説明

コンテンツ管理装置、コンテンツ受信装置、コンテンツ配信システム、及びプログラム

【課題】遡及再生用の映像ストリームを配信するコンテンツ配信サーバへの負荷集中を回避することが可能なコンテンツ管理装置を得る。
【解決手段】コンテンツ管理装置4は、放送中の複数のコンテンツの中から指定された所望のコンテンツに関する識別情報を含むアドレス要求信号(データD2)を、コンテンツ受信装置6から受信する要求受信処理部41と、所望のコンテンツを配信するユニキャスト配信サーバ2の負荷状況に関する負荷情報(データD10)を取得する取得部44と、負荷情報に基づき、識別情報に対応するユニキャストアドレスを含む応答信号(データD3A)、又は所望のコンテンツに関するアドレス要求信号の再送禁止期間を示す情報を含む応答信号(データD3B)を、コンテンツ受信装置6に送信する応答送信処理部43と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツ管理装置、コンテンツ受信装置、コンテンツ配信システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年における通信技術の進展に伴い、地上デジタル放送やBSデジタル放送等のコンテンツをIPネットワークを介して配信するIP再送信サービスが普及しつつある。IP再送信サービスでは、番組検索等の際におけるユーザの利便性を向上すべく、放送中及び放送予定のコンテンツに関する番組情報が、コンテンツ配信装置からネットワークを介してコンテンツ受信装置に送信される。コンテンツ受信装置は、ネットワークから受信したトランスポートストリームに含まれているEIT(Event Information Table)等の各種のSI(Service Information)に基づいて、番組情報を取得する。
【0003】
なお、地上デジタル放送に関する運用規定が、例えば下記非特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】地上デジタルテレビジョン放送 技術資料 ARIB TR−B14 3.9版、第四編(PSI/SI運用規定)、社団法人電波産業会、平成21年7月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
視聴したいコンテンツの放送がユーザの帰宅時にすでに開始されている場合等において、そのコンテンツを途中からではなく先頭から視聴したいというユーザの要望がある。これを実現するための手法として、ユーザによって先頭からの再生が指定されたコンテンツの映像ストリーム(先頭からのストリーム)を、リアルタイム放送用のマルチキャスト配信サーバからではなく、ユニキャスト配信サーバからそのユーザに送信する方法が考えられる。このような態様の再生を、本明細書においては「遡及再生」と称する。
【0006】
しかしながら、例えばあるチャンネルのコンテンツの放送が終了した直後に、別のチャンネルのコンテンツに対する遡及再生の要求が、複数のコンテンツ受信装置から一斉に送信される状況が想定される。このような場合、ユニキャスト配信サーバの負荷が一時的に過大となって、安定した動作を行えない事態が生じる可能性がある。また、所望のコンテンツの遡及再生に失敗した複数のユーザが立て続けに何度もリトライを行うと、ユニキャスト配信サーバの負荷は一向に低下せず、安定動作に復帰するまでの期間が長期化する。しかも、新作や人気コンテンツの配信開始直後の負荷集中を予測しやすいVOD(Video On Demand)サービスとは異なり、負荷集中の発生タイミングの予測が困難であるため、ユニキャスト配信サーバの通信容量を事前に増強する等の対策はとりにくい。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みて成されたものであり、遡及再生用の映像ストリームを配信するコンテンツ配信サーバへの負荷集中を回避することが可能な、コンテンツ管理装置、コンテンツ受信装置、コンテンツ配信システム、及びプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係るコンテンツ管理装置は、放送中の複数のコンテンツの中から指定された所望のコンテンツに関する識別情報を含む要求信号を受信する要求受信手段と、前記所望のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバの負荷状況に基づき、前記識別情報に対応するアドレス情報、又は前記所望のコンテンツに関する前記要求信号の再送禁止期間を示す情報を含む応答信号を送信する応答送信手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0009】
第1の態様に係るコンテンツ管理装置によれば、ユーザによって指定された所望のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバの負荷状況に関する負荷情報が取得される。そして、負荷レベルが低くコンテンツ配信サーバが所望のコンテンツを配信できる場合には、応答送信手段は、所望のコンテンツの識別情報に対応するアドレス情報を含む応答信号を、コンテンツ受信装置に送信する。一方、負荷レベルが高くコンテンツ配信サーバがそれ以上コンテンツを配信すると安定動作に支障が出るような場合には、応答送信手段は、所望のコンテンツに関する要求信号の再送禁止期間を示す情報を含む応答信号を、コンテンツ受信装置に送信する。この場合、少なくとも再送禁止期間内においては、コンテンツ受信装置からコンテンツ配信サーバへ映像要求信号は送信されないため、遡及再生用の映像ストリームを配信するコンテンツ配信サーバへの負荷集中を回避することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係るコンテンツ管理装置は、第1の態様に係るコンテンツ管理装置において特に、前記応答送信手段は、前記コンテンツ配信サーバの負荷状況に応じて前記再送禁止期間を設定することを特徴とするものである。
【0011】
第2の態様に係るコンテンツ管理装置によれば、応答送信手段は、コンテンツ配信サーバの負荷状況に応じて再送禁止期間を設定する。従って、負荷レベルがやや高い場合には再送禁止期間を短く設定し、負荷レベルが非常に高い場合には再送禁止期間を長く設定することにより、コンテンツ配信サーバへの負荷集中を効果的に回避することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係るコンテンツ管理装置は、第1又は第2の態様に係るコンテンツ管理装置において特に、前記コンテンツ配信サーバが複数ある場合、前記応答送信手段は、コンテンツ配信サーバ毎に前記再送禁止期間を設定することを特徴とするものである。
【0013】
第3の態様に係るコンテンツ管理装置によれば、コンテンツ配信サーバが複数ある場合、応答送信手段は、コンテンツ配信サーバ毎に再送禁止期間を設定する。従って、各コンテンツ配信サーバの負荷状況が異なる場合、それぞれの負荷状況に応じて最適な再送禁止期間を個別に設定することが可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様に係るコンテンツ管理装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係るコンテンツ管理装置において特に、前記コンテンツ受信装置が複数ある場合、前記応答送信手段は、コンテンツ受信装置毎に前記再送禁止期間を設定することを特徴とするものである。
【0015】
第4の態様に係るコンテンツ管理装置によれば、コンテンツ受信装置が複数ある場合、応答送信手段は、コンテンツ受信装置毎に再送禁止期間を設定する。従って、再送禁止期間が同時に終了した複数のコンテンツ受信装置から要求信号が一斉に再送信されるという事態を回避することが可能となる。
【0016】
本発明の第5の態様に係るコンテンツ受信装置は、放送中の複数のコンテンツの中から指定された所望のコンテンツに関する識別情報を含む要求信号に応答して送信された応答信号を受信する応答受信手段と、前記所望のコンテンツに関するアドレス情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該アドレス情報を所定のコンテンツ配信サーバに送信するアドレス送信手段と、前記所望のコンテンツに関する要求信号の再送禁止期間を示す情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該再送禁止期間内において当該要求信号の再送信を禁止する禁止手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0017】
第5の態様に係るコンテンツ受信装置によれば、応答受信手段は、要求信号に応答してコンテンツ管理装置から送信された応答信号を受信する。そして、禁止手段は、所望のコンテンツに関する要求信号の再送禁止期間を示す情報が応答信号に含まれる場合に、当該再送禁止期間内において当該要求信号の再送信を禁止する。コンテンツ管理装置は、コンテンツ配信サーバの負荷レベルが高く、コンテンツ配信サーバがそれ以上コンテンツを配信すると安定動作に支障が出るような場合に、再送禁止期間を示す情報を含む応答信号をコンテンツ受信装置に送信する。従って、再送禁止期間を示す情報が応答信号に含まれる場合には、禁止手段が当該要求信号の再送信を禁止することにより、少なくとも再送禁止期間内においてはコンテンツ受信装置からコンテンツ配信サーバへ映像要求信号は送信されない。その結果、遡及再生用の映像ストリームを配信するコンテンツ配信サーバへの負荷集中を回避することが可能となる。
【0018】
本発明の第6の態様に係るコンテンツ配信システムは、放送中の複数のコンテンツの中から所望のコンテンツの指定を受け付ける受付手段と、前記所望のコンテンツに関する識別情報を含む要求信号を送信する要求送信手段と、前記要求信号を前記要求送信手段から受信する要求受信手段と、前記所望のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバの負荷状況に基づき、前記識別情報に対応するアドレス情報、又は前記所望のコンテンツに関する前記要求信号の再送禁止期間を示す情報を含む応答信号を送信する応答送信手段と、前記応答信号を前記応答送信手段から受信する応答受信手段と、前記アドレス情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該アドレス情報を前記コンテンツ配信サーバに送信するアドレス送信手段と、前記要求信号の再送禁止期間を示す情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該再送禁止期間内において前記要求送信手段による当該要求信号の再送信を禁止する禁止手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0019】
第6の態様に係るコンテンツ配信システムによれば、コンテンツ配信サーバの負荷レベルが高く、コンテンツ配信サーバがそれ以上コンテンツを配信すると安定動作に支障が出るような場合には、応答送信手段は、所望のコンテンツに関する要求信号の再送禁止期間を示す情報を、コンテンツ受信装置に送信する。また、コンテンツ受信装置において、応答受信手段は、要求信号に応答して送信された応答信号を受信する。そして、禁止手段は、所望のコンテンツに関する要求信号の再送禁止期間を示す情報が応答信号に含まれる場合に、当該再送禁止期間内において要求送信手段による当該要求信号の再送信を禁止する。従って、再送禁止期間を示す情報が応答信号に含まれる場合には、禁止手段が当該要求信号の再送信を禁止することにより、少なくとも再送禁止期間内においてはコンテンツ受信装置からコンテンツ配信サーバへ映像要求信号は送信されない。その結果、遡及再生用の映像ストリームを配信するコンテンツ配信サーバへの負荷集中を回避することが可能となる。
【0020】
本発明の第7の態様に係るプログラムは、コンテンツ管理装置に搭載されるコンピュータを、放送中の複数のコンテンツの中から指定された所望のコンテンツに関する識別情報を含む要求信号を受信する要求受信手段と、前記所望のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバの負荷状況に基づき、前記識別情報に対応するアドレス情報、又は前記所望のコンテンツに関する前記要求信号の再送禁止期間を示す情報を含む応答信号を送信する応答送信手段と、として機能させるためのプログラムである。
【0021】
第7の態様に係るプログラムによれば、ユーザによって指定された所望のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバの負荷状況に関する負荷情報が取得される。そして、負荷レベルが低くコンテンツ配信サーバが所望のコンテンツを配信できる場合には、応答送信手段は、所望のコンテンツの識別情報に対応するアドレス情報を含む応答信号を、コンテンツ受信装置に送信する。一方、負荷レベルが高くコンテンツ配信サーバがそれ以上コンテンツを配信すると安定動作に支障が出るような場合には、応答送信手段は、所望のコンテンツに関する要求信号の再送禁止期間を示す情報を含む応答信号を、コンテンツ受信装置に送信する。この場合、少なくとも再送禁止期間内においては、コンテンツ受信装置からコンテンツ配信サーバへ映像要求信号は送信されないため、遡及再生用の映像ストリームを配信するコンテンツ配信サーバへの負荷集中を回避することが可能となる。
【0022】
本発明の第8の態様に係るプログラムは、コンテンツ受信装置に搭載されるコンピュータを、放送中の複数のコンテンツの中から指定された所望のコンテンツに関する識別情報を含む要求信号に応答して送信された応答信号を受信する応答受信手段と、前記所望のコンテンツに関するアドレス情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該アドレス情報を所定のコンテンツ配信サーバに送信するアドレス送信手段と、前記所望のコンテンツに関する要求信号の再送禁止期間を示す情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該再送禁止期間内において当該要求信号の再送信を禁止する禁止手段と、として機能させるためのプログラムである。
【0023】
第8の態様に係るプログラムによれば、応答受信手段は、要求信号に応答してコンテンツ管理装置から送信された応答信号を受信する。そして、禁止手段は、所望のコンテンツに関する要求信号の再送禁止期間を示す情報が応答信号に含まれる場合に、当該再送禁止期間内において当該要求信号の再送信を禁止する。コンテンツ管理装置は、コンテンツ配信サーバの負荷レベルが高く、コンテンツ配信サーバがそれ以上コンテンツを配信すると安定動作に支障が出るような場合に、再送禁止期間を示す情報を含む応答信号をコンテンツ受信装置に送信する。従って、再送禁止期間を示す情報が応答信号に含まれる場合には、禁止手段が当該要求信号の再送信を禁止することにより、少なくとも再送禁止期間内においてはコンテンツ受信装置からコンテンツ配信サーバへ映像要求信号は送信されない。その結果、遡及再生用の映像ストリームを配信するコンテンツ配信サーバへの負荷集中を回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、遡及再生用の映像ストリームを配信するコンテンツ配信サーバへの負荷集中を回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態に係るコンテンツ配信システムの全体構成を示す図である。
【図2】コンテンツ受信装置のハードウェア構成を簡略化して示す図である。
【図3】プログラムを実行することによってデータ処理部に実現される機能の一部を示す図である。
【図4】コンテンツ管理装置のハードウェア構成を簡略化して示す図である。
【図5】プログラムを実行することによってデータ処理部に実現される機能の一部を示す図である。
【図6】表示制御部によって作成された電子番組表の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態に係るコンテンツ配信システム1の全体構成を示す図である。図1に示すようにコンテンツ配信システム1は、ユニキャスト配信サーバ2、マルチキャスト配信サーバ3、コンテンツ管理装置4、メタサーバ等の管理サーバ5、STB(Set Top Box)等のコンテンツ受信装置6、液晶ディスプレイ又はプラズマディスプレイ等の表示装置7、及びIP(Internet Protocol)ネットワーク等の通信ネットワーク8を備えて構成されている。
【0028】
現在放送中のコンテンツを表示装置7において再生する際の処理は以下のとおりである。マルチキャスト配信サーバ3は、地上デジタル放送やBSデジタル放送等の放送局から受信した全チャンネルのコンテンツの映像ストリームを、通信ネットワーク8に向けてマルチキャスト送信する。コンテンツ受信装置6は、ユーザによって指定された所望チャンネルのコンテンツの映像ストリームを通信ネットワーク8から受信し、当該映像ストリームに対してデコード等の処理を行うことにより、当該コンテンツを表示装置7において再生する。
【0029】
本実施の形態に係る映像配信システム1では、放送中のコンテンツを放送開始後であっても先頭から再生することが可能である。このような態様の再生を、本明細書においては「遡及再生」と称する。放送される全てのコンテンツのうちどのコンテンツを遡及再生の対象とするかは、放送事業者が任意に決定することができる。但し、全てのコンテンツを遡及再生の対象としてもよい。
【0030】
マルチキャスト配信サーバ3は、遡及再生の対象であるコンテンツの映像ストリームをユニキャスト配信サーバ2に送信し、ユニキャスト配信サーバ2はこれを蓄積する。ユニキャスト配信サーバ2は、ユーザが遡及再生を希望するコンテンツの映像ストリームを、通信ネットワーク8を介してコンテンツ受信装置6に向けてユニキャスト送信する。コンテンツ受信装置6は、受信した映像ストリームに対してデコード等の処理を行うことにより、当該コンテンツを表示装置7において遡及再生する。
【0031】
図2は、コンテンツ受信装置6のハードウェア構成を簡略化して示す図である。図2に示すようにコンテンツ受信装置6は、通信ネットワーク8及び表示装置7等との間で通信を行う通信部11と、CPU(Central Processing Unit)等のデータ処理部12と、半導体メモリ又はハードディスク等の記憶部13とを備えて構成されている。記憶部13には所定のプログラム14が記憶されている。データ処理部12は、記憶部13からプログラム14を読み出して実行する。
【0032】
図3は、プログラム14を実行することによってデータ処理部12に実現される機能の一部を示す図である。図3に示すようにデータ処理部12は、受付部21、取得部22、表示制御部23、要求送信処理部24、応答受信処理部25、アドレス送信処理部26、映像受信処理部27、及び再送禁止処理部28を有している。
【0033】
図4は、コンテンツ管理装置4のハードウェア構成を簡略化して示す図である。図4に示すようにコンテンツ管理装置4は、通信ネットワーク8との間で通信を行う通信部31と、CPU等のデータ処理部32と、半導体メモリ又はハードディスク等の記憶部33とを備えて構成されている。記憶部33には所定のプログラム34及びデータテーブル35が記憶されている。データ処理部32は、記憶部33からプログラム34を読み出して実行する。
【0034】
図5は、プログラム34を実行することによってデータ処理部32に実現される機能の一部を示す図である。図5に示すようにデータ処理部32は、要求受信処理部41、保持部42、応答送信処理部43、及び取得部44を有している。
【0035】
以下、図1〜5を参照して、放送中のコンテンツを表示装置7において遡及再生する際の処理について説明する。
【0036】
図3を参照して、取得部22は、放送中の複数のコンテンツの中から、遡及再生の対象である各コンテンツに関するチャンネル識別情報(service_id)、放送時刻情報(StartTime,EndTime)、及び番組識別情報(event_id)を、データD6として取得する。
【0037】
取得部22は、コンテンツ受信装置6が現在受信しているコンテンツに関するこれらの情報を、マルチキャスト配信サーバ3から受信した当該コンテンツの映像ストリームに含まれているEIT(Event Information Table)等のSI(Service Information)から抽出することができる。本実施の形態に係るコンテンツ配信システム1において、EITには、そのコンテンツが遡及再生の対象であるか否かを示す情報も含まれている。また、ある番組の放送時間が延長されたこと等によって以降の番組の放送時刻がずれた場合には、放送時刻情報には、ずれた後の実際の放送時刻に関する情報が記述されている。
【0038】
また、取得部22は、現在放送中であるがコンテンツ受信装置6が受信していないコンテンツ(いわゆる裏番組)に関するこれらの情報を、マルチキャスト配信サーバ3から受信したSI専用TS(Transport Stream)に含まれている各コンテンツのEIT等から抽出することができる。SI専用TSには、現在放送中の全チャンネルのコンテンツに関するSIが含まれている。
【0039】
また、取得部22は、これらの情報を管理サーバ5から取得することができる。マルチキャスト配信サーバ3は、遡及再生の対象である各コンテンツに関するチャンネル識別情報、放送時刻情報、及び番組識別情報を管理サーバ5に送信し、管理サーバ5はこれを管理している。
【0040】
取得部22は、取得したこれらの情報(データD6)を表示制御部23に入力する。表示制御部23は、データD6に基づいて、遡及再生の対象であるコンテンツに関する情報を含む電子番組表(EPG:Electronic Program Guide)を作成する。当該電子番組表のデータD7は通信部11から表示装置7に送信され、表示装置7において当該電子番組表が表示される。
【0041】
図6は、表示制御部23によって作成された電子番組表50の一例を模式的に示す図である。この例では、現在時刻を18時として、18時から翌日0時までの6時間分の番組情報(タイトル、出演者等)が電子番組表50に含まれている。
【0042】
現在放送中の6チャンネル分のコンテンツのうち、例えばコンテンツP11〜P13は、遡及再生の対象となっているコンテンツである。コンテンツP11〜P13に関する番組情報には、そのコンテンツが遡及再生の対象であることを示す特定のマーク(図示しない)が表示される。ユーザは、コンテンツ受信装置6のリモコンを操作すること等によって、コンテンツP11〜P13のうち所望のコンテンツの遡及再生の実行を指定することができる。
【0043】
図3を参照して、遡及再生を実行するコンテンツの指定は、データD1として通信部11から受付部21に入力される。受付部21はデータD1を受け付け、そのデータD1を要求送信処理部24に入力する。
【0044】
要求送信処理部24は、データD1,D6に基づいて、遡及再生の実行が指定されたコンテンツに関するチャンネル識別情報、放送時刻情報、及び番組識別情報を含むアドレス要求信号を作成する。そして、作成したアドレス要求信号を、データD2として通信部11からコンテンツ管理装置4に向けて送信する。
【0045】
図5を参照して、コンテンツ受信装置6から送信されたアドレス要求信号(データD2)は、通信部31を介して要求受信処理部41によって受信される。要求受信処理部41は、当該アドレス要求信号を応答送信処理部43に入力する。
【0046】
保持部42は、記憶部33に記憶されているデータテーブル35を保持している。データテーブル35には、遡及再生の対象である各コンテンツに関して、チャンネル識別情報、放送時刻情報、及び番組識別情報と、ユニキャスト配信サーバ2におけるユニキャストアドレスとの対応関係が記述されている。コンテンツ管理装置4は、マルチキャスト配信サーバ3及びユニキャスト配信サーバ2から必要な情報を受信することにより、データテーブル35を作成及び保持する。
【0047】
取得部44は、ユニキャスト配信サーバ2の現在(又は直近の所定期間)の負荷状況を示す負荷情報を、データD10としてユニキャスト配信サーバ2から取得する。例えば、ユニキャスト配信サーバ2の最大通信データ量に対する現在の通信データ量の割合を表す負荷レベルを、負荷情報として取得する。取得部44は、ユニキャスト配信サーバ2の負荷情報を応答送信処理部43に入力する。
【0048】
応答送信処理部43は、ユニキャスト配信サーバ2の負荷レベルが所定のしきい値TH(例えば50%)未満である場合には、要求受信処理部41から入力されたアドレス要求信号に含まれているチャンネル識別情報、放送時刻情報、及び番組識別情報に対応するユニキャストアドレスを、保持部42が保持しているデータテーブル35から特定する。そして、特定したユニキャストアドレスを含む再生制御情報を作成して、当該再生制御情報をデータD3Aとして通信部31からコンテンツ受信装置6に向けて送信する。
【0049】
一方、応答送信処理部43は、ユニキャスト配信サーバ2の負荷レベルがしきい値TH以上である場合には、上記所望のコンテンツに関するアドレス要求信号の再送禁止期間を設定し、当該再送禁止期間を示す情報を含む再生制御情報を作成して、当該再生制御情報をデータD3Bとして通信部31からコンテンツ受信装置6に向けて送信する。
【0050】
ここで、応答送信処理部43は、再送禁止期間として固定値を設定することができる。
【0051】
また、応答送信処理部43は、ユニキャスト配信サーバ2の負荷レベルに応じて再送禁止期間を可変に設定することができる。一例として、負荷レベルがやや高い場合(例えば50%以上70%未満である場合)には短い再送禁止期間(例えば数十秒)を設定し、負荷レベルが非常に高い場合(例えば70%以上である場合)には長い再送禁止期間(例えば数分)を設定する。
【0052】
また、ユニキャスト配信サーバ2が複数ある場合には、応答送信処理部43は、ユニキャスト配信サーバ2毎に再送禁止期間を異ならせて設定することができる。図6に示したコンテンツP11,P12,P13をそれぞれ配信する3つのユニキャスト配信サーバ2が準備されている場合において、例えば、コンテンツP11を配信する第1のユニキャスト配信サーバの負荷レベルが50%未満であり、コンテンツP12を配信する第2のユニキャスト配信サーバの負荷レベルが50%以上70%未満であり、コンテンツP13を配信する第3のユニキャスト配信サーバの負荷レベルが70%以上である状況を想定する。この場合、コンテンツP11に関するアドレス要求信号を受信した場合には、応答送信処理部43は、コンテンツP11に対応するユニキャストアドレスを含む再生制御情報を作成する。また、コンテンツP12に関するアドレス要求信号を受信した場合には、応答送信処理部43は、例えば10秒の再送禁止期間を設定し、その設定情報を含む再生制御情報を作成する。また、コンテンツP13に関するアドレス要求信号を受信した場合には、応答送信処理部43は、例えば5分の再送禁止期間を設定し、その設定情報を含む再生制御情報を作成する。
【0053】
また、コンテンツ受信装置6が複数ある場合には、応答送信処理部43は、コンテンツ受信装置毎に再送禁止期間を異ならせて設定することができる。図6を参照して、コンテンツP14の放送が終了した直後に、多数のコンテンツ受信装置6から例えばコンテンツP11に関するアドレス要求信号が一斉に送信される場合がある。このような場合、応答送信処理部43は、一部のコンテンツ受信装置に対しては例えば1分の再送禁止期間を設定し、他の一部のコンテンツ受信装置6に対しては例えば2分の再送禁止期間を設定する。
【0054】
図3を参照して、コンテンツ管理装置4から送信された再生制御情報(データD3A又はデータD3B)は、通信部11を介して応答受信処理部25によって受信される。応答受信処理部25は、データD3Aを受信した場合には当該データD3Aをアドレス送信処理部26に入力し、データD3Bを受信した場合には当該データD3Bを再送禁止処理部28に入力する。
【0055】
アドレス送信処理部26は、再生制御情報(データD3A)からユニキャストアドレスを抽出し、抽出したユニキャストアドレスを含む映像要求信号を作成する。そして、作成した映像要求信号をデータD4として通信部11からユニキャスト配信サーバ2に向けて送信する。
【0056】
図1を参照して、ユニキャスト配信サーバ2は、コンテンツ受信装置6から送信された映像要求信号(データD4)を受信し、当該映像要求信号からユニキャストアドレスを抽出する。そして、抽出したユニキャストアドレスに対応する映像ストリームを、データD5としてコンテンツ受信装置6に向けてユニキャスト送信する。
【0057】
図3を参照して、ユニキャスト配信サーバ2から送信された映像ストリーム(データD5)は、通信部11を介して映像受信処理部27によって受信される。映像受信処理部27は、受信した映像ストリームに対してデコード等の処理を行うことにより、表示装置7においてコンテンツをその先頭から再生(遡及再生)する。
【0058】
再送禁止処理部28は、再生制御情報(データD3B)から再送禁止期間の設定情報を抽出する。そして、その再送禁止期間内においては同一のコンテンツに関するアドレス要求信号の再送を禁止する旨を示す禁止命令を、データD7として要求送信処理部24に入力する。要求送信処理部24は、当該コンテンツを指定する遡及再生の実行命令(データD1)が再送禁止期間内に受付部21から再び入力された場合であっても、コンテンツ管理装置4に向けてアドレス要求信号(データD2)を送信しない。
【0059】
また、再送禁止処理部28は、データD3Bから抽出した再送禁止期間を示すデータD8を表示制御部23に入力する。表示制御部23は、サーバの混雑により現在は遡及再生を実行できない旨、及びリトライまでの待機時間(再送禁止期間に相当)を示すメッセージを作成する。当該メッセージのデータD9は通信部11から表示装置7に送信され、表示装置7において当該メッセージが表示される。
【0060】
このように本実施の形態に係るコンテンツ管理装置4によれば、取得部44(取得手段)は、ユニキャスト配信サーバ2の負荷状況に関する負荷情報(データD10)を取得する。そして、負荷レベルが低くユニキャスト配信サーバ2が所望のコンテンツを配信できる場合には、応答送信処理部43(応答送信手段)は、所望のコンテンツの識別情報に対応するユニキャストアドレスを含む応答信号(データD3A)を、コンテンツ受信装置6に向けて送信する。一方、負荷レベルが高くユニキャスト配信サーバ2がそれ以上コンテンツを配信すると安定動作に支障が出るような場合には、応答送信処理部43は、所望のコンテンツに関するアドレス要求信号の再送禁止期間を示す情報を含む応答信号(データD3B)を、コンテンツ受信装置6に向けて送信する。この場合、少なくとも再送禁止期間内においては、コンテンツ受信装置6からユニキャスト配信サーバ2へ映像要求信号(データD4)は送信されないため、遡及再生用の映像ストリームを配信するユニキャスト配信サーバ2への負荷集中を回避することが可能となる。
【0061】
また、本実施の形態に係るコンテンツ管理装置4によれば、応答送信処理部43は、ユニキャスト配信サーバ2の負荷状況に応じて再送禁止期間を設定する。従って、負荷レベルがやや高い場合には再送禁止期間を短く設定し、負荷レベルが非常に高い場合には再送禁止期間を長く設定することにより、ユニキャスト配信サーバ2への負荷集中を効果的に回避することが可能となる。
【0062】
また、本実施の形態に係るコンテンツ管理装置4によれば、ユニキャスト配信サーバ2が複数ある場合、応答送信処理部43は、ユニキャスト配信サーバ毎に再送禁止期間を設定する。従って、各ユニキャスト配信サーバの負荷状況が異なる場合、それぞれの負荷状況に応じて最適な再送禁止期間を個別に設定することが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態に係るコンテンツ管理装置4によれば、コンテンツ受信装置6が複数ある場合、応答送信処理部43は、コンテンツ受信装置毎に再送禁止期間を設定する。従って、再送禁止期間が同時に終了した複数のコンテンツ受信装置からアドレス要求信号が一斉に再送信されるという事態を回避することが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態に係るコンテンツ受信装置6によれば、応答受信処理部25(応答受信手段)は、アドレス要求信号(データD2)に応答してコンテンツ管理装置4から送信された応答信号(データD3A又はデータD3B)を受信する。そして、再送禁止処理部28(禁止手段)は、所望のコンテンツに関するアドレス要求信号の再送禁止期間を示す情報が応答信号に含まれる場合(つまりデータD3Bを受信した場合)に、当該再送禁止期間内において要求送信処理部24(要求送信手段)による当該アドレス要求信号の再送信を禁止する。コンテンツ管理装置4は、ユニキャスト配信サーバ2の負荷レベルが高く、ユニキャスト配信サーバ2がそれ以上コンテンツを配信すると安定動作に支障が出るような場合に、再送禁止期間を示す情報を含む応答信号(データD3B)をコンテンツ受信装置6に向けて送信する。従って、再送禁止期間を示す情報が応答信号に含まれる場合には、再送禁止処理部28が当該アドレス要求信号の再送信を禁止することにより、少なくとも再送禁止期間内においてはコンテンツ受信装置6からユニキャスト配信サーバ2へ映像要求信号(データD4)は送信されない。その結果、遡及再生用の映像ストリームを配信するユニキャスト配信サーバ2への負荷集中を回避することが可能となる。
【0065】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0066】
1 コンテンツ配信システム
2 ユニキャスト配信サーバ
3 マルチキャスト配信サーバ
4 コンテンツ管理装置
6 コンテンツ受信装置
14,34 プログラム
21 受付部
22,44 取得部
24 要求送信処理部
25 応答受信処理部
26 アドレス送信処理部
28 再送禁止処理部
41 要求受信処理部
43 応答送信処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送中の複数のコンテンツの中から指定された所望のコンテンツに関する識別情報を含む要求信号を受信する要求受信手段と、
前記所望のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバの負荷状況に基づき、前記識別情報に対応するアドレス情報、又は前記所望のコンテンツに関する前記要求信号の再送禁止期間を示す情報を含む応答信号を送信する応答送信手段と、
を備える、コンテンツ管理装置。
【請求項2】
前記応答送信手段は、前記コンテンツ配信サーバの負荷状況に応じて前記再送禁止期間を設定する、請求項1に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項3】
前記コンテンツ配信サーバが複数ある場合、前記応答送信手段は、コンテンツ配信サーバ毎に前記再送禁止期間を設定する、請求項1又は2に記載のコンテンツ管理装置。
【請求項4】
前記コンテンツ受信装置が複数ある場合、前記応答送信手段は、コンテンツ受信装置毎に前記再送禁止期間を設定する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のコンテンツ管理装置。
【請求項5】
放送中の複数のコンテンツの中から指定された所望のコンテンツに関する識別情報を含む要求信号に応答して送信された応答信号を受信する応答受信手段と、
前記所望のコンテンツに関するアドレス情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該アドレス情報を所定のコンテンツ配信サーバに送信するアドレス送信手段と、
前記所望のコンテンツに関する要求信号の再送禁止期間を示す情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該再送禁止期間内において当該要求信号の再送信を禁止する禁止手段と、
を備える、コンテンツ受信装置。
【請求項6】
放送中の複数のコンテンツの中から所望のコンテンツの指定を受け付ける受付手段と、
前記所望のコンテンツに関する識別情報を含む要求信号を送信する要求送信手段と、
前記要求信号を前記要求送信手段から受信する要求受信手段と、
前記所望のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバの負荷状況に基づき、前記識別情報に対応するアドレス情報、又は前記所望のコンテンツに関する前記要求信号の再送禁止期間を示す情報を含む応答信号を送信する応答送信手段と、
前記応答信号を前記応答送信手段から受信する応答受信手段と、
前記アドレス情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該アドレス情報を前記コンテンツ配信サーバに送信するアドレス送信手段と、
前記要求信号の再送禁止期間を示す情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該再送禁止期間内において前記要求送信手段による当該要求信号の再送信を禁止する禁止手段と、
を備える、コンテンツ配信システム。
【請求項7】
コンテンツ管理装置に搭載されるコンピュータを、
放送中の複数のコンテンツの中から指定された所望のコンテンツに関する識別情報を含む要求信号を受信する要求受信手段と、
前記所望のコンテンツを配信するコンテンツ配信サーバの負荷状況に基づき、前記識別情報に対応するアドレス情報、又は前記所望のコンテンツに関する前記要求信号の再送禁止期間を示す情報を含む応答信号を送信する応答送信手段と、
として機能させるための、プログラム。
【請求項8】
コンテンツ受信装置に搭載されるコンピュータを、放送中の複数のコンテンツの中から指定された所望のコンテンツに関する識別情報を含む要求信号に応答して送信された応答信号を受信する応答受信手段と、
前記所望のコンテンツに関するアドレス情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該アドレス情報を所定のコンテンツ配信サーバに送信するアドレス送信手段と、
前記所望のコンテンツに関する要求信号の再送禁止期間を示す情報が前記応答信号に含まれる場合に、当該再送禁止期間内において当該要求信号の再送信を禁止する禁止手段と、
として機能させるための、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−249229(P2012−249229A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121473(P2011−121473)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】