説明

コンテンツ配布システムおよびコンテンツ配布方法

【課題】VODシステムの上位サーバから下位サーバへコンテンツを配布する際の欠落パケットの再配信を効率的に行い、配信コンテンツの品質を向上させる。
【解決手段】管理サーバ10が、保有するコンテンツを所定のデータ長で分割した断片データにパケットSEQ番号およびパケット総数の情報を付加したパケットを作成し、コンテンツをマルチキャストによって複数の配信サーバ20へ配信する。次に、配信サーバ20が、受信したコンテンツをパケット単位で解析し、データ欠落の有無をパケットSEQ番号の順に表した欠落情報を作成して管理サーバ10へ送信する。そして、管理サーバ10が、受信した欠落情報に基づいて再送が必要な欠落パケットの有無、再送先、および配信方法を判定し、この判定結果に基づいて配信サーバ20に欠落パケットをマルチキャストまたはユニキャストによって再送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各拠点に配置された配信サーバへ配信コンテンツを配布するコンテンツ配布システムおよびコンテンツ配布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
VOD(Video On Demand)システムは、ユーザからの要求に応じてコンテンツを配信するシステムである。例えば、ある映画を視聴したい場合には、自宅の視聴端末(パソコン若しくは専用機器に接続されたテレビ)においてタイトルを選択することで、ユーザは希望の時間帯に視聴することができる。
【0003】
一般に、VODサービス提供会社が配信するコンテンツは上位のサーバにおいて管理されており、各拠点に配置されている下位の配信サーバ(中継サーバ)に必要に応じて配布される。例えば、各配信サーバにおいて配信地域のユーザの契約内容や過去の視聴履歴などに応じて視聴が予想されるコンテンツを上位のサーバから予め配布しておくことで、ユーザからの配信要求に対して効率的に配信処理を行うことができる。
【0004】
また、コンテンツの配布する際の通信方式としてはユニキャストとマルチキャストが挙げられる。ユニキャストは、送信者と受信者が1対1の双方向通信であり、送信したパケットが欠落した場合には再送が行われるため、通信の信頼性が高い。その反面、上位のサーバから複数の配信サーバにコンテンツを配布するような場合には、同一のパケットを各配信サーバへ個別に送らなければならず、上位サーバおよびネットワークに対する負荷が高くなってしまう。
【0005】
これに対し、マルチキャストは、送信者と受信者が1対Nの片方向通信であり、一の送信者から送信されたパケットをネットワーク上の中継装置(ルータ)によってコピーしながら伝送し、複数の受信者に配信する。したがって、上位サーバから配信サーバへのコンテンツの配布はマルチキャストによって行うことが好ましいが、マルチキャストの場合には、ネットワーク上の中継装置(ルータ)において一部のパケットが欠落する可能性がある。
【0006】
このような問題を解決するため、マルチキャストによってパケットの欠落が生じた場合に、欠落パケットをマルチキャストによって再送することによって補完する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−84239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術においては、マルチキャストによる再送の場合にも、ネットワークの負荷を考慮してコンスタントビットレートで送るため、ほぼ実時間でコンテンツを送ることになる。また、欠落パケットが無く、本来は再送が不要な配信サーバにまで欠落パケットを配信する構成のため、時間的ロスが生じると共にネットワークに余分な負荷がかかり、非効率的であるという問題があった。
【0009】
そこで本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、VODサービス中にサーバ間で行われる配信コンテンツの配布処理の際に欠落したパケットの再配信を効率的に行え、かつ、配信コンテンツの品質を向上させるコンテンツ配布システムおよびコンテンツ配布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るコンテンツ配布システムは、保有するコンテンツを下位のサーバに配信する管理サーバと、前記コンテンツを視聴する視聴端末および管理サーバにネットワークを介して接続され、前記管理サーバから配信されたコンテンツを前記視聴端末からの視聴要求に応じて配信する複数の配信サーバと、からなり、前記管理サーバは、前記コンテンツを格納するコンテンツ格納部と、前記格納されたコンテンツを所定のデータ長で分割した断片データにパケットSEQ番号およびパケット総数の情報を付加したパケットを作成し、前記コンテンツをマルチキャストまたはユニキャストの配信方法によって前記配信サーバへ配信するコンテンツ配信部と、前記配信されたコンテンツにおけるデータ欠落の有無を前記パケットSEQ番号の順に表した欠落情報を前記複数の配信サーバからそれぞれ受信し、集計する欠落情報集計部と、前記集計された欠落情報を解析し、再送が必要な欠落パケットの有無、再送先、および前記マルチキャストまたは前記ユニキャストの配信方法を判定し、この判定結果に応じて前記コンテンツ配信部から前記欠落パケットを再送させるコンテンツ再送判定部と、を備え、前記配信サーバは、前記管理サーバから配信された前記コンテンツを受信する配信コンテンツ受信部と、前記視聴端末への配信対象となるコンテンツを格納する配信コンテンツ格納部と、前記配信コンテンツ受信部において受信されたコンテンツを前記配信コンテンツ格納部に登録し、管理する配信コンテンツ管理部と、前記配信コンテンツ受信部において受信されたコンテンツを前記パケットSEQ番号および前記パケット総数に基づいてパケット単位で解析して前記欠落情報を作成し、これを前記管理サーバへ送信する欠落情報作成部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係るコンテンツ配布方法は、保有するコンテンツを下位のサーバに配信する管理サーバと、前記コンテンツを視聴する視聴端末および管理サーバにネットワークを介して接続され、前記管理サーバから配信されたコンテンツを前記視聴端末からの視聴要求に応じて配信する複数の配信サーバと、からなるコンピュータシステムにおけるコンテンツ配布方法であって、前記管理サーバが、前記コンテンツを所定のデータ長で分割した断片データにパケットSEQ番号およびパケット総数の情報を付加したパケットを作成し、前記コンテンツをマルチキャストまたはユニキャストの配信方法によって前記配信サーバへ配信するコンテンツ配信ステップと、前記配信サーバが、前記コンテンツ配信ステップにおいて配信されたコンテンツを受信し、データベースに登録するコンテンツ登録ステップと、前記配信サーバが、前記コンテンツ配信ステップにおいて配信されたコンテンツを前記パケットSEQ番号および前記パケット総数に基づいてパケット単位で解析して前記コンテンツにおけるデータ欠落の有無を前記パケットSEQ番号の順に表した欠落情報を作成し、これを前記管理サーバへ送信する欠落情報作成ステップと、前記管理サーバが、前記欠落情報作成ステップにおいて作成された欠落情報を前記複数の配信サーバからそれぞれ受信し、集計する欠落情報集計ステップと、前記管理サーバが、前記欠落情報集計ステップにおいて集計された欠落情報を解析し、再送が必要な欠落パケットの有無、再送先、および前記マルチキャストまたは前記ユニキャストの配信方法を判定するコンテンツ再送判定ステップと、前記管理サーバが、前記コンテンツ再送判定ステップにおける判定結果に応じて前記欠落パケットを再送するコンテンツ再送ステップと、前記配信サーバが、前記データベースに登録されたコンテンツを前記コンテンツ再送ステップにおいて再送された欠落パケットに基づいて更新するコンテンツ更新ステップと、有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、サーバ間で行われる配信コンテンツの配布処理の際に欠落したパケットの再配信を効率的に行え、かつ、配信コンテンツの品質を向上させるコンテンツ配布システムおよびコンテンツ配布方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配布システムが適用されるVODシステムの全体構成例を示す図。
【図2】図1に示す管理サーバおよび配信サーバに適用されるコンピュータの構成例を示す図。
【図3】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配布システムの全体構成例を示すブロック図。
【図4】コンテンツデータの送信方法を説明する図。
【図5】欠落情報の集計方法の具体例を説明する図。
【図6】図1に示す配信コンテンツ格納部に格納されるデータの形式を説明する図。
【図7】欠落情報を含む送信データの構成例を説明する図。
【図8】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配布システムの処理の具体例を示すフローチャート。
【図9】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配布システムの処理の具体例を示すフローチャート。
【図10】配信サーバ間のコンテンツの同期処理を説明するブロック図。
【図11】本発明の一実施形態に係るコンテンツ配布システムの配信処理の具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配布システムが適用されるVODシステムの全体構成例を示す図である。同図に示されるように、VODシステムは管理サーバ10、配信サーバ20、および視聴端末30から構成され、管理サーバ10に対してN(N≧2)台の配信サーバ20、配信サーバ20に対してn(n≧2)台の視聴端末30がネットワーク40を介して接続されている。
【0015】
管理サーバ10は、保有するコンテンツを下位のサーバに配信するコンピュータである。配信サーバ20は、管理サーバ10および視聴端末30にネットワーク40を介して接続され、管理サーバ10から配信されたコンテンツの配信を行うコンピュータである。視聴端末30は、配信サーバ20に対して行った視聴要求に応じて配信サーバ20から配信されるコンテンツをユーザが視聴するTVやPCなどの端末である。ネットワーク40は、VODシステムの専用ネットワークである。
【0016】
図2は、図1に示す管理サーバ10および配信サーバ20に適用されるコンピュータの構成例を示す図である。同図に示すように、管理サーバ10などに適用されるコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、インターフェース54、システムバス55、入力装置56、表示装置57、補助記憶装置58、および通信装置59から構成される。
【0017】
CPU51は、ROM52やRAM53に格納されたプログラムやデータなどを用いて各種の演算処理を実行する処理装置である。ROM52は、コンピュータを機能させるための基本プログラムや環境ファイルなどを記憶する読み取り専用の記憶装置である。RAM53は、CPU51が実行するプログラムおよび各プログラムの実行に必要なデータを記憶する記憶装置であり、高速な読み出しと書き込みが可能である。インターフェース54は、各種のハードウェアとシステムバス55との接続を仲介する装置およびプログラムである。システムバス55は、CPU51、ROM52、RAM53、およびインターフェース54で共有される情報伝達路である。
【0018】
また、インターフェース54には、入力装置56、表示装置57、補助記憶装置58、および通信装置59などのハードウェアが接続されている。入力装置56は、ユーザからの入力を処理する装置であり、例えばキーボードやマウスなどである。表示装置57は、ユーザに対して演算結果や作成画面などを表示する装置であり、例えばCRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどである。補助記憶装置58は、プログラムやデータを蓄積する大容量の記憶装置であり、例えばハードディスク装置などである。
【0019】
図3は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配布システムの全体構成例を示すブロック図である。同図に示されるように、管理サーバ10は、コンテンツ格納部101、サーバ管理情報記憶部102、配布通知部103、コンテンツ配信部104、欠落情報集計部105、およびコンテンツ再送判定部106を機能として有する。
【0020】
コンテンツ格納部101は、配信サーバ20へ配布するコンテンツを格納する記憶装置である。
サーバ管理情報記憶部102は、ネットワーク40に接続されている配信サーバ20の識別名、IPアドレス、グループ情報などのサーバ管理情報を記憶する記憶装置である。本実施形態では、配信サーバ20は、VODサービス提供会社の拠点に分散配置されており、配信サーバ20は所定の規則に基づいて複数のグループに分類されているものとする。また、グループを分類する規則は任意に定義できるが、マルチキャストした際のデータ欠落の傾向などを鑑み、同一の中継装置(ルータ)を経由するサーバを同一グループとすると好適である。また、グループ内においては、グループを代表して管理サーバ10との通信を行う一台のサーバ(以下、「代表配信サーバ」という。)が予め選定され、このグループに所属する他のサーバ(以下、「所属配信サーバ」という。)と共にグループ情報として記憶されているものとする。
【0021】
配布通知部103は、コンテンツ配信部104からコンテンツ配信処理を行う前に配信先に通信装置59から事前通知を出力するプログラムである。
コンテンツ配信部104は、格納されたコンテンツを所定のデータ長で分割した断片データにパケットSEQ番号およびパケット総数の情報を付加したパケットを作成し、コンテンツに係るパケットをマルチキャストまたはユニキャストの配信方法によって配信サーバ20へ配信するプログラムである。
【0022】
図4は、コンテンツデータの送信方法を説明する図である。ここでは、配信対象のコンテンツデータが所定のデータ長の断片データに分割され、パケットの順序を示すパケットSEQ番号とパケットの総数をヘッダー、断片データをペイロードとするデータにTCPヘッダーおよびIPヘッダーを付加してIPパケットを作成し、このIPパケットに物理層に対応したヘッダー情報(プリアンブル、SFD、MACヘッダー)を付加して送信データとすることが示されている。この送信データが中継装置(ルータ)において更に変換され、ネットワーク40上に伝送される。また、IPパケットの最大長は、ネットワーク40において、1回の転送で送信できるデータの最大値であるMTU(Maximum Transmission Unit)であることが示されている。尚、本実施形態では、配信サーバ20が複数存在するため、管理サーバ10よりコンテンツを最初に配信する際の配信方法はマルチキャストとし、2回目以降の配信方法は後述するコンテンツ再送判定部106からの指示に基づいて行われるものとする。
【0023】
欠落情報集計部105は、配信されたコンテンツにおけるデータ欠落の有無をパケットSEQ番号の順に表した欠落情報を複数の配信サーバ20(代表配信サーバ)からそれぞれ受信し、集計するプログラムである。図5は、欠落情報の集計方法の具体例を説明する図である。ここでは、コンテンツに係るパケットを解析した結果、パケットが受信されている場合には“0”、パケットが欠落している場合には“1”としてパケットSEQ番号の順に設定したビット列が各配信サーバ20における欠落情報として受信され、複数の欠落情報をビット毎に集計し、パケットの欠落有無および欠落したサーバ台数を示す重み付けを含む集計情報が作成されることが示されている。例えば、集計情報の左から3列目が“パケットSEQ番号=3”のパケットに対応する場合、ネットワーク40上で当該パケットの欠落が生じており、その配信サーバ20の台数が4台であることが分かる。
【0024】
コンテンツ再送判定部106は、集計された欠落情報を解析し、再送が必要な欠落パケットの有無、再送先、および配信方法を判定し、この判定結果に応じてコンテンツ配信部104に欠落パケットを再送させるプログラムである。具体的には、管理サーバ10の負荷やネットワーク40に送出するデータ総量を算出した上で最適な配信方法(マルチキャスト/ユニキャスト)を選択する。尚、判定基準となる閾値は、過去の統計や実験結果などによって最適な値を予め算出し、設定するものとするが、管理者が任意に変更できると好適である。
【0025】
また、図3に示されるように、配信サーバ20は、配布通知受付部201、配信コンテンツ受信部202、配信コンテンツ管理部203、配信コンテンツ格納部204、欠落情報作成部205、欠落情報集計部206、配信コンテンツ再送判定部207、グループ情報記憶部208、配布通知部209、配信コンテンツ同期部210、配信要求受付部211、およびRTP配信部212を機能として含んでいる。
【0026】
配布通知受付部201は、管理サーバ10または代表配信サーバから送信された配布通知(事前通知)を受信し、配信コンテンツ受信部202へ出力するプログラムである。
【0027】
配信コンテンツ受信部202は、配布通知受付部201において配布通知が受信されるとコンテンツの受信準備を行い、管理サーバ10または代表配信サーバから配信されたコンテンツを受信するプログラムである。
【0028】
配信コンテンツ管理部203は、配信コンテンツ受信部202において受信されたコンテンツを配信コンテンツ格納部204に登録し、管理するプログラムである。
【0029】
配信コンテンツ格納部204は、視聴端末30への配信対象となるコンテンツを格納する記憶装置である。図6は、図1に示す配信コンテンツ格納部204に格納されるデータの形式を説明する図である。ここでは、配信コンテンツ受信部202においてパケットSEQ番号が3、5、7のパケットが欠落した状態で受信されている場合に、配信コンテンツ格納部204において欠落したパケット(以下、「欠落パケット」という。)に対応する記憶領域にNULLが設定され、再送された場合にパケットSEQ番号をキーとして補完可能な形式で格納されることが示されている。尚、配信コンテンツ格納部204における記憶形式は図5に示される記憶形式に限定されず、欠落パケットに対応する記憶領域にNULL以外の値(スペースや記号など)を設定しても良い。
【0030】
欠落情報作成部205は、配信コンテンツ受信部202において受信されたコンテンツをパケットSEQ番号およびパケット総数に基づいてパケット単位で解析して欠落情報を作成し、これを管理サーバ10へ送信するプログラムである。図7は、欠落情報を含む送信データの構成を説明する図である。ここでは、コンテンツに係るパケットを解析した結果、パケットが受信されている場合には“0”、パケットが欠落している場合には“1”としてパケットSEQ番号の順に設定したビット列が送信データのデータ部分に欠落情報として設定されることが示されている。
【0031】
欠落情報集計部206は、上述した欠落情報集計部105と同様に、管理サーバ10または代表配信サーバからの配信の際の欠落情報を同一グループの所属配信サーバからそれぞれ受信し、集計するプログラムである。
【0032】
配信コンテンツ再送判定部207は、上述したコンテンツ再送判定部106と同様に、欠落情報集計部206において集計された欠落情報を解析し、再送が必要な欠落パケットの有無、再送先、および配信方法を判定するプログラムである。
【0033】
グループ情報記憶部208は、ネットワーク40上で同一グループに属する配信サーバ20の識別名、IPアドレス、グループの識別名、代表配信サーバの識別名などのグループ情報を記憶する記憶装置である。
【0034】
配布通知部209は、配信コンテンツ同期部210から欠落パケットの配信処理(同期処理)を行う前に配信先に通信装置59から事前通知を出力するプログラムである。
【0035】
配信コンテンツ同期部210は、配信コンテンツ再送判定部207における判定結果に基づいて同一グループの所属配信サーバに対して欠落パケットの再送を行い、サーバ間で配信コンテンツ格納部204の同期処理を行うプログラムである。
【0036】
配信要求受付部211は、視聴端末30から送信される視聴要求を通信装置59によって受信し、RTP配信部212へ出力するプログラムである。
【0037】
RTP配信部212は、配信要求受付部211において視聴要求を受信すると、配信コンテンツ格納部204から視聴要求に係るコンテンツを取得し、RTP(Real-time Transport Protocol)に基づいて通信装置59から配信するプログラムである。
【0038】
尚、欠落情報集計部206、配信コンテンツ再送判定部207、グループ情報記憶部208、配布通知部209、および配信コンテンツ同期部210の機能は代表配信サーバのみ有していれば十分であるが、代表配信サーバが故障した場合など所属配信サーバから代表配信サーバへの変更が必要な場合もあるため、全ての配信サーバ20が同じ機能を有していると好適である。
【0039】
図8および図9は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配布システムの処理の具体例を示すフローチャートである。また、
S801において、管理サーバ10の配布通知部103は、全ての配信サーバ20にコンテンツ配布の事前通知を送信する。
S802において、管理サーバ10のコンテンツ配信部104は、全ての配信サーバ20にコンテンツをマルチキャストする。
S803において、管理サーバ10のコンテンツ配信部104は、代表配信サーバ20に欠落情報の送信要求を行う。
【0040】
S804において、代表配信サーバの欠落情報作成部205は、コンテンツの欠落情報を作成する。
S805において、代表配信サーバの欠落情報作成部205は、管理サーバ10に欠落情報を送信する。
S806において、管理サーバ10の欠落情報集計部105は、代表配信サーバからの欠落情報を集計する。
S807において、管理サーバ10のコンテンツ再送判定部106は、欠落パケットの有無を判定する。ここで、欠落パケットが有りと判定された場合には、S808へ進む。これに対し、欠落パケットが無しと判定された場合には、S812へ進む。
【0041】
S808において、管理サーバ10のコンテンツ再送判定部106は、再送対象サーバ数が閾値以上か否かを判定する。ここで、閾値以上と判定された場合には、S809へ進む。これに対し、閾値未満と判定された場合には、S811へ進む。
【0042】
S809において、管理サーバ10のコンテンツ再送判定部106は、欠落パケット数が閾値以上か否かを判定する。ここで、閾値以上と判定された場合には、S810へ進む。これに対し、閾値未満と判定された場合には、S811へ進む。
【0043】
S810において、管理サーバ10のコンテンツ配信部104は、代表配信サーバへ欠落パケットをマルチキャストする。
S811において、管理サーバ10のコンテンツ配信部104は、パケットの欠落が生じている代表配信サーバにのみ欠落パケットをユニキャストする。上記S801〜S811の処理により、先ず、代表配信サーバにおけるコンテンツの欠落が再送によって補完され、後述する配信サーバ20の間の同期処理の準備が完了する。図10は、配信サーバ20の間のコンテンツの同期処理を説明するブロック図である。ここでは、グループ(*)内において所属配信サーバから送信される欠落情報を代表配信サーバが集計、再送判定を行い、この結果に応じてコンテンツ(欠落パケット)を所属配信サーバへ配信することで同期が行われる流れが示されている。
【0044】
S812において、代表配信サーバの配信コンテンツ同期部210は、同一グループに所属する所属配信サーバに対してコンテンツの欠落情報の送信要求を行う。
S813において、所属配信サーバの欠落情報作成部205は、コンテンツの欠落情報を作成する。
S814において、所属配信サーバの欠落情報作成部205は、代表配信サーバに欠落情報を送信する。
S815において、代表配信サーバの欠落情報集計部206は、所属配信サーバからの欠落情報を集計する。
【0045】
S816において、代表配信サーバの配信コンテンツ再送判定部207は、欠落パケットの有無を判定する。ここで、欠落パケットが有りと判定された場合には、S817へ進む。これに対し、欠落パケットが無しと判定された場合には、S821へ進む。
【0046】
S817において、代表配信サーバ配信コンテンツ再送判定部207は、再送対象サーバ数が閾値以上か否かを判定する。ここで、閾値以上と判定された場合には、S818へ進む。これに対し、閾値未満と判定された場合には、S820へ進む。
【0047】
S818において、代表配信サーバ配信コンテンツ再送判定部207は、欠落パケット数が閾値以上か否かを判定する。ここで、閾値以上と判定された場合には、S819へ進む。これに対し、閾値未満と判定された場合には、S820へ進む。
【0048】
S819において、代表配信サーバの配信コンテンツ同期部210は、所属配信サーバに欠落パケットをマルチキャストする。
S820において、代表配信サーバは、パケットの欠落が生じている所属配信サーバにのみ欠落パケットをユニキャストする。
S821において、管理サーバ10のコンテンツ配信部104は、配信サーバ20へのコンテンツの配布が完了したか否かを判定する。ここで、コンテンツの配布が完了したと判定された場合には、処理を終了する。これに対し、コンテンツの配布が未完了と判定された場合には、S802へ戻り、コンテンツの配布が完了するまでS802〜S821の処理を繰返し、終了する。
【0049】
図11は、本発明の一実施形態に係るコンテンツ配布システムの配信処理の具体例を示す図である。同図に示されるように、先ず、管理サーバ10から全ての配信サーバ20(配信サーバ(1)〜(8))にマルチキャストでコンテンツを配信する(配信パターンA)。次に、管理サーバ10が代表配信サーバ(配信サーバ(1)・(5))から送信される欠落情報を解析して、管理サーバ10の負荷やネットワーク40に送出するデータ総量を算出した上で最適な配信方法(マルチキャスト/ユニキャスト)を選択して代表配信サーバへ再送処理を行う(配信パターンB)。そして、ネットワーク40上の配信サーバ20を予め複数のグループに分類して代表配信サーバを定義すると共に、グループ内で代表配信サーバと所属配信サーバの間で同期処理(配信パターンC)を行って欠落パケットを補完する。このため、必要最小限のデータがサーバ間で送受信されるため、サーバおよびネットワーク40における負荷を軽減することが出来ると共に、最終的にユーザに提供されるコンテンツの品質も向上させることができる。また、各配信サーバ20から管理サーバ10に対して欠落情報を送信する場合と比較して管理サーバ10へのアクセスが少なく済むので処理効率が良い。
【0050】
尚、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるである。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できるである。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい
【符号の説明】
【0051】
10…管理サーバ、
20…配信サーバ、
30…視聴端末、
40…ネットワーク、
51…CPU、
52…ROM、
53…RAM、
54…インターフェース、
55…システムバス、
56…入力装置、
57…表示装置、
58…補助記憶装置、
59…通信装置、
101…コンテンツ格納部、
102…サーバ管理情報記憶部、
103…配布通知部、
104…コンテンツ配信部、
105…欠落情報集計部、
106…コンテンツ再送判定部、
201…配布通知受付部、
202…配信コンテンツ受信部、
203…配信コンテンツ管理部、
204…配信コンテンツ格納部、
205…欠落情報作成部、
206…欠落情報集計部、
207…配信コンテンツ再送判定部、
208…グループ情報記憶部、
209…配布通知部、
210…配信コンテンツ同期部、
211…配信要求受付部、
212…RTP配信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保有するコンテンツを下位のサーバに配信する管理サーバと、
前記コンテンツを視聴する視聴端末および管理サーバにネットワークを介して接続され、前記管理サーバから配信されたコンテンツを前記視聴端末からの視聴要求に応じて配信する複数の配信サーバと、
からなり、
前記管理サーバは、
前記コンテンツを格納するコンテンツ格納部と、
前記格納されたコンテンツを所定のデータ長で分割した断片データにパケットSEQ番号およびパケット総数の情報を付加したパケットを作成し、前記コンテンツをマルチキャストまたはユニキャストの配信方法によって前記配信サーバへ配信するコンテンツ配信部と、
前記配信されたコンテンツにおけるデータ欠落の有無を前記パケットSEQ番号の順に表した欠落情報を前記複数の配信サーバからそれぞれ受信し、集計する欠落情報集計部と、
前記集計された欠落情報を解析し、再送が必要な欠落パケットの有無、再送先、および前記マルチキャストまたは前記ユニキャストの配信方法を判定し、この判定結果に応じて前記コンテンツ配信部から前記欠落パケットを再送させるコンテンツ再送判定部と、
を備え、
前記配信サーバは、
前記管理サーバから配信された前記コンテンツを受信する配信コンテンツ受信部と、
前記視聴端末への配信対象となるコンテンツを格納する配信コンテンツ格納部と、
前記配信コンテンツ受信部において受信されたコンテンツを前記配信コンテンツ格納部に登録し、管理する配信コンテンツ管理部と、
前記配信コンテンツ受信部において受信されたコンテンツを前記パケットSEQ番号および前記パケット総数に基づいてパケット単位で解析して前記欠落情報を作成し、これを前記管理サーバへ送信する欠落情報作成部と、
を備えることを特徴とするコンテンツ配布システム。
【請求項2】
前記配信サーバが前記ネットワーク上で複数のグループに分類されており、前記グループの中から予め選定された代表配信サーバが、前記グループを代表して前記欠落情報作成部において作成された前記欠落情報を送信し、前記管理サーバから前記欠落パケットの再送を受けることを特徴とする請求項1記載のコンテンツ配布システム。
【請求項3】
前記代表配信サーバが、更に、
前記管理サーバまたは前記代表配信サーバより配信されたコンテンツに係る前記欠落情報を前記グループに属する他の配信サーバからそれぞれ受信し、集計する第2の欠落情報集計部と、
この第2の欠落情報集計部において集計された欠落情報を解析し、再送が必要な欠落パケットの有無、再送先、および前記配信方法を判定する配信コンテンツ再送判定部と、
この配信コンテンツ再送判定部における判定結果に基づいて前記他の配信サーバに対して前記欠落パケットの再送を行い、サーバ間で前記配信コンテンツ格納部の同期処理を行う配信コンテンツ同期部と、
を備えることを特徴とする請求項2記載のコンテンツ配布システム。
【請求項4】
保有するコンテンツを下位のサーバに配信する管理サーバと、前記コンテンツを視聴する視聴端末および管理サーバにネットワークを介して接続され、前記管理サーバから配信されたコンテンツを前記視聴端末からの視聴要求に応じて配信する複数の配信サーバと、からなるコンピュータシステムにおけるコンテンツ配布方法であって、
前記管理サーバが、前記コンテンツを所定のデータ長で分割した断片データにパケットSEQ番号およびパケット総数の情報を付加したパケットを作成し、前記コンテンツをマルチキャストまたはユニキャストの配信方法によって前記配信サーバへ配信するコンテンツ配信ステップと、
前記配信サーバが、前記コンテンツ配信ステップにおいて配信されたコンテンツを受信し、データベースに登録するコンテンツ登録ステップと、
前記配信サーバが、前記コンテンツ配信ステップにおいて配信されたコンテンツを前記パケットSEQ番号および前記パケット総数に基づいてパケット単位で解析して前記コンテンツにおけるデータ欠落の有無を前記パケットSEQ番号の順に表した欠落情報を作成し、これを前記管理サーバへ送信する欠落情報作成ステップと、
前記管理サーバが、前記欠落情報作成ステップにおいて作成された欠落情報を前記複数の配信サーバからそれぞれ受信し、集計する欠落情報集計ステップと、
前記管理サーバが、前記欠落情報集計ステップにおいて集計された欠落情報を解析し、再送が必要な欠落パケットの有無、再送先、および前記マルチキャストまたは前記ユニキャストの配信方法を判定するコンテンツ再送判定ステップと、
前記管理サーバが、前記コンテンツ再送判定ステップにおける判定結果に応じて前記欠落パケットを再送するコンテンツ再送ステップと、
前記配信サーバが、前記データベースに登録されたコンテンツを前記コンテンツ再送ステップにおいて再送された欠落パケットに基づいて更新するコンテンツ更新ステップと、
を有することを特徴とするコンテンツ配布方法。
【請求項5】
前記配信サーバが前記ネットワーク上で複数のグループに分類されており、前記グループの中から予め選定された代表配信サーバが、前記欠落情報作成ステップにおいて前記グループを代表して前記管理サーバへ前記欠落情報を送信し、前記管理サーバから前記欠落パケットの再送を受けることを特徴とする請求項4記載のコンテンツ配布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−226447(P2010−226447A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71767(P2009−71767)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】