説明

コンデンサユニット、電源装置、電動機駆動装置及び電動機駆動システム

【課題】
コンデンサの大容量化を図り、かつユニットとして使用される場合において、工作機械用や車載用の電源部に用いられる際には厳しい振動条件が要求される。本発明は、耐振動性に優れ、かつ組立性の向上を図ったコンデンサユニット、電源装置、電動機駆動装置及び電動機駆動システムを提供する。
【解決手段】
四方が壁面で覆われた箱状の筐体2内に、複数列のコンデンサ1を同極が対向するように配置し、コンデンサの電極端子を短絡させるブスバー3によって、コンデンサ1を筐体2と絶縁固定させる。これにより、コンデンサ1を上方向から押さえつける構造となり、コンデンサ1の固定が可能となる。このとき、筐体長手方向の突っ張り棒の役目も果たし、筐体2自身の強度向上にも寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサユニット、電源装置、電動機駆動装置及び電動機駆動システムに係り、複数のコンデンサが並列に配置される場合に特に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
各種の電源装置では、直流電圧から交流成分を除去する平滑用素子としてコンデンサが一般的に用いられる。特に、単一のコンデンサでは必要な静電容量が得られない場合には、複数のコンデンサを並列に接続して大容量化を図る手段が多く採用されている。電解コンデンサを並列接続して大容量化する場合、円筒状のコンデンサを固定材によって矩形状に加工し、同じく矩形状の固定バンド内側にコンデンサを隙間なく配置し、固定バンドの取付部によって基板に固定する方法が提案されている。(特許文献1)
また、円筒状のコンデンサを複数列配置する場合、互いに隣接する列に属するコンデンサを千鳥状に、かつ互いに接する状態にして配置することによって、余分なスペースを無くし、取付部を含めた設置スペースを従来の設置スペースより狭くすることができ、より多くのコンデンサを配置する方法が提案されている。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−288855号公報
【特許文献2】特開2006−310490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンデンサを並列接続して大容量化を図り、かつユニットとして使用される場合、コンデンサ配置のコンパクト化のみならず、配置される部位における周囲条件を考慮する必要がある。大容量化が特に求められる使用態様として、工作機械用や車載用の電源部に用いられる場合も多く、これに用いられるコンデンサ装置も厳しい振動条件に耐える必要がある。
【0005】
このような過酷な振動条件で用いられることを考慮すれば、特許文献1の方法では、ユニット製作の際に、一般形状(円筒形)のコンデンサではなく、矩形に加工した特殊形状のものを用意しなければならないという問題が生ずる。また、特許文献2では一般形状のコンデンサを用いて省スペースで配置することが可能とされているが、周囲条件が考慮されたものではなかった。具体的には、コンデンサと筐体を固定する部分が無く、筐体とコンデンサ間の固定ができない。したがって、特に縦方向の振動に弱いことが懸念される。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐振動性に優れ、または、組立性の向上を図ったコンデンサユニットを提供することを目的とする。または、過酷な振動条件であっても使用可能な電源装置、電動機駆動装置あるいは電動機駆動システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明は、一面に正負両極の端子を有する複数のコンデンサを筐体内に備え、この複数のコンデンサの同極が対向するように並列に配置されるコンデンサユニットにおいて、
対向して配置される同極の端子を短絡させる第一のブスバーと、
互いに離れて配置される前記同極の端子と異極の端子を短絡させる第二のブスバーとを備え、
前記第一のブスバーは、前記筐体と絶縁固定されるものとする。
【0008】
上記のコンデンサユニットにおいて、より好適な具体的な構成は下記の通りである。
(1)筐体は、複数のコンデンサが配置されるコンデンサ配置部を覆うとともに内側壁面からコンデンサ配置部に突出する突起部を備え、第一のブスバーは内側壁面と絶縁可能な空間を隔てて配置されるとともに突起部とは互いにラップするように設けられ、第一のブスバーと突起部との間に絶縁端子台を備えたこと。
(2)コンデンサは一面が上部となるように筐体の底面に載置され、コンデンサの下部と筐体の底面とを固定するための取付脚を有し、第一のブスバーに、コンデンサ下部の取付脚の上方を開放する開口部を備えたこと。
(3)記第二のブスバーは、第一のブスバーを覆う一部材で構成され、第一のブスバーと第二のブスバーとは絶縁されること。
(4)第一のブスバーと第二のブスバーとの間は、絶縁可能な距離を隔てられること。
(5)第一のブスバーと前記第二のブスバーとの間に絶縁紙を有すること。
【0009】
また、電源装置にあっては、上記のいずれかのコンデンサユニットを、充放電バッテリーとして構成されることが望ましい。
【0010】
上記目的を達成するための電動機駆動装置は、交流電源の交流電圧を整流して直流電圧に変換するコンバータ部と、前記コンバータ部の直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部と、このコンバータ部の直流電圧を平滑するコンデンサと、を備え、
前記コンデンサは、一面に正負両極の端子を有し、一つの筐体内に同極が対向するように並列に配置されたコンデンサユニットにより構成され、
このコンデンサユニットは、対向して配置される同極の端子を短絡させる第一のブスバーと、互いに離れて配置される前記同極の端子と異極の端子を短絡させる第二のブスバーとを備え、
前記第一のブスバーは、前記筐体と絶縁固定されることを特徴とする。
【0011】
さらに、上記目的を達成するための電動機駆動システムにあっては、交流電源の交流電圧を整流して直流電圧に変換するコンバータ部と、前記コンバータ部の直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部と、前記インバータ部からの出力によって回転数が制御されて駆動する電動機と、このコンバータ部の直流電圧を平滑するコンデンサと、前記電動機で発生する回生電力を吸収する充電装置とを備え、
前記充電装置は、一面に正負両極の端子を有し、一の筐体内に同極が対向するように並列に配置されたコンデンサユニットにより構成され、
このコンデンサユニットは、対向して配置される同極の端子を短絡させる第一のブスバーと、互いに離れて配置される前記同極の端子と異極の端子を短絡させる第二のブスバーとを備え、
前記第一のブスバーは、前記筐体と絶縁固定されることを特徴とする。
【0012】
上記の動機駆動システムは、複数の電動機駆動装置及び複数の電動機が接続された電動機駆動システムにおいて、前記コンデンサユニットが電動機駆動装置の直流ラインに単数または複数台並列に接続されて構成されることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、複数のコンデンサを複数列に配置した場合でも、固定において組立性の向上を図ることができる。十分な耐振動強度を持たせることも可能となり、コンデンサユニット、電源装置、電動機駆動装置、さらには電動機駆動システムにおいても耐振動性に優れた構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1のコンデンサユニットの概略構造図。
【図2】実施例1のコンデンサユニットの側面透過図。
【図3】実施例1のコンデンサユニットの上方平面図。
【図4】実施例2のブスバー構造形態におけるコンデンサユニットの構造図。
【図5】実施例2のガイドライン型コンデンサ配置方法におけるコンデンサユニットの構造図。
【図6】実施例3の省スペース配置方法におけるコンデンサユニットの構造図。
【図7】コンデンサユニットを平滑用コンデンサとして用いた電動機駆動装置。
【図8】コンデンサユニットを回生エネルギー吸収用として用いた電動機駆動システム。
【図9】コンデンサユニットをバッテリーとして用いた電源装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態のコンデンサユニットは、四方が壁面で覆われた箱状の筐体2の内部に複数のコンデンサが配置される構成としている。筐体内に配置されるコンデンサは、一面に正負両極の端子を有するものを用い、入手性に優れた円筒形状のコンデンサであって差し支えない。具体的には、コンデンサメーカが標準に販売しているコンデンサの形状が使用可能である。
【0016】
これらの複数のコンデンサを、筐体内のコンデンサ配置スペースに次のように配置する。第一に表面に正負両極端子を有するコンデンサを複数列に配置する。第二に、コンデンサを複数列に配置する際には、同極が対向するように、すなわち、正極あるいは負極が互いに向かい合うように配置する。
【0017】
上記のように、複数列に、かつ、互いに同極の端子が対向するように配置されたコンデンサに対し、ブスバーを用いて同極端子を短絡する。本実施形態では、同極端子が対向して配置されているため、複数列に配置されたコンデンサを一つのブスバーによって短絡することが可能である。
【0018】
さらに、上記のブスバーを用いてコンデンサを筐体に固定する。すなわち、本実施形態のブスバーは、端子の短絡兼固定用のブスバーということができ、これによってコンデンサの固定する。当該構成によって、筐体内に配置されたコンデンサの固定が強固になり、耐振動性に優れたコンデンサユニットを提供することができる。
【0019】
すなわち、本実施形態では、コンデンサの電極端子を短絡させるブスバーを、本来の役目に加え、筐体と絶縁固定させることにより、コンデンサを上方向から押さえつける構造をとっている。これにより、コンデンサの固定はもとより、筐体内において、ブスバーが筐体長手方向の突っ張り棒の役目も果たすことになり、筐体自身の強度向上にも寄与する。
【0020】
また、コンデンサ長手方向下側にコンデンサ取付けバンド6を用いてコンデンサの上下面を固定することにより、更なる耐振動性の向上を可能にできる。さらには、対向された分の極性の配線が1本で済むため、省配線化も可能となる。
【0021】
以下、図面を用いながら、具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0022】
図1〜図3を用いて実施例1を説明する。図1は実施例1の概略構造を示す図で、コンデンサユニットの分解斜視図である。図1に示すように、筐体2内のコンデンサ配置スペースに複数のコンデンサ1が配置される。複数のコンデンサは、同極の端子が対向するように複数列に配置され、コンデンサ1の底部は筐体2の下壁に固定されている。
【0023】
本実施例では、コンデンサ1の下部に三本脚のコンデンサ取付けバンド6を取付け、コンデンサ取付けバンド6の脚部に設けられる固定部で筐体2の底部に固定される。コンデンサ1の下部と筐体2の底部との固定方法は特に限られないが、各コンデンサの固定を同様の固定構造とすれば、全てのコンデンサの固定が容易に可能となる。
【0024】
次に、コンデンサ1の上方の固定について説明する。本実施例では、コンデンサ端子の短絡と固定を兼ねる第一のブスバー3aにより、コンデンサ上部と筐体2を一体とした固定をしている。具体的には、コンデンサ1の上面において電極と接触する第一のブスバー3aによって複数のコンデンサを固定する。この第一のブスバー3aは、一つのブスバーで互いに対向して配置された負極(−極)の端子を固定し、これによって、複数列に配置されるコンデンサ1を固定する。第一のブスバー3aには各端子を固定するための固定部が設けられ、これによって同極の端子を短絡するだけではなく、複数のコンデンサの固定を行う。
【0025】
次に筐体2と第一のブスバー3aの絶縁固定方法を図1及び図2を参照しながら説明する。図2は実施例1のコンデンサユニットの側面透過図である。図1に示すように、筐体2は複数のコンデンサが配置されるコンデンサ配置部の側方各面を覆う形状となっており、内壁面からコンデンサ配置部に向かって突出する突起部8が設けられている。
【0026】
図2に示すように、筐体2の内側からコンデンサ配置部に向かって突出する突起部8に絶縁端子台5を取付け、さらに絶縁端子台5に第一のブスバー3を固定する。これによって、筐体2と第一のブスバー3を絶縁しつつ、第一のブスバーに接続しているコンデンサと共に筐体2の長手方向側面部に固定する。
【0027】
筐体2(の側面部)、第一のブスバー3、絶縁端子台5及び突起部8の相互の位置関係について説明する。筐体2内のコンデンサ配置部及び第一のブスバー3の端部は、筐体2の内周壁面から絶縁可能な距離を確保する。これにより、コンデンサの筐体2への固定と絶縁が同時に可能となる。第一のブスバー3はコンデンサ配置部からさらに筐体2の側面部に向かって延伸し、突起部8の上方投影面(あるいは下方投影面)まで至る長さとする。この結果、第一のブスバー3と突起部8とは互いにラップするように位置し、両者の間を絶縁端子台5で固定することで、固定と絶縁の両立を図っている。
【0028】
ここで、コンデンサ1の下部と筐体2の底面との固定について付言する。本実施例では、筐体2の底面にコンデンサ1を固定するために、コンデンサ1の下部に三本脚のコンデンサ取付けバンド6を使用している。コンデンサを筐体底部に固定する際、長手方向に配置されるコンデンサの数が多くなるほど、これらのコンデンサの上部で同極の端子を短絡接続する第一のブスバー3が長くなるため、固定作業上、中央付近に配置されるコンデンサ下部の固定が行いにくくなる。
【0029】
本実施例では、複数列に跨ってコンデンサ1を覆う第一のブスバー3に開口部を設け、下方の固定部にアクセス可能とすることでコンデンサ下部の固定作業性の向上を図っている。しかし、コンデンサの数が多くなればなるほど、同極のコンデンサ端子を短絡させるには、端子とブスバーの穴の位置合わせが困難になってくる。
【0030】
そこで、図3に示すように第一のブスバー3に設けた開口部から、コンデンサ取付けバンドの取付脚が見える形とする。図3は、実施例1のコンデンサユニットの上方平面図である。これにより、ブスバーの固定穴とコンデンサ端子穴の位置を先に合わせて固定した後でも、コンデンサ本体を筐体に固定することができる構造として、耐振動性の強化と、容易な製作性を保っている。
【0031】
なお、上記の配置によって、正極(+極)の端子は互いに離間して配置されるため、これらは第二のブスバー4aによって短絡される。本実施例に於いては、この第二のブスバーは筐体2との固定には寄与しないものの、一列に配置されるコンデンサ相互の固定は行っており、ユニット全体の耐振動性強化に寄与している。
【0032】
図1〜3に示す符号7は筐体2の取付け部を示す。本実施例のコンデンサユニットは筐体2内に複数収められたコンデンサからなり、あらゆる場所に取付け部7を介して固定可能となっている。したがって、耐振動性に優れたコンデンサユニットを工作機械用や車載用の電源部において、所望の場所に取り付けることができる。
【実施例2】
【0033】
図4及び図5を用いて実施例2のコンデンサユニットを説明する。なお、実施例1と共通の構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0034】
実施例2のコンデンサユニットは、互いに離間して配置された等しい極の端子(実施例では正極)を短絡する第二のブスバー4bを接続した構造としている。そして、第二のブスバー4bが第一のブスバー3bと絶縁距離を取りつつ、覆う形となっており、対極のブスバーを積層させることによる低インダクタンス構造としている。本実施例において対極のブスバー同士の絶縁距離が保てない場合は、絶縁紙を使用して絶縁を図ってもよく、同様の効果が得られる。
【0035】
なお、図4では三本脚のコンデンサ取付けバンド6を用いて固定している。第二のブスバー4bにおいて、第一のブスバー3bの上方を覆う部分に開口部を設け、これを第一のブスバー3bの開口部と開口を合わせることにより、実施例1と同様にコンデンサの下部の取付けが可能である。しかし、第二のブスバー4bが第一のブスバー3bを覆う構成とした結果として、実施例1のような開口部が十分に利用できない場合も生じ得る。
【0036】
このときは、図5にあるような筐体底面にコンデンサ取付けガイドライン9を設けて、コンデンサの配置を行う手段を用いても良い。耐振動性をより強く持たせるか、そうでないかによって、目的に応じた最良の構造を選択できる。
【実施例3】
【0037】
図6を用いて実施例3を説明する。図6は実施例3の省スペース配置方法におけるコンデンサユニットの構造図である。実施例1、2と共通の構成については同一符号を付して説明は省略する。
【0038】
実施例3のコンデンサユニットは、コンデンサ1の配置をいわゆる千鳥状に、互い違いに配置した省スペースの配置方法としている。この結果、大容量化及び省スペース化が可能である。この配置方法においても隣り合う列において、互いに同極の端子が対向するようにコンデンサを整列させる。図6に示す例では、図中、上方に配置される第一のブスバー3は負極(−極)、下方に配置される第一のブスバー3は正極(+極)を固定している。
【0039】
本実施例でも耐振動性を付加した構造となっている点は既述の実施例と共通する。ただし、省スペース配置としたため、各列の長手方向端部に配置されるコンデンサの位置が、隣り合う列の端部のコンデンサと揃わないこととなる。図6では中間列の端部がコンデンサ半径分だけ突出した配置となる。
【0040】
そこで、本構造では第一のブスバー3aと筐体2を固定する絶縁端子台5の位置を実施例1、2より高くして、コンデンサが絶縁端子台の下まで配置できる構造とする。そのため、筐体との固定を兼ねる第一のブスバー3にR曲げを入れて絶縁端子台まで伸ばして固定する。図6の吹出し部分に示したように、第一のブスバー3の両端側に上方に向かった折り曲げ形状を施し、第一のブスバー3の上方延伸部を突起部8よりも高い位置まで延伸する。この結果、突起部8の上方でラップするように第一のブスバー3の端部を構成することができる。但し、第一のブスバー3にR曲げを入れて縦方向に伸ばしている部位と、突起部8は絶縁距離を保っているものとする。
【0041】
また、中間列のコンデンサを突出させる配置とすることで、端列(図6では、図中の上列と下列)の筐体角部近傍に余剰スペースが生じる。したがって、筐体底部に、筐体取付け部7bを設けて本ユニットを外部装置に固定できる構造とし、余った筐体底部のスペースを有効に活用することができる。もちろん、実施例1、2のように外部装置との固定に、筐体底部のフランジ形状を施して設けた筐体取付け部7aの形状を用いても良い。
【0042】
上記の実施例1〜3は互いに採用し得る範囲内で適宜必要な構成を採ることができ、これによって目的に応じたコンデンサユニットを提供することができる。
【実施例4】
【0043】
図7を用いて本発明の実施例4を説明する。実施例4は電動機駆動装置に係り、図4は本実施例の電動機駆動装置の説明図である。本実施例の電動機駆動装置14は、三相交流電源15からの交流電圧を整流して直流電圧に変換するコンバータ部11と、コンバータ部11で変換された直流電圧を、図示しない制御装置からの指令によって所望の周波数の交流電圧に変換するインバータ部12とを備えている。したがって、本実施例の電動機駆動装置によって駆動される電動機は、インバータ部12からの出力周波数によって回転数が制御される。
【0044】
コンバータ部11とインバータ部12の間にはコンバータ部11で変換された直流電圧を平滑するコンデンサを備えている。このコンデンサは、用途によって大容量の電解コンデンサが必要とされ、使用環境に応じて、耐振動性が求められる。
【0045】
本実施例では、実施例1〜3のコンデンサユニットを用いることによって、過酷な環境下でも使用可能な電動機駆動装置を提供することができる。
【実施例5】
【0046】
図8を用いて本発明の実施例5を説明する。実施例5は電動機駆動システムに係り、図8は本実施例の電動機駆動装置の説明図である。本実施例の電動機駆動システムは、三相交流電源15からの交流電圧を、図示しない制御装置からの指令によって所望の周波数の交流電圧に変換して出力する電動機駆動装置14を複数備えて構成される。したがって、本実施例の電動機駆動装置によって駆動される電動機16a、16bは、それぞれの電動機駆動装置14a、14bによって回転数が制御される。
【0047】
本実施例では、電動機駆動装置14a、14bが直流ライン17に複数台接続されている状態で、直流ライン17にコンデンサユニット13を並列に複数台接続して構成される。したがって、電動機16a、16bの運転状態に応じ、これらの電動機から発生する回生エネルギーをコンデンサユニット13によって吸収することができる。
【0048】
本実施例の電動機駆動システムは、必要に応じた数の電動機で構成することが可能であるが、電動機数が多くなるとコンデンサユニット13の大容量化が必要となる。実施例1〜3のコンデンサユニットを用いることで、あらゆる環境で使用可能な電動機駆動システムを提供することができる。
【実施例6】
【0049】
図9を用いて本発明の実施例6を説明する。実施例6は電源装置に係り、図9は本実施例の電源装置の説明図である。本実施例の電源装置は、負荷装置19に対して電源を供給するものであり、電源装置に充電する充電用電源18と接続可能としている。負荷装置19に応じて、電源装置に大出力化が求められるが、本実施例では実施例1〜3のコンデンサユニットを用いることによって(符号13参照)、負荷装置19の容量に応じた電源装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0050】
1・・・コンデンサ、2・・・筐体、3(3b)・・・第一のブスバー、4(4b)・・・第二のブスバー、5・・・絶縁端子台、6・・・コンデンサ取付けバンド、7(7b)・・・筐体取付け部、8・・・突起部、9・・・コンデンサ取付けガイドライン、10・・・三相交流電源、11・・・コンバータ部、12・・・インバータ部、13・・・コンデンサユニット、14(14a、14b)・・・電動機駆動装置、15・・・三相交流電源、16(16a、16b)・・・電動機、17・・・直流ライン、18・・・バッテリー充電用電源、19・・・負荷装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面に正負両極の端子を有する複数のコンデンサを筐体内に備え、この複数のコンデンサの同極が対向するように並列に配置されるコンデンサユニットにおいて、
対向して配置される同極の端子を短絡させる第一のブスバーと、
互いに離れて配置される前記同極の端子と異極の端子を短絡させる第二のブスバーとを備え、
前記第一のブスバーは、前記筐体と絶縁固定されるコンデンサユニット。
【請求項2】
前記筐体は、前記複数のコンデンサが配置されるコンデンサ配置部を覆うとともに内側壁面から前記コンデンサ配置部に突出する突起部を備え、
前記第一のブスバーは前記内側壁面と絶縁可能な空間を隔てて配置されるとともに前記突起部とは互いにラップするように設けられ、前記第一のブスバーと前記突起部との間に絶縁端子台を備えた請求項1記載のコンデンサユニット。
【請求項3】
前記コンデンサは前記一面が上部となるように前記筐体の底面に載置され、前記コンデンサの下部と前記筐体の底面とを固定するための取付脚を有し、
前記第一のブスバーに、コンデンサ下部の取付脚の上方を開放する開口部を備えた請求項2記載のコンデンサユニット。
【請求項4】
前記第二のブスバーは、前記第一のブスバーを覆う一部材で構成され、
前記第一のブスバーと前記第二のブスバーとは絶縁されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサユニット。
【請求項5】
前記第一のブスバーと前記第二のブスバーとの間は、絶縁可能な距離を隔てられることを特徴とする請求項4記載のコンデンサユニット。
【請求項6】
前記第一のブスバーと前記第二のブスバーとの間に絶縁紙を有することを特徴とする請求項4記載のコンデンサユニット。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに該当する構造をもつコンデンサユニットを、充放電バッテリーとして構成される電源装置。
【請求項8】
交流電源の交流電圧を整流して直流電圧に変換するコンバータ部と、前記コンバータ部の直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部と、このコンバータ部の直流電圧を平滑するコンデンサと、を備え、
前記コンデンサは、一面に正負両極の端子を有し、一の筐体内に同極が対向するように並列に配置されたコンデンサユニットにより構成され、
このコンデンサユニットは、対向して配置される同極の端子を短絡させる第一のブスバーと、互いに離れて配置される前記同極の端子と異極の端子を短絡させる第二のブスバーとを備え、
前記第一のブスバーは、前記筐体と絶縁固定されることを特徴とする電動機駆動装置。
【請求項9】
交流電源の交流電圧を整流して直流電圧に変換するコンバータ部と、前記コンバータ部の直流電圧を交流電圧に変換するインバータ部と、前記インバータ部からの出力によって回転数が制御されて駆動する電動機と、このコンバータ部の直流電圧を平滑するコンデンサと、前記電動機で発生する回生電力を吸収する充電装置とを備え、
前記充電装置は、一面に正負両極の端子を有し、一つの筐体内に同極が対向するように並列に配置されたコンデンサユニットにより構成され、
このコンデンサユニットは、対向して配置される同極の端子を短絡させる第一のブスバーと、互いに離れて配置される前記同極の端子と異極の端子を短絡させる第二のブスバーとを備え、
前記第一のブスバーは、前記筐体と絶縁固定されることを特徴とする電動機駆動システム。
【請求項10】
複数の電動機駆動装置及び複数の電動機が接続された電動機駆動システムにおいて、前記コンデンサユニットが電動機駆動装置の直流ラインに単数または複数台並列に接続されて構成されることを特徴とする請求項9記載の電動機駆動システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−199463(P2010−199463A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45051(P2009−45051)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】