説明

コンロ前の仕切り

【課題】 ワークトップとレンジフードとの高さ方向の間隔が設計通りに施工されていなくても、レンジフードとの間に隙間を生じさせることなく取り付けることのできるコンロ前の仕切り。
【解決手段】 キッチンのコンロの前方においてワークトップ(10)とレンジフードとの間に取り付けられる本発明の仕切りは、矩形状の仕切り板(1)を囲むように保持する枠フレーム(2:2a,2b)と、枠フレームとワークトップとの間に介在して枠フレームの高さ位置を調整するための高さ調整部材と、高さ調整部材を覆うためのカバー部材(4:4a,4b)と、枠フレームをワークトップに取り付けるための取付け具と、枠フレームをレンジフードに連結するための連結具とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロ前の仕切りに関し、さらに詳細にはキッチンのコンロの前方においてワークトップとレンジフードとの間に取り付けられる仕切りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オープン型の対面キッチンでは、調理中にコンロ(例えばガスコンロのような調理用の加熱器具)の周辺から発生する油煙がダイニング側に流れ込むのを防ぐために、ワークトップとレンジフードとの間にコンロ前の仕切りが設けられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常のキッチン施工では、床の不陸や壁面の倒れなどが不可避的に発生する。このため、ワークトップとレンジフードとの高さ方向の間隔および水平方向(奥行き方向、左右方向)の位置関係は、設計通りになりにくい。
【0004】
従来技術では、固定的な高さ寸法を有する仕切りをワークトップに取り付けるため、レンジフードと仕切りとの間に隙間が生じやすい。また、ワークトップ上の固定された位置、すなわち設計上の位置に仕切りを取り付けると、レンジフードに取り付けられた連結具から仕切りが左右方向にはみ出したり、連結具を前方または後方へ無理に引っ張った状態で仕切りを取り付けたりすることになる。
【0005】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたものであり、ワークトップとレンジフードとの高さ方向の間隔が設計通りに施工されていなくても、レンジフードとの間に隙間を生じさせることなく取り付けることのできるコンロ前の仕切りを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明では、キッチンのコンロの前方においてワークトップとレンジフードとの間に取り付けられる仕切りであって、
矩形状の仕切り板を囲むように保持する枠フレームと、
前記枠フレームと前記ワークトップとの間に介在して前記枠フレームの高さ位置を調整するための高さ調整部材と、
前記高さ調整部材を覆うためのカバー部材とを備えていることを特徴とする仕切りを提供する。
【0007】
本発明の好ましい態様によれば、前記枠フレームを前記ワークトップに取り付けるための取付け具をさらに備え、前記ワークトップに対する前記取付け具の取付け位置が水平方向に調整可能に構成されている。この場合、前記取付け具は、鉛直方向に延びる支柱部材を有し、前記枠フレームは、前記支柱部材に対応して鉛直方向に延びる孔を有することが好ましい。
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記枠フレームを前記レンジフードに連結するための連結具をさらに備え、前記枠フレームの連結状態において、前記連結具の前面と前記枠フレームの前面とが整列し且つ前記連結具の後面と前記枠フレームの後面とが整列するように構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるコンロ前の仕切りでは、矩形状の仕切り板を囲むように保持する枠フレームとワークトップとの間に、枠フレームの高さ位置を調整するための高さ調整部材を介在させ、この高さ調整部材をカバー部材により覆う構成を採用している。したがって、ワークトップとレンジフードとの高さ方向の間隔が設計通りに施工されていなくても、高さ調整部材の作用により枠フレームの取付け高さ位置を現場で適宜調整して、レンジフードとの間に隙間を生じさせることなく仕切りを取り付けることができ、ひいては調理中にコンロの周辺から発生する油煙がダイニング側に流れ込むのを確実に防ぐことができる。
【0010】
なお、本発明では、枠フレームをワークトップに取り付けるための取付け具のワークトップに対する取付け位置が水平方向に調整可能に構成されていることが好ましい。この構成により、ワークトップとレンジフードとの水平方向の位置関係が設計通りに施工されていなくても、ワークトップに対する枠フレームの取付け位置を水平方向に沿って現場で適宜調整することにより、レンジフードに取り付けられた連結具から仕切りが左右方向にはみ出したり、連結具を前方または後方へ無理に引っ張った状態で仕切りを取り付けたりするような施工不良を確実に回避することができる。
【0011】
また、本発明では、取付け具が鉛直方向に延びる支柱部材を有し、枠フレームは支柱部材に対応して鉛直方向に延びる孔を有することが好ましい。この場合、高さ調整部材の作用により枠フレームの取付け高さ位置を調整する構成、およびワークトップに対する取付け具の取付け位置を水平方向に調整する構成を容易に実現することができる。
【0012】
また、本発明では、枠フレームをレンジフードに連結するための連結具の前面と枠フレームの前面とが整列するとともに、連結具の後面と枠フレームの後面とが整列するように構成されていることが好ましい。この構成により、例えばオープン型の対面キッチンの美観を損なうことなく、コンロ前の仕切りを付設することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかるコンロ前の仕切りの構成を概略的に示す図であって、(a)は正面図を、(b)は右側面図を示している。図1を参照すると、本実施形態の仕切りは、矩形状の仕切り板1と、仕切り板1を囲むように保持する枠フレーム2と、枠フレーム2の高さ位置を調整するための高さ調整部材(図1では不図示)3と、高さ調整部材3を覆うためのカバー部材4とを備えている。
【0014】
さらに、本実施形態の仕切りは、枠フレーム2をワークトップ10に取り付けるための取付け具(図1では不図示:後述の図2を参照)5と、枠フレーム2をレンジフード(図1では不図示:後述の図3を参照)11に連結するための連結具(図1では不図示:後述の図3を参照)6とを備えている。仕切り板1は、例えば透明または半透明なガラス板により構成されている。
【0015】
枠フレーム2は、仕切り板1を左右から挟み込む一対の縦フレーム2aと、仕切り板1を上下から挟み込む一対の横フレーム2bとにより構成されている。カバー部材4は、枠フレーム2の下側面(下側の横フレーム2bの下側面および縦フレーム2aの下端面)とワークトップ10の表面10aとの間の空間を前後方向から覆うための一対の前後カバー4aと、この空間を左右方向から覆うための一対のサイドキャップ4bとにより構成されている。
【0016】
図2は、枠フレームをワークトップに取り付けるための取付け具および枠フレームの高さ位置を調整するための高さ調整部材の構成を概略的に示す図である。図2を参照すると、取付け具5は、例えば、鉛直方向に延びる円柱状の支柱部材5aが設けられた支柱プレート5bと、支柱プレート5bをワークトップ10に取り付けるための一対のボルト5c、一対のボルト5cに共通のナット板5d、および一対のボルト5cに共通の固定板5eとを有する。支柱プレート5bには、一対のボルト5cに対応するように、一対のボルト孔5baがルーズホールの形態で設けられている。
【0017】
このように、一対のボルト5cと一対のルーズホール5baとの協働作用により、ワークトップ10に対する取付け具5の取付け位置(厳密には取付け具5の支柱部材5aの取付け位置)が水平方向(図2の紙面の奥行き方向、左右方向)に調整可能に構成されている。なお、図2では、前後方向に間隔を隔てて設けられた一対のボルト5cおよび一対のルーズホール5baのうち、一方のボルト5cおよび一方のルーズホール5baだけを図示している。
【0018】
枠フレーム2の縦フレーム2aには、支柱部材5aに対応して鉛直方向に延びる例えば円形状の挿入孔2aaが設けられている。挿入孔2aaは、支柱部材5aの外形寸法よりも僅かに大きい内形寸法を有する。したがって、取付け具5の支柱部材5aと縦フレーム2aの挿入孔2aaとが係合した状態では、取付け具5に対して枠フレーム2は鉛直方向(高さ方向)に自由に移動可能であるが、水平方向(奥行き方向、左右方向)に沿った取付け具5と枠フレーム2との位置関係は固定的になる。
【0019】
本実施形態の仕切りは、高さ調整部材として、枠フレーム2の下側の横フレーム2bとワークトップ10との間に設置された1つまたは複数のアジャスタ3を備えている。アジャスタ3は、周知の構成にしたがって、横フレーム2bの下端面に当接する支持プレート3aと、支持プレート3aに取り付けられたねじ部3bと、ねじ部3bと螺合するナット3cと、ねじ部3bが貫通する孔を有し且つナット3cを当接支持する基底部3dとを有する。したがって、アジャスタ3のナット3cを回転させることにより、支持プレート3aが上下方向に移動し、ひいては枠フレーム2の高さ位置が調整される。
【0020】
図3は、枠フレームをレンジフードに連結するための連結具の構成および連結動作を概略的に示す図である。連結具6は、図3の左図に示すように、前後面のうちの一方の面(図中右側の面)の方が他方の面(図中左側の面)よりも下方へ長く延びる断面形状を有する連結具本体6aと、レンジフード11の下端面11aに連結具本体6aを取り付けるための複数のビス6bとを備えている。連結具本体6aは、例えば横フレーム2bの左右方向の寸法に対応する長さを有し、枠フレーム2の取付け位置に対応する位置に取り付けられている。
【0021】
枠フレーム2は、前後のうちの一方の側(図中右側)において上側の横フレーム2bの面の方が縦フレーム2aの面よりも僅かに内側に位置し、他方の側(図中左側)において上側の横フレーム2bの面と縦フレーム2aの面とが整列するように構成されている。したがって、図3の右図に示すように、アジャスタ3の作用により枠フレーム2が上昇して上側の横フレーム2bが連結具本体6aに嵌合すると、この嵌合状態(連結状態)において、連結具本体6aの前面と枠フレーム2の前面とが整列し且つ連結具本体6aの後面と枠フレーム2の後面とが整列する。
【0022】
さらに詳細には、図3の右図に示す連結状態において、図中右側では、縦フレーム2aの面と連結具本体6aの面とが整列し、上側の横フレーム2bの面は連結具本体6aの面に覆われる。図3の右図に示す連結状態において、図中左側では、縦フレーム2aの面と上側の横フレーム2bの面と連結具本体6aの面とが整列する。こうして、例えば複数のビスにより連結具本体6aの図中右側の面と上側の横フレーム2bの図中右側の面とをねじ締結することにより、枠フレーム2が連結具6を介してレンジフード11に取り付けられる。
【0023】
本実施形態では、取付け具5の支柱部材5aと縦フレーム2aの挿入孔2aaとを係合させた状態で、ワークトップ10に対して取付け具5を仮に取り付ける。取付け具5の仮取付けに際し、例えばワークトップ10に予め形成された貫通孔にボルト5cを通し、ナット板5dにボルト5cを螺合させ、ボルト5cのヘッドを所要量だけ回転させる。
【0024】
また、例えば複数のビスにより、レンジフード11の下端面11aに連結具本体6aを取り付ける。その後、下側の横フレーム2bとワークトップ10との間に例えば一対のアジャスタ3を介在させ、ワークトップ10に対する取付け具5の支柱部材5aの取付け位置を水平方向に適宜調整しつつ、アジャスタ3の作用により枠フレーム2を上昇させて上側の横フレーム2bを連結具本体6aに嵌合させる。
【0025】
上側の横フレーム2bを連結具本体6aに嵌合させた状態で、例えば複数のビスにより連結具本体6aと上側の横フレーム2bとをねじ締結するとともに、ボルト5cを締め付けることによりワークトップ10に対して取付け具5を固定的に取り付ける。最後に、一対の前後カバー4aおよび一対のサイドキャップ4bを取り付ける。
【0026】
なお、上述に説明では、取付け具5をワークトップ10の表面に直接的に取り付け、アジャスタ3をワークトップ10の表面に直接的に載置している。しかしながら、これに限定されることなく、例えば枠フレーム2の全幅に沿って延びるベースプレートを取付け具5の支柱プレート5bおよびアジャスタ3とワークトップ10との間に介在させても良い。この場合、ベースプレートには、取付け具5の一対のルーズホール5baに対応して、一対のルーズホールが形成される。
【0027】
以上のように、本実施形態にかかるコンロ前の仕切りでは、矩形状の仕切り板1を囲むように保持する枠フレーム2とワークトップ10との間に、枠フレーム2の高さ位置を調整するための高さ調整部材3を介在させ、この高さ調整部材3をカバー部材4a,4bにより覆っている。その結果、ワークトップ10とレンジフード11との高さ方向の間隔が設計通りに施工されていなくても、高さ調整部材3の作用により枠フレーム2の取付け高さ位置を現場で適宜調整して、レンジフード11との間に隙間を生じさせることなく仕切りを取り付けることができ、ひいては調理中にコンロの周辺から発生する油煙がダイニング側に流れ込むのを確実に防ぐことができる。
【0028】
また、本実施形態では、枠フレーム2をワークトップ10に取り付けるための取付け具5のワークトップ10に対する取付け位置が水平方向に調整可能に構成されているので、ワークトップ10とレンジフード11との水平方向の位置関係が設計通りに施工されていなくても、ワークトップ10に対する枠フレーム2の取付け位置を水平方向に沿って現場で適宜調整することにより、レンジフード11に取り付けられた連結具6から仕切りが左右方向にはみ出したり、連結具6を前方または後方へ無理に引っ張った状態で仕切りを取り付けたりするような施工不良を確実に回避することができる。
【0029】
また、本実施形態では、取付け具5が鉛直方向に延びる支柱部材5aを有し、枠フレーム2の縦フレーム2aが支柱部材5aに対応して鉛直方向に延びる孔2aaを有するので、高さ調整部材3の作用により枠フレーム2の取付け高さ位置を調整する構成、およびワークトップ10に対する取付け具5の支柱部材5aの取付け位置を水平方向に調整する構成を容易に実現することができる。
【0030】
また、本実施形態では、枠フレーム2をレンジフード11に連結するための連結具6の連結具本体6aの前面と枠フレーム2の前面とが整列するとともに、連結具6の連結具本体6aの後面と枠フレーム2の後面とが整列するように構成されているので、例えばオープン型の対面キッチンの美観を損なうことなく、コンロ前の仕切りを付設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態にかかるコンロ前の仕切りの構成を概略的に示す図であって、(a)は正面図を、(b)は右側面図を示している。
【図2】枠フレームをワークトップに取り付けるための取付け具および枠フレームの高さ位置を調整するための高さ調整部材の構成を概略的に示す図である。
【図3】枠フレームをレンジフードに連結するための連結具の構成および連結動作を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 仕切り板
2 枠フレーム
2a 縦フレーム
2b 横フレーム
3 アジャスタ(高さ調整部材)
4 カバー部材
4a 前後カバー
4b サイドキャップ
5 取付け具
6 連結具
10 ワークトップ
11 レンジフード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチンのコンロの前方においてワークトップとレンジフードとの間に取り付けられる仕切りであって、
矩形状の仕切り板を囲むように保持する枠フレームと、
前記枠フレームと前記ワークトップとの間に介在して前記枠フレームの高さ位置を調整するための高さ調整部材と、
前記高さ調整部材を覆うためのカバー部材とを備えていることを特徴とする仕切り。
【請求項2】
前記枠フレームを前記ワークトップに取り付けるための取付け具をさらに備え、
前記ワークトップに対する前記取付け具の取付け位置が水平方向に調整可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の仕切り。
【請求項3】
前記取付け具は、鉛直方向に延びる支柱部材を有し、
前記枠フレームは、前記支柱部材に対応して鉛直方向に延びる孔を有することを特徴とする請求項2に記載の仕切り。
【請求項4】
前記枠フレームを前記レンジフードに連結するための連結具をさらに備え、
前記枠フレームの連結状態において、前記連結具の前面と前記枠フレームの前面とが整列し且つ前記連結具の後面と前記枠フレームの後面とが整列するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の仕切り。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−275221(P2008−275221A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−117808(P2007−117808)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000104973)クリナップ株式会社 (341)
【Fターム(参考)】