説明

コンベア用羽根付きスリーブおよびスリーブ付きローラ

【課題】過負荷運転等による温度上昇や高温環境下での使用等の熱によるモータへの温度負荷を抑制することができるコンベア用スリーブおよびスリーブ付きローラを、コストの著しい上昇を招くことなく提供する。
【解決手段】駆動用モータを内蔵したローラの外側を環状の間隔を設けて覆い、ローラと共に回転する円筒状のスリーブ本体と、スリーブ本体の内周面に固定され、ローラと共に回転して放熱のための空気流を発生させる羽根とを備えるコンベア用羽根付きスリーブ。前記羽根が、スリーブ本体の内周面に沿ってスリーブ本体の軸方向に螺旋状に形成されているコンベア用羽根付きスリーブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流業界等で用いられるコンベア(ローラコンベア)を構成するモータ内蔵ローラ(以下、単に「ローラ」とも言う。)の発熱を効率よく放熱するためのコンベア用羽根付きスリーブおよびスリーブ付きローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流業界等においては、物品をスムーズに自動搬送するために、物品搬送用コンベアとして、パイプの内部に小型モータやギヤ等を内蔵したモータ内蔵ローラを備えたコンベアが用いられることが多い。
【0003】
図7に、従来の物品搬送用コンベアの一例を概念図として示す。図7において、物品搬送用コンベア71は、搬送物を低所から高所へスムーズに移動させるために設けられた螺旋状の傾斜部(スパイラルコンベア部)と、搬送物を平面上で水平移動させるために設けられた平面部とで構成されている。そして、傾斜部にはテーパローラ72が、また平面部にはストレートローラ74が配置されている。傾斜部にテーパローラ72を配置することにより、搬送物を低所から高所へスムーズに移動させることができる。
【0004】
しかし、これらのローラの表面は、一般に、鉄等の金属パイプで形成されており、十分な摩擦係数を有しているとは言えず、搬送物の材質や重量によっては搬送物がローラ上を滑ってしまい、スムーズな搬送ができなくなる可能性がある。特に、傾斜部においてその問題が顕著である。
【0005】
そこで、摩擦係数の比較的大きい発泡ウレタン樹脂層が表面に施されたスリーブ(テーパスリーブ73、ストレートスリーブ75)を、ローラ(テーパローラ72、ストレートローラ74)に装着して、搬送物が滑ることを防止している。また、ローラの外側表面にゴムライニングを施して、搬送物が滑ることを防止している場合もある。なお、図7では、本発明の理解を容易にするために、便宜上、スリーブが装着されているローラとスリーブが装着されていないローラを混在させて描いている。
【0006】
しかし、発泡ウレタン樹脂やゴムライニングは、熱伝導性が低く、放熱性が低いため、モータの運転に伴う発熱を十分に放熱することができず、ローラ自身にモータの熱がこもる。その結果、ローラひいてはモータの温度が上昇し、高温環境下でモータの運転が行われる可能性がある。また、過負荷運転等による温度上昇もある。
【0007】
一般的に使用されているモータにおいては、モータの回転子または固定子に備えられた永久磁石(以下、単に「磁石」とも言う)の耐熱性は高いとは言えず、過負荷運転等により使用中の温度が上昇した場合や、繰り返し高温環境下で使用した場合、磁石が熱による不可逆性の減磁(熱減磁)を起こし、その結果として、常温に戻ったとき、モータのトルクが著しく低下し、回復しない現象が発生し、搬送能力の低下を招いてしまう。
【0008】
そこで、高温環境下での使用や過負荷運転等による温度上昇等によるモータへの温度負荷に対して、耐熱性に優れた磁石を備えたモータを用いることが考えられ、特許文献1〜3には、高保磁力を有すると共に、高温時での減磁耐力に優れた磁石として、テルビウム(Tb)やディスプロシウム(Dy)等の重希土類元素を含有させたNd−Fe−B系の希土類磁石が示されている。
【特許文献1】特開2004−304038号公報
【特許文献2】WO 2006/064848 A1公報
【特許文献3】特開2005−210876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1〜3に示されたNd−Fe−B系の希土類磁石は、希少で高価な重希土類元素を用いているため、このような磁石を用いたモータは、コストの著しい上昇を招いてしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、高い放熱性により、高温環境下での使用や過負荷運転等による温度上昇等の熱によるモータへの温度負荷を抑制することができるコンベア用スリーブおよびスリーブ付きローラを、コストの著しい上昇を招くことなく提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、ローラの外周面に空気流を発生させることにより、ローラから効率的に放熱することができ、モータへの温度負荷を十分に抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、各請求項の発明について説明する。
【0012】
請求項1に記載の発明は、
駆動用モータを内蔵したローラの外側を環状の間隔を設けて覆い、前記ローラと共に回転する円筒状のスリーブ本体と、
前記スリーブ本体の内周面に固定され、前記ローラと共に回転して放熱のための空気流を発生させる羽根と
を備えていることを特徴とするコンベア用羽根付きスリーブである。
【0013】
請求項1の発明においては、コンベア用羽根付きスリーブが、駆動用モータを内蔵したローラの外側を環状の間隔を設けて覆い、ローラと共に回転する円筒状のスリーブ本体と、スリーブ本体の内周面に固定されてローラと共に回転して放熱のための空気流を発生させる羽根とを備えているため、ローラの回転と共に羽根が回転して、前記間隔部分に空気流が発生して、ローラ内の熱を効率的に放散することができる。
【0014】
その結果、スリーブ本体の外側に搬送物の滑り防止のための発泡ウレタン樹脂層等が設けられていても、モータ温度が過度に上昇することを抑制できて、トルクが低下せず、ローラの搬送能力の低下を抑制することができる。
【0015】
また、請求項1の発明に係るコンベア用羽根付きスリーブは、スリーブ本体に羽根を設けるだけという極めて簡易な構造のスリーブであるため、コストの上昇を十分に抑制することができる。
【0016】
スリーブ本体の外形としては、ストレート状の他に、テーパ状であってもよい。テーパ状のスリーブを、コンベアのコーナー部に設けることにより、搬送物を円滑に搬送することができる。なお、テーパ状のスリーブの場合、回転時、大口径側から小口径側に空気の流れができるように羽根を設けると、大量の外部空気を吸い込むことができ、より効率的に熱を放散することができる。
【0017】
なお、請求項1の発明に係るコンベア用羽根付きスリーブは、前記したTbやDy等の重希土類元素を含有させたNd−Fe−B系の希土類磁石等の耐熱性に優れた磁石を備えた高温環境型のモータを用いたローラへの適用を排除するものではない。これらのモータを用いたローラに対しても、放熱効果は十分に発揮され、モータ温度が過度に上昇することを抑制することができる。
【0018】
また、従来、搬送物の滑り防止用のゴムライニングは、一般的には、ローラの外側表面に直接ライニング処理を施される場合が多かったが、請求項1の発明に係るコンベア用羽根付きスリーブの場合には、スリーブ本体の外側にライニング処理を施してゴムライニング層が設けられる。そして、このような放熱性の悪いゴムライニング層が設けられたライニングスリーブであっても、前述した請求項1の発明の効果により、モータ温度が過度に上昇することを抑制することができる。
【0019】
そして、このようなライニングスリーブは、ローラ完成品に後付けすることができるという利点を有する。その結果、従来の表面にライニング処理が施されたローラの場合、ローラパイプ単品の状態で外側表面に直接ライニング処理された後ローラ完成品とされていたため、特に受注生産の場合にはライニング処理に日数を要し、製作日数がかかるという問題があったが、ライニングスリーブの場合には、受注生産を行う場合であっても、予めライニング処理されたスリーブをローラに嵌め込むだけで済むため、製作日数を短縮することができる。
【0020】
また、このように後付けが可能になることにより、複数種類のライニングスリーブを標準在庫として確保することができて短納期に対応することができ、場合によっては客先での仕様変更に伴うスリーブの後付にも迅速に対応することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明は、
前記羽根が、前記スリーブ本体の内周面に沿って前記スリーブ本体の軸方向に螺旋状に形成されており、回転時、前記スリーブ本体の一端側から他端側に向けて前記空気流を発生させることを特徴とする請求項1に記載のコンベア用羽根付きスリーブである。
【0022】
請求項2の発明においては、放熱のための空気流を発生させる羽根を螺旋状に形成させている。羽根を螺旋状に形成することにより、回転時、スリーブとローラの間隔内へ空気を、他の形状以上に効率的に供給することができ、スリーブ1回転当たりの空気流量を多くできるため、モータの発熱を最も効率的に放散することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明は、
駆動用モータを内蔵したローラ本体と、
前記ローラの外側を環状の間隔を設けて覆い、前記ローラ本体と共に回転する円筒状のスリーブ本体と、
前記スリーブ本体の内周面に固定され、前記ローラ本体と共に回転して放熱のための空気流を発生させる羽根と
を備えていることを特徴とするコンベア用スリーブ付きローラである。
【0024】
請求項3の発明においては、コンベア用スリーブ付きローラが、駆動用モータを内蔵したローラ本体と、ローラ本体の外側を環状の間隔を設けて覆い、ローラ本体と共に回転する円筒状のスリーブ本体と、スリーブ本体の内周面に固定されてローラ本体と共に回転して放熱のための空気流を発生させる羽根とを備えているため、ローラの回転と共に羽根が回転して、前記間隔部分に空気流が発生して、ローラ内の熱を効率的に放散することができる。
【0025】
その結果、モータ温度が過度に上昇することを抑制できて、トルクが低下せず、搬送能力が衰えないローラを提供することができる。
【0026】
また、請求項3の発明においては、コンベア用スリーブ付きローラが、スリーブ本体に羽根を設けたスリーブを備えただけという極めて簡易な構造のローラであるため、コストの上昇を十分に抑制することができる。
【0027】
請求項4に記載の発明は、
前記羽根が、前記スリーブ本体の内周面に沿って前記スリーブ本体の軸方向に螺旋状に形成されており、回転時、前記スリーブ本体の一端側から他端側に向けて前記空気流を発生させることを特徴とする請求項4に記載のコンベア用スリーブ付きローラである。
【0028】
請求項4の発明においては、放熱のための空気流を発生させる羽根を螺旋状に形成させている。羽根を螺旋状に形成することにより、回転時、間隔内へ空気をより効率的に供給することができて、空気流量を多くできるため、モータの発熱をより効率的に放散することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明により、高温環境下での使用や過負荷運転等による温度上昇等の熱によるモータへの温度負荷を抑制することができるコンベア用スリーブおよびスリーブ付きローラを、コストの著しい上昇を招くことなく提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0031】
1.ローラ本体およびモータ
始めに、本発明の実施の形態におけるローラ本体およびモータの動作を理解するために、本実施の形態に係るローラ本体およびモータについて説明する。
【0032】
(ローラ本体について)
図1に、IPM−DCブラシレスモータを内蔵したローラ本体の概念図を示す。図1において、モータ22のロータシャフトの先端に対し回転固定で嵌合する太陽歯車14は、遊星減速機構15を経て減速された出力軸16へと出力され、出力軸16は、パイプ17へ回転固定された出力板18と回転固定で嵌合し、パイプ17へと出力伝達することにより、パイプ17が回転する。また、軸19は、モータケースに対して回転固定かつパイプ17に対して回転可能に固定および取付フレーム20に対して固定金具21を介して固定される。軸19を取付フレーム20に取り付け、回転固定させることによりパイプ17が回転し物品を搬送可能とする。
【0033】
(モータについて)
図2に、図1におけるモータ22のIPM−DCブラシレスモータの概念図を示す。図2において、磁石1が円周上90°おきに均等に埋め込まれたロータコア2、および4極着磁された位置検出磁石3は、ロータシャフト4に回転固定されている。ロータシャフト4の両端は、軸受5および軸受5を保持するモータフレーム6を介してモータケース7で保持され、また、モータケース7で圧入固定されているステータ8に対して軸心が同一である。
【0034】
マグネットワイヤ13が巻装されたステータ8に対して、ロータ(4極:パラレル円周方向)は、スラスト方向に同位置に配置し、回転可能になるように軸受5およびモータフレーム6を経てモータケース7に固定されている。
【0035】
ホールIC9は、軸心に対して60°毎に3ヶ所ホール基板10上に配置されて、ロータに配置した位置検出磁石3の磁極を検知し、ホール基板10および中空になっている軸19を貫通するケーブル11を介して、別途接続される制御基板12へと信号を送る。別途接続される制御基板12はその信号を受け、適宜ステータ8へ巻装されたマグネットワイヤ13へ電流を流し、ロータシャフト4を回転させる。
【0036】
なお、本実施に形態においては、モータ22として、小型、長寿命等の観点より、上記のように、ブラシレスモータを用いたが、限定されるものではなく、一般的に使用されるブラシモータであっても良い。
【0037】
(実施の形態1)
本実施の形態は、スリーブ本体の内周面に羽根が設けられ、羽根の内縁部がローラ本体の外周面に固定されている羽根付きスリーブの例であり、図3に、本実施の形態に係るコンベア用羽根付きスリーブの概念図を示す。図3において、コンベア用羽根付きスリーブ24は、円筒状のスリーブ本体25と、放熱のための空気流を発生させる羽根26とを備えている。スリーブ本体25の内径は、ローラ本体23の外径よりも大きく、ローラ本体の外周面29との間に環状の間隔27が形成される大きさに設定されている。
【0038】
羽根26は、ローラ本体の外周面29およびスリーブ本体25との間の間隔27に設けられ、ローラ本体の外周面29およびスリーブ本体25の内周面に沿ってスリーブ本体25の軸方向に螺旋状に形成され、羽根26とスリーブ本体25とは樹脂成型等の手段を用いて一体に形成されている。そして、羽根26の内縁部はローラ本体の外周面29と接触して接着剤等で固定されている。なお、スリーブ本体25と羽根26は、個々に形成されて、接着剤等で固定されていてもよい。また、本実施の形態においては、スリーブ本体25の外周面には、搬送物の滑り防止用のゴムライニング33が施されている。
【0039】
スリーブ本体25、および羽根26に用いられる材質としては、樹脂では、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂(PA)、ガラス繊維強化ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ガラス繊維強化ポリサルホン樹脂(PSU)等を挙げることができる。ローラのパイプと同じ材質である必要はなく、接着やピン打ち等でローラ本体に固定することが可能であれば、適宜選択することができる。
【0040】
また、羽根26の螺旋ピッチについては、前記した空気流の発生に合わせて、適宜設計することができるが、通常は、20〜50mm程度のピッチが好ましい。
【0041】
このように構成されるコンベア用羽根付きスリーブ24は、回転時、ローラ本体23と共に矢印の方向に回転することにより、白抜き矢印で示すように、スリーブ本体25の一端側から外部空気が流入し、螺旋状に形成された羽根26に沿って、間隔27を通ってスリーブ本体25の他端側から流出して、ローラ本体23で発生する熱を放散させることができ、ローラ本体23の放熱性を向上させることができる。
【0042】
(実施の形態2)
本実施の形態は、スリーブ本体の内側にさらに内筒を設け、スリーブ本体と内筒との間に羽根が設けられた羽根付きスリーブの例であり、図4に、本実施の形態に係るコンベア用羽根付きスリーブの概念図を示す。なお、図4においては、ローラ本体の取付状況も示すため、取付フレーム等も図示してある。
【0043】
図4において、コンベア用羽根付きスリーブ24は、円筒状のスリーブ本体25と、その内側に設けられた内筒30と、放熱のための空気流を発生させる羽根26とを備えている。内筒30の内径は、ローラ本体23の外形にほぼ同じであって、コンベア用羽根付きスリーブ24は、内筒30をローラ本体23に嵌め込み、例えば、接着やピン打ち等により固定される。
【0044】
羽根26は、スリーブ本体25と内筒30との間との間の間隔27に設けられ、スリーブ本体25の内周面および内筒30の外周面に沿って、スリーブ本体25の軸方向に螺旋状に形成され、羽根26、スリーブ本体25および内筒30は樹脂成型等の手段を用いて一体に形成されている。なお、羽根26、スリーブ本体25および内筒30は、個々に形成されて、接着剤等で固定されていてもよい。また、本実施の形態においても、スリーブ本体25の外周面にはゴムライニング33が施されている。
【0045】
このように構成されるコンベア用羽根付きスリーブ24は、回転時、ローラ本体23と共に矢印の方向に回転することにより、白抜き矢印で示すように、スリーブ本体25の一端側から外部空気が流入し、螺旋状に形成された羽根26に沿って、間隔27を通ってスリーブ本体25の他端側から流出して、ローラ本体23で発生する熱を内筒30を介して放散させることができ、ローラ本体23の放熱性を向上させることができる。
【0046】
本実施の形態の場合、螺旋状の羽根26が予め内筒30に固定されているため、内筒30をローラ本体23に嵌め込み固定するだけで、ローラ本体23に固定することができ、ローラ本体23への取付作業が容易になる。
【0047】
(実施の形態3)
本実施の形態は、テーパ状のスリーブ本体の内周面に羽根が設けられ、羽根の内縁部がローラ本体の外周面に固定されている羽根付きスリーブの例であり、図5に、本実施の形態に係るテーパ状のコンベア用羽根付きスリーブの概念図を示す。図5において、テーパ状のコンベア用羽根付きスリーブ24は、テーパ状のスリーブ本体25と、放熱のための空気流を発生させる螺旋状の羽根26とで構成され、羽根26とスリーブ本体25とは樹脂成型等の手段を用いて一体に形成されている。そして、羽根26の内縁部はローラ本体の外周面29と接触して接着剤等で固定されている。なお、スリーブ本体25と羽根26は、個々に形成されて、接着剤等で固定されていてもよい。また、本実施の形態においても、スリーブ本体25の外周面にはゴムライニング33が施されている。
【0048】
このように構成されるテーパ状のコンベア用羽根付きスリーブ24は、回転時、ローラ本体23と共に矢印の方向に回転することにより、白抜き矢印で示すように、スリーブ本体25の大口径側から外部空気が流入し、螺旋状に形成された羽根26に沿って、間隔27を通ってスリーブ本体25の小口径側から流出して、ローラ本体23で発生する熱を放散させることができる。このように、外部空気をスリーブ本体25の大口径側から流入させることにより、大量の空気を送り込むことができ、より効率的な熱の放散を図ることができる。
【0049】
(実施の形態4)
本実施の形態は、テーパ状のスリーブ本体の内側にさらに内筒を設け、スリーブ本体と内筒との間に羽根が設けられたテーパ状の羽根付きスリーブの例であり、図6に、本実施の形態に係るテーパ状のコンベア用羽根付きスリーブの概念図を示す。なお、図6においても、ローラ本体の取付状況も示すため、取付フレーム等も図示してある。
【0050】
図6において、テーパ状のコンベア用羽根付きスリーブ24は、テーパ状のスリーブ本体25と、その内側に設けられた内筒30と、放熱のための空気流を発生させる羽根26とを備えている。内筒30の内径は、ローラ本体23の外形にほぼ同じであって、コンベア用羽根付きスリーブ24は、内筒30をローラ本体23に嵌め込み、例えば、接着やピン打ち等により、固定される。
【0051】
羽根26は、スリーブ本体25と内筒30との間との間の間隔27に設けられ、スリーブ本体25の内周面および内筒30の外周面に沿って、スリーブ本体25の軸方向に螺旋状に形成され、羽根26、スリーブ本体25および内筒30は樹脂成型等の手段を用いて一体に形成されている。なお、羽根26、スリーブ本体25および内筒30は、個々に形成されて接着剤等で固定されていてもよい。また、本実施の形態においても、スリーブ本体25の外周面にはゴムライニング33が施されている。
【0052】
このように構成されるテーパ状のコンベア用羽根付きスリーブ24は、回転時、ローラ本体23と共に矢印の方向に回転することにより、白抜き矢印で示すように、スリーブ本体25の大口径側から外部空気が流入し、螺旋状に形成された羽根26に沿って、間隔27を通ってスリーブ本体25の小口径側から流出してローラ本体23で発生する熱を内筒30を介して放散させることができる。このように、実施の形態3と同様に、外部空気をスリーブ本体25の大口径側から流入させることにより、大量の空気を送り込むことができ、より効率的な熱の放散を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施の形態に係るブラシレスモータを内蔵したローラ本体の概念図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るブラシレスモータの概念図である。
【図3】実施の形態1に係るコンベア用羽根付きスリーブの概念図である。
【図4】実施の形態2に係るコンベア用羽根付きスリーブの概念図である。
【図5】実施の形態3に係るコンベア用羽根付きスリーブの概念図である。
【図6】実施の形態4に係るコンベア用羽根付きスリーブの概念図である。
【図7】従来の物品搬送用コンベアの一部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 磁石
2 ロータコア
3 位置検出磁石
4 ロータシャフト
5 軸受
6 モータフレーム
7 モータケース
8 ステータ
9 ホールIC
10 ホール基板
11 ケーブル
12 制御基板
13 マグネットワイヤ
14 太陽歯車
15 遊星減速機構
16 出力軸
17 パイプ
18 出力板
19 軸
20 取付フレーム
21 固定金具
22 モータ
23 ローラ本体
24 コンベア用羽根付きスリーブ
25 スリーブ本体
26 羽根
27 間隔
29 ローラ本体の外周面
30 内筒
33 ゴムライニング
71 物品搬送用コンベア
72 テーパローラ
73 テーパスリーブ
74 ストレートローラ
75 ストレートスリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用モータを内蔵したローラの外側を環状の間隔を設けて覆い、前記ローラと共に回転する円筒状のスリーブ本体と、
前記スリーブ本体の内周面に固定され、前記ローラと共に回転して放熱のための空気流を発生させる羽根と
を備えていることを特徴とするコンベア用羽根付きスリーブ。
【請求項2】
前記羽根が、前記スリーブ本体の内周面に沿って前記スリーブ本体の軸方向に螺旋状に形成されており、回転時、前記スリーブ本体の一端側から他端側に向けて前記空気流を発生させることを特徴とする請求項1に記載のコンベア用羽根付きスリーブ。
【請求項3】
駆動用モータを内蔵したローラ本体と、
前記ローラの外側を環状の間隔を設けて覆い、前記ローラ本体と共に回転する円筒状のスリーブ本体と、
前記スリーブ本体の内周面に固定され、前記ローラ本体と共に回転して放熱のための空気流を発生させる羽根と
を備えていることを特徴とするコンベア用スリーブ付きローラ。
【請求項4】
前記羽根が、前記スリーブ本体の内周面に沿って前記スリーブ本体の軸方向に螺旋状に形成されており、回転時、前記スリーブ本体の一端側から他端側に向けて前記空気流を発生させることを特徴とする請求項3に記載のコンベア用スリーブ付きローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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