コンポジットナノチューブ、金属ナノチューブおよびそれらの製造方法
【課題】無電解めっきに用いる鋳型を容易かつ安定的に形成することができるとともに、無電解めっき後、鋳型を必ずしも除去する必要のないコンポジットナノチューブ、およびその製造方法、さらには、コンポジットナノチューブを利用した金属ナノチューブおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】アニオン性解離基を備えた有機ナノチューブ3を準備する。かかる有機ナノチューブ3は、親水部31と疎水部32を備えたペプチド脂質30からなり、アニオン性解離基として、カルボキシル基を有している。そこで、有機ナノチューブ3におけるアニオン性解離基と金属イオンとの親和性を利用して、有機ナノチューブ3の少なくとも外周面に金属を無電解めっきし、無電解めっき層5と有機ナノチューブ3とのコンポジットナノチューブ1Aを得る。かかるコンポジットナノチューブ1Aから有機ナノチューブ3を除去すれば金属ナノチューブ1Bを得ることができる。
【解決手段】アニオン性解離基を備えた有機ナノチューブ3を準備する。かかる有機ナノチューブ3は、親水部31と疎水部32を備えたペプチド脂質30からなり、アニオン性解離基として、カルボキシル基を有している。そこで、有機ナノチューブ3におけるアニオン性解離基と金属イオンとの親和性を利用して、有機ナノチューブ3の少なくとも外周面に金属を無電解めっきし、無電解めっき層5と有機ナノチューブ3とのコンポジットナノチューブ1Aを得る。かかるコンポジットナノチューブ1Aから有機ナノチューブ3を除去すれば金属ナノチューブ1Bを得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ナノチューブと金属層との複合体からなるコンポジットナノチューブの製造技術、および当該コンポジットナノチューブを用いた金属ナノチューブの製造技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属の粒径が10nm以下で1nmに近づくと、粒子表面の活性が高くなり、触媒活性が出現する等、バルクとは異なった粒径効果を示す。例えば、従来は、触媒作用がないと考えられていた金も超微粒子化すると触媒活性を示すことが確認されている。従って、粒径の揃った微細な金属ナノ粒子を1次元、2次元、3次元に厳密に組織化すれば、新たな化学的材料特性や物理的材料特性を発現させることになる。また、ナノテクノロジーは、小型化が進むLSIチップをさらに小型化するための技術の一つとして期待されている。例えば、現在のLSIチップにおける配線加工技術の主流であるフォトリソグラフィ法では、光の波長によって加工精度が制限されているため、50nm前後以下の加工はかなり困難である。従って、金属ナノチューブについては、カーボンナノチューブと同様、配線として用いる研究が行なわれている。
【0003】
従来、金属ナノチューブを製造するにあたっては、鋳型としてのポリカーボネート多孔質膜に無電解めっき反応を行い、金ナノチューブやパラジウムナノチューブを製造する方法が提案されている(非特許文献1、2、3参照)。また、鋳型としての多孔質酸化皮膜に無電解めっき反応を行う方法も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】C.R.Martin ほか3名、J.Phys.Chem.B、105、p.11925−11934(2001)
【非特許文献2】K.B.Jirage ほか2名、Anal.Chem.、71、4913−4918(1999)
【非特許文献3】V.Badri ほか1名、Int.J.Hydrogen Energy、25、249−253(2000)
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−98563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1〜3および特許文献1に記載の方法では、鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜の形成に多大な手間がかかるとともに、孔のサイズが安定しない等の問題点がある。また、ポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を鋳型として用いるには、無電解めっきにより形成した金属層を鋳型から脱離させる必要があり、かかる脱離に多大な手間がかかるという問題点がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、無電解めっきに用いる鋳型を容易かつ安定的に形成することができるとともに、無電解めっき後、鋳型を必ずしも除去する必要のないコンポジットナノチューブ、およびその製造方法、さらには、コンポジットナノチューブを利用した金属ナノチューブおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、有機ナノチューブに金属を無電解めっきして前記有機ナノチューブと金属層との複合体を得る無電解めっき工程を有するコンポジットナノチューブの製造方法であることを特徴とする。
【0009】
本発明では、有機ナノチューブを鋳型として用い、有機ナノチューブに金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブであれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、本発明では、鋳型が有機ナノチューブであるため、有機ナノチューブに無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体のサイズがナノオーダーである。それ故、かかる複合体からなるコンポジットナノチューブについては、金属ナノチューブと同様な素材、あるいは新たな素材として用いることができる。
【0010】
本発明においては、前記金属として、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)および銅(Cu)の群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属を無電解めっきする。
【0011】
本発明の第1形態においては、前記有機ナノチューブとして、アニオン性解離基を備えた有機ナノチューブを採用する。すなわち、本発明の第1形態は、アニオン性解離基を備えた有機ナノチューブに金属を無電解めっきして前記有機ナノチューブに金属層が形成された複合体を得る無電解めっき工程を有するコンポジットナノチューブの製造方法であることを特徴とする。かかる形態では、アニオン性の解離基を備えた有機ナノチューブを鋳型として用い、有機ナノチューブのアニオン性の解離基を利用して、有機ナノチューブに金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブであれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、本発明では、鋳型が有機ナノチューブであるため、有機ナノチューブに無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体のサイズがナノオーダーである。それ故、かかる複合体からなるコンポジットナノチューブについては、金属ナノチューブと同様な素材、あるいは新たな素材として用いることができる。
【0012】
本発明において、前記アニオン性の解離基は、例えば、カルボキシル基である。
【0013】
本発明において、前記有機ナノチューブとしては、例えば、以下の一般式
R1−CO(NH−CHR2−CO)mOH
(上式中、
R1は炭素数6〜24の炭化水素基、
R2はアミノ酸側鎖、
mは1〜10の整数を表す。)
で表わされるペプチド脂質のナノチューブを用いることができる。
【0014】
本発明において、前記ペプチドは、例えば、グリシルグリシンである。
【0015】
本発明に係る方法で得られたコンポジットナノチューブは、有機ナノチューブと、該有機ナノチューブに無電解めっきされた金属層と、を備えており、前記有機ナノチューブは、アニオン性解離基を備えている。
【0016】
本発明において、前記無電解めっき工程の後、前記複合体から前記有機ナノチューブを除去する有機ナノチューブ除去工程を行なえば、金属ナノチューブを得ることができる。
【0017】
本発明の第2形態では、前記無電解めっき工程を行なう前に、前記有機ナノチューブとアミノ酸溶液とを接触させる前処理工程を行なう。かかる第2形態では、アミノ酸溶液と接触させる前処理工程を行なった有機ナノチューブを鋳型として用い、有機ナノチューブに金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブであれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、本発明では、鋳型が有機ナノチューブであるため、有機ナノチューブに無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体のサイズがナノオーダーである。それ故、かかる複合体からなるコンポジットナノチューブについては、金属ナノチューブと同様な素材、あるいは新たな素材として用いることができる。また、アミノ酸溶液と接触させる前処理工程を利用するため、有機ナノチューブがアニオン性の解離基を有しているか否かにかかわらず、無電解めっきを行なうことができる。
【0018】
本発明において、前記アミノ酸溶液は、アミノ酸として、ヒスチジン、トリプトファン、システインおよびグルタミン酸のうちの一種以上を含んでいる構成を採用することができる。
【0019】
本発明に係る方法で得られたコンポジットナノチューブは、有機ナノチューブと、該有機ナノチューブに無電解めっきされた金属層と、を備えている。
【0020】
本発明において、前記無電解めっき工程の後、前記複合体から前記有機ナノチューブを除去する有機ナノチューブ除去工程を行なえば、金属ナノチューブを得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、有機ナノチューブを鋳型として用い、有機ナノチューブの少なくとも外周面に金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて、鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブであれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、本発明では、鋳型が有機ナノチューブであるため、有機ナノチューブに無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体のサイズがナノオーダーである。このため、かかる複合体からなるコンポジットナノチューブについては、金属ナノチューブと同様な素材、あるいは新たな素材として用いることができる。また、無電解めっき層(金属層)と有機ナノチューブとの複合体から有機ナノチューブを除去すれば、金属ナノチューブを得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法で行なう無電解めっき工程の説明図である。
【図3】本発明の実施例1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法に用いた有機ナノチューブの説明図である。
【図4】本発明の実施例1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、無電解めっき工程を行なう前の有機ナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、無電解めっき工程を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例1に対する比較例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法に用いた有機ナノチューブの説明図である。
【図7】本発明の実施例1に対する比較例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法に用いた有機ナノチューブの無電解めっき前後の様子を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、無電解めっき工程を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、別のアミノ酸を用いて前処理を行なった有機ナノチューブに無電解めっき工程を行なったコンポジットナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(24時間)および無電解めっき工程(2時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を走査型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図11】本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(36時間)および無電解めっき工程(3時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を走査型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図12】本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(36時間)および無電解めっき工程(3時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
[実施の形態1]
(金属ナノチューブの製造方法の概要)
図1は、本発明の実施の形態1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法の概要を示す説明図である。本発明の実施の形態1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法では、まず、図1(a)に示すように、有機ナノチューブ形成工程において、アニオン性解離基を備えた有機ナノチューブ3を準備する。かかる有機ナノチューブ3は、親水部31と疎水部32を備えた両親媒性分子(界面活性有機化合物)が自己集合化した二分子膜構造を有している。有機ナノチューブ3は、円筒状であり、例えば、内径が10〜200nm、外径が50〜500nm、長さが1〜100μmである。有機ナノチューブ3は、例えばペプチド脂質30からなり、かかるペプチド脂質30は、アニオン性解離基として、カルボキシル基を有している。なお、有機ナノチューブ3には、アニオン性解離基として、スルホン基やフェノール基等、カルボキシル基以外のアニオン性解離基を有する両親媒性分子を用いることができる。
【0025】
次に、無電解めっき工程においては、有機ナノチューブ3におけるアニオン性解離基と金属イオンとの親和性を利用して、図1(b)に示すように、有機ナノチューブ3の少なくとも外周面に、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)等の金属を無電解めっきし、無電解めっき層5と有機ナノチューブ3との複合体1を得る。
【0026】
かかる複合体1については、この構造のままでコンポジットナノチューブ1Aとして用いることができる。
【0027】
また、無電解めっき工程の後、図1(c)に示すように、アルコール、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)等の溶剤による溶解処理や焼成処理等の方法で、無電解めっき層5と有機ナノチューブ3との複合体1(コンポジットナノチューブ1A)から有機ナノチューブ3を除去する有機ナノチューブ除去工程を行なえば、無電解めっき層5のみからなる金属ナノチューブ1Bを得ることができる。
【0028】
このように、本形態では、コンポジットナノチューブ1Aおよび金属ナノチューブ1Bを製造するにあたって、アニオン性の解離基を備えた有機ナノチューブ3を鋳型として用い、有機ナノチューブ3の少なくとも外周面に金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて、鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブ3であれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、鋳型が有機ナノチューブ3であるため、有機ナノチューブ3に無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体1のサイズがナノオーダーである。このため、無電解めっき層5と有機ナノチューブ3との複合体1については、金属ナノチューブ1Bと同様な素材、あるいは新たな素材としてのコンポジットナノチューブ1Aとして用いることができる。また、複合体1(コンポジットナノチューブ1A)から有機ナノチューブ3を除去すれば金属ナノチューブ1Bを得ることができる。
【0029】
それ故、本形態によれば、大規模な設備を用いなくても、金属ナノデバイス等に用いられるコンポジットナノチューブ1Aおよび金属ナノチューブ1Bを製造することができ、かかる金属ナノデバイスは、電子回路、電子センサ、光電子装置等に用いることができる。
【0030】
なお、有機ナノチューブ3の内径や、無電解めっきに用いる液種によっては、有機ナノチューブ3の内側まで無電解めっきでき、その場合、有機ナノチューブ3の外周面および両端面に加えて、内周面にも無電解めっき層5が形成されることになる。
【0031】
(有機ナノチューブの説明)
有機ナノチューブ形成工程において形成する有機ナノチューブは、例えば、以下の一般式
R1−CO(NH−CHR2−CO)mOH
(上式中、
R1は炭素数6〜24の炭化水素基、
R2はアミノ酸側鎖、
mは1〜10の整数を表す。)
で表わされるペプチド脂質を用いることができ、かかるペプチド脂質は、アニオン性解離基としてカルボキシル基を備えている。
【0032】
かかる有機ナノチューブにおいて、上記一般式中、R1は炭素数が6〜24の炭化水素基であり、好ましくは、炭素数2以下の側鎖が付いてもよい直鎖炭化水素である。炭化水素基は飽和であっても不飽和であってもよく、不飽和の場合には3個以下の二重結合を含むことが好ましい。かかる炭化水素基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘネイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、及びヘキサコシル基等が挙げられる。
【0033】
上記一般式中、R2はアミノ酸側鎖であり、このアミノ酸としては、例えば、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、及びセリンが挙げられ、好ましくはグリシンである。
【0034】
かかるペプチド脂質および有機ナノチューブを得るにあたって、例えば、ペプチドとして、化学式(1)で示すグリシルグリシンを用い、長鎖カルボン酸として、化学式(2)で示すドデカン酸(ラウリン酸)を用いると、化学式(3)で示すペプチド脂質が自己集合化した有機ナノチューブを得ることができる。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
また、ペプチド脂質および有機ナノチューブを得るにあたって、ペプチドとして、グリシルグリシンを用い、長鎖カルボン酸として、化学式(4)で示すテトラデカン酸(ミリスチン酸)を用いると、化学式(5)で示すペプチド脂質が自己集合化した有機ナノチューブを得ることができる。
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】
ペプチド脂質(両親媒性分子/界面活性有機化合物)を自己集合させて有機ナノチューブを得るには、例えば、特開2004−256414号公報に開示されている方法を用いる。ここに記載の方法では、疎水性の炭化水素基及び親水基から成るペプチド脂質を溶媒中で自己集合させる際、油/水界面を反応場に用いる。すなわち、ペプチド脂質を水相に予め溶解させた後、徐冷し、その後、油相を加えると、油/水界面でペプチド脂質が自己集合しながら析出し、中空繊維状の有機ナノチューブを得ることができる。油相については、広範囲の有機物を使用できるが、常温において液体であり、極性が十分に低く、かつ水と混和しにくい溶媒であることを要する。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2、2−ジメチルブタン、四塩化炭素等が挙げられる。水相には、蒸留水、精製水、超純水等の水、その他各種塩溶液、リン酸等から成るpH緩衝溶液等を用いることができる。
【0042】
また、ペプチド脂質を自己集合させて有機ナノチューブを得るには、特開2008−30185号公報に開示されている方法を用いてもよい。ここに記載の方法では、加温した有機溶媒にペプチド脂質を溶解させた後、徐冷し、その後、溶液を室温で静置する。その結果、溶液中でペプチド脂質が自己集合しながら析出するので、中空繊維状の有機ナノチューブを得ることができる。また、加温した有機溶媒にペプチド脂質を溶解させた後、溶液を濃縮し、その後、溶液を室温で静置してもよい。また、加温した有機溶媒にペプチド脂質を溶解させた後、その溶液にペプチド脂質に対する貧溶媒を加え、その後、溶液を室温で静置してもよい。
【0043】
さらに、ペプチド脂質を自己集合させて有機ナノチューブを得るには、特開2008−31152号公報に開示されている方法を用いてもよい。ここに記載の方法では、ペプチド脂質を溶解させたアルカリ性水溶液に酸性化合物を加え、溶液中でペプチド脂質を自己集合させて有機ナノチューブを得る。また、ペプチド脂質を溶解させた酸性水溶液にアルカリ性化合物を加え、溶液中でペプチド脂質を自己集合させて有機ナノチューブを得てもよい。
【0044】
(無電解めっき工程の説明)
図2は、本発明の実施の形態1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法で行なう無電解めっき工程の説明図である。
【0045】
上記の有機ナノチューブを用いてコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを製造するにあたって、本形態では、有機ナノチューブに対して無電解めっき工程を行なう。かかる無電解めっき工程として、例えば、置換型無電解金めっきを行なうには、以下に説明する増感剤処理、アクチベータ処理、金めっき処理を順に行なう。
【0046】
増感剤処理では、図2(a)に示すように、有機ナノチューブ3に対して2価の錫イオン(Sn2+)を吸着させることによって、金属イオンの還元を促進する。
【0047】
次に、アクチベータ処理では、図2(b)に示すように、錫イオン(Sn2+)の吸着によって増感した有機ナノチューブ3の表面を、アンモニア性硝酸銀水溶液からなるアクチベータによって活性化させる。かかるアクチベータ処理では、酸化還元反応によって、有機ナノチューブ3の表面に結合した2価の錫イオン(Sn2+)が酸化されて4価の錫イオン(Sn4+)になる一方、銀イオン(Ag+)が還元されて金属状態の銀(Ag)となる。その結果、有機ナノチューブ3の表面が銀層でコーティングされる。
【0048】
次に、金めっき処理では、有機ナノチューブ3の表面の銀層と、金めっき液とを接触させる。その結果、銀に比較してイオン化傾向が小さな金と、銀との間で置換反応が起こり、有機ナノチューブ3の表面が金層でコーティングされる。
【0049】
このようにして、無電解めっき層5(金層)と有機ナノチューブ3との複合体1を得る。かかる複合体1については、この状態でコンポジットナノチューブ1A(図1(b)参照)として用いることができる。また、複合体1(コンポジットナノチューブ1A)から有機ナノチューブ3を除去し、残った無電解めっき層5(金層)を金属ナノチューブ1B(図1(a)参照)として用いてもよい。
【0050】
また、コンポジットナノチューブ1Aおよび金属ナノチューブ1Bに用いる無電解めっき層5としては、金以外にも、白金、パラジウム、銀および銅を形成してもよい。また、コンポジットナノチューブ1Aおよび金属ナノチューブ1Bに用いる無電解めっき層5としては、金、白金、パラジウム、銀および銅のうちの複数種類を2層以上形成してもよい。さらに、増感剤処理やアクチベータ処理に用いる金属イオンとしては、錫イオンに代えて、鉛イオンやパラジウムイオン等を用いてもよい。
【0051】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法では、まず、有機ナノチューブ形成工程において、親水部と疎水部を備えた両親媒性分子(界面活性有機化合物)が自己集合化した二分子膜構造の有機ナノチューブを準備する。かかる有機ナノチューブは、円筒状であり、例えば、内径が10〜200nm、外径が50〜500nm、長さが1〜100μmである。本形態において用いた有機ナノチューブは、アニオン性解離基を有していない有機ナノチューブである。かかる有機ナノチューブを作成する場合も、実施の形態1と同様、自己集合を利用する。
【0052】
かかる有機ナノチューブを用いてコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを製造するには、まず、有機ナノチューブとアミノ酸溶液とを接触させる前処理工程を行なう。例えば、有機ナノチューブを水に分散させる一方、かかる分散液にアミノ酸を加え、攪拌する。次に、遠心分離とデカンケーションとによる洗浄を行なう。アミノ酸としては、ヒスチジン、トリプトファン、システインおよびグルタミン酸のうちの一種以上を含んでいる構成を採用することができる。
【0053】
次に、無電解めっき工程においては、有機ナノチューブに金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)等の金属を無電解めっきし、無電解めっき層と有機ナノチューブとの複合体を得る。本形態では、実施の形態1と同様、無電解めっき工程として、置換型無電解金めっきを行なう。かかる無電解めっき工程では、実施の形態1と同様、増感剤処理、アクチベータ処理、金めっき処理を順に行なう。増感剤処理では、図2(a)を参照して説明したように、有機ナノチューブに対して2価の錫イオン(Sn2+)を吸着させることによって、金属イオンの還元を促進する。アクチベータ処理では、図2(b)を参照して説明したように、錫イオン(Sn2+)の吸着によって増感した有機ナノチューブ3の表面を、アンモニア性硝酸銀水溶液からなるアクチベータによって活性化させる。次に、金めっき処理では、有機ナノチューブの表面の銀層と、亜硫酸金ナトリウム水溶液などの金めっき液とを接触させる。その結果、銀に比較してイオン化傾向が小さな金と、銀との間で置換反応が起こり、有機ナノチューブ3の表面が金層でコーティングされる。ここで、無電解めっき層として、金以外にも、白金、パラジウム、銀および銅を形成してもよい。また、無電解めっき層としては、金、白金、パラジウム、銀および銅のうちの複数種類を2層以上形成してもよい。さらに、増感剤処理やアクチベータ処理に用いる金属イオンとしては、錫イオンに代えて、鉛イオンやパラジウムイオン等を用いてもよい。
【0054】
かかる複合体については、この構造のままでコンポジットナノチューブとして用いることができる。また、無電解めっき工程の後、アルコール、DMF、DMSO等の溶剤による溶解処理や焼成処理等の方法で、無電解めっき層と有機ナノチューブとの複合体(コンポジットナノチューブ)から有機ナノチューブを除去する有機ナノチューブ除去工程を行なえば、無電解めっき層のみからなる金属ナノチューブを得ることができる。
【0055】
このように、本形態では、コンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを製造するにあたって、前処理工程でアミノ酸溶液と接触させた有機ナノチューブを鋳型として用い、有機ナノチューブに金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて、鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブであれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、鋳型が有機ナノチューブであるため、有機ナノチューブに無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体のサイズがナノオーダーである。このため、無電解めっき層と有機ナノチューブとの複合体については、金属ナノチューブと同様な素材、あるいは新たな素材としてのコンポジットナノチューブとして用いることができる。また、複合体(コンポジットナノチューブ)から有機ナノチューブを除去すれば金属ナノチューブを得ることができる。
【0056】
それ故、本形態によれば、大規模な設備を用いなくても、金属ナノデバイス等に用いられるコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを製造することができ、かかる金属ナノデバイスは、電子回路、電子センサ、光電子装置等に用いることができる。
【0057】
なお、有機ナノチューブの種類によっては、有機ナノチューブの外周面、あるいは内周面に選択的に無電解めっき層を形成することができる。理由については、まだ解明されていないが、有機ナノチューブを合成した後、乾燥させた有機ナノチューブを用いると、有機ナノチューブの外周面に金属層が無電解めっきされるのにに対して、有機ナノチューブを合成した後、乾燥させずに、水中に分散させた有機ナノチューブを用いると、有機ナノチューブの内周面に金属層が無電解めっきされる。
【実施例】
【0058】
[実施例1]
図3〜図5を参照して、本発明の実施例1として、本発明の実施の形態1に対応する実施例を説明する。図3は、本発明の実施例1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法に用いた有機ナノチューブの説明図である。図4および図5は、本発明の実施例1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、無電解めっき工程を行なう前の有機ナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図、および無電解めっき工程を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。なお、図3(a)、(b)は各々、本例で用いた有機ナノチューブの構造を示す説明図、およびH−NMRスペクトルの測定結果を示す説明図である。また、図5(a)、(b)は各々、本例のコンポジットナノチューブを倍率を変えて観察した透過型電子顕微鏡写真である。
【0059】
まず、本発明の実施例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法として、化学式(5)で示す両親媒性分子(以下、MKNT−2と称する)からなる有機ナノチューブの表面に金めっき層を形成してコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを得る方法を説明する。図3(a)に示すように、本例の有機ナノチューブで用いたペプチド脂質30は、カルボキシル基(アニオン性解離基)を備えたグリシルグリシン(ペプチド)を親水部31として有し、テトラデシル基(炭化水素基)を疎水部32として有する。かかるMKNT−2のH−NMRスペクトルを図3(b)に示す。
【0060】
MKNT−2の組成式はC18H34N2O4であり、分子量は324.5である。MKNT−2は、空気中での融点(分解点)が159°である。MKNT−2は、水中での融点(二分子膜のゲル−液晶相転移温度)が54°(ナトリウム塩)であり、この温度以上に分散液を加熱すると、ナノチューブ形態は、ベシクルのような別の分子集合体に変化する。
【0061】
MKNT−2を用いた有機ナノチューブは、白色の粉末であり、アルコール、DMF、DMSOに溶解させると、ナノチューブ構造が分解して、単分散した分離として溶解する。また、MKNT−2はアニオン解離基を有しており、金属イオンと相互作用する。
【0062】
かかるMKNT−2に対して無電解めっき工程を行なってコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを製造するにあたって、本形態では、図2(a)を参照して説明した増感剤処理、アクチベータ処理、金めっき処理を行った。より具体的には、MKNT−2を用いた有機ナノチューブを水中に分散させ、温度が30℃になるまで加熱する。次に、後述する増感処理液を1ml加え、40分間攪拌する。その後、室温(20℃)および回転数が4000rpmの条件での遠心分離と、デカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に後述するアクチベータ処理液を1ml加え、室温で5分間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に後述する金めっき処理液を1ml加え、2℃で1時間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行ない、得られた沈殿を水中に再度分散させて、顕微鏡観察に供した。
【0063】
その結果、図4に示すように、無電解めっき工程を行なう前の有機ナノチューブでは内部が空洞になっていることが観察できるのに対して、図5(a)、(b)に示すように、無電解めっき工程後の有機ナノチューブ(図1(b)に示す複合体1およびコンポジットナノチューブ)では内部の空洞が観察できない。
【0064】
従って、本発明の実施例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法によれば、有機ナノチューブの外周面に、金層からなる無電解めっき層が形成された複合体になっていることがわかる。それ故、かかる複合体についてはコンポジットナノチューブとして用いることもできる。また、無電解めっき工程後に有機ナノチューブ除去工程を行い、複合体から有機ナノチューブを除去すれば、残った無電解めっき層(金層)を金属ナノチューブとして用いることができる。
【0065】
なお、本例において、増感剤処理に用いる処理液については、0.09859gのSnCl2に対して50:50のメタノール/水の混合液からなる溶媒20mlを加えて溶解させた後、0.104ml(0.07M)のトリフルオロ酢酸を加えて調製した。
【0066】
アクチベータ処理に用いる処理液については、0.1mol/lのAgNO3溶液2.9ml(0.029M)を対して10%アンモニア溶液0.2mlを加え、軽く攪拌した後、蒸留水6.9mlを加えて調製した。
【0067】
めっき処理に用いる処理液については、亜硫酸ナトリウム0.16gに対して、亜硫酸金ナトリウム溶液0.15mlと、蒸留水8mlとを加え、よく攪拌した後、0.5M硫酸を加えてpHを3に調整した。また、めっき直前に18.5%のホルムアルデヒド液0.2mlを加え、軽く攪拌した後、約2℃に冷却した。
【0068】
[実施例1に対する比較例]
図6および図7は、本発明の実施例1に対する比較例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法に用いた有機ナノチューブの説明図、およびこの有機ナノチューブの無電解めっき前後の様子を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。なお、図6(a)、(b)は各々、本例で用いた有機ナノチューブの構造を示す説明図、およびH−NMRスペクトルの測定結果を示す説明図である。また、図7(a)、(b)は各々、無電解めっき前の有機ナノチューブの透過型電子顕微鏡写真、および無電解めっき後の有機ナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。
【0069】
本発明の比較例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法として、両親媒性分子として、図6(a)に示す糖脂質130(以下、KNT−1と称する)を用いた場合を説明する。図6(a)に示す有機ナノチューブは、D(+)グルコースとオレイン酸とを原料とする糖脂質130からなり、長鎖炭化水素基に糖残基を結合させた構造を有している。かかるKNT−1は、糖残基を親水部131として有し、炭化水素基を疎水部132として有している。かかるKNT−1のH−NMRスペクトルを図6(b)に示す。
【0070】
KNT−1の組成式はC24H45NO6であり、分子量は443.6である。KNT−1は、空気中での融点(分解点)が159°である。KNT−1は、水中での融点(二分子膜のゲル−液晶相転移温度)が68°であり、この温度以上に分散液を加熱すると、ナノチューブの形態は、ベシクルのような別の分子集合体に変化する。
【0071】
KNT−1を用いた有機ナノチューブの粉末は、アルコール、環状エーテル系溶媒に溶解させると、ナノチューブ構造が分解して、単分散した分離として溶解する。ここで、KNT−1はアニオン解離基を有していないため、金属イオンとの相互作用が極めて弱い。
【0072】
かかるKNT−1に対して、上記の実施例と同一の条件で無電解めっき工程を行なった。その結果、図7(a)、(b)に示すように、無電解めっき工程を行なう前、および無電解めっき工程の後のいずれにおいても、有機ナノチューブの内部が観察される。従って、本発明の比較例では、有機ナノチューブの外周面に金層(無電解めっき層)が形成されていないと判断できる。
【0073】
[実施例2]
図8および図9を参照して、本発明の実施例2として、本発明の実施の形態2に対応する実施例を説明する。本例で用いた有機ナノチューブは、実施例1に対する比較例と同様、アニオン性解離基を有していない有機ナノチューブである(図6参照)。また、本例では、有機ナノチューブを作成した後、乾燥させたものを用いる。
【0074】
図8は、本発明の実施例2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、無電解めっき工程を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図であり、図8(a)、(b)、(c)、(d)は、アミノ酸としてグルタミン酸を用いて得たコンポジットナノチューブの透過型電子顕微鏡写真、走査型電子顕微鏡写真(倍率1万倍)、走査型電子顕微鏡写真(倍率1万5千倍)、およびコンポジットナノチューブを熱処理した後の走査型電子顕微鏡写真(倍率1万3千倍)である。図9は、本発明の実施例2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、別のアミノ酸を用いて前処理を行なった有機ナノチューブに無電解めっき工程を行なったコンポジットナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図であり、図9(a)は、アミノ酸としてシステインを用いて得たコンポジットナノチューブの透過型電子顕微鏡写真であり、図9(b)、(c)は、アミノ酸としてヒスチジンを用いて得たコンポジットナノチューブの透過型電子顕微鏡写真であり、図9(d)、(e)は、アミノ酸としてトリプトファンを用いて得たコンポジットナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。
【0075】
本発明の実施例2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法では、有機ナノチューブにおいて、図6(a)に示す糖脂質130(以下、KNT−1と称する)を用いる。かかるKNT−1はアニオン解離基を有していない。
【0076】
本例では、まず、有機ナノチューブとアミノ酸溶液とを接触させる前処理工程を行なう。例えば、有機ナノチューブを作成した後、乾燥させたものを水に分散させる一方、かかる分散液に1.238mol×10-3mol/lのグルタミン酸を加え、約1時間、攪拌する。次に、遠心分離とデカンケーションとによる洗浄を2回繰り返す。
【0077】
次に、無電解めっき工程においては、実施例1と同様、KNT−1を分散させた水中(温度が30℃)に増感剤(塩化すず)を加え、40分間攪拌する。その後、遠心分離と、デカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に後述するアクチベータ(硝酸銀)を1ml加え、室温で5分間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に金めっき処理液を1ml加え、2℃で0.5時間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行ない、得られた沈殿を水中に再度分散させて、顕微鏡観察に供した。
【0078】
その結果、図8(a)、(b)、(c)に示すように、有機ナノチューブの外周面に、金層からなる無電解めっき層が形成された複合体が形成されており、かかる複合体についてはコンポジットナノチューブとして用いることができる。また、無電解めっき工程後に有機ナノチューブ除去工程を行い、複合体から有機ナノチューブを除去すれば、残った無電解めっき層(金層)を金属ナノチューブとして用いることができる。かかるコンポジットナノチューブについては、300℃、40分の熱処理を加えても、図8(d)に示すように、形態の変化は見られなかった。
【0079】
また、前処理工程で用いるアミノ酸としてシステインを用い、同様な前処理や無電解めっき工程を行った結果、図9(a)に示すように、有機ナノチューブの外周面に、金層からなる無電解めっき層が形成された複合体(コンポジットナノチューブ)が得られた。
【0080】
また、前処理工程で用いるアミノ酸としてヒスチジンを用い、同様な前処理や無電解めっき工程を行った結果、図9(b)、(c)に示すように、有機ナノチューブの外周面に、金層からなる無電解めっき層が形成された複合体(コンポジットナノチューブ)が得られた。
【0081】
また、前処理工程で用いるアミノ酸としてトリプトファンを用い、同様な前処理や無電解めっき工程を行った結果、図9(d)、(e)に示すように、有機ナノチューブの外周面に、金層からなる無電解めっき層が形成された複合体(コンポジットナノチューブ)が得られた。なお、前処理で用いたアミノ酸を比較すると、システインやグルタミン酸を用いた場合には、ヒスチジンやトリプトファンを用いた場合に比して、金層が効率よく形成される傾向にあった。
【0082】
[実施例2の変形例]
図10〜図12を参照して、本発明の実施例2の変形例として、本発明の実施の形態2に対応する実施例を説明する。本例で用いた有機ナノチューブは、実施例1に対する比較例と同様、アニオン性解離基を有していない有機ナノチューブである。また、本例では、有機ナノチューブを作成した後、乾燥させずに、水中に分散させたものを用いる。
【0083】
図10は、本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(24時間)および無電解めっき工程(2時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を走査型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図であり、図10(a)、(b)、(c)、(d)は、コンポジットナノチューブの電子顕微鏡写真(倍率1万1千倍)、電子顕微鏡写真(倍率2万倍)、および反射電子像(倍率2万倍)である。
【0084】
図11は、本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(36時間)および無電解めっき工程(3時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を走査型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図であり、図11(a)、(b)は、コンポジットナノチューブの電子顕微鏡写真(倍率3万倍)、および電子顕微鏡写真(倍率3万5千倍)である。図12は、本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(36時間)および無電解めっき工程(3時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図であり、図12(a)、(b)は、コンポジットナノチューブの透過電子顕微鏡写真であり、図12(c)は異なる倍率でのコンポジットナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。
【0085】
本実施例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法では、有機ナノチューブにおいて、図6(a)に示す糖脂質130(以下、KNT−1と称する)を用いる。かかるKNT−1はアニオン解離基を有していない。
【0086】
本例では、まず、有機ナノチューブとアミノ酸溶液とを接触させる前処理工程を行なう。例えば、有機ナノチューブを作成した後、乾燥させずに水に分散させたものを用い、かかる分散液に1.238mol×10-3mol/lのグルタミン酸を加え、約24時間、攪拌する。次に、遠心分離とデカンケーションとによる洗浄を2回繰り返す。
【0087】
次に、無電解めっき工程においては、実施例1と同様、KNT−1を分散させた水中(温度が30℃)に増感剤(塩化すず)を加え、40分間攪拌する。その後、遠心分離と、デカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に後述するアクチベータ(硝酸銀)を1ml加え、室温で5分間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に金めっき処理液を1ml加え、2℃で2時間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行ない、得られた沈殿を水中に再度分散させて、顕微鏡観察に供した。
【0088】
その結果、図10(a)、(b)に示すように、有機ナノチューブの内周面に、金層からなる無電解めっき層が選択的に形成された複合体が形成されており、かかる複合体についてはコンポジットナノチューブとして用いることができる。また、無電解めっき工程後に有機ナノチューブ除去工程を行い、複合体から有機ナノチューブを除去すれば、残った無電解めっき層(金層)を金属ナノチューブとして用いることができる。
【0089】
また、同様な方法において、前処理工程の時間を36時間とし、無電解めっき工程の時間を3時間とした場合には、図11および図12に示すように、前処理工程の時間を24時間とし、無電解めっき工程の時間を2時間とした場合に比して多量の金層(無電解めっき層)が有機ナノチューブの内周面に形成された複合体(コンポジットナノチューブ)が得られた。
【符号の説明】
【0090】
1 複合体
1A コンポジットナノチューブ
1B 金属ナノチューブ
3 有機ナノチューブ
5 無電解めっき層
30 ペプチド脂質
31 親水部
32 疎水部
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ナノチューブと金属層との複合体からなるコンポジットナノチューブの製造技術、および当該コンポジットナノチューブを用いた金属ナノチューブの製造技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属の粒径が10nm以下で1nmに近づくと、粒子表面の活性が高くなり、触媒活性が出現する等、バルクとは異なった粒径効果を示す。例えば、従来は、触媒作用がないと考えられていた金も超微粒子化すると触媒活性を示すことが確認されている。従って、粒径の揃った微細な金属ナノ粒子を1次元、2次元、3次元に厳密に組織化すれば、新たな化学的材料特性や物理的材料特性を発現させることになる。また、ナノテクノロジーは、小型化が進むLSIチップをさらに小型化するための技術の一つとして期待されている。例えば、現在のLSIチップにおける配線加工技術の主流であるフォトリソグラフィ法では、光の波長によって加工精度が制限されているため、50nm前後以下の加工はかなり困難である。従って、金属ナノチューブについては、カーボンナノチューブと同様、配線として用いる研究が行なわれている。
【0003】
従来、金属ナノチューブを製造するにあたっては、鋳型としてのポリカーボネート多孔質膜に無電解めっき反応を行い、金ナノチューブやパラジウムナノチューブを製造する方法が提案されている(非特許文献1、2、3参照)。また、鋳型としての多孔質酸化皮膜に無電解めっき反応を行う方法も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】C.R.Martin ほか3名、J.Phys.Chem.B、105、p.11925−11934(2001)
【非特許文献2】K.B.Jirage ほか2名、Anal.Chem.、71、4913−4918(1999)
【非特許文献3】V.Badri ほか1名、Int.J.Hydrogen Energy、25、249−253(2000)
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−98563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1〜3および特許文献1に記載の方法では、鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜の形成に多大な手間がかかるとともに、孔のサイズが安定しない等の問題点がある。また、ポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を鋳型として用いるには、無電解めっきにより形成した金属層を鋳型から脱離させる必要があり、かかる脱離に多大な手間がかかるという問題点がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、無電解めっきに用いる鋳型を容易かつ安定的に形成することができるとともに、無電解めっき後、鋳型を必ずしも除去する必要のないコンポジットナノチューブ、およびその製造方法、さらには、コンポジットナノチューブを利用した金属ナノチューブおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、有機ナノチューブに金属を無電解めっきして前記有機ナノチューブと金属層との複合体を得る無電解めっき工程を有するコンポジットナノチューブの製造方法であることを特徴とする。
【0009】
本発明では、有機ナノチューブを鋳型として用い、有機ナノチューブに金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブであれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、本発明では、鋳型が有機ナノチューブであるため、有機ナノチューブに無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体のサイズがナノオーダーである。それ故、かかる複合体からなるコンポジットナノチューブについては、金属ナノチューブと同様な素材、あるいは新たな素材として用いることができる。
【0010】
本発明においては、前記金属として、例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)および銅(Cu)の群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属を無電解めっきする。
【0011】
本発明の第1形態においては、前記有機ナノチューブとして、アニオン性解離基を備えた有機ナノチューブを採用する。すなわち、本発明の第1形態は、アニオン性解離基を備えた有機ナノチューブに金属を無電解めっきして前記有機ナノチューブに金属層が形成された複合体を得る無電解めっき工程を有するコンポジットナノチューブの製造方法であることを特徴とする。かかる形態では、アニオン性の解離基を備えた有機ナノチューブを鋳型として用い、有機ナノチューブのアニオン性の解離基を利用して、有機ナノチューブに金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブであれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、本発明では、鋳型が有機ナノチューブであるため、有機ナノチューブに無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体のサイズがナノオーダーである。それ故、かかる複合体からなるコンポジットナノチューブについては、金属ナノチューブと同様な素材、あるいは新たな素材として用いることができる。
【0012】
本発明において、前記アニオン性の解離基は、例えば、カルボキシル基である。
【0013】
本発明において、前記有機ナノチューブとしては、例えば、以下の一般式
R1−CO(NH−CHR2−CO)mOH
(上式中、
R1は炭素数6〜24の炭化水素基、
R2はアミノ酸側鎖、
mは1〜10の整数を表す。)
で表わされるペプチド脂質のナノチューブを用いることができる。
【0014】
本発明において、前記ペプチドは、例えば、グリシルグリシンである。
【0015】
本発明に係る方法で得られたコンポジットナノチューブは、有機ナノチューブと、該有機ナノチューブに無電解めっきされた金属層と、を備えており、前記有機ナノチューブは、アニオン性解離基を備えている。
【0016】
本発明において、前記無電解めっき工程の後、前記複合体から前記有機ナノチューブを除去する有機ナノチューブ除去工程を行なえば、金属ナノチューブを得ることができる。
【0017】
本発明の第2形態では、前記無電解めっき工程を行なう前に、前記有機ナノチューブとアミノ酸溶液とを接触させる前処理工程を行なう。かかる第2形態では、アミノ酸溶液と接触させる前処理工程を行なった有機ナノチューブを鋳型として用い、有機ナノチューブに金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブであれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、本発明では、鋳型が有機ナノチューブであるため、有機ナノチューブに無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体のサイズがナノオーダーである。それ故、かかる複合体からなるコンポジットナノチューブについては、金属ナノチューブと同様な素材、あるいは新たな素材として用いることができる。また、アミノ酸溶液と接触させる前処理工程を利用するため、有機ナノチューブがアニオン性の解離基を有しているか否かにかかわらず、無電解めっきを行なうことができる。
【0018】
本発明において、前記アミノ酸溶液は、アミノ酸として、ヒスチジン、トリプトファン、システインおよびグルタミン酸のうちの一種以上を含んでいる構成を採用することができる。
【0019】
本発明に係る方法で得られたコンポジットナノチューブは、有機ナノチューブと、該有機ナノチューブに無電解めっきされた金属層と、を備えている。
【0020】
本発明において、前記無電解めっき工程の後、前記複合体から前記有機ナノチューブを除去する有機ナノチューブ除去工程を行なえば、金属ナノチューブを得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、有機ナノチューブを鋳型として用い、有機ナノチューブの少なくとも外周面に金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて、鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブであれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、本発明では、鋳型が有機ナノチューブであるため、有機ナノチューブに無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体のサイズがナノオーダーである。このため、かかる複合体からなるコンポジットナノチューブについては、金属ナノチューブと同様な素材、あるいは新たな素材として用いることができる。また、無電解めっき層(金属層)と有機ナノチューブとの複合体から有機ナノチューブを除去すれば、金属ナノチューブを得ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法で行なう無電解めっき工程の説明図である。
【図3】本発明の実施例1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法に用いた有機ナノチューブの説明図である。
【図4】本発明の実施例1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、無電解めっき工程を行なう前の有機ナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、無電解めっき工程を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例1に対する比較例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法に用いた有機ナノチューブの説明図である。
【図7】本発明の実施例1に対する比較例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法に用いた有機ナノチューブの無電解めっき前後の様子を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、無電解めっき工程を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、別のアミノ酸を用いて前処理を行なった有機ナノチューブに無電解めっき工程を行なったコンポジットナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(24時間)および無電解めっき工程(2時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を走査型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図11】本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(36時間)および無電解めっき工程(3時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を走査型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【図12】本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(36時間)および無電解めっき工程(3時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
[実施の形態1]
(金属ナノチューブの製造方法の概要)
図1は、本発明の実施の形態1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法の概要を示す説明図である。本発明の実施の形態1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法では、まず、図1(a)に示すように、有機ナノチューブ形成工程において、アニオン性解離基を備えた有機ナノチューブ3を準備する。かかる有機ナノチューブ3は、親水部31と疎水部32を備えた両親媒性分子(界面活性有機化合物)が自己集合化した二分子膜構造を有している。有機ナノチューブ3は、円筒状であり、例えば、内径が10〜200nm、外径が50〜500nm、長さが1〜100μmである。有機ナノチューブ3は、例えばペプチド脂質30からなり、かかるペプチド脂質30は、アニオン性解離基として、カルボキシル基を有している。なお、有機ナノチューブ3には、アニオン性解離基として、スルホン基やフェノール基等、カルボキシル基以外のアニオン性解離基を有する両親媒性分子を用いることができる。
【0025】
次に、無電解めっき工程においては、有機ナノチューブ3におけるアニオン性解離基と金属イオンとの親和性を利用して、図1(b)に示すように、有機ナノチューブ3の少なくとも外周面に、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)等の金属を無電解めっきし、無電解めっき層5と有機ナノチューブ3との複合体1を得る。
【0026】
かかる複合体1については、この構造のままでコンポジットナノチューブ1Aとして用いることができる。
【0027】
また、無電解めっき工程の後、図1(c)に示すように、アルコール、DMF(dimethyl formamide)、DMSO(dimethyl sulfoxide)等の溶剤による溶解処理や焼成処理等の方法で、無電解めっき層5と有機ナノチューブ3との複合体1(コンポジットナノチューブ1A)から有機ナノチューブ3を除去する有機ナノチューブ除去工程を行なえば、無電解めっき層5のみからなる金属ナノチューブ1Bを得ることができる。
【0028】
このように、本形態では、コンポジットナノチューブ1Aおよび金属ナノチューブ1Bを製造するにあたって、アニオン性の解離基を備えた有機ナノチューブ3を鋳型として用い、有機ナノチューブ3の少なくとも外周面に金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて、鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブ3であれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、鋳型が有機ナノチューブ3であるため、有機ナノチューブ3に無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体1のサイズがナノオーダーである。このため、無電解めっき層5と有機ナノチューブ3との複合体1については、金属ナノチューブ1Bと同様な素材、あるいは新たな素材としてのコンポジットナノチューブ1Aとして用いることができる。また、複合体1(コンポジットナノチューブ1A)から有機ナノチューブ3を除去すれば金属ナノチューブ1Bを得ることができる。
【0029】
それ故、本形態によれば、大規模な設備を用いなくても、金属ナノデバイス等に用いられるコンポジットナノチューブ1Aおよび金属ナノチューブ1Bを製造することができ、かかる金属ナノデバイスは、電子回路、電子センサ、光電子装置等に用いることができる。
【0030】
なお、有機ナノチューブ3の内径や、無電解めっきに用いる液種によっては、有機ナノチューブ3の内側まで無電解めっきでき、その場合、有機ナノチューブ3の外周面および両端面に加えて、内周面にも無電解めっき層5が形成されることになる。
【0031】
(有機ナノチューブの説明)
有機ナノチューブ形成工程において形成する有機ナノチューブは、例えば、以下の一般式
R1−CO(NH−CHR2−CO)mOH
(上式中、
R1は炭素数6〜24の炭化水素基、
R2はアミノ酸側鎖、
mは1〜10の整数を表す。)
で表わされるペプチド脂質を用いることができ、かかるペプチド脂質は、アニオン性解離基としてカルボキシル基を備えている。
【0032】
かかる有機ナノチューブにおいて、上記一般式中、R1は炭素数が6〜24の炭化水素基であり、好ましくは、炭素数2以下の側鎖が付いてもよい直鎖炭化水素である。炭化水素基は飽和であっても不飽和であってもよく、不飽和の場合には3個以下の二重結合を含むことが好ましい。かかる炭化水素基としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘネイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、及びヘキサコシル基等が挙げられる。
【0033】
上記一般式中、R2はアミノ酸側鎖であり、このアミノ酸としては、例えば、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、アラニン、アルギニン、グルタミン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、システイン、スレオニン、メチオニン、ヒスチジン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、及びセリンが挙げられ、好ましくはグリシンである。
【0034】
かかるペプチド脂質および有機ナノチューブを得るにあたって、例えば、ペプチドとして、化学式(1)で示すグリシルグリシンを用い、長鎖カルボン酸として、化学式(2)で示すドデカン酸(ラウリン酸)を用いると、化学式(3)で示すペプチド脂質が自己集合化した有機ナノチューブを得ることができる。
【0035】
【化1】
【0036】
【化2】
【0037】
【化3】
【0038】
また、ペプチド脂質および有機ナノチューブを得るにあたって、ペプチドとして、グリシルグリシンを用い、長鎖カルボン酸として、化学式(4)で示すテトラデカン酸(ミリスチン酸)を用いると、化学式(5)で示すペプチド脂質が自己集合化した有機ナノチューブを得ることができる。
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】
ペプチド脂質(両親媒性分子/界面活性有機化合物)を自己集合させて有機ナノチューブを得るには、例えば、特開2004−256414号公報に開示されている方法を用いる。ここに記載の方法では、疎水性の炭化水素基及び親水基から成るペプチド脂質を溶媒中で自己集合させる際、油/水界面を反応場に用いる。すなわち、ペプチド脂質を水相に予め溶解させた後、徐冷し、その後、油相を加えると、油/水界面でペプチド脂質が自己集合しながら析出し、中空繊維状の有機ナノチューブを得ることができる。油相については、広範囲の有機物を使用できるが、常温において液体であり、極性が十分に低く、かつ水と混和しにくい溶媒であることを要する。例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2、2−ジメチルブタン、四塩化炭素等が挙げられる。水相には、蒸留水、精製水、超純水等の水、その他各種塩溶液、リン酸等から成るpH緩衝溶液等を用いることができる。
【0042】
また、ペプチド脂質を自己集合させて有機ナノチューブを得るには、特開2008−30185号公報に開示されている方法を用いてもよい。ここに記載の方法では、加温した有機溶媒にペプチド脂質を溶解させた後、徐冷し、その後、溶液を室温で静置する。その結果、溶液中でペプチド脂質が自己集合しながら析出するので、中空繊維状の有機ナノチューブを得ることができる。また、加温した有機溶媒にペプチド脂質を溶解させた後、溶液を濃縮し、その後、溶液を室温で静置してもよい。また、加温した有機溶媒にペプチド脂質を溶解させた後、その溶液にペプチド脂質に対する貧溶媒を加え、その後、溶液を室温で静置してもよい。
【0043】
さらに、ペプチド脂質を自己集合させて有機ナノチューブを得るには、特開2008−31152号公報に開示されている方法を用いてもよい。ここに記載の方法では、ペプチド脂質を溶解させたアルカリ性水溶液に酸性化合物を加え、溶液中でペプチド脂質を自己集合させて有機ナノチューブを得る。また、ペプチド脂質を溶解させた酸性水溶液にアルカリ性化合物を加え、溶液中でペプチド脂質を自己集合させて有機ナノチューブを得てもよい。
【0044】
(無電解めっき工程の説明)
図2は、本発明の実施の形態1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法で行なう無電解めっき工程の説明図である。
【0045】
上記の有機ナノチューブを用いてコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを製造するにあたって、本形態では、有機ナノチューブに対して無電解めっき工程を行なう。かかる無電解めっき工程として、例えば、置換型無電解金めっきを行なうには、以下に説明する増感剤処理、アクチベータ処理、金めっき処理を順に行なう。
【0046】
増感剤処理では、図2(a)に示すように、有機ナノチューブ3に対して2価の錫イオン(Sn2+)を吸着させることによって、金属イオンの還元を促進する。
【0047】
次に、アクチベータ処理では、図2(b)に示すように、錫イオン(Sn2+)の吸着によって増感した有機ナノチューブ3の表面を、アンモニア性硝酸銀水溶液からなるアクチベータによって活性化させる。かかるアクチベータ処理では、酸化還元反応によって、有機ナノチューブ3の表面に結合した2価の錫イオン(Sn2+)が酸化されて4価の錫イオン(Sn4+)になる一方、銀イオン(Ag+)が還元されて金属状態の銀(Ag)となる。その結果、有機ナノチューブ3の表面が銀層でコーティングされる。
【0048】
次に、金めっき処理では、有機ナノチューブ3の表面の銀層と、金めっき液とを接触させる。その結果、銀に比較してイオン化傾向が小さな金と、銀との間で置換反応が起こり、有機ナノチューブ3の表面が金層でコーティングされる。
【0049】
このようにして、無電解めっき層5(金層)と有機ナノチューブ3との複合体1を得る。かかる複合体1については、この状態でコンポジットナノチューブ1A(図1(b)参照)として用いることができる。また、複合体1(コンポジットナノチューブ1A)から有機ナノチューブ3を除去し、残った無電解めっき層5(金層)を金属ナノチューブ1B(図1(a)参照)として用いてもよい。
【0050】
また、コンポジットナノチューブ1Aおよび金属ナノチューブ1Bに用いる無電解めっき層5としては、金以外にも、白金、パラジウム、銀および銅を形成してもよい。また、コンポジットナノチューブ1Aおよび金属ナノチューブ1Bに用いる無電解めっき層5としては、金、白金、パラジウム、銀および銅のうちの複数種類を2層以上形成してもよい。さらに、増感剤処理やアクチベータ処理に用いる金属イオンとしては、錫イオンに代えて、鉛イオンやパラジウムイオン等を用いてもよい。
【0051】
[実施の形態2]
本発明の実施の形態2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法では、まず、有機ナノチューブ形成工程において、親水部と疎水部を備えた両親媒性分子(界面活性有機化合物)が自己集合化した二分子膜構造の有機ナノチューブを準備する。かかる有機ナノチューブは、円筒状であり、例えば、内径が10〜200nm、外径が50〜500nm、長さが1〜100μmである。本形態において用いた有機ナノチューブは、アニオン性解離基を有していない有機ナノチューブである。かかる有機ナノチューブを作成する場合も、実施の形態1と同様、自己集合を利用する。
【0052】
かかる有機ナノチューブを用いてコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを製造するには、まず、有機ナノチューブとアミノ酸溶液とを接触させる前処理工程を行なう。例えば、有機ナノチューブを水に分散させる一方、かかる分散液にアミノ酸を加え、攪拌する。次に、遠心分離とデカンケーションとによる洗浄を行なう。アミノ酸としては、ヒスチジン、トリプトファン、システインおよびグルタミン酸のうちの一種以上を含んでいる構成を採用することができる。
【0053】
次に、無電解めっき工程においては、有機ナノチューブに金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)等の金属を無電解めっきし、無電解めっき層と有機ナノチューブとの複合体を得る。本形態では、実施の形態1と同様、無電解めっき工程として、置換型無電解金めっきを行なう。かかる無電解めっき工程では、実施の形態1と同様、増感剤処理、アクチベータ処理、金めっき処理を順に行なう。増感剤処理では、図2(a)を参照して説明したように、有機ナノチューブに対して2価の錫イオン(Sn2+)を吸着させることによって、金属イオンの還元を促進する。アクチベータ処理では、図2(b)を参照して説明したように、錫イオン(Sn2+)の吸着によって増感した有機ナノチューブ3の表面を、アンモニア性硝酸銀水溶液からなるアクチベータによって活性化させる。次に、金めっき処理では、有機ナノチューブの表面の銀層と、亜硫酸金ナトリウム水溶液などの金めっき液とを接触させる。その結果、銀に比較してイオン化傾向が小さな金と、銀との間で置換反応が起こり、有機ナノチューブ3の表面が金層でコーティングされる。ここで、無電解めっき層として、金以外にも、白金、パラジウム、銀および銅を形成してもよい。また、無電解めっき層としては、金、白金、パラジウム、銀および銅のうちの複数種類を2層以上形成してもよい。さらに、増感剤処理やアクチベータ処理に用いる金属イオンとしては、錫イオンに代えて、鉛イオンやパラジウムイオン等を用いてもよい。
【0054】
かかる複合体については、この構造のままでコンポジットナノチューブとして用いることができる。また、無電解めっき工程の後、アルコール、DMF、DMSO等の溶剤による溶解処理や焼成処理等の方法で、無電解めっき層と有機ナノチューブとの複合体(コンポジットナノチューブ)から有機ナノチューブを除去する有機ナノチューブ除去工程を行なえば、無電解めっき層のみからなる金属ナノチューブを得ることができる。
【0055】
このように、本形態では、コンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを製造するにあたって、前処理工程でアミノ酸溶液と接触させた有機ナノチューブを鋳型として用い、有機ナノチューブに金属を無電解めっきする。このため、多大な手間をかけて、鋳型となるべきポリカーボネート多孔質膜や多孔質酸化皮膜を作成する必要がないとともに、有機ナノチューブであれば、サイズが安定した鋳型を得ることができる。また、鋳型が有機ナノチューブであるため、有機ナノチューブに無電解めっきを行なった後の金属と有機ナノチューブとの複合体のサイズがナノオーダーである。このため、無電解めっき層と有機ナノチューブとの複合体については、金属ナノチューブと同様な素材、あるいは新たな素材としてのコンポジットナノチューブとして用いることができる。また、複合体(コンポジットナノチューブ)から有機ナノチューブを除去すれば金属ナノチューブを得ることができる。
【0056】
それ故、本形態によれば、大規模な設備を用いなくても、金属ナノデバイス等に用いられるコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを製造することができ、かかる金属ナノデバイスは、電子回路、電子センサ、光電子装置等に用いることができる。
【0057】
なお、有機ナノチューブの種類によっては、有機ナノチューブの外周面、あるいは内周面に選択的に無電解めっき層を形成することができる。理由については、まだ解明されていないが、有機ナノチューブを合成した後、乾燥させた有機ナノチューブを用いると、有機ナノチューブの外周面に金属層が無電解めっきされるのにに対して、有機ナノチューブを合成した後、乾燥させずに、水中に分散させた有機ナノチューブを用いると、有機ナノチューブの内周面に金属層が無電解めっきされる。
【実施例】
【0058】
[実施例1]
図3〜図5を参照して、本発明の実施例1として、本発明の実施の形態1に対応する実施例を説明する。図3は、本発明の実施例1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法に用いた有機ナノチューブの説明図である。図4および図5は、本発明の実施例1に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、無電解めっき工程を行なう前の有機ナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図、および無電解めっき工程を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。なお、図3(a)、(b)は各々、本例で用いた有機ナノチューブの構造を示す説明図、およびH−NMRスペクトルの測定結果を示す説明図である。また、図5(a)、(b)は各々、本例のコンポジットナノチューブを倍率を変えて観察した透過型電子顕微鏡写真である。
【0059】
まず、本発明の実施例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法として、化学式(5)で示す両親媒性分子(以下、MKNT−2と称する)からなる有機ナノチューブの表面に金めっき層を形成してコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを得る方法を説明する。図3(a)に示すように、本例の有機ナノチューブで用いたペプチド脂質30は、カルボキシル基(アニオン性解離基)を備えたグリシルグリシン(ペプチド)を親水部31として有し、テトラデシル基(炭化水素基)を疎水部32として有する。かかるMKNT−2のH−NMRスペクトルを図3(b)に示す。
【0060】
MKNT−2の組成式はC18H34N2O4であり、分子量は324.5である。MKNT−2は、空気中での融点(分解点)が159°である。MKNT−2は、水中での融点(二分子膜のゲル−液晶相転移温度)が54°(ナトリウム塩)であり、この温度以上に分散液を加熱すると、ナノチューブ形態は、ベシクルのような別の分子集合体に変化する。
【0061】
MKNT−2を用いた有機ナノチューブは、白色の粉末であり、アルコール、DMF、DMSOに溶解させると、ナノチューブ構造が分解して、単分散した分離として溶解する。また、MKNT−2はアニオン解離基を有しており、金属イオンと相互作用する。
【0062】
かかるMKNT−2に対して無電解めっき工程を行なってコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブを製造するにあたって、本形態では、図2(a)を参照して説明した増感剤処理、アクチベータ処理、金めっき処理を行った。より具体的には、MKNT−2を用いた有機ナノチューブを水中に分散させ、温度が30℃になるまで加熱する。次に、後述する増感処理液を1ml加え、40分間攪拌する。その後、室温(20℃)および回転数が4000rpmの条件での遠心分離と、デカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に後述するアクチベータ処理液を1ml加え、室温で5分間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に後述する金めっき処理液を1ml加え、2℃で1時間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行ない、得られた沈殿を水中に再度分散させて、顕微鏡観察に供した。
【0063】
その結果、図4に示すように、無電解めっき工程を行なう前の有機ナノチューブでは内部が空洞になっていることが観察できるのに対して、図5(a)、(b)に示すように、無電解めっき工程後の有機ナノチューブ(図1(b)に示す複合体1およびコンポジットナノチューブ)では内部の空洞が観察できない。
【0064】
従って、本発明の実施例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法によれば、有機ナノチューブの外周面に、金層からなる無電解めっき層が形成された複合体になっていることがわかる。それ故、かかる複合体についてはコンポジットナノチューブとして用いることもできる。また、無電解めっき工程後に有機ナノチューブ除去工程を行い、複合体から有機ナノチューブを除去すれば、残った無電解めっき層(金層)を金属ナノチューブとして用いることができる。
【0065】
なお、本例において、増感剤処理に用いる処理液については、0.09859gのSnCl2に対して50:50のメタノール/水の混合液からなる溶媒20mlを加えて溶解させた後、0.104ml(0.07M)のトリフルオロ酢酸を加えて調製した。
【0066】
アクチベータ処理に用いる処理液については、0.1mol/lのAgNO3溶液2.9ml(0.029M)を対して10%アンモニア溶液0.2mlを加え、軽く攪拌した後、蒸留水6.9mlを加えて調製した。
【0067】
めっき処理に用いる処理液については、亜硫酸ナトリウム0.16gに対して、亜硫酸金ナトリウム溶液0.15mlと、蒸留水8mlとを加え、よく攪拌した後、0.5M硫酸を加えてpHを3に調整した。また、めっき直前に18.5%のホルムアルデヒド液0.2mlを加え、軽く攪拌した後、約2℃に冷却した。
【0068】
[実施例1に対する比較例]
図6および図7は、本発明の実施例1に対する比較例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法に用いた有機ナノチューブの説明図、およびこの有機ナノチューブの無電解めっき前後の様子を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図である。なお、図6(a)、(b)は各々、本例で用いた有機ナノチューブの構造を示す説明図、およびH−NMRスペクトルの測定結果を示す説明図である。また、図7(a)、(b)は各々、無電解めっき前の有機ナノチューブの透過型電子顕微鏡写真、および無電解めっき後の有機ナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。
【0069】
本発明の比較例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法として、両親媒性分子として、図6(a)に示す糖脂質130(以下、KNT−1と称する)を用いた場合を説明する。図6(a)に示す有機ナノチューブは、D(+)グルコースとオレイン酸とを原料とする糖脂質130からなり、長鎖炭化水素基に糖残基を結合させた構造を有している。かかるKNT−1は、糖残基を親水部131として有し、炭化水素基を疎水部132として有している。かかるKNT−1のH−NMRスペクトルを図6(b)に示す。
【0070】
KNT−1の組成式はC24H45NO6であり、分子量は443.6である。KNT−1は、空気中での融点(分解点)が159°である。KNT−1は、水中での融点(二分子膜のゲル−液晶相転移温度)が68°であり、この温度以上に分散液を加熱すると、ナノチューブの形態は、ベシクルのような別の分子集合体に変化する。
【0071】
KNT−1を用いた有機ナノチューブの粉末は、アルコール、環状エーテル系溶媒に溶解させると、ナノチューブ構造が分解して、単分散した分離として溶解する。ここで、KNT−1はアニオン解離基を有していないため、金属イオンとの相互作用が極めて弱い。
【0072】
かかるKNT−1に対して、上記の実施例と同一の条件で無電解めっき工程を行なった。その結果、図7(a)、(b)に示すように、無電解めっき工程を行なう前、および無電解めっき工程の後のいずれにおいても、有機ナノチューブの内部が観察される。従って、本発明の比較例では、有機ナノチューブの外周面に金層(無電解めっき層)が形成されていないと判断できる。
【0073】
[実施例2]
図8および図9を参照して、本発明の実施例2として、本発明の実施の形態2に対応する実施例を説明する。本例で用いた有機ナノチューブは、実施例1に対する比較例と同様、アニオン性解離基を有していない有機ナノチューブである(図6参照)。また、本例では、有機ナノチューブを作成した後、乾燥させたものを用いる。
【0074】
図8は、本発明の実施例2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、無電解めっき工程を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図であり、図8(a)、(b)、(c)、(d)は、アミノ酸としてグルタミン酸を用いて得たコンポジットナノチューブの透過型電子顕微鏡写真、走査型電子顕微鏡写真(倍率1万倍)、走査型電子顕微鏡写真(倍率1万5千倍)、およびコンポジットナノチューブを熱処理した後の走査型電子顕微鏡写真(倍率1万3千倍)である。図9は、本発明の実施例2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、別のアミノ酸を用いて前処理を行なった有機ナノチューブに無電解めっき工程を行なったコンポジットナノチューブを透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図であり、図9(a)は、アミノ酸としてシステインを用いて得たコンポジットナノチューブの透過型電子顕微鏡写真であり、図9(b)、(c)は、アミノ酸としてヒスチジンを用いて得たコンポジットナノチューブの透過型電子顕微鏡写真であり、図9(d)、(e)は、アミノ酸としてトリプトファンを用いて得たコンポジットナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。
【0075】
本発明の実施例2に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法では、有機ナノチューブにおいて、図6(a)に示す糖脂質130(以下、KNT−1と称する)を用いる。かかるKNT−1はアニオン解離基を有していない。
【0076】
本例では、まず、有機ナノチューブとアミノ酸溶液とを接触させる前処理工程を行なう。例えば、有機ナノチューブを作成した後、乾燥させたものを水に分散させる一方、かかる分散液に1.238mol×10-3mol/lのグルタミン酸を加え、約1時間、攪拌する。次に、遠心分離とデカンケーションとによる洗浄を2回繰り返す。
【0077】
次に、無電解めっき工程においては、実施例1と同様、KNT−1を分散させた水中(温度が30℃)に増感剤(塩化すず)を加え、40分間攪拌する。その後、遠心分離と、デカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に後述するアクチベータ(硝酸銀)を1ml加え、室温で5分間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に金めっき処理液を1ml加え、2℃で0.5時間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行ない、得られた沈殿を水中に再度分散させて、顕微鏡観察に供した。
【0078】
その結果、図8(a)、(b)、(c)に示すように、有機ナノチューブの外周面に、金層からなる無電解めっき層が形成された複合体が形成されており、かかる複合体についてはコンポジットナノチューブとして用いることができる。また、無電解めっき工程後に有機ナノチューブ除去工程を行い、複合体から有機ナノチューブを除去すれば、残った無電解めっき層(金層)を金属ナノチューブとして用いることができる。かかるコンポジットナノチューブについては、300℃、40分の熱処理を加えても、図8(d)に示すように、形態の変化は見られなかった。
【0079】
また、前処理工程で用いるアミノ酸としてシステインを用い、同様な前処理や無電解めっき工程を行った結果、図9(a)に示すように、有機ナノチューブの外周面に、金層からなる無電解めっき層が形成された複合体(コンポジットナノチューブ)が得られた。
【0080】
また、前処理工程で用いるアミノ酸としてヒスチジンを用い、同様な前処理や無電解めっき工程を行った結果、図9(b)、(c)に示すように、有機ナノチューブの外周面に、金層からなる無電解めっき層が形成された複合体(コンポジットナノチューブ)が得られた。
【0081】
また、前処理工程で用いるアミノ酸としてトリプトファンを用い、同様な前処理や無電解めっき工程を行った結果、図9(d)、(e)に示すように、有機ナノチューブの外周面に、金層からなる無電解めっき層が形成された複合体(コンポジットナノチューブ)が得られた。なお、前処理で用いたアミノ酸を比較すると、システインやグルタミン酸を用いた場合には、ヒスチジンやトリプトファンを用いた場合に比して、金層が効率よく形成される傾向にあった。
【0082】
[実施例2の変形例]
図10〜図12を参照して、本発明の実施例2の変形例として、本発明の実施の形態2に対応する実施例を説明する。本例で用いた有機ナノチューブは、実施例1に対する比較例と同様、アニオン性解離基を有していない有機ナノチューブである。また、本例では、有機ナノチューブを作成した後、乾燥させずに、水中に分散させたものを用いる。
【0083】
図10は、本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(24時間)および無電解めっき工程(2時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を走査型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図であり、図10(a)、(b)、(c)、(d)は、コンポジットナノチューブの電子顕微鏡写真(倍率1万1千倍)、電子顕微鏡写真(倍率2万倍)、および反射電子像(倍率2万倍)である。
【0084】
図11は、本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(36時間)および無電解めっき工程(3時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を走査型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図であり、図11(a)、(b)は、コンポジットナノチューブの電子顕微鏡写真(倍率3万倍)、および電子顕微鏡写真(倍率3万5千倍)である。図12は、本発明の実施例2の変形例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法において、前処理工程(36時間)および無電解めっき工程(3時間)を行なった後の有機ナノチューブ(コンポジットナノチューブ)を透過型電子顕微鏡で観察した様子を示す説明図であり、図12(a)、(b)は、コンポジットナノチューブの透過電子顕微鏡写真であり、図12(c)は異なる倍率でのコンポジットナノチューブの透過型電子顕微鏡写真である。
【0085】
本実施例に係るコンポジットナノチューブおよび金属ナノチューブの製造方法では、有機ナノチューブにおいて、図6(a)に示す糖脂質130(以下、KNT−1と称する)を用いる。かかるKNT−1はアニオン解離基を有していない。
【0086】
本例では、まず、有機ナノチューブとアミノ酸溶液とを接触させる前処理工程を行なう。例えば、有機ナノチューブを作成した後、乾燥させずに水に分散させたものを用い、かかる分散液に1.238mol×10-3mol/lのグルタミン酸を加え、約24時間、攪拌する。次に、遠心分離とデカンケーションとによる洗浄を2回繰り返す。
【0087】
次に、無電解めっき工程においては、実施例1と同様、KNT−1を分散させた水中(温度が30℃)に増感剤(塩化すず)を加え、40分間攪拌する。その後、遠心分離と、デカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に後述するアクチベータ(硝酸銀)を1ml加え、室温で5分間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行なう。次に、得られた沈殿に金めっき処理液を1ml加え、2℃で2時間攪拌する。その後、遠心分離とデカンケーションとにより、水による洗浄を2回行ない、得られた沈殿を水中に再度分散させて、顕微鏡観察に供した。
【0088】
その結果、図10(a)、(b)に示すように、有機ナノチューブの内周面に、金層からなる無電解めっき層が選択的に形成された複合体が形成されており、かかる複合体についてはコンポジットナノチューブとして用いることができる。また、無電解めっき工程後に有機ナノチューブ除去工程を行い、複合体から有機ナノチューブを除去すれば、残った無電解めっき層(金層)を金属ナノチューブとして用いることができる。
【0089】
また、同様な方法において、前処理工程の時間を36時間とし、無電解めっき工程の時間を3時間とした場合には、図11および図12に示すように、前処理工程の時間を24時間とし、無電解めっき工程の時間を2時間とした場合に比して多量の金層(無電解めっき層)が有機ナノチューブの内周面に形成された複合体(コンポジットナノチューブ)が得られた。
【符号の説明】
【0090】
1 複合体
1A コンポジットナノチューブ
1B 金属ナノチューブ
3 有機ナノチューブ
5 無電解めっき層
30 ペプチド脂質
31 親水部
32 疎水部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ナノチューブに金属を無電解めっきして前記有機ナノチューブと金属層との複合体を得る無電解めっき工程を有することを特徴とするコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項2】
前記金属として、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)および銅(Cu)の群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属を無電解めっきすることを特徴とする請求項1に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項3】
前記有機ナノチューブは、アニオン性解離基を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項4】
前記アニオン性解離基は、カルボキシル基であることを特徴とする請求項3に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項5】
前記有機ナノチューブは、以下の一般式
R1−CO(NH−CHR2−CO)mOH
(上式中、
R1は炭素数6〜24の炭化水素基、
R2はアミノ酸側鎖、
mは1〜10の整数を表す。)
で表わされるペプチド脂質からなることを特徴とする請求項4に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項6】
前記ペプチドがグリシルグリシンであることを特徴とする請求項5に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項7】
前記無電解めっき工程を行なう前に、前記有機ナノチューブとアミノ酸溶液とを接触させる前処理工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項8】
前記アミノ酸溶液は、アミノ酸として、ヒスチジン、トリプトファン、システインおよびグルタミン酸のうちの一種以上を含んでいることを特徴とする請求項7に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の製造方法により得られたことを特徴とするコンポジットナノチューブ。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のコンポジットナノチューブの製造方法を用いた金属ナノチューブの製造方法であって、
前記無電解めっき工程の後、前記複合体から前記有機ナノチューブを除去する有機ナノチューブ除去工程を有することを特徴とする金属ナノチューブの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法により得られたことを特徴とする金属ナノチューブ。
【請求項12】
有機ナノチューブと、該有機ナノチューブに無電解めっきされた金属層と、を備えていることを特徴とするコンポジットナノチューブ。
【請求項13】
前記有機ナノチューブは、アニオン性解離基を備えていること特徴とする請求項12に記載のコンポジットナノチューブ。
【請求項14】
有機ナノチューブに無電解めっきされた金属層からなることを特徴とする金属ナノチューブ。
【請求項15】
前記有機ナノチューブは、アニオン性解離基を備えていること特徴とする請求項14に記載の金属ナノチューブ。
【請求項1】
有機ナノチューブに金属を無電解めっきして前記有機ナノチューブと金属層との複合体を得る無電解めっき工程を有することを特徴とするコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項2】
前記金属として、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)および銅(Cu)の群より選ばれた1種もしくは2種以上の金属を無電解めっきすることを特徴とする請求項1に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項3】
前記有機ナノチューブは、アニオン性解離基を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項4】
前記アニオン性解離基は、カルボキシル基であることを特徴とする請求項3に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項5】
前記有機ナノチューブは、以下の一般式
R1−CO(NH−CHR2−CO)mOH
(上式中、
R1は炭素数6〜24の炭化水素基、
R2はアミノ酸側鎖、
mは1〜10の整数を表す。)
で表わされるペプチド脂質からなることを特徴とする請求項4に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項6】
前記ペプチドがグリシルグリシンであることを特徴とする請求項5に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項7】
前記無電解めっき工程を行なう前に、前記有機ナノチューブとアミノ酸溶液とを接触させる前処理工程を有することを特徴とする請求項1または2に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項8】
前記アミノ酸溶液は、アミノ酸として、ヒスチジン、トリプトファン、システインおよびグルタミン酸のうちの一種以上を含んでいることを特徴とする請求項7に記載のコンポジットナノチューブの製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の製造方法により得られたことを特徴とするコンポジットナノチューブ。
【請求項10】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のコンポジットナノチューブの製造方法を用いた金属ナノチューブの製造方法であって、
前記無電解めっき工程の後、前記複合体から前記有機ナノチューブを除去する有機ナノチューブ除去工程を有することを特徴とする金属ナノチューブの製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法により得られたことを特徴とする金属ナノチューブ。
【請求項12】
有機ナノチューブと、該有機ナノチューブに無電解めっきされた金属層と、を備えていることを特徴とするコンポジットナノチューブ。
【請求項13】
前記有機ナノチューブは、アニオン性解離基を備えていること特徴とする請求項12に記載のコンポジットナノチューブ。
【請求項14】
有機ナノチューブに無電解めっきされた金属層からなることを特徴とする金属ナノチューブ。
【請求項15】
前記有機ナノチューブは、アニオン性解離基を備えていること特徴とする請求項14に記載の金属ナノチューブ。
【図2】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−275624(P2010−275624A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11666(P2010−11666)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人科学技術振興機構委託研究「超分子ナノチューブアーキテクトニクスとナノバイオ応用」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、独立行政法人科学技術振興機構委託研究「超分子ナノチューブアーキテクトニクスとナノバイオ応用」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】
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