説明

コンロ付き調理台

【課題】電気加熱調理器とカウンターの上面をフラットにできるとともに、それらの間の隙間に形成されるシール部が鍋などのスライド移動などで傷つきにくいコンロ付き調理台を提供する。
【解決手段】トッププレート11の外周端11cには、トッププレート11の上面11aから角部11bまでを覆う堤防部21と、これに連なって下方に延びてトッププレート11の外周面を覆うカバー部22とを備えた囲い枠20を取り付けてあり、カウンター4の調理器支持部40の上に、電気加熱調理器10が、トッププレート11の上面11aの高さを、カウンター4の上面4aと略同一になるように設置されており、囲い枠20の外周面20aと開口部5のカウンター内周面5aとの隙間Sに、囲い枠20の堤防部21の上端21bを超えないようにして表面を露出させたシール部30が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンターに形成された開口部に、電気加熱調理器を嵌め込んで、装着したコンロ付き調理台の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カウンターの開口部に電気加熱調理器をドロップインしたコンロ付き調理台が実施されている。この電気加熱調理器は、上部に、上面をフラットにしたトッププレートを備えているため、その上面とカウンターの上面を同一高さにすることで、鍋などのスライド移動がしやすい、使い勝手のよい調理台を形成することができる。
【0003】
このように、トッププレートの上面を含んで調理台の上面を概ねフラットにできる加熱調理器のドロップトイン構造として、加熱調理器の外周に鍔部を設けて、その鍔部がカウンターの上面に配設されるものが知られている(特許文献1を参照)。なお特許文献1のものは、ガス加熱調理器に関するものであるが、ドロップインの構造であり、カウンターの上面と五徳の上端とを同一高さにすることで、鍋のスライドをしやすくしている。
【0004】
一方、特許文献2のものは、上面をフラットにするために、カウンターの開口部にトッププレートの載置部を設けて、その上にトッププレートの周端部を載置させて上面を同一高さにしている。加熱調理器自体を載置部に載せ置く構造であるため、加熱調理器を、外周の鍔部でぶら下げるようにした文献1のものにくらべると、加熱調理器の取付は安定する。
【0005】
また、文献2のものは、開口部とトッププレートとの隙間に、頭部を平らにしたシール用のフレーム体が嵌め込まれているため、トッププレートとカウンターとの間の鍋の移動はスムーズに行える。さらに、このフレーム体の頭部が、鍋からの吹きこぼれを堰きとめる防波堤ともなり得ることも開示されている。また、フレーム体は樹脂等の一体成形品で形成され、色が自由に選択できることも記載されている。
【特許文献1】特開平10−160169号公報
【特許文献2】特開2007−165333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フレーム体を樹脂で成形したものでは、鍋のスライド移動にともなって、フレーム体の頭部は鍋底に擦られて、すぐに磨耗してしまうおそれがあり、そのため、頭部はシール部、堤防部としての機能がすぐに低減してしまう。また、デザイン性のある着色をしていても、吹きこぼれた煮汁や、鍋底の擦れなどで変色してしまうおそれもある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、電気加熱調理器とカウンターの上面をフラットにできるとともに、それらの間の隙間に形成されるシール部が鍋などのスライド移動などで傷つきにくいコンロ付き調理台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のコンロ付き調理台は、カウンターに形成された開口部に、電気加熱調理器を嵌め込んで、装着したコンロ付き調理台において、電気加熱調理器のトッププレートの外周端には、トッププレートの上面から角部までを覆う堤防部と、これに連なって下方に延びて該トッププレートの外周面を覆うカバー部とを備えた囲い枠を取り付けてあり、カウンターは、電気加熱調理器の外周端を下方より支持する調理器支持部を備え、調理器支持部の上に、トッププレートの上面の高さがカウンターの上面と略同一になるように、電気加熱調理器が設置されており、囲い枠の外周面と開口部のカウンター内周面との間の隙間に、囲い枠の堤防部の上端を超えないようにして表面を露出させたシール部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のコンロ付き調理台では、シール部はその表面がカウンターの上面に向かって降下傾斜した形状となっている。
【0010】
請求項3に記載のコンロ付き調理台では、隙間を塞ぐようにして露出される頭部と、頭部より下方に延びて、隙間に差し込まれる基部とを備えた目地形成材を、頭部が囲い枠の堤防部の上端よりも高くならないように隙間に挿填してシール剤で固着した構成となっている。
【0011】
請求項3に記載のコンロ付き調理台では、目地形成材の基部の先端が囲い枠の延出片と調理器支持部との間に挿着されている。
【0012】
請求項4に記載のコンロ付き調理台は、調理器支持部の上面のカウンターの開口部の隙間に対応した位置に、目地形成材を隙間に挿填する際に滴下するシール剤を受け止める溝部が形成されている。
【0013】
請求項5に記載のコンロ付き調理台は、目地形成材がカウンターの開口端に向けて突出する係止爪を有しており、この係止爪をカウンター、電気加熱調理器または調理器支持部に形成した係止部に係止させた構造となっている。
【0014】
請求項6に記載のコンロ付き調理台は、囲い枠がカバー部の先端に、トッププレートの端部の下側に折曲して延びる延出片をさらに備えており、堤防部と延出片とでトッププレートの端部を挟持する構造となっている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載のコンロ付き調理台によれば、電気加熱調理器を調理器支持部に載せ置いて、カウンターと電気加熱調理器のトッププレートの上面をほぼ同じ高さにしているため、全体としてフラットな調理台を構成でき、鍋などを安定的にスライド移動できる。また、トッププレートの外周に堤防部を有した囲い枠を取り付けた構造としているため、その堤防部で、鍋から吹きこぼれた煮汁などをトッププレートの端部で堰きとめることができる。
【0016】
また、その囲い枠の外周面と開口部の内周面との間の隙間に、シール部が堤防部の高さを超えないようにして形成されているため、そのシール部は、堤防部によって、鍋底の擦れや吹きこぼれによる煮汁などの浸入などから好適に保護され得る。それによって、目地形成材の磨耗を防止でき、シール機能を長期にわたって維持できる。また、シール部に着色をしている場合でも変色しにくい。もちろん、カウンターへの熱湯や煮汁の浸入も防止できる。
【0017】
さらに、カウンターの上面では、カウンター開口部とトッププレートの境界部に、わずかに突出した堤防部が形成されているため、熱せられた鍋を、その端を堤防部にかけるようにして載せ置くことで、鍋底の下に空隙ができ、鍋底からカウンターやシール部への熱の伝達をすくなくできる。
【0018】
請求項2に記載のコンロ付き調理台によれば、シール部の表面が、カウンターの上面に向かって降下傾斜しているため、なめらかで段差がなく、見た目にもフラットなカウンターを構成できる。
【0019】
請求項3に記載のコンロ付き調理台によれば、頭部と、隙間に差し込まれる基部とよりなる目地形成材を隙間に挿填してシール剤で固着してシール部を構成しているため、簡易な構造の目地形成材で目地を構成でき、作業も楽に行える。
【0020】
請求項4に記載のコンロ付き調理台によれば、目地形成材の基部の先端が、囲い枠の延出片と調理器支持部との間に挿入されて固定されているため、目地形成材には過熱調理器の自重がかかるため、目地形成材の抜けや外れが防止できる。
【0021】
請求項5に記載のコンロ付き調理台によれば、目地形成材を隙間に挿填する際に滴下するシール剤を受け止める溝部が形成されているため、その溝部に余剰のシール剤を溜め込むことで、シール剤が硬化する前に流れ出ることを防止できる。
【0022】
請求項6に記載のコンロ付き調理台によれば、目地形成材の係止爪をカウンター、電気加熱調理器または調理器支持部に形成した係止部に係止させる構造であるため、目地形成材の抜けや外れが防止できる。
【0023】
請求項7に記載のコンロ付き調理台は、囲い枠のカバー部の先端に、トッププレートの端部の下側に折曲して延びる延出片を備えて、堤防部と延出片とでトッププレートの端部を挟持する構造としている。そのため、加熱調理器の開口部への挿嵌の前にあらかじめ囲い枠を調理器に組み付けておけばよく、効率的に作業を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態であるコンロ付き調理台の外観斜視図である。図3は、図2のA−A線矢視概略縦断面図である。図4(a)、(b)は、電気加熱調理器の取付に使用される部材の断面斜視図であり、図4(c)は電気加熱調理器とカウンターの位置関係を示した部分縦断面図である。
【0026】
このコンロ付き調理台1は、収納空間を有したキャビネット本体2の上に、電磁式加熱調理器10(以下、IH調理器という。)とシンク3とを近接に配置させたカウンター(天板)4を固着して構成されている。
【0027】
カウンター4は、人造大理石などの樹脂またはステンレスなどの金属で製され、カウンター4には平面視矩形の加熱調理器用の開口部5と、シンク3用の開口部が開設されている。カウンター4の上面4aには、IH調理器10とシンク3との間に調理スペース4bが形成されている。
【0028】
また、カウンター4の裏側には、加熱調理器用の開口部5の内周に沿って開口の内側にせり出すように、桟木40が固着されている(図3を参照)。この桟木40の開口部5側にせり出した部分には、IH調理器10が載置されている。なお、桟木40の代わりに、カウンター4の開口部5に段部を形成して、その上にIH調理器10を載置するようにしてもよい。
【0029】
IH調理器10は、筐体13内に加熱コイル12aなどを収容した本体部12と、筐体13のフランジ部13aの上に固定されたトッププレート11とを備えている。IH調理器10は、カウンター4の加熱調理器用の開口部5に落とし込まれトッププレート11の外周端11cが桟木(調理器支持部)40に支持されて、IH調理器10の上面11aとカウンター4の上面4aとがほぼ同一の高さとなるよう設置されている。IH調理器10が設置された状態では、カウンター4の開口部5には、IH調理器10のトッププレート11の上面11aが露出されている。
【0030】
トッププレート11は、結晶化ガラス等の透過性の耐熱絶縁材料により製され、その上面11aには、被加熱物を収容した鍋などを加熱コイル12aに対応した位置に載置させることができる。さらにトッププレート11には、手前側に操作パネル部11eが形成されている。なお、本実施形態では電磁式加熱調理器を例示したが、電気コンロも適用可能である。
【0031】
また、IH調理器10のトッププレート11の外周端11cには、囲い枠20が巻設されており、その囲い枠20の堤防部21がトッププレート11の上面11aよりもわずかに突出している。さらにその囲い枠20とカウンター4の開口端との間の隙間Sには、止水性を有したシール部30による目地が露出されている。
【0032】
図1は、IH調理器10のカウンター4への取付構造を示したコンロ付き調理台1の部分断面斜視図であり、本図および図2〜4を参照しながら、その取付構造について詳述する。
【0033】
IH調理器10のトッププレート11の外周端11cに取り付けられた囲い枠20は、ステンレスなどの金属よりなる。この囲い枠20は、トッププレート11の上面11a側から外方に向かって上昇する傾斜面21aを含んで、トッププレート11の角部11bを覆い隠すようにした堤防部21と、これに連なって下方に延びてトッププレート11の外周面を覆うカバー部22と、トッププレート11の端部11cの下側に折曲して延びる延出片23とより構成されている。なお、堤防部21は傾斜面21aを有さなくてもよく、トッププレート11の上面より、丸く盛り上げたものや、囲い枠20の厚み分だけが突出したものでもよい。
【0034】
また、筐体13のフランジ部13aは、一部がトッププレート11の裏面に固着され、一部が折曲された折曲部13bを有した構造となっている。このようにフランジ部13aに折曲部13bを設けることで、トッププレート11を嵩上げすることができる。トッププレート11の端部11cでは、その端部11c(外周面)を覆い隠すように、トッププレート11の端部11cと筐体13のフランジ部13aの折曲部13bとが、囲い枠20の堤防部21と延出片23とで挟み込まれた構造となっている。
【0035】
トッププレート11の囲い枠20が取り付けられた箇所では、調理器支持部40の上にパッキン35を介して、囲い枠20の延出片23と、折曲部13bによって厚みを増したフランジ部13aとが重なるように、トッププレート11が載せ置かれ支持されている。
【0036】
このように、IH調理器10を調理器支持部40に載せ置くようにしているため、IH調理器10は安定して開口部5に設置される。特に、本実施形態ではカウンター4の裏側に固着した桟木で調理器支持部40を構成しているため、カウンター4に載置用の段部を設ける必要がなく、簡易に調理器支持構造を構成できる。また、筐体13のフランジ部13aの折曲片13bとともにトッププレートを囲い枠20で挟持した構造であるため、トッププレート11の上面11aとカウンター4の上面4aとの高さ調整も容易に行える。
【0037】
囲い枠20のカバー部22の外周面20aと、開口部5の内周面5aとの間の目地用の隙間Sには、止水用のシール部30が形成されている。
【0038】
シール部30は、断面イ字形の目地形成材31と、その基部31bの周りに充填されたシール剤32とより形成されている。目地形成材31は、樹脂成形体よりなり、表面が傾斜した頭部31aと、頭部31aより下方に延びた基部31bとよりなり、全体が柔軟性を有している。頭部31aはカウンター上面4aに向かって降下傾斜した形状となっており、目地形成材31が隙間Sに挿填された状態では、その隙間Sを塞ぐように、頭部31aの上面が露出されている。
【0039】
ここで、目地形成材31は、頭部31aの最上端31aaが囲い枠20の堤防部21の上端21bを超えないように隙間Sに挿填されている。また目地形成材31の基部31bは、先端31cがIH調理器10側に曲がって、囲い枠20の延出片23の下側にもぐりこんでいる。目地形成材31は、隙間Sへの挿填時にトッププレート11の下方に入り込ませやすくするために、図4(b)に示すように、IH調理器10側にやや曲げた形状とすることが望ましい。
【0040】
また、調理器支持部40の上面の、目地用の隙間Sに対応した位置には、溝部41が形成されている。この溝部41の中は、目地形成材31で目地の形成作業をする際に注入しておいたペースト状のシール剤32の余剰液が入り込んで硬化した状態となっている。溝部41は、注入するシール剤32が流れ込みやすくなるように、すくなくとも隙間Sの下方に配置すればよいが、目地形成材31の種々の形状によって、目地形成材31の基部31bの先端31cの挿入を誘導しやすく、あるいは基部先端31cの係合の妨げとならない位置に設けることが望ましい(図1および後述する図9参照)。
【0041】
以上の実施形態に示したコンロ付き調理台1によれば、トッププレート11の外周端11cの上面11aから角部11bを覆う堤防部21を有した構造であるため、鍋から吹きこぼれた煮汁などをトッププレート11の端部11cで堰きとめることができる。
【0042】
図5(a)、(b)は、鍋などをトッププレート11の上面11aからカウンター4の調理スペース4bまでスライド移動させる際の移動状態を時系列に示した部分縦断面図である。
【0043】
鍋Nをトッププレート11より調理スペース4bの方向(矢印で示す方向)へスライド移動させようとすると、トッププレート11の端部11cでは鍋底Nbが囲い枠20の堤防部21の傾斜面21aに当たり、さらに移動させると鍋底Nbは堤防部21の上端21bに乗り上げ、図5(a)の状態となる。
【0044】
鍋底Nbを囲い枠20の堤防部21の上端21bに擦らせながら、さらに鍋Nをスライドさせて、鍋底Nbのスライド方向側の端部を調理スペース4bに当接させると、反対側の端部は、図5(b)に示すようにトッププレート11の上面11aから浮いた状態となる。鍋Nをさらに移動させてゆくと、鍋底Nb全体がカウンター4の調理スペース4b上に面接触した状態となる。
【0045】
このように、カウンター4の上面4aと、IH調理器10のトッププレート11の上面11aをほぼ同じ高さにしているため、全体としてフラットな調理台を構成でき、鍋Nなどを安定的に調理スペース4bへスライド移動できる。
【0046】
また、囲い枠20の外周面20aと、開口部5の内周面5aとの間の隙間Sには目地形成材31が挿填されているが、目地形成材31の頭部31aの上端31aaが堤防部21の上端21bを越えない位置に配されているため、図5に示したような鍋Nのスライド移動によっても、頭部21は傷つきにくい。特に目地形成材20の頭部21がカウンター4に向かって降下傾斜しているため、囲い枠20による段差を生じさせないように目地を形成でき、そのためカウンター面をよりフラットにでき、美観もよい。
【0047】
なお、シール部30の表面は、すくなくとも堤防部21の上端21bよりも低い位置に配されていれば、カウンター4に向かって降下傾斜したものでなくてもよい。例えば、堤防部21によって保護されるように、シール部30の上面をカウンター4の上面4aと面一にして、堤防部21との間でわずかな段差を形成してもよい。
【0048】
本実施形態では、カウンター4とトッププレート11の両上面4a,11aを同一の高さとしているが、スライド移動が可能な程度にトッププレート11の上面11aをやや高くしてもよい。その場合でも、隙間Sに形成するシール部30をカウンター4に向けて降下傾斜した形状とすることができ、それによってシール部30の表面は保護され得る。なお、トッププレート11の上面11aがカウンター4の上面4aよりもやや低くなってもよく、その場合には、シール部30の表面がカウンター4に向けて降下傾斜されるように、堤防部21を高くすればよい。
【0049】
以上のように、本発明のコンロ付き調理台1の構造によれば、目地形成材31は鍋底の擦れや、鍋などからの吹きこぼれによる熱湯や煮汁などの浸入などから好適に保護され得、そのためシール部30の磨耗を防止でき、シール部30のシール機能を長期にわたって維持できる。
【0050】
さらに、カウンター4とトッププレート11の境界部にわずかに突出した堤防部21が形成されているため、図5(b)のように、鍋Nを、その端を堤防部21に置いたままカウンター4に載せ置いて放置しておけば、鍋底Nbの下に空隙ができ、そのため鍋底Nbからカウンター4やシール部30への熱の影響を緩和できる。
【0051】
また、囲い枠20はトッププレート11を簡易に挟持できる構造であるため、IH調理器10を開口部5へ挿嵌するまえにあらかじめ囲い枠20をIH調理器10に組み付けておけば、IH調理器10のカウンター4への取付作業を効率的に行える。
【0052】
つぎに、IH調理器10のカウンター4の開口部5への取付手順について説明する。
【0053】
IH調理器10を開口部5に落とし込むまえに、トッププレート11に対してあらかじめ囲い枠20を嵌着しておくとともに、カウンター4の調理器支持部40の上にあらかじめパッキン材35を取り付けておく。そして、IH調理器10を開口部5に嵌め込んで、トッププレート11の外周側に均一な隙間Sが形成されるように、調理器支持部40の上に載置する。
【0054】
トッププレート11(囲い枠20)の外周側に均一な隙間Sを形成した後に、その隙間Sにペースト状のシール剤32を注入し、シール剤32が硬化するまえに、基部31bをシール剤32で埋まった隙間Sに差し入れながら、目地形成材31を全周にわたり挿填してゆく。このとき、目地形成材31の基部31bは、やや曲がった先端31cを調理器支持部40の上面の溝部41の開口部側に位置する上面に当ててさらに曲げることで、囲い枠20の延出片23と調理器支持部40との間に入り込ませることができる。
【0055】
シール剤32としては、一般的な常温硬化型の樹脂シール剤、樹脂接着剤などが使用され、カウンター4の素材である人造大理石などの樹脂および囲い枠20の素材である金属の両方に対し接着性の高いものを使用することが望ましい。
【0056】
なお、囲い枠20および目地形成材31は、美観上、トッププレート11の全周にわたり形成されることが望ましいが、すくなくともカウンター4の調理スペース4bとの境界辺のみに形成されるようにしてもよい。その場合、それらを形成しない箇所では、トッププレート11の外周面20aと開口部5の内周面5aとの間に、目地形成材31と同色のシール剤を充填することが望ましい。
【0057】
また、目地形成材は切れ目のない枠状(輪状)のものでもよく、枠状のものを隙間Sに対し上方より装着するようにしてもよい。目地形成材を枠状に形成することで、例えば次のような手順でもIH調理器10をカウンター4に組み付けることができる。
【0058】
すなわち、基部の先端がほぼ直角に折曲した枠状の目地形成材を、IH調理器10を開口部5に落とし込む前にセットしておき、その後、IH調理器10を、囲い枠20の延出片23で目地形成材の折曲した先端をIH調理器10の自重がかかるように押さえつけて、調理器支持部40に載せ置き、その後、シール剤を注入する。その場合、あらかじめ目地形成材の頭部にシール剤の注入開口を開けておけば、その開口よりペースト状のシール剤を流し込んで、周回に行き渡らせることができる。
【0059】
以上では、シール部30を目地形成材31とシール剤32とより構成したものを説明したが、図10のコンロ付き調理台の部分縦断面図に示すように、目地形成材を使用せず、ペースト状のシール剤32だけでシール部30を形成するようにしてもよい。その場合には、シール剤32を充填した後、スクレーパーなどで表面の余分なシール剤を削り取ることで、シール部30の目地面を、堤防部21の上端21bよりも低く、かつ表面をカウンター4側に降下した傾斜面に形成させることができる。表面を削って形成されたシール部30は、囲い枠20とカウンター4とのそれぞれの角部のアールによって断面略イ字形となっている。また、シール部30の目地面は、堤防部21の上端21bよりも低い、カウンター4とほぼ同一の平坦面としてもよい。なお図10において、図1と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0060】
図6〜9は、本発明のコンロ付き調理台の他の実施形態を示した、コンロ付き調理台の部分縦断面図である。各図において、図1の取付構造との差異についてのみ説明し、同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0061】
図6のコンロ付き調理台1では、目地形成材31の基部31bの先端31cが囲い枠20の延出片23の下方に挿着されていない。この構造によれば、図1にくらべて、目地形成材31の挿填作業が楽に行える。
【0062】
図7のコンロ付き調理台1では、目地形成材31は、カウンター4の開口内周面5aに向けて突出する係止爪31dを有しており、この係止爪31dをカウンター4の開口端5aに形成した係止部5bに係止させている。目地形成材31がカウンター4の開口端5bとの係合により係止される構造であるため、図1と同様、目地形成材31は外れにくい。また、目地形成材31の係止を確実にするために、基部31bと係止爪31dとを硬質樹脂で成形することが望ましい。
【0063】
図8のコンロ付き調理台1では、目地形成材31の係止爪31dがトッププレート11に向けて突出形成されており、係止爪31dは囲い枠20の延出片23に係止されている。目地形成材31を囲い枠20の延出片23で係止させる構造であるため、目地形成材31の外れにくい構造を簡易に構成できる。
【0064】
係止爪で目地形成材31の抜け防止構造を実現する構造としては、調理器支持部40の溝部41に係止部を形成して、係止爪を係止させるものでもよい。また、その他、カウンター4、IH調理器10、あるいは調理器支持部40を種々加工して、係止爪を係止させる係止部を設けてもよい。
【0065】
図9のコンロ付き調理台1は、囲い枠20が特徴を有している。すなわち、この囲い枠20はカバー部22から水平方向に延びる延出片を有しておらず、堤防部21とカバー部22とよりなる。囲い枠20が延出片を有さない構造であるため、IH調理器10を開口部5に嵌め入れてから、囲い枠20を後付けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態であるコンロ付き調理台における、電気加熱調理器のカウンターへの取付構造を示したコンロ付き調理台の部分断面斜視図である。
【図2】同コンロ付き調理台の外観斜視図である。
【図3】図2のA−A線矢視概略縦断面図である。
【図4】(a)、(b)は、電気加熱調理器の取付に使用される部材の断面斜視図であり、(c)は電気加熱調理器とカウンターの位置関係を示したコンロ付き調理台の部分縦断面図である。
【図5】(a)、(b)は、鍋のスライド移動における移動状態を時系列に示したコンロ付き調理台の部分縦断面図である。
【図6】本発明のコンロ付き調理台の他の実施形態を示した、コンロ付き調理台の部分縦断面図である。
【図7】本発明のコンロ付き調理台の他の実施形態を示した、コンロ付き調理台の部分縦断面図である。
【図8】本発明のコンロ付き調理台の他の実施形態を示した、コンロ付き調理台の部分縦断面図である。
【図9】本発明のコンロ付き調理台の他の実施形態を示した、コンロ付き調理台の部分縦断面図である。
【図10】本発明のコンロ付き調理台の他の実施形態(目地形成材を使用しないもの)を示した、コンロ付き調理台の部分縦断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 コンロ付き調理台
4 カウンター
4a カウンター上面
4b 調理スペース
5 開口部
5a 内周面
5b 係止部
10 IH調理器(電気加熱調理器)
11 トッププレート
11a 上面
11b 角部
11c 外周端
12 本体部
12a 加熱コイル
13 筐体
13a フランジ部
13b 折曲支持片
20 囲い枠
20a 外周面
21 堤防部
21a 傾斜面
21b 上端
22 カバー部
23 延出片
23a 外周面
S 隙間
30 シール部
31 目地形成材
31a 頭部
31aa 最上端
31b 基部
31c 先端
31d 係止爪
32 シール剤
35 パッキン
40 調理器支持部
41 溝部
N 鍋
Nb 鍋底

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンターに形成された開口部に、電気加熱調理器を嵌め込んで、装着したコンロ付き調理台において、
上記電気加熱調理器のトッププレートの外周端には、該トッププレートの上面から角部までを覆う堤防部と、これに連なって下方に延びて該トッププレートの外周面を覆うカバー部とを備えた囲い枠を取り付けてあり、
上記カウンターは、上記電気加熱調理器の外周端を下方より支持する調理器支持部を備え、該調理器支持部の上に、上記トッププレートの上面の高さが上記カウンターの上面と略同一になるように、上記電気加熱調理器が設置されており、
上記囲い枠の外周面と上記開口部のカウンター内周面との間の隙間に、上記囲い枠の堤防部の上端を超えないようにして表面を露出させたシール部が形成されていることを特徴とするコンロ付き調理台。
【請求項2】
請求項1において、
上記シール部は、その表面が上記カウンターの上面に向かって降下傾斜した形状となっているコンロ付き調理台。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記シール部は、上記隙間を塞ぐようにして露出される頭部と、該頭部より下方に延びて、上記隙間に差し込まれる基部とを備えた目地形成材を、該頭部が上記囲い枠の堤防部の上端よりも高くならないように上記隙間に挿填してシール剤で固着した構成としているコンロ付き調理台。
【請求項4】
請求項3において、
上記目地形成材の基部の先端が、上記囲い枠の延出片と上記調理器支持部との間に挿着されているコンロ付き調理台。
【請求項5】
請求項3または4において、
上記調理器支持部の上面の上記カウンターの開口部の隙間に対応した位置には、上記目地形成材を上記隙間に挿填する際に滴下するシール剤を受け止める溝部が形成されているコンロ付き調理台。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項において、
上記目地形成材は、上記カウンターの開口端に向けて突出する係止爪を有しており、この係止爪を上記カウンター、上記電気加熱調理器または上記調理器支持部に形成した係止部に係止させた構造にしているコンロ付き調理台。
【請求項7】
請求項1〜6において、
上記囲い枠は、上記カバー部の先端に、上記トッププレートの端部の下側に折曲して延びる延出片をさらに備えており、上記堤防部と上記延出片とで上記トッププレートの端部を挟持する構造としているコンロ付き調理台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−14297(P2010−14297A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172953(P2008−172953)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】