コンバインの穀粒排出装置
【課題】トラックの下からでもトラックへの籾の排出状態が容易に確認でき、排出オーガの籾排出位置の移動制御も可能とし、穀粒排出作業の能率向上を図る。
【解決手段】穀粒排出オーガ(10)の排出口部(9)の上方に穀粒の排出状態を監視することのできるミラー(12)を設置する。また、穀粒排出オーガ(10)を、ミラー(12)に映し出される穀粒の排出状態を監視しながら無線操作用のリモコン操作手段(15)によって移動操作できる構成とする。また、排出口部(9)を下向き姿勢と上向き姿勢とに姿勢変更可能に構成し、排出口部(9)を上向き姿勢に姿勢変更した場合に、該排出口部(9)の上側がミラー(12)によって覆い隠される構成とする。
【解決手段】穀粒排出オーガ(10)の排出口部(9)の上方に穀粒の排出状態を監視することのできるミラー(12)を設置する。また、穀粒排出オーガ(10)を、ミラー(12)に映し出される穀粒の排出状態を監視しながら無線操作用のリモコン操作手段(15)によって移動操作できる構成とする。また、排出口部(9)を下向き姿勢と上向き姿勢とに姿勢変更可能に構成し、排出口部(9)を上向き姿勢に姿勢変更した場合に、該排出口部(9)の上側がミラー(12)によって覆い隠される構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、グレンタンク内の穀粒を搬送して機外に排出するコンバインの穀粒排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、穀粒排出オーガの搬送終端部における排出口部を、収穫作業時での籾排出作業時には排出口が下向きとなるよう姿勢変更し、収穫作業以外の非排出作業時はその排出口が横向き或いは上向きとなるよう姿勢変更するようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−117964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
穀粒排出オーガからトラックへの籾排出時、作業者はトラックの下からでは高い位置にある荷台上の籾収納枠内への籾排出状態が確認し難い。
本発明の課題は、トラックの下からでもトラックへの籾の排出状態が容易に確認でき、排出オーガの籾排出位置の移動制御も可能とし、作業の高能率化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、グレンタンク(7)内の穀粒を搬送して機外に排出する穀粒排出オーガ(10)の排出口部(9)の上方に穀粒の排出状態を監視することのできるミラー(12)を設置してあることを特徴とするコンバインの穀粒排出装置としたものである。
【0005】
トラックへの籾排出時には、作業者はトラックの下からでもミラー12を見ながらトラックへの籾排出状態が容易に確認できる。従って、荷台所定箇所での籾排出量が満量になると排出オーガ10の移動制御によって他の排出位置へ容易に位置変更することができる。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記穀粒排出オーガ(10)を、ミラー(12)に映し出される穀粒の排出状態を監視しながら無線操作用のリモコン操作手段(15)によって移動操作できる構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの穀粒排出装置としたものである。
【0007】
トラックへの籾排出作業時には、トラックの下からでもリモコン操作手段15の操作により、排出オーガ10の上下、左右旋回並びに伸縮移動制御が行え、ミラー12によって籾の排出状態を監視しながら所定の排出位置にポジション制御することができる。
【0008】
請求項3記載の発明は、穀粒排出オーガ(10)の排出口部(9)を下向き姿勢と上向き姿勢とに姿勢変更可能に構成し、排出口部(9)を上向き姿勢に姿勢変更した場合に、該排出口部(9)の上側が前記ミラー(12)によって覆い隠される構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバインの穀粒排出装置としたものである。
【0009】
収穫作業時での籾排出作業時には、排出オーガ10の排出口9aを下向き姿勢とし、収穫作業時以外の非排出作業時には、排出口9aを上向き姿勢に姿勢変更して該排出口からの籾こぼれを防止することができる。上向き姿勢にある排出口9aの上側はミラー12によってカバーされているため、雨天時にあっても排出口からの雨水の侵入を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、穀粒排出オーガ10先端の排出口部9aの上方には、穀粒の排出状態を監視することのできるミラー12を設置してあるので、トラックへの籾排出時には、トラックの下からでも籾の排出状態が容易に確認でき、排出オーガの籾排出位置の移動制御が容易となり、作業の高能率化を図ることができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果を奏するものでありながら、トラックへの籾排出作業時には、トラックの下からでもリモコン操作手段15の操作により、穀粒排出オーガ10の上下、左右旋回並びに伸縮移動制御が行えるので、ミラー12によって常に籾の排出状態を監視しながら所定の排出位置へのポジション制御を容易に行うことができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、非作業時における穀粒排出オーガ10収納時には、排出口部9aを上向きに姿勢変更して籾こぼれを防止するものでありながら、その排出口部9aの上方を覆うミラー12が雨よけカバーを兼用することになり、雨天時にあっても排出口からの雨の侵入を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5や操作ボックス6等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンク7を装備している。
【0014】
グレンタンク7内の穀粒を機外に排出する穀粒排出装置は、タンク内の穀粒を揚上搬送する縦軸芯回りに旋回可能な揚上搬送オーガ8と、揚上搬送オーガからの穀粒を受け継いで機外側方に向けて搬送すると共に先端の排出口部9の出口9aから排出する穀粒排出オーガ10とからなる。
【0015】
穀粒排出オーガ10は、上下に昇降可能であり、揚上搬送オーガ8と共に左右の旋回が可能で、且つ搬送方向にも伸縮可能な構成になっており、操作具の操作で操作信号を制御装置に入力し、排出オーガを上下、左右及び伸縮移動させることによって穀粒の排出位置を任意の位置に制御する構成としている。また、排出オーガの排出位置制御は、後記する無線操作式リモコン操作手段(リモコン操作器)15によっても可能としている。
【0016】
排出オーガ先端の排出口部9は、出口9aが下向きとなる下向き姿勢(排出姿勢)と出口9aが上向きとなる上向き姿勢(収納姿勢)とに姿勢変更可能に構成してあり、排出オーガ10のオーガ筒10a回りに回動自在に装着している。また、この排出口部9は、排出オーガ10をオーガ受け具11に支持させたときの非排出作業時における収納位置では、例えば、検出スイッチ等の作動によってモータを駆動し排出口部が自動的に上向き姿勢となるよう構成することができ、また、排出オーガ10をオーガ受け具11から離して籾排出作業に移行するときの張出位置では、排出口部9が上向きから下向きとなる通常の排出姿勢に自動復帰するよう構成することもできる。
【0017】
排出オーガ10先端の排出口部9の上方位置には、タンク内の穀粒を機外のトラックT等の運搬車に排出するときに、機体の下から穀粒の排出状態を監視することのできるミラー12を設置してある。このミラー12は、排出口部9の上方を広く覆い隠すように前後左右に幅広く配置構成してあり、オーガ筒10aから突設する支持ステー13を介して装着支持している。
【0018】
前記リモコン操作器15のスイッチの配置構成は、図4に示すように、排出オーガ10の左右旋回動作を司る「左」「右」の各スイッチ16l,16r、上下動作を司る「上」「下」の各スイッチ17u,17d、伸縮動作を司る「伸」「縮」の各スイッチ18p,18s、排出のオンオフを司る「排出停止」スイッチ19、収納及び張出を司る「収納張出」スイッチ20を配置している。
【0019】
従って、タンク内の穀粒を排出オーガ10によってトラックの荷台上に排出するときには、コンバインの下から排出口部9上方のミラー12を見ながら穀粒の排出状態を確認し、リモコン操作器15のスイッチ操作で、排出オーガを上下動させたり、左右に旋回移動させたり、また、伸縮移動させることによって穀粒の排出位置を任意の位置に移動制御することができる。
【0020】
図5に示す実施例において、従来は、図5(イ)に示すように、排出オーガ10を最上げ収納位置から真下のオーガ受け具11に垂直に降下させていた。本例の排出オーガ10は、図5(ロ)に示すように、最上げ収納位置を(L)の範囲脱穀部側へずらして、これより右旋回をかけながら斜め下方に降下させてオーガ受け具に収納載置するように構成することで、排出オーガの降下経路とグレンタンクとの余裕空間が広く取れて両者の干渉を防止することができる。
【0021】
図6、図7に示す実施例は、運転席5前側のステップフロア21から上方に突設する左右のルーフフレーム22,22は、途中部で繋ぎ部材23で連結保持し、上端側をループ22aに形成すると共に後方へ水平状に折り曲げてルーフ取付部22b,22bとなし、運転席5の上方を覆うルーフ24は、真空成形又はブロー成形などによって構成すると共に、前記ルーフ取付部22bの水平部に載置して一体的に取り付ける構成としている。この構成によれば、比較的簡素で安価な簡易ルーフを提供することができる。また、このルーフ23にはワークランプ25を設けて該ランプの外装部26をルーフと一体成形するように構成することもできる。
【0022】
図8に示すように、エンジンEの外側部を覆うエンジンカバー27とエンジンの上方部に配置した運転席5とは、ハンドル部28の操作で軸芯P回りに揺動開閉する構成になっており、ラジエータステー29側とエンジンカバー27側とを結ぶワイヤ30によってエンジンカバーを開放状態にて吊持するようになっている。従って、エンジンカバーの開時には、運転席の重みも加わってワイヤとの連結部に多大の衝撃荷重が負荷され、エンジンカバーやラジエータステーの変形や破損を招く問題がある。本例では、ガスダンパー31のロッド先端部に前記ワイヤ30が係合するローラ32を設け、エンジンカバー「閉」時はガスダンパーが伸びており、「閉」から「開」にするとワイヤがローラ32を押すので、ガスダンパーを圧縮しながら「開」となる。従って、かかるガスダンパー31の作用により開時の衝撃荷重が吸収緩和されることになり、エンジンカバーやラジエータステー等の変形や破損を防止することができる。
【0023】
従来、クローラ式走行装置のトラックフレームの内側にノズルを配設し、駆動輪、従動輪、転輪等に水又はエアーを噴出させて洗浄するようにした技術は存在する。しかし、刈取作業に際しては、特に、湿田での走行時には、クローラの外周面に泥土が付着して持ち回りされることが多く、これが未刈地側に脱落して次行程での刈取作業に支障をきたす問題がある。本例は、図9に示すように、エアー又は水を噴出するノズル34を設置するにあたり、走行クローラ2の後部で、従動輪巻き掛け部にあってクローラ外周面に噴射する位置にノズル34,34を配設し、しかも、左右のノズル34,34は共に機体の内側に向けて噴出させるよう配置し、走行フレーム33に装着支持させてある。これによれば、クローラから落ちる泥土は、機体内側の左右クローラ間に落下するので、未刈地側外部への飛散がなく、次行程での刈取作業に支障をきたさない。なお、クローララグ2aを左右横方向に平行な構成とし、ノズルはラグ面に対し斜め上方から噴出する構成としておくと、ラグ面に付着する泥土が落ち易くなる。
【0024】
また、図10及び図11に示す実施例は、刈取作業後のクローラ清掃時にノズルを使用して洗浄する構成例を示したもので、左右前後のスタンド38…を起立させることによって走行クローラを持ち上げ状態とし、クローラを駆動回転させながらノズルから水をクローラ外周面に噴出させて洗浄する構成としている。かかる実施例では、ノズル34の支持アーム35を支軸36回りに上下揺動変位可能に構成し、クローラ清掃時には下方に押し下げ、非清掃時には上方に持ち上げてスプリング37の張圧力にて機体側に収納保持すべく構成している。また、図12に示す実施例は、垂直方向の起立姿勢と水平方向の機体側収納姿勢とに切替変更可能なスタンド38にノズル34を装着支持させた構成になっている。
【0025】
図13〜図16に示す実施例は、スタンドの支持構成を示すもので、走行フレーム33の前部位置で左右横方向にフロントビーム40を、後部位置で左右横方向にリヤビーム41を一体的に装着支持させて設け、ビーム40,41の左右端部に角穴42を設け、スタンド38の基端部を前記ビームの角穴42に対応一致する形状の角軸部43となし、スタンドを各ビームの角穴に嵌合挿入して起立姿勢と横向き収納姿勢とに切替変更できる構成としている。前後の各ビームは角チューブとし、スタンドの向きを90度変更して基端の角軸部をビームの角穴に差し替えることによって上記スタンドの姿勢変更が可能となり、起立姿勢での安定した支持構成が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインタンクからトラックへの穀粒排出状態を示す斜視図
【図3】穀粒排出オーガの要部の斜視図
【図4】リモコン操作器のスイッチ配置図
【図5】排出オーガ収納時の作用状態図(従来例(イ)と本例(ロ))
【図6】コンバインの簡易ルーフを示す斜視図
【図7】ルーフフレーム構成を示す斜視図
【図8】エンジンカバーの開閉手段を示すコンバイン要部の正面図
【図9】走行クローラの泥排除手段を備えたコンバイン要部の背面図、
【図10】クローラ泥土排除手段の側面図
【図11】同上要部の背面図
【図12】泥土排除用ノズルをスタンドに設置した場合の要部の背面図
【図13】スタンドの支持構成を示す平面図
【図14】同上要部の側面図
【図15】スタンドをビームから取り外した場合の平面図
【図16】スタンドの支持構成を示す要部の背面図
【符号の説明】
【0027】
7 グレンタンク
9 排出口部
9a 排出口
10 穀粒排出オーガ
12 ミラー
15 リモコン操作手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、グレンタンク内の穀粒を搬送して機外に排出するコンバインの穀粒排出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、穀粒排出オーガの搬送終端部における排出口部を、収穫作業時での籾排出作業時には排出口が下向きとなるよう姿勢変更し、収穫作業以外の非排出作業時はその排出口が横向き或いは上向きとなるよう姿勢変更するようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−117964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
穀粒排出オーガからトラックへの籾排出時、作業者はトラックの下からでは高い位置にある荷台上の籾収納枠内への籾排出状態が確認し難い。
本発明の課題は、トラックの下からでもトラックへの籾の排出状態が容易に確認でき、排出オーガの籾排出位置の移動制御も可能とし、作業の高能率化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、グレンタンク(7)内の穀粒を搬送して機外に排出する穀粒排出オーガ(10)の排出口部(9)の上方に穀粒の排出状態を監視することのできるミラー(12)を設置してあることを特徴とするコンバインの穀粒排出装置としたものである。
【0005】
トラックへの籾排出時には、作業者はトラックの下からでもミラー12を見ながらトラックへの籾排出状態が容易に確認できる。従って、荷台所定箇所での籾排出量が満量になると排出オーガ10の移動制御によって他の排出位置へ容易に位置変更することができる。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記穀粒排出オーガ(10)を、ミラー(12)に映し出される穀粒の排出状態を監視しながら無線操作用のリモコン操作手段(15)によって移動操作できる構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの穀粒排出装置としたものである。
【0007】
トラックへの籾排出作業時には、トラックの下からでもリモコン操作手段15の操作により、排出オーガ10の上下、左右旋回並びに伸縮移動制御が行え、ミラー12によって籾の排出状態を監視しながら所定の排出位置にポジション制御することができる。
【0008】
請求項3記載の発明は、穀粒排出オーガ(10)の排出口部(9)を下向き姿勢と上向き姿勢とに姿勢変更可能に構成し、排出口部(9)を上向き姿勢に姿勢変更した場合に、該排出口部(9)の上側が前記ミラー(12)によって覆い隠される構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバインの穀粒排出装置としたものである。
【0009】
収穫作業時での籾排出作業時には、排出オーガ10の排出口9aを下向き姿勢とし、収穫作業時以外の非排出作業時には、排出口9aを上向き姿勢に姿勢変更して該排出口からの籾こぼれを防止することができる。上向き姿勢にある排出口9aの上側はミラー12によってカバーされているため、雨天時にあっても排出口からの雨水の侵入を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、穀粒排出オーガ10先端の排出口部9aの上方には、穀粒の排出状態を監視することのできるミラー12を設置してあるので、トラックへの籾排出時には、トラックの下からでも籾の排出状態が容易に確認でき、排出オーガの籾排出位置の移動制御が容易となり、作業の高能率化を図ることができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果を奏するものでありながら、トラックへの籾排出作業時には、トラックの下からでもリモコン操作手段15の操作により、穀粒排出オーガ10の上下、左右旋回並びに伸縮移動制御が行えるので、ミラー12によって常に籾の排出状態を監視しながら所定の排出位置へのポジション制御を容易に行うことができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、上記請求項1又は請求項2記載の発明の効果を奏するうえに、非作業時における穀粒排出オーガ10収納時には、排出口部9aを上向きに姿勢変更して籾こぼれを防止するものでありながら、その排出口部9aの上方を覆うミラー12が雨よけカバーを兼用することになり、雨天時にあっても排出口からの雨の侵入を未然に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、コンバインの側面図を示すものであり、この走行車体1には、左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前方部に刈取部4を設置し,刈取部4の横側部には運転席5や操作ボックス6等からなる運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンク7を装備している。
【0014】
グレンタンク7内の穀粒を機外に排出する穀粒排出装置は、タンク内の穀粒を揚上搬送する縦軸芯回りに旋回可能な揚上搬送オーガ8と、揚上搬送オーガからの穀粒を受け継いで機外側方に向けて搬送すると共に先端の排出口部9の出口9aから排出する穀粒排出オーガ10とからなる。
【0015】
穀粒排出オーガ10は、上下に昇降可能であり、揚上搬送オーガ8と共に左右の旋回が可能で、且つ搬送方向にも伸縮可能な構成になっており、操作具の操作で操作信号を制御装置に入力し、排出オーガを上下、左右及び伸縮移動させることによって穀粒の排出位置を任意の位置に制御する構成としている。また、排出オーガの排出位置制御は、後記する無線操作式リモコン操作手段(リモコン操作器)15によっても可能としている。
【0016】
排出オーガ先端の排出口部9は、出口9aが下向きとなる下向き姿勢(排出姿勢)と出口9aが上向きとなる上向き姿勢(収納姿勢)とに姿勢変更可能に構成してあり、排出オーガ10のオーガ筒10a回りに回動自在に装着している。また、この排出口部9は、排出オーガ10をオーガ受け具11に支持させたときの非排出作業時における収納位置では、例えば、検出スイッチ等の作動によってモータを駆動し排出口部が自動的に上向き姿勢となるよう構成することができ、また、排出オーガ10をオーガ受け具11から離して籾排出作業に移行するときの張出位置では、排出口部9が上向きから下向きとなる通常の排出姿勢に自動復帰するよう構成することもできる。
【0017】
排出オーガ10先端の排出口部9の上方位置には、タンク内の穀粒を機外のトラックT等の運搬車に排出するときに、機体の下から穀粒の排出状態を監視することのできるミラー12を設置してある。このミラー12は、排出口部9の上方を広く覆い隠すように前後左右に幅広く配置構成してあり、オーガ筒10aから突設する支持ステー13を介して装着支持している。
【0018】
前記リモコン操作器15のスイッチの配置構成は、図4に示すように、排出オーガ10の左右旋回動作を司る「左」「右」の各スイッチ16l,16r、上下動作を司る「上」「下」の各スイッチ17u,17d、伸縮動作を司る「伸」「縮」の各スイッチ18p,18s、排出のオンオフを司る「排出停止」スイッチ19、収納及び張出を司る「収納張出」スイッチ20を配置している。
【0019】
従って、タンク内の穀粒を排出オーガ10によってトラックの荷台上に排出するときには、コンバインの下から排出口部9上方のミラー12を見ながら穀粒の排出状態を確認し、リモコン操作器15のスイッチ操作で、排出オーガを上下動させたり、左右に旋回移動させたり、また、伸縮移動させることによって穀粒の排出位置を任意の位置に移動制御することができる。
【0020】
図5に示す実施例において、従来は、図5(イ)に示すように、排出オーガ10を最上げ収納位置から真下のオーガ受け具11に垂直に降下させていた。本例の排出オーガ10は、図5(ロ)に示すように、最上げ収納位置を(L)の範囲脱穀部側へずらして、これより右旋回をかけながら斜め下方に降下させてオーガ受け具に収納載置するように構成することで、排出オーガの降下経路とグレンタンクとの余裕空間が広く取れて両者の干渉を防止することができる。
【0021】
図6、図7に示す実施例は、運転席5前側のステップフロア21から上方に突設する左右のルーフフレーム22,22は、途中部で繋ぎ部材23で連結保持し、上端側をループ22aに形成すると共に後方へ水平状に折り曲げてルーフ取付部22b,22bとなし、運転席5の上方を覆うルーフ24は、真空成形又はブロー成形などによって構成すると共に、前記ルーフ取付部22bの水平部に載置して一体的に取り付ける構成としている。この構成によれば、比較的簡素で安価な簡易ルーフを提供することができる。また、このルーフ23にはワークランプ25を設けて該ランプの外装部26をルーフと一体成形するように構成することもできる。
【0022】
図8に示すように、エンジンEの外側部を覆うエンジンカバー27とエンジンの上方部に配置した運転席5とは、ハンドル部28の操作で軸芯P回りに揺動開閉する構成になっており、ラジエータステー29側とエンジンカバー27側とを結ぶワイヤ30によってエンジンカバーを開放状態にて吊持するようになっている。従って、エンジンカバーの開時には、運転席の重みも加わってワイヤとの連結部に多大の衝撃荷重が負荷され、エンジンカバーやラジエータステーの変形や破損を招く問題がある。本例では、ガスダンパー31のロッド先端部に前記ワイヤ30が係合するローラ32を設け、エンジンカバー「閉」時はガスダンパーが伸びており、「閉」から「開」にするとワイヤがローラ32を押すので、ガスダンパーを圧縮しながら「開」となる。従って、かかるガスダンパー31の作用により開時の衝撃荷重が吸収緩和されることになり、エンジンカバーやラジエータステー等の変形や破損を防止することができる。
【0023】
従来、クローラ式走行装置のトラックフレームの内側にノズルを配設し、駆動輪、従動輪、転輪等に水又はエアーを噴出させて洗浄するようにした技術は存在する。しかし、刈取作業に際しては、特に、湿田での走行時には、クローラの外周面に泥土が付着して持ち回りされることが多く、これが未刈地側に脱落して次行程での刈取作業に支障をきたす問題がある。本例は、図9に示すように、エアー又は水を噴出するノズル34を設置するにあたり、走行クローラ2の後部で、従動輪巻き掛け部にあってクローラ外周面に噴射する位置にノズル34,34を配設し、しかも、左右のノズル34,34は共に機体の内側に向けて噴出させるよう配置し、走行フレーム33に装着支持させてある。これによれば、クローラから落ちる泥土は、機体内側の左右クローラ間に落下するので、未刈地側外部への飛散がなく、次行程での刈取作業に支障をきたさない。なお、クローララグ2aを左右横方向に平行な構成とし、ノズルはラグ面に対し斜め上方から噴出する構成としておくと、ラグ面に付着する泥土が落ち易くなる。
【0024】
また、図10及び図11に示す実施例は、刈取作業後のクローラ清掃時にノズルを使用して洗浄する構成例を示したもので、左右前後のスタンド38…を起立させることによって走行クローラを持ち上げ状態とし、クローラを駆動回転させながらノズルから水をクローラ外周面に噴出させて洗浄する構成としている。かかる実施例では、ノズル34の支持アーム35を支軸36回りに上下揺動変位可能に構成し、クローラ清掃時には下方に押し下げ、非清掃時には上方に持ち上げてスプリング37の張圧力にて機体側に収納保持すべく構成している。また、図12に示す実施例は、垂直方向の起立姿勢と水平方向の機体側収納姿勢とに切替変更可能なスタンド38にノズル34を装着支持させた構成になっている。
【0025】
図13〜図16に示す実施例は、スタンドの支持構成を示すもので、走行フレーム33の前部位置で左右横方向にフロントビーム40を、後部位置で左右横方向にリヤビーム41を一体的に装着支持させて設け、ビーム40,41の左右端部に角穴42を設け、スタンド38の基端部を前記ビームの角穴42に対応一致する形状の角軸部43となし、スタンドを各ビームの角穴に嵌合挿入して起立姿勢と横向き収納姿勢とに切替変更できる構成としている。前後の各ビームは角チューブとし、スタンドの向きを90度変更して基端の角軸部をビームの角穴に差し替えることによって上記スタンドの姿勢変更が可能となり、起立姿勢での安定した支持構成が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】コンバインの側面図
【図2】コンバインタンクからトラックへの穀粒排出状態を示す斜視図
【図3】穀粒排出オーガの要部の斜視図
【図4】リモコン操作器のスイッチ配置図
【図5】排出オーガ収納時の作用状態図(従来例(イ)と本例(ロ))
【図6】コンバインの簡易ルーフを示す斜視図
【図7】ルーフフレーム構成を示す斜視図
【図8】エンジンカバーの開閉手段を示すコンバイン要部の正面図
【図9】走行クローラの泥排除手段を備えたコンバイン要部の背面図、
【図10】クローラ泥土排除手段の側面図
【図11】同上要部の背面図
【図12】泥土排除用ノズルをスタンドに設置した場合の要部の背面図
【図13】スタンドの支持構成を示す平面図
【図14】同上要部の側面図
【図15】スタンドをビームから取り外した場合の平面図
【図16】スタンドの支持構成を示す要部の背面図
【符号の説明】
【0027】
7 グレンタンク
9 排出口部
9a 排出口
10 穀粒排出オーガ
12 ミラー
15 リモコン操作手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレンタンク(7)内の穀粒を搬送して機外に排出する穀粒排出オーガ(10)の排出口部(9)の上方に穀粒の排出状態を監視することのできるミラー(12)を設置してあることを特徴とするコンバインの穀粒排出装置。
【請求項2】
前記穀粒排出オーガ(10)を、ミラー(12)に映し出される穀粒の排出状態を監視しながら無線操作用のリモコン操作手段(15)によって移動操作できる構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの穀粒排出装置。
【請求項3】
穀粒排出オーガ(10)の排出口部(9)を下向き姿勢と上向き姿勢とに姿勢変更可能に構成し、排出口部(9)を上向き姿勢に姿勢変更した場合に、該排出口部(9)の上側が前記ミラー(12)によって覆い隠される構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバインの穀粒排出装置。
【請求項1】
グレンタンク(7)内の穀粒を搬送して機外に排出する穀粒排出オーガ(10)の排出口部(9)の上方に穀粒の排出状態を監視することのできるミラー(12)を設置してあることを特徴とするコンバインの穀粒排出装置。
【請求項2】
前記穀粒排出オーガ(10)を、ミラー(12)に映し出される穀粒の排出状態を監視しながら無線操作用のリモコン操作手段(15)によって移動操作できる構成としたことを特徴とする請求項1記載のコンバインの穀粒排出装置。
【請求項3】
穀粒排出オーガ(10)の排出口部(9)を下向き姿勢と上向き姿勢とに姿勢変更可能に構成し、排出口部(9)を上向き姿勢に姿勢変更した場合に、該排出口部(9)の上側が前記ミラー(12)によって覆い隠される構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコンバインの穀粒排出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−232757(P2009−232757A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83707(P2008−83707)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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