説明

コンベヤ設備

【課題】摩耗による損傷を減少でき、構造を簡単にかつ安価としたコンベヤ設備を提供する。
【解決手段】コンベヤフレーム13,23にローラ16,26群を遊転自在に配設することで、直線状経路部2Aとカーブ状経路部2Bを有する搬送経路2を形成したコンベヤ設備1である。ローラ群の駆動手段30は、搬送経路に沿って各経路部に共通の無端チェーン31を、往行部31aと復行部31bを上下方向で対向させて配設し、無端チェーンの駆動部41を設けて構成した。無端チェーンは、コンベヤ幅方向1Wで対を成すチェーンリンク32A,32B、33A,33Bのうち、いずれか片側のチェーンリンクをリンクピン34に対してリンク長さ方向に摺動自在として構成し、ガイド部材51による支持案内によって往行部がローラ群の下方において移動自在に構成した。所定のチェーンリンクには、少なくとも一部がチェーン幅31Wに納まる状態でローラ群に下方から当接する摩擦部材39を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤフレームにローラ群を遊転自在に配設することで、直線状経路部とカーブ状経路部とを有する搬送経路を形成したコンベヤ設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとしては、次のような構成が提供されている。すなわち、ストレートローラコンベヤやカーブローラコンベヤのローラは、その支軸を介して支持枠に回転自在に設けられ、そしてモータによりプーリ間を循環駆動されるベルトをローラ(またはローラと一体のプーリ)に下方から当接して、ローラ群を回転駆動することで、ローラ上に載置された荷物をローラの回転方向に沿って移動させている。その際にベルトとしては、ベルト断面が逆台形形状の樹脂Vベルトや、さらに上辺両角部を切り落とした六角形断面からなる樹脂Vベルトが使用されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000−351428号公報(第2−3頁、図1−5、図8)
【特許文献2】特表2002−534337号公報
【特許文献3】特開2004−43181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した従来構成によると、ベルトは、ローラ(またはローラと一体のプーリ)に上面側部分が当接されるとともに、圧力ローラ群により下面側部分が支持されており、したがって上下の両面側部分がそれぞれ他物と接触していることで、摩耗による損傷が激しくなるとともに、所期の回転力伝達に悪影響を及ぼす恐れがある。また圧力ローラを多数箇所に設けることで、構造が複雑にかつ高価となる。
【0004】
そこで本発明の請求項1記載の発明は、摩耗による損傷を減少し得るとともに、構造を簡単にかつ安価にし得るコンベヤ設備を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために本発明の請求項1記載のコンベヤ設備は、コンベヤフレームにローラ群を遊転自在に配設することで、直線状経路部とカーブ状経路部とを有する搬送経路を形成したコンベヤ設備であって、ローラ群の駆動手段は、搬送経路に沿って各経路部に共通の無端チェーンを、その往行部と復行部とを上下方向で対向させて配設するとともに、この無端チェーンの駆動部を設けることで構成され、前記無端チェーンは、コンベア幅方向で対を成すチェーンリンクのうち、いずれか片側のチェーンリンクをリンクピンに対してリンク長さ方向に摺動自在として構成されるとともに、ガイド部材による支持案内によって往行部がローラ群の下方において移動自在に構成され、チェーンリンク群のうち所定のチェーンリンクには、少なくとも一部がチェーン幅に納まる状態でローラ群に下方から当接する摩擦部材が設けられていることを特徴としたものである。
【0006】
したがって請求項1の発明によると、搬送経路の始端部に供給した被搬送物を、直線状経路部上で直線状に搬送し得るとともに、引き続いてカーブ状経路部上でカーブ状に搬送し得る。その際に両経路部においては、駆動手段における共通の無端チェーンを回動して搬送力を得ている。すなわち回動させている無端チェーンは、往行部においてチェーンリンクがガイド部材により支持案内されることによって、一体化している摩擦部材をローラ群に下方から当接し得、以て無端チェーンの回動力によってローラ群を所定の回転速度で駆動回転させることになる。これにより両経路部においては、同じ搬送速度によって被搬送物を連続して搬送し得る。その際に摩擦部材の当接(圧接)の反力は、摩擦部材の少なくとも一部がチェーン幅に納まっていることで、チェーンリンクにより安定して受け止め得る。
【0007】
そしてカーブ状経路部の往行部においては、チェーンリンクの外側面をガイド部材に摺接して案内することによって、無端チェーンは、その片側のチェーンリンクをリンクピンに対してリンク長さ方向に摺動させて長さ調整するとともに、チェーン幅方向において不測に振れたりすることもなく、以て常に円滑にカーブ状経路部に沿って円弧状に移動し得る。したがって、無端チェーン側に一体化している摩擦部材も振れることはなく、ローラ群に対する下方からの当接を安定して行える。
【0008】
さらに摩擦部材を、チェーンリンクの単位で分断して設けていることにより、カーブ状経路部の往行部においては、円弧状の曲がりに伴って摩擦部材の平面視における曲げ変形が殆ど生じることなく、ローラ群に対する下方からの弾性的な当接を行える。しかも無端チェーンは、直線状経路部とカーブ状経路部からなる搬送経路の全長に亘って、摩擦部材の当接面のみをローラ群に当接させることで、摩耗による損傷を減少し得、さらにガイド部材は型レール状に構成し得る。
【0009】
また本発明の請求項2記載のコンベヤ設備は、上記した請求項1記載の構成において、チェーンリンクには、ローラ群に下方から対向される受け部材が設けられ、この受け部材に摩擦部材が設けられていることを特徴としたものである。
【0010】
したがって請求項2の発明によると、摩擦部材の当接(圧接)の反力を、受け部材を介してチェーンリンクにより受け止め得る。
そして本発明の請求項3記載のコンベヤ設備は、上記した請求項1または2記載の構成において、対を成すチェーンリンクのうち、いずれか片側のチェーンリンクに摩擦部材が設けられていることを特徴としたものである。
【0011】
したがって請求項3の発明によると、摩擦部材の当接(圧接)の反力を、いずれか片側のチェーンリンクを介して無端チェーン側で受け止め得る。
さらに本発明の請求項4記載のコンベヤ設備は、上記した請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成において、摩擦部材が弾性体からなることを特徴としたものである。
【0012】
したがって請求項4の発明によると、回動させている無端チェーンは、一体化している摩擦部材をローラ群に下方から弾性的に当接し得る。
しかも本発明の請求項5記載のコンベヤ設備は、上記した請求項1〜4のいずれか1項に記載の構成において、駆動部は、摩擦部材が下向きとなる復行部に配設されるもので、無端チェーンに内側から咬合される駆動輪体と、摩擦部材に外側から当接される案内輪体とからなることを特徴としたものである。
【0013】
したがって請求項5の発明によると、復行部に配設した駆動部における駆動輪体を回転させ、案内輪体により支持案内しながら共通の無端チェーンを回動させることで、搬送力を得ている。すなわち無端チェーンを、往行部においてはガイド部材により支持案内し得、また復行部の駆動輪体と案内輪体とにより支持案内し得る。
【発明の効果】
【0014】
上記した本発明の請求項1によると、搬送経路の始端部に供給した被搬送物を、直線状経路部上で直線状に搬送できるとともに、引き続いてカーブ状経路部上でカーブ状に搬送できる。その際に両経路部においては、駆動手段における共通の無端チェーンを回動して搬送力を得ることができる。すなわち回動させている無端チェーンは、往行部においてチェーンリンクをガイド部材により支持案内することによって、一体化している摩擦部材をローラ群に下方から当接でき、以て無端チェーンの回動力によってローラ群を所定の回転速度で駆動回転できることになる。これにより両経路部においては、同じ搬送速度によって被搬送物を連続して搬送できる。その際に摩擦部材の当接(圧接)の反力は、摩擦部材の少なくとも一部がチェーン幅に納まっていることで、チェーンリンクにより安定して受け止めることができる。
【0015】
そしてカーブ状経路部の往行部においては、チェーンリンクの外側面をガイド部材に摺接して案内することによって、無端チェーンは、その片側のチェーンリンクをリンクピンに対してリンク長さ方向に摺動させて長さ調整できるとともに、チェーン幅方向において不測に振れたりすることもなく、以て常に円滑にカーブ状経路部に沿って円弧状に移動できることになる。したがって、無端チェーン側に一体化している摩擦部材も振れることはなく、ローラ群に対する下方からの当接を安定して行うことができ、以て無端チェーンによる駆動力の伝達を常に好適に行うことができる。
【0016】
さらに摩擦部材を、チェーンリンクの単位で分断して設けていることにより、カーブ状経路部の往行部においては、円弧状の曲がりに伴って摩擦部材の平面視における曲げ変形が殆ど生じることなく、ローラ群に対する下方からの弾性的な当接を行うことができ、以てローラ群への駆動力伝達を常に円滑にかつ摩擦部材の損傷を少なくして行うことができる。しかも無端チェーンは、直線状経路部とカーブ状経路部からなる搬送経路の全長に亘って、摩擦部材の当接面のみをローラ群に当接させることで、摩耗による損傷を減少でき、さらにガイド部材は型レール状に構成できることによって、その構造を簡単にかつ安価として提供することができる。
【0017】
また上記した本発明の請求項2によると、摩擦部材の当接(圧接)の反力を、受け部材を介してチェーンリンクにより安定して受け止めることができる。
そして上記した本発明の請求項3によると、摩擦部材の当接(圧接)の反力を、いずれか片側のチェーンリンクを介して無端チェーン側で受け止めることができる。
【0018】
さらに上記した本発明の請求項4によると、回動させている無端チェーンは、一体化している摩擦部材をローラ群に下方から弾性的に当接でき、以て摩擦部材のローラ群に対する下方からの当接を一定状の弾性力で行うことができる。
【0019】
しかも上記した本発明の請求項5によると、復行部に配設した駆動部における駆動輪体を回転させ、案内輪体により支持案内しながら共通の無端チェーンを回動させることで、搬送力を得ることができる。すなわち無端チェーンを、往行部においてはガイド部材により支持案内でき、また復行部においては駆動輪体と案内輪体とにより支持案内でき、以て安定して回動できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[実施の形態1]
以下に、本発明の実施の形態1を、たとえば直線状経路部上で搬送してきた被搬送物を、引き続いてカーブ状経路部上で搬送するのに使用されるコンベヤ設備に採用した状態として、図1〜図7に基づいて説明する。
【0021】
図2、図3において、ケース状のコンテナ(被搬送物の一例)Aを搬送するコンベヤ設備1は駆動ローラ形式であって、その一例として、直線状コンベヤ装置11とカーブ状コンベヤ装置21とからなる構成が設けられている。すなわち、コンベヤ設備1の搬送経路2は、直線状コンベヤ装置11により形成される直線状経路部2Aと、カーブ状コンベヤ装置21により半円状に形成されるカーブ状経路部2Bとを有する状態で形成されている。
【0022】
図1〜図7において、前記直線状コンベヤ装置11のフレーム本体12は、左右一対の直線状コンベヤフレーム13と、両直線状コンベヤフレーム13の下部間に設けられた連結フレーム14と、直線状コンベヤフレーム13の下部に連結された脚体15などにより構成されている。そして両直線状コンベヤフレーム13間には、長さ方向(直線状経路部2Aの方向)における複数箇所(多数箇所)に位置されてローラ16が遊転自在に配設されている。すなわち各ローラ16は、前記直線状コンベヤフレーム13に形成された六角孔(または切り欠き部)にローラ軸17の六角軸部が位置されることで、両直線状コンベヤフレーム13間で遊転自在に支持されている。これにより、ローラ16群の上方に直線状経路部2Aが形成される。
【0023】
前記カーブ状コンベヤ装置21のフレーム本体22は、半円状で左右一対の円弧状コンベヤフレーム23と、両円弧状コンベヤフレーム23の下部間に設けられた連結フレーム24と、円弧状コンベヤフレーム23の下部に連結された脚体25などにより構成されている。そして両円弧状コンベヤフレーム23間には、長さ方向(カーブ状経路部2Bの方向)における複数箇所(多数箇所)に位置されてローラ26が遊転自在に配設されている。すなわち各ローラ26は、前記円弧状コンベヤフレーム23に形成された六角孔(または切り欠き部)にローラ軸27の六角軸部が位置されることで、両円弧状コンベヤフレーム23間で遊転自在に支持されている。その際に各ローラ26は、その長さ方向(ローラ軸心)を円弧中心に向けた状態として配設されている。これにより、ローラ26群の上方にカーブ状経路部2Bが形成される。
【0024】
前記ローラ16,26群の駆動手段30は、搬送経路2に沿って各経路部2A,2Bに共通の無端チェーン31を、その往行部(作用経路部)31aと復行部(リターン経路部)31bとを上下方向で対向させて配設するとともに、この無端チェーン31の駆動部41を設けることで構成されている。そして駆動手段30は、前記フレーム本体12,22内でかつ外側(カーブにおける小径側に相当)のコンベヤフレーム13,23側に位置されて配設されている。その際に前記無端チェーン31は、ローラ16,26群の下方で搬送経路2の方向における両端(直線状経路部2Aの始端部とカーブ状経路部2Bの終端部)にそれぞれ遊転自在として配設された反転輪体40間に巻回され、そして搬送経路2に沿って配設されたガイド部材(後述する。)による支持案内によって、往行部31aがローラ16,26群の下方において移動自在に構成されている。
【0025】
すなわち前記無端チェーン31は、コンベヤ幅方向1Wで対を成すアウターチェーンリンク32A,32Bとインナーチェーンリンク33A,33Bとの前後端間をリンクピン34により相対回動自在に連結するとともに、外側(カーブにおける小径側に相当)のインナーチェーンリンク33Aに形成したリンク長さ方向の長孔35にリンクピン34を通すことで、外側(いずれか片側)のインナーチェーンリンク33Aをリンクピン34に対してリンク長さ方向に摺動自在として構成されている。
【0026】
対を成す前記チェーンリンク32A,32B、33A,33B群のうち、所定(いずれか片側)のチェーンリンク、すなわち内側(カーブにおける大径側に相当)のチェーンリンク32B,33Bには、それぞれローラ16,26群に下方から対向される受け部材36が設けられている。この受け部材36は、金属製のプレート材を折り曲げることによって横板部37と縦板部38とを有する状態で逆L字状(L字状)に形成されている。そして、往行部31aにおいて横板部37が無端チェーン31とローラ16,26との間に位置される状態で、内側のチェーンリンク32B,33Bの内側面に縦板部38を当て付けて溶接固定などすることにより、受け部材36はチェーンリンク32B,33Bに一体化されている。
【0027】
このような受け部材36における横板部37上には、ローラ16,26群に下方から当接する摩擦部材39が設けられている。ここで摩擦部材39は、ウレタンなどにより矩形板状に製作された弾性体からなり、ほぼ全幅がチェーン幅31Wに納まる状態で、横板部37に接着固定などにより一体化されている。その際に摩擦部材39は、往行部31aにおいて上方に露出した当接面39aをローラ16,26群に下方から当接させている。
【0028】
前記駆動部41は、摩擦部材39が下向きとなる復行部31bに配設されている。すなわち、直線状コンベヤ装置11における両直線状コンベヤフレーム13の下部間にボックス状の駆動部フレーム42が設けられ、この駆動部フレーム42に減速機付きのモータ43が搭載されるとともに、モータ43の出力軸44に、無端チェーン31に内側から咬合される駆動輪体45が設けられている。さらにモータ43の近くにおいて一方の直線状コンベヤフレーム13には、摩擦部材39に外側から当接される一対の反転用の案内輪体46が設けられるとともに、駆動部フレーム42には位置調整自在なテンション案内輪体47が設けられている。以上の42〜47などにより、駆動部41の一例が構成される。
【0029】
前記ガイド部材51は、横向きの受け板部52と、この受け板部52の幅両端から上方へと折り曲げ状とされた縦向きの規制板部53とによって型レール状に形成されるとともに、搬送経路2のほぼ全長に沿って長尺に曲げ形成されている。そしてガイド部材51は、コンベヤフレーム13,23の複数箇所から連設された支持部材54間で支持されることによって、搬送経路2に沿って配設されている。
【0030】
これにより無端チェーン31は、チェーンリンク32A,32B、33A,33Bの下部が規制板部53間に位置された状態で受け板部52の上向き支持面52aにより支持案内されることによって、往行部31aがローラ16,26群の下方において移動自在に構成され、このとき摩擦部材39は、その当接面39aをローラ16,26群に下方から弾性的に当接させるように構成されている。そしてカーブ状経路部2Bでは、外側のアウターチェーンリンク32Aの外面が外側の規制板部53の内向き規制面53aに摺接して案内されることと、外側(いずれか片側)のインナーチェーンリンク33Aがリンクピン34に対してリンク長さ方向に摺動されることで、無端チェーン31は、カーブ状経路部2Bに沿って円弧状に移動されることになる。以上の52〜54などによりガイド部材51の一例が構成され、そして31〜54などにより駆動手段30の一例が構成される。
【0031】
かかる駆動手段30によると、無端チェーン31は、それぞれスプロケット状の両反転輪体40と駆動輪体45とテンション案内輪体47とに亘って、それぞれ咬合して外側から掛けられ、そしてプーリ状の両案内輪体46に摩擦部材39の当接面39aが当接して案内されるように内側から掛けられることで、駆動輪体45を介してモータ43の回動力が付与される構成になっている。
【0032】
以下に、上記した実施の形態1における作用を説明する。
たとえば、搬入手段(図示せず。)により搬送経路2の始端部に供給したコンテナAを、直線状コンベヤ装置11により直線状経路部2A上で直線状に搬送し、引き続いてカーブ状コンベヤ装置21によりカーブ状経路部2B上で半円状に搬送したのち、搬送経路2の終端部から搬出手段(図示せず。)によって排出などし得る。その際に両コンベヤ装置11,21においては、共通の駆動手段30におけるモータ43の駆動により駆動輪体45を回転させることで、無端チェーン31を回動して搬送力を得ている。すなわち無端チェーン31は、図2、図4に示すように、搬送経路2の方向での両端部分では反転輪体40に反転案内され、反転輪体40間の往行部31aにおいてはガイド部材51により支持案内され、また復行部31bの駆動輪体45の近くにおいては案内輪体46やテンション案内輪体47により支持案内される。
【0033】
このようにして回動させている無端チェーン31は、図1に示すように、往行部31aにおいてチェーンリンク32A,32B、33A,33Bの下向き面が、ガイド部材51の受け板部52における上向き支持面52aにより支持案内されることによって、一体化している摩擦部材39の当接面39aをローラ16,26群に下方から弾性的に当接し得、以て無端チェーン31の回動力によってローラ16,26群を、ローラ軸17,27の周りに所定の回転速度で駆動回転させることになる。これにより両コンベヤ装置11,21においては、同じ搬送速度によってコンテナAを連続して搬送し得る。その際に摩擦部材39の弾性的な当接(圧接)の反力は、摩擦部材39がチェーン幅31Wに納まっていることで、受け部材36を介して内側のチェーンリンク32B,33Bにより安定して受け止めることができる。
【0034】
そしてカーブ状経路部2Bの往行部31aにおいては、図7に示すように、外側(カーブにおける小径側に相当)のアウターチェーンリンク32Aの外面を内向き規制面53aに摺接して案内することによって、無端チェーン31は、その外側のインナーチェーンリンク33Aをリンクピン34に対してリンク長さ方向に摺動させて長さ調整するとともに、チェーン幅方向において不測に振れたりすることもなく、以て常に円滑にカーブ状経路部2Bに沿って円弧状に移動できることになる。したがって、無端チェーン31側に一体化している摩擦部材39も振れることはなく、その当接面39aのローラ16,26群に対する下方からの弾性的な当接を安定して行うことができ、以て無端チェーン31による駆動力の伝達を常に好適に行うことができる。
【0035】
さらに摩擦部材39を、チェーンリンク32A,32B、33A,33Bの単位で分断して設けていることにより、カーブ状経路部2Bの往行部31Aにおいては、円弧状の曲がりに伴って摩擦部材39の平面視における曲げ変形が殆ど生じることなく、ローラ16,26群に対する下方からの弾性的な当接を行うことができ、以てローラ16,26群への駆動力伝達を常に円滑にかつ摩擦部材39の損傷を少なくして行うことができる。しかも無端チェーン31は、直線状経路部2Aとカーブ状経路部2Bからなる搬送経路2の全長に亘って、摩擦部材39の当接面39aのみをローラ16,26群に弾性的に当接させることで、摩耗による損傷を減少でき、さらにガイド部材51は、型レール状によって構造を簡単にかつ安価として提供することができる。
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2を図8に基づいて説明する。
【0036】
実施の形態2において、摩擦部材39が設けられる受け部材36は、無端チェーン31のチェーンリンク32A,32B、33A,33B群のうち外側(カーブにおける小径側に相当)のチェーンリンク32A,33Aに溶接固定などにより一体化されている。この構成によると、カーブ状経路部2Bの往行部31aにおいて、縦板部38の外面を内向き規制面53aに摺接して案内することによって、上述した実施の形態1と同様に作用できることになる。
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3を図9に基づいて説明する。
【0037】
実施の形態3において、摩擦部材39が設けられる受け部材36は、金属製のプレート材を折り曲げることによって横板部37と一対の縦板部38とを有する状態で逆U字状(U字状)に形成されている。そして、往行部31aにおいて横板部37が無端チェーン31とローラ16,26との間に位置される状態で、内外のチェーンリンク32A,32B、33A,33Bの側面にそれぞれ縦板部38を当て付けて溶接固定などすることにより、受け部材36はチェーンリンク32B,33Bに一体化されている。
【0038】
この実施の形態3に示す構成によると、カーブ状経路部2Bの往行部31aにおいて、縦板部38の外面を内向き規制面53aに摺接して案内することによって、上述した実施の形態1と同様に作用できることになる。そして、摩擦部材39の当接面39aをローラ16,26群に下方から弾性的に当接して、無端チェーン31によってローラ16,26群を所定の回転速度で駆動回転させる際に、摩擦部材39の弾性的な当接(圧接)の反力を、内外のチェーンリンク32A,32B、33A,33Bに振り分けて安定して受け止めることができる。
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4を図10に基づいて説明する。
【0039】
実施の形態4において、チェーンリンク32A,32B、33A,33B群のうち内側(カーブにおける大径側に相当)のチェーンリンク32B,33Bは、外側(カーブにおける小径側に相当)に向けて直角状に折り曲げることで、受け部材32b,33bが一体に設けられている。この構成によると、上述した実施の形態1と同様に作用できることになる。そして受け部材32b,33bは、上述した実施の形態1〜3のような溶接固定など行うことなく無端チェーン31に設けることができる。
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5を図11に基づいて説明する。
【0040】
実施の形態5において、チェーンリンク32A,32B、33A,33B群のうち外側(カーブにおける小径側に相当)のチェーンリンク32A,33Aは、内側(カーブにおける大径側に相当)に向けて直角状に折り曲げることで、受け部材32a,33aが一体に設けられている。この構成によると、上述した実施の形態1と同様に作用でき、さらに実施の形態4に示す構成と同様に、受け部材32a,33aは、溶接固定など行うことなく無端チェーン31に設けることができる。
[実施の形態6]
次に、本発明の実施の形態6を図12に基づいて説明する。
【0041】
実施の形態6において、対を成すチェーンリンク32A,32B、33A,33B間に、直角状に折り曲げることで受け部材36aが一体に設けられている。この実施の形態6に示す構成によると、上述した実施の形態1と同様に作用でき、さらに実施の形態4,5に示す構成と同様に、受け部材36aは、溶接固定など行うことなく無端チェーン31に設けることができる。しかも実施の形態3に示す構成と同様に、摩擦部材39の弾性的な当接(圧接)の反力を、内外のチェーンリンク32A,32B、33A,33Bに振り分けて安定して受け止めることができる。
【0042】
上記した実施の形態1では、コンベヤ設備1として、上手側の直線状経路部2Aと下手側のカーブ状経路部2Bとを有する搬送経路2を形成した形式が示されているが、これは上手側のカーブ状経路部2Bと下手側の直線状経路部2Aとを有する搬送経路2を形成した形式、上手側の直線状経路部2Aと中間のカーブ状経路部2Bと下手側の直線状経路部2Aとを有する搬送経路2を形成した形式、上手側のカーブ状経路部2Bと中間の直線状経路部2Aと下手側のカーブ状経路部2Bとを有する搬送経路2を形成した形式、一対の直線状経路部2Aと一対のカーブ状経路部2Bとにより長円状(無端状)の搬送経路2を形成した形式などであってもよい。
【0043】
上記した実施の形態1では、カーブ状経路部2Bを半円状(180度状)に形成した形式が示されているが、これはカーブ状経路部2Bを四半円状(90度状)に形成した形式などであってもよい。
【0044】
上記した実施の形態1では、直線状経路部2Aとカーブ状経路部2Bとにより搬送経路2を形成した形式が示されているが、これは、たとえば直線状経路部2Aの上手に幅寄せ経路部を組み込み、この幅寄せ経路部にも共通の無端チェーン31を配設した形式などであってもよい。
【0045】
上記した実施の形態1では、直線状経路部2Aとカーブ状経路部2Bともに直状のローラ16,26群により形成した形式が示されているが、これはカーブ状経路部2Bを、一方側(カーブにおける小径側に相当)の直径が小でかつ他方側(カーブにおける大径側に相当)の直径が大の円錐状のローラ群により形成した形式などであってもよい。
【0046】
上記した実施の形態1では、駆動手段30を、フレーム本体12,22内でかつ一方(カーブにおける小径側に相当)のコンベヤフレーム13,23側に位置させて配設した形式が示されているが、これは駆動手段30を、フレーム本体12,22内でかつコンベヤ幅方向1Wの中央部分に位置させて配設した形式や、フレーム本体12,22内でかつ他方(カーブにおける大径側に相当)のコンベヤフレーム13,23側に位置されて配設した形式などであってもよい。
【0047】
上記した実施の形態1〜6では、ガイド部材51を、コンベヤフレーム13,23の複数箇所から連設された支持部材54間で支持することによって、搬送経路2に沿って固定状に配設した形式が示されているが、これは調整固定具を介して、コンベヤフレーム13,23側に対して上下調整自在に設けた形式などであってもよい。
【0048】
上記した実施の形態1〜6では、ガイド部材51を往行部31aにのみ設けた形式が示されているが、これは復行部31bにもガイド部材を設けた形式などであってもよい。
上記した実施の形態1〜6では、弾性体からなる摩擦部材39を使用した形式が示されているが、これは非弾性体からなる摩擦部材39を使用した形式などであってもよい。
【0049】
上記した実施の形態1〜6では、摩擦部材39を、そのほぼ全幅がチェーン幅31Wに納まる状態で横板部37に一体化した形式が示されているが、これは幅のほぼ半分など、少なくとも一部がチェーン幅31Wに納まる状態で横板部37に一体化した形式などであってもよい。
【0050】
上記した実施の形態1〜6では、長孔35にリンクピン34を通した形式が示されているが、これはリンクピン34に外嵌した耐摩耗部材を長孔35に摺動自在に嵌合させた形式などであってもよい。
【0051】
上記した実施の形態1では、被搬送物としてコンテナAが示されているが、これは種々な被搬送物に対応し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態1を示し、コンベヤ設備の要部の一部切り欠き正面図である。
【図2】同コンベヤ設備の一部切り欠き概略平面図である。
【図3】同コンベヤ設備の一部切り欠き概略側面図である。
【図4】同コンベヤ設備における要部の一部切り欠き側面図である。
【図5】同コンベヤ設備における直線状経路部の要部の側面図である。
【図6】同コンベヤ設備における直線状経路部の要部の平面図である。
【図7】同コンベヤ設備におけるカーブ状経路部の要部の平面図である。
【図8】本発明の実施の形態2を示し、コンベヤ設備の要部の一部切り欠き正面図である。
【図9】本発明の実施の形態3を示し、コンベヤ設備の要部の一部切り欠き正面図である。
【図10】本発明の実施の形態4を示し、コンベヤ設備の要部の一部切り欠き正面図である。
【図11】本発明の実施の形態5を示し、コンベヤ設備の要部の一部切り欠き正面図である。
【図12】本発明の実施の形態6を示し、コンベヤ設備の要部の一部切り欠き正面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 コンベヤ設備
1W コンベヤ幅方向
2 搬送経路
2A 直線状経路部
2B カーブ状経路部
11 直線状コンベア装置
13 直線状コンベヤフレーム
16 ローラ
21 カーブ状コンベア装置
23 円弧状コンベヤフレーム
26 ローラ
30 駆動手段
31 無端チェーン
31a 往行部
31b 復行部
31W チェーン幅
32A アウターチェーンリンク
32a 受け部材
32B アウターチェーンリンク
32b 受け部材
33A インナーチェーンリンク
33a 受け部材
33B インナーチェーンリンク
33b 受け部材
34 リンクピン
35 長孔
36 受け部材
36a 受け部材
39 摩擦部材
39a 当接面
40 反転輪体
41 駆動部
43 モータ
45 駆動輪体
46 案内輪体
47 テンション案内輪体
51 ガイド部材
52 受け板部
52a 上向き支持面
53 規制板部
53a 内向き規制面
A コンテナ(被搬送物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベヤフレームにローラ群を遊転自在に配設することで、直線状経路部とカーブ状経路部とを有する搬送経路を形成したコンベヤ設備であって、ローラ群の駆動手段は、搬送経路に沿って各経路部に共通の無端チェーンを、その往行部と復行部とを上下方向で対向させて配設するとともに、この無端チェーンの駆動部を設けることで構成され、前記無端チェーンは、コンベア幅方向で対を成すチェーンリンクのうち、いずれか片側のチェーンリンクをリンクピンに対してリンク長さ方向に摺動自在として構成されるとともに、ガイド部材による支持案内によって往行部がローラ群の下方において移動自在に構成され、チェーンリンク群のうち所定のチェーンリンクには、少なくとも一部がチェーン幅に納まる状態でローラ群に下方から当接する摩擦部材が設けられていることを特徴とするコンベヤ設備。
【請求項2】
チェーンリンクには、ローラ群に下方から対向される受け部材が設けられ、この受け部材に摩擦部材が設けられていることを特徴とする請求項1記載のコンベヤ設備。
【請求項3】
対を成すチェーンリンクのうち、いずれか片側のチェーンリンクに摩擦部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のコンベヤ設備。
【請求項4】
摩擦部材が弾性体からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンベヤ設備。
【請求項5】
駆動部は、摩擦部材が下向きとなる復行部に配設されるもので、無端チェーンに内側から咬合される駆動輪体と、摩擦部材に外側から当接される案内輪体とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンベヤ設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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