説明

コンテンツ配信システム

【課題】 既存のコンテンツを改変することなしに利用可能にすると共に効率的に学習効果を上げることが可能なコンテンツ配信システムを提供する。
【解決手段】 学習コンテンツ情報提供サーバ120は、映像音声配信サーバ130に蓄積されている複数の視聴用コンテンツの各々の難易度と関連のあるレベル情報を含むコンテンツリストを入力された学習レベルに応じて作成し学習者用操作端末100に提供するコンテンツリスト出力手段(ステップS212)を有し、学習者用操作端末100は、コンテンツリストの中から学習者の入力によって選択された特定のコンテンツについてサーバ120,130に配信を要求する配信要求手段(ステップSS205,S207)と、映像音声配信サーバ130から配信された主コンテンツの再生に同期して学習コンテンツ情報提供サーバ120から配信された対応する副コンテンツを選択的に出力する同期制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療、法律、スポーツなどのコンテンツを利用して外国語の学習などをするためのコンテンツ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば外国語を学習する場合には、各学習者が様々な教室に出向き、教室内でネイティブな講師と学習者とが1対1で対話するか、あるいは一人の講師と複数の学習者との間で会話することにより学習する形態が一般的である。
【0003】
しかし、このような形態では時間や場所の制約が大きいため、思い通りのスケジュールで学習を継続するのは困難である。そこで、通信ネットワークを介してテレビカメラを備えた複数の端末を互いに接続したテレビ会議システムを利用することも行われている。テレビ会議システムを利用することで在宅型の学習を実現でき、時間や場所の制約が少なくなるため学生や社会人などの多くの学習者が手軽に学習することができる。
【0004】
また、学習に必要な映像や音声を予めDVDのような記録媒体に記録した教材を用意しておき、所定の再生装置を用いてこの教材を再生することにより、各学習者が個人で外国語などを学習できるようにした学習システムも存在する。
【0005】
例えば、特許文献1に開示された技術では、ディジタルムービーソフトに別途作成された語学学習用の補助ソフトを追加することにより、パーソナルコンピュータで語学学習システムを実現することを提案している。
【0006】
【特許文献1】特開2001−22265号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術を採用する場合には、既存のディジタルムービーソフトを改変することなくそのまま学習用に流用できるため、語学学習システムの作成が極めて容易になる。しかしながら、既存のディジタルムービーソフトは最初から学習用に考えられて作られていないので、期待するような学習効果が得られない場合も多い。
【0008】
例えば、単一的に翻訳文章を表示するだけでは、学習用のディジタルムービーソフトに含まれているコンテンツの語学上のレベルが学習者の習熟度に比べて高すぎるような場合には、学習者にとって内容が難解すぎるため学習効果が上がらない。逆に、ディジタルムービーソフトに含まれているコンテンツの語学上のレベルが学習者の習熟度に比べて低すぎるような場合には、学習者にとって既に学習の必要のない内容がほとんどであるため、学習効果が上がらない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、例えばディジタルムービーソフトのような既存のコンテンツを改変することなしに利用可能にすると共に、効率的に学習効果を上げることが可能なコンテンツ配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のコンテンツ配信システムは、少なくとも映像を含む複数の視聴用コンテンツを主コンテンツとして選択的に提供する主コンテンツ配信サーバと、前記主コンテンツを視聴する際に学習のために利用される文字列及び音声の少なくとも一方で構成される情報を副コンテンツとして提供する副コンテンツ配信サーバと、前記主コンテンツ及び副コンテンツを受け取って再生すると共に学習者からの入力操作を受け付ける機能を備えた学習者用操作端末とを備えるとともに、前記主コンテンツ配信サーバに蓄積されている複数の視聴用コンテンツの各々の難易度と関連のあるレベル情報を含むコンテンツリストを前記学習者用操作端末に入力された学習レベルに応じて作成し前記学習者用操作端末に提供するコンテンツリスト出力手段と、前記コンテンツリストの中から学習者の入力によって選択された特定のコンテンツについて前記主コンテンツ配信サーバ及び副コンテンツ配信サーバに配信を要求する配信要求手段と、前記学習者用操作端末上で、前記主コンテンツ配信サーバから配信された主コンテンツの再生動作に同期して、前記副コンテンツ配信サーバから配信された対応する副コンテンツの情報を選択的に出力する同期制御手段とを備えるものである。
【0011】
この構成により、学習者は主コンテンツ及び副コンテンツを主コンテンツ配信サーバ及び副コンテンツ配信サーバから所定の通信網を経由して学習者用操作端末にダウンロードし、主コンテンツ及び副コンテンツを互いに同期させて再生することにより語学などのコンテンツを学習することが可能となる。主コンテンツとしては、例えばディジタルムービーソフトのように映像及び音声を含む既存のコンテンツを利用すればよい。副コンテンツについては、主コンテンツを作成する際に同時に作成される字幕情報などのテキストデータに基づいて作成することができる。また、コンテンツリスト出力手段は複数の視聴用コンテンツの各々の難易度と関連のあるレベル情報を含むコンテンツリストを前記学習者用操作端末に入力された学習レベルに応じて作成し前記学習者用操作端末に提供する。配信要求手段は、前記コンテンツリストの中から学習者の入力によって選択された特定のコンテンツについて前記主コンテンツ配信サーバ及び副コンテンツ配信サーバに配信を要求する。同期制御手段は、前記主コンテンツ配信サーバから配信された主コンテンツの再生動作に同期して、前記副コンテンツ配信サーバから配信された対応する副コンテンツの情報を選択的に出力する。
従って、主コンテンツ配信サーバ上に学習対象の主コンテンツが多数存在する場合には、それぞれの主コンテンツのレベル情報を含むコンテンツリストの中から、レベル情報により実際の学習者の学習レベルに適していると考えられる最適なコンテンツを選択し、視聴することができる。これにより、学習者の学習レベルに適したコンテンツを学習することになるので、効率的な学習が実現する。
【0012】
また、上記のコンテンツ配信システムであって、前記コンテンツリスト出力手段は、主コンテンツ毎に出現する全文字列の単語毎の難易度及び各単語の出現頻度を取得し、出現頻度が最大の難易度から該当するコンテンツのレベル情報を決定し、前記学習者用操作端末に入力された学習レベルと各主コンテンツのレベル情報との相関の大きさに従って前記コンテンツリストを作成するものとする。
【0013】
この構成により、各コンテンツに含まれている多数の単語の難易度と出現頻度との分布に基づいて各コンテンツのレベル情報を決定するので、コンテンツ毎の難易度をレベル情報として適切に表現することができる。また、入力された学習レベルと各主コンテンツのレベル情報との相関の大きさに従ってコンテンツリストを作成するので、例えば相関が大きい順番に従って複数のコンテンツを並べたコンテンツリストを出力することにより、学習者は自分の学習に最適なコンテンツを簡単に見つけることができる。
【0014】
また、上記のコンテンツ配信システムであって、前記コンテンツリスト出力手段は、主コンテンツ毎に出現する全文字列の各単語について、複数の専門分野のそれぞれに関する難易度及び各単語の出現頻度を取得し、専門分野毎に出現頻度が最大の難易度を分野別難易度として生成し、前記コンテンツリストには、コンテンツ毎に前記レベル情報と前記分野別難易度とを含めるものとする。
【0015】
この構成により、各コンテンツの一般的な難易度だけでなく、専門分野毎の難易度をコンテンツリストから把握できるので、学習者は自分の学習に最適なコンテンツを簡単に見つけることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えばディジタルムービーソフトのような既存のコンテンツを改変することなしに利用可能にすると共に、効率的に学習効果を上げることが可能なコンテンツ配信システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のコンテンツ配信システムの1つの実施の形態について、図1〜図12を参照しながら説明する。
【0018】
図1は本発明の実施形態に係る学習コンテンツ配信システムの構成例を示すブロック図である。図2は学習コンテンツ配信システムの動作を示すシーケンス図である。図3は学習用コンテンツ情報DBの構成を示すブロック図である。図4はコンテンツ情報テーブルの具体的な構成例を示す模式図である。図5は学習用コンテンツ情報DBを作成するための処理を示すフローチャートである。図6はコンテンツ字幕情報ファイルの構成例を示す模式図である。図7はチャプター情報テーブルファイルの構成例を示す模式図である。図8はコンテンツリスト作成処理を示すフローチャートである。図9は画面に表示されたコンテンツリストの具体例を示す図である。図10は学習者用操作端末の構成例を示すブロック図である。図11は複数のコンテンツの特性曲線の具体例を示すグラフである。図12は学習者用操作端末の画面表示の具体例を示す正面図である。
【0019】
本実施形態の学習コンテンツ配信システムは、図1に示すように学習者用操作端末100、学習コンテンツ情報提供サーバ120及び映像音声配信サーバ130を備えている。また、この例では2台の学習者用操作端末100a、100bがインターネット110を経由して学習コンテンツ情報提供サーバ120及び映像音声配信サーバ130と接続されている。なお、この例では学習者が外国語を学習する場合を想定しているが、ほかの分野、例えば医療、法律、スポーツなどの知識を学習する場合にも本発明は適用できる。
【0020】
学習者は、いずれかの学習者用操作端末100を操作して映像や音声を含む学習用のコンテンツを視聴しながら学習を行う。学習に必要なコンテンツの情報は学習コンテンツ情報提供サーバ120及び映像音声配信サーバ130から学習者用操作端末100に配信される。
【0021】
コンテンツの視聴及び学習ができるように、各学習者用操作端末100には、後述するように操作用のキーボード及びリモコンの走査装置と、ディスプレイ装置と、スピーカとが備わっている。
【0022】
映像音声配信サーバ130は、映像や音声を含む主コンテンツの情報を学習者の操作する学習者用操作端末100に対して配信するために設けてある。実際には、映像音声ディスク装置131が所定の記録媒体から読み出したコンテンツのデータを映像音声配信サーバ130が配信する。コンテンツを保持する記録媒体としては、例えばDVDディスクなどを利用すればよい。また、実際に使用するコンテンツとしては、既存の映画や多数の静止画で構成される画像及び音声のデータを利用することができる。また、配信するコンテンツについては、再生の際に学習者用操作端末100からの指示に従って一時停止したり、早送りしたり巻き戻しをすることもできる。
【0023】
学習コンテンツ情報提供サーバ120は、映像音声配信サーバ130が配信する情報以外の学習に必要な情報を学習者用操作端末100に提供する。具体的には、映像音声配信サーバ130に蓄積されている多数のコンテンツの中から選択すべきコンテンツを決定する際に参考になるコンテンツリストや、映像音声配信サーバ130が配信する主コンテンツに対応付けられた言葉に関する語彙リストを配信する。学習コンテンツ情報提供サーバ120には、図1に示すように学習用コンテンツ情報DB(データベース)121及び学習対象語彙リスト122が保持される。コンテンツリスト及び学習対象語彙リスト122は学習用コンテンツ情報DB121に基づいて作成される。
【0024】
次に、図1に示す学習コンテンツ配信システムの動作の概略について図2を参照しながら説明する。
【0025】
学習者用操作端末100は、ステップS201で、キーボード又はリモコンからの入力を学習者の学習レベルとして受け付ける。ここで学習者が入力する学習レベルとしては、例えばTOEIC(登録商標)テストにおける学習者個人の得点、あるいはその目標値のように、標準化された環境下で決定された学習者固有の数値を用いるのが望ましい。
【0026】
ステップS202では、学習者用操作端末100は入力された学習レベルの情報を学習コンテンツ情報提供サーバ120に送信する。
【0027】
学習コンテンツ情報提供サーバ120は、学習者用操作端末100から入力された学習レベルをステップS210で受信し、この学習レベルを用いて次のステップS211でコンテンツリストを作成する。作成したコンテンツリストは、ステップS212で学習コンテンツ情報提供サーバ120から送信される。
【0028】
ここで送信されるコンテンツリストは、例えば図4に示すように複数のコンテンツのそれぞれを表す名称や学習レベルの情報を並べて構成したリストであり、複数コンテンツの並び順については、学習者用操作端末100に入力された学習レベルとの差が小さいものが上位に配置されるように決定してある。従って、一般的にはコンテンツリストの最も上に位置するコンテンツを学習することにより効率的な学習が実現する。
【0029】
学習者用操作端末100は、ステップS203で学習コンテンツ情報提供サーバ120から送信されたコンテンツリストを受信し、このコンテンツリストの一覧を学習者用操作端末100の画面上に表示する。
【0030】
ステップS204では、学習者用操作端末100は学習者からの入力を受け付け、表示したコンテンツリストの一覧の中から1つのコンテンツを選択する。ステップS205では、学習者用操作端末100はステップS204で選択された特定のコンテンツを表すコンテンツ番号あるいは名称を学習コンテンツ情報提供サーバ120に対して送信する。
【0031】
学習コンテンツ情報提供サーバ120は、ステップS213で学習者用操作端末100からコンテンツ番号を受け取ると、次のステップS214で該当するコンテンツに対応付けられた学習対象語彙リスト122を学習用コンテンツ情報DB121から抽出し、この学習対象語彙リスト122を学習者用操作端末100に送信する。
【0032】
学習対象語彙リスト122は、該当するコンテンツに付随する字幕情報に基づいて生成され、字幕情報に含まれている様々な文字列の情報、出現時刻の情報及び前記文字列を構成する単語毎の意味を表す情報を含んでいる。
【0033】
学習者用操作端末100は、ステップS206で学習コンテンツ情報提供サーバ120から学習対象語彙リスト122の情報を受信し、受信した内容を参照しやすくなるように内部メモリ上に展開する。
【0034】
学習者用操作端末100は、ステップS207で選択したコンテンツの配信を映像音声配信サーバ130に要求し、映像音声配信サーバ130から送信される映像及び音声のデータを受信して学習者用操作端末100上で再生する。また、再生中の主コンテンツと時間的に対応関係にある字幕に含まれている各単語及びその意味を表す情報を入力操作に従って画面上に重ねてOSD(On Screen Display)表示する。
【0035】
ステップS207で主コンテンツを再生する際には、各単語に対する学習者の習熟度に応じて、特定の単語を選択したり、主コンテンツの再生を一時停止したり、コンテンツの巻き戻しをしたり、コンテンツの早送りをしたり、コンテンツの繰り返し再生をするように学習者が入力操作を行うことになる。学習者用操作端末100は、このような学習者の入力操作の内容及びコンテンツ内の位置(時間)を履歴として記録しておき、学習者の習熟度を推定するために利用する。
【0036】
再生位置が学習対象のコンテンツの終端に到達すると、あるいは学習者の終了操作に従って次のステップS208に進む。ステップS208では、学習中の入力操作の履歴に関する統計処理の結果に基づいて、コンテンツのチャプター毎に学習者の理解度及び再学習指数を求めて表示する。すなわち、学習が終了したコンテンツ内での再学習すべき位置(チャプター)を学習者に提示する。
【0037】
学習者の入力操作により再学習に関する要求がされた場合には、ステップS209からステップS207に戻り、再度学習シーケンスを実施する。すなわち、前回学習したコンテンツと同じコンテンツについて、選択されたチャプタから映像音声データ及び単語語彙の表示を行い語彙の定着を図る。
【0038】
次に、学習コンテンツ情報提供サーバ120に備わった学習用コンテンツ情報DB121について詳細に説明する。
【0039】
図3に示すように、学習用コンテンツ情報DB121は、コンテンツ情報テーブル200と、学習対象単語テーブルファイル201と、チャプター情報テーブルファイル202とを有して構成されている。
【0040】
コンテンツ情報テーブル200は、例えば図4に示すように、コンテンツの名称と、学習レベルと、専門分野毎の学習レベル(専門A、専門B、専門C、専門D)とで構成される情報をコンテンツ毎に保持している。学習レベルは、該当するコンテンツに含まれる単語の語彙に基づいて推定されたレベル(難易度)を表し、専門分野毎の学習レベルは、語彙の属性である専門分野の用語に関する語彙に基づいて推定されたレベル(難易度)を表している。
【0041】
学習対象単語テーブルファイル201及びチャプター情報テーブルファイル202は、それぞれのコンテンツに関連付けて保持されている。
【0042】
コンテンツ毎の学習レベルについては、例えば次のようにして推定できる。すなわち、コンテンツに含まれる単語の1語毎に難易度をつけ、難易度毎の単語の出現頻度の分布からレベルを決定すればよい。例えば、難易度レベル500の単語の出現頻度がもっとも多いコンテンツは、難易度レベル700の単語の出現頻度がもっとも多いコンテンツより難易度が低いと推定することができる。
【0043】
専門分野についても同様に、専門用語に難易度をつけることによって、コンテンツをレベル分けすることができる。
【0044】
前述の学習用コンテンツ情報DB121を作成するには、図5に示すような処理を行うことによって作成することができる。実際には、このデータベースを作成する際には、例えばDVDビデオ等のディスクを作成する際に使用される字幕データ及びチャプタ−情報を活用すると効率的に作成することができる。
【0045】
この例では、字幕データとして図6に示すような構成のコンテンツ字幕情報ファイル450を用いてデータベースを作成する場合を想定している。図6に示すように、このコンテンツ字幕情報ファイルには、時系列で順次に出現する字幕情報毎に、開始時刻、終了時刻、字幕情報及び表示位置のデータが含まれている。
【0046】
図5のステップS400では、コンテンツ字幕情報ファイル450に時系列で記述されている多数の字幕情報を順次に読み込む。次のステップS401では、ステップS400で読み込んだ字幕情報毎にその文字列を単語単位に分解する。例えば、図6に示すコンテンツ字幕情報ファイル450内の字幕情報「This is a car」を処理する場合には、「This」、「is」、「a」、「car」の単語毎に分解する。
【0047】
ステップS402では、ステップS401で抽出した単語毎に、その情報を取得するために予め用意した単語語彙データベース(単語辞書)を検索する。この単語語彙データベースには、各単語の意味、難易度(学習レベル)及び専門分野毎の難易度を表す情報が保持されている。この検索により、字幕情報の単語毎に意味情報、学習レベル及び専門分野毎の学習レベルの情報が学習対象語彙リスト122として蓄積される。
【0048】
ステップS403では、コンテンツ字幕情報ファイル450の全ての字幕情報の処理が終了したか否かを調べ、未処理の字幕情報が残っている場合にはステップS400に戻って上記の処理を繰り返し、終了した場合には次のステップS404に進む。
【0049】
ステップS404では、上記の処理で作成された学習対象語彙リスト122の内容に基づいて、コンテンツ単位での一般的な学習レベル及び専門分野毎の学習レベルを推定する。例えば、コンテンツに含まれている全ての字幕情報を構成する単語について、学習レベルを横軸とし出現頻度を縦軸としたグラフに表すと、図11と同様な特性曲線が得られる。そこで、この曲線において例えば出現頻度が最大になる学習レベルをコンテンツの特性を表す学習レベルとみなすことができる。この処理によって推定された学習レベルの情報を用いて図4に示すようなコンテンツ情報テーブル200が作成される。
【0050】
次のステップS405では、ステップS404で推定したコンテンツ毎の学習レベルと、前述の学習対象語彙リスト122の内容と、チャプター情報ファイル450の内容とに基づいて、チャプター(章)毎の学習レベルを特定する。チャプター情報ファイル450は、図7に示すように当該コンテンツの章毎に開始時刻、終了時刻及びその領域を区別するためのチャプター情報を保持している。ステップS405では、各章の表示期間中に現れる各単語の学習レベルに基づいて、チャプター毎に学習レベルを推定する。推定した学習レベルはチャプター情報ファイル450の内容に追加される。
【0051】
次に、図2のステップS211で学習コンテンツ情報提供サーバ120が処理するコンテンツリストの作成について詳細に説明する。
【0052】
この場合、学習コンテンツ情報提供サーバ120は図8に示す処理を実行する。ステップS500では、前述のコンテンツ情報テーブル200(図4参照)を参照し、多数のコンテンツ(映像音声配信サーバ130が配信可能な全コンテンツ)に関するコンテンツ毎の学習レベル及び各コンテンツの専門分野毎の学習レベルの情報を読み込む。
【0053】
ステップS501では、ステップS500で候補として読み込んだ多数のコンテンツの中から、学習対象としてふさわしいコンテンツをリストアップする。具体的には、ステップS500で読み込んだ各コンテンツの学習レベルと図2のステップS201で学習者用操作端末100に入力された学習レベルとの差が小さいものを学習対象としてふさわしいコンテンツとして抽出する。更に、各コンテンツの学習レベルと図2のステップS201で学習者用操作端末100に入力された学習レベルとの差が小さい順にコンテンツを並べたものをコンテンツリストとする。
【0054】
ステップS502では、ステップS501で作成されたコンテンツリストを送信用のファイルに変換する。
【0055】
学習コンテンツ情報提供サーバ120が作成したコンテンツリストのファイルは図2のステップS212で送信され、これを学習者用操作端末100がステップS203で受信する。そして、学習者用操作端末100は例えば図9に示すようにコンテンツリストを画面上に表示する。
【0056】
例えば、学習者用操作端末100にステップS201で入力された学習レベルが「500」であった場合を想定すると、図9に示すコンテンツ「ABC001」の学習レベル「520」との差は「20」であり、コンテンツ「ABC002」の学習レベル「580」との差は「80」であるため、コンテンツ「ABC001」の方が差が小さい。従って、この場合は図9に示すようにコンテンツ「ABC001」がコンテンツ「ABC002」よりも上位に表示される。このため、学習者は多数のコンテンツの中から自分の学習にふさわしいコンテンツ「ABC001」を容易に選択することができる。
【0057】
次に、本実施形態の学習コンテンツ配信システムにおける各学習者用操作端末100の構成を図10を用いて説明する。図10に示すように、各学習者用操作端末100は、キーボード600、リモコン送信部601、通信処理部602、リモコン受信処理部603、システム用ROM604、システムCPU処理部605、データ用メモリ部606、Demux処理部607、映像デコード処理部608、音声デコード処理部609、語彙情報表示処理部610、ビデオバッファ611、DA変換器612、映像表示部613、スピーカ部614、メモリカード用IF部615及び外部メモリカード616を備えている。
【0058】
キーボード600及びリモコン送信部601は、学習者が学習のための入力操作を行う場合に利用される。映像表示部613は、例えば液晶モニタのようにコンテンツの映像を2次元画像として表示可能な装置である。スピーカ部614は、コンテンツの音声を出力するために備わっている。
【0059】
学習者がキーボード600やリモコン送信部601を操作することにより、前述の図2に示すようなシーケンスが実行され、映像音声配信サーバ130はコンテンツの映像及び音声を学習者用操作端末100に配信する。学習者用操作端末100は、映像音声配信サーバ130から受信したコンテンツの単語の語彙情報や、映像音声配信サーバ130から受信したコンテンツの映像データをビデオ信号として映像表示部613へ出力する。音声データについては、オーディオ信号としてスピーカ部614から出力する。これにより、学習者に対して映像及び音声情報を提供する。
【0060】
学習コンテンツ情報提供サーバ120及び映像音声配信サーバ130から配信されるデータは、通信処理部602を介してシステムCPU処理部605へ送られ、OSDとして表示される単語の語彙情報は語彙情報表示処理部610、映像音声データは映像データと音声データを分離するDemux処理部607へそれぞれ送り出され、それぞれがシステムCPU処理部605を介して同期をとりながら映像信号はビデオバッファ611、音声信号はDA変換器612を介して出力される。
【0061】
映像音声配信サーバ130が配信し学習者用操作端末100が再生する映像や音声のコンテンツについては、現在の再生位置を表す時間情報が含まれており、学習コンテンツ情報提供サーバ120が利用する字幕情報や字幕情報に基づいて構成される単語の語彙情報についても時間情報が含まれているので、映像や音声である主コンテンツと学習用の単語等である副コンテンツとを時間的に同期させることができる。
【0062】
外国語などを学習する場合には、例えば図11に示すような学習範囲曲線になるようなコンテンツを提供するのが望ましい。すなわち、学習用のコンテンツに現れる単語の出現頻度の最も高いレベルが、図2のステップS201で入力される学習者の学習レベルに近くなるように制御し、学習者の学習レベルから遠ざかるに従って、それぞれのレベルに対応する単語の出現頻度が低くなるように制御する。
【0063】
学習コンテンツ情報提供サーバ120から配信される情報の各単語には難易度が付されている。学習者用操作端末100は、学習者によって入力された学習レベルと各単語の難易度とに応じて、各単語の出現頻度が変わるように制御する。
【0064】
例えば、学習レベルが500点の学習者には難易度が500点の単語の出現頻度を最も高くなるように制御し、学習レベルが700点の学習者に対しては、難易度が700点の単語の出現頻度が最も高くなるように制御する。
【0065】
語彙情報表示処理部610は、図11に示すような学習範囲決定曲線と学習者から入力された学習レベルとに基づいて、学習者の学習レベルの範囲を推定する。この範囲に従って、出力可能な多数の単語の中から、学習者に提示する外国語単語と語彙を自動的に絞り込む。この処理の結果出力される単語や意味を表す文字情報は、対応する文字コードがキャラクタージェネレータで文字パターンに変換され、OSD信号としてビデオバッファ611へ供給される。
【0066】
従って、映像表示部613の画面に動画などの映像コンテンツとともに単語や意味を表示することができる。映像表示部613に表示される表示画面の具体例を図12に示す。図12(a)の第1例では、映像を含むコンテンツを背景として、関連する字幕の一般的な単語「CAR」及び意味「車」が文字情報として重ねて表示されている。また、図12(b)の第2例では、学習用の単語として一般的な単語を表示するか、専門的な単語を表示するかの選択を促すための文字情報をコンテンツの映像に重ねて表示している。
【0067】
図10に示す学習者用操作端末100には、外部メモリ接続用のインターフェースとしてメモリカード用IF部615が搭載してあり、外部メモリカード616が着脱自在になっている。従って、学習者用操作端末100が生成したデータを外部メモリカード616に保存しておけば、このデータを外部メモリカード616だけで持ち歩くことができる。従って、同じ学習者が複数の学習者用操作端末100を使い分けるような場合であっても同じデータを参照することができる。外部メモリカード616に保存するデータとしては、学習の際に学習者が知らない単語や、学習者が後で再確認したいと考える単語及び各単語の意味を表すデータが考えられる。
【0068】
なお、学習者用操作端末100の構成や動作については、更に次に示すような機能を搭載しても良い。
【0069】
(1)通常は映像及び音声で構成される主コンテンツだけを学習者用操作端末100上で再生して単語や意味の表示は抑制しておき、学習者からの所定の入力操作を検出した時点で再生している主コンテンツの内容と対応関係にある副コンテンツの情報を主コンテンツの映像と重ね合わせて学習者用操作端末100の画面上に表示するように制御する。
【0070】
(2)通常は映像及び音声で構成される映画のような連続的に現れる主コンテンツを連続的に再生し、学習者からの所定の入力操作を検出した時点で主コンテンツの再生を一時的に停止すると共に、再生中の主コンテンツの内容と対応関係にある副コンテンツの情報を主コンテンツの映像と重ね合わせて学習者用操作端末100の画面上に表示するように制御する。
【0071】
(3)映像及び音声で構成される主コンテンツを連続的に再生しながら、再生中の主コンテンツの内容と対応関係にある副コンテンツの単語毎に学習者の習熟度を調べ、習熟度が所定以下の単語が現れるタイミングで主コンテンツの再生を一時的に停止する。
【0072】
(4)主コンテンツの再生を一時停止した場合に、学習者から所定の入力操作があった場合には、停止した場面の近傍の主コンテンツを繰り返し再生し、必要に応じて副コンテンツである単語や意味の情報を重ねて表示する。
【0073】
(5)映像及び音声で構成される主コンテンツの再生動作中に学習者からの入力操作を検出して記憶すると共に、入力操作を検出したタイミングから主コンテンツ及び副コンテンツの各領域に対する習熟度を認識し、主コンテンツ又は副コンテンツの領域毎に習熟度を表示し、選択された領域毎に主コンテンツを再生するように制御する。
【0074】
(6)映像及び音声で構成される主コンテンツの再生動作中に学習者からの入力操作を検出した各タイミングに該当する副コンテンツの単語のリストと各単語の意味を表す意味情報を互いに関連付けた情報を、例えばテキストファイルとして主コンテンツの再生が終了した後で自動的に出力するように制御する。
【0075】
本実施形態の学習コンテンツ配信システムを外国語学習システムとして利用する場合には、学習コンテンツ情報提供サーバ120から送信されるコンテンツリストに基づいて、学習者は自分の学習レベルに最適なコンテンツを簡単に選択することができる。また、学習者の言語学習レベルに応じて配信される外国語単語と語彙を自動的に表示することで、学習者は自分に最適な学習コンテンツを選択でき、選択したコンテンツを鑑賞しながら学習者が不知であろう外国語単語を自動的に表示することも可能になる。従って、従来のシステムを利用する場合のように、映像音声の再生を一時停止させ自分で辞書を検索するような手間を省略でき、学習効率が向上する。
【0076】
なお、学習対象となるコンテンツや単語の基本データについては、一般に販売されている映画用DVD等の光ディスクを作成する過程で作成される字幕情報やチャプタ情報を活用することができ、別途学習用の映像音声及びテキストデータの教材を作成する手間を省くことが可能であるため、安価に学習環境を整備することができる。
【0077】
なお、以上の説明では、表示される内容が外国語単語の場合を想定しているが、その他の医療、法律、スポーツのルール解説など様々なほかの専門用語を学習する際にも同様に利用できる。
【0078】
上述したように、本実施形態のコンテンツ配信システムを利用することにより、サーバ側から配信されるコンテンツリストに基づいて、学習者は自分の学習に最適なコンテンツを簡単に選択することができ、効率的な学習が可能になる。また、学習者が選択したコンテンツを鑑賞しながら学習者が不知であろう外国語単語の語彙を自動的に表示することが可能となり、従来のシステムのように映像音声を一時停止させ自分で辞書を検索する手間を省略することができる。よって、特に所定の言語の音声信号及び映像信号に同期して学習者の学習レベルに応じた外国語単語の語彙情報を有効的に提示する学習コンテンツ配信システム等として用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、例えばディジタルムービーソフトのような既存のコンテンツを改変することなしに利用可能にすると共に、効率的に学習効果を上げることが可能となる効果を有し、例えば外国語や、医療、法律、スポーツなどを学習する際に利用可能なコンテンツを配信するコンテンツ配信システム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施形態に係る学習コンテンツ配信システムの構成例を示すブロック図
【図2】本実施形態の学習コンテンツ配信システムの動作を示すシーケンス図
【図3】本実施形態における学習用コンテンツ情報DBの構成を示すブロック図
【図4】本実施形態におけるコンテンツ情報テーブルの具体的な構成例を示す模式図
【図5】本実施形態における学習用コンテンツ情報DBを作成するための処理を示すフローチャート
【図6】本実施形態におけるコンテンツ字幕情報ファイルの構成例を示す模式図
【図7】本実施形態におけるチャプター情報テーブルファイルの構成例を示す模式図
【図8】本実施形態におけるコンテンツリスト作成処理を示すフローチャート
【図9】本実施形態における画面に表示されたコンテンツリストの具体例を示す図
【図10】本実施形態における学習者用操作端末の構成例を示すブロック図
【図11】本実施形態における複数のコンテンツの特性曲線の具体例を示すグラフ
【図12】本実施形態における学習者用操作端末の画面表示の具体例を示す図
【符号の説明】
【0081】
100 学習者用操作端末
110 インターネット
120 学習コンテンツ情報提供サーバ
121 学習用コンテンツ情報DB
122 学習対象語彙リスト
130 映像音声配信サーバ
131 映像音声ディスク装置
200 コンテンツ情報テーブル
201 学習対象単語テーブルファイル
202 チャプター情報テーブルファイル
600 キーボード
601 リモコン送信部
602 通信処理部
603 リモコン受信処理部
604 システム用ROM
605 システムCPU処理部
606 データ用メモリ部
607 Demux処理部
608 映像デコード処理部
609 音声デコード処理部
610 語彙情報表示処理部
611 ビデオバッファ
612 DA変換器
613 映像表示部
614 スピーカ部
615 メモリカード用IF部
616 外部メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも映像を含む複数の視聴用コンテンツを主コンテンツとして選択的に提供する主コンテンツ配信サーバと、
前記主コンテンツを視聴する際に学習のために利用される文字列及び音声の少なくとも一方で構成される情報を副コンテンツとして提供する副コンテンツ配信サーバと、
前記主コンテンツ及び副コンテンツを受け取って再生すると共に学習者からの入力操作を受け付ける機能を備えた学習者用操作端末とを備えるとともに、
前記主コンテンツ配信サーバに蓄積されている複数の視聴用コンテンツの各々の難易度と関連のあるレベル情報を含むコンテンツリストを前記学習者用操作端末に入力された学習レベルに応じて作成し前記学習者用操作端末に提供するコンテンツリスト出力手段と、
前記コンテンツリストの中から学習者の入力によって選択された特定のコンテンツについて前記主コンテンツ配信サーバ及び副コンテンツ配信サーバに配信を要求する配信要求手段と、
前記学習者用操作端末上で、前記主コンテンツ配信サーバから配信された主コンテンツの再生動作に同期して、前記副コンテンツ配信サーバから配信された対応する副コンテンツの情報を選択的に出力する同期制御手段と
を備えるコンテンツ配信システム。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテンツ配信システムであって、
前記コンテンツリスト出力手段は、主コンテンツ毎に出現する全文字列の単語毎の難易度及び各単語の出現頻度を取得し、出現頻度が最大の難易度から該当するコンテンツのレベル情報を決定し、前記学習者用操作端末に入力された学習レベルと各主コンテンツのレベル情報との相関の大きさに従って前記コンテンツリストを作成するコンテンツ配信システム。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテンツ配信システムであって、
前記コンテンツリスト出力手段は、主コンテンツ毎に出現する全文字列の各単語について、複数の専門分野のそれぞれに関する難易度及び各単語の出現頻度を取得し、専門分野毎に出現頻度が最大の難易度を分野別難易度として生成し、前記コンテンツリストには、コンテンツ毎に前記レベル情報と前記分野別難易度とを含めるコンテンツ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−337490(P2006−337490A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−159327(P2005−159327)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】