると、コンテンツ提供システムが受け付けた購入要求に含まれるコンテンツ特定情報に基づいて、利用者により購入されたコンテンツを特定する。
【0016】
続いて、上記権利情報特定手段は、上記コンテンツ特定手段が特定したコンテンツの再生制限を解除するための権利情報を、上記権利情報記録部から特定する。
【0017】
最後に、上記権利情報記録手段は、上記権利情報特定手段が特定した権利情報を記録媒体に記録する。上記記録媒体は、上記コンテンツ再生装置が読み取り可能であって、該コンテンツ再生装置に上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体、すなわち、該コンテンツ再生装置の利用者に手渡すことが可能な記録媒体である。
【0018】
上述のとおり、コンテンツの再生を可能にする権利情報を、利用者に手渡すことが可能な記録媒体にして出力することにより、コンビニエンスストアなどの店舗において、上記記録媒体をコンテンツ再生装置の利用者に直接販売することが可能となる。
【0019】
すなわち、インターネットなど傍受される虞のある公衆通信網を介さずに、コンテンツ再生装置の利用者から現金(またはクレジットカードなど)を直接受け取ることによって、上記店舗にて、上記コンテンツの代価を回収することができる。
【0020】
以上のことから、インターネットなどの公衆通信網によるオンライン決済ではなく、権利情報をカードで出力し、コンテンツの代価を直接回収するという形態で金品の授受を実現することが可能となる。また、コンテンツは、自由に配信されるとしても、再生制限のかかったコンテンツであるので不正利用されることはない。
【0021】
結果として、コンテンツの不正再生を防止しつつ、安全で確実にコンテンツ代金の回収を行うコンテンツ配信システムを構築することが可能となる。
【0022】
上記コンテンツ提供システムは、上記コンテンツ送信手段を備えるコンテンツ提供サーバと、上記権利情報記録部、上記コンテンツ特定手段、上記権利情報特定手段、および、上記権利情報記録手段を備える1または複数の権利情報出力装置とを含んでいてもよい。
【0023】
上記構成によれば、コンテンツ再生装置に対してコンテンツを提供するコンテンツ提供サーバとは別にして、権利情報を記録媒体として出力する権利情報出力装置を、複数設けることができる。
【0024】
これにより、上記記録媒体を販売して、コンテンツ代価を回収する機会を、より多くの様々な場所に設けることが可能となる。
【0025】
利用者が立ち寄るのに都合のよいコンビニエンスストアなどの店舗に上記権利情報出力装置を設置することで、代金回収の安全性・確実性は維持したまま、コンテンツを購入する機会を大幅に増やすことができ、利用者の利便性が向上する。これにより、コンテンツ提供事業者の収益の向上にもつながる。
【0026】
さらに、上記コンテンツ提供サーバは、上記利用者のコンテンツ再生装置から通信ネットワークを介して受け付けた購入要求に含まれる、該コンテンツ再生装置を特定する端末特定情報と上記コンテンツ特定情報とを関連付けて受注情報記録部に記録する受注管理手段を備え、上記権利情報出力装置は、上記受注情報記録部に接続する通信手段を備え、上記コンテンツ特定手段は、上記コンテンツ再生装置から受け付けた、該コンテンツ再生装置を特定する端末特定情報に基づいて、上記通信手段により接続された上記受注情報記録部から、購入されたコンテンツを特定することが好ましい。
【0027】
上記構成によれば、コンテンツ提供サーバの受注管理手段は、コンテンツ再生装置からの購入要求を受け付けて、上記受注情報記録部にて、コンテンツ再生装置と、提供すべきコンテンツとの紐付けを管理する。
【0028】
そして、権利情報出力装置のコンテンツ特定手段は、コンテンツ再生装置から上記端末特定情報を受け付けると、上記通信手段を介して、上記端末特定情報に紐付けられているコンテンツを示すコンテンツ特定情報を、上記受注情報記録部から取得して、上記コンテンツ再生装置の利用者に購入されたコンテンツを特定する。
【0029】
これにより、コンテンツ提供システムの機能が、コンテンツの受注の機能と、権利情報の販売の機能とで、複数の装置に分散している場合でも、コンテンツ再生装置と購入コンテンツとの紐付けを適切に管理することができる。すなわち、コンテンツ提供システムが、コンテンツ再生装置からコンテンツの購入を受け付けて課金処理を行う装置(コンテンツ提供サーバ)と、権利情報を出力してコンテンツ代価を回収する装置(権利情報出力装置)とに分かれていても、コンテンツ再生装置の利用者が、自身のコンテンツ再生装置の端末特定情報を権利情報出力装置に入力するだけで、権利情報出力装置は、正しい権利情報を特定し、上記利用者に販売することができる。
【0030】
このように、利用者は、自身のコンテンツ再生装置の端末特定情報を、権利情報出力装置のコンテンツ特定手段に読み取らせるだけでよく、コンテンツ提供システムが分散されたからといって、権利情報出力装置に対して、購入コンテンツを指定したり、コンテンツ特定情報を入力したりする操作を別途行う必要がない。
【0031】
したがって、利用者の購入操作を繁雑にすることなく、権利情報出力装置をさまざまな場所に複数設置することが可能になる。
【0032】
以上のことから、権利情報の受け渡し、および、コンテンツ代金回収についての安全性・確実性を維持して金品の授受の機会を増やし、さらに、利用者の利便性を向上させることが可能となる。これにより、利用者がコンテンツを購入する機会が増えることから、コンテンツ提供事業者の収益を上げることにもつながる。
【0033】
なお、上記コンテンツの上記再生制限は、コンテンツを部分的に再生不可能にする再生制限であることが好ましい。
【0034】
このような、再生制限がかかっているコンテンツをコンテンツ送信手段が送信すれば、上記コンテンツ再生装置は、該コンテンツを受信して、コンテンツに含まれる再生不可能でない部分を再生することが可能となる。
【0035】
これにより、利用者は、コンテンツの購入要求を行う前に、上記コンテンツの一部のみを試聴することが可能となる。
【0036】
したがって、コンテンツの不正再生を防止しつつも、利用者に、購入前にコンテンツを無料で試聴させて購入意欲の向上を図ることで、販売促進の効果が期待できる。
【0037】
本発明のコンテンツ再生装置は、上記課題を解決するために、上述のコンテンツ提供システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から上記権利情報を取得する権利情報取得手段と、上記権利情報取得手段が取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除手段とを備えていることを特徴としている。
【0038】
本発明のコンテンツ再生装置は、上記課題を解決するために、コンテンツを配信するコンテンツ再生システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、上記コンテンツ受信手段が受信した上記コンテンツの再生制限を解除するための権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から、該権利情報を取得する権利情報取得手段と、上記権利情報取得手段が取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除手段とを備えていることを特徴としている。
【0039】
上記構成によれば、上記コンテンツ再生装置の利用者が上記コンテンツ提供システムにて出力された権利情報を記録した記録媒体を購入した後、上記コンテンツ再生装置の上記権利情報取得手段が、上記記録媒体から権利情報を取得する。続いて、上記制限解除手段は、上記コンテンツ受信手段により上記コンテンツ提供システムから取得され、購入要求が行われたコンテンツの再生制限を、上記取得した権利情報を用いて解除する。
【0040】
これにより、利用者は、購入したコンテンツを完全に利用することが可能となる。
【0041】
さらに、上記権利情報取得手段は、上記権利情報からコンテンツ特定情報を取得し、上記制限解除手段は、上記取得されたコンテンツ特定情報に基づいて、解除対象のコンテンツを特定することが好ましい。
【0042】
これにより、コンテンツ再生装置に、コンテンツ提供システムから受信したコンテンツおよび記録媒体から取得された権利情報が、複数保存されている場合でも、コンテンツ再生装置は、コンテンツを、常に、適切な権利情報を用いて再生することが可能となる。
【0043】
本発明のコンテンツ配信システムは、上記課題を解決するために、上述のコンテンツ提供システムと、上述のコンテンツ再生装置とを含むことを特徴としている。
【0044】
これにより、上記コンテンツ再生装置において、コンテンツが不正再生されることを防止しつつ、上記コンテンツ再生装置の利用者から安全で確実にコンテンツ代金の回収を行うコンテンツ配信システムを構築することが可能となる。
【0045】
なお、上記コンテンツ再生装置が、セキュリティ面で脆弱な携帯電話機などである場合には、クレジットカード情報が漏洩するなどの虞があるオンライン決済システムを採用せずにコンテンツ配信システムを実現することが可能となるので、特に効果が大きい。
【0046】
上記権利情報は、上記記録媒体に印字されたバーコードであり、上記権利情報取得手段は、上記記録媒体に印字されたバーコードを撮像し、撮像したバーコードの画像を識別して権利情報を取得してもよい。
【0047】
これにより、権利情報を、バーコードが印字された記録媒体(例えば、紙でできた安価なカードなど)で販売し、安全かつ確実にコンテンツ代価を回収することが可能となる。また、コンテンツ再生装置は、上記バーコードを撮像し、画像認識を行って権利情報を復号することによって、他人に傍受されることなく権利情報を取得することが可能となる。
【0048】
さらに、上記記録媒体には、上記バーコードの印字領域を隠蔽する隠蔽部が設けられており、上記バーコードは、上記隠蔽部を除去したのち所定時間経過後に消去されるよう印字されていてもよい。
【0049】
これにより、上記記録媒体に記録されている権利情報の濫用を抑止することが可能となる。
【0050】
本発明のコンテンツ提供システムの制御方法は、上記課題を解決するために、コンテンツを再生するコンテンツ再生装置に対して、通信ネットワークを介して、再生制限がかけられているコンテンツを送信するコンテンツ送信ステップと、上記コンテンツ再生装置の利用者から受け付けた上記コンテンツの購入要求に含まれる、上記コンテンツを特定するためのコンテンツ特定情報に基づいて、購入されたコンテンツを特定するコンテンツ特定ステップと、上記コンテンツ特定ステップによって特定されたコンテンツに対応する権利情報を、再生制限がかけられている各コンテンツに対応した、再生制限を解除するための権利情報を記録する権利情報記録部から特定する権利情報特定ステップと、上記コンテンツ再生装置が読み取り可能であって、該コンテンツ再生装置に上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体に、上記権利情報特定ステップにて特定された権利情報を記録する権利情報記録ステップとを含むことを特徴としている。
【0051】
上記方法によれば、インターネットなどの公衆通信網によるオンライン決済ではなく、権利情報を、権利情報記録ステップにて、カードなどの記録媒体で出力し、コンテンツの代価を直接回収するという形態で金品の授受を実現することが可能となる。また、コンテンツは、自由に配信されるとしても、再生制限のかかったコンテンツであるので不正利用されることはない。
【0052】
結果として、コンテンツの不正再生を防止しつつ、安全で確実にコンテンツ代金の回収を行うことが可能となる。
【0053】
本発明のコンテンツ再生装置の制御方法は、上記課題を解決するために、上述のコンテンツ提供システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信ステップと、上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から上記権利情報を取得する権利情報取得ステップと、上記権利情報取得ステップにて取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除ステップとを含むことを特徴としている。
【0054】
本発明のコンテンツ再生装置の制御方法は、上記課題を解決するために、コンテンツを配信するコンテンツ再生システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信ステップと、上記コンテンツ受信ステップにて受信した上記コンテンツの再生制限を解除するための権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から、該権利情報を取得する権利情報取得ステップと、上記権利情報取得ステップにて取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除ステップとを含むことを特徴としている。
【0055】
上記方法によれば、コンテンツ受信ステップにて受信した、購入コンテンツを、上記コンテンツ提供システムから購入した記録媒体に記録される権利情報を用いて再生することが可能となる。
【0056】
なお、上記コンテンツ提供システム、上記コンテンツ再生装置、および、上記コンテンツ配信システムは、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記各手段として動作させることにより上記コンテンツ提供システム、上記コンテンツ再生装置、または、上記コンテンツ配信システムをコンピュータにて実現させる上記コンテンツ提供システム、上記コンテンツ再生装置、または、上記コンテンツ配信システムの制御プログラム、および、それを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0057】
本発明のコンテンツ提供システムは、コンテンツを再生するコンテンツ再生装置に対して、通信ネットワークを介して、再生制限がかけられているコンテンツを送信するコンテンツ送信手段と、再生制限がかけられている各コンテンツに対応した、再生制限を解除するための権利情報を記録する権利情報記録部と、上記コンテンツ再生装置の利用者から受け付けた上記コンテンツの購入要求に含まれる、上記コンテンツを特定するためのコンテンツ特定情報に基づいて、購入されたコンテンツを特定するコンテンツ特定手段と、上記コンテンツ特定手段によって特定されたコンテンツに対応する権利情報を、上記権利情報記録部から特定する権利情報特定手段と、上記コンテンツ再生装置が読み取り可能であって、該コンテンツ再生装置に上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体に、上記権利情報特定手段によって特定された権利情報を記録する権利情報記録手段とを備えていることを特徴としている。
【0058】
本発明のコンテンツ再生装置は、上述のコンテンツ提供システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から上記権利情報を取得する権利情報取得手段と、上記権利情報取得手段が取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除手段とを備えていることを特徴としている。
【0059】
本発明のコンテンツ再生装置は、コンテンツを配信するコンテンツ再生システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、上記コンテンツ受信手段が受信した上記コンテンツの再生制限を解除するための権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から、該権利情報を取得する権利情報取得手段と、上記権利情報取得手段が取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除手段とを備えていることを特徴としている。
【0060】
本発明のコンテンツ配信システムは、上述のコンテンツ提供システムと、上述のコンテンツ再生装置とを含むことを特徴としている。
【0061】
本発明のコンテンツ提供システムの制御方法は、コンテンツを再生するコンテンツ再生装置に対して、通信ネットワークを介して、再生制限がかけられているコンテンツを送信するコンテンツ送信ステップと、上記コンテンツ再生装置の利用者から受け付けた上記コンテンツの購入要求に含まれる、上記コンテンツを特定するためのコンテンツ特定情報に基づいて、購入されたコンテンツを特定するコンテンツ特定ステップと、上記コンテンツ特定ステップによって特定されたコンテンツに対応する権利情報を、再生制限がかけられている各コンテンツに対応した、再生制限を解除するための権利情報を記録する権利情報記録部から特定する権利情報特定ステップと、上記コンテンツ再生装置が読み取り可能であって、該コンテンツ再生装置に上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体に、上記権利情報特定ステップにて特定された権利情報を記録する権利情報記録ステップとを含むことを特徴としている。
【0062】
本発明のコンテンツ再生装置の制御方法は、上述のコンテンツ提供システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信ステップと、上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から上記権利情報を取得する権利情報取得ステップと、上記権利情報取得ステップにて取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除ステップとを含むことを特徴としている。
【0063】
本発明のコンテンツ再生装置の制御方法は、コンテンツを配信するコンテンツ再生システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信ステップと、上記コンテンツ受信ステップにて受信した上記コンテンツの再生制限を解除するための権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から、該権利情報を取得する権利情報取得ステップと、上記権利情報取得ステップにて取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除ステップとを含むことを特徴としている。
【0064】
したがって、コンテンツの不正再生を防止しつつ、安全で確実にコンテンツ代金の回収を行うことが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すると以下の通りである。本実施形態に係るコンテンツ配信システムでは、本発明のコンテンツ再生装置を、配信されたコンテンツ(音楽データなど)を通信網および携帯電話網を介してダウンロードし再生する携帯電話機として説明する。
【0066】
また、本発明のコンテンツ提供装置を、該装置が有する機能を、通信網を介して互いに通信可能な2つの装置が分散して有する構成として説明する。2つの装置とはすなわち、通信網を介して上記携帯電話機にコンテンツを配信する、コンテンツ提供事業者のコンテンツ提供サーバと、コンテンツ提供事業者と提携するコンビニエンスストアなどの各店舗に設置された、上記コンテンツ提供サーバと通信可能なPOS端末装置とである。POS端末装置は、上記コンテンツ提供サーバから依頼を受けて、ユーザの携帯電話機に供給すべき権利情報を記録したカードを発券・販売し、コンテンツ提供事業者の代わりに、携帯電話機のユーザからコンテンツの代価を回収する機能を有する。
【0067】
〔コンテンツ配信システムの概要〕
図2は、本発明の実施形態にかかるコンテンツ配信システムの概略構成を示す図である。図2に示すように、コンテンツ配信システム100は、コンテンツを再生するユーザの携帯電話機1と、ユーザにコンテンツを供給するコンテンツ提供サーバ2と、コンテンツ代価と引き換えに権利情報を供給するPOS端末装置3とを含んでいる。図2には、POS端末装置3を1つしか示していないが、POS端末装置3は、コンテンツ提供サーバ2を所有するコンテンツ提供事業者と事業提携するコンビニエンスストアなどの各店舗に設置される。これにより、携帯電話機1のユーザは、所望のコンテンツを再生するための権利情報を、どの店舗からでも簡単に購入することができる。コンテンツ提供サーバ2およびPOS端末装置3は、携帯電話機1にコンテンツを提供するためのコンテンツ提供システム200を構築している。
【0068】
携帯電話機1およびコンテンツ提供サーバ2は、通信網を介して接続されており、互いに通信可能である。また、コンテンツ提供サーバ2およびPOS端末装置3も同様である。なお、携帯電話機1およびPOS端末装置3は、赤外線通信やBluetooth(登録商標)などによる近距離無線通信機能を有しており、互いに近距離無線通信を行うことが可能である。
【0069】
携帯電話機1は、コンテンツ提供サーバ2に対しコンテンツを要求し、取得するものである。本実施形態では、携帯電話機1は、コンテンツ提供サーバ2に対して2種類の要求を実行する。すなわち、コンテンツの購入するためのコンテンツ購入要求(このとき、課金処理が発生する)と、コンテンツを購入する前に購入を検討しているコンテンツの試聴を行うためのコンテンツ試聴要求とである。
【0070】
携帯電話機1は、試聴要求メッセージ(D1)をコンテンツ提供サーバ2に送信して、コンテンツ試聴要求を実行する。また、購入要求メッセージ(D3)をコンテンツ提供サーバ2に送信して、コンテンツ購入要求を実行する。
【0071】
このように、ユーザは、コンテンツの購入の前に、コンテンツを試聴してコンテンツを購入するか否かを十分検討することができる。
【0072】
コンテンツ購入要求を行ったのちは、POS端末装置3に対して、購入したコンテンツの権利情報の発券を要求して(発券要求メッセージ(D4))、権利情報(D7)を取得する。そして、権利情報を利用して、コンテンツを再生する。
【0073】
コンテンツ提供サーバ2は、携帯電話機1の要求に応じてコンテンツを配信するものである。コンテンツ提供サーバ2は、携帯電話機1の試聴要求メッセージ(D1)に応じて、試聴可能なコンテンツを配信する。
【0074】
本実施形態では、コンテンツ提供サーバ2は、試聴要求メッセージ(D1)に応じて、暗号化コンテンツ(D2)を配信する。本実施形態における暗号化コンテンツとは、暗号化されて再生ができないコンテンツデータと、暗号化されずに再生可能なコンテンツデータとから構成されている。すなわち、コンテンツの全部ではなく部分的に再生(試聴)可能な状態のコンテンツのことである。
【0075】
例えば、コンテンツが音楽データである場合、曲の最初の数秒分のデータだけ暗号化せずにそのままの状態にしておくことが考えられる。そして、そのような暗号化コンテンツをダウンロードした携帯電話機1は、コンテンツのすべてを再生できないものの、最初の数秒分を再生することができ、ユーザはコンテンツの試聴を行うことが可能となる。
【0076】
これにより、コンテンツ提供事業者は、ユーザに対して、コンテンツを入手/コピーできる自由を与えつつ、コンテンツの正規利用のために必ず権利情報(復号鍵)を購入しなければならない仕組みを構築することができる。よって、コンテンツ提供業者は利益を得ることができる。
【0077】
また、コンテンツ提供サーバ2は、携帯電話機1から購入要求メッセージ(D3)を受け付けると、どのユーザからどのコンテンツを受注したかを記録して課金処理を行う。そして、POS端末装置3からの問合せ(D5)に応じて、受注したコンテンツに対応する権利情報を発券するようPOS端末装置3に依頼する(発券依頼メッセージ(D6))。
【0078】
POS端末装置3は、コンテンツ提供サーバ2からの依頼に応じて携帯電話機1が購入したコンテンツに対応する権利情報を生成し、該権利情報を記録したカードを発券し(権利情報(D7))、販売するものである。本実施形態では、POS端末装置3は、カードを発券する印刷部3aを有しており、そこに権利情報を出力してバーコードに変換したものを印字する。
【0079】
まず、POS端末装置3は、携帯電話機1から近距離無線通信機能を利用して、発券要求メッセージ(D4)を受け付けると、コンテンツ提供サーバ2に対してどのコンテンツの権利情報を発券すべきかの問合せを行う(受注確認メッセージ(D5))。そして、コンテンツ提供サーバ2からの発券依頼メッセージ(D6)に基づいて権利情報を生成し、権利情報(D7)を、携帯電話機1のユーザに供給する。
【0080】
ここで、POS端末装置3は、コンテンツ提供サーバ2に代わり、権利情報(D7)と引き換えにユーザからコンテンツの代価を回収する。これにより、金品の授受が安全かつ確実に実行される。
【0081】
次に、携帯電話機1、コンテンツ提供サーバ2、および、POS端末装置3の構成の詳細についてそれぞれ説明する。
【0082】
〔コンテンツ提供システムの構成〕
図1は、本実施形態にかかるコンテンツ提供サーバ2およびPOS端末装置3を含むコンテンツ提供システム200の要部構成を示す図である。
【0083】
(コンテンツ提供サーバ)
図1に示すとおり、コンテンツ提供サーバ2は、コンテンツ提供サーバ2の各部を統括制御する制御部40、および、記憶部50を備えている。
【0084】
また、ここでは図示しないが、コンテンツ提供サーバ2は、通信網を介して携帯電話機1またはPOS端末装置3との間でデータの送受信を行う通信部を備えている。
【0085】
通信部は、携帯電話機1と通信を行って、携帯電話機1からコンテンツ試聴(購入)要求を受け付けたり、携帯電話機1に暗号化コンテンツを配信したりする。また、POS端末装置3と通信を行って、POS端末装置3から受注確認メッセージを受信したり、POS端末装置3に発券依頼メッセージを送信したりする。
【0086】
記憶部50は、制御部40が実行する制御プログラム、OSプログラム、および、携帯電話機1にコンテンツを提供するために必要な処理を実行するときに読み出す各種データを記録するものであり、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置によって構成されるものである。記憶部50に記憶される上記各種データとしては、例えば、コンテンツを記憶するコンテンツDB51、上記コンテンツの暗号(復号)鍵を管理する権利情報管理DB52、携帯電話機1から受け付けたコンテンツ購入要求を管理する受注管理DB53などが挙げられる。
【0087】
制御部40は、上述の各部を制御して、携帯電話機1の要求に応じてコンテンツを配信するための各種処理を実行する。制御部40は、機能ブロックとしての、コンテンツ要求受付部41、コンテンツ暗号化部42、受注管理部43、および、発券依頼部44を含んでいる。
【0088】
コンテンツ要求受付部41は、携帯電話機1からの試聴要求メッセージ(D1)を受け付けるものである。コンテンツ要求受付部41は、試聴要求メッセージ(D1)から、どの携帯電話機1にどのコンテンツ(試聴可能データを含む暗号化コンテンツ)を配信すべきかを解析して、解析結果をコンテンツ暗号化部42に伝達する。
【0089】
コンテンツ暗号化部42は、携帯電話機1が要求するコンテンツを暗号化して、暗号化コンテンツ(D2)を生成するものである。コンテンツ暗号化部42は、コンテンツ要求受付部41の解析結果にしたがって、要求されたコンテンツをコンテンツDB51の中から特定する。そして、権利情報管理DB52の中から要求されたコンテンツ用の暗号鍵を用いて、上記特定したコンテンツを暗号化する。
【0090】
さらに、本実施形態では、コンテンツ暗号化部42は、試聴用コンテンツを生成するものとして機能する。すなわち、上記特定したコンテンツの全てではなく、一部を除いて暗号化する。よって、暗号化コンテンツは、暗号化されていない試聴可能データと、暗号化されて再生できない暗号化データとを含むことになる。本実施形態において、暗号化コンテンツは、試聴可能なデータを含む試聴用コンテンツでもある。
【0091】
なお、試聴用コンテンツの配信方法は、上記に限定されない。例えば、試聴用コンテンツを別途作成しておき、コンテンツ暗号化部42が、コンテンツのすべてが暗号化された暗号化コンテンツとともに試聴用コンテンツ(コンテンツの一部分)を携帯電話機1に配信するようにしてもよい。あるいは、所定回数だけ再生可能なコンテンツを配信するようにしてもよい。例えば、コンテンツのすべてが暗号化された暗号化コンテンツとともに、1回だけ再生可能な試聴用コンテンツを携帯電話機1に配信するようにしてもよい。このような試聴用コンテンツには、試聴用のデータをRAMなどにのみ一時的に記憶し、1回だけ再生するように携帯電話機1を制御する制御プログラムが含まれている。
【0092】
受注管理部43は、携帯電話機1からの購入要求メッセージ(D3)を受け付けて受注管理を行うものである。受注管理部43は、購入要求メッセージ(D3)から、どの携帯電話機1がどのコンテンツを購入したのかを解析して、解析結果を受注管理DB53に格納する。これにより、携帯電話機1と、提供すべきコンテンツとの紐付けが行える。
【0093】
また、POS端末装置3からの受注状況について問合せを受け付けたときは、問合せの内容に応じて、どの携帯電話機1からどのコンテンツの購入要求を受け付けたのかを示す受注情報を受注管理DB53から抽出して、発券依頼部44に伝達する。
【0094】
上述のように、受注管理DB53に受注情報が正常に記憶されることにより課金処理が完了する。すなわち、携帯電話機1のユーザには、コンテンツ提供サーバ2の所有者であるコンテンツ提供事業者に対し、購入したコンテンツの代価を支払う義務が生じる。
【0095】
発券依頼部44は、購入を受け付けたコンテンツに対応する権利情報を発券するようPOS端末装置3に依頼するものである。発券依頼部44は、受注管理部43が上記問合せに応じて抽出した受注情報が含まれる発券依頼メッセージ(D6)をPOS端末装置3に送信して、携帯電話機1が購入したコンテンツに対応する権利情報を携帯電話機1のユーザに発券するよう依頼する。
【0096】
これにより、POS端末装置3は、発券依頼部44の発券依頼メッセージ(D6)にしたがって、正しい権利情報を携帯電話機1のユーザに供給することが可能となる。
【0097】
なお、上記機能ブロックとして示される各部は、CPU(central processing unit)が不図示のROM(read only memory)等の記憶装置に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現できる。すなわち、上記各機能ブロック、コンテンツ要求受付部41、コンテンツ暗号化部42、受注管理部43、および、発券依頼部44は、上記CPUが上記記憶装置に格納されたプログラムを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって実現される。
【0098】
(POS端末装置)
図1に示すとおり、POS端末装置3は、POS端末装置3の各部を統括制御する制御部60、記憶部70、印刷部3a、および、携帯電話機1と赤外線通信などの近距離通信を行う近距離無線通信部30を備えている。
【0099】
また、ここでは図示しないが、POS端末装置3は、通信網を介してコンテンツ提供サーバ2との間でデータの送受信を行う通信部を備えている。
【0100】
通信部は、コンテンツ提供サーバ2と通信を行って、コンテンツ提供サーバ2に受注確認メッセージを送信したり、コンテンツ提供サーバ2から発券依頼メッセージを受信したりする。
【0101】
印刷部3aは、制御部60の制御にしたがって、記録媒体としてのカードに、権利情報をバーコードの状態で印字し出力するものである。
【0102】
近距離無線通信部30は、携帯電話機1との間で近距離無線通信を行って各種データを送受信するものである。携帯電話機1から端末ID(端末特定情報)とともに、権利情報を要求する発券要求メッセージを受信するものである。また、該メッセージに応じて、対応する権利情報を携帯電話機1に近距離無線通信にて送信してもよい。
【0103】
記憶部70は、制御部60が実行する制御プログラム、OSプログラム、および、携帯電話機1に供給する権利情報を生成、発券するために必要な処理を実行するときに読み出す各種データを記録するものであり、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置によって構成されるものである。記憶部70に記憶される上記各種データとしては、例えば、コンテンツごとの復号鍵を管理する権利情報DB71、および、権利情報の販売(発券)履歴を管理する販売管理DB72などが挙げられる。
【0104】
制御部60は、上述の各部を制御して、コンテンツ提供サーバ2からの依頼に応じて携帯電話機1が購入したコンテンツに対応する権利情報を生成し、発券・販売するための各種処理を実行する。制御部60は、機能ブロックとしての、端末ID取得部61、受注確認部62、権利情報生成部63、および、権利情報出力部64を含んでいる。
【0105】
端末ID取得部61は、近距離無線通信部30が携帯電話機1の受信した端末IDを取得することにより、携帯電話機1からの発券要求メッセージ(D4)を受け付けるものである。
【0106】
端末IDとは、携帯電話機1を一意に識別するために付与されるユニークな番号のことである。端末IDの具体例としては、携帯電話機1のハードウェア自体に割り当てられているIMEI(International Mobile Equipment Identity)や、SIMカードに記録されているIMSI(International Mobile Subscriber Identity)などが挙げられる。
【0107】
このような端末IDを携帯電話機1から受け付けることにより、コンテンツ提供システム200において、権利情報要求元の携帯電話機1を一意に識別することが可能となる。
【0108】
受注確認部62は、端末ID取得部61が発券要求メッセージ(D4)を受け付けたことに応じて、コンテンツ提供サーバ2に対して受注確認メッセージ(D5)を送信するものである。これにより、要求元の携帯電話機1がどのコンテンツについて購入処理を行ったのかをPOS端末装置3が確認することができる。すなわち、要求元の携帯電話機1に供給すべき権利情報を特定することができる。
【0109】
権利情報生成部63は、受注確認部62の上記受注確認メッセージ(D5)に対する回答である発券依頼メッセージ(D6)をコンテンツ提供サーバ2から受信し、それに応じて権利情報を生成するものである。権利情報生成部63は、要求元の携帯電話機1において購入手続がふまれたコンテンツを再生可能にする復号鍵を、権利情報DB71から抽出し、それを含む権利情報を生成する。
【0110】
権利情報DB71には、コンテンツと権利情報(復号鍵)との対応関係が記憶されている。権利情報生成部63は、発券依頼メッセージ(D6)に含まれるコンテンツID(コンテンツ特定情報)に基づいて、携帯電話機1に供給すべき復号鍵を、権利情報DB71の中から特定する。
【0111】
権利情報出力部64は、権利情報生成部63が生成した権利情報を、携帯電話機1が直接読み取り可能な記録媒体に、直接出力し記録するものである。
【0112】
ここで直接とは、LANやインターネットなど、通信過程で傍受される危険性の高い通信網を介さずに、POS端末装置3から携帯電話機1へ権利情報の授受が行われる状態を指す。
【0113】
例えば、携帯電話機1に内蔵されていない、携帯電話機1の利用者に受け渡す手段としての外部の記録媒体であって、携帯電話機1が読み取り可能な記録媒体に権利情報を出力したり、近距離無線通信手段を用いて携帯電話機1が読み取り可能な記録媒体に権利情報を出力したりすることなどが挙げられる。
【0114】
より具体的には、権利情報の授受を直接行う方法としては、
(方法1)POS端末装置3が権利情報をバーコードとして紙の記録媒体に印字したもの(カード)を、携帯電話機1のユーザに販売し、携帯電話機1に読み取らせる、
(方法2)POS端末装置3が権利情報を磁気の記録媒体に記録したもの(磁気カード)を、携帯電話機1のユーザに販売し、携帯電話機1に読み取らせる、
(方法3)POS端末装置3が権利情報をICチップに記録したもの(ICカード)を、携帯電話機1のユーザに販売し、携帯電話機1に読み取らせる、
(方法4)赤外線やBluetooth(登録商標)を利用した近距離無線通信手段(近距離無線通信部30)を用いて、POS端末装置3が携帯電話機1内蔵の記録媒体に書き込む、ことなどが挙げられる。
【0115】
ただし、権利情報の授受は、コンテンツ代価が回収されたことを前提に実行されるので、方法4を採用する場合は、権利情報出力部64を、購入されたコンテンツの代価の回収が完了したことを検知した後、権利情報を携帯電話機1に出力するように構成する。
【0116】
以上のように、コンテンツ代価が回収された後に、権利情報の授受が直接実行されるため、安全で、確実に金品の授受を行えるコンテンツ配信システム100を構築することが可能となる。
【0117】
また、方法1〜3を採用する場合は、権利情報を記録する記録媒体のタイプに応じて、カードライタ部をPOS端末装置3に設ける。カードライタ部は、権利情報出力部64によって制御される。図1に示す例では、カードライタ部として、バーコードを印字する印刷部3aを示す。また、権利情報出力部64が出力した権利情報を記録する記録媒体のタイプに応じてカードリーダ部を携帯電話機1に設ける。携帯電話機1の構成の詳細については後述する。
【0118】
ここで、方法1を採用する場合、カードに印字されているバーコードとは、一定の規則で識別情報がパターン化された図形で示されているものを指す。本願発明では、例えば、財団法人流通システム開発センターで管理されている、既存のバーコードシステムに準拠したもののほかに、表現したい識別情報と図形パターンとを本発明のコンテンツ配信システム100独自に関連付けしたものをバーコードとして採用してもよい。
【0119】
さらに、上記カード(記録媒体)には、上記バーコードの印字領域を隠蔽する隠蔽部が設けられており、上記バーコードは、上記隠蔽部を除去したのち所定時間経過後に消去されるよう印字されていてもよい。例えば、光を通さない材質の隠蔽部と、光が照射されると消えるような材質のインクでバーコードを印字するなどが考えられる。
【0120】
方法3を採用する場合、POS端末装置3は、印刷部3aの代わりに非接触ICカードに情報を書き込むカードライタ部(図示せず)を備えている。非接触ICカードのコストは、方法1のように紙でできたカードにバーコードを印字するのと比較しても、近年では安価になっている。バーコードを印字したカードの代わりに、非接触ICカードに記録して権利情報を販売した場合、カードを使い捨てずに何度でも再利用することができる。例えば、コンテンツ1つにつき料金を支払い、ICカードに権利情報を記録する。その使い終えた権利情報を記憶したICカードは捨てずに、別の新しいコンテンツが購入された場合に、新しいコンテンツに対応する権利情報に書き換えればよい。そして、携帯電話機1は、ICカードの情報を読み取るカードリーダ部を備えている。
【0121】
以上のように、本発明のコンテンツ配信システム100では、権利情報を記憶するためのICカードを携帯電話機1が内蔵せずに、携帯電話機1と別体のICカードにして販売する。これにより、携帯電話機1のユーザとICカードの販売者との間で、直接確実に料金の支払・回収を実施する機会を生み出すことができる。したがって、セキュリティの面で比較的脆弱な携帯電話機1において、料金がオンラインの課金処理により自動で引き落とされることに、抵抗を感じるユーザも安心して、コンテンツ配信システム100を利用することが可能となる。
【0122】
上述のいずれの方法において権利情報を販売する場合も、コンテンツ提供事業者の立場からすれば、コンテンツ料金と等価である権利情報を、別の携帯電話機や別のユーザに使用されてしまっては、利益を回収する機会を失うことになり不都合である。そこで、正規の購入者が使用した後は、別の携帯電話機や別のユーザが使用できない状態で、権利情報を記録し販売することが好ましい。
【0123】
例えば、方法1では、カードのバーコード印字部分を、印刷直後にシールを貼った形で販売する。そして、シールを除去することによりバーコード印字部分が読み取り可能になる。その一方で、印刷の染料を工夫し一定時間が経過すると印字部分が消えるという対策を行うことが挙げられる。
【0124】
また、方法3でのICカードの場合であれば、カードに記憶されたデータは、読み取るだけでなく、書き込み・消去が可能である。したがって、権利情報が携帯電話機1により読み取られた後に、カードの権利情報は消去または別の情報が上書きされて、再利用されないようにすることができる。
【0125】
なお、上記機能ブロックとして示される各部は、CPU(central processing unit)が不図示のROM(read only memory)等の記憶装置に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)等に読み出して実行することで実現できる。すなわち、上記各機能ブロック、端末ID取得部61、受注確認部62、権利情報生成部63、および、権利情報出力部64は、上記CPUが上記記憶装置に格納されたプログラムを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって実現される。
【0126】
コンテンツ提供サーバ2およびPOS端末装置3を含む上記コンテンツ提供システム200によれば、POS端末装置3は、携帯電話機1から発券要求メッセージ(D4)を受け付けたのに応じて、携帯電話機1が取得した暗号化コンテンツ(D2)を再生可能にするための権利情報(D7)を生成し、バーコードとしてカードに印字する。カードに印字されたバーコードは、携帯電話機1が読み取り可能なバーコードである。
【0127】
このように権利情報(D7)をカードにして出力することにより、POS端末装置3を設置した店舗が、権利情報(D7)を携帯電話機1のユーザに直接販売することが可能となる。すなわち、携帯電話機1のユーザから、現金(またはクレジットカードなど)を、インターネットなどの公衆通信網を介さず直接受け取ることによって、上記店舗がコンテンツ代価を回収することができる。また、所定の金額が支払われた後、その場で上記カードがユーザに手渡される。
【0128】
このように、インターネットなどの公衆通信網によるオンライン決済ではなく、権利情報(D7)をカードで出力し、コンテンツの代価を直接回収するという形態で金品の授受を実現する。また、自由に配信されコピーされるのは暗号化コンテンツ(D2)のみであり、権利情報(D7)および復号されて利用可能となったコンテンツは、公衆通信網を経由することによる傍受にさらされる危険もなくなる。
【0129】
以上のことから、コンテンツの不正再生を防止しつつ、安全で確実にコンテンツ代金の回収を行うコンテンツ配信システムを構築することが可能となる。
【0130】
さらに、上述のコンテンツ提供システム200の構成によれば、コンテンツ提供サーバ2の受注管理部43は、携帯電話機1からの購入要求メッセージ(D3)を受け付けて、携帯電話機1と、提供すべきコンテンツとの紐付けを管理する。
【0131】
続いて、POS端末装置3の端末ID取得部61が、携帯電話機1から発券要求メッセージ(D4)を受け付けると、受注確認部62が発券要求メッセージ(D4)に含まれる端末IDを上記受注管理部43に送信して、上記端末IDが示す携帯電話機1に提供すべきコンテンツを問い合わせる(発券依頼メッセージ(D6))。
【0132】
受注管理部43は、受注確認部62から受け取った端末IDに紐付けられているコンテンツを示すコンテンツIDをPOS端末装置3の権利情報生成部63に送信する(発券依頼メッセージ(D6))。
【0133】
これにより、コンテンツ提供システム200の機能が、複数の装置に分散されている場合でも、携帯電話機1と、購入コンテンツとの紐付けを適切に管理することができる。すなわち、携帯電話機1からコンテンツの購入を受け付けて課金処理を行う装置(コンテンツ提供サーバ2)と、権利情報を出力してコンテンツ代価を回収する装置(POS端末装置3)とに分散されている場合でも、携帯電話機1の発券要求メッセージ(D4)に応じて、適切な権利情報(D7)をカードに出力し、携帯電話機1のユーザに販売することが可能である。
【0134】
また、上述のように装置を分散させる場合でも、ユーザは、携帯電話機1の端末IDをPOS端末装置3の端末ID取得部61に読み取らせるだけでよく、購入コンテンツを指定したり、携帯電話機1の端末IDを入力したりする操作を別途行う必要がない。
【0135】
したがって、ユーザの購入操作を繁雑にすることなく、POS端末装置3をさまざまな場所に複数設置することが可能になる。以上のことから、権利情報の傍受や代金回収の安全性・確実性を維持したまま、金品の授受の機会を増やし、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。また、ユーザがコンテンツを購入する機会が増えることから、コンテンツ提供事業者の収益を上げることが可能となる。
【0136】
〔携帯電話機の構成〕
次に、上述のコンテンツ提供システム200により提供されたコンテンツを再生する携帯電話機1について説明する。図3は、本実施形態にかかる携帯電話機1の要部構成を示す図である。図3に示すとおり、携帯電話機1は、携帯電話機1の各部を統括制御する制御部11、RAM(random access memory)12、ROM(read only memory)13、外部メモリ14、無線通信部15、操作部16、表示部17、音声出力部18、および、カメラ部19などを備えている。
【0137】
制御部11は、ROM13に記録されている各種プログラムを読み出して、本発明の携帯電話機1の各部を制御し、各種処理を行う。
【0138】
RAM12には、制御部11が実行する各種処理の過程で必要となるデータを一時的に記憶するものであり、揮発性の記憶装置によって構成される。例えば、コンテンツ提供サーバ2から配信された暗号化コンテンツ(D2)を再生する場合には、それに含まれる試聴可能データが、試聴データ記憶部31に一時的に書き込まれる。また、携帯電話機1が読み取った権利情報(D7)のバーコードのデータは、バーコードデータ記憶部32に一時的に書き込まれる。
【0139】
ROM13には、制御部11が実行する制御プログラム、OSプログラム、および、制御部11が、各種処理を実行するときに読み出す各種データを記録するものであり、ハードディスクなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0140】
上記制御プログラムとしては、例えば、インターネット接続プログラム、コンテンツダウンロードプログラム、コンテンツ試聴/再生プログラム、バーコード識別プログラムなどが挙げられる。
【0141】
また、携帯電話機1は、外部メモリ14から各種データを読み取る機能を備えている。外部メモリ14からのデータの取得方法としては、通信網を介してダウンロードする、もしくは、SDカード、スマートメディア、USBメモリ等の記録媒体を携帯電話機1に接続することによって取得するなどが考えられる。あるいは、携帯電話機1内に内蔵されるフラッシュROMなどによって実現してもよい。
【0142】
コンテンツ提供サーバ2からダウンロードしたコンテンツは、コンテンツ記憶部33に記憶される。また、権利情報(D7)から読み取ったバーコードのデータから抽出された権利情報は、権利情報記憶部34に記憶される。
【0143】
無線通信部15は、外部の情報処理装置(コンテンツ提供サーバ2・POS端末装置3)と無線通信を行うものである。無線通信部15は、無線通信アンテナで構成されており、携帯電話網における中継基地局との無線通信を行って、電話、電子メール、インターネット等の通信機能を実現する。
【0144】
さらに、無線通信部15は、IrDA(Infrared Data Association)などの赤外線通信を行うための近距離無線通信部を備えている。これにより、POS端末装置3との近距離無線通信が可能となる。
【0145】
操作部16は、携帯電話機1の各種機能を操作するためのボタンである。このボタンを押下した信号は、制御部11に送られる。これにより、制御部11は、ユーザの操作に応じた処理を実行することが可能となる。
【0146】
表示部17は、液晶表示装置(LCD)などからなり、携帯電話機1に備わった各種アプリケーション機能の実行画面を表示する。ダウンロードしたコンテンツが映像データである場合、該映像データが含む映像を表示する。
【0147】
音声出力部18は、携帯電話機1において電話機能を実行した場合の受話時のスピーカとして構成される。また、ダウンロードしたコンテンツが音声データであったり、映像データに音声が含まれていたりした場合は、それらの音声データをD/A変換したものを音声出力する。
【0148】
カメラ部19は、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子からなる撮像手段であり、制御部11からの指示に基づいて被写体を撮像する。カメラ部19は、権利情報(D7)のカードに印字されたバーコードを撮影する。カメラ部19が撮影したバーコード画像は、バーコードデータ記憶部32に記憶され、画像認識処理時に制御部11によって読み出される。
【0149】
制御部11は、上述の各部を制御して、コンテンツ配信システム100において、コンテンツ提供サーバ2より配信されるコンテンツにかかる一連の処理を実行する。すなわち、制御部11は、機能ブロックとしての、コンテンツ要求取得部21、購入処理部22、端末ID送信部23、権利情報読取部24、コンテンツ復号部25、および、コンテンツ再生部26を含んでいる。
【0150】
コンテンツ要求取得部21は、コンテンツ提供サーバ2に試聴要求メッセージ(D1)を送信して、試聴用コンテンツ、すなわち、暗号化コンテンツ(D2)を要求し、コンテンツ提供サーバ2からそれを取得するものである。
【0151】
具体的には、例えば、携帯電話機1の無線通信部15は、コンテンツ提供サーバ2が運営するWEBサイトに携帯電話機1がアクセスし、表示部17に試聴可能なコンテンツの一覧を表示する。ユーザが、操作部16を操作して、WEBサイトに挙げられているコンテンツの1つを選択する。このとき、試聴用コンテンツのダウンロードを指示するボタンが表示され、それをユーザに選択させてもよい。
【0152】
このユーザの操作に応じて、コンテンツ要求取得部21は、ユーザにより選択されたコンテンツを識別するコンテンツIDと、試聴用コンテンツの要求メッセージであることを示す情報とを試聴要求メッセージ(D1)に含めて生成する。無線通信部15が、試聴要求メッセージ(D1)をコンテンツ提供サーバ2に送信する。
【0153】
購入処理部22は、コンテンツ提供サーバ2に購入要求メッセージ(D3)を送信して、コンテンツの発注をコンテンツ提供サーバ2に対して実行するものである。
【0154】
具体的には、例えば、コンテンツ提供サーバ2から取得した暗号化コンテンツ(D2)に含まれる試聴可能データには、当該データを再生した後に、購入するか否かをユーザに問合せるメッセージボックスを表示部17に表示するよう命令プログラムが含まれているとする。携帯電話機1が試聴可能データを再生した後に、上記メッセージボックスが表示され、ユーザが操作部16を用いて表示された「購入する」のボタンを選択する。
【0155】
このユーザの操作に応じて、購入処理部22は、ユーザにより購入されたコンテンツを識別するコンテンツIDと、コンテンツ購入の要求メッセージであることを示す情報とを購入要求メッセージ(D3)に含めて生成する。無線通信部15が、購入要求メッセージ(D3)をコンテンツ提供サーバ2に送信する。これにより、コンテンツ提供サーバ2は、選択されたコンテンツに対する課金処理を実行することができる。
【0156】
端末ID送信部23は、無線通信部15が備える近距離無線通信部を制御して、通信可能圏内にある近距離の装置に、携帯電話機1の端末IDを送信するものである。
【0157】
例えば、ユーザが携帯電話機1をPOS端末装置3の近距離無線通信部30に近づけることにより、端末ID送信部23は、端末IDを含む発券要求メッセージ(D4)をPOS端末装置3に送信することができる。
【0158】
権利情報読取部24は、POS端末装置3が記録媒体に出力した権利情報を当該記録媒体から読み取るものである。
【0159】
本実施形態では、POS端末装置3は、上述の(方法1)により、バーコードを印字したカードを出力する。よって、本実施形態では、権利情報読取部24は、カードに記録されたバーコードを識別して、権利情報を抽出する機能を有するものとして説明する。
【0160】
権利情報読取部24は、まず、カメラ部19がカードを撮像することにより得られたバーコード画像を識別して、バーコードデータをバーコードデータ記憶部32に格納する。そして、権利情報読取部24は、上記バーコードデータから、権利情報のデータを抽出する。この権利情報の抽出は、POS端末装置3の印刷部3aを制御する権利情報出力部64が実行したパターン符号化処理と対になる復号化処理により実現される。
【0161】
権利情報読取部24は、抽出した権利情報を外部メモリ14の権利情報記憶部34に格納する。格納した権利情報(に含まれた復号鍵)は、コンテンツ記憶部33に記憶されている暗号化コンテンツ(D2)を再生するときに利用される。
【0162】
コンテンツ復号部25は、暗号化コンテンツ(D2)を、復号鍵を用いて復号し、再生可能なコンテンツを生成するものである。本実施形態では、暗号化コンテンツ(D2)のうち暗号化されている部分(暗号化データ)を、権利情報記憶部34に記憶されている権利情報(D7)(復号鍵が含まれている)を用いて復号し、復号済データに変換する。そして、コンテンツ復号部25は、暗号化コンテンツ(D2)を、再生可能コンテンツ(D8)として、改めて、コンテンツ記憶部33に格納する。なお、復号された復号済データ(または、それを含む再生可能コンテンツ(D8))は、コピーや転送できないようにロックがされた状態でコンテンツ記憶部33に格納される。
【0163】
これにより、暗号化コンテンツ(D2)は、別の端末にコピーしたり転送したり電子メールに添付して他の携帯電話機に配布することが可能であるが、権利情報(D7)・再生可能コンテンツ(D8)はそれができないため、新たに権利情報(D7)を記録したカードを購入して、新たな権利情報を転送先の携帯電話機に保存しなければ、コンテンツを利用することができないようになっている。
【0164】
ここで、暗号化コンテンツ(D2)および権利情報(D7)がコンテンツ記憶部33および権利情報記憶部34にそれぞれ複数記憶されている場合には、携帯電話機1はコンテンツと権利情報の対応関係を確認する必要がある。
【0165】
コンテンツ復号部25は、暗号化コンテンツ(D2)に含まれるコンテンツIDと一致するコンテンツIDが含まれる権利情報(D7)を権利情報記憶部34から抽出し、コンテンツの復号を行う。上記暗号化コンテンツ(D2)の暗号化データを暗号化した暗号鍵と、上記権利情報(D7)に含まれる復号鍵とが対であれば、コンテンツ復号部25は、復号に成功し、再生可能コンテンツ(D8)を生成することが可能となる。
【0166】
コンテンツ再生部26は、コンテンツ記憶部33に記憶された暗号化コンテンツ(D2)のうち、暗号化されていない部分(試聴可能データ)、および、復号された再生可能コンテンツ(D8)を再生するものである。
【0167】
コンテンツ再生部26は、再生対象のコンテンツをコンテンツ記憶部33から読み出して、音声データであれば音声出力部18に出力し、映像データであれば表示部17に出力する。なお、試聴可能データがRAM12にのみ一時的に保存されるタイプのものであれば、RAM12の試聴データ記憶部31から試聴可能データを読み出して、音声出力部18および/または表示部17に出力する。
【0168】
なお、上記機能ブロックとして示される各部は、CPU(central processing unit)がROM13等の記憶装置に記憶されているプログラムをRAM12等に読み出して実行することで実現できる。すなわち、上記各機能ブロック、コンテンツ要求取得部21、購入処理部22、端末ID送信部23、権利情報読取部24、コンテンツ復号部25、および、コンテンツ再生部26は、上記CPUが上記記憶装置に格納されたプログラムを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって実現される。
【0169】
〔コンテンツ配信システムの処理フロー〕
次に、携帯電話機1、コンテンツ提供サーバ2、および、POS端末装置3を含むコンテンツ配信システム100における各装置の処理の流れを図4および図5に基づき説明する。
【0170】
図4は、コンテンツ配信システム100における各装置の処理の流れを示すシーケンス図である。図5は、図4に示す処理過程において、各装置間で授受される各種データおよび各装置が保持する各種データのデータ構造を示す図である。
【0171】
図4に示すユーザの携帯電話機1は、コンテンツ提供事業者のコンテンツ提供サーバ2に、携帯電話網およびインターネットを通じてアクセスする。
【0172】
まず、携帯電話機1のコンテンツ要求取得部21は、ユーザが試聴したいと望むコンテンツの選択を操作部16を介して受け付けると、試聴要求メッセージ(D1)を生成し、コンテンツ提供サーバ2に送信する(S101)。試聴要求メッセージ(D1)は、図5に示すとおり、当該メッセージが試聴を要求するメッセージである旨を示す情報と、コンテンツを一意に識別するためのコンテンツIDと、コンテンツ提供サーバ2が要求元の携帯電話機1を識別するための端末IDとを含んでいる。
【0173】
コンテンツ提供サーバ2は、インターネットを介して携帯電話機1からの試聴要求メッセージ(D1)を受信する。コンテンツ要求受付部41は、試聴要求メッセージ(D1)を解析して解析結果をコンテンツ暗号化部42に伝達する。
【0174】
コンテンツ暗号化部42は、試聴要求メッセージ(D1)に含まれるコンテンツIDに基づいて、コンテンツDB51の中から暗号化すべきコンテンツを特定する。図5に示すとおり、コンテンツDB51には、コンテンツIDに対応付けてコンテンツ本体のデータが格納されている。また、コンテンツごとに、ユーザが支払うべき料金の情報を格納しておいてもよい。
【0175】
コンテンツ暗号化部42は、特定したコンテンツ本体のうち、一部を除いてコンテンツのデータを暗号化する。このとき暗号化の処理には、上記特定したコンテンツに対応して管理されている暗号鍵を用いる。コンテンツ暗号化部42は、権利情報管理DB52から、暗号化に用いるべき暗号鍵を上記コンテンツIDに基づいて取得する。
【0176】
図5に示す例では、権利情報管理DB52では、暗号鍵は権利IDに対応付けて管理されているが、1コンテンツにつき、1種類の鍵対しか割り当てられていない場合は、権利IDを設けずともコンテンツIDにて対応関係の管理を行える。したがって、権利IDを省略し、コンテンツIDのみに対応付けて各鍵を管理してDBを簡略化してもよい。
【0177】
以上のようにして、コンテンツ暗号化部42は、暗号化コンテンツ(D2)を生成する(S102)。暗号化コンテンツ(D2)は、図5に示すとおり、コンテンツIDと、コンテンツ本体とを含んでおり、該コンテンツ本体は、暗号化されていない試聴可能データと、暗号化されている暗号化データとからなる。試聴可能データは、そのまま携帯電話機1が再生することが可能なデータである。一方、暗号化データは、上記暗号鍵と対になる復号鍵を用いて復号しなければ再生することができないデータである。
【0178】
携帯電話機1のコンテンツ要求取得部21は、コンテンツ提供サーバ2から暗号化コンテンツ(D2)を取得してコンテンツ記憶部33に格納する。そして、コンテンツ再生部26は、コンテンツ記憶部33に記憶されている暗号化コンテンツ(D2)のうち、試聴可能データを読み出して、表示部17および/または音声出力部18に出力する(S103)。これにより、ユーザは自身が選択したコンテンツの試聴を行うことができる。
【0179】
そして、ユーザは試聴の後に上記コンテンツを購入したいと希望する場合には、表示部17に表示されているGUI(graphical user interface)画面における「コンテンツ購入」ボタンを操作部16を用いて選択して購入手続を行う。
【0180】
購入処理部22は、ユーザの購入手続を受け付けて購入要求メッセージ(D3)を生成し、コンテンツ提供サーバ2に送信する(S104)。購入要求メッセージ(D3)は、図5に示すとおり、当該メッセージが購入を要求するメッセージである旨を示す情報と、コンテンツを一意に識別するためのコンテンツIDと、コンテンツ提供サーバ2が要求元の携帯電話機1を識別するための端末IDとを含んでいる。
【0181】
コンテンツ提供サーバ2の受注管理部43は、携帯電話機1から受信した購入要求メッセージ(D3)を解析して、解析結果(すなわち、受注情報)を受注管理DB53に格納し、受注の処理を行う(S105)。図5に示すとおり、受注管理DB53には、購入要求メッセージ(D3)に含まれるコンテンツIDおよび端末IDが対応付けて格納されている。また、コンテンツごとに、ユーザが支払うべき料金の情報を格納しておいてもよい。これにより、どのユーザからどのコンテンツが購入されたのか(また、料金をいくら回収すべきか)を管理することができる。受注管理部43が、購入要求メッセージ(D3)に基づいて、上記受注情報を受注管理DB53に格納したことにより、課金処理が完了する。
【0182】
なお、課金処理完了の後、コンテンツ提供サーバ2は、課金処理が正常に完了したことを通知するメッセージを携帯電話機1に返信してもよい。例えば、「コンテンツをご購入いただきありがとうございました。お近くのコンビニエンスストアにて権利情報をお求め下さい。」などのメッセージとともに、権利情報を販売している店舗の案内を送信してもよい。
【0183】
携帯電話機1の購入処理が完了すると、ユーザは、携帯電話機1を持って、POS端末装置3が設置されている店舗に行く。ここで、携帯電話機1とPOS端末装置3との間で、権利情報の授受に関する処理が実行される。携帯電話機1は、無線通信部15の近距離無線通信部を介して、POS端末装置3と近距離無線通信を行う。
【0184】
まず、携帯電話機1の端末ID送信部23は、自装置の端末IDを、権利情報の発券要求メッセージ(D4)として(図5)、無線通信部15の近距離無線通信部を介してPOS端末装置3に送信する(S106)。
【0185】
POS端末装置3の近距離無線通信部30が、発券要求メッセージ(D4)を受信すると、端末ID取得部61は、発券要求メッセージ(D4)に含まれる携帯電話機1の端末IDを取得し(S107)、受注確認部62に伝達する。
【0186】
続いて、受注確認部62は、端末ID取得部61が取得した端末IDに基づいて、どのコンテンツについての権利情報を発券すべきかを特定するために、コンテンツ提供サーバ2に対して受注情報の確認を行う(S108)。具体的には、受注確認部62は、上記端末IDに基づいて受注確認メッセージ(D5)を生成し、インターネットを介してコンテンツ提供サーバ2に送信する。
【0187】
受注確認メッセージ(D5)は、図5に示すとおり、問合せ元である店舗をコンテンツ提供サーバ2が一意に識別するための店舗IDと、どの携帯電話機1についての受注情報を問合せているのかを示す端末IDとを含んでいる。
【0188】
コンテンツ提供サーバ2の受注管理部43は、POS端末装置3の受注確認部62から受け付けた受注確認メッセージ(D5)に応じて、発券依頼メッセージ(D6)を返す(S109)。具体的には、受注管理部43は、受注確認メッセージ(D5)に含まれている端末IDに基づいて、受注管理DB53から、当該端末IDにかかる受注情報を抽出する。すなわち、コンテンツID(および、金額)を抽出する。
【0189】
そして、発券依頼部44は、問合せのあった端末IDに関連付けて、受注管理部43が抽出したコンテンツID(および金額)を含めて、図5に示す発券依頼メッセージ(D6)を生成し、POS端末装置3に送信する。
【0190】
これにより、POS端末装置3は、発券要求メッセージ(D4)を受け付けた携帯電話機1に対して、どのコンテンツの権利情報(復号鍵)を出力すればよいのかを特定することが可能となる。
【0191】
次に、POS端末装置3の権利情報生成部63は、コンテンツ提供サーバ2から受信した発券依頼メッセージ(D6)に応じて、権利情報(D7)を生成する(S110)。具体的には、権利情報生成部63は、発券依頼メッセージ(D6)に含まれるコンテンツIDに基づいて、権利情報DB71から当該コンテンツIDに関連付けられた復号鍵を抽出する。
【0192】
図5に示すとおり、権利情報DB71には、コンテンツIDに関連付けて、復号鍵が記憶されている。この復号鍵は、権利情報管理DB52にコンテンツごとに記憶されている暗号鍵と対になっている。また、さらに、復号鍵ごとに利用条件(利用機関、利用回数など)が設定されていてもよい。この場合、権利情報生成部63は、コンテンツに対応する利用条件もともに抽出する。
【0193】
続いて、権利情報生成部63は、発券依頼メッセージ(D6)に含まれるコンテンツIDに対応付けて、抽出した復号鍵(および、利用条件)を含めて権利情報(D7)を生成する(図5)。この権利情報(D7)に含まれる復号鍵は、コピー・転送が行えないようにロックされているデータである。
【0194】
次に、権利情報出力部64は、権利情報生成部63が生成した権利情報(D7)を、バーコードに変換するための符号化処理を行って印刷部3aに出力する。権利情報出力部64の制御にしたがって、印刷部3aは、権利情報(D7)をバーコードとして印字したカードを出力する(S111)。権利情報出力部64は、発券依頼メッセージ(D6)に基づき、ユーザから回収すべきコンテンツ料金が過不足なく回収されたことを検知して(店員が入金完了の指示をPOS端末装置3に入力する、など)、その後にバーコードを印字したカードを出力する。
【0195】
ここで、POS端末装置3は、納品管理部(図示せず)を備えていてもよい。納品管理部は、販売管理DB72の情報を操作して、コンテンツ料金の回収状況と、権利情報の納品状況とを管理するものである。具体的には、納品管理部は、権利情報出力部64が所定の権利情報(D7)を出力したのちに、コンテンツ料金の回収と、権利情報の供給とが無事に完了したとして、納品情報(すなわち、販売日(料金回収日)、端末ID、コンテンツID、および、金額を関連付けたもの)を販売管理DB72に格納する(図5)。
【0196】
そして、納品管理部は、納品情報(端末IDとコンテンツIDとの関連付け)を納品・代価回収完了メッセージとしてコンテンツ提供サーバ2に送信する。コンテンツ提供サーバ2の受注管理部43は、納品と代価回収とが完了したレコードを、上記端末IDとコンテンツIDとの関連付けに基づき国定して、受注管理DB53からの消し込み作業を実行する。これにより、重複受注、重複納品などのリスクを低減することが可能となる。
【0197】
続いて、ユーザにより購入された、権利情報(D7)を記録したカードから、携帯電話機1の権利情報読取部24は、バーコードを読み取って、権利情報(復号鍵)抽出する(S112)。
【0198】
コンテンツ復号部25は、権利情報読取部24が抽出した復号鍵を用いて、S103で取得した暗号化コンテンツ(D2)のうちの暗号化データを復号し、復号済データに変換する。ここで、暗号化コンテンツ(D2)を生成するときに用いられた暗号鍵と、上記抽出された復号鍵とが対になっていれば(S113においてYES)、コンテンツ復号部25は、コンテンツ復号に成功する(S114)。そして、暗号化コンテンツ(D2)は、試聴可能データと復号済データとからなるコンテンツ本体を含む再生可能コンテンツ(D8)として(図5)、コンテンツ記憶部33に格納される。復号済データは、復号鍵と同様、コピー・転送が行えないようにロックされているデータである。
【0199】
最後に、コンテンツ再生部26は、コンテンツ記憶部33に記憶された再生可能コンテンツ(D8)を読み出して、ユーザが購入したコンテンツを再生する(S115)。
【0200】
一方、上記暗号鍵と上記復号鍵とが対になっていない場合は(S113においてNO)、暗号化コンテンツ(D2)は復号されない(S116)。そして、コンテンツ再生エラーとなる(S117)。ここで、コンテンツを再生することができない旨を示すエラーメッセージを表示部17に表示させてもよい。
【0201】
上記コンテンツ配信システムおよび方法によれば、コンテンツ提供サーバ2の受注管理部43は、携帯電話機1からの購入要求メッセージ(D3)を受け付けて、携帯電話機1と、提供すべきコンテンツとの紐付けを管理する。
【0202】
続いて、携帯電話機1の端末ID送信部23が、無線通信部15を介して、POS端末装置3の近距離無線通信部30に端末IDを送信する。そして、POS端末装置3の端末ID取得部61が、携帯電話機1から発券要求メッセージ(D4)を受け付けると、受注確認部62が発券要求メッセージ(D4)に含まれる端末IDを上記受注管理部43に送信して、上記端末IDが示す携帯電話機1に提供すべきコンテンツを問い合わせる(発券依頼メッセージ(D6))。
【0203】
受注管理部43は、受注確認部62から受け取った端末IDに紐付けられているコンテンツを示すコンテンツIDをPOS端末装置3の権利情報生成部63に送信する(発券依頼メッセージ(D6))。
【0204】
これにより、コンテンツ提供システム200の機能が、複数の装置に分散されている場合でも、携帯電話機1と、購入コンテンツとの紐付けを適切に管理することができる。すなわち、携帯電話機1からコンテンツの購入を受け付けて課金処理を行う装置(コンテンツ提供サーバ2)と、権利情報を出力してコンテンツ代価を回収する装置(POS端末装置3)とに分散されている場合でも、携帯電話機1の発券要求メッセージ(D4)に応じて、適切な権利情報(D7)をカードに出力し、携帯電話機1のユーザに販売することが可能である。
【0205】
また、上述のように装置を分散させる場合でも、ユーザは、携帯電話機1の端末IDをPOS端末装置3の端末ID取得部61に読み取らせるだけでよく、購入コンテンツを指定したり、携帯電話機1の端末IDを入力したりする操作を別途行う必要がない。
【0206】
したがって、ユーザの購入操作を繁雑にすることなく、POS端末装置3をさまざまな場所に複数設置することが可能になる。以上のことから、権利情報の傍受や代金回収の安全性・確実性を維持したまま、金品の授受の機会を増やし、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。また、ユーザがコンテンツを購入する機会が増えることから、コンテンツ提供事業者の収益を上げることが可能となる。
【0207】
そして、携帯電話機1の権利情報読取部24は、ユーザが入手したカードから、バーコードを読み取って識別し、暗号化コンテンツ(D2)を復号するための権利情報(コンテンツID+復号鍵)を抽出する。
【0208】
コンテンツ復号部25は、暗号化コンテンツ(D2)のコンテンツIDと一致する復号鍵を用いて、暗号化コンテンツ(D2)の暗号化データを復号する。
【0209】
上記暗号化データを暗号化したときの暗号鍵と、上記復号鍵とが対になっている場合には、暗号化データは、復号され復号済データに変換され、再生可能コンテンツ(D8)が生成される。
【0210】
コンテンツ再生部26は、再生可能コンテンツ(D8)を再生する。
【0211】
上記権利情報(D7)および再生可能コンテンツ(D8)は、不正コピーされないようロックがかかっているデータである。
【0212】
以上のことから、コンテンツの不正再生を防止しつつ、安全で確実にコンテンツ代金の回収を行うコンテンツ配信システムを構築することが可能となる。
【0213】
従来のコンテンツ配信システムでは、コンテンツの代価の回収は、オンライン決済システムが採用されており、セキュリティの面で比較的脆弱な携帯電話機にクレジットカードの情報を登録して利用することには、抵抗を感じるユーザが多く、コンテンツの販売の促進を妨げる要因となっていた。
【0214】
しかし、本発明のコンテンツ配信システムによれば、権利情報を記録するカードを出力することにより、該カードと引き換えに直接コンテンツ代価を回収できるため、より安全・確実にコンテンツ代価の支払・回収を行うことができる。
【0215】
また、権利情報の発券のために、コンテンツIDなどのコード入力操作が必要ないため、携帯電話機1で簡便に権利情報の入手(コンテンツの購入)が行える。これにより、老人や子供のユーザにも簡単に利用できるコンテンツ配信システムを構築することが可能となる。
【0216】
また、コンテンツ提供サーバ2では、携帯電話機1の試聴要求メッセージ(D1)に応じて、暗号化コンテンツ(D2)とともに試聴可能データを配信することが可能である。これにより、携帯電話機1は、購入手続の前にコンテンツを無償で自由に試聴することが可能となり、コンテンツ提供事業者によって、コンテンツの販売促進の効果が期待できる。
【0217】
(変形例)
上述した実施形態では、コンテンツ配信システム100における、コンテンツ提供システム200の機能を、コンテンツ提供サーバ2およびPOS端末装置3の2つの装置に分散させた場合について説明したが、本発明のコンテンツ配信システム100の構成はこれに限定されない。コンテンツ提供システム200は、1つの装置、すなわち、コンテンツ提供装置として実現されてもよい。
【0218】
この場合、ユーザの携帯電話機1と、購入要求がなされたコンテンツとの紐付け管理、権利情報出力のための受注確認、および、権利情報発券依頼などが不要になるため、コンテンツ配信システム100における各種装置の構成が簡素化されるというメリットがある。
【0219】
図6は、POS端末装置3の権利情報生成部63、権利情報出力部64、および、権利情報DB71を、コンテンツ提供サーバ2が備える場合の、コンテンツ配信システム100における各装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【0220】
図4のシーケンス図と異なる点は、以下のとおりである。
【0221】
携帯電話機1は、S204において購入要求メッセージ(D3)をコンテンツ提供サーバ2に送信することによって、権利情報の発券要求を行っている。したがって、S106の発券要求メッセージ(D4)を送信するステップが不要となる。
【0222】
また、S107〜S109の各ステップ(ユーザ(携帯電話機1)とコンテンツとの紐付け)を経ずとも、コンテンツ提供サーバ2は、携帯電話機1からの購入要求メッセージ(D3)に応じて、適切な権利情報(D7)を出力できる。
【0223】
以上のことからコンテンツ提供装置としてのコンテンツ提供サーバ2の構成は、図1に示すコンテンツ提供システム200の構成と比べてシンプルになるというメリットがある。
【0224】
結果として、よりシンプルな構成で、コンテンツの不正再生を防止しつつ、安全で確実にコンテンツ代金の回収を行うコンテンツ配信システムを実現することが可能となる。
【0225】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0226】
最後に、携帯電話機1、コンテンツ提供サーバ2、および、POS端末装置3の各ブロック、特に、コンテンツ暗号化部42、受注管理部43、端末ID取得部61、権利情報生成部63、および、権利情報出力部64は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0227】
すなわち、携帯電話機1、コンテンツ提供サーバ2、および、POS端末装置3は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである携帯電話機1、コンテンツ提供サーバ2、および、POS端末装置3の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記携帯電話機1、コンテンツ提供サーバ2、および、POS端末装置3に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0228】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0229】
また、携帯電話機1、コンテンツ提供サーバ2、および、POS端末装置3を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを、通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0230】
本発明のコンテンツ提供装置、コンテンツ提供システムによれば、コンテンツ代価の回収およびコンテンツを復号する権利情報の供給を安全かつ確実に行うことができる。したがって、音楽データや映像データなどのコンテンツを再生するコンテンツ再生装置に対し、暗号化したコンテンツとは別に、該コンテンツを復号するための権利情報を供給するコンテンツ提供装置、コンテンツ提供システムに好適に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0231】
【図1】本発明の実施形態にかかるコンテンツ提供システムの要部構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるコンテンツ配信システムの概略構成を示す図である。
【図3】本実施形態にかかる携帯電話機の要部構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるコンテンツ配信システムにおける各装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図5】本発明の実施形態にかかるコンテンツ配信システムの処理過程において、各装置間で授受される各種データおよび各装置が保持する各種データのデータ構造を示す図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる他のコンテンツ配信システムにおける各装置の処理の流れを示すシーケンス図である。
【符号の説明】
【0232】
1 携帯電話機(コンテンツ再生装置)
2 コンテンツ提供サーバ
3 POS端末装置(権利情報出力装置)
3a 印刷部
11 制御部
12 RAM
13 ROM
14 外部メモリ
15 無線通信部(通信手段)
16 操作部
17 表示部
18 音声出力部
19 カメラ部
21 コンテンツ要求取得部
22 購入処理部
23 端末ID送信部
24 権利情報読取部(権利情報取得手段)
25 コンテンツ復号部(制限解除手段)
26 コンテンツ再生部
30 近距離無線通信部
31 試聴データ記憶部
32 バーコードデータ記憶部
33 コンテンツ記憶部
34 権利情報記憶部
40 制御部
41 コンテンツ要求受付部
42 コンテンツ暗号化部(コンテンツ送信手段)
43 受注管理部(コンテンツ特定手段)
44 発券依頼部(コンテンツ特定手段)
50 記憶部
51 コンテンツDB
52 権利情報管理DB
53 受注管理DB(受注情報記録部)
60 制御部
61 端末ID取得部(コンテンツ特定手段)
62 受注確認部(コンテンツ特定手段)
63 権利情報生成部(権利情報特定手段)
64 権利情報出力部(権利情報記録手段)
70 記憶部
71 権利情報DB(権利情報記録部)
72 販売管理DB
100 コンテンツ配信システム
200 コンテンツ提供システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを再生するコンテンツ再生装置に対して、通信ネットワークを介して、再生制限がかけられているコンテンツを送信するコンテンツ送信手段と、
再生制限がかけられている各コンテンツに対応した、再生制限を解除するための権利情報を記録する権利情報記録部と、
上記コンテンツ再生装置の利用者から受け付けた上記コンテンツの購入要求に含まれる、上記コンテンツを特定するためのコンテンツ特定情報に基づいて、購入されたコンテンツを特定するコンテンツ特定手段と、
上記コンテンツ特定手段によって特定されたコンテンツに対応する権利情報を、上記権利情報記録部から特定する権利情報特定手段と、
上記コンテンツ再生装置が読み取り可能であって、該コンテンツ再生装置に上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体に、上記権利情報特定手段によって特定された権利情報を記録する権利情報記録手段とを備えていることを特徴とするコンテンツ提供システム。
【請求項2】
上記コンテンツ送信手段を備えるコンテンツ提供サーバと、
上記権利情報記録部、上記コンテンツ特定手段、上記権利情報特定手段、および、上記権利情報記録手段を備える1または複数の権利情報出力装置とを含むことを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項3】
上記コンテンツ提供サーバは、
上記利用者のコンテンツ再生装置から通信ネットワークを介して受け付けた購入要求に含まれる、該コンテンツ再生装置を特定する端末特定情報と上記コンテンツ特定情報とを関連付けて受注情報記録部に記録する受注管理手段を備え、
上記権利情報出力装置は、
上記受注情報記録部に接続する通信手段を備え、
上記コンテンツ特定手段は、
上記コンテンツ再生装置から受け付けた、該コンテンツ再生装置を特定する端末特定情報に基づいて、上記通信手段により接続された上記受注情報記録部から、購入されたコンテンツを特定することを特徴とする請求項2に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項4】
上記再生制限は、コンテンツを部分的に再生不可能にする再生制限であることを特徴とする請求項1に記載のコンテンツ提供システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のコンテンツ提供システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、
上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から上記権利情報を取得する権利情報取得手段と、
上記権利情報取得手段が取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除手段とを備えていることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項6】
コンテンツを配信するコンテンツ再生システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信手段と、
上記コンテンツ受信手段が受信した上記コンテンツの再生制限を解除するための権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から、該権利情報を取得する権利情報取得手段と、
上記権利情報取得手段が取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除手段とを備えていることを特徴とするコンテンツ再生装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載のコンテンツ提供システムと、
請求項5または6に記載のコンテンツ再生装置とを含むことを特徴とするコンテンツ配信システム。
【請求項8】
上記権利情報は、上記記録媒体に印字されたバーコードであり、
上記権利情報取得手段は、上記記録媒体に印字されたバーコードを撮像し、撮像したバーコードの画像を識別して権利情報を取得することを特徴とする請求項7に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項9】
上記記録媒体には、上記バーコードの印字領域を隠蔽する隠蔽部が設けられており、
上記バーコードは、上記隠蔽部を除去したのち所定時間経過後に消去されるよう印字されていることを特徴とする請求項8に記載のコンテンツ配信システム。
【請求項10】
コンテンツを再生するコンテンツ再生装置に対して、通信ネットワークを介して、再生制限がかけられているコンテンツを送信するコンテンツ送信ステップと、
上記コンテンツ再生装置の利用者から受け付けた上記コンテンツの購入要求に含まれる、上記コンテンツを特定するためのコンテンツ特定情報に基づいて、購入されたコンテンツを特定するコンテンツ特定ステップと、
上記コンテンツ特定ステップによって特定されたコンテンツに対応する権利情報を、再生制限がかけられている各コンテンツに対応した、再生制限を解除するための権利情報を記録する権利情報記録部から特定する権利情報特定ステップと、
上記コンテンツ再生装置が読み取り可能であって、該コンテンツ再生装置に上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体に、上記権利情報特定ステップにて特定された権利情報を記録する権利情報記録ステップとを含むことを特徴とするコンテンツ提供システムの制御方法。
【請求項11】
請求項1から4のいずれか1項に記載のコンテンツ提供システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信ステップと、
上記権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から上記権利情報を取得する権利情報取得ステップと、
上記権利情報取得ステップにて取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除ステップとを含むことを特徴とするコンテンツ再生装置の制御方法。
【請求項12】
コンテンツを配信するコンテンツ再生システムから、通信ネットワークを介して、上記再生制限がかけられているコンテンツを受信するコンテンツ受信ステップと、
上記コンテンツ受信ステップにて受信した上記コンテンツの再生制限を解除するための権利情報を受け渡す手段としての記録媒体から、該権利情報を取得する権利情報取得ステップと、
上記権利情報取得ステップにて取得した権利情報を用いて、上記コンテンツの再生制限を解除する制限解除ステップとを含むことを特徴とするコンテンツ再生装置の制御方法。
【請求項13】
コンピュータを、請求項1から4のいずれか1項に記載のコンテンツ提供システム、請求項5または6に記載のコンテンツ再生装置、または、請求項7から9のいずれか1項に記載のコンテンツ配信システムの各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−134739(P2008−134739A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319204(P2006−319204)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】