説明

コンバイン

【課題】エンジンボンネットをスムーズにかつ軽く回動させ、エンジンボンネットの開閉操作を一層軽く行えるようにする。
【解決手段】エンジンボンネット23、運転部床12、操縦塔13、横側壁14及び操作盤15と一体で運転部フレームFが機体フレーム2に対して回動するよう運転部フレームFを運転部10の後部の上下向きの運転部開放軸芯P1まわりで回動自在に支持し、運転部フレームFの遊端側を下側から支持する支持フレーム60を、機体フレーム2の機体外側に位置する上下向きの揺動軸芯P2まわりで揺動自在に機体フレーム2に支持し、運転部10の閉じ状態では、支持フレーム60が機体フレーム2に沿った前後向きとなり、運転部10を開き状態に回動切り換えすると、支持フレーム60の遊端側が運転部フレームFの遊端側とともに揺動軸芯P2まわりで機体外側に揺動するよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンボンネットの上方に位置した運転座席を備えたコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記コンバインにおいて、従来、たとえば特許文献1,2に示されるものがあった。
特許文献1に示されるものは、運転座席12がエンジンカバー11の上面に装着され、ハンドル塔9、ステップ8、エンジンカバー11、側板14を一体化したカバー体Aが支点金具35を介して機体フレーム34に支持され、カバー体Aが支点金具35の縦向き支点yを中心にして少し横外方に揺動されるとともに支点金具35の横向き支点xを中心にして上方に揺動されることにより、エンジンカバー11及び運転座席12が機体フレーム34に対して上昇回動してエンジン10が開放されるものである。
【0003】
特許文献2に示されるものは、運転座席2aがエンジンボンネット9に支持され、エンジンボンネット9がボンネット支持部50に起伏開閉自在に支持され、ボンネット支持部50が、運転部2の床板2b前端側の下方で機体上下向きの旋回軸芯Yまわりで回動自在に機体フレーム4に連結され、エンジンボンネット9が倒伏開放されるとともにボンネット支持部50が旋回軸芯Yまわりで回動されることにより、エンジンボンネット9と運転座席2aが旋回軸芯Yまわりで機体フレーム4に対して自走機体横外側に旋回移動してエンジン8が開放されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−136823号(段落〔0041〕、〔0053〕−〔0055〕、図2,3,7)
【特許文献2】特開2004−34780号(段落〔0013〕、〔0017〕、〔0018〕、〔0023〕、図11,14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるものでは、エンジンボンネット及び運転座席が自走機体横向きの軸芯まわりで回動することから、エンジンの上方に作業障害物がない状態にエンジンを開放することができるようにすると、エンジンボンネットや運転座席などを閉じ状態から高所まで上昇させる必要が生じ、開閉操作が重くなりがちであった。
【0006】
特許文献2に示される技術を採用すると、エンジンを開放した際、エンジンボンネット及び運転座席が自走機体から横外側に大きくはみ出た状態になっていた。
【0007】
本発明の目的は、エンジンを上方に障害物がない状態に開放できるものでありながら、エンジンボンネット及び運転座席を楽に移動操作することができ、かつ、開き状態になったエンジンボンネット及び運転座席の自走機体外への突出量を抑制することができるコンバインを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第1発明にあっては、エンジンボンネットの上方に位置した運転座席を備えたコンバインにおいて、
前記エンジンボンネット及び前記運転座席を、エンジンよりも自走機体後方側で、かつ、エンジンの自走機体横方向での機体外側端よりも自走機体内方側に配置した自走機体上下向きの運転部開放軸芯まわりに、エンジンボンネットがエンジンを覆った閉じ状態と、エンジンボンネット及び運転座席がエンジンよりも自走機体後方側に位置してエンジンを開放した開き状態とに回動切り換え自在に構成してある。
【0009】
すなわち、エンジンボンネット及び運転座席が、エンジンよりも自走機体後方側で、かつ、エンジンの自走機体横方向での機体外側端よりも自走機体内方側に配置した自走機体上下向きの運転部開放軸芯まわりに回動し、エンジンよりも自走機体後方側に位置した開き状態になってエンジンを開放するものである。これにより、エンジンボンネット及び運転座席を閉じ状態での配置高さと同一又はほぼ同一の配置高さのままで移動させてエンジンを開放することができる。また、開き状態になったエンジンボンネット及び運転座席が極力エンジンの後方側に位置し、エンジンボンネット及び運転座席の自走機体から外側への突出量を極力小にしながらエンジンを開放することができる。
【0010】
従って、本第1発明によると、開き状態になったエンジンボンネット及び運転座席がエンジンよりも自走機体後方側に位置して、エンジンの上方にエンジンボンネットなどの障害物がなくて点検作業などが行いやすい状態にエンジンを開放することができるものでありながら、エンジンボンネット及び運転座席を閉じ状態での配置高さと同一又はほぼ同一の配置高さのままで移動させて楽に開き操作することができ、かつ、開き状態になったエンジンボンネット及び運転座席の自走機体外への突出量が少なくなってエンジンボンネットなどが作業の障害物になりにくく、点検作業などが行いやすくなる。
【0011】
本第2発明にあっては、本第1発明の構成において、前記運転部開放軸芯に平行な軸芯まわりで自走機体フレームに揺動自在に連結された支持フレームを備えるとともに、前記エンジンボンネットの遊端側を前記支持フレームの遊端側に摺動自在に支持させてある。
【0012】
すなわち、エンジンボンネットが開閉回動されると、エンジンボンネットの遊端側が支持フレームと摺動し合いながら支持フレームに操作力を付与し、これによって、支持フレームがエンジンボンネットの荷重を支持しながらエンボンネットに付いて揺動して、エンジンボンネットを開閉回動させる。
【0013】
従って、本第2発明によると、エンジンボンネットの荷重が支持フレームによって支持される分、エンジンボンネットをスムーズにかつ軽く回動させ、エンジンボンネットの開閉操作を一層軽く行うことができる。
【0014】
本第3発明にあっては、本第1又は第2発明の構成において、前記運転座席の前方に位置した運転部床及び操縦塔、運転部床の横側方で運転部の内外を仕切る横側壁、運転座席の横側方に位置した操作盤を備え、
前記操縦塔、前記横側壁、前記操作盤、前記運転部床が、前記運転部開放軸芯まわりで前記エンジンボンネットと一体に自走機体フレームに対して回動自在に支持されている。
【0015】
すなわち、エンジンボンネットを開き状態に回動させてエンジンが開放されると、操縦塔、横側壁、操作盤、運転部床もエンジンボンネットと共に回動し、エンジン前方側での自走機体も開放される。
これにより、エンジンボンネット、運転座席、操縦塔、運転部床、横側壁、操作盤を一挙に移動させて、エンジン、及び、エンジン前方での自走機体を開放することができる。
【0016】
従って、本第3発明によると、エンジンボンネット、操縦塔、運転部床、横側壁、操作盤を一挙に移動させてエンジン、及びエンジン前方での自走機体を速やかに開放し、エンジンの点検などの作業の他に、エンジンから走行装置や刈取り前処理部への伝動系の点検などの作業も能率よく行うことができる。しかも、エンジン前方側を作業しやすい状態に開放するのに、エンジンボンネットや運転部床などを閉じ状態での配置高さと同一又はほぼ同一の配置高さのままで楽に移動させ、この面からも有利に点検作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】コンバインの全体平面図
【図3】運転部、原動部の平面図
【図4】運転部、原動部の側面図
【図5】(イ)は、運転部フレームの閉じ状態での斜視図、(ロ)は、運転部フレームの開き状態での斜視図
【図6】運転部フレームの開閉回動を示す平面図
【図7】主変速レバーと走行変速装置の連動構造を示す斜視図
【図8】コンバインの原動部及び穀粒タンクの開放状態での平面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、左右一対のクローラ式走行装置1によって自走するように構成し、かつ、運転座席11が装備された運転部10、運転座席11の下方に配置したエンジン21が装備された原動部20を備えた自走機体の機体フレーム2の前部に、刈取り前処理部30の前処理部フレーム31の基端部を回動自在に連結し、刈取り前処理部30の自走機体後方側に配置した脱穀装置4を機体フレーム2の後部に設け、運転部10の自走機体後方側に配置した穀粒タンク5を備えた穀粒回収部Aを機体フレーム2上に設けて、コンバインを構成してある。
【0019】
このコンバインは、稲、麦などを収穫するものであり、前処理部フレーム31に連動された昇降シリンダ(図示せず)を操作すると、この昇降シリンダが前処理部フレーム31を機体フレーム2に対して上下揺動操作することにより、刈取り前処理部30を引起し装置32の下端部などが地面上近くに位置した下降作業状態と、引起し装置32などが地面上から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降操作する。刈取り前処理部30を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り前処理部30は、自走機体横方向に並ぶ複数の前記引起し装置32によって植立穀稈を引起し処理し、この植立穀稈の株元側をバリカン形の刈取り装置33によって刈取り処理し、刈取り装置33からの刈取り穀稈を供給装置34によって自走機体後方向きに搬送して脱穀装置4に供給する。脱穀装置4は、脱穀フィードチェーン(図示せず)によって刈取り穀稈の株元側を自走機体後方向きに挟持搬送しながら穂先側を扱室(図示せず)に供給して脱穀処理する。穀粒回収部Aは、脱穀装置4からの脱穀粒を穀粒タンク5に回収して貯留していき、穀粒タンク5に貯留された脱穀粒を、穀粒タンク5の底部内に位置する底スクリュー6、穀粒タンク5の後側に位置する自走機体上下向きの縦スクリューコンベヤ7、この縦スクリューコンベヤ7の上端部に旋回及び上下駆動自在に連結された横スクリューコンベヤ8によって穀粒タンク5から取り出すようになっている。
【0020】
図3,4に示すように、前記原動部20に、前記エンジン21、及び、エンジン21の自走機体横外方側に位置するエンジン冷却用ラジエータ22などを覆うエンジンボンネット23、このエンジンボンネット23の天板23aの上面上に設けた吸気ケース24を設けてある。
【0021】
図3,4に示すように、エンジンボンネット23は、エンジン21の自走機体前方側に位置する前壁23b、エンジン21の自走機体後方側に位置する後壁23c、エンジン21の自走機体横外側に位置する横壁23e、エンジン21の上方に位置する前記天板23aを備えて構成してある。
【0022】
エンジンボンネット23の自走機体横方向での自走機体内側に、エンジン21の出力を走行用ミッション(図示せず)、刈取り前処理部30、脱穀装置4に伝達するように自走機体横方向での機体内側に向いた伝動用開口25を設けてある。エンジンボンネット23の前記横壁23eに、除塵網が付いた自走機体横外向きの吸気口26、エンジン冷却用ラジエータ22に冷却風を供給する送風口27、前記吸気口26、及び前記吸気ケース24の内部を前記送風口27に連通させている内部空間S1を設けてある。エンジンボンネット23の前記前壁23bに、除塵網が付いた自走機体前向きの吸気口28、この吸気口28を前記横壁23eの内部空間S1に連通させている内部空間S2を設けてある。
【0023】
図3,4に示すように、前記運転部10は、前記エンジンボンネット23の上方に配置してエンジンボンネット23の天板23aに支持させた前記運転座席11、運転座席11の前方で、かつエンジンボンネット23の前壁23bの前方に配置した運転部床12、運転座席11の前方で、かつ運転部床12の前端部に配置した操縦塔13、運転部床12の乗降口側とは反対側の横側方に、エンジンボンネット23と操縦塔13の間で運転部10の内外を仕切るように設けた横側壁14、運転座席11の前記横側壁14が位置する側の横側方に設けた横操作盤15を備えて構成してある。
【0024】
前記操縦塔13には、操向レバー16を設け、前記横操作盤15には、主変速レバー17、副変速レバー18、クラッチレバー19を設けてある。操向レバー16は、自走機体横方向に揺動操作して左右のクローラ走行装置1を各別に変速及び停止操作することによって自走機体の操向操作を行うものである。この操向レバー16は、刈取り前処理部30を昇降操作するレバーに兼用されており、自走機体前後方向に揺動操作することによって昇降シリンダ3を操作できるようなっている。主変速レバー17は、左右の走行装置1の前後進切り換え、無段変速、停止操作を行うものである。副変速レバー18は、左右のクローラ走行装置1を低速状態と高速状態に副変速するものである。クラッチレバー19は、刈取り前処理部30を入り切り操作する刈取りクラッチ(図示せず)、及び、脱穀装置4を入り切り操作する脱穀クラッチ(図示せず)を切り換え操作するものである。
【0025】
前記エンジンボンネット23、前記運転部床12、前記操縦塔13、前記横側壁14、前記横操作盤15は、図5の如き一つの運転部フレームFに支持されており、前記運転部フレームFは、エンジン21よりも自走機体後方側の穀粒タンク5よりも自走機体前方側で、かつ、エンジン21の自走機体横方向での機体外側端よりも自走機体内方側に配置した自走機体上下方向の運転部開放軸芯P1まわりで回動自在に機体フレーム2に支持されている。運転座席11はエンジンボンネット23の天板23aに支持されており、エンジンボンネット23、運転座席11、運転部床12、操縦塔13、横側壁14、横操作盤15は、一体に前記運転部開放軸芯P1まわりで機体フレーム2に対して回動するよう支持されて、図2に示す如く機体フレーム2の上側の原動部20や運転部10に位置した閉じ状態と、図8に示す如くエンジン21よりも自走機体後方側に位置した開放した開き状態とに回動切り換えできるようになっている。
【0026】
穀粒タンク5は、この穀粒タンク5の後方側に前記縦スクリューコンベヤ7のスクリュー軸芯と同一軸芯になるように配置した自走機体上下向きのタンク開放軸芯Tまわりで開閉回動自在に、かつ、縦スクリューコンベヤ7と共に回動するように機体フレーム2に支持されている。
【0027】
つまり、作業や移動走行を行うなどの通常時は、図5(イ)の如く前記運転部フレームFを前記運転部開放軸芯P1まわりで機体内側に閉じ回動させる。するとエンジンボンネット23などが前記閉じ状態になり、エンジン21及びエンジン冷却用ラジエータ22がエンジンボンネット23によって覆われた状態になり、運転座席11がエンジンボンネット23の上側で前向きに支持された状態になる。そして、運転部床12及び操縦塔13が機体フレーム2の上側の運転座席11の前方に、横側壁14が機体フレーム2の上側の運転部床12の横側方に、横操作盤15が機体フレーム2の上側の運転座席11の横側方にそれぞれ位置した状態になり、運転部10に搭乗して自走機体や刈取り前処理部30を運転や操作することが可能になる。
このとき、穀粒タンク5をタンク開放軸芯Tまわりで自走機体内方側に回動させて、運転部10の後方の脱穀装置4の横側に穀粒タンク5の前後向きが自走機体の前後向きになって位置した閉じ状態にしておく。
【0028】
エンジン21を点検するなどの管理や修理作業を行うに当たり、図8の如く穀粒タンク5をタンク開放軸芯Tまわりで閉じ状態から自走機体横外方側に回動させて穀粒タンク5の前端側が自走機体横外側に位置した開き状態にし、これによって穀粒回収部Aの前端部にエンジンボンネット23などが入り込むスペースを形成し、図5(ロ)の如く運転部フレームFを運転部開放軸芯P1まわりで閉じ位置から自走機体横外方側に約90度、開き回動させる。すると、エンジンボンネット23などが前記開き状態になり、エンジンボンネット23及び運転座席11がエンジン21よりも自走機体後方側に位置してエンジン21やエンジン冷却用ラジエータ22を開放し、エンジン21、及び、エンジン冷却用ラジエータ22などのエンジン付属装置を点検や修理しやすくなる。また、運転部床12、操縦塔13、横側壁14、横操作盤15もエンジン21よりも自走機体後方側に位置してエンジン前付近での自走機体内を開放した状態になり、エンジン21から走行装置1や刈取り前処理部30に動力伝達する伝動系などをエンジン21の前方側から点検や修理しやすくなる。
【0029】
前記操向レバー16、副変速レバー18、クラッチレバー19は、エンジンボンネット23などが開閉操作される際、操縦塔13や横操作盤15に付いて移動するように、かつ、操向クラッチ、副変速装置、各クラッチとの連動を絶つ必要がないように操向クラッチ、副変速装置、各クラッチに操作ケーブル(図示せず)を介して連動されている。
【0030】
図7に示すように、前記主変速レバー17と、静油圧式無段変速装置で成る走行変速装置40の操作軸40aとは、主変速レバー17に付設された揺動アーム41などを備えたレバー側連動機構LRと、走行変速装置40の前記操作軸40aに付設された操作アーム50などを備えた変速装置側連動機構HRとを介して連動されるように構成してある。
【0031】
レバー側連動機構LRは、主変速レバー17の基部17aに一体回動自在に連結された前記揺動アーム41、この揺動アーム41に上端部が相対回動自在に連結された自走機体上下向きの連動杆42、この連動杆42の下端部に連結ピン43を介して連動された第1揺動リンク44、この第1揺動リンク44の回転支軸45に一体回転自在に連結された第2揺動リンク46を備えて構成してある。
【0032】
変速装置側連動機構HRは、走行変速装置40の前記操作軸40aに一体回動自在に連結された前記操作アーム50、この操作アーム50に一端側が相対回動自在に連結された連動ロッド51、この連動ロッド51の他端側が相対回動自在に連結された揺動リンク52、この揺動リンク52に一端側が相対回動自在に連結された連動ロッド53、この連動ロッド53の他端側に先端部が相対回動自在に連結された第1揺動リンク54、この第1揺動リンク54の回転支軸55に一体回動自在に連結された第2揺動リンク56を備えて構成してある。
【0033】
レバー側連動機構LRは、横操作盤15がエンジンボンネット23などと共に開閉されると、エンジンボンネット23などを備える構造体に付いて移動するように前記運転部フレームFなどに支持されている。変速装置側連動機構HRは、機体フレーム2に支持されている。これにより、横操作盤15がエンジンボンネット23などと共に開閉されると、レバー側連動機構LRの前記第2揺動リンク46に設けてある連動ピン47が、変速装置側連動機構HRの第2揺動リンク56に設けてある切り欠き部57に係入して、第2揺動リンク46の揺動力が連動ピン47を介して第2揺動リンク56に伝達されるように両第2揺動リンク46,56が連動状態に切り換わったり、前記連動ピン47が前記切り欠き部57から離脱して、両第2揺動リンク46,56が分離状態に切り換わったりするように構成してある。
【0034】
つまり、エンジンボンネット23などが前記開き状態に切り換えられる際、主変速レバー17と走行変速装置40との連動が前記両第2揺動リンク46,56の間で自ずと絶たれて、主変速レバー17が横操作盤15に付いて移動していき、エンジンボンネット23などが前記閉じ状態に戻されると、主変速レバー17が走行変速装置40に連動された状態に自ずと復帰するようになっている。
【0035】
図4,5などに示すように、エンジン21よりも自走機体横外方側に位置した部位に前記運転部開放軸芯P1と平行に配置した自走機体上下向きの軸芯P2まわりで機体フレーム2に揺動自在に支持された支持フレーム60を自走機体に備えさせ、前記支持フレーム60の遊端側にレール材を付設して備えさせた支持レール部61にローラ62を介して下端側が摺動自在に支持された脚フレーム70を前記運転部フレームFの遊端側に設けることにより、エンジンボンネット23の遊端側を、運転部フレームFを介して支持フレーム60の遊端側の前記支持レール部61に摺動自在に支持させてある。
【0036】
すなわち、図6に示すように、エンジンボンネット23などが運転部開放軸芯P1まわりで開閉回動されると、運転部フレームFの脚フレーム70が支持フレーム60の支持レール部61と摺動し合いながら支持フレーム60に操作力を付与し、これにより、支持フレーム60が支持レール部61にてエンジンボンネット23や運転部フレームFなどの荷重を支持しながらエンジンボンネット23などに付いて軸芯P2まわりで揺動して、エンジンボンネット23や運転部フレームFを開閉回動させる。
【0037】
図5,6に示すように、前記運転部フレームFは、機体フレーム2の支柱2aの上下複数箇所に支持されたヒンジ部材63を介して前記運転部開放軸芯P1まわりに回動自在に前記支柱2aに連結された自走機体上下向きの連結フレーム71、この連結フレーム71に後端側が連結された横側壁支持フレーム72、この横側壁支持フレーム72及び前記連結フレーム71に横一端側が連結されたエンジンボンネット支持フレーム73、前記横側壁支持フレーム72及びエンジンボンネット支持フレーム73の前部に後端側が連結された運転部床支持フレーム74、前記横側壁支持フレーム72の上端側に連結された横操作盤支持フレーム75、前記横側壁支持フレーム72の前端部及び前記運転部床支持フレーム74の横一端側の前端部に連結された操縦塔支持フレーム76、前記運転部床支持フレーム74の横一端側の前端部に上端部が連結された前記脚フレーム70を備えて構成してある。
【0038】
〔別実施例〕
運転キャビンを備えたコンバインの場合、前記横側壁14として運転キャビンの横側壁が備えられ、操縦塔13として運転キャビンの操作盤付きの前側壁が備えられるのであり、本発明は、運転キャビン付きのコンバインにも適用できる。
【符号の説明】
【0039】
2 機体フレーム
10 運転部
11 運転座席
12 運転部床
13 操縦塔
14 横側壁
15 操作盤
21 エンジン
23 エンジンボンネット
60 支持フレーム
P1 運転部開放軸芯
P2 支持フレームの揺動軸芯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転部を、運転座席を支持したエンジンボンネットと、前記運転座席の前方に位置した運転部床及び操縦塔と、前記運転部床の横側方で運転部の内外を仕切る横側壁と、前記運転座席の横側方に位置した操作盤と、前記エンジンボンネット、前記運転部床、前記操縦塔、前記横側壁及び前記操作盤を支持する運転部フレームとを備えて構成し、
前記エンジンボンネット、前記運転部床、前記操縦塔、前記横側壁及び前記操作盤と一体で前記運転部フレームが機体フレームに対して回動するよう前記運転部フレームを前記運転部の後部の上下向きの運転部開放軸芯まわりで回動自在に支持し、
前記運転部フレームの遊端側を下側から支持する支持フレームを、前記機体フレームの機体外側に位置する上下向きの揺動軸芯まわりで揺動自在に前記機体フレームに支持し、前記エンジンボンネットがエンジンを覆った前記運転部の閉じ状態では、前記支持フレームが前記機体フレームに沿った前後向きとなり、前記運転部を前記エンジンが開放された開き状態に回動切り換えすると、前記支持フレームの遊端側が前記運転部フレームの遊端側とともに前記揺動軸芯まわりで機体外側に揺動するよう構成してあるコンバイン。
【請求項2】
前記機体フレームから上下向きの支柱を立設し、前記運転部フレームを、前記支柱の上下複数箇所に支持されたヒンジ部材を介して前記運転部開放軸芯まわりで回動自在に前記支柱に支持してある請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記運転部フレームを、前記運転部床を支持する運転部床支持フレームと、前記運転部床支持フレームの前端部に上端部が連結された脚フレームとを備えて構成し、前記脚フレームを前記支持フレームの遊端側で下側から支持してある請求項1又は2記載のコンバイン。
【請求項4】
前記運転部を運転キャビンで構成し、前記運転キャビンを、前記操縦塔としての運転キャビンの操作盤付き前側壁と、前記横側壁としての運転キャビンのキャビン横側壁とを備えて構成してある請求項1〜3のいずれか一項に記載のコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−42032(P2010−42032A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266709(P2009−266709)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【分割の表示】特願2005−214263(P2005−214263)の分割
【原出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】