説明

コンプレッションドラフト機構を有する繊維機械

コンプレッションドラフト機構とバルーン制限器とを有し、該バルーン制限器が糸又は撚り糸を巻付け管に巻付けるために少なくとも部分的にバルーン制限器の内側を介して案内するのに適している繊維機械に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維機械、有利には紡績機又は撚糸機であって、コンプレッションドラフト機構とホッパ形、ベル形又はキャップ形のバルーン制限器とを備えた形式のものに関する。
【0002】
背景技術
本願発明で言うバルーン制限器は、紡糸リングとリングトラベラとを用いた一般的なリング紡績方法と関連して使用されるバルーン制限エレメントとは区別される必要がある。先に述べたバルーン制限エレメントの作用は例えばMelliand Textilberichte(繊維報告)3/1989、ページ159ffに記述されている。
【0003】
ホッパ形、ベル形又はキャップ形のバルーン制限器もしくは糸案内機構を用いた紡績もしくは撚糸は工業的な紡績方法の開発以来の可能性として公知であった。さらに前記バルーン制限器もしくは糸案内機構を用いた紡績が、紡績リングとリングトラベラとを用いたリング紡績方法の生産性の限界を克服する可能性を持っていることはすでに大分以前から公知である。この目的自体は魅力的であるので、紡績及び/又は撚糸にとって実地に役立つ方法を目指したが今日まで何らかの成果のあがっていない種々の単個エレメントのきわめて多くの組み合わせがこれまでに提案されている。多くの場合には提案された構成は実地においては当初から、例えば装置が複雑であるためにかつ/又は糸バルーンの発生もしくはリングトラベラの使用が一般的なリング紡績方法に比較して顕著な利点を約束しなかったために退けられていた(これに関しては例えばUS1519663号もしくはDE−B−1053365明細書を参照)。しかし、他の構成は前記の如き、明らかな欠陥は有していない。このような組み合わせの例は1948年のGB631838号明細書、1980年DE−A−3046180明細書に見ることができる。
【0004】
GB631838号明細書に記載された構成では、糸は中空スピンドルを介してフライヤ(円筒形の翼体)の内室の内部へ案内され、翼体の下端部における糸案内エレメントまで翼体の内面に接触した状態に留まり、前記糸案内エレメントにて変向させられ、その後で糸がボビンに巻付けられる。中空スピンドルは駆動される。このGB明細書は満たそうとする技術的な要求にはほとんど触れていない。
【0005】
DE−A−3046180号明細書は「ねじれを付与する機構」の使用に関するものである。この場合には吊鐘体と翼体とが前記機構の例として示されかつ翼体状の吊鐘体が概略的に示されている。この場合には糸をドラフト機構からスピンドル軸線の延長にある開口を通して吊鐘体内部へ供給することによってバルーンの形成を回避しようとしている。DE−A−3046180号明細書における発明はコップもしくは紡錐、つまり直径が一定ではない糸体の上に糸を巻上げる問題に関与している。この場合には吊鐘体回転数のためには種々の値が与えられる。DE−A−3046180号明細書は前記問題を考慮しようとする駆動装置を提案している。
【0006】
新しい開発は1984年のDE−A−3400327号明細書に開示されている。DE−A−3400327号明細書によれば、吊鐘紡績装置の吊鐘体はほぼ自由回転可能に支承されかつスピンドルにより糸を介して連行される。この場合、吊鐘体の回転軸には吊鐘体の外套へ糸を案内する糸案内が設けられている。これにより、糸が吊鐘体のシャフトに螺旋状に巻付き、その際に公知の形式の糸バルーンが形成されることなく、吊鐘体を後ろに引き摺って連行する。糸バルーンの抑止を保証するためにはさらに、吊鐘体をできるだけ細身に構成することが提案されている。1実施例(図2)では糸案内を糸バルーンを抑止するための公知の装置として構成することが提案されている。このような装置はDE−A−3400327号明細書によればスピンドルの先端に配置された紡績フィンガとして又は紡績クラウンとそのすぐ上にある糸案内アイとして構成されることができる。
【0007】
この吊鐘構成の誤って考えられていた効果は1987年のDE−A−3741432号明細書から詳細に読取ることができる。コップ巻体を製作することに基づき発生する巻上げ速度の差、ひいては糸張力の差は吊鐘体の外套の上を延びる糸の巻条の経過を介して補償されるようにしたい。この巻条のリードを糸張力に関連して変化させようとしている。この処置が、変化する糸張力の問題を克服するためには不十分であることは当時すでに周知であったので、DE−A−3741432号明細書によれば、吊鐘体の内部にて糸入口と糸出口との間に、糸バルーンの形成を可能にする空間を与えることが付加的に提案されている。これによって糸バルーンの重要な欠点を甘受することなく、糸バルーンの紡績技術的な利点を活用することが可能であったものと思われる。
【0008】
小さな糸バルーンが有利であろうという思想はすでに1985年のEP−A−225660号明細書によって提案されている。この明細書には紡績システムに対し以下の要求を規定している。
−ドラフト機構の出口のいわゆる「紡績トライアングル」において「紡績張力」の適正値を保証すること。
−選択された紡績張力とは無関係に、好適なボビン構成をもたらすより高い「巻付け張力」を可能にすること。
−好適な紡績及び巻付け張力をより高い回転数と有効なボビンの大きさとでも引続き保証すること。
【0009】
EP−A−225660号明細書によれば前記要求は、DE−A−3400327号明細書による装置では達成されない。特に、DE−A−3400327号明細書によれば、紡績張力(ドラフト機構出口における)を巻付け張力(ボビンへ巻付ける場合の)とは別個にプログラミングする可能性は与えられていない。EP−B−225660号明細書に開示された解決策の特徴は糸バルーンの大きさと糸張力とを決定するために、回転可能な吊鐘体をコントロール装置として構成することであると思われる。このコントロール装置は、ドラフト機構とコントロール装置との間でバルーンを形成するために上端にて妨げられていない開放した管として構成したい。バルーンの大きさでは、必要な紡績張力を保証しようとしている。しかし、EP−B−225660号明細書も実地に役立つ解決をもたらさない。
【0010】
1987年のDE−C−3741431号明細書からは、DE−A−3400327号明細書による装置の作用に対するさらなる認識が得られる。後者の文献による表現によれば、DE−A−3400327号明細書による装置によっては1分あたり40000の回転数が達成でき、この場合にはこの形式で紡績された糸は外観に関し、リング糸に対し、新しい糸がはっきりと毛羽だっている印象を受けるという相違を有している。したがってDE−C−3741431号明細書はドラフト機構と吊鐘体との間にコンプレッションエレメントを設けることを提案している。スライバが紡績撚りをまだ有していない間にスライバを圧縮することにより紡績トライアングルは小さくなり、したがって繊維に作用する遠心力も減退させられる。これにより繊維端部の強められた拡開も阻止されるものと思われる。
【0011】
近頃、走行する糸が巻き掛けられた回転する支持管を用いて繊維のために撚りを形成することはDE−A−19938493号明細書に再び取上げられている。撚り形成の前記構成によっては糸は巻体から十分な間隔をおいて案内されることが目的とされている。DE−A−19938493号明細書は表現的に、DE−C−3400327号明細書に関し、先の提案の失敗の理由を「吊鐘体式紡績装置によって達成可能なより高い紡績速度ではより高い遠心力が糸に作用し、この結果、突出量の大きい繊維が形成され、糸品質が減退する」ことにあるとしている。
【0012】
DE−A−19938493号明細書では前記問題をいわゆる「コンプレッションドラフト機構」を設けることで解決しようとしている。この場合にはこのドラフト機構によって突出する繊維はかなり回避され、したがってコンプレッションドラフト機構と支持管との組み合わせではじめて、良好な糸品質のもとで生産速度の上昇が有効になったものと思われる。
【0013】
DE−A−19938493号明細書によればさらに管も巻体も個有の駆動装置を備えている。この場合、各駆動装置は個別にその回転数に関して調整可能である。このような形式で管と巻体との回転数の差は任意に調整可能である。これにより支持管から巻体への移行部における糸張力が調節可能である。
【0014】
さらにEP−B−947617号明細書には、ドラフト機構から送り出された繊維束がまず圧縮工程に晒され、次いでリング紡績装置で糸バルーンなしで又は糸バルーンが減じられて伸延されかつ巻上げられる方法が認められる。リング紡績装置が設けられているので前記構成は本願発明でいうバルーン制限器もしくは糸案内機構を有しておらず同様にDE−A−340037号明細書に示されているようなスピンドル載置体を有している。
【0015】
最後にWO97/32065明細書からはバルーン制限器を用いた紡績方法が公知である。この場合にはバルーン制限器の作業表面によって連行された糸は該作業表面から直接的に巻管の上に回転するオープンループとして移行する。
【0016】
このオープンループは遠心力の作用を受けて膨張する。該WO明細書によって提案された解決原理によれば、糸は前記ループ自体に連続的に供給されかつ回転するスピンドルに対する前記ループの相対運動によって糸は該ループから連続的に引出されかつ巻管の上に巻上げられる。回転するオープンループは半径方向で制限され、場合によっては立体的に成形されるか又は自由な空間内で回転する。
【0017】
主ドラフト域に続いていわゆるコンプレッション域を用いることはすでに公知技術である(例えばDE−A−857168号明細書参照)。スライバを主ドラフト域にてもしくは出口ローラにて圧縮しようとすることもすでに公知技術である(例えばDE−B−1178749号明細書参照)。
【0018】
少なくとも木綿糸のためには、効果的なコンプレッション法は10年前にはじめて提供された(例えばMelliand繊維報告書2000 3/133 ffと2002 6/405 ff並びにインタナショナルテクスティル公報1/2002、42と43ページ参照)。
【0019】
これまで最も効果的であったコンプレッション法は圧縮作用を達成するために特に空気力式(エアロダイナミック式)の力を活用している。しかしながら機械式の力を用いる解決策も公知である(例えばWO 03/95723、09.08.2004のヨーロッパ特許出願4018817.9号明細書及び23.04.2004のDE特許出願102004020984.7号明細書参照)。
【0020】
本発明はコンプレッションドラフト機構と吊鐘体、キャップ又はホッパの形をしたエレメントから成るバルーン制限器もしくは糸案内機構との組み合わせは著しい利点をもたらすが、DE−A−19938493号明細書による支持管がこのようなエレメントとして選択されることは誤りであるという認識から出発している。さらに本発明は紡績張力と巻付け張力との好適化はいずれも大きな意義を持つが紡績トライアングルに続く糸バルーンを用いて紡績張力を決定することは何ら良好な成果をもたらさないという認識がから出発している。
【0021】
最も近い公知技術はDE特許出願19938493号明細書である。該明細書には、コンプレッションドラフト機構と、スピンドルの上へ被せ嵌められた支持管の形を有し、その外側を介して糸が巻付け管の上に巻付けられる糸案内とを備えた紡績装置が示されている。この場合には前記支持管はその紡績回転を行なう。
【0022】
この公知技術は多くの問題を有している。1つには支持管が外側にて自由に巻き掛けられることによってきわめて強い摩擦が発生する。したがってこの方法で製造された糸は支持管を使用しないコンプレッション紡績法による生産物に比較して著しく毛羽立っている。すなわち、毛羽立ち性は普通のリング紡績機で達成された毛羽立ち性にほぼ相応する。これは顧客、つまり紡績工場は紡績しようとする糸の毛羽立ち性を最小に減らすためにコンプレッションドラフト機構を有する繊維機械のための余分な出費を甘受しているので特に問題である。
【0023】
2つには紡績及び巻付け張力は強く分散し過ぎる。これによって支持管と巻付け管との間で糸は過度に緊張され、糸切れ伸長が減少する。きわめて高い回転数では紡績プロセスの間コップが巻き太れば巻き太るほどコントロールできなくなる。糸は持ち上がり、終には完全に遠心力に晒されることになる。したがって支持管は発明者により糸クオリティーと生産速度とを高めるためのもと想定されているにも拘らず最高でも生産速度を高めることしかできず、糸クオリティーの上昇は当該装置で実施される方法では実証されない。
【0024】
したがって本発明の課題は生産速度を上昇させるだけではなく、付与されている条件のもとで糸クオリティーも、しかも普通のコンパクト紡績機又は撚糸機に比べて改善される繊維機械を提供することである。
【0025】
この課題はコンパクトドラフト機構が後続のバルーン制限器と組み合わされており、例えばホッパ紡績により公知であるバルーン制限器のように、バルーン制限器の内側を案内されて糸が巻付け管の上へ巻付けられるようにバルーン制限器が構成されていることによって達成された。
【0026】
いわゆる吊鐘体式や、キャップ式又はホッパ式紡績又は撚糸(以後、短縮してホッパ紡績と呼ぶ)は、リング紡績又は撚糸をより有効的に行なう方法である。この場合、吊鐘体もしくはキャップ又はホッパ状のエレメント(以下ホッパと呼ぶ)は巻付け管の上へ被せ嵌められる。この配置ではホッパの下縁、下縁における切欠き又はホッパ内外の任意の形状の糸案内は糸を巻付け管に巻付けるための変向部として用いられる。糸が少なくとも大部分、有利には完全にホッパの内側を案内される結果、バルーンは少なくとも大部分、特に有利な構成では全体的に制限されてバルーンの拡大が実質的に阻止されることになる。これによってバルーンを制限するすべてのスリーブの場合にように比較的にわずかな遠心力がドラフト機構と巻上げられた糸体との間の糸部分に作用するようになる。この場合にはトラベラ摩擦の問題も解決された。前記の如き案内は、遠心力を完全に吸収することによって糸を支える。
【0027】
以下、もちろん単なる例であって、決してこれに限定されるものではないと理解されるべき添付図面によって本発明を詳細に説明する。
【0028】
すべての図は繊維機械の巻付け装置を示している。該巻付け装置に属する、前置されたドラフト機構は公知であるものと前提し、図示は省略してある。
【0029】
図1は巻付け装置1が巻付け管3の上のコップ2と共に示されている。ホッパの形を有し、ホッパの内側にフックの形をした糸ガイド5を備えたバルーン制限器4は回転する糸6がバルーンとして膨らむことなく巻付け管3の上のコップ2に糸6が案内された状態で該糸6を巻付けることを可能にする。図1には個有の駆動装置8を有するバルーン制限器の1ヴァリエーションが示されているが、同様に連行されたバルーン制限器4を、例えばここには図示されていない回転するリングと関連して用いることも考えられる。
【0030】
図2には図1と同じ装置が吊鐘体形のバルーン制限器4と共に示されている。該バルーン制限器4は吊鐘体の下側に切欠きの形をした糸案内を有し、付加的なカプセル7を有している。前記カプセルは空気摩擦を極端に減少させ、したがってエネルギ節減に用いられ得るので特に有利な実施形態である。
【0031】
図3は糸6が一部だけバルーン制限器4の内側にて案内される変化実施例が示されている。この場合には糸案内5としてバルーン制限器4の壁に孔が設けられている。糸6はバルーン制限器4の内側に沿って、糸案内5まで案内され、この糸案内5を通ってバルーン制限器4から出て、バルーン制限器4の最後の部分の外側を経てコップ2に巻付けられる。この場合、バルーン制限器4の最後の部分は有利には下へ向かって拡がっている。又、反対の解決策も可能である。すなわち、糸又は撚糸はまずバルーン制限器の壁の外側に沿って案内され、孔を通って内側へ侵入し、最後に内部で案内されかつコップに巻付けられることもできる。
【0032】
ホッパ、もしくは吊鐘体又はカプセル、さらには糸案内の形と材料とには、種々のヴァリエーションで示したように種々異なるものが考えられる。可能性はそれぞれ個々の機械の所与の他にも所望される生産物の所与によっても制限される。
【0033】
本発明の原理は広く構想されているにも拘らず、以下に述べた有利な特徴の組み合わせにより、特殊な利点が得られる。
(イ)繊維機械が、非円筒形の部分、特に円錐形の部分を有するボビン、例えばコップを形成するのに適したボビン形成装置を有していること。
(ロ)バルーン制限器が、ボビンの非円筒形の部分に適合された第1の部分を備えた糸案内機構を有していること。
(ハ)糸案内機構が中空軸の形をした保持体を備え、この保持体を通して糸が糸案内機構の内部へ到達することができ、この場合、中空軸の外径が有利には形成しようとするボビンの外径よりも著しく小さいこと。
(ニ)保持体が同様に支承装置を有し、該支承装置が中空軸の軸線を中心として前記機構を回転可能に保持するために中空軸と協働し、該支承装置が有利には転がり軸受を有していること。
(ホ)糸案内機構が第1の部分を中空軸に結合する第2の部分を備えていること。
(ヘ)第2の部分がほぼ円筒形に巻付け管に適合されているか又は第2の部分が中空軸から第1の部分へのほぼ連続的な移行部を形成していること。
(ト)ドラフト機構の送りローラとバルーン制限器への入口との間にバルーンが形成されないか又は少なくとも発生したバルーンが維持されるように糸案内が形成されていること。
(チ)ドラフト機構の送りローラとバルーン制限器への入口との間で摩擦を発生させる巻掛け角度で糸案内が行なわれないこと。
(リ)糸案内がバルーン制限器の内部にてバルーンが発生しないかもしくは発生したバルーンが維持できるように構成されていること。
(ヌ)糸案内が糸案内機構の第1の部分まで、巻付け管の回転軸線の近くを糸が案内されるように行なわれること。
(ル)バルーン制限器のために単個駆動装置が、有利には制御可能な電気モータの形で設けられていること。
(ヲ)単個駆動装置が中空軸と協働すること。
(ワ)巻管保持体、有利にはスピンドルの形をした巻管保持体のために単個駆動装置が、有利には制御可能な電気モータの形で設けられていること。
(カ)バルーン制限器とボビン(巻体)との間で糸張力(巻上げ張力)の制御可能な調節が可能であるように前記駆動装置が配置されているかもしくは制御されていること。
(ヨ)有利には走行方向で見てバルーン制限器から巻付け管への移行部の前の糸区間に付加的な糸張力が発生しないようにコンプレッションドラフト機構の出口における巻込み領域における紡績張力が巻付け張力に関連するように糸案内が構成されていること。
(タ)紡績張力が巻上げ張力と変向面における摩擦に基づく張力損失とから与えられるように糸案内が構成されており、変向部における巻掛け角度が有利には全体で、紡績張力が最適な領域に又は少なくとも十分に高い領域に生じるように制限されていること。
(レ)所定のボビン構造、特に所定のボビン硬さもしくはボビン密度が生じるような高さに巻付け張力が選択されていること。
(ソ)巻付け張力が糸において十分な残留ドラフトを保証するために制限されていること。
(ツ)Ne6からNe200の番手領域の木綿糸が4%よりも高い残留ドラフト、有利には4.5%よりも高い残留ドラフト、例えば4.5〜7%の領域の残留ドラフトが発生するように巻付け張力が制限されていること。このドラフトは例えば5m/minの試験速度で例えばUster Tensorapid3で測定されることができる。
(ネ)糸が糸案内機構の外面、例えば該機構の第1の部分の外面に達するように構成されている場合に糸が螺旋を形成しないこと。
(ナ)糸案内機構のすべてのエレメントが、例えば該機構を一体に構成することで、運転中に前記エレメントの相対回動が生じないように相互に結合されていること。
【0034】
先に述べた特徴は個別に又はあらゆる任意の組み合わせで以下の請求項に規定した配置で使用されることができる。しかし前記配置は有利には、ボビンとバルーン制限器との間の糸張力がコンプレッションドラフト機構の出口まで伝播され得るように選択されることができる。この場合ドラフト機構の出口における紡績張力は主として巻付け張力により張力損失、特に変向個所における張力損失により減少させられて生じる。所定の糸生産物のために最適な紡績張力の検出は実地においては経験的に行なう必要がある。何故ならば理論的な考察はきわめて複雑であるからである(例えばMelliand繊維報告書7/1991.499ffページ参照)。好適ではない紡績張力は悪い糸走行特性、特に紡績トライアングル(ドラフト機構出口)に発生する数多くの糸切れをもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】繊維機械の巻付け装置の1実施例を示した図。
【図2】繊維機械の巻付け装置の別の1実施例を示した図。
【図3】繊維機械の巻付け装置のさらに別の1実施例を示した図。
【符号の説明】
【0036】
1 巻付け装置、 2 コップ、 3 巻付け管、 4 バルーン制限器、 5 糸案内、 6 糸、 7 カプセル、 8 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッションドラフト機構と、該コンプレッションドラフトに後置された糸巻付け装置(1)と、ホッパ形、吊鐘形又はキャップ形のバルーン制限器(4)とを有する繊維機械において、巻付け管(3)に巻付けるために糸/撚糸(6)が少なくとも一部、前記バルーン制限器(4)の内側に沿って案内されることを特徴とする、コンプレッションドラフト機構を備えた繊維機械。
【請求項2】
糸(6)を巻付けるために前記バルーン制限器(4)の内及び/又は外に糸案内(5)が設けられている、請求項1記載の繊維機械。
【請求項3】
前記糸案内(5)が前記バルーン制限器(4)の下側又は内側における開いた又は閉じたフックの形で構成されている、請求項1又は2記載の繊維機械。
【請求項4】
前記糸案内(5)が前記バルーン制限器(4)の下縁の形及び/又は前記バルーン制限器の下縁及び/又は壁部における切欠きの形で構成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項5】
前記バルーン制限器(4)が個別に駆動可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項6】
前記バルーン制限器(4)が個別には駆動されていない、請求項1から4までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項7】
前記バルーン制限器(4)が回転するリングと結合されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項8】
前記バルーン制限器(4)及び/又は前記巻付け管(3)の周囲にカプセル(7)が設けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項9】
空気力式のコンプレッションドラフト機構を有する繊維機械である、請求項1から8までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項10】
機械的なコンプレッションドラフトを備えた繊維機械である、請求項1から8までのいずれか1項記載の繊維機械。
【請求項11】
コンプレッションドラフト機構と該コンプレッションドラフト機構の後ろに配置された糸巻付け装置(1)とホッパ形、吊鐘形又はキャップ形のバルーン制限器(4)とを用いた紡績又は撚糸方法において、巻付け管(3)への巻付けるための糸/撚糸(6)をバルーン制限器(4)の内側に沿って少なくとも1部案内する、紡績もしくは撚糸方法。
【請求項12】
ボビンとバルーン制限器との間の糸張力がコンプレッションドラフト機構の出口まで伝播され得る、請求項11記載の紡績もしくは撚糸方法。
【請求項13】
ドラフト機構出口における紡績張力が主として巻付け張力によって、張力損失、特に変向個所における張力損失により減少させられて発生させられる、請求項12記載の紡績もしくは撚糸方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−506001(P2007−506001A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526504(P2006−526504)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【国際出願番号】PCT/CH2004/000580
【国際公開番号】WO2005/026419
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(590005597)マシーネンファブリク リーター アクチェンゲゼルシャフト (93)
【氏名又は名称原語表記】Maschinenfabrik Rieter AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstrasse 20,CH−8406 Winterthur,Switzerland
【Fターム(参考)】