説明

コンバイン

【課題】路上走行における機体の旋回に際して、オペレータの操作負荷の軽減を図りつつ、適切なタイミングで確実に方向表示手段の動作制御を可能とするコンバインを提供する。
【解決手段】コンバインは、左右の走行部1により走行可能に支持された機体と、その左右の走行部1の速度差を操向操作具11aの操作と対応して調節する旋回手段と、機体の旋回方向表示のための方向表示操作具11bによる表示操作と対応して左右いずれかの方向表示動作を開始する方向表示手段7,8とを備えて構成され、上記方向表示手段7,8には方向表示の開始と停止とを制御する制御部21を設け、この制御部21は、上記操向操作具11aの左右の操作方向を判別し、この左右の操作方向に対して方向表示が逆方向となることを条件に表示動作を停止制御するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右の走行部の速度差で旋回走行可能な機体にその方向表示手段を備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、左右の走行部で走行可能に支持された機体と、その左右の走行部の速度差で旋回走行を可能とする旋回手段と、機体の旋回方向表示のための方向表示手段とを備えたコンバインが知られている。コンバインの上記旋回手段は、操向操作具の操作と対応して機体を旋回走行させ、上記方向表示手段は、方向表示操作具の左右いずれかの操作と対応して方向表示をすることができ、圃場作業時における周囲への警告、および、移動走行における円滑な路上交通のための旋回方向表示を可能とする。
【0003】
しかしながら、路上における移動走行の際は、他の路上交通手段と比較して大きな速度差が避けられないので、状況に応じた木目細かな速度調節操作が必要となり、また、機体の旋回に際しては、操向操作と対応した速度調節操作と方向表示操作とが必要となり、交通の円滑化のために大きな操作負担を要し、その表示操作が不適切な場合は、交通秩序の混乱による衝突等の重大な事態を招く場合があった。
【特許文献1】特開平8−47326号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、路上走行における機体の旋回に際して、オペレータの操作負荷の軽減を図りつつ、適切なタイミングで確実に方向表示手段の動作制御を可能とするコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、左右の走行部により走行可能に支持された機体と、その左右の走行部の速度差を操向操作具の操作と対応して調節する旋回手段と、機体の旋回方向表示のための方向表示操作具による表示操作と対応して左右いずれかの方向表示動作を開始する方向表示手段とを備えたコンバインにおいて、上記方向表示手段には方向表示の開始と停止とを制御する制御部を設け、この制御部は、上記操向操作具の左右の操作方向を判別し、この左右の操作方向に対して方向表示が逆方向となることを条件に表示動作を停止制御することを特徴とする。上記構成により、方向表示手段の表示動作中において操向操作具の操作方向が表示方向と逆方向であれば方向表示動作が停止される
【0006】
請求項2に係る発明は、左右の走行部により走行可能に支持された機体と、その左右の走行部の速度差を操向操作具の操作と対応して調節する旋回手段と、機体の旋回方向表示のための方向表示操作具による表示操作と対応して左右いずれかの方向表示動作を開始する方向表示手段とを備えたコンバインにおいて、上記方向表示手段には方向表示の開始と停止とを制御する制御部を設け、この制御部は、上記操向操作具の中立または旋回の操作区分を判別し、この操作区分が中立であることを条件として表示動作を停止制御することを特徴とする。上記構成により、操向操作具が中立操作されると方向表示手段の方向表示動作が停止される。
【0007】
請求項3に係る発明は、左右の走行部により走行可能に支持された機体と、その左右の走行部の速度差を操向操作具の操作と対応して調節する旋回手段と、機体の旋回方向表示のための方向表示操作具による表示操作と対応して左右いずれかの方向表示動作を開始する方向表示手段と、収穫穀稈を脱穀処理する脱穀手段とを備えたコンバインにおいて、上記方向表示手段には方向表示の開始と停止とを制御する制御部を設け、この制御部は、上記脱穀手段の稼動または停止、機体の走行または停止、および上記操向操作具の操作による左右の操作方向を判別し、脱穀手段の停止および機体の走行の両条件下において操向操作具の操作と対応してその操作方向の表示動作を開始制御することを特徴とする。上記構成により、脱穀手段の停止および機体走行の条件下において操向操作具が操作された際に操作方向の方向表示動作が開始される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の構成のコンバインは、操向操作具の操作と対応して旋回手段により機体走行が操舵され、また、方向表示操作具の操作と対応して方向表示手段により方向表示動作が開始され、この方向表示手段の表示動作中において操向操作具が操作された際は、制御部が操向操作の方向を判別し、その操作方向が方向表示手段の表示方向と逆方向であれば方向表示手段の表示が停止される。したがって、機体旋回の際に方向表示操作具の適切な操作が間に合わない場合等に、方向表示手段の表示方向に対して逆方向に機体が旋回走行する事態が回避されて路上の移動走行における交通の混乱を防止することができる。
【0009】
請求項2の構成のコンバインは、操向操作具の操作と対応して旋回手段により機体走行が操舵され、また、方向表示操作具の操作と対応して方向表示手段により方向表示動作が開始され、この方向表示手段の表示動作中において操向操作具が中立操作された際は、制御部により方向表示手段の表示が停止される。したがって、方向表示操作具の操作を要することなく、機体の旋回終了動作と対応して適切かつ確実に方向表示を終了することができる。
【0010】
請求項3の構成のコンバインは、操向操作具の操作と対応して旋回手段により機体走行が操舵され、また、方向表示操作具の操作と対応して方向表示手段により方向表示動作が開始され、脱穀手段の停止および機体の走行の両条件下においては、操向操作具が操作された際に制御部により操向操作方向に方向表示手段の表示が開始される。したがって、方向表示操作具の特段の操作を要することなく、機体の旋回動作と対応して適切かつ確実に方向表示をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
上記技術思想に基づいて具体的に構成された実施の形態について以下に図面を参照しつつ説明する。
コンバインは、その左側面図(a)および右側面図(b)を図1に示すように、左右のクローラによる走行部1,1によって機体を走行可能に支持し、この機体の前部で穀稈を分草する分草杆2aおよび同分草杆2aにより分草された穀稈を刈取る刈刃2b等を備えて昇降調節可能な刈取部2、この刈取部2から搬送装置を介して受けた穀稈を脱穀する脱穀部3、この脱穀部3により脱穀分離された籾を一時貯留する収納部4、貯留された籾を機外に排出する縦オーガ5a、横オーガ5b等からなる搬出部5等の作業機器を備え、これら作業機および機体の走行を運転操作するために機体前部の操縦席に運転操作部6等を備える。
【0012】
また、変速伝動部(不図示)を左右のクローラ1,1の間に搭載し、左右のクローラ1,1の回動速度を無段階に調節する変速機構と左右のクローラ1,1の回動速度を左右個別に調節してその速度差によって旋回走行するための旋回手段を内設するほか、旋回方向等を表示する方向表示手段としてのウィンカ7,8を機体の前端と後端の四隅に備える。
【0013】
前端のウィンカ7,7は、コンバインの正面図を図2(a)に示すように、刈取部2の上段外側位置7,7に、また、後端のウィンカ8,8は、コンバインの背面図を図2(b)に示すように、機体後端の上段外側位置に配置する。これらウィンカ7,8は、図3の平面図に示すように、機体の最外側となる四隅の高位配置とすることにより、前端のウィンカ7,7は、機体の前方および側方から視認可能に、また、後端のウィンカ8,8は、機体の後方および側方から視認可能となることから、全方向からの視認性を確保することができる。
【0014】
運転操作部6には、操作盤の機器配置俯瞰図を図4に示すように、オペレータの前方Fから側方に及ぶ操作デスクに各機器の操作のための操作具を配置して構成される。
詳細には、機体の操向操作用に左右の傾倒動作が可能な操向操作具および刈取昇降操作用に前後の傾倒動作が可能な昇降操作具を一体化してワンレバーで操作できるいわゆるパワステレバー11a、旋回方向表示操作用のウィンカスイッチ11b、オペレ―タの側方で前後方向に傾倒保持可能な前後進無段変速操作具であるHSTレバー11c、エンジン回転調節用のスロットルレバー11d、速度レンジ設定用の副変速レバー11e、緩・標準・急の旋回パターン切替用の旋回モード切替レバー11f、刈取脱穀の刈脱レバー11g等の操作レバー類、センサチェックモードスイッチ12aを含むスイッチ類、モニタ表示部13、左右の走行伝動遮断用の掻込ペダル14a、駐車ブレーキ用の駐車ペダル14b等を配置することにより、制御装置を介して機体走行と作業機操作が一人のオペレータによって操作可能に構成される。
【0015】
次に、ウィンカ7,8の表示制御について説明する。
表示制御のシステム構成は、図5に示すように、制御部21に信号入力する入力機器として、方向表示操作具としての左右のウィンカスイッチ群11b、刈脱レバーの脱穀スイッチ11g、駐車ペダル14b、掻込ペダル14a、センサチェックモードスイッチ12a、操向操作具のパワステセンサ11a等を接続し、制御出力として左右それぞれのウィンカ7,8のリレー群7rを接続する。
【0016】
制御部21は、タイマ処理のためのタイマカウント手段21a、ウィンカ出力のための条件判定を行うウィンカ出力判定手段21b、左右の方向別のリレー制御のためのウィンカ出力処理部21c等により構成する。ウィンカ出力判定手段21bは、パワステ操作と対応するパワステセンサ11aの左右の操作方向を判別し、この左右の機体操向操作とウィンカ操作の条件によって以下のように表示制御を行う。
【0017】
具体的な処理手順は、図6のフローチャートに示すように、両方向のウィンカ表示の並行操作(S1,S2)と判定される場合は左右表示出力(S2a)する。この場合は、無条件に両方向のウィンカ7,8が表示開始されるので、他の車両に対して低速走行中であることを報知することができる。
【0018】
片方(左)のウィンカ操作と判定された場合は、パワステ操作が同側(左)であれば同側(左)のウィンカ出力と同側(左)のパワステ操作記憶(S3、S3a)とを行ことによりウィンカが連動表示される。パワステ操作が逆側(右)であればウィンカ操作の同側(左)のウィンカ出力の停止と同側(左)のパワステ操作記憶の消去(S4a,S5)を行うことにより、ウィンカ動作が連動停止される。また、パワステ操作が中立であればパワステ操作記憶が同側(左)であることを条件として同様にウィンカ出力の停止とパワステ操作記憶の消去(S4b,S5)を行うことにより、パワステ操作が中立に戻された時にウィンカ表示が停止される。
ウィンカ操作が右側と判定された場合についても、左右を逆に上記同様にして表示制御される(S6〜S9)。
【0019】
脱穀スイッチ11gの「切」が判定された場合は、車速センサ読み込みによって「走行中」であること(S11、S11a)を条件に、左右のパワステ操作(S12,S13)と対応してウィンカ出力(S12a,S13a)を行う。中立であればウィンカ左右出力を停止(S14)することにより、路上を含む移動走行におけるパワステ操作と連動してウィンカが制御される。
【0020】
したがって、操向操作具11aの左右の操作方向を判別し、一定の条件により表示動作を制御することにより、方向表示手段7,8の表示動作中において操向操作具11aが左方向または右方向に操作された際に表示方向と逆方向であれば方向表示手段7,8の方向表示動作が停止される。
【0021】
このように、上記構成のコンバインは、操向操作具11aの操作と対応して旋回手段により左右の走行部1,1の速度差に応じて機体走行が操舵され、また、方向表示操作具11bの操作と対応して方向表示手段7,8により方向表示動作が開始され、ここで逆方向への機体旋回操作が必要となった場合において方向表示操作具11bの適切な操作が間に合わない時等に、方向表示手段7,8の表示のままで逆方向に機体が旋回走行する事態が回避されて路上走行における交通の混乱を防止することができる。
【0022】
また、操向操作具11aの中立または旋回の操作区分を判別し、この操作区分が中立であることを条件として表示動作を停止制御することにより、方向表示手段7,8の表示動作中において操向操作具11aが中立操作された時は、制御部21により方向表示手段7,8の方向表示動作が停止されることから、方向表示操作具11bの操作を要することなく、機体動作と対応して適切かつ確実に方向表示を終了することができる。
【0023】
さらに、脱穀手段3の稼動または停止、機体の走行または停止、および上記操向操作具11aの操作による左右の操作方向を判別し、脱穀手段3の停止および機体の走行の両条件下において操向操作具11aの操作と対応してその操作方向の表示動作を開始するように制御部を構成することにより、路上等の移動走行においては、操向操作具11aが左右方向に操作された際に、操作方向の表示動作が開始される。したがって、方向表示操作具11bの特段の操作を要することなく、機体動作と対応して適切かつ確実に方向表示をすることができる。
【0024】
次に、駐車ブレーキペダル14bと連動してウィンカ表示する場合の表示制御について説明する。
具体的な処理手順を図7のフローチャートに示すように、片方(左方)のウィンカ操作(S21)の場合に同側(左方)ウィンカの表示開始と逆側(右方)ウィンカの表示停止(S21a)を行う。右方のウィンカ操作(S22)の場合は左右を逆にして上記同様に、同側(右方)ウィンカの表示開始と逆側(左方)ウィンカの表示停止(S22a)を行う。ウィンカ操作がない場合においては、駐車ペダル14bの操作によって両ウィンカを表示出力(S23,S23a)する。その他の場合は両ウィンカの出力を停止(S24)するように制御部21を構成する。
【0025】
上記処理により、駐車ブレーキペダル14bの踏込操作によって左右両ウィンカ7,8が同時点滅表示(ハザード表示)し、駐車状態を周囲に対して報知することができるとともに、この場合にあっても、左右いずれかのウィンカ表示操作をすることにより、左右同時表示を解除してウィンカ操作に対応した方向表示によるウィンカ機能を優先することができる。
【0026】
掻込ペダル14aとの関連でウィンカを表示を制御する例としては、図8(a)のフローチャートに示すように、掻込ペダル14aの踏込操作と対応して両ウィンカの同時点滅表示(S31,S31b)を行い、その点滅間隔を図8(b)の点滅パターンに示すように、通常のウィンカ表示より速く設定(S31a)することにより、停車したまま刈取部2等の作業機を稼動して掻込操作中であることを報知し、畦際等における周辺作業者の危険防止を促すことができる。また、上記ウィンカ表示の点滅パターンと同期してホーンを断続的に吹鳴制御(S31c)することにより、より明確な危険報知が可能となる。
【0027】
機器チェック用のウィンカ表示をする例としては、図9の入出力ブロック図に示すように、オーガラジコンスイッチ22を制御部21に入力し、センサチェックモードスイッチ12aを「入」とすることにより、図10(a)のフローチャートに示すように、オーガラジコンのいずれかの信号を受けた時に、図10(b)の点滅パターンのように、両ウィンカを所定間隔で点滅制御するように制御部21を構成する。
このように構成することにより、専用チェッカ等を用いずに、かつ、離れた場所でも、受信動作の認識が可能となる。したがって、オーガラジコンの動作不良発生時に、ラジコンの送受信の不良か、本機オーガの制御システムの不良かを容易に特定することができる。
【0028】
次に、機体に設けた照明装置の制御について説明する。
機体前部には、その斜視図を図11(a)に示すように、前照灯31および作業灯32を設け、前照灯31により機体前方を、また、作業灯32により刈取部2を照射するとともに、それぞれの光軸方向を制御可能に構成する。
光軸方向制御は、制御系ブロック図を図11(b)に示すように、前照灯31および作業灯32の照射方向を所定の条件に応じて変更するべく、制御部21により、前照灯31の左右上下方向動作用のリレー群31rおよび作業灯32の左右方向動作用のリレー群32rを制御する。
【0029】
機体旋回時は前方確認がしにくいという問題がある。この場合は、左右のパワステポジションセンサ34により、パワステ11aを一定角度以上に操作した時にその操作角度に応じて前照灯31および作業灯32の照射方向を左右に変更制御するように制御部21を構成する。このように構成することにより、機体旋回に際してその旋回方向が明るくなるので安全に旋回することができる。また、上記構成のパワステポジションセンサ34に代えて、左右のクローラ1,1の回転数差によっても上記同様に制御することができる。
【0030】
また、前照灯31が刈取部2に付いている場合において、刈取部2と関連する制御例としては、刈取ポジションセンサ35により、その高さに応じて前照灯31の照射方向を上下に変更し、常に前方一定部分を照らすようにし、一方の作業灯32はそのまま維持するように制御部21を構成する。
前照灯31が刈取部2に付いている場合は、刈取部2の昇降高さにより近くを照らしたり遠くを照らしたりと照射部分が一定しておらず、走行しにくいという問題があるので、上記構成とすることにより、刈取部2の昇降時の問題が解消されて安全性を向上することができる。
【0031】
前記同様に前照灯31が刈取部2に付いている場合において、機体の前後傾斜と関連する制御例としては、前後水平センサ36によりその傾斜に応じて前照灯31の照射方向を上下に変更し、常に前方一定部分を照らすようにし、一方の作業灯32はそのまま維持するように制御部21を構成する。
前照灯31が刈取部2に付いている場合は、機体の前後傾斜により近くを照らしたり、遠くを照らしたりと、照射部分が一定しておらず、走行しにくいという前記同様の問題があるので、上記構成とすることにより、機体が前後に傾斜した場合の問題が解消されて安全性を向上することができる。
【0032】
搬出部5の横オーガ5bについては、図12(a)に示すように、その先端の排出口5cの近くに下向きの作業灯41を設け、その光軸方向を左右に制御可能に構成する。
光軸方向制御は、制御系ブロック図を図12(b)に示すように、作業灯41の照射方向を所定の条件に応じて変更するべく、制御部21によって作業灯41の左右回転リレー群41rを制御することにより行う。
【0033】
例えば、旋回スイッチ41m,41aによってオーガ5が左右旋回中にその照射方向を旋回方向に変更し、旋回してない時は通常の照射方向に戻すように構成することにより、旋回方向が明るくなるので、オーガ5を安全に旋回することができる。
この場合において、オーガ5が収納位置に無い時に限って作業灯41を点灯することにより、作業灯スイッチのオン操作によって全作業灯を点灯する場合と比較して、横オーガ5bが張り出された時のみの点灯により消費電力が抑えられ、充電器の容量が小さくて済むので、コストダウンを図ることができる。
【0034】
次に、モニタ装置について説明する。
モニタ装置13には、コンバインの操作情報その他を表示するために、その通信回路構成図を図13に示すように、互いに独立の通信回線(1)51aと通信回線(2)51bを設けて外部装置52等の各種機器と接続する。2つの通信回線51a、51bは、用途別にそれぞれ異なった情報の送受信を行うように構成する。
【0035】
その通信処理は、そのフローチャートを図14に示すように、情報を分散させたり、モニタへの表示緊急性に応じてデータを分別(S31a,S31b,S31c)することで効率的に通信または表示処理させることができるので、情報容量が大きくなると単一の回線では通信速度が遅くなってモニタへの表示が遅れるという事態を解消することができる。
【0036】
上記において、一方の通信回線51aに外部装置52の通信が割り込んだ場合はその送信要求により通信切換(S32a,S32b)を行い、また、異常が発生した場合も同様に通信切換(S33,S32b)を行うことによって一時的に回避させることができる。
【0037】
また、外部装置接続確認端子を設け、または、接続する外部装置には接続信号を出力させる構成とし、モニタ13のいずれか一方の通信回線に外部装置が接続されると、外部装置の接続信号がモニタ外部装置接続確認端子に入力されることにより、外部通信装置の接続を判定できるように構成する。このように構成することにより、本来、別の通信を行っている通信回線に対し、別の情報を送受信するように処理切換えが可能となる。
【0038】
また、モニタ13のいずれか一方の通信回線51a、51bに外部装置が接続されると、外部装置からの通信信号にて内部通信を一時妨害し、一定時間、内部通信を停止させ、さらに外部装置から接続要求信号を送信させることにより、モニタ13が外部通信装置の接続を判定できるように構成する。このように構成することにより、本来別の通信を行っている通信回線に対し、別の情報を送受信するように処理切換えが可能となる。
【0039】
上記構成において、いずれか一方の通信回線51a、51bに外部装置が接続されたことを判定したとき、もう一方の通信回線にて2種の情報を交互に送受信させ、また、もう一方で外部装置との通信処理を行うように構成する。このように構成することにより、外部装置接続中に、内部の通信処理が滞ることを防止することができる。
【0040】
上述の構成の他に、コンバインの操作情報を表示するモニタ装置13において、互いに独立の2つの通信回線51a、51bに同一情報を同時に送受信可能に構成する。このように構成することにより、いずれか一方の通信回線51a、51bに異常があってもスムーズに緊急処置を行わせたり、外部通信装置接続時においても別途の対応を不要とすることができる。
例えば、図15のフローチャートに示すように、通信回線(1)が正常時は、外部装置の要求により通信回線(2)でデータ送信(S41,S42a,S42b)し、また、通信回線(1)が異常時は、通信回線(2)が受信するデータをそのまま送信(S41,S43a,S43b)する。
【0041】
また、一方を内部通信用、他方を外部通信装置用として構成しながら、外部通信装置用の回線も同時に内部通信を行わせるように構成する。このように構成することにより、一方の通信回線に異常が発生しても一時的に回避させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】コンバインの左側面図(a)および右側面図(b)である。
【図2】コンバインの正面図(a)および背面図(b)である。
【図3】コンバインの平面図である。
【図4】運転操作部の機器配置俯瞰図である。
【図5】ウィンカの表示制御システム構成図である。
【図6】表示制御のフローチャートである。
【図7】別のウィンカ表示制御のフローチャートである。
【図8】掻込操作対応のウィンカ制御のフローチャート(a)および点滅パターン(b)である。
【図9】機器チェック用のウィンカの表示制御システム構成図である。
【図10】機器チェック対応のウィンカ制御のフローチャート(a)および点滅パターン(b)である。
【図11】機体前部の斜視図(a)および照明制御系ブロック図(b)である。
【図12】横オーガを含む機体側面図(a)およびその作業灯の制御系ブロック図(b)である。
【図13】モニタ装置の通信回路構成図である。
【図14】用途別の送受信を行う場合のフローチャートである。
【図15】同一情報を同時送受信する場合のフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1 クローラ(走行部)
6 運転操作部
7,8 ウィンカ(方向表示手段)
11a パワステレバー(操向操作具)
11b ウィンカスイッチ(方向表示操作具)
11g 脱穀スイッチ
12a センサチェックモードスイッチ
13 モニタ表示部(モニタ装置)
14a 掻込ペダル
14b 駐車ブレーキペダル
21 制御部
21b ウィンカ出力判定手段
22 オーガラジコンスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の走行部により走行可能に支持された機体と、その左右の走行部の速度差を操向操作具の操作と対応して調節する旋回手段と、機体の旋回方向表示のための方向表示操作具による表示操作と対応して左右いずれかの方向表示動作を開始する方向表示手段とを備えたコンバインにおいて、上記方向表示手段には方向表示の開始と停止とを制御する制御部を設け、この制御部は、上記操向操作具の左右の操作方向を判別し、この左右の操作方向に対して方向表示が逆方向となることを条件に表示動作を停止制御することを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
左右の走行部により走行可能に支持された機体と、その左右の走行部の速度差を操向操作具の操作と対応して調節する旋回手段と、機体の旋回方向表示のための方向表示操作具による表示操作と対応して左右いずれかの方向表示動作を開始する方向表示手段とを備えたコンバインにおいて、上記方向表示手段には方向表示の開始と停止とを制御する制御部を設け、この制御部は、上記操向操作具の中立または旋回の操作区分を判別し、この操作区分が中立であることを条件として表示動作を停止制御することを特徴とするコンバイン。
【請求項3】
左右の走行部により走行可能に支持された機体と、その左右の走行部の速度差を操向操作具の操作と対応して調節する旋回手段と、機体の旋回方向表示のための方向表示操作具による表示操作と対応して左右いずれかの方向表示動作を開始する方向表示手段と、収穫穀稈を脱穀処理する脱穀手段とを備えたコンバインにおいて、上記方向表示手段には方向表示の開始と停止とを制御する制御部を設け、この制御部は、上記脱穀手段の稼動または停止、機体の走行または停止、および上記操向操作具の操作による左右の操作方向を判別し、脱穀手段の停止および機体の走行の両条件下において操向操作具の操作と対応してその操作方向の表示動作を開始制御することを特徴とするコンバイン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−345812(P2006−345812A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178429(P2005−178429)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】