説明

コンロ用バーナ

【課題】バーナボディとバーナキャップとの一方に形成した環状壁の周方向1箇所に、点火電極とターゲットとの間のスパーク発生部が配置される、径方向内方に凹入する凹入部が形成されたコンロ用バーナにおいて、火移り性と点火性と熱分布とを全て良好にできるようにする。
【解決手段】凹入部62の径方向内方の壁部62aに、スパーク発生部32に正対する部分から周方向一方に離隔した部分と周方向他方に離隔した部分とに位置させて、スパーク発生部32に向けて混合気を噴出する一対の点火炎口63が形成される。また、凹入部62の周方向両側の壁部62bには、凹入部62に隣接する主炎口613から混合気が分流して噴出する火移り炎口64が形成され、更に、内方の壁部62aには、各点火炎口63から周方向各側の壁部62bに向けて伸びるスリット状の補助炎口65が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料ガスと一次空気との混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディ上に載置されるバーナキャップとを備えるコンロ用バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のコンロ用バーナとして、特許文献1により、バーナキャップの下面外周部にバーナボディの上面外周部に当接する環状壁を突設し、この環状壁に、周方向の間隔を存して混合気が噴出する多数の主炎口を形成すると共に、環状壁の周方向1箇所に、点火電極と点火電極の上方のターゲットとの間のスパーク発生部が配置される、径方向内方に凹入する凹入部を形成し、この凹入部の径方向内方の壁部に、混合気が噴出する点火炎口を形成し、凹入部の周方向両側の壁部に、凹入部に隣接する主炎口から混合気が分流して噴出する火移り炎口を形成したものが知られている。このものでは、点火炎口から噴出する混合気にスパーク発生部でのスパークにより点火されると、火移り炎口を介して主炎口にスムーズに火移りし、火移り性が良好になるとしている。
【0003】
ところで、上記従来例のものにおいて、点火炎口は、凹入部の径方向内方の壁部のスパーク発生部に正対する部分に形成されている。そして、点火炎口からの混合気の噴出速度が速くなると、点火性が悪化する(スパークによる混合気への点火がうまく行われなくなること)ため、点火炎口は小さく形成される。従って、点火炎口から噴出する混合気の燃焼で形成される点火炎は凹入部の外方までは伸びない。その結果、凹入部に合致する周方向位置では被加熱物を有効に加熱できなくなり、熱分布が悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−114308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、火移り性と点火性と熱分布とを全て良好にできるようにしたコンロ用バーナを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、燃料ガスと一次空気との混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディ上に載置されるバーナキャップとを備えるコンロ用バーナであって、バーナボディの上面外周部とバーナキャップの下面外周部との一方に他方に当接する環状壁が突設され、この環状壁に、周方向の間隔を存して混合気が噴出する多数の主炎口が形成されると共に、環状壁の周方向1箇所に、点火電極と点火電極の上方のターゲットとの間のスパーク発生部が配置される、径方向内方に凹入する凹入部が形成され、この凹入部の径方向内方の壁部に、混合気が噴出する点火炎口が形成され、凹入部の周方向両側の壁部に、凹入部に隣接する主炎口から混合気が分流して噴出する火移り炎口が形成されるものにおいて、凹入部の径方向内方の壁部に、周方向の間隔を存して一対の点火炎口が形成され、両点火炎口のうち周方向一方の点火炎口は、スパーク発生部に正対する部分から周方向一方に離隔した部分に、混合気が周方向他方に向かう方向成分を持って噴出するように形成され、両点火炎口から噴出する混合気がぶつかり合うようにしたことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、一対の点火炎口から噴出する混合気がぶつかり合って、混合気の一部が渦を巻くようにしてスパーク発生部に滞留する。従って、点火炎口を然程小さく形成しなくても、点火性は良好になる。そして、点火後は、一対の点火炎口から噴出する混合気の燃焼で形成される点火炎同士がぶつかり合うため、両点火炎が集合した火炎が凹入部の外方に伸びる。その結果、凹入部に合致する周方向位置でも被加熱物を有効に加熱でき、熱分布が良好になる。
【0008】
また、本発明において、両点火炎口のうち周方向他方の点火炎口は、スパーク発生部に正対する部分から周方向他方に離隔した部分に、混合気が周方向一方に向かう方向成分を持って噴出するように形成されることが望ましい。ここで、周方向他方の点火炎口は、スパーク発生部に正対する部分に、スパーク発生部に向けて径方向に真直に混合気を噴出するように形成することも可能である。但し、スパーク発生部に混合気を効果的に滞留させるには、上記の如く構成することが望ましい。即ち、上記の如く構成すれば、周方向一方の点火炎口からの混合気に周方向他方に向かう速度成分を与えるだけでなく、周方向他方の点火炎口からの混合気に周方向一方に向かう速度成分を与えて、両混合気を勢いよくぶつけ合わせることができる。その結果、スパーク発生部に混合気が効果的に滞留するようになり、点火性が一層向上する。
【0009】
尚、本発明では、凹入部の周方向中央部に点火炎が形成されるため、凹入部に隣接する主炎口への火移り性の悪化が懸念される。然し、凹入部内にその周方向両側の壁部に形成した火移り炎口から混合気が噴出して、点火炎からこの混合気を介して凹入部に隣接する主炎口から噴出する混合気に火移りするため、火移り性は悪化しない。
【0010】
但し、凹入部の周方向幅が広くなると、点火炎と火移り炎口との間の距離が長くなって、火移り炎口から噴出する混合気にうまく火移りしなくなることがある。また、点火炎口を比較的大きくすると、強火時に点火炎の吹き飛びを生じやすくなる。
【0011】
そのため、本発明においては、凹入部の径方向内方の壁部に、各点火炎口から凹入部の周方向各側の壁部に向けて細長くのびるスリット状の補助炎口が形成されることが望ましい。これによれば、凹入部の周方向幅が広くても、火移り炎口から噴出する混合気に補助炎口から噴出する混合気を介して確実に火移りし、火移り性が良好になる。更に、スリット状の補助炎口から低速で混合気が噴出するため、この混合気の燃焼で形成される炎により点火炎が保炎され、点火炎の吹き飛びが防止される。
【0012】
また、補助炎口を形成する場合、火移り炎口の径方向内方の端部が、凹入部の径方向内方の壁部に入り込んで補助炎口に連通するようにすれば、補助炎口から火移り炎口への火移り性が向上する。この場合、凹入部の径方向内方の壁部に、火移り炎口の径方向内方の端部と補助炎口との連通箇所において、火移り炎口よりも補助炎口の上下方向寸法を小さくすることで上下方向の段差が形成される。そして、この段差を径方向外方に向けて凹入部の周方向内方に傾斜させれば、火移り炎口への火移り性が一層向上する。
【0013】
尚、凹入部の周方向幅が狭く、補助炎口を形成しない場合であっても、火移り炎口の径方向内方の端部を凹入部の径方向内方の壁部に入り込ませるようにしてもよい。この場合、凹入部の径方向内方の壁部に、火移り炎口の径方向内方の端部の周方向端面となる上下方向の段差が形成されるが、この段差を径方向外方に向けて凹入部の周方向内方に傾斜させれば、火移り炎口の径方向内方の端部から点火炎口に向かう方向成分をもって混合気が噴出し、点火炎口から火移り炎口への火移り性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態のコンロ用バーナの斜視図。
【図2】図1のII−II線で切断した断面図。
【図3】実施形態のコンロ用バーナのバーナキャップを取外した状態の斜視図。
【図4】他の実施形態のコンロ用バーナの要部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、図2を参照して、1は、図示省略したコンロ本体内に設置されるバーナホルダを示しており、このバーナホルダ1により本発明の実施形態のコンロ用バーナAが支持される。バーナホルダ1は、台座部11と、台座部11の一端に立設した支柱部12と、支柱部12の上端から台座部11に対向するようにして張り出す支持筒部13と、支柱部12の中間から支持筒部13とは反対方向に張り出す電極取付部14とを有している。
【0016】
台座部11の上面には、支持筒部13の中心軸線上に位置するガスノズル2が取付けられている。そして、台座部11に形成したガス通路15を介してガスノズル2に燃料ガスが供給されるようにしている。また、電極取付部14には、これにねじ止めされる取付金具16によって点火電極3が固定されている。
【0017】
コンロ用バーナAは、バーナホルダ1で支持されるバーナボディ4と、バーナボディ4上に載置されるバーナキャップ5とを備えている。バーナボディ4は、円板状のベース部41と、ベース部41の上面中央部に突設した隆起部42と、ベース部41の下面中央部に垂設した垂下部43と、隆起部42及び垂下部43を貫通して上下に開口するスロート部44と、ベース部41の上面外周部に突設した環状壁6とを有している。そして、垂下部43をバーナホルダ1の支持筒部13に内嵌させることにより、ガスノズル2とスロート部44とが同一軸線上に位置するように、バーナボディ4がバーナホルダ1に芯決めされた状態で支持される。
【0018】
また、支持筒部13の上端部の周方向1箇所に切欠き13aを形成すると共に、垂下部43の上端部の周囲1箇所に突起43aを形成している。そして、この突起43aを切欠き13aに係合させることで、バーナボディ4が位相決めされるようにしている。
【0019】
バーナキャップ5は円板状に形成されており、その下面中央部には、隆起部42の上端面に所定の隙間を存して対向する裏板51が取付けられている。裏板51の外周には、周方向の間隔を存して複数の芯決め片52が垂設されている。そして、これら芯決め片52の下端部を隆起部42の外周面に当接させることでバーナキャップ5がバーナボディ4に対し芯決めされ、バーナキャップ5の下面外周部がバーナボディ4の環状壁6の上端面に当接するようにしている。
【0020】
尚、バーナキャップ5への裏板51の固定は、裏板51に形成した上方への凸出し部53をバーナキャップ5の下面に形成した凹孔に嵌合させた状態で、凸出し部53をバーナキャップ5に溶接することで行われる。
【0021】
ここで、ガスノズル2から燃料ガスを噴出すると、スロート部44の上端開口から流出するガス流が裏板51の下面に当たって径方向に広がり、所謂ラジアルベンチュリー効果を生じて、スロート部44の下端開口から一次空気が吸い込まれる。これにより、燃料ガスと一次空気との混合気がスロート部44を介してバーナボディ4に供給される。バーナボディ4に供給された混合気は、環状壁6に形成した後述する炎口から噴出して燃焼し、図示省略したコンロ天板上の五徳に載置する被加熱物が加熱される。
【0022】
環状壁6には、周方向の間隔を存して多数の主炎口61が形成されると共に、点火電極3と同一方位に位置する環状壁6の周方向1箇所には、径方向内方に凹入する凹入部62が形成されている。凹入部62の径方向内方の壁部62aの周方向中央部分の上端部には、点火電極3の上方に対向するターゲット31が突設されている。そして、点火電極3とターゲット31との間のスパーク発生部32が凹入部62に配置されるようにしている。
【0023】
図3を参照して、主炎口61は、環状壁6の上端から下方に窪む溝で構成されている。主炎口61には、溝深さの大きな大炎口611と、溝深さの小さな小炎孔612と、溝深さが大炎口611と小炎口612の中間の中炎口613との3種類の炎口がある。ここで、五徳は複数(例えば、4個)の五徳爪を具備しており、これら五徳爪に火炎が触れると不完全燃焼する。これら五徳爪と同一方位に位置する環状壁6の箇所は、凹入部62とそれ以外の3箇所であり、これら3箇所には、連続して3つの小炎口612を形成して、火炎が五徳爪に触れないようにしている。また、五徳爪間に位置する環状壁6の部分には、大炎口611と小炎口612とを交互に形成し、大炎口611に生ずる大きな火炎が小炎口612に生ずる小さな火炎で保炎されるようにしている。また、凹入部62に隣接する主炎口61は中炎口613としている。
【0024】
凹入部62の径方向内方の壁部62aには、周方向の間隔を存して一対の点火炎口63,63が形成されている。そして、周方向一方(図3で右方)の点火炎口63は、スパーク発生部32に正対する部分(スパーク発生部32と同一の周方向位置となる凹入部62の周方向中央部分)から周方向一方に離隔した部分に、混合気が周方向他方(図3で左方)に向かう方向成分を持って噴出するように形成されている。また、周方向他方(図3で左方)の点火炎口63は、スパーク発生部32に正対する部分から周方向他方に離隔した部分に、混合気が周方向一方(図3で右方)に向かう方向成分を持って噴出するように形成される。
【0025】
より具体的に説明すれば、図3で右方の点火炎口63は、その径方向内端とバーナボディ4の中心とを結ぶ放射方向の線に対し左方に傾いており、図3で左方の点火炎口63は、その径方向内端とバーナボディ4の中心とを結ぶ放射方向の線に対し右方に傾いている。そして各点火炎口63の放射方向の線に対する傾き角度は、両点火炎口63,63から噴出する混合気がスパーク発生部32又はその近傍でぶつかり合うように設定される。
【0026】
尚、各点火炎口63は、前記壁部62aの上端から下方に窪む溝で構成されている。ここで、壁部62aの上端部に突設したターゲット31の下面よりも下方に混合気が噴出されるように、図2に示す如く、点火炎口63の径方向外端の溝深さをターゲット31の下面よりも深くすることが必要になる。この場合、点火炎口63の径方向内端の溝深さを径方向外端の溝深さと同一にしたのでは、点火炎口63から噴出する混合気の流速が速くなり過ぎて、点火性が悪くなる。そこで、点火炎口63の径方向内端の溝深さを径方向外端の溝深さより浅くし、混合気の流速が過度に速くなることを防止している。
【0027】
また、凹入部62の周方向両側の壁部62bには、凹入部62に隣接する主炎口61たる中炎口613から混合気が分流して噴出する火移り炎口64が形成されている。具体的には、凹入部62と中炎口613とを仕切る壁部62bの上端に下方に窪む段部64aを形成し、この段部64aとバーナキャップ5との間に生ずる隙間で火移り炎口64を構成している。
【0028】
更に、凹入部62の径方向内方の壁部62aには、各点火炎口63から凹入部62の周方向各側の壁部62bに向けて細長くのびるスリット状の補助炎口65が形成されている。具体的には、壁部62aの上端に、各点火炎口65から壁部62bに達するように、前記段部64aよりも浅い段部65aを形成し、この段部65aとバーナキャップ5との間に生ずる隙間で補助炎口65を構成している。
【0029】
本実施形態によれば、一対の点火炎口63,63から噴出する混合気がぶつかり合って、混合気の一部が渦を巻くようにしてスパーク発生部32に滞留する。従って、点火炎口63を然程小さく形成しなくても、スパーク発生部32に生ずるスパークで混合気に確実に点火し、点火性は良好になる。そして、点火後は、一対の点火炎口63,63から噴出する混合気の燃焼で形成される点火炎同士がぶつかり合うため、両点火炎が集合した火炎が凹入部62の外方に伸びる。
【0030】
ここで、凹入部62は、五徳爪と同一方位に位置しており、熱分布を良好にする上で、凹入部62の外方にのびる火炎の長さは、主炎口61のうちの小炎口612に形成される火炎の長さと同程度であれば足りる。従って、点火炎口63からの混合気の噴出量を点火性に悪影響が及ぶ程多くする必要はなく、点火性と熱分布を共に良好にすることができる。
【0031】
尚、凹入部62の周方向中央部に点火炎が形成されるため、凹入部62に隣接する主炎口61たる中炎口613への火移り性の悪化が懸念される。然し、本実施形態では、凹入部62の周方向両側の壁部62bに火移り炎口64が形成されると共に、凹入部62の径方向内方の壁部62aに補助炎口65が形成されるため、補助炎口65から噴出する混合気に点火炎から火移りし、この炎が火移り炎口64から噴出する混合気に火移りして、中炎口613から噴出する混合気に確実に火移りする。従って、火移り性も良好になる。
【0032】
また、点火炎口63は、点火炎が凹入部62の外方に伸びるようにある程度以上の大きさにする必要があり、強火時に点火炎の吹き飛びを生ずることが懸念される。然し、本実施形態では、スリット状の補助炎口65から低速で混合気が噴出するため、この混合気の燃焼で形成される炎により点火炎が保炎され、点火炎の吹き飛びを防止することができる。
【0033】
ところで、上記実施形態では、火移り炎口64の径方向内方の端部が補助炎口65から離れているが、図4に示す実施形態の如く、火移り炎口64の径方向内方の端部が、凹入部62の径方向内方の壁部62aに入り込んで補助炎口65に連通するようにしてもよい。これによれば、補助炎口65から火移り炎口64への火移り性が向上し、点火時の火力を比較的弱くしても、火移り炎口64から噴出する混合気に確実に火移りする。
【0034】
尚、この場合には、凹入部62の径方向内方の壁部62aに、火移り炎口64の径方向内方の端部と補助炎口65との連通箇所において、火移り炎口64よりも補助炎口65の上下方向寸法を小さくすることで上下方向の段差64bが形成される。そして、この段差64bを、図4に示す如く、径方向外方に向けて凹入部62の周方向内方に傾斜させれば、補助炎口65からの噴出混合気に交差するように火移り炎口64の径方向内方の端部から混合気が噴出して、火移り炎口64への火移り性が一層向上する。
【0035】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。具体的に説明すれば、両点火炎口63,63のうちの一方、例えば図3、図4で左方の点火炎口63を、スパーク発生部32に正対する部分或いはその近傍に、混合気が径方向に真直に噴出するように形成し、左方の点火炎口63からの混合気に右方の点火炎口63からの混合気が左方への速度成分を持ってぶつかるようにすることも可能である。但し、上記実施形態では、右方の点火炎口63からの混合気に左方への速度成分を与えると共に、左方の点火炎口63からの混合気に右方への速度成分を与えて、両混合気を勢いよくぶつけ合わせることができ、スパーク発生部32に効果的に混合気が滞留する。従って、点火性を可及的に向上させるには、上記実施形態の方が好ましい。また、ターゲット31は、バーナキャップ5に形成してもよい。
【0036】
また、凹入部62の周方向幅が狭い場合には、凹入部62の周方向各側の壁部62bに形成した火移り炎口64から噴出する混合気に点火炎から直接火移りするため、補助炎口65は省略してもよい。この場合、図4の実施形態と同様に、火移り炎口64の径方向内方の端部を凹入部62の径方向内方の壁部62aに入り込ませてもよい。尚、このようにすると、凹入部62の径方向内方の壁部62aに、火移り炎口64の径方向内方の端部の周方向端面となる、図4の段差64bに相当する上下方向の段差が形成される。そして、この段差を径方向外方に向けて凹入部62の周方向内方に傾斜させれば、火移り炎口64の径方向内方の端部から点火炎口63に向かう方向成分をもって混合気が噴出する。そのため、点火時の火力が弱く、点火炎口63から噴出する混合気の燃焼で形成される点火炎の大きさが、火移り炎口64の径方向内方の端部以外の部分から噴出する混合気が接触不能となるほど小さくなっても、火移り炎口64の径方向内方の端部から噴出する混合気が点火炎に触れて火移りし、点火炎口63から火移り炎口64への火移り性が向上する。
【0037】
また、上記実施形態では、バーナボディ4の上面外周部に、バーナキャップ5の下面外周部に当接する環状壁6を突設しているが、バーナキャップ5の下面外周部にバーナボディ4の上面外周部に当接する環状壁を形成し、この環状壁に主炎口、凹入部、点火炎口、火移り炎口及び補助炎口を形成することも可能である。更に、上記実施形態では、混合管を設けずに、バーナボディ4にラジアルベンチュリー効果で混合気を供給するようにしているが、バーナボディに混合管を介して混合気を供給するバーナにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0038】
A…コンロ用バーナ、3…点火電極、31…ターゲット、32…スパーク発生部、4…バーナボディ、5…バーナキャップ、6…環状壁、61…主炎口、62…凹入部、62a…径方向内方の壁部、62b…周方向両側の壁部、63…点火炎口、64…火移り炎口、64b…段差、65…補助炎口。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと一次空気との混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディ上に載置されるバーナキャップとを備えるコンロ用バーナであって、バーナボディの上面外周部とバーナキャップの下面外周部との一方に他方に当接する環状壁が突設され、この環状壁に、周方向の間隔を存して混合気が噴出する多数の主炎口が形成されると共に、環状壁の周方向1箇所に、点火電極と点火電極の上方のターゲットとの間のスパーク発生部が配置される、径方向内方に凹入する凹入部が形成され、この凹入部の径方向内方の壁部に、混合気が噴出する点火炎口が形成され、凹入部の周方向両側の壁部に、凹入部に隣接する主炎口から混合気が分流して噴出する火移り炎口が形成されるものにおいて、
凹入部の径方向内方の壁部に、周方向の間隔を存して一対の点火炎口が形成され、両点火炎口のうち周方向一方の点火炎口は、スパーク発生部に正対する部分から周方向一方に離隔した部分に、混合気が周方向他方に向かう方向成分を持って噴出するように形成され、両点火炎口から噴出する混合気がぶつかり合うようにしたことを特徴とするコンロ用バーナ。
【請求項2】
前記両点火炎口のうち周方向他方の点火炎口は、前記スパーク発生部に正対する部分から周方向他方に離隔した部分に、混合気が周方向一方に向かう方向成分を持って噴出するように形成されることを特徴とする請求項1記載のコンロ用バーナ。
【請求項3】
前記凹入部の径方向内方の壁部に、前記各点火炎口から凹入部の周方向各側の壁部に向けて細長くのびるスリット状の補助炎口が形成されることを特徴とする請求項1又は2記載のコンロ用バーナ。
【請求項4】
請求項3記載のコンロ用バーナであって、前記火移り炎口の径方向内方の端部は、前記凹入部の径方向内方の壁部に入り込んで前記補助炎口に連通することを特徴とするコンロ用バーナ。
【請求項5】
請求項4記載のコンロ用バーナであって、前記凹入部の径方向内方の壁部に、前記火移り炎口の径方向内方の端部と前記補助炎口との連通箇所において、火移り炎口よりも補助炎口の上下方向寸法を小さくすることで上下方向の段差が形成され、この段差は、径方向外方に向けて凹入部の周方向内方に傾斜することを特徴とするコンロ用バーナ。
【請求項6】
請求項1又は2記載のコンロ用バーナであって、前記火移り炎口の径方向内方の端部は、前記凹入部の径方向内方の壁部に入り込み、当該壁部に、火移り炎口の径方向内方の端部の周方向端面となる上下方向の段差が形成され、この段差は、径方向外方に向けて凹入部の周方向内方に傾斜することを特徴とするコンロ用バーナ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−122713(P2012−122713A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226408(P2011−226408)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】