説明

コンバイン

【課題】グレンタンク内の穀粒の排出作業を効率よく行えるコンバインの技術を提案する。
【解決手段】機体フレーム2の左右一側に搭載される脱穀装置31と、機体フレーム2の左右他側の前部に設けられる操縦部40と、機体フレーム2の左右他側の後部に設けられるエンジンルーム50と、を具備するコンバインにおいて、脱穀装置31及びエンジンルーム50の上方に跨るように配置されて、脱穀装置31で脱穀されて選別された後の一番穀粒を貯溜するグレンタンク60と、グレンタンク60の後部側に連通して、グレンタンク60内の穀粒を機外に取り出す排出オーガ65と、操縦部40とエンジンルーム50の間に配置されるとともに、グレンタンク60の底部側に連通して、グレンタンク60内の穀粒を機外に取り出す籾取出口71・72と、をさらに具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンタンクを具備するコンバインの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、脱穀後の穀粒を貯溜するグレンタンクを具備するコンバインが公知となっている。例えば特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1に記載のコンバインには、グレンタンクが搭載されている。また、グレンタンク内の穀粒を機外に取り出すための排出オーガが、グレンタンクの後部側に連通するように設けられている。このような構成のコンバインにおいて、収穫作業の途中でグレンタンクが満杯になった場合、収穫作業を中断して穀粒を機外に排出する必要がある。例えば、コンバインをトラックの荷台の近傍に移動させるとともに、排出オーガの先端(排出口)をトラックの荷台の上に合わせることにより、グレンタンク内の穀粒をトラックの荷台に排出することができるようにしている。
【0004】
さらに、特許文献1に記載のコンバインは、排出オーガを介することなく、グレンタンクから籾袋に穀粒を直接排出することもできるように構成されている。具体的には、グレンタンクの外側面に円状の開口部が形成されていて、該円状の開口部に電動式の穀粒取出機構を取り付けることにより、グレンタンク内の穀粒を籾袋等に排出することができる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−296431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のコンバインにおいては、特にグレンタンクから籾袋に穀粒を直接排出する場合、円状の開口部に電動式の穀粒取出機構を取り付ける必要があったため、穀粒の排出作業が煩雑であり効率よく行うことができない、という問題があった。
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、穀粒の排出作業を効率よく行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、機体フレームの左右一側に搭載される脱穀装置と、
前記機体フレームの左右他側の前部に設けられる操縦部と、
前記機体フレームの左右他側の後部に設けられるエンジンルームと、を具備するコンバインにおいて、
前記脱穀装置及び前記エンジンルームの上方に跨るように配置されて、前記脱穀装置で脱穀されて選別された後の一番穀粒を貯溜するグレンタンクと、
該グレンタンクの後部側に連通して、該グレンタンク内の穀粒を機外に取り出す排出オーガと、
前記操縦部と前記エンジンルームの間に配置されるとともに、前記グレンタンクの底部側に連通して、該グレンタンク内の穀粒を機外に取り出す籾取出口と、をさらに具備することを特徴とするものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載のコンバインであって、
前記籾取出口は、前記グレンタンクの底部に、前後方向に複数並べて設けられるものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のコンバインであって、
前記機体フレームの前部に設けられる刈取装置と、
前記グレンタンクの前後中央部に立設されて、前記脱穀装置で脱穀されて選別された後の一番穀粒を前記グレンタンク内に送る揚穀装置と、をさらに具備し、
前記籾取出口は、前記揚穀装置の前方に設けられるものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、グレンタンク内の穀粒を、排出オーガ及び/または籾取出口の一方または両方から機外に取り出すことができ、穀粒の排出作業を効率よく行うことができる。また、グレンタンクの容量を従来のトップサッカ式のもの(袋取出用の貯留タンクを有する形式のもの)よりも大きく構成することができ、グレンタンクが満杯になるまでの時間、つまり、刈取作業時間を長くすることができる。そして、籾取出口の下方(グレンタンクの底部の下方)に籾袋を取り付けて穀粒を排出することができるので、従来のような電動式の穀粒取出機構が不要となる。さらに、操縦部とエンジンルームの間の空きスペースに籾取出口を設けているので、スペースを有効利用してコンパクトに構成することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、籾取出口が複数設けられているので、各籾取出口の下方に籾袋をそれぞれ取り付けることにより、穀粒の排出作業を効率よく行うことができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の効果に加えて、グレンタンクの前後中央部よりも前側寄りに配置される籾取出口から穀粒を排出することにより、穀粒を排出しながら作業を行う時には、グレンタンク内の穀粒は後側寄りに偏ることになる。よって、機体フレームの前部に設けられる刈取装置と、グレンタンク内の穀粒と、の重量バランス(機体の前後の重量バランス)が改善され、走破性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の一形態に係るコンバインの全体的な構成を示す右側面図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係るコンバインの全体的な構成を示す正面図である。
【図3】グレンタンクの構成を示す斜視図である。
【図4】グレンタンクの配置及び構成を示す正面図である。
【図5】グレンタンクの支持構造を示す斜視図である。
【図6】籾受け台を折り畳んで収納した状態を示す右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の実施の一形態に係るコンバイン1の構成について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
コンバイン1は、稲や麦や蕎麦や小豆や大豆等の種々の収穫物を収穫するための汎用型のコンバインであり、本発明に係るコンバインの実施の一形態である。コンバイン1は、図1、図2及び図4に示すように、機体フレーム2、刈取装置20、筐体30に収容された脱穀装置31、操縦部40、エンジンルーム50、グレンタンク60、排出オーガ65、籾取出口71・72、籾受け台80、及び揚穀装置90等を具備して構成される。
【0017】
機体フレーム2は、コンバイン1の骨格を成すものである。機体フレーム2の下部は、図1及び図4に示すように、左右一対のクローラ17・17により支持されている。
【0018】
機体フレーム2の前部には、圃場の未刈取の穀物を刈り取るための刈取装置20が具備される。刈取装置20は、往復動する刈刃等を備えて構成される。また、図1及び図2に示すように、刈取装置20の前部には、未刈取の穀物を掻き込むための掻込リール22が具備される。
【0019】
図2及び図4に示すように、機体フレーム2の左右一側(本実施形態では進行方向左側)には、筐体30に収容された脱穀装置31が搭載される。筐体30は、概ね直方体形状のケースである。図4に示すように、脱穀装置31は筐体30内の上部に配置され、扱胴32等を備えて構成される。扱胴32の下方には、受け網33(またはコンケーブ)が配置され、該受け網33の下方には、選別装置35が配置される。該選別装置35は、揺動選別装置や唐箕等を備えて構成される。
【0020】
図1及び図2に示すように、機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)の前部には、操縦部40が設けられる。操縦部40には、オペレータが着座するための座席41や、コンバイン1の操向操作及び収穫作業に用いる種々の操作具等が備えられる。
【0021】
図1及び図2に示すように、機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)の後部には、エンジンを収容するエンジンルーム50が設けられる。エンジンルーム50は、操縦部40の後方に配置される。エンジンルーム50は、筐体30(脱穀装置31)の右後側方に隣接するように、該筐体30と横並びに設けられる。
【0022】
図1、図2及び図4に示すように、筐体30(脱穀装置31)及びエンジンルーム50の上方には、脱穀装置31で脱穀された後の穀粒を貯溜するグレンタンク60が配置される。グレンタンク60は、操縦部40の後方に配置される。
【0023】
グレンタンク60の外形について図1、図3及び図4を参照して詳述すると、グレンタンク60の前後長は、操縦部40の背後から排出オーガ65の基端部(図1では後端部)に至るまでの長さとなっている。また、グレンタンク60は、機体フレーム2の右側の上方に配置され、グレンタンク60の左側上部は、脱穀装置31の上方に至るまで左方向に張り出した形状となっている。
グレンタンク60の底部60fは、正面視において下方に向けて狭くなるテーパ形状となっている。すなわち、グレンタンク60の前面60a、後面60b、左斜面60c、右斜面60d、及び底面60e(図4参照)により、テーパ状の底部60fが構成されている。グレンタンク60内に貯溜された穀粒は、自重により左斜面60c及び右斜面60dに沿って、底面60eに向かって流下する。
【0024】
図4に示すように、グレンタンク60の底部60fには、排出コンベア61が設けられる。排出コンベア61はラセン羽根を有するコンベアであり、その長手方向を前後方向に向けた状態で設けられる。排出コンベア61の下流側の端部(後端部)は、排出オーガ65の上流側の端部に接続される。このような構成により、グレンタンク60の底部60fに貯溜された穀粒を、排出コンベア61によって排出オーガ65に送り出すことができるようになっている。
【0025】
グレンタンク60の支持構造について、図5を参照して説明すると、グレンタンク60の前端部は、機体フレーム2の右前部上に立設された操縦部フレーム45により支持され、グレンタンク60の後部は、機体フレーム2の右後部上に立設されたエンジンフレーム51により支持されている。
【0026】
図1及び図5に示す操縦部フレーム45は、操縦部40を支持するフレームであり、操縦部40の後部左側の隅において機体フレーム2から上方に向かって立設される左フレーム45aと、操縦部40の後部右側の隅において機体フレーム2から上方に向かって立設される右フレーム45bと、左フレーム45aの上端部と右フレーム45bの上端部とを水平に連結する上フレーム45cと、機体フレーム2の右側前端の左右から立設される前フレーム45d・45dと、を含んで構成される。グレンタンク60の前下端部、より厳密には、グレンタンク60の前面下部は、上フレーム45cの中央部に固定された支持フレーム46に、支持板66を介して取り付けられる。
【0027】
図5に示すエンジンフレーム51は、エンジンルーム50の外郭を成すフレームである。エンジンフレーム51は、エンジンルーム50の前部左側の隅において機体フレーム2から上方に向かって立設される左前フレーム51a、エンジンルーム50の前部右側の隅において機体フレーム2から上方に向かって立設される右前フレーム51b、エンジンルーム50の後部左側の隅において機体フレーム2から上方に向かって立設される左後フレーム51c、及び、エンジンルーム50の後部右側の隅において機体フレーム2から上方に向かって立設される右後フレーム51d等を含んで構成される。左前フレーム51aの上端部及び右前フレーム51bの上端部は、左右水平に延びる上エンジンフレーム51eにより連結されている。グレンタンク60の前後中途部の下部は、上エンジンフレーム51e、及び、上エンジンフレーム51eの左右両側に前記左斜面60cと右斜面60dの傾斜に合わせて固定された支持フレーム52・52に載置固定される。また、グレンタンク60の後端部(後面60b)の左側は、左後フレーム51cに支持される。さらに、グレンタンク60の後端部(後面60b)の右側は、右後フレーム51dに支持される。なお、左後フレーム51cの上下中途部と、右後フレーム51dの上下中途部とは、左右水平に延びる補強フレーム51fにより連結されて、補強されている。
このような支持構造により、グレンタンク60は、その前端部及び後部が、操縦部フレーム45及びエンジンフレーム51にそれぞれ支持された状態で、脱穀装置31及びエンジンルーム50の上方に跨るように安定的に配置されている。
【0028】
グレンタンク60の底面部(底面60e)、操縦部40の後面部、及び、エンジンルーム50の前面部により取り囲まれた空間は、籾袋A・Aを配置するためのスペースとして利用される(図1参照)。換言すれば、操縦部40とエンジンルーム50の間の空きスペースを利用して、籾受け台80及び籾袋A・A等を配置するスペースが構成されている。
【0029】
図1、図4及び図5に示すように、グレンタンク60の前後中央部には、脱穀装置31で脱穀されて選別装置35で選別された後の一番穀粒をグレンタンク60内に送るための揚穀装置90が立設される。揚穀装置90は、機体フレーム2の左右略中央で筐体30の右側方に配置(立設)され、その長手方向を上下方向に向けた状態で設けられる。揚穀装置90の下端部は選別装置35の一番コンベア36に連通し、揚穀装置90の上端部はグレンタンク60内に連通している。揚穀装置90の揚穀筒内には、ラセン羽根を有するコンベアが備えられていて、筐体30内の一番コンベア36からの穀粒を上方(グレンタンク60側)に向かって送り出すことができるように構成されている。
【0030】
掻込リール22により掻き込まれて刈取装置20で刈り取られた穀物は、搬送装置25によって筐体30内に搬送される。そして、脱穀装置31で脱穀されて、選別装置35で藁屑等と選別される。藁屑等と選別された一番穀粒は、揚穀装置90の揚穀筒内を通ってグレンタンク60内に送られて、該グレンタンク60内に貯溜される。グレンタンク60内の穀粒は、後述するように、排出オーガ65または籾取出口71・72の一方、または、排出オーガ65及び籾取出口71・72の両方から、機外に取り出すことができる。
【0031】
図1及び図6に示すように、グレンタンク60の後部側は、排出オーガ65に連通している。排出オーガ65は、グレンタンク60内の穀粒を機外に取り出すためのものであり、筒状の部材の内部にラセン羽根が収容されて構成される。排出オーガ65は、グレンタンク60との接続部を基端部として略水平方向に回動可能である。グレンタンク60が満杯になったとき、コンバイン1をトラックの荷台の近傍に移動させるとともに、排出オーガ65の先端(排出口)をトラックの荷台の上に合わせることにより、グレンタンク60内の穀粒をトラックの荷台に排出することができる。
【0032】
図1及び図4に示すように、グレンタンク60の下部の右斜面60dには、籾取出口71・72が設けられている。籾取出口71・72は、グレンタンク60内の穀粒を機外に取り出すためのものであり、グレンタンク60に連通するとともに、平面視及び側面視において、操縦部40とエンジンルーム50の間に配置される。本実施形態では、二つの籾取出口71・72が前後に並べて設けられている。二つの籾取出口71・72は、いずれも揚穀装置90の前方に設けられていて、その開口(取出口)が下方に向けられている。本実施形態の籾取出口71・72は、下方に向けて狭くなるテーパ形状となっており、その上部に籾取出口71・72を開閉するためのシャッターが設けられている。
なお、本実施形態では、二つの籾取出口71・72がグレンタンク60の底部に前後方向に並べて設けられるものとしたが、その数は二つに限定されるものではなく、前後方向に複数並べて設けられるものであればよい。すなわち、例えば三つの籾取出口を、グレンタンクの底部に、前後方向に並べて設ける構成としてもよい。
【0033】
籾取出口71・72の下方には、籾袋A・Aを支持するための袋吊り棒73・73・・・が設けられる(図4参照)。袋吊り棒73・73・・・は、グレンタンク60の底部60fの右側方に突出するように、グレンタンク60の右斜面60dに固定されている(図4参照)。図1に示すように、袋吊り棒73・73・・・に籾袋A・Aの上部を引っ掛けた状態で、籾袋A・Aを籾受け台80上に載せて支持することが可能である。本実施形態では、二つの籾取出口71・72のそれぞれに、籾袋Aをセットすることができる構成となっている。
なお、籾袋A・Aに代えて、穀粒を収容するタンクを、籾受け台80上に載せてセットする構成としてもよい。
【0034】
機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)には、図1、図4及び図6に示す籾受け台80が設けられる。籾受け台80は、図4に示すように折り畳み可能に設けられた板状の部材であり、水平方向に張り出した姿勢としたときに(図1参照)、その上にオペレータが搭乗したり、満杯になった籾袋A等を載置したりできるものである。籾受け台80は、平面視及び側面視において、操縦部40とエンジンルーム50の間に配置されるとともに、籾取出口71・72の下方に配置される。
なお、籾取出口71・72からの穀粒の排出作業を行わない場合には、図4及び図6に示すように、籾受け台80を上方に回動させて収納しておく(折り畳んでおく)ことができる。
【0035】
以上の如く、本実施形態に係るコンバイン1は、機体フレーム2の左右一側(本実施形態では進行方向左側)に搭載される脱穀装置31と、機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)の前部に設けられる操縦部40と、機体フレーム2の左右他側(本実施形態では進行方向右側)の後部に設けられるエンジンルーム50と、を具備するコンバインにおいて、グレンタンク60と、排出オーガ65と、籾取出口71・72と、をさらに具備するものである。このグレンタンク60は、脱穀装置31及びエンジンルーム50の上方に跨るように配置されて、脱穀装置31で脱穀されて選別された後の一番穀粒を貯溜するものである。この排出オーガ65は、グレンタンク60の後部側に連通して、グレンタンク60内の穀粒を機外に取り出すものである。この籾取出口71・72は、操縦部40とエンジンルーム50の間に配置されるとともに、グレンタンク60の底部側に連通して、グレンタンク60内の穀粒を機外に取り出すものである。
【0036】
このように構成することにより、グレンタンク60内の穀粒を、排出オーガ65または籾取出口71・72の一方または両方から機外に取り出すことができ、穀粒の排出作業を効率よく行うことができる。また、本実施形態のコンバイン1では、グレンタンク60の容量を大きく構成することができる。すなわち、グレンタンク60の前後長は、操縦部40の後部から排出オーガ65の基端部(図1では後端部)まで確保することができる。また、グレンタンク60の左右方向においては、脱穀装置31の上方に張り出した形状とすることができ、その容量は従来のトップサッカ式のものよりも大きくなる。よって、グレンタンク60が満杯になるまでの時間を長くすることができるので、刈取作業時間を長くして、収穫作業の能率を向上させることができる。そして、籾取出口71・72の下方(グレンタンク60の底部の下方)に籾袋A・Aを取り付けて穀粒を排出することができるので、従来のような電動式の穀粒取出機構が不要となる。さらに、操縦部40とエンジンルーム50の間の空きスペースに籾取出口71・72を設けているので、コンパクトに構成することができる。
【0037】
また、例えば大豆等の損傷を受けやすい穀物を収穫する場合には籾取出口71・72から排出し、麦等の損傷を受け難い穀物を収穫する場合には排出オーガ65から排出する、というように、穀物の種類に応じて、排出オーガ65を通すか否かを変更することができ、排出の態様を臨機応変に変更することができる。
【0038】
また、本実施形態に係るコンバイン1は、籾取出口71・72は、グレンタンク60の底部60fに、前後方向に複数並べて設けられるものである。
【0039】
このように構成することにより、各籾取出口71・72の下方に籾袋Aをそれぞれ取り付けることにより、穀粒の排出作業を効率よく行うことができる。
【0040】
また、本実施形態に係るコンバイン1は、刈取装置20と、揚穀装置90と、をさらに具備し、籾取出口71・72は、揚穀装置90の前方に設けられるものである。この刈取装置20は、機体フレーム2の前部に設けられる。この揚穀装置90は、グレンタンク60の前後中央部に立設されて、脱穀装置31で脱穀されて選別された後の一番穀粒をグレンタンク60内に送るものである。
【0041】
このように構成することにより、グレンタンク60の前後中央部よりも前側寄りに配置される籾取出口71・72から穀粒を排出することにより、グレンタンク60内の穀粒を後側寄りに偏らせることができる(後側に偏在させることができる)。よって、機体フレーム2の前部に設けられる刈取装置20と、グレンタンク60内の穀粒と、の重量バランス(機体の前後の重量バランス)が改善され、コンバイン1の走破性を向上できる。
【0042】
さらに、本実施形態に係るコンバイン1は、籾受け台80をさらに具備するものである。この籾受け台80は、機体フレーム2上の、操縦部40とエンジンルーム50の間であって、籾取出口71・72の下方に相当する位置に、折り畳み可能に設けられるものである。
【0043】
このように構成することにより、オペレータが籾受け台80の上に搭乗して、穀粒を籾取出口71・72から籾袋A・Aに排出する作業を行うことができる。したがって、一人のオペレータが操縦部40の操作により収穫作業を続行しながら、他のオペレータが籾袋Aを適宜新しいものに交換しつつ籾取出口71・72から穀粒を排出することができる。こうすることにより、グレンタンク60が満杯になるまでの時間を長くすることができ、収穫作業が中断される頻度を少なくすることができる。したがって、収穫作業を長時間にわたって連続的に行いながら穀粒の排出作業を行うことができる。また、籾受け台80にオペレータが搭乗できるため、オペレータがコンバイン1と併走する必要がなく、また、籾受け台80を使用しない場合には、折り畳んで収納しておくことができ、邪魔にならない。
【符号の説明】
【0044】
1 コンバイン
20 刈取装置
30 筐体
31 脱穀装置
40 操縦部
50 エンジンルーム
60 グレンタンク
65 排出オーガ
71 籾取出口
72 籾取出口
80 籾受け台
90 揚穀装置
A 籾袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームの左右一側に搭載される脱穀装置と、
前記機体フレームの左右他側の前部に設けられる操縦部と、
前記機体フレームの左右他側の後部に設けられるエンジンルームと、を具備するコンバインにおいて、
前記脱穀装置及び前記エンジンルームの上方に跨るように配置されて、前記脱穀装置で脱穀されて選別された後の一番穀粒を貯溜するグレンタンクと、
該グレンタンクの後部側に連通して、該グレンタンク内の穀粒を機外に取り出す排出オーガと、
前記操縦部と前記エンジンルームの間に配置されるとともに、前記グレンタンクの底部側に連通して、該グレンタンク内の穀粒を機外に取り出す籾取出口と、をさらに具備することを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
請求項1に記載のコンバインであって、
前記籾取出口は、前記グレンタンクの底部に、前後方向に複数並べて設けられるコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンバインであって、
前記機体フレームの前部に設けられる刈取装置と、
前記グレンタンクの前後中央部に立設されて、前記脱穀装置で脱穀されて選別された後の一番穀粒を前記グレンタンク内に送る揚穀装置と、をさらに具備し、
前記籾取出口は、前記揚穀装置の前方に設けられるコンバイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−161297(P2012−161297A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25461(P2011−25461)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】