説明

コンデンサ及びその製造方法

【課題】コンデンサの低抵抗化、接続構造の堅牢化とともに、接続工程の簡略化を図る。
【解決手段】コンデンサ素子(4)と、コンデンサ素子を収容するケース部材を封口する封口部材(封口板22)と、コンデンサ素子の陽極体から素子端面に引き出され、該素子端面に形成された陽極部(6)と、コンデンサ素子の陰極体から素子端面に引き出され、素子端面に形成された陰極部(8)と、封口部材に設置された陽極端子(10)又は該陽極端子を含む陽極端子部材と、封口部材に設置された陰極端子(14)又は該陰極端子を含む陰極端子部材と、陽極部に接続されるとともに陽極端子又は陽極端子部材に接続された陽極集電板(12)と、陰極部に接続されるとともに陰極端子又は陰極端子部材に接続された陰極集電板(16)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンデンサ素子と外部端子との間の接続に関し、例えば、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサ等のコンデンサに用いられる接続構造及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層コンデンサ又は電解コンデンサでは、素子と外部端子とを電気的に接続することが必要である。この電気的な接続により、素子側の内部抵抗の低減や、接続部分の接触抵抗を低減させる対策が施されている。
【0003】
このような電気的接続に関し、素子の端面に集電端子を設けること(例えば、特許文献1)、巻回素子の一方の端面に陽極集電板、他方の端面に陰極集電板を設けること(例えば、特許文献2)、巻回素子の端面に露出した集電箔を覆って集電板を備え、集電板と集電箔とを溶接接続すること(例えば、特許文献3)、また、集電板を外装ケースと素子との接続や外部端子との接続に用いること(例えば、特許文献4)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−219857公報
【特許文献2】特開2001−068379公報
【特許文献3】特開2007−335156公報
【特許文献4】特開2010−093178公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、巻回型素子の各端面に集電体を備える構成では、巻回素子を外装する外装部材に陽極側及び陰極側の外部端子を隣接して設置した場合には、各外部端子と集電体との間に接続距離を確保する必要がある。また、巻回型素子では、内側部分と外側部分との間で内部抵抗の分布が異なるため、その対策が必要となり、素子と集電体との接続に注意を払う必要がある。また、集電体を用いた構造では素子の内部抵抗を低減できるが、外部端子と素子との間に介在する集電体に製造途上で加わる応力によっては接続の信頼性低下や接続抵抗が大きくなる場合がある。
【0006】
斯かる要求や課題について、特許文献1〜4にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、コンデンサの低抵抗化、接続構造の堅牢化とともに、接続工程の簡略化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサは、陽極体と陰極体とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収容するケース部材を封口する封口部材と、前記コンデンサ素子の陽極体から素子端面に引き出され、該素子端面に形成された陽極部と、前記コンデンサ素子の陰極体から前記陽極体と同一の素子端面に引き出され、前記素子端面に形成された陰極部と、前記封口部材に設置された陽極端子部材と、前記封口部材に設置された陰極端子部材と、前記陽極部に接続されるとともに前記陽極端子部材に接続された陽極集電板と、前記陰極部に接続されるとともに前記陰極端子部材に接続された陰極集電板とを備える。
【0009】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサにおいて、前記陽極端子部材に前記陽極集電板と近接する接続部を備えて該接続部と前記陽極集電板との接続、又は、前記陰極端子部材に前記陰極集電板と近接する接続部を備えて該接続部と前記陰極集電板との接続の何れか一方又は双方に溶接接続を用いてもよい。
【0010】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサにおいて、前記コンデンサ素子の前記同一端面上に前記陽極部と前記陰極部とを絶縁する絶縁間隔を設定してもよい。
【0011】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサにおいて、前記陽極部又は前記陰極部は、前記コンデンサ素子の巻回中心部に向けて素子端面上に圧縮成形され、その圧縮成形部位に配置された前記陽極集電板又は前記陰極集電板と溶接してもよい。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサの製造方法は、陽極体と陰極体とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程と、前記コンデンサ素子の陽極体から引き出し、素子端面に陽極部を形成する工程と、前記コンデンサ素子の陰極体から引き出し、前記陽極体と同一の素子端面に陰極部を形成する工程と、コンデンサ素子を収容するケース部材を封口する封口部材に設置された陽極端子部材と前記陽極部とを陽極集電板を介在させて接続する工程と、前記封口部材に設置された陰極端子部材と前記陰極部とを陰極集電板を介在させて接続する工程とを含んでいる。
【0013】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサの製造方法において、前記陽極集電板と前記陽極部、又は前記陰極集電板と前記陰極部をレーザ溶接により接続する工程と、前記陽極集電板と前記陽極端子部材、又は前記陰極集電板と前記陰極端子部材をレーザ溶接により接続する工程とを含んでもよい。
【0014】
上記目的を達成するためには、上記コンデンサの製造方法において、前記陽極端子部材と前記陽極集電板とに近接する接続部を設定してレーザ溶接により接続する工程、又は、前記陰極端子部材と前記陰極集電板とに近接する接続部を設定してレーザ溶接により接続する工程を含んでもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のコンデンサ又はその製造方法によれば、次の何れかの効果が得られる。
【0016】
(1) 巻回コンデンサ素子の同一端面に引き出された陽極部及び陰極部と、外装部材にある陽極端子部材及び陰極端子部材との間に個別に集電板を備えて接続したので、コンデンサ素子の低抵抗化を図ることができる。
【0017】
(2) 巻回コンデンサ素子の同一端面に引き出された陽極部及び陰極部と、外装部材にある陽極端子部材及び陰極端子部材との間に個別に集電板を備えた接続構造であるから、陽極端子部材と陽極部、陰極端子部材と陰極部との接続構造を堅牢化できる。
【0018】
(3) 上記構造により、集電板を介在させて陽極端子部材と陽極部又は陰極端子部材と陰極部との接続が簡易化でき、接続工程の簡略化を図ることができる。
【0019】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態に係る電気二重層コンデンサの一例を示す平面図である。
【図2】電気二重層コンデンサを示す分解斜視図である。
【図3】一部を分解したコンデンサ素子の一例を示す斜視図である。
【図4】コンデンサ素子上の集電板の配置例を示す図である。
【図5】集電板及びコンデンサ素子を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る電気二重層コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【図7】コンデンサ素子と集電板の接続工程を示す図である。
【図8】外装端子と集電板の接続工程を示す図である。
【図9】コンデンサ素子、集電板及び外部端子の接続状態を示す図である。
【図10】第3の実施の形態に係る電気二重層コンデンサの一例を示す図である。
【図11】第4の実施の形態に係る電気二重層コンデンサの一例を示す図である。
【図12】コンデンサ素子の接続構造を示す図である。
【図13】他の実施の形態に係るコンデンサ素子の陽極部及び陰極部と集電板の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1の実施の形態〕
【0022】
本発明の第1の実施の形態について、図1及び図2を参照する。図1は電気二重層コンデンサの一例を示す縦断面を示し、図2は分解した電気二重層コンデンサの一例を示している。
【0023】
この電気二重層コンデンサ2は、本発明のコンデンサ及びその製造方法の一例であって、図1に示すように、この電気二重層コンデンサ2には、コンデンサ素子4の同一の素子端面に陽極部6と陰極部8が形成されている。陽極部6には陽極端子10が陽極集電板12を介在させて接続され、また、陰極部8には陰極端子14が陰極集電板16を介在させて接続されている。これらの接続には例えば、レーザ溶接や電子ビーム溶接が用いられ、18は溶接接続部分の一例である。また、陽極端子10及び陰極端子14は外部接続のための端子部材であって、陽極端子10は陽極端子部材の一例、陰極端子14は陰極端子部材の一例である。
【0024】
コンデンサ素子4は円筒体であって、一方の素子端面より、陽極体60(図3)を引き出して陽極部6が形成され、陰極体80(図3)を引き出して陰極部8が形成されている。また、コンデンサ素子4の周囲には保持テープ19が巻回され、陽極体60や陰極体80の巻き戻りが防止されている。
【0025】
コンデンサ素子4の外装部材として外装ケース20及び封口板22が備えられ、外装ケース20は例えばアルミニウム等の成形性のある金属材料からなる成形体である。封口板22は外装ケース20の開口部を閉止し、空間部24の気密性を保持する手段であるとともに、陽極端子10及び陰極端子14を固定する固定部材であり、コンデンサ素子4の支持部材を構成する。この実施の形態では、封口板22にベース部26と、封止部28とが備えられる。ベース部26は絶縁材料である例えば、合成樹脂で形成され、陽極端子10及び陰極端子14が固定されるとともに、絶縁されている。封止部28は密閉性の高い材料例えば、ゴム環で構成されている。
【0026】
この封口板22は、外装ケース20の開口部30(図2)に挿入されるとともに、開口部30側の中途部に形成された加締め段部32に位置決めされている。外装ケース20の開口端部34は、カーリング処理により加締められ、封止部28に食い込ませられている。これにより、外装ケース20が強固に封止されている。そして、封口板22のベース部26には、図2に示すように、透孔36が形成されるとともに、薄ゴムからなる圧力開放機構38が形成されている。
【0027】
次に、コンデンサ素子4について、図3を参照する。図3は一部を分解して示したコンデンサ素子を示している。
【0028】
このコンデンサ素子4は、図3に示すように、陽極体60と、陰極体80と、セパレータ40、42とを備え、陽極体60と陰極体80との間には両者間を絶縁するセパレータ40、42のそれぞれが挟み込まれて巻回され、円筒状の巻回素子を構成している。陽極体60及び陰極体80にはベース材に例えば、アルミニウム箔が用いられ、このアルミニウム箔の両面に活性炭等の活物質及び結着剤等を含む分極性電極が形成されている。
【0029】
また、このコンデンサ素子4では、同一端面側に形成された陽極部6と陰極部8との間には一定幅の絶縁間隔44が設けられている。陽極部6は例えば、陽極体60の基材で形成され、同様に陰極部8も陰極体80の基材で形成されている。陽極体60及び陰極体80がアルミニウムで形成される場合、陽極部6及び陰極部8は、分極性電極を形成していないアルミニウム面を露出させた基材部である。
【0030】
陽極部6又は陰極部8の形成部は、絶縁手段であるセパレータ40、42の幅Wより大きく設定され、各陽極部6又は陰極部8の円弧長に対応する長さLに形成されている。
【0031】
そして、コンデンサ素子4の陽極部6又は陰極部8は、陽極集電板12又は陰極集電板16との接続前に、図2(又は図5のB)に示すように、加工してコンデンサ素子4の素子端面に密着状態に形成される。
【0032】
次に、陽極集電板12、陰極集電板16、コンデンサ素子4の陽極部6及び陰極部8について、図4及び図5を参照する。図4はコンデンサ素子の素子端面上の陽極集電板及び陰極集電板の配置を示し、図5は陽極集電板、陰極集電板、陽極部及び陰極部の形態の一例を示している。
【0033】
陽極集電板12及び陰極集電板16は図4に示すように、コンデンサ素子4の一端面に配置され、陽極部6と陰極部8との間の絶縁間隔44に対応した間隔46を設けて配置される。
【0034】
陽極集電板12及び陰極集電板16は図5のAに示すように、コンデンサ素子4の素子端面を二分する半円形状であり、各陽極集電板12及び陰極集電板16の図中上側には、端子接続部48が形成され、その背面側には陽極部6又は陰極部8を接続するための素子接続部50が形成されている。素子接続部50は平坦面であるとともに、複数の溝部52が中心から放射状に形成されている。各溝部52は陽極部6又は陰極部8にある突条部54を収容する空間部を形成している。
【0035】
各突条部54は、コンデンサ素子4の陽極部6又は陰極部8に切込みを入れ、圧縮成形した際に、切込み部分に各陽極部6又は陰極部8の重なりによって生じた線状の突部である。コンデンサ素子4の陽極部6及び陰極部8は、このようにコンデンサ素子4の中心方向に向かって陽極部6及び陰極部8全体を圧縮成形することで、高さ寸法を抑制できる。この実施の形態では、陽極部6及び陰極部8は切込みにより、各3分割された中央部より圧縮成形し、その後端部側を順次圧縮成形することで、重なりによって生じた線状の突条部54の高さ寸法を抑制している。そして、陽極集電板12又は陰極集電板16の素子接続部50に形成された溝部52には各突条部54が収容されるので、素子接続部50には陽極部6又は陰極部8を密着させ、両者を密着状態で溶接し、電気的に接続することができる。
【0036】
陽極部6と陽極集電板12、又は陰極部8と陰極集電板16との各接続について詳述すると、図5に示すように、陽極集電板12及び陰極集電板16が、圧縮成形された陽極部6及び陰極部8に配置され、図4に示すように、押圧されて密着される。既述の通り、陽極集電板12又は陰極集電板16の溝部52には陽極部6及び陰極部8の各突状部54が収納されて、素子接続部50が密着される。この状態で、陽極集電板12又は陰極集電板16の素子接続部50に対応する上面側からレーザを照射することで、素子接続部50及び陽極部6、陰極部8を溶融させて接続する。
【0037】
レーザ照射の部位は、この実施の形態では、図4に示すように、陽極集電板12及び陰極集電板16の溝部52と隔てた両端側の素子接続部50の各2箇所である。59がレーザ照射接続部である。この場合、レーザ照射は、図4のレーザ照射接続部59に付した矢印(1) 、(2) 、(3) 及び(4) で示すように、
【0038】
(1) コンデンサ素子4の外周側より、素子中心に向かって直線状に一方の集電板12に照射し、
【0039】
(2) 次に、素子中心を隔てて対向する他方の集電板16に素子中心側より、素子外周側に向かって直線上にレーザ照射することにより、一連の動作にて溶接される。
【0040】
また、同じく、レーザ照射は、
【0041】
(3) コンデンサ素子4の外周側より、素子中心に向かって直線状に一方の集電板12に照射し、
【0042】
(4) そして、素子中心を隔てて対向する他方の集電板16に素子中心側より、素子外周側に向かって直線上にレーザを照射する一連の動作にて溶接される。
【0043】
このように、素子中心を隔てて直線状にレーザ照射する一連の動作にて、陽極部6と陽極集電板12、陰極部8と陰極集電板16とが接続される。なお、レーザ照射の(1) 及び(2) の一連の動作を2回繰り返す。又は、レーザ照射の(1) ないし(4) の一連の動作を2回繰り返し、近傍に溶接部を配することで接続抵抗を更に低減することも可能である。レーザ照射の(1) 及び(2) の一連の動作にて接続することも可能であるが、陽極集電板12、陰極集電板16の各素子接続部50を、それぞれ素子中心側より素子外周側に向かって直線上に照射する等、個別に接続することもできる。
【0044】
また、レーザ照射の(1) ないし(4) の連続動作について、同一箇所を連続してレーザ照射するのではなく、レーザ溶接を(1) から(4) で行い、その後、再び(1) から(4) にレーザ照射すれば、同一箇所のレーザ照射に時間間隔を設けることができ、この結果、レーザ照射箇所の冷却化を図ることができ、レーザ溶接による接続の安定化が図られる。また、同一箇所に時間間隔を設けて複数回のレーザ照射を行うことも可能であるが、1回目のレーザ溶接を(1) から(4) で行い、再びレーザ溶接を(1) から(4) で行うので、冷却間隔を取りながら、レーザ照射を連続的に行うことができ、レーザ照射溶接時間の短縮化を図ることができる。
【0045】
ここで、図5に示すように、陽極部6及び陰極部8は、所定の絶縁間隔44を設けてコンデンサ素子4の端面から導出している。陽極部6及び陰極部8には、中心方向に向かって圧縮成形した際に、陽極部6及び陰極部8が接触しない絶縁間隔44を設定しており、このため、コンデンサ素子4の中心部近傍では、陽極部6及び陰極部8を形成しない。また、陽極部6及び陰極部8は、その形成部位が多いほど(又は面積が大きいほど)、抵抗の低減につながるため、陽極部6及び陰極部8が接触せず、また、低抵抗化が図れる絶縁間隔44として、例えば、3〔mm〕〜10〔mm〕を設定している。また、コンデンサ素子4の最外周では、陽極部6及び陰極部8の圧縮成形時にずれ等が生じても陽極部6及び陰極部8が外装ケース20に接触しないように、陽極集電板12と接続された陽極部6及び陰極集電板16と接続された陰極部8の外周面に絶縁テープ等の絶縁手段を設置するとよい。
【0046】
そして、この実施の形態では、陽極端子10及び陰極端子14の外壁部にはレーザ溶接のための平坦接続面部55が形成されるとともに、陽極集電板12及び陰極集電板16にも平坦接続面部57が切欠きによって形成されている。これら平坦接続面部55、57は一致した面部を構成し、この境界近傍にレーザを照射し、平坦接続面部57、57を溶接し、図1に示すように溶接接続部分18を形成することになる。ここで、コンデンサ素子4と封口板22との間には僅かなスペースしかない。つまり、コンデンサ素子4と封口板22との間隔(距離)を長く取ると、その分抵抗が増えてしまうとともに、電気二重層コンデンサ2の高さ寸法が大きくなってしまうため、コンデンサ素子4と封口板22との間隔(距離)を極力短くしている。このような小スペースにおいて、陽極端子10及び陰極端子14と、陽極集電板12及び陰極集電板16とを接続するために、既述の通り、平坦接続面部55、57を一致した面部とし、この部位に局所的に溶接可能なレーザにて溶接することで溶接の簡易化及び強化が図られている。ここで、陽極集電板12及び陰極集電板16、陽極端子10及び陰極端子14の厚み(平坦接続面部55、57の高さ寸法)は、レーザ溶接が可能な寸法でかつ内部抵抗が増大され難く、また、電気二重層コンデンサ2の高さ寸法を短くするために、それぞれ0.5〔mm〕〜5〔mm〕の範囲で設定している。
【0047】
なお、平坦接続面部55、57は切欠きによって平面として構成しているが、これに限ることはなく、曲面でもよく、一致した面部とすればよい。また、平坦接続面部55、57は、レーザ照射の際に他の部材(陽極部6や陰極部8)への過剰なストレスを防ぐためにもコンデンサ素子4の外周面近傍に設置されることが好ましく、具体的には、コンデンサ素子4の外周面より、例えば、10〔mm〕以内とすることが好ましい。
【0048】
このように、コンデンサ素子4の陽極部6及び陰極部8と陽極集電板12及び陰極集電板16との接続部位と、陽極端子10と陰極端子14と陽極集電板12及び陰極集電板16との接続部位を、別途設定することで、レーザ溶接時の接続の安定性が向上する。
【0049】
以上説明した第1の実施の形態の電気二重層コンデンサ2の特徴事項や利点を列挙すれば以下の通りである。
【0050】
(1) コンデンサ素子4の一端面側に陽極体60の基材で陽極部6、陰極体80の基材で陰極部8が形成され、陽極部6と陽極端子10とが陽極集電板12を介して接続され、陰極部8と陰極端子14とが陰極集電板16を介して接続されるので、端子接続のシンプル化が図られている。しかも、接続を容易化することができる。
【0051】
(2) 外装ケース20の空間部24内に接続部の占める空間専有率が極めて低い。
【0052】
(3) 外装部材である封口板22には、コンデンサ素子4が強固に支持されている。即ち、陽極端子10及び陰極端子14に陽極集電板12、陰極集電板16を介してコンデンサ素子4の陽極部6及び陰極部8のレーザ溶接により、強固に固定されるので、コンデンサ素子4の支持強度が高められている。この結果、機械的に堅牢な支持構造が構成され、製品の耐震性を高めることができる。
【0053】
(4) 巻回素子であるコンデンサ素子4に巻回されている陽極体60から複数の側縁部を集合させて陽極部6が形成され、この陽極部6を陽極集電板12にレーザ溶接し、同様に、陰極体80から複数の側縁部を集合させて陰極部8が形成され、この陰極部8を陰極集電板16にレーザ溶接しているので、コンデンサ素子4及び電気二重層コンデンサ2の低抵抗化を図ることができ、等価直列抵抗の低い製品を提供できる。
【0054】
(5) 陽極集電板12及び陰極集電板16を用いたので、コンデンサ素子4にタブを接続する必要がない。
【0055】
〔第2の実施の形態〕
【0056】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図6を参照する。図6は、第2の実施の形態に係る電気二重層コンデンサの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【0057】
この製造工程は、本発明のコンデンサの製造方法の一例であって、図6に示すように、コンデンサ素子4を形成し(ステップS11)、コンデンサ素子4の陽極部6及び陰極部8を図5のBに示すように、成形する(ステップS12)。
【0058】
図7のAに示すように、コンデンサ素子4の陽極部6に陽極集電板12、コンデンサ素子4の陰極部8に陰極集電板16を各溝部52に突条部54が挿入されるように位置決めし、陽極部6に陽極集電板12をまた、陰極部8に陰極集電板16をそれぞれレーザ溶接により接続する(ステップS13)。図7のBにおいて、56は既述の溶接接続部分18と同様のレーザ溶接による溶接接続部分である。
【0059】
陽極部6に接続された陽極集電板12に封口板22にある陽極端子10を各平坦接続面部55、57(図4)を一致させてレーザ溶接により接続し、同様に、陰極部8に接続された陰極集電板16に封口板22の陰極端子14をレーザ溶接により接続する(ステップS14)。
【0060】
この実施の形態では、図8に示すように、コンデンサ素子4の陽極部6に接続された陽極集電板12に対して封口板22の陽極端子10を位置決めし、同時にコンデンサ素子4の陰極部8に接続された陰極集電板16に対して封口板22の陰極端子14を位置決めすることにより、図9に示すように、それぞれをレーザ溶接する。18、56は既述の溶接接続部分である。
【0061】
なお、封口板22は陽極端子10及び陰極端子14のインサートにより合成樹脂を成形(インサート成形)し、これによりベース部26及び封止部28が形成される。
【0062】
そして、コンデンサ素子4は、電解液を含浸した後、外装ケース20に収容し、外装ケース20の開口端部34のカーリング処理により封止し(ステップS15)、製品である電気二重層コンデンサ2を完成する。
【0063】
このような製造工程によれば、既述の電気二重層コンデンサ2を容易に製造でき、端子接続工程の簡略化を図ることができる。
【0064】
〔第3の実施の形態〕
【0065】
本発明の第3の実施の形態について、図10を参照する。図10は第3の実施の形態に係るコンデンサの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【0066】
この製造工程は、本発明のコンデンサの製造方法の一例であって、図10に示すように、コンデンサ素子4を形成し(ステップS21)、コンデンサ素子4の陽極部6及び陰極部8を成形する(ステップS22)。
【0067】
この実施の形態では、封口板22の陽極端子10と陽極集電板12とをレーザ溶接により接続する。また、封口板22の陰極端子14と陰極集電板16とをそれぞれの平坦接続面部55、57を一致させてレーザ溶接により接続する(ステップS23)。
【0068】
また、陽極集電板12にコンデンサ素子の陽極部6、同様に、陰極集電板16にコンデンサ素子4の陰極部8を位置決めし、それぞれをレーザ溶接により接続する(ステップS24)。
【0069】
封口板22にある陽極端子10に陽極集電板12、陰極端子14に陰極集電板16を先に接続して封口板22に一体化した後、陽極集電板12をコンデンサ素子4の陽極部6に、陰極集電板16をコンデンサ素子4の陰極部8にそれぞれ位置決めし、レーザ溶接をする。
【0070】
そして、コンデンサ素子4は、電解液を含浸した後、外装ケース20に収容し、外装ケース20の開口端部34のカーリング処理により封止し(ステップS25)、電気二重層コンデンサ2を完成する。
【0071】
斯かる構成によれば、封口板22に陽極集電板12及び陰極集電板16を一体化でき、コンデンサ素子4側の接続や位置決めを容易化することができる。
【0072】
〔第4の実施の形態〕
【0073】
本発明の第4の実施の形態について、図11及び図12を参照する。図11は第4の実施の形態に係る電気二重層コンデンサを示し、図12はコンデンサ素子の接続構造を示している。
【0074】
この第4の実施の形態では、図11に示すように、陽極端子部材として陽極端子10とともに陽極接続板62、陰極端子部材として陰極端子14とともに陰極接続板64を備えた構成である。陽極接続板62は陽極端子10にレーザ溶接により接続された後、コンデンサ素子4側の陽極集電板12に接続される。同様に、陰極接続板64は陰極端子14にレーザ溶接により接続された後、コンデンサ素子4側の陰極集電板16に接続される。陽極接続板62には陽極端子10を位置決めして接続する接続用凹部66、陰極接続板64には陰極端子14を位置決めして接続する接続用凹部68が形成されている。
【0075】
このような陽極接続板62及び陰極接続板64を用いた構成では、図12に示すように、外部端子である陽極端子10、陰極端子14と、コンデンサ素子4側に接続された陽極集電板12、陰極集電板16との接続が広範囲に行われ、接続抵抗を低減でき、しかも接続強度を高めることができる。
【0076】
〔他の実施の形態〕
【0077】
(1) 上記実施の形態では、陽極集電板12、陰極集電板16に平坦な素子接続部50を形成したが、図13のAに示すように、コンデンサ素子4側に例えば、60度範囲で突出する平坦面を持つ突出面部70と、この突出面部70を挟んで後退した凹面部72とを備えてもよい。
【0078】
また、コンデンサ素子4側の端面には、図13のBに示すように、陽極部6、陰極部8に例えば、60度範囲で窪ませた凹部74と、この凹部74を挟んで突出させた突部76とを備え、凹部74は、陰極部又は陽極部が形成されていない部位、突部76は、コンデンサ素子4の中心方向に向かって圧縮成形される部位に設定してもよい。突部76は、図13のCに示すように、コンデンサ素子4の中心方向に向かって圧縮成形される。そして、上記実施の形態と同様に、陽極部6と陽極集電板12、陰極8と陰極集電板16とをレーザ溶接により接続し、合体させてもよい。
【0079】
(2) 陽極部6や陰極部8は、各集電体12、16とのレーザ溶接部(溶接接続部分56)に対応する部位のみ、コンデンサ素子4から張り出させて圧縮成形して平坦化し、外部端子(陽極端子10又は陰極端子14)との接続部位に対応するコンデンサ素子4の部位には陽極部6や陰極部8を形成しない構成としてもよい。第1の実施の形態では、図5に示すように、陽極部6、陰極部8の全面を圧縮成形しているが、外部端子(陽極端子10又は陰極端子14)と接続する集電板(陽極集電板12又は陰極集電板16)は、集電板と外部端子とを隙間なく当接させ、陽極部6、陰極部8と、集電板12、16とのレーザ溶接を行わない部位を介在させてもよい。
【0080】
(3) 上記実施の形態では、電気二重層コンデンサ2を例示したが、本発明はこれに限定されない。同一の構造及び方法は、電解コンデンサにも同様に適用でき、同様の効果が得られる。
【0081】
(4) 第1の実施の形態では端子部材として、陽極端子10及び陰極端子14を例示しているが、これに限定されない。第4の実施の形態に例示したように、陽極端子10に陽極接続板62、陰極端子14に陰極接続板64を併用してもよい。
【0082】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明のコンデンサ及びその製造方法は、端子接続構造や接続工程の簡略化に寄与し、生産性や信頼性を高めることができ、有益である。
【符号の説明】
【0084】
2 電気二重層コンデンサ
4 コンデンサ素子
6 陽極部
60 陽極体
8 陰極部
80 陰極体
10 陽極端子
12 陽極集電板
14 陰極端子
16 陰極集電板
18、56 溶接接続部分
19 保持テープ
20 外装ケース
22 封口板
24 空間部
26 ベース部
28 封止部
32 加締め段部
34 開口端部
36 透孔
38 圧力開放機構
44 絶縁間隔
46 間隔
48 端子接続部
50 素子接続部
55 平坦接続面部
57 平坦接続面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極体と陰極体とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子を収容するケース部材を封口する封口部材と、
前記コンデンサ素子の陽極体から素子端面に引き出され、該素子端面に形成された陽極部と、
前記コンデンサ素子の陰極体から前記陽極体と同一の素子端面に引き出され、前記素子端面に形成された陰極部と、
前記封口部材に設置された陽極端子部材と、
前記封口部材に設置された陰極端子部材と、
前記陽極部に接続されるとともに前記陽極端子部材に接続された陽極集電板と、
前記陰極部に接続されるとともに前記陰極端子部材に接続された陰極集電板と、
を備えたことを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記陽極端子部材に前記陽極集電板と近接する接続部を備えて該接続部と前記陽極集電板との接続、又は、前記陰極端子部材に前記陰極集電板と近接する接続部を備えて該接続部と前記陰極集電板との接続の何れか一方又は双方に溶接接続を用いたことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記コンデンサ素子の前記同一端面上に前記陽極部と前記陰極部とを絶縁する絶縁間隔を設定したことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記陽極部又は前記陰極部は、前記コンデンサ素子の巻回中心部に向けて素子端面上に圧縮成形され、その圧縮成形部位に配置された前記陽極集電板又は前記陰極集電板と溶接されたことを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項5】
陽極体と陰極体とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を形成する工程と、
前記コンデンサ素子の陽極体から引き出し、素子端面に陽極部を形成する工程と、
前記コンデンサ素子の陰極体から引き出し、前記陽極体と同一の素子端面に陰極部を形成する工程と、
コンデンサ素子を収容するケース部材を封口する封口部材に設置された陽極端子部材と前記陽極部とを陽極集電板を介在させて接続する工程と、
前記封口部材に設置された陰極端子部材と前記陰極部とを陰極集電板を介在させて接続する工程と、
を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
【請求項6】
前記陽極集電板と前記陽極部、又は前記陰極集電板と前記陰極部をレーザ溶接により接続する工程と、
前記陽極集電板と前記陽極端子部材、又は前記陰極集電板と前記陰極端子部材をレーザ溶接により接続する工程と、
を含むことを特徴とする請求項5に記載のコンデンサの製造方法。
【請求項7】
前記陽極端子部材と前記陽極集電板とに近接する接続部を設定してレーザ溶接により接続する工程、又は、前記陰極端子部材と前記陰極集電板とに近接する接続部を設定してレーザ溶接により接続する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載のコンデンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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