説明

コンビネーションICカード及びその製造方法

【課題】 耐熱温度の高い樹脂シートでカード基体を構成し、昇華型熱転写印刷及び熱溶融型熱転写印刷を行う為の受像層をカード表面に設けたコンビネーションICカード、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する結晶性ポリエステル系樹脂シートを、アンテナシート13、受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bに用い、樹脂シートを積層する接着シート12a及び接着シート12bに、受像層の熱劣化温度より低い温度で、且つ積層時の加熱温度より35℃以上低い耐熱温度を有する非結晶性ポリエステル系樹脂シートを用い、受像層の熱劣化温度以下の温度で積層する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種証明書や電子決済システム、ドアの開閉システム等に使用されるICカード及びその製造方法に係わり、特に接触方式と非接触方式の両方の通信手段を備えたコンビネーションICカード(接触型非接触型共用ICカード)及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、ICカードは、外部装置との通信接続方法により大きく2つに分類される。ひとつは、ICチップを内蔵するICモジュールをカードに装着し、且つICモジュールの外部装置接続端子をカード表面に露出し、この外部装置接続端子と外部装置の入力端子を接続することで通信を行う接触方式の通信手段を備えた、接触型ICカードである。もうひとつは、カード内部にアンテナとICモジュールを埋設し、外部装置と電波を介して無線通信を行う非接触方式の通信手段を備えた、非接触型ICカードである。
【0003】
接触型ICカードは、非接触型ICカードがカード内部にICモジュールを埋設しなければならないのに対して、ICモジュールの外部装置接続端子部をカード表面に配置できることから、ICモジュール内部のICチップを大きくすることが可能であり、非接触型ICカードより高機能のICチップを搭載でき、銀行カードやクレジットカード等の高いセキュリティを要求される認証システム等に用いられることが多い。
【0004】
非接触型ICカードは、外部装置接続端子を介して通信を行う接触型ICカードとは異なり、アンテナを介して無線通信を行えることから、離れた位置での外部装置との通信が可能であり、接触型ICカードの様に外部装置の入力端子を接続する手間がいらず、交通機関やテーマパークの入門ゲートシステム等に用いられることが多い。
【0005】
近年、一枚のカードで様々なサービスを受けたいという市場の強い要望を受け、ICカードの多機能化及び高セキュリティ化が図られ、接触型ICカードと非接触型ICカードの機能を併せ持ったコンビネーションICカード(接触型非接触型共用ICカード)が提案され、普及してきている。
【0006】
コンビネーションICカードは、社員証、会員証、およびクレジットカードなどの個人認証用に用いられることが多く、一般的にコンビネーションICカードのカード表面には個人認証用の顔画像や氏名等が印刷されている。カード表面への印刷は、専用プリンターを用いて、ICチップへの情報書込みと併せて印刷する場合が多く、一般的な印刷方式としては、昇華型熱転写印刷と熱溶融型熱転写印刷がある。一般的に、この昇華型熱転写印刷及び熱溶融型熱転写印刷の熱によるカードの変形を考慮し、樹脂シートの熱的特性を示す耐熱温度の高い樹脂シートを積層してカードを構成するが、耐熱温度の高い樹脂シートは、昇華型熱転写印刷及び熱溶融型熱転写印刷の適性を持っておらず、カード表面に昇華型熱転写印刷及び熱溶融型熱転写印刷の適性を持たせた受像層を設ける必要がある。
【0007】
コンビネーションICカードにおいて、アンテナコイルの接続強度を高め、且つ製造工程を簡略化できるコンビネーションICカード及びその製造方法が特許文献1に開示されている。
【0008】
特許文献1に記載のコンビネーションICカードは、外部装置接続端子とカード基体内部に埋設されたアンテナコイル及びアンテナコイル接続端子を有し、カード基体に形成されたICモジュール装着用凹部のICモジュールとの接触面は当該アンテナコイル接続端子が露出するように切削され、カード基体外部から当該凹部に嵌合して装着されるICモジュール側アンテナコイル接続端子とカード基体側アンテナコイル接続端子との接続、及びICモジュール接触面への接着を導電性接着材料のみ用い、または導電性接着材料と絶縁性接着材料を併用することでアンテナコイルの接続強度を高め、且つ製造工程を簡略化できるようになる。
【0009】
また、昇華型熱転写印刷及び熱溶融型熱転写印刷を行う為の受像層をカード表面に設けたICカードにおいて、樹脂シートを積層する熱で受像層に熱ダメージを与えないように製造した耐熱温度が高い受像層付き非接触式ICカード及びその製造方法が、特許文献2に開示されている。
【0010】
特許文献2に記載の受像層付き非接触式ICカードは、カード基体を成す部材と、顔画像が熱転写される受像層を有したカード表面用の部材とを備え、少なくとも、カード基体を成す部材と表面用の部材とを反応型ホットメルト樹脂による接着部材を介して貼り合わせることで、低温での貼り合わせが可能となり、受像層の熱ダメージを無くすことができ、且つ、貼り合わせ後に硬化反応が進み耐熱温度があがることで、耐熱温度が高い受像層付きICカードが得られる。
【0011】
【特許文献1】特開2000−182017号公報
【特許文献2】特開2000−137786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般的なコンビネーションICカード及びその製造方法は、例えば特許文献1に開示されている様に、アンテナコイルを樹脂シートで挟持して積層したカード基体に、接触方式と非接触方式の両方の通信機能を備えたコンビネーションICカード用ICモジュールを装着する為の凹部を切削すると共に、アンテナコイルの末端を露出させ、アンテナコイルの末端とICモジュールを接合すると共に、カード基体に設けた凹部にICモジュールを嵌合し、熱可塑性接着剤を介してカード基体に接着することで得られる。
【0013】
更に、コンビネーションICカードに受像層を設けるには、例えば特許文献2に開示されている様に、受像層に昇華型熱転写印刷や熱溶融型熱転写印刷を行う際の熱により樹脂シートが変形しない温度、つまり耐熱温度の高い樹脂シートを用い、受像層を設けた耐熱温度の高い樹脂シート間に、反応型ホットメルト樹脂を介してアンテナコイルを挟持し、受像層が熱ダメージによって受像層成分が劣化し、昇華型熱転写印刷や熱溶融型熱転写印刷のインキを受像できなくなる温度、つまり熱劣化温度より低い温度で積層する方法がある。
【0014】
コンビネーションICカードは、ICモジュールを装着する為の凹部をカード基体に切削する必要がある。更に、アンテナの末端とICモジュール接続する為に、カード基体に埋設されているアンテナの末端を切削して、その凹部内に露出させる必要がある。ここで、カード基体に埋設されているアンテナの末端を目視で特定することは困難であり、一般には、カード基体の外形から埋設されている位置を特定している。よって、カード基体のアンテナは、樹脂シートに挟持されて積層される際に流動せず、カード基体の設計位置に埋設されていなければならない。
【0015】
しかしながら、積層に用いる反応型ホットメルト樹脂は、硬化後に高い耐熱性を示すが、積層時の加熱により反応する際、一般のホットメルト樹脂と同様に流動性を示す特性をもっており、積層時圧力の影響を受けやすく、カード基体のアンテナの位置ズレを起こす危険性がある。
【0016】
また、カード基体に凹部を切削する際、材質の異なる樹脂を積層した場合、積層した境界付近に切削バリが発生しやすい傾向があり、樹脂シートと反応型ホットメルト樹脂の積層した境界付近に切削バリが発生する可能性がある。この切削バリは、ICモジュールとカード基体の凹部との嵌合を不十分なものとし、ICモジュールとアンテナの末端間の接合に接合不良を起こす危険性がある。
【0017】
本発明の目的は、上記課題を解決し、耐熱温度の高い樹脂シートでカード基体を構成し、昇華型熱転写印刷及び熱溶融型熱転写印刷を行う為の受像層をカード表面に設けたコンビネーションICカード、及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、接触通信手段及び非接触通信手段を備えたICモジュールと、非接触通信用のアンテナを樹脂シートで挟持して積層したカード基体からなり、前記カード基体を切削して凹部を設けると共に前記アンテナの末端を露出し、前記ICモジュールを前記凹部に嵌合して装着すると共に前記アンテナの末端と前記ICモジュールを接合してなるコンビネーションカードにおいて、前記カード基体の表面及び裏面の少なくとも一方の面に、昇華型熱転写印刷及び/または熱溶融型熱転写印刷を可能とする受像層を設けたコンビネーションICカードであって、前記受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートと、前記受像層の熱劣化温度より低い温度で、且つ積層時の加熱温度より35℃以上低い耐熱温度を有する第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートから成り、複数枚の前記第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを前記第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを介して積層することを特徴とするコンビネーションICカードが得られる。
【0019】
また、本発明によれば、非接触通信用のアンテナを樹脂シート及び接着シートで挟持し、加熱圧着してカード基体を得て、前記カード基体を切削して凹部を設けると共に前記アンテナの末端を露出し、接触通信手段及び非接触通信手段を備えたICモジュールを前記凹部に嵌合して装着すると共に前記アンテナの末端と前記ICモジュールを接合するコンビネーションカードの製造方法において、前記樹脂シートに昇華型熱転写印刷及び/または熱溶融型熱転写印刷を可能とする受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを用い、前記第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートに前記受像層を印刷して受像層付きシートを作製し、前記アンテナを前記第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートに埋め込みアンテナシートを作製し、前記受像層の熱劣化温度より低い温度で、且つ積層時の加熱温度より35℃以上低い耐熱温度を有する第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを前記接着シートに用い、前記アンテナシートを前記第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートで挟持した後、更に前記受像層のない面を前記第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートに接する様にして前記受像層付きシートで挟持し、前記受像層の熱劣化温度以下の温度で加熱し、加圧し、積層してカード基体を得ることを特徴とするコンビネーションICカードの製造方法が得られる。
【0020】
本発明は、加熱し加圧することによって樹脂シート同士の積層ができる自己融着性を有する非結晶性ポリエステル系樹脂シートを、カード基体を構成する樹脂シートに用い、受像層を設ける受像層付きシートに、受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを用い、樹脂シートの積層に用いる接着シートに、受像層の熱劣化温度より低い温度で、且つ積層時の加熱温度より35℃以上低い耐熱温度を有する第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを用い、カード表面に設ける受像層の熱劣化温度より低い温度で積層することで、積層時の熱による受像層の印刷特性劣化を防ぐことができると共に、カード基材にICモジュール用凹部を切削する際の切削バリの発生を防ぎ、ICモジュールをカード基体の凹部に確実に嵌合し、ICモジュールとアンテナの末端との接合を確実に行うことができる。
【0021】
本発明では、カード基材を構成する樹脂シートに、加熱し加圧することによって樹脂シート自体が融着を起こす非結晶性ポリエステル系樹脂シートを用い、受像層を設ける受像層付きシート及びアンテナを埋設するアンテナシートに、受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する非結晶性ポリエステル系樹脂シートを用い、更に、受像層付きシートとアンテナシートの間に、受像層の熱劣化温度より低い温度で、且つ積層時の加熱温度より35℃以上低い耐熱温度を有する非結晶性ポリエステル系樹脂シートを挟み、受像層の熱劣化温度以下の温度で加熱し、加圧することで、受像層に熱ダメージを与えず、熱による印刷特性劣化を防ぐことができる。
【0022】
更に、本発明において、樹脂シートの積層に、従来の反応型ホットメルト樹脂シートを用いず、受像層の熱劣化温度より低い温度の耐熱温度を有する非結晶性ポリエステル系樹シートを用い、受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する非結晶性ポリエステル系樹脂シートを積層することで、カード基材にICモジュール用凹部を切削する際の切削バリの発生を防ぐことができ、ICモジュールをカード基体の凹部に確実に嵌合し、ICモジュールとアンテナの末端との接合を確実にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する第一の結晶性ポリエステル系樹脂シートを、受像層の熱劣化温度より低い温度で、且つ積層時の加熱温度より35℃以上低い耐熱温度を有する第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを介して、受像層の熱劣化温度以下の温度で加熱し、加圧することで、熱による印刷特性劣化のない受像層を有し、ICモジュールとアンテナの末端との接合が確実であるコンビネーションICカード、及びその製造方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図を参照し、本発明のコンビネーションカード及びその製造方法について説明する。
【0025】
まず、本発明のコンビネーションカードについて説明する。図1は、本発明のコンビネーションカードを説明する図である。コンビネーションカード1は、アンテナ2を埋設したカード基体304の表面にICモジュール3を設置してなり、アンテナ2の末端とICモジュール3を電気的に接合する。
【0026】
図2は、図1のA−A線に沿った部分断面図である。コンビネーションカードは、アンテナ2a、アンテナ2b、アンテナの末端19c及びアンテナの末端19dを埋め込んだアンテナシート13を中心にし、その両側に樹脂シートを積層する接着シート12aと接着シート12bを設け、更に、樹脂シートに設けた絵柄印刷部10a及び絵柄印刷部10bの上に受像層9a及び受像層9bを印刷した受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bを設けてカード基体と成し、外部装置接続端子4、ICモジュール基板16、樹脂封止部5、アンテナ接続端子6a及びアンテナ接続端子6bから成るICモジュール3を、熱可塑性接着剤8a及び熱可塑性接着剤8bによってカード基体に装着すると共に、アンテナの末端19c及びアンテナの末端19dとアンテナ接続端子6a及びアンテナ接続端子6bを、半田ペースト7a及び半田ペースト7bで半田接合して作製する。
【0027】
アンテナシート13は、結晶性ポリエステル系樹脂シートにループ状に銅線を引き回したアンテナを熱圧着して埋め込み作製する。結晶性ポリエステル系樹脂シートは、加工時の熱変形を考慮すれば耐熱温度の高い結晶性ポリエステル系樹脂シートが好ましく、ICモジュール用凹部を切削する際の切削バリを考慮すれば、カード基体を構成する他の部分の結晶性ポリエステル系樹脂シートと同系の結晶性ポリエステル系樹脂シートであることが望ましい。更に、自己融着性を有した結晶性ポリエステル系樹脂シートあれば良く、適宜選択するのが好ましい。例えば、耐熱性を高める為にポリカーボネート樹脂を40%以上混合させた、市販の結晶性ポリエステル系樹脂シートを用いることができる。
【0028】
受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bは、樹脂シートにオフセット印刷方式またはシルクスクリーン印刷方式で、絵柄印刷部10a及び絵柄印刷部10bを設けた後、その上にシルクスクリーン印刷方式またはグラビア印刷方式で、受像層9a及び受像層9bを印刷して作製する。樹脂シートは、受像層への昇華型熱転写印刷及び熱溶融型熱転写印刷を行う際の熱を考慮すれば、受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する結晶性ポリエステル系樹脂シートが好ましく、ICモジュール用凹部を切削する際の切削バリを考慮すれば、カード基体を構成する他の部分の結晶性ポリエステル系樹脂シートと同系の結晶性ポリエステル系樹脂シートであることが望ましい。更に、自己融着性を有した結晶性ポリエステル系樹脂シートあれば良く、適宜選択するのが好ましい。例えば、耐熱性を高める為にポリカーボネート樹脂を40%以上混合させた、市販の結晶性ポリエステル系樹脂シートを用いることができる。
【0029】
接着シート12a、接着シート12b、アンテナシート13、受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bを、受像層の熱劣化温度より低い温度で積層が可能な接着剤シート及び樹脂シートであればよく、ICモジュール用凹部を切削する際の切削バリを考慮すれば、接着シート12a、接着シート12b、アンテナシート13、受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bと同系の樹脂シートであることが望ましい。更に、自己融着性を有した樹脂シートあれば良く、適宜選択するのが好ましい。例えば、耐熱性を高める為にポリカーボネート樹脂を40%未満混合させた、結晶性ポリエステル系樹脂シートを用いることができる。
【0030】
ICモジュールは、以下に図示する機能を有するコンビネーションカード用ICモジュールであれば良く、市販のコンビネーションカード用ICモジュールを用いることができ、適宜選択するのが好ましい。
【0031】
図4は、本発明のICモジュールを説明する図であり、図4(a)は、ICモジュールの表面を示す図である。ICモジュールの表面は、ICモジュール基板16に外部装置接続端子41、42、43、44、45、46、47、48を設けて成る。
【0032】
図4(b)は、ICモジュールの裏面を説明する図である。ICモジュールの裏面は、ICモジュール基板16に搭載したICチップ14と、ICモジュール基板16に設けたアンテナ接続端子6a及びアンテナ接続端子6bを、ボンディングワイヤ15a及びボンディングワイヤ15bを介して電気的に接続した後、樹脂封止して樹脂封止部5を設け、ICモジュール基板16に熱可塑性接着剤8を設けて成る。
【0033】
図4(c)は、図4(a)及び図4(b)のC−C線に沿った断面図である。ICモジュールは、ICモジュール基板16の一方の面に外部装置接続端子4を設け、ICモジュール基板16のもう一方の面に、ICチップ14、アンテナ接続端子6a、アンテナ接続端子6b、ボンディングワイヤ15a、ボンディングワイヤ15b、樹脂封止部5、熱可塑性接着剤8a及び熱可塑性接着剤8bを設けて成る。更に、ICモジュール基板16の図示しない基板回路パターン及びスルーホールを介して、ICチップ14と外部装置接続端子4を電気的に接合する。
【0034】
次に、本発明のコンビネーションカードの製造方法について説明する。本発明のコンビネーションカードの製造方法は、主に、カード基体製造工程、凹部切削工程及びICモジュール接合工程からなる。
【0035】
まず、カード基体製造工程でカード基体を作製する。図3は、本発明のカード基体製造工程を説明する図であり、図3(a)は、カード基体301を説明する図である。カード基体301は、JISX6301に規定されたカード外形とし、JISX6303に規定されたICモジュールの装着位置にアンテナ2の末端を引き回して、ループ状のアンテナ2を内部に埋設して作製する。
【0036】
図3(b)は、図3(a)のB−B線に沿った断面図である。予め樹脂シートに、アンテナ2a、アンテナ2b、アンテナ2c、アンテナ2d、アンテナの末端19a及びアンテナの末端19b、つまりアンテナ2を埋め込んだアンテナシート13の両面に、接着シート12aと接着シート12bを重ね、更に、予め樹脂シートに絵柄印刷部10a及び絵柄印刷部10bを印刷した後、その絵柄印刷部の上に受像層9a及び受像層9bを印刷した受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bを、受像層9a及び受像層9bが最外層になる様に重ね、図示しない熱プレス機を用い、受像層の熱劣化温度以下の温度で加熱し、加圧した後、図示しないカード打ち抜き機で、JISX6301に規定されたカード外形に打ち抜いてカード基体301を作製する。
【0037】
次に、凹部切削工程でカード基体301にICモジュール用凹部、及び半田ペースト充填用凹部を切削する。図5は、本発明の凹部切削工程を説明する図である。図5(a)は、カード基体301を説明する断面図であり、カード基体製造工程で製造されたカード基体を示している。図5(b)は、カード基体301にICモジュール用凹部を設けたカード基体302を説明する断面図である。図5(c)は、カード基体302に半田ペースト充填用凹部を設けたカード基体303を説明する断面図である。
【0038】
凹部切削工程では、アンテナ2a、アンテナ2b、アンテナ2c、アンテナ2d、アンテナの末端19a及びアンテナの末端19bを埋設したカード基体301のJISX6303に規定されたICモジュールの装着位置に、図示しない切削機を用いて、ICモジュールの形状に合わせて切削し、ICモジュール用凹部17を設け、カード基体302を作製し、更に、カード基体302のICモジュール用凹部17で、アンテナの末端19a及びアンテナの末端19bの埋設してある位置に、ICモジュールとアンテナを接合する為の半田ペーストを充填する半田ペースト充填用凹部18a及び半田ペースト充填用凹部18bを切削して設けると共に、アンテナの末端19a及びアンテナの末端19bを切削して、銅線部を露出させたアンテナの末端19c及びアンテナの末端19dを作製し、カード基体303を作製する。
【0039】
最後に、ICモジュール接合工程でカード基体303にICモジュールを装着すると共に、アンテナとICモジュールを接合する。図6は、本発明のICモジュール接合工程を説明する図である。図6(a)は、カード基体303を説明する断面図であり、凹部切削工程で製造されたICモジュール用凹部及び半田ペースト充填用凹部を有するカード基体を示している。図6(b)は、半田ペースト充填用凹部に半田ペーストを充填したカード基体304の断面図である。図6(c)は、ICモジュール用凹部にICモジュールを装着する状態を示すICモジュール3及びカード基体304の断面図であり、ICモジュール用凹部にICモジュールを嵌合し、充填した半田を介してアンテナとICモジュールを半田接合すると共に、ICモジュールに設けた熱可塑性接着剤を介してICモジュールとカード基体303を固着する状態を示している。
【0040】
ICモジュール接合工程では、アンテナ2a、アンテナ2b、アンテナ2c、アンテナ2d、アンテナの末端19c及びアンテナの末端19dを埋設し、ICモジュール用凹部17、半田ペースト充填用凹部18a及び半田ペースト充填用凹部18bを設けたカード基体303において、半田ペースト充填用凹部18a及び半田ペースト充填用凹部18bに半田ペースト7a及び半田ペースト7bを充填してカード基体304を作製した後、外部装置接続端子4、ICモジュール基板16、樹脂封止部5、アンテナ接続端子6a及びアンテナ接続端子6bから成るICモジュール3をICモジュール用凹部17に挿入する。引き続き、図示しない加熱治具を外部装置接続端子4に押しあて、加熱して加圧し、半田ペースト7a及び半田ペースト7bを溶融し、アンテナ接続端子6aとアンテナの末端19c、及びアンテナの末端19dとアンテナ接続端子6bを半田接合すると共に、図示しない加熱治具の熱で熱可塑性接着剤8a及び熱可塑性接着剤8bを溶融し、ICモジュール基板16をICモジュール用凹部17に固着させ、コンビネーションカードを作製する。
【実施例】
【0041】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0042】
本発明では、上記ですでに説明した図4に示す機能を有する、市販のコンビネーションカード用ICモジュールを用いた。ICモジュールは、外部装置接続端子4とガラエポ基板からなるICモジュール基板16を合わせた厚みが280μmであり、ICモジュール基板16の幅方向の寸法が12mmで、長さ方向の寸法が14mmである。更に、樹脂封止部5は、厚みが320μmであり、幅方向の寸法が8mmで、長さ方向の寸法が8mmである。また、熱可塑性接着剤8、熱可塑性接着剤8a及び熱可塑性接着剤8bにはホットメルト接着剤シートを用いた。
【0043】
次に、上記ですでに説明した図3に示す受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bには、受像可能温度が60℃であり、熱劣化温度が150℃である酢酸ビニル系樹脂から成る受像層インキを用い、更に、受像層の受像可能温度の60℃より高い耐熱温度を有する樹脂シートには、PET−Gシートと呼ばれる結晶性ポリエステル系樹脂シートの中で、ポリカーボネート樹脂を40%以上50%以下混合して耐熱温度を105℃にあげた市販のPET−Gシートを用いた。
【0044】
受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bは、厚みが200μmであり、幅方向の寸法が90mmで、長さ方向の寸法が140mmであり、耐熱温度が105℃であるPET−Gシートに、オフセット印刷方式で絵柄印刷部10a及び絵柄印刷部10bを設けた後、絵柄印刷部10a及び絵柄印刷部10bの上に受像層インキをシルクスクリーン印刷方式で印刷し、受像層9a及び受像層9bを設けた。
【0045】
次に、上記ですでに説明した図3に示すアンテナシート13は、受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bと同様に、厚みが200μmであり、幅方向の寸法が90mmで、長さ方向の寸法が140mmであり、耐熱温度が105℃であるPET−Gシートに、線径が100μmの市販のウレタン被膜銅線をループ状に巻いて、温度100℃で加熱し、圧力0.8MPaで加圧して埋め込み、作製した。
【0046】
次に、上記ですでに説明した図3に示す接着シート12a及び接着シート12bには、耐熱温度が105℃であるPET−Gシートと同系の樹脂を用い、ポリカーボネート樹脂を40%未満混合して、耐熱温度が、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、及び95℃である、異なる耐熱温度を有する8水準のPET−Gシートを、厚みが100μmであり、幅方向の寸法が90mmで、長さ方向の寸法が140mmのシート状に作製し、水準毎にカード基体の積層に用いた。
【0047】
次に、上記ですでに説明した図3に示す様に、アンテナシート13の両側を接着シート12a及び接着シート12bで挟持した後、接着シート12a及び接着シート12bに受像層の印刷の無い面を接して、受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bを重ね、温度120℃で加熱し、圧力6MPaで加圧して積層し、図示しないカード打ち抜き機を用いて、長さ方向の寸法が85.60mmで、幅方向の寸法が54.00mmのカードに打ち抜き、カード基体301を作製した。ICカードの寸法は、JIS規格によれば、長さ方向の寸法は85.47mm以上85.72mm以下であり、幅方向の寸法は53.92mm以上54.03mm以下である。
【0048】
カード基体301の作製にあたっては、上述の異なる耐熱温度を有する8水準のPET−Gシートを接着シートとして用い、水準毎に上記製造方法にてカード基体301作製し、8水準のカード基体301を作製した。
【0049】
次に、上記ですでに説明した図5に示す様に、JISX6303に規定された接触型ICカードにおける外部装置接続端子の位置に準じて、カード基体301へのICモジュールの装着位置の中心点を算出し、算出したICモジュールの装着位置の中心点と切削するICモジュール用凹部17の中心を合わせ、幅方向の寸法が12mmで、長さ方向の寸法が14mmであり、カード基体301の表面からの深さが280μmの凹部を切削した後、更に、切削する凹部の中心を同様に合わせ、幅方向の寸法が8mmで、長さ方向の寸法が8mmであり、カード基体301の表面からの深さが600μmの凹部を切削し、ICモジュールの形状に合わせたICモジュール用凹部17を設け、カード基体302を作製した。
【0050】
引き続き、カード基体302のICモジュール用凹部17で、アンテナの末端19a及びアンテナの末端19bの埋設してある位置に、直径3mmで、深さが120μmの凹部を切削し、半田ペースト充填用凹部18a及び半田ペースト充填用凹部18bを設けると共に、アンテナの末端19a及びアンテナの末端19bを切削して、銅線部を露出させたアンテナの末端19c及びアンテナの末端19dを作製し、カード基体303を作製した。
【0051】
更に、上記カード基体302の製造方法で、上述の異なる耐熱温度を有する8水準のPET−Gシートを接着シートに用いて作製した8水準のカード基体301を切削し、ICモジュール用凹部17、半田ペースト充填用凹部18a及び半田ペースト充填用凹部18bを設け、8水準のカード基体303を作製した。
【0052】
本実施例では、上記8水準のカード基体303を、水準毎に100枚ずつ作製し、カード基体303を一枚一枚目視確認し、ICモジュール用凹部17、半田ペースト充填用凹部18a及び半田ペースト充填用凹部18bにおける切削バリの有無を調べた。
【0053】
表1は、上記8水準のカード基体303のICモジュール用凹部17における切削バリの有無を調べた結果を、接着シート用PET−Gシートの耐熱温度の水準毎に、切削バリカードの発生率で表したものである。実験の結果から、積層する対象のPET−Gシートの耐熱温度が105℃であり、積層時の加熱温度が120℃である積層条件において、接着シートが耐熱温度90℃以上のPET−Gシートである場合には、PET−Gシート間の積層が不十分となり、シート間剥離を伴った切削バリが発生することが分かった。また、接着シートとして用いるPET−Gシートの耐熱温度が85℃以下であれば切削バリが発生しないことが分かった。つまり、積層時の加熱温度より35℃以上低い耐熱温度を有するPET−Gシートを接着シートとして用いれば、PET−Gシート間の積層は十分であり、切削バリが発生しないことが分かった。
【0054】
【表1】

【0055】
次に、上記ですでに説明した図6に示す様に、カード基体303の半田ペースト充填用凹部18a及び半田ペースト充填用凹部18bに、融点が95℃の低温半田ペーストを充填し、半田ペースト7a及び半田ペースト7bを設け、カード基体304を作製した後、ICモジュール3をICモジュール用凹部17に挿入した。引き続き、図示しない加熱治具を外部装置接続端子4に、加熱治具の治具温度を180℃とし、圧力0.1MPaで10秒間押しあて、半田ペースト7a及び半田ペースト7bを溶融し、アンテナ接続端子6aとアンテナの末端19c、及びアンテナの末端19dとアンテナ接続端子6bを半田接合すると共に、軟化点が95℃のEVA(エチレン酢酸ビニル共重合物)系ホットメルトからなる熱可塑性接着剤8a及び熱可塑性接着剤8bを溶融し、ICモジュール基板16をICモジュール用凹部17に固着させ、コンビネーションカードを作製した。
【0056】
更に、本実施例では、上記8水準のコンビネーションカードを、水準毎に100枚ずつ作製し、コンビネーションカードの非接触通信を行い、ICモジュールとアンテナとの半田接合不良の有無を調べた。
【0057】
表2は、上記8水準のコンビネーションカードのICモジュールとアンテナとの半田接合不良の有無を調べた結果を、接着シート用PET−Gシートの耐熱温度の水準毎に、非接触通信不良カードの発生率で表したものである。実験の結果から、切削バリが発生していた、耐熱温度が90℃以上のPET−Gシートを接着シートに用いたコンビネーションカードでは、ICモジュールとアンテナとの半田接合に接合不良が発生することが分かった。また、切削バリが発生していない、耐熱温度が85℃以下のPET−Gシートを接着シートに用いたコンビネーションカードでは、ICモジュールとアンテナとの半田接合に接合不良が起きないことが分かった。つまり、ICモジュール用凹部17における切削バリの発生を防止すれば、コンビネーションカードのICモジュールとアンテナとの半田接合を確実にできることが分かった。
【0058】
【表2】

【0059】
(比較例)
比較例は、実施例のポリカーボネート樹脂を40%未満混合した結晶性ポリエステル系樹脂シートから成る接着シートの代わりに、実施例の積層における加熱温度及び加圧力で硬化反応を開始できる、ウレタン系湿気硬化型ホットメルトから成る反応型ホットメルト樹脂シートを用いたことを除いて、実施例と同様に、カード基体製造工程、凹部切削工程及びICモジュール接合工程での加工を行い、比較例のコンビネーションカードを作製した。
【0060】
図7は、比較例のコンビネーションカードを説明する図である。コンビネーションカード111は、カード基体704にアンテナ2を埋設し、カード基体704のアンテナ2の末端を埋設した位置にICモジュール3を設置し作製した。
【0061】
図8は、図7のE−E線に沿った部分断面図である。比較例のコンビネーションカードは、耐熱温度が105℃であるPET−Gシートにアンテナ2a、アンテナ2b、アンテナの末端19c及びアンテナの末端19dを埋め込み作製したアンテナシート13を中心にし、その両側にウレタン系湿気硬化型ホットメルト樹脂からなる反応型ホットメルト樹脂シート712aと反応型ホットメルト樹脂シート712bで挟持し、更に、耐熱温度が105℃であるPET−Gシートに絵柄印刷部10a及び絵柄印刷部10b印刷した後、受像可能温度が60℃であり、熱劣化温度が150℃である酢酸ビニル系樹脂から成る受像層インキを印刷して受像層9a及び受像層9bを設けた受像層付きシート11a及び受像層付きシート11bを重ね、加熱し、加圧してカード基体701を作製した。
【0062】
更に、カード基体701を切削しICモジュール用凹部17を設けた。その結果、反応型ホットメルト樹脂シート712a及び反応型ホットメルト樹脂シート712bの付近に、切削バリ99a及び切削バリ99bが発生した。引き続き、ICモジュール用凹部17に半田ペースト7a及び半田ペースト7bを充填する為の凹部を切削すると共に、切削して銅線部を露出させたアンテナの末端19c及びアンテナの末端19dを作製した。
【0063】
次に、半田ペースト7a及び半田ペースト7bを充填する為の凹部に、融点が95℃の低温半田ペーストを充填して半田ペースト7a及び半田ペースト7bを設け、ICモジュール用凹部17に、外部装置接続端子4、ICモジュール基板16、樹脂封止部5、アンテナ接続端子6a及びアンテナ接続端子6bから成るICモジュール3を挿入し、図示しない加熱治具を外部装置接続端子4に、加熱治具の治具温度を180℃とし、圧力0.1MPaで10秒間押しあて作製した。
【0064】
その結果、切削バリ99a及び切削バリ99bが、ICモジュール3とICモジュール用凹部17との嵌合を妨げ、半田ペースト7a及び半田ペースト7bとアンテナ接続端子6a及びアンテナ接続端子6bを接触させることができず、半田接合が成されていない。更に、軟化点が95℃のEVA(エチレン酢酸ビニル共重合物)系ホットメルトからなる熱可塑性接着剤8a及び熱可塑性接着剤8bが溶融して、ICモジュール基板16をICモジュール用凹部17に接着するも、半田ペースト7a及び半田ペースト7bを設けたICモジュール用凹部17の切削面への接着ではなく、切削バリ99a及び切削バリ99bを含むICモジュール用凹部17の側面部との接着であり、接着強度が確保されていないことが分かった。
【0065】
以上の比較より、従来技術の反応型ホットメルト樹脂シートを用い、受像層を設けた耐熱温度の高い結晶性ポリエステル系樹脂シートを積層するコンビネーションICカードの製造方法では、熱による印刷特性劣化のない受像層を有し、ICモジュールとアンテナの末端との接合が確実であるコンビネーションICカードを作製できないが、本発明の、受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する第一の結晶性ポリエステル系樹脂シートを、受像層の熱劣化温度より低い温度で、且つ積層時の加熱温度より35℃以上低い耐熱温度を有する第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを介して、受像層の熱劣化温度以下の温度で加熱し、加圧するコンビネーションICカードの製造方法では、熱による印刷特性劣化のない受像層を有し、ICモジュールとアンテナの末端との接合が確実であるコンビネーションICカードが作製できた。
【0066】
以上、図面を用いて本発明の実施例を説明したが、本発明は、この実施例に限られるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で部材や構成の変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当事者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のコンビネーションカードを説明する図。
【図2】図1のA−A線に沿った部分断面図。
【図3】本発明のカード基体製造工程を説明する図、図3(a)はカード基体を説明する図、図3(b)は図3(a)のB−B線に沿った断面図。
【図4】本発明のICモジュールを説明する図、図4(a)はICモジュールの表面を示す図、図4(b)はICモジュールの裏面を説明する図、図4(c)は図4(a)及び図4(b)のC−C線に沿った断面図。
【図5】本発明の凹部切削工程を説明する図、図5(a)はカード基体を説明する断面図、図5(b)はカード基体にICモジュール用凹部を設けたカード基体を説明する断面図、図5(c)はカード基体に半田ペースト充填用凹部を設けたカード基体を説明する断面図。
【図6】本発明のICモジュール接合工程を説明する図、図6(a)はカード基体を説明する断面図、図6(b)は半田ペースト充填用凹部に半田ペーストを充填したカード基体の断面図、図6(c)はICモジュール用凹部にICモジュールを装着する状態を示すICモジュール及びカード基体の断面図。
【図7】比較例のコンビネーションカードを説明する図。
【図8】図7のE−E線に沿った部分断面図。
【符号の説明】
【0068】
1、111 コンビネーションカード
2、2a、2b、2c、2d アンテナ
3 ICモジュール
4、41、42、43、44、45、46、47、48 外部装置接続端子
5 樹脂封止部
6a、6b アンテナ接続端子
7a、7b 半田ペースト
8、8a、8b 熱可塑性接着剤
9a、9b 受像層
10a、10b 絵柄印刷部
11a、11b 受像層付きシート
12a、12b 接着シート
13 アンテナシート
14 ICチップ
15a、15b ボンディングワイヤ
16 ICモジュール基板
17 ICモジュール用凹部
18a、18b 半田ペースト充填用凹部
19a、19b、19c、19d アンテナの末端
99a、99b 切削バリ
301、302、303、304、701、704 カード基体
712a、712b 反応型ホットメルト樹脂シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触通信手段及び非接触通信手段を備えたICモジュールと、非接触通信用のアンテナを樹脂シートで挟持して積層したカード基体からなり、前記カード基体を切削して凹部を設けると共に前記アンテナの末端を露出し、前記ICモジュールを前記凹部に嵌合して装着すると共に前記アンテナの末端と前記ICモジュールを接合してなるコンビネーションカードにおいて、前記カード基体の表面及び裏面の少なくとも一方の面に、昇華型熱転写印刷及び/または熱溶融型熱転写印刷を可能とする受像層を設けたコンビネーションICカードであって、前記受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートと、前記受像層の熱劣化温度より低い温度で、且つ積層時の加熱温度より35℃以上低い耐熱温度を有する第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートから成り、複数枚の前記第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを前記第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを介して積層することを特徴とするコンビネーションICカード。
【請求項2】
非接触通信用のアンテナを樹脂シート及び接着シートで挟持し、加熱圧着してカード基体を得て、前記カード基体を切削して凹部を設けると共に前記アンテナの末端を露出し、接触通信手段及び非接触通信手段を備えたICモジュールを前記凹部に嵌合して装着すると共に前記アンテナの末端と前記ICモジュールを接合するコンビネーションカードの製造方法において、前記樹脂シートに昇華型熱転写印刷及び/または熱溶融型熱転写印刷を可能とする受像層の受像可能温度より高い耐熱温度を有する第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを用い、前記第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートに前記受像層を印刷して受像層付きシートを作製し、前記アンテナを前記第一の非結晶性ポリエステル系樹脂シートに埋め込みアンテナシートを作製し、前記受像層の熱劣化温度より低い温度で、且つ積層時の加熱温度より35℃以上低い耐熱温度を有する第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートを前記接着シートに用い、前記アンテナシートを前記第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートで挟持した後、更に前記受像層のない面を前記第二の非結晶性ポリエステル系樹脂シートに接する様にして前記受像層付きシートで挟持し、前記受像層の熱劣化温度以下の温度で加熱し、加圧し、積層してカード基体を得ることを特徴とするコンビネーションICカードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−79610(P2010−79610A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247345(P2008−247345)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000134257)NECトーキン株式会社 (1,832)
【Fターム(参考)】