説明

コンバイン

【課題】急停止に伴う作業者の前後移動による主変速レバーを誤操作防止。
【解決手段】走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度を無段階に変速可能な走行装置3の前方に刈取部4を設け、前記刈取部4は前記無段変速装置12の主変速レバー13の傾倒操作により変速された走行速度に同調して変速駆動する構成とし、前記主変速レバー13の中立操作または操縦部6に設けた駐車ブレーキペダル55の踏み込み操作による走行装置3の停止操作によって、前記走行用静油圧式無段変速装置12を減速制御して機体が停止するようにし、機体が停止する直前に、走行装置3に回転伝達するミッションケース18の左右サイドクラッチ60を自動的に所定時間「切り」にするように構成したコンバイン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、刈取部は走行用変速装置の主変速レバーの傾倒操作により変速された走行速度に同調して回転数を増減に変速するように構成し、主変速レバーの中立操作または操縦部に設けたブレーキペダルの踏み込み操作のいずれの操作によっても機体の走行に制動を与えるようにした構成は、公知である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−250615
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記公知例は、機体の停止操作を主変速レバーのみならず駐車ブレーキペダルにより行えるようにして、急制動・急停止操作の操作性を向上させたものであるが、単に、急停止させるだけであるため、主変速レバーにより急停止操作した場合、作業者は慣性により前方に投げ出されるように移動し、この急停止に伴う作業者の前後移動により握っていた主変速レバーを誤って動かすことがあるという課題がある。
本願は、制動・停止操作の操作性を向上させると共に、停止時の衝撃を緩和するように工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では、走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度を無段階に変速可能な走行装置3の前方に刈取部4を設け、走行装置3の上方には脱穀装置2を設け、前記刈取部4は前記走行用静油圧式無段変速装置12の主変速レバー13の傾倒操作により変速された走行速度に同調して変速駆動する構成とし、前記主変速レバー13の中立操作または操縦部6に設けた駐車ブレーキペダル55の踏み込み操作による走行装置3の停止操作によって、前記走行用静油圧式無段変速装置12を減速制御して機体が停止するようにし、機体が停止する直前に、走行装置3に回転伝達するミッションケース18の左右サイドクラッチ60を自動的に所定時間「切り」にするように構成したコンバインとしたものであり、機体停止するまでの減速は走行用静油圧式無段変速装置12の減速出力を迅速に行って制動距離を短くし、機体停止する直前に左右サイドクラッチ60を「切り」にするので、走行用静油圧式無段変速装置12の減速出力が弱まり、機体の停止に伴う慣性の作用で作業者が前方に投げ出される停止のショックを緩和させる。
本発明では、前記走行装置3の停止操作による機体停止直前に、自動的に前記ミッションケース18の左右サイドクラッチ60を「切り」にした所定時間経過後、再び左右のサイドクラッチ60を「入り」にすると共に、所定時間前記走行用静油圧式無段変速装置12に微速前進の出力を行うように構成したコンバインとしたものであり、走行装置3の停止操作による機体停止直前に、自動的にミッションケース18の左右サイドクラッチ60を「切り」にするだけでなく、再び左右のサイドクラッチ60を「入り」にして走行用静油圧式無段変速装置12に微速前進の出力を行うので、一層、停止のショックを緩和させる。
【発明の効果】
【0005】
請求項1の発明では、刈取部4の駆動速度を走行速度に同調させることによって、穀稈を円滑に引き起こして刈り取ることができ、また、機体停止する直前に左右サイドクラッチ60を「切り」にするので、機体の停止に伴う慣性の作用で作業者が前方に投げ出される停止のショックを緩和させることができる。
請求項2の発明では、上記請求項1の効果に加えて、左右のサイドクラッチ60を「切り」にするより、一層、停止のショックを緩和させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の実施例を図面により説明すると、1は機体フレ−ム、2は機体フレ−ム1の上方位置に設けた脱穀装置、3は機体フレ−ム1の下方位置に設けた走行装置、4は機体フレ−ム1の前方に設けた刈取部、5は前記脱穀装置2の側部に設けた該脱穀装置2より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、6は操縦部、7はグレンタンク5内の穀物を揚穀する揚穀排出装置である。
前記刈取部4の一例を示すと、分草体8、引起装置(図示省略)、刈刃9および搬送装置を有して構成する。
10は搬送装置により搬送され穀稈を脱穀装置2の脱穀室(図示省略)に穀稈を供給する穀稈供給搬送装置、11は穀稈供給搬送装置10の始端側に設けたシンクロ用前側供給搬送装置である。
前記穀稈供給搬送装置10は、挾扼杆(図示省略)と搬送供給チエン(フィードチェン、図示省略)により構成する。挾扼杆は脱穀装置2の上部カバーに上下自在に取付けられ、搬送供給チエンに弾着して穀稈を挟持搬送する。搬送供給チエンは無端チエンにより構成し、任意構成の案内レール(図示省略)により案内されて移動するように構成する。
【0007】
しかして、走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により走行速度変更可能に構成し、刈取部4へ伝達する回転も走行装置3の走行速度に同調して変速するようにする。
走行用静油圧式無段変速装置12は、主変速レバー13の傾倒操作量に応じて増減速し、例えば、図2のように、走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインAと、該標準作業ラインAよりも短時間で増速するようにした倒伏作業ラインBにより変速するように構成する。
前記走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧ポンプ14のポンプ斜板15の傾斜を変更して油圧モータ16への送油量を無段階に変更して回転を伝達し(図3)、油圧モータ16にも傾斜角度を二段階に切替可能なモータ斜板17を設け、機体の走行速度の上限を通常走行と高速走行への切替可能に構成する。
19はモータ斜板17を切替える切替手段(ソレノイド)である。
【0008】
また、本願の走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧モータ16により二段階に走行速度を切替可能にすることで副変速機能を奏するように構成し、ミッションケース18内の機械的な副変速機構を省略している。
なお、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11は、走行用静油圧式無段変速装置12からの変速回転を刈取部4に同調するように伝達してもよいが(図4)、本願では刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により走行速度に同調させて変速しており(図6)、そのため、図3や図5等には刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を図示しているが、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の存在は前記車速制御の本質的な要件ではない。
刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21による走行速度への同調は、脱穀装置2と穀稈供給搬送装置10とをエンジン22からの一定駆動回転で駆動して脱穀作業を安定させつつ、穀稈供給搬送装置10への引継を円滑・確実にする。
【0009】
また、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11への伝達回転は、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速するので、通常は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21が刈取部4を走行速度に同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21単独で刈取部4および/またはシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動するように構成する。
そのため、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を十分な回転数で駆動させることができ、機体走行開始直後から安定して刈取部4および脱穀装置2を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
また、走行用静油圧式無段変速装置12から走行装置3への回転を停止させたとき、単独の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動すると、機体走行停止状態でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動し、シンクロ用前側供給搬送装置11および穀稈供給搬送装置10へ手刈り穀稈を供給でき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
【0010】
エンジン22から走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21への回転伝達機構の構成は任意であるが、一例を示すと、25Aは走行用出力プーリー、25Bは刈取脱穀用出力プーリー,26は走行用静油圧式無段変速装置12の入力プーリー、28は刈取脱穀用出力プーリー25Bの回転が伝達される中間プーリー,29は中間軸、30は中間歯車、31は中間伝動軸、32は一対の脱穀用傘歯車、33は脱穀伝動軸、33Aは脱穀用中間プーリー、34は扱胴、35は処理胴、36は刈取用中間歯車、37は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸、38は刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST出力軸、39は刈取用中間出力軸、40は搬送シンクロ用出力軸、41は穀稈供給搬送中間出力軸、41Aは供給搬送用プーリー、42は唐箕、43は穀稈供給搬送装置10の駆動歯車、44は刈取脱穀クラッチ、45は刈取用中間出力軸39に設けた刈取中間出力プーリー,46は刈取中間入力プーリー、47は刈取中間出力プーリー45と刈取中間入力プーリー46に掛け回したベルトである。
【0011】
50は刈取用中間歯車36および刈取用中間出力軸39等を設けたギヤケースであり、ギヤケース50の操縦部6側に刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設ける。そのため、機体重量バランスやギヤケース50の取付バランスを良好にする。
ギヤケース50の穀稈供給搬送装置10側の刈取用中間出力軸39と搬送シンクロ用出力軸40と穀稈供給搬送中間出力軸41には、刈取中間出力プーリー45に掛け回したベルト47等の張力が作用するが、この張力の作用する反対側のギヤケース50に刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設けているので、バランスが良好になる。
しかして、前記操縦部6の所定位置には駐車ブレーキペダル55を設け、駐車ブレーキペダル55の踏み込みによって走行用静油圧式無段変速装置12の出力を減速制御するように構成し、駐車ブレーキペダル55を完全に踏み込むと、走行用静油圧式無段変速装置12の出力を零にし、機体が停止すると、ミッションケース18に設けた駐車ブレーキ56を自動的に作動させて機体停止状態の保持をするように構成する。
【0012】
したがって、主変速レバー13の操作のみならず、駐車ブレーキペダル55の操作でも機体の制動および停止操作が可能になって、操作性を向上させ、特に、乗用車の運転に慣れた作業者の場合、乗用車のブレーキペダル操作の操作感覚に近付けて、操作性を向上させられる。
この場合、駐車ブレーキペダル55の踏み込み量はポテンショメータ等の検出手段57により検出するようにし、駐車ブレーキペダル55の踏み込み量に応じて無段階に走行用静油圧式無段変速装置12の出力を減速制御するように構成し、検出手段57とは別途駐車ブレーキペダル55の中間踏み込み位置を検出する踏み込み中間位置検出スイッチ58を設け、踏み込み中間位置検出スイッチ58により駐車ブレーキペダル55が所定中間位置を通過した後の駐車ブレーキペダル55の最も深い踏み込み位置(全ストローク)までの間の任意所定位置で機体が停止するように構成する。
そのため、走行用静油圧式無段変速装置12の減速制御の出力の設定を容易にする。
【0013】
また、機体が停止してミッションケース18の駐車ブレーキ56が作動する直前に、主変速レバー13が中立位置となるように、駐車ブレーキ56と主変速レバー13とをリンク等により機械的に連結する。
そのため、機体が完全に停止しない状態で、駐車ブレーキ56を作動させると、ミッションケース18内はメカロック状態となり、容量(耐久性)の小さい駐車ブレーキ56の負荷が高くなって、駐車ブレーキ56の破損・摩耗等の不具合が生じるが、走行用静油圧式無段変速装置12を電子制御して走行用静油圧式無段変速装置12の出力を中立に戻すようにして、ミッションケース18内のメカロック状態の発生を未然に防止して、駐車ブレーキ56の破損・摩耗等の不具合を防止する。
しかして、走行用静油圧式無段変速装置12の出力により前後進の速度制御するようにし、主変速レバー13の中立操作あるいは前記駐車ブレーキペダル55の踏み込み操作をすると、走行用静油圧式無段変速装置12を減速制御して機体を急停止するように構成し、車速が零になる直前に、自動的にミッションケース18の左右サイドクラッチ60を所定時間「切り」にするように構成する。
【0014】
そのため、機体停止するまでの減速は迅速に行って制動距離を短くし、車速が零になる直前に左右サイドクラッチ60を「切り」にして、停止のショックを緩和させる。
また、急停止させた場合、作業者は慣性(前進方向の加速度が上昇する)により前方に投げ出されるように移動するなど、急停止に伴う作業者の前後移動により握っていた主変速レバー13を誤って動かすことがあるが、本願では、停止のショックを緩和させるので、主変速レバー13の誤操作の防止も期待できる。
この場合、機体停止する直前とは、作業者が慣性により前方移動しないようにすればよく、例えば、機体停止する五百分の1秒前に、左右サイドクラッチ60を「切り」にする。また、作業者に作用する慣性を感知(検出)する任意の感知手段(図示省略)を設け、感知手段により前進方向の慣性が零になると推定される直前に左右サイドクラッチ60を「切り」にする。
【0015】
また、主変速レバー13の中立操作あるいは前記駐車ブレーキペダル55の踏み込み操作時の走行速度および走行加速度を検出し、所定時間経過後の走行速度および走行加速度を対比して求められる推定走行速度が零になる直前に、自動的にミッションケース18の左右サイドクラッチ60を「切り」にするように構成してもよい。
また、主変速レバー13の中立操作あるいは前記駐車ブレーキペダル55の踏み込み操作といった前記走行装置3の停止操作による機体停止直前に、自動的にミッションケース18の左右サイドクラッチ60を「切り」にした所定時間経過後再び左右のサイドクラッチ60を「入り」にすると共に、所定時間走行用静油圧式無段変速装置12に微速前進の出力を行って、停止のショックを緩和させるように構成しても良い。
この場合、微速前進速度は任意であるが、停止のショックを緩和させるに十分であれば良く、例えば、登り勾配の坂道で機体が下がらないような前進出力を瞬間的に出力させればよい。
【0016】
即ち、例えば、下りの坂道で前進するとき、走行用静油圧式無段変速装置12の出力軸が実際は回転はしていなくても機体が下がらないように走行用静油圧式無段変速装置12からの出力するように、ミッションケース18の左右サイドクラッチ60を「切り」にしてから所定時間経過後に再び左右のサイドクラッチ60を「入り」にして、所定時間走行用静油圧式無段変速装置12に走行用静油圧式無段変速装置12の出力軸が実際は回転はしなくても微速前進の出力を行って急停止の衝撃を緩和させる。
走行用静油圧式無段変速装置12の回転を車軸61に伝達するミッション機構Mの構成は任意であるが、一例を示すと、ミッションケース18の上部に走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ出力軸62を設ける。63はサイドクラッチ軸、64は遊星歯車機構、65は遊星歯車機構64の浅い円筒形状のキャリア、66はキャリア65の回転に制動を付与する多板式のブレーキ、71Aは駆動軸、72は受動歯車、73,74は遊星歯車である。
【0017】
左右のサイドクラッチ60が入りの状態では直進し、パワステを傾倒させるとブレーキ66により旋回内側となるキャリア65の回転に制動を掛けて緩旋回を開始し、更に、ブレーキ66により旋回内側となるキャリア65に制動を掛けて旋回内側の車軸の回転が零になるとブレーキターンとなり、更に、キャリア62に制動を掛けると旋回外側と旋回内側の車軸の回転が逆転してスピンターンとなる。
しかして、ミッションケース18には走行用静油圧式無段変速装置12の出力制御を行うための走行用回転センサ70と他の制御を行うための回転センサ71とを設ける。
走行用回転センサ70は、走行用静油圧式無段変速装置12の制御専用としているので、他の制御に起因するトラブルを回避できる。また、走行用回転センサ70と回転センサ71とは、夫々、一方が故障したときの非常用として使用しうるように構成している。
【0018】
走行用回転センサ70は正逆転読み取り可能なセンサにより構成する。そのため、主変速レバー13の前進後進の操作位置に関わらず回転検出可能となり、制御上の不具合発生がない。
即ち、例えば、前進から後進へ急変速した場合、主変速レバー13は後進に位置していても、実際は前進方向の減速中のときがあり、主変速レバー13の操作位置と走行方向が不一致となる場合でも、走行用回転センサ70が正確な回転方向および回転数を検出し、前進と後進のそれぞれの増減速の制御を正確に行え、走行制御の精度を向上させる。
前記走行用回転センサ70はミッションケース18に設けた走行用静油圧式無段変速装置12のHST出力軸62の回転あるいはHST出力軸62に設けた出力歯車72の回転を検出するように設ける。
したがって、走行用静油圧式無段変速装置12の制御を行うにあたり正確な走行用静油圧式無段変速装置12の出力回転数を検出でき、走行制御の精度を向上させる。
また、前記回転センサ71は、HST出力軸62より下手側のミッションケース18の回転軸に設ける。
【0019】
しかして、前記走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧モータ16のモータ斜板17の傾斜角度を二段階に切替可能に構成しており、作業クラッチ(脱穀クラッチ)検出スイッチ75の「入り」検出で油圧モータ16のモータ斜板17の傾斜角度を低速に、作業クラッチ検出スイッチ75の「切り」検出で油圧モータ16のモータ斜板17の傾斜角度を高速に自動変速するように構成する。
そのため、作業クラッチ検出スイッチ75の「入り」検出で油圧モータ16を低速に切り替えるので、出力トルクをあげて、刈取脱穀作業を円滑に行い、また、穀粒排出作業、一方刈作業中の高速移動、および、刈取作業終了後の圃場間の高速移動等が副変速操作をすることなく行えるため、作業効率がアップする。
また、前記走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16の自動変速を中止する自動変速停止スイッチ76を設ける。
そのため、走行用静油圧式無段変速装置12の自動変速を停止したい場合、自動変速停止スイッチ76の操作により簡単に行えるので、状況に応じて使い分けられ、操作性および作業性を向上させられる。
【0020】
この場合、前記走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17の傾斜角度を低速から高速に切替は、作業クラッチ(脱穀クラッチ)検出スイッチ作業クラッチ検出スイッチ75の「切り」検出によりモータ斜板17の傾斜角度を高速に自動変速するのを前提とし、自動変速するタイミングを主変速レバー13の増速操作があったときに行うように構成すると、作業者の操作感覚に適合した制御となる。
即ち、走行中に、モータ斜板17の傾斜角度が低速から高速に切替わると、走行速度が速くなるが、作業者の意思と無関係に増速すると、作業者がとまどうので、作業クラッチ検出スイッチ75の「入り」検出で油圧モータ16が低速に切替えられているとき、作業クラッチを切ってこれを作業クラッチ検出スイッチ75が「切り」検出し、更に、作業者の主変速レバー13の増速操作あったとき、モータ斜板17の傾斜角度を高速に自動変速するので、作業者の主変速レバー13の増速操作により作業者の意思を尊重した制御とし、操作ミスを防止する。
なお、作業者が主変速レバー13を最高速度位置に操作しているときは、最高速度での走行を認識しており、この状態で作業クラッチを切る操作が行われたときは高速移動を意識しているとして、主変速レバー13の増速操作がなくてもモータ斜板17の傾斜角度を低速から高速に自動的に切替える。
【0021】
また、従来の機械的な副変速機構では一旦機体全体の走行を停止させてから、副変速機構を標準と高速とに切り替える必要があり、操作が煩雑であるが、本願では、機体を停止させずに、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17の傾斜角度を切替えればよいので、操作性および作業性を向上させられる。
しかして、走行装置3は、機体フレ−ム1の下方位置に設けられ、機体フレ−ム1の一部は前側から第一横フレーム78と第二横フレーム79に前後方向で左右一対のメインビーム80を固定して構成し(図12)第一横フレーム78および第二横フレーム79と左右のメインビーム80との固定部分には正面視三角形状の補強板81を設ける(図13)。
そのため、左右方向の荷重に対する剛性を向上させる。
また、第一横フレーム78と第二横フレーム79の間に設けたメタルフロントと呼ばれる取付ステー82に掛かる旋回時の横荷重に対する剛性を向上させる。
取付ステー82は図示は省略するが機体フレーム1を走行装置3に対して上下させるローリング機構Lのローリングアームの軸を軸装すると共に、走行フレーム83を取付けるものである。
【0022】
また、補強板81の上辺を第一横フレーム78および第二横フレーム79に固定し、補強板81の測辺を左右のメインビーム80および取付ステー82に固定しており、左右のメインビーム80の間の補強板81の内側の測縁は傾斜させているので、剛性を向上させつつ泥抜けを良好にしている。
図15は、第二横フレーム79と左右のメインビーム80との固定部分には正面視三角形状の補強板81を設けた状態を図示している。
しかして、走行装置3は、走行フレ−ム83に駆動輪84と遊動輪85と転輪86を設け、これらにクローラー87を掛け回して構成しており、これらのうち、遊動輪85は走行フレーム83に対して前後移動自在に設ける。遊動輪85は、断面四角筒状の挿入部88の後部に取付ける。挿入部88は走行フレーム83の受け部89に前後方向に移動自在に挿入する。受け部89は上下左右の四枚の板部材90を略井桁状に互いに固定して構成する。
そのため、受け部89の強度が向上し、受け部89の製造の寸法精度を向上させる。
【0023】
受け部89は走行フレーム83に設けた最後部の後部転輪支持部91の上方に設ける。また、受け部89には該受け部89の外面側に突出するテンションボルト受け部92を固定し、テンションボルト受け部92に螺合させたテンションボルト93を挿入部88側に回転のみ自在に取付ける。
したがって、テンションボルト受け部92の剛性も向上させられる。
94Aはナットである。
しかして、前記走行フレーム83の収容部分は、上下のプレート95の左右両側に側板96を固定して断面箱形形状に構成する。
そのため、走行フレーム83は部品点数を減少させ、製造精度を向上させられ、剛性を向上させる。
前記上下のプレート95および側板96は互いを溶接固定するので、製造精度を向上させられ、剛性を向上させる。
【0024】
また、断面箱形形状に構成しているので、走行フレーム83内への泥土の進入を防止し、走行フレーム83の外面への泥土の付着を抑制する。
走行フレーム83の側板96にローリング機構のローリングアームの軸(図示省略)を軸装するボス部97を溶接固定する。
したがって、走行フレーム83の製造精度を向上させており、この走行フレーム83の側板96にローリング機構のローリングアームの回動中心の位置精度が向上し、ローリング機構等の車体水平リンク機構に無理な荷重が掛からず、耐久性が向上する。
97Aは上側転輪86の軸受けである。
しかして、本機コートローラ98と走行用静油圧式無段変速装置12(刈取搬送用静油圧式無段変速装置21)のHSTコントローラ99とエンジン22に設けたエンジンコントローラ100との間で互いに通信可能に構成し(図16)、エンジン22の負荷率と本機の作業条件により、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のポンプ斜板15の制御(車速の増減)を行うように構成する。
そのため、エンジン22の負荷情報により素早く刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の変速を行うことが可能となり、脱穀ロスの低減・操作負担の軽減させて、エンジン22の性能を最大限利用が図れる。
【0025】
しかして、前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21内には油圧ポンプ101と油圧モータ102が設けられ(図3)、油圧ポンプ101と油圧モータ102の油圧回路にはチェックバルブ103を設けて、油圧ポンプ101の回転が逆転域になったとき、逆回転を油圧モータ102へ伝達させないようにしている。
そのため、刈取部4を逆転駆動させることを防止して、刈取部4の破損を防止する。
刈取搬送用静油圧式無段変速装置21から刈取部4への伝動回路中にワンウエイクラッチを設ける必要が無く、コストダウンしうるコストメリットを大きくする。
前記刈取搬送用静油圧式無段変速装置21には、前記走行用静油圧式無段変速装置12のチャージポンプ104からのオイルを分流して供給するように構成する。
したがって、走行用静油圧式無段変速装置12と刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とチャージポンプ104を共用するので、コストメリットを高くする。
また、チャージポンプ104によるオイルの供給は、ラインフィルタ105を出たあとに分流させる回路に構成する。
【0026】
したがって、ラインフィルタ105を共用できるので、夫々専用のラインフィルタ105を設置する設置スペースや配管を不要にでき、コストメリットを高くし、また、オイル管理も容易になる。
前記走行用静油圧式無段変速装置12と刈取搬送用静油圧式無段変速装置21は、主変速レバー13の傾倒角度に応じて、同期させて作動させるが、同期および作動させるための構成は任意であり、例えば、主変速レバーと走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21をリンク等の機械的構成により連結したり、主変速レバーの傾倒角度を電気的に検出し、この信号により走行用静油圧式無段変速装置12と刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を電気的に制御するようにしてもよい。
【0027】
(実施例の作用)
機体を走行させると、刈取部4が圃場の穀稈を刈り取って搬送し、刈取部4により搬送された穀稈はシンクロ用前側供給搬送装置11に引き継がれ、シンクロ用前側供給搬送装置11は穀稈を穀稈供給搬送装置10に受け渡し、穀稈供給搬送装置10は穀稈を一定速度で搬送して脱穀装置2の脱穀室に供給して脱穀する。
走行装置3は走行用静油圧式無段変速装置12により主変速レバー13を傾倒させると、走行用静油圧式無段変速装置12がエンジン22の一定回転を無段階に変速して伝達し、走行速度変更可能に構成し、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転も走行装置3の走行速度に同調して変速するようにしているので、刈取部4は走行速度に応じて最適な作業回転数が伝達される。
即ち、主変速レバー13を傾倒操作すると、走行用静油圧式無段変速装置12によエンジン22の一定回転が無段階に変速されて走行装置3に伝達され、走行装置3の走行速度に同調して刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転も変速される。
【0028】
しかして、前記操縦部6のフロア54には駐車ブレーキペダル55を設け、駐車ブレーキペダル55の踏み込みによって走行用静油圧式無段変速装置12の出力を減速制御するように構成し、駐車ブレーキペダル55を完全に踏み込んで走行用静油圧式無段変速装置12の出力により機体停止すると、自動的にミッションケース18に設けた駐車ブレーキ56を作動させて機体停止状態の保持をするように構成しているので、主変速レバー13の操作のみならず、駐車ブレーキペダル55の操作でも機体の制動および停止操作が可能になって、操作性を向上させ、特に、乗用車の運転に慣れた作業者の場合、乗用車のブレーキペダル操作の操作感覚に近付けて、操作性を向上させられる。
この場合、駐車ブレーキペダル55の踏み込み量はポテンショメータ等の検出手段57により検出するようにし、駐車ブレーキペダル55の踏み込み量に応じて無段階に走行用静油圧式無段変速装置12の出力を減速制御するように構成し、検出手段57とは別途駐車ブレーキペダル55の中間踏み込み位置を検出する踏み込み中間位置検出スイッチ58を設け、踏み込み中間位置検出スイッチ58により駐車ブレーキペダル55が所定中間位置を通過した後の駐車ブレーキペダル55の最も深い踏み込み位置(全ストローク)までの間の任意所定位置で機体停止するように構成しているので、駐車ブレーキペダル55を踏み込めば減速を開始し、踏み込み量に応じて減速し、駐車ブレーキペダル55を完全に踏み込まなくても機体停止させられる。
【0029】
したがって、踏み込み量により作業者は機体停止を予測できるので、減速操作を容易にする。
この場合、機体が停止してミッションケース18の駐車ブレーキ56が作動する直前に、主変速レバー13が中立位置となるように、駐車ブレーキ56と主変速レバー13とをリンク等により機械的に連結しているので、駐車ブレーキ56が作動するのは機体が停止した後になり、機体走行中の駐車ブレーキ56の作動によるミッションケース18内のメカロック状態発生を未然に防止でき、駐車ブレーキ56の破損・摩耗等の不具合を防止する。
しかして、走行用静油圧式無段変速装置12の出力により前後進の速度制御するようにし、主変速レバー13の中立操作あるいは前記駐車ブレーキペダル55の踏み込み操作をすると、走行用静油圧式無段変速装置12を減速制御して機体停止するように構成し、車速が零になる直前に、自動的にミッションケース18の左右サイドクラッチサイドクラッチ60を所定時間「切り」にするように構成しているので、機体停止するまでの減速は迅速に行って制動距離を短くし、車速が零になる直前に左右サイドクラッチ60を「切り」にして、停止のショックを緩和させる。
【0030】
主変速レバー13の中立操作あるいは駐車ブレーキペダル55の踏み込み操作により急停止させた場合、作業者は慣性(前進方向の加速度が上昇する)により前方に投げ出されるように移動するなど、急停止に伴う作業者の前後移動により握っていた主変速レバー13を誤って動かすことがあるが、本願では、停止のショックを緩和させるので、主変速レバー13の誤操作の防止も期待できる。
この機体停止する直前を検出する構成は任意であり、作業者が慣性により移動しないようにすればよく、例えば、機体停止する五百分の1秒前というような所定時間を設定して左右サイドクラッチ60を「切り」にするようにしたり、あるいは、主変速レバー13の中立操作あるいは前記駐車ブレーキペダル55の踏み込み操作時の走行速度および走行加速度を検出し、所定時間経過後の走行速度および走行加速度を対比演算して求められる推定走行速度が零になる直前に、自動的にミッションケース18の左右サイドクラッチ60を「切り」にするように構成しても良く、推定走行速度が零になる直前とすると、停止のショックを緩和させる走行停止制御の精度を向上させ、好適である。
また、作業者に作用する慣性を感知(検出)する任意の感知手段(図示省略)を設け、感知手段により前進方向の慣性が零になると推定される直前に左右サイドクラッチ60を「切り」にすると、作業者の慣性移動を防止できて、作業者の慣性移動に起因する誤操作の防止には特に有効である。
【0031】
しかして、ミッションケース18には走行用静油圧式無段変速装置12の出力制御を行うための走行用回転センサ70と他の制御を行うための回転センサ回転センサ71とを設けているので、走行用回転センサ70を走行用静油圧式無段変速装置12の制御専用にでき、他の制御に起因するトラブルを回避できる。
また、走行用回転センサ70と回転センサ71とは、夫々、一方が故障したときの非常用として使用しうるように構成しているので、センサの故障等の非常時に有効となる。
走行用回転センサ70は正逆転読み取り可能なセンサにより構成しているので、主変速レバー13の前進後進の操作位置に関わらず回転検出可能となり、制御上の不具合発生がない。
即ち、例えば、前進から後進へ急変速した場合、主変速レバー13は後進に位置していても、実際は前進方向の減速中のときがあり、主変速レバー13の操作位置と走行方向が不一致となる場合でも、走行用回転センサ70が正確な回転方向および回転数を検出し、前進と後進のそれぞれの増減速の制御を正確に行え、走行制御の精度を向上させる。
【0032】
しかして、前記走行用静油圧式無段変速装置12は、油圧モータ16のモータ斜板17の傾斜角度を二段階に切替可能に構成しており、作業クラッチ(脱穀クラッチ)検出スイッチ75の「入り」検出で油圧モータ16のモータ斜板17の傾斜角度を低速に、作業クラッチ検出スイッチ75の「切り」で油圧モータ16のモータ斜板17の傾斜角度を高速に自動変速するように構成しているので、穀粒排出作業、一方刈作業中の高速移動、および、刈取作業終了後の圃場間の高速移動等が副変速操作をすることなく、作業クラッチの入切により行えるため、作業効率がアップする。
また、前記走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16の自動変速を中止する自動変速停止スイッチ76を設けているので、走行用静油圧式無段変速装置12の自動変速を停止したい場合、自動変速停止スイッチ76の操作により簡単に行えるので、状況に応じて使い分けられ、操作性および作業性を向上させられる。
この場合、前記走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17の傾斜角度を低速から高速に切替は、作業クラッチ検出スイッチ75の「切り」によりモータ斜板17の傾斜角度を高速に自動変速するのを前提とし、自動変速するタイミングを主変速レバー13の増速操作があったときに行うように構成してもよく、このようにすると、作業者の操作感覚に適合した制御となる。
【0033】
即ち、走行中に、モータ斜板17の傾斜角度が低速から高速に切替わると、走行速度が速くなるが、作業者の意思と無関係に増速すると、作業者が戸惑うので、作業者の主変速レバー13の増速操作により作業者の意思を尊重した制御とし、操作ミスを防止する。
また、従来の機械的な副変速機構では一旦機体全体の走行を停止させてから、副変速機構を標準と高速とに切り替える必要があり、操作が煩雑であるが、本願では、機体を停止させずに、走行用静油圧式無段変速装置12の油圧モータ16のモータ斜板17の傾斜角度を切替えればよいので、操作性および作業性を向上させられる。
しかして、本願では、走行用静油圧式無段変速装置12とは別個に刈取部4の専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21を設け、走行用静油圧式無段変速装置12と刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とにより、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11へ伝達する回転を走行装置3の走行速度に同調して変速するように構成しているので、この刈取部4の専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21による特有の作用について以下詳述する。
【0034】
走行装置3の走行速度は主変速レバー13の操作により走行速度を変速し、この走行速度に対して、例えば、図2の走行速度に対して所定割合で伝動回転を増速する標準作業ラインAと、該標準作業ラインAより上昇率の高い加速をするようにした倒伏作業ラインBとを選択的に採用して、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動させる。
そして、シンクロ用前側供給搬送装置11は植立状態で刈取部4から搬送される穀稈の姿勢を横倒し状態に変えて引き継ぐので、シンクロ用前側供給搬送装置11と穀稈供給搬送装置10との間で搬送速度に若干の差があっても、搬送姿勢が横向きなので、円滑に引き継げる。
即ち、実施例の刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11は、刈取搬送専用の刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により走行速度に同調させて変速しているので、脱穀装置2と穀稈供給搬送装置10をエンジン22からの一定駆動回転で駆動して脱穀効率を向上させつつ、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11の回転を走行速度に同調させて刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速して、穀稈供給搬送装置10への引継を円滑・確実にする。
【0035】
また、刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11への伝動回転は、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により変速するので、通常は走行速度に同調させて変速するが、所定条件のときは、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21単独で刈取部4および/またはシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動させることができるので、作業態様を広げ、汎用性を向上させられる。
即ち、機体停止状態から所定走行速度の間でも、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を十分な回転数で駆動させることができるので、機体走行開始直後から安定して刈取部4および脱穀装置2を駆動させられ、刈取作業および脱穀作業を安定・確実に行える。
また、走行用静油圧式無段変速装置12から走行装置3への回転を停止させたとき、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21単独でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動すると、機体走行停止状態でシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動させることができるので、シンクロ用前側供給搬送装置11および穀稈供給搬送装置10へ手刈り穀稈を供給する供給作業を容易にでき、刈取作業および脱穀作業の作業性および操作性を向上させられる。
【0036】
しかして、エンジン22の回転が中間プーリー28に伝達され、中間プーリー28は中間軸29と中間歯車30を介してケースの中間伝動軸31に回転を伝達し、中間伝動軸31で扱胴34側と穀稈供給搬送中間出力軸41および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とに伝動を分岐する。
脱穀用傘歯車32に伝達された回転は扱胴34に伝達して駆動する。
中間伝動軸31の回転は穀稈供給搬送中間出力軸41に伝達されて、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転は穀稈供給搬送装置10の終端側から入力させて、穀稈供給搬送装置10を駆動する。
したがって、穀稈供給搬送中間出力軸41は走行用静油圧式無段変速装置12および刈取搬送用静油圧式無段変速装置21とは無関係にエンジン22からの一定に設定された回転を、穀稈供給搬送装置10に伝達し、穀稈供給搬送装置10と扱胴34とは常時同じ関係で回転する。
【0037】
穀稈供給搬送中間出力軸41の下手側には刈取用中間歯車36により回転が伝達される刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の刈取HST入力軸37を設けているので、穀稈供給搬送中間出力軸41の回転が刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のポンプに入力されて、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21のモータから変速された回転が刈取HST出力軸38により出力され、刈取HST出力軸38は刈取用中間出力軸39および搬送シンクロ用出力軸40により刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を駆動回転させる。
なお、前記した各実施例は、理解を容易にするために、個別または混在させて図示、あるいは説明しており、ブロック図等を含めたこれらの実施例は相互に夫々種々組合せ可能であり、特に、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21により刈取部4およびシンクロ用前側供給搬送装置11を走行速度に同調させる構成であっても、走行用静油圧式無段変速装置12単独により走行速度に同調させる構成に組み合わせることや、各種スイッチ等の組み合わせも含めて、実施例の相互の組合せは可能であり、これらの表現によって、構成・作用等が限定されるものではなく、また、相乗効果を奏する場合も勿論存在する。特に、走行装置3と刈取部4の同調制御させる構成は任意であり、刈取搬送用静油圧式無段変速装置21の存在は要件ではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】コンバインの側面図。
【図2】刈取部の回転数と車速との関係図。
【図3】無段変速装置の油圧回路図。
【図4】伝動機構の概略図。
【図5】操縦部の側面図。
【図6】ミッション機構の概略図。
【図7】ブロック図
【図8】駐車ブレーキペダルの踏み込み量と車速との関係図。
【図9】ミッションケースの側面図。
【図10】ブロック図
【図11】ブロック図
【図12】機体フレームの一部平面図。
【図13】同正面図。
【図14】同側面図。
【図15】同正面図。
【図16】同側面図。
【図17】走行装置の一部側面図。
【図18】S1ーS1断面図。
【図19】S2ーS2断面図。
【図20】走行フレームの一部側面図。
【図21】同背面図。
【図22】走行フレームの側面図。
【図23】S3ーS3断面図。
【図24】S4ーS4断面図。
【符号の説明】
【0039】
1…機体フレ−ム、2…脱穀装置、3…走行装置、4…刈取部、5…グレンタンク、10…穀稈供給搬送装置、11…シンクロ用前側供給搬送装置、12…走行用静油圧式無段変速装置、13…主変速レバー、14…油圧ポンプ、15…ポンプ斜板、16…油圧モータ、17…モータ斜板、18…ミッションケース、21…刈取搬送用静油圧式無段変速装置、22…エンジン、26…入力プーリー、27…ミッションケース、28…中間プーリー、29…中間軸、30…中間歯車、31…中間伝動軸、32…脱穀用傘歯車、33…脱穀伝動軸、34…扱胴、35…処理胴、36…刈取用中間歯車、37…刈取HST入力軸、38…刈取HST出力軸、39…刈取用中間出力軸、40…搬送シンクロ用出力軸、41…穀稈供給搬送中間出力軸、42…唐箕、43…駆動歯車、44…刈取脱穀クラッチ、45…刈取中間出力プーリー、46…刈取中間入力プーリー、47…ベルト、50…ギヤケース、55…駐車ブレーキペダル、57…検出手段、56…駐車ブレーキ、58…踏み込み中間位置検出スイッチ、60…サイドクラッチ、62…HST出力軸、70…走行用回転センサ、71…回転センサ、72…出力歯車、75…作業クラッチ検出スイッチ、76…自動変速停止スイッチ、78…第一横フレーム、79…第二横フレーム、80…メインビーム、81…補強板、82…取付ステー、83…走行フレーム、84…駆動輪、85…遊動輪、86…転輪、87…クローラー、88…挿入部、89…受け部、90…板部材、91…後部転輪支持部、92…テンションボルト受け部、93…テンションボルト、96…側板、97…ボス部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用静油圧式無段変速装置(12)により走行速度を無段階に変速可能な走行装置(3)の前方に刈取部(4)を設け、走行装置(3)の上方には脱穀装置(2)を設け、前記刈取部(4)は前記走行用静油圧式無段変速装置(12)の主変速レバー(13)の傾倒操作により変速された走行速度に同調して変速駆動する構成とし、前記主変速レバー(13)の中立操作または操縦部(6)に設けた駐車ブレーキペダル(55)の踏み込み操作による走行装置(3)の停止操作によって、前記走行用静油圧式無段変速装置(12)を減速制御して機体が停止するようにし、機体が停止する直前に、走行装置(3)に回転伝達するミッションケース(18)の左右サイドクラッチ(60)を自動的に所定時間「切り」にするように構成したコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記走行装置(3)の停止操作による機体停止直前に、自動的に前記ミッションケース(18)の左右サイドクラッチ(60)を「切り」にした所定時間経過後、再び左右のサイドクラッチ(60)を「入り」にすると共に、所定時間前記走行用静油圧式無段変速装置(12)に微速前進の出力を行うように構成したコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−51245(P2010−51245A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220042(P2008−220042)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】