説明

コンベアベルトの縦裂き検知装置

【課題】設備費用の増大を抑制しつつ、コンベアベルトの縦裂きを検知する。
【解決手段】コンベアベルト1における幅方向の両外側にレーザ距離センサ2を設置し、コンベアベルト1における幅方向の両端部までの距離に基づいてコンベアベルト1の幅方向の長さを算出し、算出した長さが閾値を下回ったときに、縦裂きが生じたと判断する。また、レーザ距離センサ2を、搬送物が落下するシュート近傍に設置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアベルトの縦裂き検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉱石、石炭、コークス、石灰などの搬送には、ベルトコンベアが使用され、このコンベアベルトが進行方向に沿って裂けると(縦裂き)、復旧のために長時間の設備停止が強いられる。そこで、コンベアベルトに多数のコイルを埋設し、このコイルの断線状態を検出することによって、コンベアベルトの縦裂きを検知するものが提案されていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−48549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンベアベルトに多数のコイルを埋設し、その断線状態を検知する構成の場合、設備費用が増大してしまう。
本発明の課題は、設備費用の増大を抑制しつつ、コンベアベルトの縦裂きを検知することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係るコンベアベルトの縦裂き検知装置は、コンベアベルトに縦裂きが生じたときに、裂けた部分が重なり、コンベアベルトの幅が短くなることに着目している。
【0006】
先ず、コンベアベルトにおける幅方向の長さを検出する検出手段と、該検出手段で検出した長さが予め設定された閾値よりも短くなったときに、前記コンベアベルトが長手方向に裂ける縦裂きが生じたと判断する判断手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記検出手段は、トラフ形のコンベアベルトにおける幅方向の両外側に設置され、前記コンベアベルトにおける幅方向の両端部までの距離を検出する距離センサで構成され、該距離センサで検出した距離に応じて前記コンベアベルトにおける幅方向の長さを検出することを特徴とする。
また、前記距離検出手段は、前記コンベアベルトの長手方向のうち、当該コンベアベルトに対して搬送物が落下するシュート領域に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るコンベアベルトの縦裂き検知装置は、コンベアベルトにおける幅方向の長さを検出し、検出した長さの変化に基づいて縦裂きを検知するだけの構成なので、設備費用の増大を抑制しつつ、コンベアベルトの縦裂きを検知することができる。
【0009】
また、コンベアベルトにおける幅方向の両外側に、トラフ形のコンベアベルトにおける幅方向の両端部までの距離を検出する距離センサを設けるだけの構成なので、設備費用の増大を抑制しつつ、コンベアベルトの縦裂きを検知することができる。
【0010】
また、搬送物が落下するシュート領域に距離検出手段を設置することで、縦裂きが生じやすい領域で、効果的にコンベアベルトの縦裂きを検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《構成》
図1は、本発明の概略構成図である。
コンベアベルト1は、図示しない駆動プーリに架け渡されており、駆動プーリの回転に応じて、鉱石、石炭、コークス、石灰などの搬送が行われる。コンベアベルト1は、トラフ形であり、幅方向に沿った断面は、略皿状に形成されている。
【0013】
コンベアベルト1における幅方向の両外側には、コンベアベルト1における幅方向の両端部までの距離を検出するレーザ距離センサ2が設置されており、これら二つのレーザ距離センサ2の検出値は、例えばマイクロコンピュータで構成された制御装置3に入力される。
【0014】
レーザ距離センサ2は、コンベアベルト1の長手方向のうち、コンベアベルト1に対して搬送物が落下するシュート領域に設置される。これは、搬送物が落下するシュート付近で縦裂きが生じやすいからである。
【0015】
制御装置3は、レーザ距離センサ2の検出値に基づいて、コンベアベルト1の幅方向の長さを算出し、算出した長さが予め定められた閾値よりも短くなったときに、コンベアベルト1が長手方向に裂ける縦裂きが生じたと判断し、その旨をスピーカやモニタに表示したり、設備を停止したりする。
【0016】
《作用》
一般に、コンベアベルト1に縦裂きが生じると、裂けた部分が重なり、コンベアベルト1の幅が短くなる。そこで、コンベアベルト1における幅方向の両外側に、レーザ距離センサ2を設置し、コンベアベルト1までの距離に基づいてコンベアベルト1の幅方向の長さを算出し、算出した長さが閾値を下回ったときに、縦裂きが生じたと判断する。このように、二つの距離センサを設置し、コンベアベルト1の幅変化を監視するだけの構成なので、設備費用の増大を抑制しつつ、コンベアベルト1の縦裂きを検知することができる。
【0017】
なお、二つの距離センサの何れかの検出値だけで判断しないのは、コンベアベルト1の位置が幅方向に変動する(蛇行する)可能性があるからである。したがって、二つの距離センサの双方の検出値に基づいて判断することで、精度よくコンベアベルト1の縦裂き検知することができる。
また、レーザ距離センサ2を、搬送物が落下するシュート近傍に設置することで、縦裂きが生じやすい領域で、効果的にコンベアベルトの縦裂きを検知することができる。
【0018】
また、レーザ距離センサ2は、コンベアベルト1が駆動プーリに架け渡されている位置や従動プーリに支持されている位置を避けて設置する。すなわち、駆動プーリや従動プーリの位置では、縦裂きが生じても幅方向への長さ変化が生じにくいからである。
【0019】
以上、レーザ距離センサ2が「検出手段」及び「距離センサ」に対応し、コントローラ3が「判断手段」に対応する。
【0020】
なお、本実施形態では、光学式の距離センサを用いているが、他にも超音波センサ、静電容量センサ、電磁波センサなどを用いてもよい。
また、距離センサを用いなくともよい。要は、コンベアベルト1における幅方向の長さを検出することができればよいので、例えばコンベアベルト1をカメラで撮像し、撮像した画像データに基づいてコンベアベルト1における幅方向の長さを検出してもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 コンベアベルト
2 レーザ距離センサ
3 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベアベルトにおける幅方向の長さを検出する検出手段と、該検出手段で検出した長さが予め設定された閾値よりも短くなったときに、前記コンベアベルトが長手方向に裂ける縦裂きが生じたと判断する判断手段と、を備えることを特徴とするコンベアベルトの縦裂き検知装置。
【請求項2】
前記検出手段は、トラフ形のコンベアベルトにおける幅方向の両外側に設置され、前記コンベアベルトにおける幅方向の両端部までの距離を検出する距離センサで構成され、
該距離センサで検出した距離に応じて前記コンベアベルトにおける幅方向の長さを検出することを特徴とする請求項1に記載のコンベアベルトの縦裂き検知装置。
【請求項3】
前記距離センサは、前記コンベアベルトの長手方向のうち、当該コンベアベルトに対して搬送物が落下するシュート領域に設置されることを特徴とする請求項1又は2に記載のコンベアベルトの縦裂き検知装置。

【図1】
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