説明

コンピュータ補助入力装置

【課題】 マウス本体の移動とは関係なく、マウス・スティックを使用してマウス・カーソルを移動させることにより、マウス本体を移動させなくてもマウス・カーソルの移動を可能にする新規のコンピュータ補助入力装置を提供する。
【解決手段】 任意の方向に操作可能にマウス本体10に設けられたマウス・スティックMSの操作に応じて上下方向及び左右方向の各操作量に応じたスティック操作信号をスティック操作信号発生手段14が発生する。発生手段14が発生したスティック操作信号を、マウス本体の移動によって発生されるマウス・カーソル移動信号に代えて、マウス・スティックの操作に応じてマウス・カーソルを移動させるための信号として信号処理手段16が出力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンピュータ補助入力装置に係わり、より詳細には、コンピュータの表示画面上の一を指示するカーソルを移動させたり、各種の指示を行うために使用される一般にマウスと呼ばれているコンピュータ補助入力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のマウスは、マウス本体の移動量を検出するボールと、アプリケーションなどに対してクリックなどによる指示を行なうためのボタンと、それらの情報をコンピュータ本体に送るためのケーブルなどで構成されている。操作者がこのマウスを机上で移動させると、これに伴なって、コンピュータのディスプレイ装置の表示画面上においてマウス・カーソルが移動する。
【0003】このように従来のマウスを使用する際、マウスを机上にて移動させるため、ディスプレイ画面上のマウス・カーソルの移動量が大きい場合には、机上のマウスの移動量も多くなる。また、マウスの移動量を検出するボールが滑ってしまった場合には、ディスプレイ画面上のマウス・カーソルは移動しない。このような場合、マウスを繁盛に持ち上げてマウス移動限界範囲の中央付近に戻す必要があり、マウス・カーソルを微小に正確に移動させることが困難になり、マウス操作の迅速性を損ない、操作者の疲労にも繋がり、作業効率が悪くなる。
【0004】そこで、マウス操作の作業効率の向上を図るため、例えば、実開平4−128332号公報には、情報処理装置の操作端末の表示画面上のマウス・カーソルを移動させるためのカーソル移動ボタンをマウス表面上に設け、マウスを繁盛に持ち上げてマウス移動限界範囲の中央付近に戻す必要がなくなるようにしたマウスが提案されている。
【0005】また、特開平10−283112号公報では、マウスに縦方向移動信号発生用ダイヤルおよび横方向移動信号発生用ダイヤルを設け、各ダイヤルにそれぞれそのダイヤルの回転量に比例したカーソルを移動させるための信号発生機構を設け、マウス・カーソルを縦方向のみまたは横方向のみまたは微小に正確に移動させるようにしたマウスを提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、カーソル移動ボタンをマウス表面上に設けた前者のものでは、マウス・カーソルの移動にボタンを4方向分必要としており、操作性が悪い。
【0007】また、信号発生機構を設けた後者のものでは、ダイヤルが2箇所に設置されるため、マウス本体を移動させずにマウス・カーソルを任意の方向へ移動させるには縦方向移動信号発生用ダイヤルおよび横方向移動信号発生用ダイヤルを両方同時に操作しなければならず、操作性が悪い。
【0008】そこで本発明は、マウス本体の移動とは関係なく、マウス・スティックを使用してマウス・カーソルを移動させることにより、マウス本体を移動させなくてもマウス・カーソルの移動を可能にする新規のコンピュータ補助入力装置を提供することを主たる課題としている。
【0009】本発明はまた、必要なときだけマウス・スティックの機能をマウス・カーソル移動機能として使用し、それ以外のときはマウス・スティックをスクロール・バー操作などの従来通りの機能として使用できるように、簡単な操作でマウス・スティックの機能を切り替え可能にするコンピュータ補助入力装置を提供することを他の課題としている。
【0010】本発明はさらに、マウス・スティックでマウス・カーソルを移動させるときのマウス・カーソルの移動量を調節できるようにするコンピュータ補助入力装置を提供することを他の課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記主たる課題を解決するためなされた本請求項1記載の発明は、任意の方向に操作可能にマウス本体10に設けられたマウス・スティックMSと、該マウス・スティックの操作に応じて上下方向及び左右方向の各操作量に応じたスティック操作信号を発生するスティック操作信号発生手段14と、前記スティック操作信号を、マウス本体の移動によって発生されるマウス・カーソル移動信号に代えて、前記マウス・スティックの操作に応じてマウス・カーソルを移動させるための信号として出力する信号処理手段16とを備えることを特徴とするコンピュータ補助入力装置に存する。
【0012】上述した請求項1記載の構成によれば、任意の方向に操作可能にマウス本体10に設けられたマウス・スティックMSの操作に応じて上下方向及び左右方向の各操作量に応じたスティック操作信号をスティック操作信号発生手段14が発生し、このスティック操作信号を、マウス本体の移動によって発生されるマウス・カーソル移動信号に代えて、マウス・スティックの操作に応じてマウス・カーソルを移動させるための信号として信号処理手段16が出力するので、マウス本体を移動させること無しにマウス・カーソルを移動できる。
【0013】請求項2記載の発明は、請求項1記載のコンピュータ補助入力装置において、前記マウス本体に設けられた切替操作手段FBを備え、該切替操作手段の操作の有無に応じて、前記スティック操作信号をマウス・カーソルを移動させるための信号と、それ以外の信号として前記信号処理手段に入力することを切り替えるようにしたことを特徴とするコンピュータ補助入力装置に存する。
【0014】上述した請求項2記載の構成によれば、マウス本体に設けられた切替操作手段FBの操作の有無に応じて、スティック操作信号をマウス・カーソルを移動させるための信号として、又は、それ以外の信号として信号処理手段16に入力することを切り替えるようにしているので、使用者はマウス・カーソルをマウス・スティックを用いて移動させたい場合にのみマウス・スティック機能切り替えボタンを押せば良く、マウス・スティックを従来通りの機能として使用する際に作業効率が悪化することはなく、また、マウス・スティックをマウス・カーソル移動のために使用する場合についても、使用者はボタンを1つ押すだけでマウス・スティックをマウス・カーソルを移動させる機能に切り替えることができる。
【0015】請求項3記載の発明は、請求項2記載のコンピュータ補助入力装置において、マウス本体に設けられた調節操作手段SSを備え、スティック操作信号をマウス・カーソルを移動させるための信号として出力するとき、マウス・スティックの単位操作量に応じてマウス・カーソルを移動する移動量を変化させるように、前記調節操作手段による調節に応じて前記スティック操作信号を調節するようにしたことを特徴とするコンピュータ補助入力装置に存する。
【0016】上述した請求項3記載の構成によれば、スティック操作信号をマウス・カーソルを移動させるための信号として出力するとき、マウス・スティックの単位操作量に応じてマウス・カーソルを移動する移動量を変化させるように、マウス本体に設けられた調節操作手段SSによる調節に応じてスティック操作信号を調節するようにしているので、マウス・スティックをマウス・カーソルを移動させるために使用する場合に、そのカーソル移動量を使用者が選択できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるコンピュータ補助入力装置としてのマウスの一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0018】図1はマウスの一実施の形態を示す外観斜視図であり、図示マウスは、マウス本体10の下部に取り付けられ、マウス本体10の移動に伴って回転し、マウスの移動を検知するボールBOと、マウス本体10の上部に設けられ、アプリケーションプログラムなどを操作するための左押しボタンB1及び右押しボタンB2と、アプリケーションのスクロールバーの操作など、様々な操作を行う際に使用されるマウス・スティックMSと、情報をコンピュータ本体へ送る情報伝達手段としてのケーブルCBとによって構成されている。なお、図中、FBは切替操作手段としてのマウス・スティック機能切り替えボタン、SSは調節操作手段としてのマウス・カーソル移動量切り替えスイッチであり、これらについては後述する。
【0019】また、マウス本体10内には、図2に示すように、ボールBOに関連したマウス・カーソル移動信号発生回路12と、マウス・スティックMSに関連したスティック操作信号発生回路14と、回路12からのマウス・カーソル信号、回路14からのスティック操作信号、並びに、左右押しボタンB1及びB2の操作によってそれぞれ発生される信号を入力し、ケーブルCBを通じてコンピュータに送信する信号処理回路16とが収容されている。
【0020】上記マウス・カーソル移動信号発生回路12は、マウス本体10の移動を検知して回転するボールBOの縦方向回転に応じて縦方向移動量を示すカーソル移動信号を発生する図示しないロータリーエンコーダと、横方向回転に応じて横方向移動量を示すカーソル移動信号を発生する図示しないロータリーエンコーダとを有し、これらのロータリーエンコーダがそれぞれ発生するカーソル移動信号の一方を選択して信号処理回路16に対して出力する。
【0021】また、上記スティック操作信号発生回路14は、マウス・カーソル移動信号発生回路12が有するロータリーエンコーダとは異なる原理でマウス・スティックMSの操作を検知してスティック操作信号を発生するためのもので、例えば、非操作時には中立位置に自動復帰するようにされたマスク・スティックMSを任意の方向へ操作したとき、その操作に応じて、操作を縦方向と横方向とに分解してその操作量をそれぞれ検知し、マウス・スティックMSの縦方向操作量と横方向操作量をそれぞれ示すスティック操作信号を発生する図示しない手段を有し、これらの手段が発生するスティック操作信号の一方を選択して信号処理回路16に対して出力する。
【0022】更に、上記信号処理回路16は、マウス・カーソル移動信号発生回路12から出力されるマウス本体10の移動に伴なうマウス・カーソル移動信号と、スティック操作信号発生回路14から出力されるスティック操作信号と、左押しボタンB1及び右押しボタンB2からの信号とを入力して情報伝達手段であるケーブルCBを介して図示しないコンピュータに供給する。
【0023】信号処理回路16がマウス・カーソル移動信号発生回路12から出力されるマウス本体10の移動に伴なうマウス・カーソル移動信号と、左押しボタンB1及び右押しボタンB2からの信号とをコンピュータに供給する際、以下に説明するようなデータフォーマットにて送信する。
【0024】データフォーマットは3バイト構成となっており、1バイト目のビット7にてy軸(例えば上下方向)データ・オーバーフロー、ビット6にてx軸(例えば左右方向)データ・オーバーフロー、ビット5にてy移動方向、ビット4にてx移動方向、ビット3及びビット2にて予約、ビット1にて右押しボタン状態、ビット0にて左押しボタン状態をそれぞれ送信する。そして、2バイト目にてx方向移動量、3バイト目にてy方向移動量をそれぞれ送信する。
【0025】ただし、信号処理回路16は、スティック操作信号を入力している状態では、このスティック操作信号をマウス・カーソルを移動させるための信号としてマウス・カーソル移動信号に代え優先的に出力し、マウス本体10の移動によるマウス・カーソル移動は行なわないようにし、その代わりに、上記データ・フォーマットの2バイト目及び3バイト目を利用してマウス・スティックのx方向操作量及びy方向操作量をマウス・カーソルの移動量として送信する。
【0026】以上の構成により、マウス・スティックMSを上下左右の任意の方向に動かすことにより、スティック操作信号発生回路14がマウス・スティックの操作に応じて上下方向及び左右方向の各操作量に応じたスティック操作信号を発生し、その一方を選択して信号処理回路16に対して出力する。信号処理回路16は、スティック操作信号を入力したとき、マウス本体の移動によってマウス・カーソル移動信号発生回路12により発生されるマウス・カーソル移動信号に代えて、マウス・スティックの操作に応じてマウス・カーソルを移動させるための信号として出力し、ケーブルCBを介して図示しないコンピュータに供給することができる。よって、マウス・スティックMSの操作によって発生されるスティック操作信号がマウス・カーソル移動信号として利用される。
【0027】以上により、使用者はマウス・スティックMSの操作を指一本で行なってマウス・カーソルを移動することができ、またマウス・スティックMSを動かす方向と画面表示上のマウス・カーソルの移動方向の対応がわかりやすいため、操作性が良い。
【0028】以上説明した一実施形態の動作を要約してフローで示すと図3及び図4のようになる。すなわち、マウス本体10が移動されると、図3に示すように、マウス・カーソル移動信号発生回路12がマウス本体10の移動に伴うボールBOの回転によりロータリーエンコーダが縦方向移動量及び横方向移動量を検知し、この検知結果により発生するカーソル移動信号を順次選択してシリアルに信号処理回路16に対して出力する。
【0029】このカーソル移動信号を入力した信号処理回路16は、スティック操作信号発生回路14からのスティック操作信号があるかどうかを判断し、スティック操作信号の入力がないときのみ、マウス・カーソル移動信号発生回路12からのマウス・カーソル移動信号をコンピュータに対して送信し、スティック操作信号の入力があるときには、コンピュータへのマウス・カーソル移動信号発生回路12からのマウス・カーソル移動信号の送信を行わない。
【0030】一方、マウス・スティック操作があると、図4に示すように、スティック操作信号発生回路14がマウス・スティックMSの操作を検知し、この検知結果により発生するマウス・スティックMSの縦方向操作量と横方向操作量をそれぞれ示すスティック操作信号を順次選択してシリアルに信号処理回路16に対して出力する。
【0031】このスティック操作信号を入力した信号処理回路16は、スティック操作信号をマウス・カーソル移動信号に代えてカーソルを移動するための信号として送信するための信号変換を行って情報伝達手段としてのケーブルCBを介してコンピュータに対して送信する。
【0032】上述の実施の形態では、マウス・スティックMSをマウス・カーソル移動信号に代わる信号を発生するための手段として専ら使用する場合を示しているが、図1について上述したマウス・スティック機能切り替えボタンFBと組み合わせ使用することができる。すなわち、マウス・スティックMSの操作によって発生する信号を、従来通りスクロールバーの移動などの機能の信号として扱うか、マウス・カーソルを移動するための信号として扱うかを切り替えるためのマウス・スティック機能切り替えボタンFBを設けることで、操作性と利便性の向上を図ることができる。
【0033】具体的には、マウス・スティック機能切り替えボタンFBを押していない状態で、マウス・スティックMSは従来通りスクロールバーの移動などを行うためのスティック信号を発生する手段として機能させ、マウス・スティック機能切り替えボタンFBを押した状態で、マウス・スティックMSはマウス・カーソル移動のためのスティック操作信号を発生する手段として機能させるようにする。このことによって、マウス・スティックMSに複数の機能が付与され、使用者はその切り替え操作をボタン1つで行なえるので、操作性が良く利便性が向上する。
【0034】このために、図5に示すように、マウス・スティックMSが従来通りの使われ方をする時のスティック信号を生成するスティック信号発生回路18が付加され、マウス・スティック機能切り替えボタンFBが押されていない場合に、従来通りのマウス・スティック機能をさせるためのスティック信号をスティック信号発生回路18に発生させる。マウス・スティック機能切り替えボタンFBが押されている場合には、マウス・スティックMSはマウス・カーソルを移動させるために使用されるため、スティック信号発生回路18にはスティック信号を発生させない。
【0035】これに対し、スティック操作信号発生回路14は、マウス・スティック機能切り替えボタンFBが押されているとき、マウス・スティックMSがマウス・カーソルを移動するための手段として使用される場合のスティック操作信号を発生するが、マウス・スティック機能切り替えボタンFBが押されていない場合には、マウス・スティックMSは従来通りの機能としての信号を生成するために使用されるので、何の信号も発生しないようにされている。なお、マウス・スティック機能切り替えボタンFBが押されているときには、スティック操作信号発生回路14は図2について説明したと同様に動作し、スティック操作信号を発生して信号処理回路16に対して出力する。
【0036】信号処理回路16は、スティック信号発生回路18から出力されるマウス・スティックを従来通りの機能として使用した場合のスティック信号と、スティック操作信号発生回路14から出力されるマウス・スティックMSの操作によるスティック操作信号と、から出力されるマウス本体の移動に伴なうボールBOの回転によって発生されるマウス・カーソル移動信号と、マウスの左ボタンB1および右ボタンB2の操作による信号とを情報伝達手段としてのケーブルCBを介してコンピュータに供給する。
【0037】以上説明した第2の実施形態の動作を要約してフローで示すと図6のようになる。すなわち、マウス・スティック操作があると、マウス・スティック機能切り替えボタンFBが押されているかどうかを判断し、押されていなかった場合、マウス・スティックMSの操作によってスティック信号発生回路18からは従来通りの機能としてのスティック信号が出力され、この信号は信号処理回路16において、コンピュータへ送信するための信号に変換されて、情報伝達手段としてのケーブルCBを介して出力される。
【0038】これに対し、マウス・スティック機能切り替えボタンFBが押されていた場合には、スティック操作信号発生回路14は図2及び図4について説明したと同様の動作を行い、スティック操作信号を発生し、これをマウス・カーソル移動信号に代えて信号処理回路16に入力する。信号処理回路16は、コンピュータへ送信するための信号に変換し、情報伝達手段としてのケーブルCBを介して出力する。
【0039】第2の実施の形態のマウスによれば、従来通りの機能としての信号を出力するか、マウス・カーソル移動のための信号として出力するかを簡単に切り替えることができるマウス・スティック機能切り替えボタンを設けたことにより、使用者はマウス・カーソルをマウス・スティックを用いて移動させたい場合にのみマウス・スティック機能切り替えボタンを押せば良いので、マウス・スティックを従来通りの機能として使用する際に作業効率が悪化することはない。また、マウス・スティックをマウス・カーソル移動のために使用する場合についても、使用者はボタンを1つ押すだけでマウス・スティックをマウス・カーソルを移動させる機能に切り替えることができるため、使用者にとって操作性がよい。
【0040】上述した実施の形態では、マウス・スティックMSの操作量に対応するマウス・カーソル移動量は一定値に固定されているが、図1について上述したマウス・カーソル移動量切り替えスイッチSSを組み合わせて使用し、第2の実施の形態にマウス・スティックでマウス・カーソルを移動させるときのマウス・カーソルの移動量を使用者の使用状況に応じて調節できるようにすることで、使用者は各自に合った移動量を選択可能となるため、操作性が向上することができる。
【0041】すなわち、マウス・スティックMSの操作量に対して、マウス・カーソルの移動量を切り替えるためのマウス・カーソル移動量切り替えスイッチSSを設け、マウス・カーソル移動量切り替えスイッチSSによって、マウス・カーソル移動量を選択できるようにすることで、使用者は各自に合った移動量を選択可能となるため、操作性が向上する。
【0042】このために、図7に示すように、新たに設けたマウス・カーソル移動量切り替えスイッチSSからの信号を、スティック操作信号発生回路14に入力し、マウス・カーソルの移動量を決定するために使用するスティック操作信号の操作量を、マウス・カーソル移動量切り替えスイッチSSからの信号を用いて調節して出力する。このことによって、スティック操作信号を入力して、マウス・カーソル移動信号に代えて信号処理回路16がコンピュータに対して出力する信号によって移動されるマウス・カーソルの移動量が調節されるようになる。信号処理回路16からコンピュータに対して送信される操作量の調節後のスティック操作信号が、上述したデータ・フォーマットの2バイト目及び3バイト目を利用してマウス・カーソルを移動するための信号として送信される。
【0043】以上説明した第3の実施形態の動作を要約してフローで示すと図8のようになる。すなわち、マウス・スティックMSが操作され、信号が発生すると、マウス・スティック機能切り替えボタンFBが押されていなかった場合、マウス・スティックMSからの信号は従来通りの信号として出力される。マウス・スティック機能切り替えボタンFBが押されていた場合、スティック操作信号発生回路14は、縦方向及び横方向カーソル移動量検知を行い、縦方向及び横方向のスティック操作量に応じたスティック操作信号の選択を行なう。そして、マウス・カーソル移動量切り替えスイッチSSにより、出力するスティック操作信号の操作量を調節し、これをもとに信号処理回路16がマウス・カーソルを移動するため出力する信号によるマウス・カーソルの移動量が調節されるようになる。
【0044】実施の形態について行った以上の説明から明らかなように、従来のマウス・スティック付きのマウスでは、例えばマウス・スティックはウィンドウのスクロールバーの移動によって画面を移動するために使用され、またマウス・スティックは第3のボタンとして様々な機能を割り当てることが可能となっているが、本発明では、マウス・スティックに対して、これらの機能以外にもマウス・カーソルを移動させる機能を持たせている。
【0045】このことによって、マウス本体を移動させること無しにマウス・カーソルを移動できる機能を設けることにより、マウス本体を移動させるスペースが狭く、マウス・カーソルの移動が多い場合や、マウス本体を移動させたいときにボールが滑ってしまい、マウス・カーソルがうまく移動できないような場合に、マウス本体を移動させることなく簡単な操作でマウス・カーソルを移動させることが可能となるため、使用者の利便性および作業効率が向上する。
【0046】また本発明のマウスは、従来のマウスの機能は変えずにマウス・スティックによってマウス・カーソルの移動をおこなうことができる機能を付加したものである。この機構はハードウェアによって実現することで、ソフトウェアの変更なしに実現できる。従って、本発明の機能を設けたマウスからコンピュータへ送られる信号の内容は、従来のマウスからコンピュータへ送られる信号の内容と全く変わらないので、本発明のマウスを従来のマウスと差し替えて利用可能である。
【0047】マウス・スティックにおいて、従来通りの機能としての信号を出力するか、マウス・カーソル移動のための信号として出力するかを簡単に切り替えることができるマウス・スティック機能切り替えボタンを設けたことにより、使用者はマウス・カーソルをマウス・スティックを用いて移動させたい場合にのみマウス・スティック機能切り替えボタンを押せば良いので、マウス・スティックを従来通りの機能として使用する際に作業効率が悪化することはない。また、マウス・スティックをマウス・カーソル移動のために使用する場合についても、使用者はボタンを1つ押すだけでマウス・スティックをマウス・カーソルを移動させる機能に切り替えることができるため、使用者にとって操作性がよい。
【0048】マウス・スティックをマウス・カーソルを移動させるために使用する場合に、そのカーソル移動量を使用者が選択できることで、作業効率が向上できる。例えば、机上が狭くてマウス本体を移動させることができる範囲が狭い場合に、使用者はマウス・スティックによるマウス・カーソルの移動量を大きく、マウス本体の移動によるマウス・カーソルの移動量をマウスのプロパティで小さく設定し、大部分のカーソル移動はマウス・スティックによって行ない、最終調整のみマウス本体の移動によって行なうようにすれば、マウス本体をあまり動かさずにすむ。また逆に、マウス本体によるカーソル移動が、ボールが滑ってしまってカーソルの微妙な位置合わせがうまく出来ないようなときには、マウス・スティックによるカーソルの移動量を小さく設定しておくことで、マウス・スティックによってマウス・カーソルの位置合わせを容易に行なうことが可能となり、簡単に微妙な位置合わせができる。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、マウス本体を移動させること無しにマウス・カーソルを移動できるので、マウス本体を移動させるスペースが狭く、マウス・カーソルの移動が多い場合や、マウス本体を移動させたいときにボールが滑ってしまい、マウス・カーソルがうまく移動できないような場合に、マウス本体を移動させることなく簡単な操作でマウス・カーソルを移動させることが可能となるため、使用者の利便性および作業効率が向上する。
【0050】請求項2記載の発明によれば、マウス・スティックを従来通りの機能として使用でき、使用者はボタンを1つ押すだけでマウス・スティックをマウス・カーソルを移動させる機能に切り替えることができるため、使用者にとって操作性がよい。
【0051】請求項3記載の発明によれば、マウス・スティックをマウス・カーソルを移動させるために使用する場合に、そのカーソル移動量を使用者が選択できることで、作業効率が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるコンピュータ補助入力装置としてのマウスの一実施の形態を示す外観斜視図である。
【図2】本発明によるコンピュータ補助入力装置の一実施の形態の回路構成を示すブロック図である。
【図3】図2の実施の形態における通常のマウス動作を要約して示す動作フロー図である。
【図4】図2の実施の形態におけるマウス・スティック操作時の動作を要約して示す動作フロー図である。
【図5】本発明によるコンピュータ補助入力装置の第2の実施の形態の回路構成を示すブロック図である。
【図6】図5の実施の形態におけるマウス・スティック操作時の動作を要約して示す動作フロー図である。
【図7】本発明によるコンピュータ補助入力装置の第3の実施の形態の回路構成を示すブロック図である。
【図8】図7の実施の形態におけるマウス・スティック操作時の動作を要約して示す動作フロー図である。
【符号の説明】
10 マウス本体
14 スティック操作信号発生手段(スティック操作信号発生回路)
16 信号処理手段(信号処理回路)
MS マウス・スティック
FB 切替操作手段(マウス・スティック機能切り替えボタン)
SS 調節操作手段(マウス・カーソル移動量切り替えスイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 任意の方向に操作可能にマウス本体に設けられたマウス・スティックと、該マウス・スティックの操作に応じて上下方向及び左右方向の各操作量に応じたスティック操作信号を発生するスティック操作信号発生手段と、前記スティック操作信号を、マウス本体の移動によって発生されるマウス・カーソル移動信号に代えて、前記マウス・スティックの操作に応じてマウス・カーソルを移動させるための信号として出力する信号処理手段とを備えることを特徴とするコンピュータ補助入力装置。
【請求項2】 請求項1記載のコンピュータ補助入力装置において、前記マウス本体に設けられた切替操作手段を備え、該切替操作手段の操作の有無に応じて、前記スティック操作信号をマウス・カーソルを移動させるための信号として、又は、それ以外の信号として前記信号処理手段に入力することを切り替えるようにしたことを特徴とするコンピュータ補助入力装置。
【請求項3】 請求項2記載のコンピュータ補助入力装置において、前記マウス本体に設けられた調節操作手段を備え、前記スティック操作信号をマウス・カーソルを移動させるための信号として出力するとき、前記マウス・スティックの単位操作量に応じてマウス・カーソルを移動する移動量を変化させるように、前記調節操作手段による調節に応じて前記スティック操作信号を調節するようにしたことを特徴とするコンピュータ補助入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2002−287896(P2002−287896A)
【公開日】平成14年10月4日(2002.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−85989(P2001−85989)
【出願日】平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】