説明

コンロ用バーナ

【課題】鋳造品又は鍛造品から成るバーナヘッド3とバーナキャップ4との間の外周部分に、五徳の五徳爪と同一方位に位置する五徳合致部分5の間に位置させて、上下方向に細長いスリット炎口6を形成するコンロ用バーナであって、鋳造後や鍛造後の切削加工を要することなく上下方向長さが十分なスリット炎口を形成でき、且つ、火移り性も良好なものを提供する。
【解決手段】バーナヘッド3の上面外周部に立設するヘッド側環状壁32に、鋳造時又は鍛造時にスリット炎口6の下半部を構成する炎口溝6aを成形し、バーナキャップ4の下面外周部に垂設するキャップ側環状壁42に、鋳造時又は鍛造時にスリット炎口6の上半部を構成する炎口溝6bを成形する。また、五徳合致部分5では、ヘッド側環状壁32の端面とキャップ側環状壁42の端面との間に火移り炎口8が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンロに設けられるコンロ用バーナに関し、更に詳細には、燃料ガスと一次空気との混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディ上に設置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナヘッドと、バーナヘッド上に設置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナキャップとを備えるコンロ用バーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンロ用バーナとして、バーナキャップを板金製とし、その外周面に、コンロの天板上に載置する五徳の複数の五徳爪と同一方位に位置する複数の五徳合致部分の間に位置させて、混合気が噴出する上下方向に細長いスリット炎口を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、炎口をスリット炎口にすれば、混合気の噴出速度が低下する弱火時に生じやすい逆火を防止できる。
【0003】
また、上記バーナにおいて、五徳合致部分は、五徳爪に火炎が触れて不完全燃焼することを防止するために、炎口を形成しない無炎口部としている。然し、これでは、点火時に五徳合致部分の周方向一側のスリット炎口から周方向他側のスリット炎口にうまく火移りしなくなる。
【0004】
この場合、五徳合致部分に、その周方向両側のスリット炎口を結ぶ周方向に長手の火移り炎口を形成して、点火時の火移り性を良好にすることも考えられる。然し、板金製のバーナキャップにこのような火移り炎口を形成すると、五徳合致部分が他の部分から舌片状に切り離されて、燃焼時の熱で五徳合致部分がめくれ上がるように熱変形してしまうため、実現不可能である。
【0005】
ところで、コンロ用バーナにおいては、一般的に、バーナヘッドとバーナキャップの両者を鋳造品又は鍛造品から成るものとしている。そして、このようなバーナでは、バーナヘッドの上面外周部とバーナキャップの下面外周部との一方に他方に当接する環状壁を設け、この環状壁に形成した炎口溝で炎口を構成しており、この炎口を上下方向に細長いスリット炎口とすることも考えられている。
【0006】
ここで、鋳造時や鍛造時に成形可能な炎口溝の深さは、溝幅が狭くなる程浅くなる。そして、溝深さが浅ければ、弱火時の逆火は防止できても、炎口溝で構成されるスリット炎口の上下方向長さが不足して、強火時に所要の大流量で混合気を噴出できなくなる。そこで、スリット炎口の上下方向長さが不足しないように、鋳造後や鍛造後に切削加工で溝幅が狭く溝深さが深い炎口溝を形成することも考えられる。然し、これでは、切削加工に手間がかかり、コストアップを招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−304213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上の点に鑑み、バーナヘッド及びバーナキャップの鋳造後や鍛造後の切削加工を要することなく上下方向長さが十分なスリット炎口を形成でき、且つ、火移り性も良好なコンロ用バーナを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、コンロに設けられるコンロ用バーナであって、燃料ガスと一次空気との混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディ上に設置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナヘッドと、バーナヘッド上に設置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナキャップとを備え、バーナヘッドとバーナキャップとの間の外周部分に、コンロの天板上に載置する五徳の複数の五徳爪と同一方位に位置する複数の五徳合致部分の間に位置させて、混合気が噴出する上下方向に細長いスリット炎口が形成されるものにおいて、上記課題を解決するために、以下の如く構成したことを特徴とする。
【0010】
即ち、本発明は、バーナヘッドの上面外周部に上方にのびるヘッド側環状壁が立設され、バーナキャップの下面外周部に下方にのびるキャップ側環状壁が垂設され、ヘッド側環状壁は、バーナヘッドの鋳造時又は鍛造時に成形されたスリット炎口の下半部を構成する炎口溝を有し、キャップ側環状壁は、バーナキャップの鋳造時又は鍛造時に成形されたスリット炎口の上半部を構成する炎口溝を有し、また、各五徳合致部分では、ヘッド側環状壁の端面とキャップ側環状壁の端面との間に、各五徳合致部分の周方向一側のスリット炎口から周方向他側のスリット炎口に火移りさせる火移り炎口が設けられるか、或いは、ヘッド側環状壁とキャップ側環状壁との一方の環状壁を切欠いて、この切欠いた部分に挿入されるように他方の環状壁を上下方向に延長し、他方の環状壁の延長した部分の端面と一方の環状壁の切欠いた部分の底面との間に、各五徳合致部分の周方向一側のスリット炎口から周方向他側のスリット炎口に火移りさせる火移り炎口が設けられることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ヘッド部側とキャップ側の各環状壁の炎口溝は、鋳造時又は鍛造時に成形されるため、個々の炎口溝の溝深さは十分に深くできないが、ヘッド部側とキャップ側の両環状壁の炎口溝でスリット炎口が構成されるため、スリット炎口の上下方向長さは十分に確保できる。そのため、弱火時の逆火を防止して、且つ、強火時に所要の大流量で混合気を噴出でき、その結果、バーナの燃焼量調整幅(TDR)が広くなり、コンパクトで大能力のバーナが得られる。そして、鋳造後や鍛造後の炎口溝の切削加工が不要になるため、コストダウンを図ることができる。
【0012】
また、本発明では、五徳合致部分に火移り炎口が設けられるため、点火時に五徳合致部分の周方向一側のスリット炎口から周方向他側のスリット炎口に火移り炎口を介して確実に火移りし、火移り性も良好になる。
【0013】
尚、五徳合致部分において、ヘッド側環状壁とキャップ側環状壁との一方の環状壁を切欠いて、この切欠いた部分に挿入されるように他方の環状壁を上下方向に延長したものでは、以下の利点もある。即ち、一方の環状壁の切欠いた部分に他方の環状壁の延長した部分が挿入される位相でなければ、バーナキャップがバーナヘッドから浮き上がってしまうため、バーナキャップの誤セットを防止できる。更に、前記一方の環状壁がヘッド側環状壁であり、前記他方の環状壁がキャップ側環状壁である場合には、火移り炎口の位置が可及的に低くなり、火移り炎口の火炎が五徳爪に触れることを確実に防止できる。
【0014】
また、バーナボディとバーナヘッドとの間の外周部分に、混合気が噴出する下部炎口が形成される場合、バーナヘッドとバーナキャップとの間の外周部分に形成される炎口(上部炎口)が下部炎口の火炎によって加熱されて、上部炎口での逆火を生じやすくなる。然し、本発明では、上部炎口がスリット炎口で構成されることになり、逆火を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本願発明の第1実施形態のコンロ用バーナを具備するコンロの断面図。
【図2】第1実施形態のコンロ用バーナの斜視図。
【図3】第1実施形態のコンロ用バーナのバーナヘッドとバーナキャップの側面図。
【図4】図3のIV−IV線で切断した断面図。
【図5】図3のV−V線で切断した断面図。
【図6】(a)第1実施形態のコンロ用バーナのバーナキャップの要部の斜め下方から見た斜視図、(b)第1実施形態のコンロ用バーナのバーナヘッドの要部の斜め上方から見た斜視図。
【図7】第2実施形態のコンロ用バーナのバーナヘッドとバーナキャップの側面図。
【図8】図7のVIII−VIII線で切断した断面図。
【図9】(a)第2実施形態のコンロ用バーナのバーナキャップの要部の斜め下方から見た斜視図、(b)第2実施形態のコンロ用バーナのバーナヘッドとバーナキャップの要部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、Aはコンロ本体、Bはコンロ本体Aの上面を覆う天板であり、天板Bに開設したバーナ用開口B1に臨ませてコンロ用バーナ1が設置されている。また、天板B上には、バーナ用開口B1を囲うようにして五徳Cが載置される。そして、五徳Cに載置する調理容器がバーナ1で加熱される。尚、五徳Cは、環状の五徳枠C1と、五徳枠C1に放射状に取付けた複数の五徳爪C2とで構成される。
【0017】
バーナ1は、バーナ用開口B1に挿通される板金製のバーナボディ2と、バーナボディ2上に設置される真鍮等の金属の鋳造品又は鍛造品から成るバーナヘッド3と、バーナヘッド3上に設置される真鍮等の金属の鋳造品又は鍛造品から成るバーナキャップ4とを備えている。図2に示す如く、バーナヘッド3とバーナキャップ4との間の外周部分には、五徳Cの複数の五徳爪C2と同一方位に位置する複数の五徳合致部分5の間に位置させて、上部炎口たる上下方向に細長いスリット炎口6が周方向の間隔を存して複数形成され、バーナボディ2とバーナヘッド3との間の外周部分には、下部炎口7が周方向の間隔を存して複数形成されている。
【0018】
バーナボディ2は、外側の筒体21と中間の筒体22と内側の筒体23との内外3重の筒体で構成されている。バーナヘッド3は、平面視環状であって、内周にバーナボディ2の中間筒体22に嵌合する筒部31が垂設されると共に、上面外周部に上方にのびるヘッド側環状壁32が立設され、更に、下面外周部に下方にのびてバーナボディ2の外側筒体21の上端部に着座する下環状壁33が垂設されている。また、バーナキャップ4は、平面視円板状であって、下面中央寄りの部分にバーナボディ2の内側筒体23に嵌合する筒部41が垂設されると共に、下面外周部に下方にのびるキャップ側環状壁42が垂設されている。
【0019】
図3、図4を参照して、五徳合致部分5以外の部分では、ヘッド側環状壁32の端面とキャップ側環状壁42の端面とが当接している。そして、ヘッド側環状壁32に、バーナヘッド3の鋳造時又は鍛造時にスリット炎口6の下半部を構成する炎口溝6aを成形すると共に、キャップ側環状壁42に、バーナキャップ4の鋳造時又は鍛造時にスリット炎口6の上半部を構成する炎口溝6bを成形している。一方、各五徳合致部分5では、図5に示す如く、ヘッド側環状壁32の端面とキャップ側環状壁42の端面とが上下方向の隙間を存して対向し、この隙間で五徳合致部分5の周方向両側のスリット炎口6,6を結ぶ周方向に長手の火移り炎口8が構成される。また、バーナヘッド3の下環状壁33には、バーナヘッド3の鋳造時又は鍛造時に下部炎口6Lを構成する炎口溝が成形される。
【0020】
尚、バーナキャップ4は、ヘッド側環状壁32の炎口溝6aとキャップ側環状壁42の炎口溝6bとが上下に連続する正規位相でバーナヘッド3にセットする必要がある。そこで、キャップ側環状壁42に、図6(a)に示す如く、一つの五徳合致部分5に位置させて、下方に突出する凸部42aを形成すると共に、ヘッド側環状壁32に、図6(b)に示す如く、上記一つの五徳合致部分5に位置させて、下方に窪む凹部32aを形成している。そして、凸部42aを凹部32aに嵌合させることにより、バーナヘッド3に対しバーナキャップ4が正規位相に位相決めされるようにしている。
【0021】
図2を参照して、バーナ1は、更に、バーナボディ2の中間筒体22と内側筒体23との間の空間に連通する第1混合管9と、バーナボディ2の外側筒体21と中間筒体22との間の空間に連通する第2混合管9とを備える。そして、第1と第2の各混合管9,9の上流端に臨ませて配置した各ノズル(図示せず)から噴出される燃料ガスと一次空気とが各混合管9,9内で混合され、第1混合管9からの混合気がバーナボディ2の中間筒体22と内側筒体23との間の空間及びバーナヘッド3とバーナキャップ4との間の空間を介してスリット炎口6及び火移り炎口8から噴出し、第2混合管9からの混合気がバーナボディ2の外側筒体21と中間筒体22との間の空間及び外側筒体21とバーナヘッド3との間の空間を介して下部炎口7から噴出するようにしている。
【0022】
尚、バーナボディ2の外側筒体21には、その上端部外周から下方にのびるスカート部21aが設けられている。そして、スカート部21aに、天板Bのバーナ用開口B1を覆うカバーリングDを外挿し、バーナ用開口B1からの煮こぼれ汁の侵入をカバーリングDにより防止できるようにしている。また、五徳Cの五徳枠C1の内周の周方向1箇所又は複数箇所に突起C3を設けると共に、カバーリングDの外周に突起C3が嵌合する切欠きD1を形成して、五徳Cを位相決めできるようにしている。
【0023】
ところで、下部炎口7と上部炎口とを備えるバーナでは、下部炎口7の火炎によって上部炎口が加熱され、上部炎口からの混合気の噴出速度が低下する弱火時に逆火しやすくなる。然し、本実施形態の如く、上部炎口を上下方向に細長いスリット炎口6とすれば、スリット炎口6が発揮する消炎作用により逆火を効果的に防止できる。
【0024】
ここで、ヘッド部側とキャップ側の各環状壁32,42の炎口溝6a,6bは、溝幅が狭いため、鋳造時や鍛造時に成形可能な炎口溝6a,6bの溝深さが制限される。然し、本実施形態では、ヘッド部側とキャップ側の両環状壁32,42の炎口溝6a,6bでスリット炎口6が構成されるため、スリット炎口6の上下方向長さは十分に確保できる。そのため、弱火時の逆火を防止して、且つ、強火時に所要の大流量で混合気を噴出でき、その結果、バーナ1の燃焼量調整幅(TDR)が広くなり、コンパクトで大能力のバーナ1が得られる。そして、鋳造後や鍛造後の炎口溝6a,6bの切削加工が不要になるため、コストダウンを図ることができる。
【0025】
更に、本実施形態では、五徳合致部分5に火移り炎口8が設けられるため、点火時に五徳合致部分5の周方向一側のスリット炎口6から周方向他側のスリット炎口6に火移り炎口8を介して確実に火移りし、火移り性も良好になる。また、火移り炎口8は、バーナヘッド3とバーナキャップ4との間の上下方向中間に位置して、五徳爪C2から下方に離れるため、火移り炎口8の火炎が五徳爪C2に触れることを効果的に防止できる。
【0026】
次に、図7乃至図9に示す第2実施形態について説明する。第2実施形態の基本的な構成は上記第1実施形態と特に異ならず、第1実施形態と同様の部材、部位に上記と同一の符号を付している。第2実施形態の第1実施形態との相違点は、各五徳合致部分5において、ヘッド側環状壁32を切欠いて、この切欠いた部分(切欠き部分)32bに挿入されるようにキャップ側環状壁42を下向に延長し、キャップ側環状壁42の延長した部分(延長部分)42bの端面がヘッド側環状壁32の切欠き部分32bの底面に上下方向の隙間を存して対向し、この隙間で周方向に長手の火移り炎口8が構成されることである。
【0027】
尚、各五徳合致部分5において、キャップ側環状壁42を切欠いて、この切欠き部に挿入されるようにヘッド側環状壁32を上方に延長し、この延長部分の端面と切欠き部分の底面との間の隙間で火移り炎口を構成することも可能である。然し、これでは、火移り炎口の位置が第1実施形態のものより高くなってしまい、火移り炎口の火炎が五徳爪に触れやすくなってしまう。これに対し、第2実施形態では、火移り炎口8の位置が第1実施形態のものより低くなり、強火時にも火移り炎口8の火炎が五徳爪に触れることを防止できる。
【0028】
また、第2実施形態では、ヘッド側環状壁32の切欠き部分32bにキャップ側環状壁42の延長部分42bが挿入される位相でなければ、バーナキャップ4がバーナヘッド3から浮き上がってしまうため、バーナキャップ4の誤セットを防止できる。但し、ヘッド側環状壁32の切欠き部分32bは、五徳合致部分5の周方向両側の炎口溝6aに達するように形成されるため、この炎口溝6aの幅内でキャップ側環状壁42の延長部分42bが周方向にずれてしまうことがある。
【0029】
そこで、第2実施形態では、キャップ側環状壁42に、図9(a)に示す如く、一つの炎口溝6bの内周寄りの部分を埋めてそこから下方にのびる凸部42cを形成し、この凸部42cを、図9(b)に示す如く、ヘッド側環状壁32の炎口溝6aに嵌合させて、バーナヘッド3に対しバーナキャップ4を正確に位相決めできるようにしている。尚、凸部42cを嵌合させる炎口溝6aが閉塞されることのないように、凸部42cは、その下端と炎口溝6aの底面との間に間隙が確保されるように形成されている。
【0030】
この場合、バーナキャップ4をバーナヘッド3にセットする際、位相決め用の凸部42cがヘッド側環状壁32の対応する炎口溝6aに嵌合する前に、キャップ側環状壁42の延長部分42bがヘッド側環状壁32の切欠き部分32bに挿入され始めて、バーナキャップ4がラフではあるが位相決めされることになる。そして、ヘッド側環状壁32の切欠き部分32bとキャップ側環状壁42の延長部分42bとは外観に現れるため、延長部分42bを切欠き部分32bに目視しつつ挿入することができ、バーナキャップ4のセット時の位相決めが容易になる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが本発明はこれに限定されない。例えば上記第1施形態では、五徳合致部分5に、ヘッド部側とキャップ側の両環状壁32,42間の隙間で構成される周方向に長手の火移り炎口8を設けているが、以下のように構成することも可能である。即ち、五徳合致部分5でもヘッド部側とキャップ側の両環状壁32,42の端面同士が当接するようにし、鋳造時又は鍛造時に、五徳合致部分5に位置する両環状壁32,42の一方の環状壁の端面に周方向の間隔を存して複数の小溝を成形し、或いは、両環状溝32,42の端面に周方向に交互に複数の小溝を成形し、これら小溝で火移り炎口を構成することも可能である。但し、火移り炎口を五徳爪からできるだけ離すには、ヘッド側環状壁32の端面に小溝を成形することが望ましい。
【0032】
また、上記第2実施形態では、五徳合致部分5に、キャップ側環状壁42の延長部分42bの端面とヘッド側環状壁32の切欠き部分32bの底面との間の隙間で構成される周方向に長手の火移り炎口8を設けているが、延長部分42bの端面が切欠き部分32bの底面に当接するようにし、鋳造時又は鍛造時に、延長部分42bの端面と切欠き部分32bの底面との少なくとも一方に周方向の間隔を存して複数の小溝を成形し、これら小溝で火移り炎口を構成することも可能である。
【0033】
また、上記実施形態は、下部炎口7を有するコンロ用バーナ1に本発明を適用したものであるが、下部炎口を有しないコンロ用バーナにも同様に本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0034】
A…コンロ本体、B…天板、C…五徳、C2…五徳爪、1…コンロ用バーナ、2…バーナボディ、3…バーナヘッド、32…ヘッド側環状壁、32b…切欠かれた部分、4…バーナキャップ、42…キャップ側環状壁、42b…延長した部分、5…五徳合致部分、6…スリット炎口、6a,6b…炎口溝、7…下部炎口、8…火移り炎口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロに設けられるコンロ用バーナであって、燃料ガスと一次空気との混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディ上に設置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナヘッドと、バーナヘッド上に設置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナキャップとを備え、バーナヘッドとバーナキャップとの間の外周部分に、コンロの天板上に載置する五徳の複数の五徳爪と同一方位に位置する複数の五徳合致部分の間に位置させて、混合気が噴出する上下方向に細長いスリット炎口が形成されるものにおいて、
バーナヘッドの上面外周部に上方にのびるヘッド側環状壁が立設され、バーナキャップの下面外周部に下方にのびるキャップ側環状壁が垂設され、
ヘッド側環状壁は、バーナヘッドの鋳造時又は鍛造時に成形されたスリット炎口の下半部を構成する炎口溝を有し、キャップ側環状壁は、バーナキャップの鋳造時又は鍛造時に成形されたスリット炎口の上半部を構成する炎口溝を有し、
各五徳合致部分では、ヘッド側環状壁の端面とキャップ側環状壁の端面との間に、各五徳合致部分の周方向一側のスリット炎口から周方向他側のスリット炎口に火移りさせる火移り炎口が設けられることを特徴とするコンロ用バーナ。
【請求項2】
コンロに設けられるコンロ用バーナであって、燃料ガスと一次空気との混合気が供給されるバーナボディと、バーナボディ上に設置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナヘッドと、バーナヘッド上に設置される鋳造品又は鍛造品から成るバーナキャップとを備え、バーナヘッドとバーナキャップとの間の外周部分に、コンロの天板上に載置する五徳の複数の五徳爪と同一方位に位置する複数の五徳合致部分の間に位置させて、混合気が噴出する上下方向に細長いスリット炎口が形成されるものにおいて、
バーナヘッドの上面外周部に上方にのびるヘッド側環状壁が立設され、バーナキャップの下面外周部に下方にのびるキャップ側環状壁が垂設され、
ヘッド側環状壁は、バーナヘッドの鋳造時又は鍛造時に成形されたスリット炎口の下半部を構成する炎口溝を有し、キャップ側環状壁は、バーナキャップの鋳造時又は鍛造時に成形されたスリット炎口の上半部を構成する炎口溝を有し、
各五徳合致部分では、ヘッド側環状壁とキャップ側環状壁との一方の環状壁を切欠いて、この切欠いた部分に挿入されるように他方の環状壁を上下方向に延長し、他方の環状壁の延長した部分の端面と一方の環状壁の切欠いた部分の底面との間に、各五徳合致部分の周方向一側のスリット炎口から周方向他側のスリット炎口に火移りさせる火移り炎口が設けられることを特徴とするコンロ用バーナ。
【請求項3】
前記一方の環状壁は前記ヘッド側環状壁であり、前記他方の環状壁は前記キャップ側環状壁であることを特徴とする請求項2記載のコンロ用バーナ。
【請求項4】
前記バーナボディと前記バーナヘッドとの間の外周部分に、混合気が噴出する下部炎口が形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載のコンロ用バーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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