説明

コンデンサホルダ

【課題】従来のコンデンサホルダは、一定の太さ(径)の電解コンデンサよりも細い電解コンデンサを収納した場合に、これらを位置決めした状態で収納、保持するのが困難であった。
【解決手段】コンデンサホルダ1は、電解コンデンサ101を挿入する多数のコンデンサ挿入部2を格子状に備え、これらコンデンサ挿入部2に電解コンデンサ101を挿入して保持する。コンデンサホルダ1は、コンデンサ挿入部2を構成する第1のコンデンサ挿入部構成孔5を設けた下部ホルダプレート3と、下部ホルダプレート3上に重ね合わされていて第1のコンデンサ挿入部構成孔5と共にコンデンサ挿入部2を構成する第2のコンデンサ挿入部構成孔6を設けた上部ホルダプレート4と、下部ホルダプレート3に対して上部ホルダプレート4を相対移動させるホルダプレート駆動ネジ7と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体電力変換装置において多数の電解コンデンサを並直列に配置する場合等に使用して好適なコンデンサホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多数の電解コンデンサを並直列に配置して大容量のコンデンサユニットを構成する方法として、例えば、図4に示すように、コンデンサユニットを構成する多数の電解コンデンサ101のそれぞれに取付バンド102を取り付け、これら取付バンド102に設けた取付脚部103をネジ104で板状のコンデンサホルダ105やベースプレートに取り付ける方法が知られている。図4において、106は、多数の電解コンデンサ101の端子107,108を接続するために、これら電解コンデンサ101の上端側に配置された導体である。前記導体106はインダクタンスの発生を抑制するため薄い銅版を重ね合わせるように配置されている。
【0003】
ところで、上述のコンデンサユニットにおいては、個々の電解コンデンサ101をネジ104で板状のコンデンサホルダ105やベースプレートに取り付けなければならず、取付作業効率が悪いという欠点がある。
【0004】
そこで、図5に示すように、コンデンサホルダ111を、電解コンデンサ101を挿入する多数のコンデンサ挿入部112を有する格子枠状に形成し、前記コンデンサ挿入部112にそれぞれ電解コンデンサ101を挿入するとともに、これら電解コンデンサ101の端子107,108を導体106で接続するようにしたコンデンサユニットが開発されている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平1−83324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、図5に示すコンデンサホルダ111は、電解コンデンサ101を挿入する多数のコンデンサ挿入部112の大きさ(径)が決められているため、コンデンサ挿入部112の大きさ(径)に見合う太さ(径)の電解コンデンサ101でなければ使用できず、コンデンサ挿入部112の大きさ(径)に較べて電解コンデンサ101の太さ(径)が細い場合には、電解コンデンサ101がコンデンサ挿入部112内でガタついてしまう。電解コンデンサ101のガタつきを防止するためのスペーサ等のガタつき防止手段が必要となるという問題点があった。
【0007】
本発明の目的は、太さ(径)の異なる多くの種類の電解コンデンサに対応して、これら電解コンデンサを位置決めした状態で収納、保持することのできるコンデンサホルダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電解コンデンサを挿入する多数のコンデンサ挿入部を格子状に設け、これらコンデンサ挿入部に前記電解コンデンサを挿入して保持するコンデンサホルダにおいて、該コンデンサホルダを、前記コンデンサ挿入部を構成する第1のコンデンサ挿入部構成孔を設けた下部ホルダプレートと、該下部ホルダプレート上に重ね合わされていて前記第1のコンデンサ挿入部構成孔と共に前記コンデンサ挿入部を構成する第2のコンデンサ挿入部構成孔を設けた上部ホルダプレートと、前記下部ホルダプレートに対して前記上部ホルダプレートを移動させるホルダプレート駆動ネジと、で構成した。
【0009】
前記ホルダプレート駆動ネジを、前記上部ホルダプレートに設けた駆動ネジ取付部に取り付け、前記ホルダプレート駆動ネジの先端で前記下部ホルダプレートに設けた被押圧部を押圧して、前記上部ホルダプレートを前記下部ホルダプレートに対して前記ホルダプレート駆動ネジの移動方向に移動させる構成した。
【0010】
前記下部ホルダプレートの第1のコンデンサ挿入部構成孔の下部ホルダプレート移動方向の一側部に、挿入した前記電解コンデンサの外周面に接触する起立壁を形成するとともに、前記上部ホルダプレートの第2のコンデンサ挿入部構成孔の下部ホルダプレート移動方向の一側部に、前記起立壁とで前記電解コンデンサの外周面を3点支持する一対の垂下壁を設けた。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコンデンサホルダは、電解コンデンサの下端部を、前記上部ホルダプレートに設けた第2のコンデンサ挿入部構成孔を介して前記下部ホルダプレートに設けた第1のコンデンサ挿入部構成孔に挿入する。そして、前記下部ホルダプレートに対して前記上部ホルダプレートを移動させると、前記第2のコンデンサ挿入部構成孔の内面と前記第1のコンデンサ挿入部構成孔の内面とによって電解コンデンサが挟まれて位置決め固定される。
【0012】
また、前記ホルダプレート駆動ネジを使用することによって、前記上部ホルダプレートを下部ホルダプレートに対して移動させることができる。
【0013】
また、前記下部ホルダプレートに設けた起立壁と前記上部ホルダプレートに設けた一対の垂下壁とで、電解コンデンサの外周面の3点を挟着して確実に電解コンデンサをコンデンサ挿入部内に位置決めして保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】コンデンサホルダの使用状態を示す斜視図。
【図2】コンデンサホルダの分解斜視図。
【図3】ホルダプレート駆動機構部分の断面図。
【図4】従来例を示す説明図。
【図5】他の従来例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1はコンデンサホルダの使用状態を示す斜視図、図2はコンデンサホルダの分解斜視図、図3はホルダプレート駆動機構部分の断面図である。
【0016】
コンデンサホルダ1は、電解コンデンサ101を挿入する多数のコンデンサ挿入部2を格子状に備えている。
【0017】
コンデンサホルダ1は、下部ホルダプレート3と、該下部ホルダプレート3上にスライド可能に重ね合わされた上部ホルダプレート4と、で構成されている。
【0018】
前記コンデンサ挿入部2は、前記下部ホルダプレート3に形成された第1のコンデンサ挿入部構成孔5と、上部ホルダプレート4に形成された第2のコンデンサ挿入部構成孔6と、によって構成されている。前記第2のコンデンサ挿入部構成孔6を介して前記第1のコンデンサ挿入部構成孔5に、前記電解コンデンサ101の下端部が挿入される。
【0019】
そして、前記電解コンデンサ101を挿入した後に、ホルダプレート駆動ネジ7によって、上部ホルダプレート4を下部ホルダプレート3に対して矢印A方向に移動させることにより、前記第2のコンデンサ挿入部構成孔6の内周面と前記第1のコンデンサ挿入部構成孔5の内周面とで電解コンデンサ101の外周面を挟着して保持する。
【0020】
図2に示すように、下部ホルダプレート3は、金属や合成樹脂により矩形に形成されていて、縦横各3列の桝目状に9個の第1のコンデンサ挿入部構成孔5が形成されている。これら第1のコンデンサ挿入部構成孔5の一側部には、前記電解コンデンサ101の外周面に接触する起立壁11が形成されている。また、下部ホルダプレート3の一側部には、前記起立壁11と並行に前記ホルダプレート駆動ネジ7の先端で押圧される被押圧部12が形成されている。また、下部ホルダプレート3の四隅部には、ネジ孔13が形成されている。
【0021】
上部ホルダプレート4は、金属や合成樹脂により矩形に形成されていて、両側には略直角な折曲部21,22を介して左右一対の脚部23が形成されていると共に、これら一対の脚部23の長さ方向の両端には長孔24が前記下部ホルダプレート3のネジ孔13と対向する位置に形成されている。
【0022】
上部ホルダプレート4は、前記一対の脚部23を前記下部ホルダプレート3上に重ね合わせた状態で前記長孔24を介して前記ネジ25により前記下部ホルダプレート3上に取り付けられる。前記上部ホルダプレート4は、前記ネジ25を締め付ける迄は前記長孔24の長さの範囲内で前記下部ホルダプレート3上をスライド可能な状態になっている。
【0023】
前記上部ホルダプレート4のコンデンサ挿入部構成孔6は、前記下部ホルダプレート3の第1のコンデンサ挿入部構成孔5と対向する位置に形成されている。
【0024】
第2のコンデンサ挿入部構成孔6は、五角形状に形成されていて、その一側部には、前記下部ホルダプレート3の起立壁11と対向させた状態で一対の垂下壁26,27が略く状に配置されている。また、前記上部ホルダプレート4の一方の折曲部21は、駆動ネジ取付部になっていて、その両側部には左右一対のホルダプレート駆動ネジ7が螺合されている。これら左右一対のホルダプレート駆動ネジ7は、締付方向に回転させることによりその先端で前記下部ホルダプレート3の被押圧部12を押圧する。そして、押圧したときの反力で前記上部ホルダプレート4を矢印A方向にスライドさせる。なお、図1において、28は、ホルダプレート駆動ネジ7の位置を固定するロックナットである。
【0025】
次に、上記コンデンサホルダの使用方法を説明する。先ず、下部ホルダプレート3上に上部ホルダプレート4を重ね合わせて、下部ホルダプレート3の四隅部に設けたネジ孔13と、上部ホルダプレート4の四隅部に設けた長孔24の位置を合致させた状態でネジ25により、下部ホルダプレート3および上部ホルダプレート4をホルダ取付面29に取り付ける。この場合にネジ25は締め付けずに、上部ホルダプレート4をスライド可能な状態にしておく。
【0026】
下部ホルダプレート3と上部ホルダプレート4を重ね合わせることにより、第1のコンデンサ挿入部構成孔5と第2のコンデンサ挿入部構成孔6によりコンデンサ挿入部2が形成される。
【0027】
次に、図3に示すように、電解コンデンサ101をコンデンサ挿入部2、即ち、第2のコンデンサ挿入部構成孔6およびその下方に位置する第1のコンデンサ挿入部構成孔5に挿入する。各コンデンサ挿入部2に電解コンデンサ101を挿入したら、これら電解コンデンサ101の端子107,108を導体106で接続する。
【0028】
次に、ホルダプレート駆動ネジ7を締め付けて、その先端で前記被押圧部12を押圧する。前記被押圧部12を押圧すると、その反作用で上部ホルダプレート4は、矢印A方向にスライドして、前記下部ホルダプレート3に設けた起立壁11と前記上部ホルダプレート4に設けた垂下壁26,27の3点で電解コンデンサの外周面を挟着して確実に電解コンデンサをコンデンサ挿入部内に保持する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
上記実施例では、コンデンサホルダ1を半導体電力変換装置において多数の電解コンデンサを並直列に配置するコンデンサホルダとして使用した場合を示したが、本発明のコンデンサホルダは、電解コンデンサに限らずケミコン等の円柱状電気部品等にも使用することができる。
【符号の説明】
【0030】
1…コンデンサホルダ
2…コンデンサ挿入部
3…下部ホルダプレート
4…上部ホルダプレート
5…第1のコンデンサ挿入部構成孔
6…第2のコンデンサ挿入部構成孔
7…ホルダプレート駆動ネジ
11…起立壁
12…被押圧部
13…ネジ孔
21,22…折曲部
23…脚部
24…長孔
25…ネジ
25…長孔
26,27…垂下壁
28…ロックナット
101…電解コンデン
106…導体
107,108…端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解コンデンサを挿入する多数のコンデンサ挿入部を格子状に設け、これらコンデンサ挿入部に電解コンデンサを挿入して保持するコンデンサホルダにおいて、
前記コンデンサホルダは、前記コンデンサ挿入部を構成する第1のコンデンサ挿入部構成孔を設けた下部ホルダプレートと、該下部ホルダプレート上に重ね合わされていて前記第1のコンデンサ挿入部構成孔と共に前記コンデンサ挿入部を構成する第2のコンデンサ挿入部構成孔を設けた上部ホルダプレートと、前記下部ホルダプレートに対して前記上部ホルダプレートを移動させるホルダプレート駆動ネジと、を備えていることを特徴とするコンデンサホルダ。
【請求項2】
前記ホルダプレート駆動ネジは、前記上部ホルダプレートに設けた駆動ネジ取付部に取り付けられていて、先端部で前記下部ホルダプレートに設けた被押圧部を押圧したときに発生する反力で前記上部ホルダプレートを前記下部ホルダプレートに対して移動させることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサホルダ。
【請求項3】
前記下部ホルダプレートは、前記第1のコンデンサ挿入部構成孔の一側部に、挿入した前記コンデンサの外周面に接触する起立壁を備え、
前記上部ホルダプレートは、前記第2のコンデンサ挿入部構成孔のホルダプレート移動方向の一側部に、前記起立壁とで前記電解コンデンサの外周面を3点支持する一対の垂下壁を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサホルダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−212529(P2010−212529A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58830(P2009−58830)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)
【Fターム(参考)】