説明

コーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及びフィルム基材

【課題】硬度が高く、且つ、よりカールしにくい硬化塗膜が得られるコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及び硬度が高く、カールが少ない硬化塗膜を有するフィルム基材を提供すること。
【解決手段】ビシクロ環を含有するジイソシアネートをヌレート化して得られるポリイソシアネート(a1)と水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)を含有することを特徴とするコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、該組成物を硬化させて得られる硬化層を有するフィルム基材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、フィルム基材等の薄膜のプラスチック基材への塗工した際にも硬度が得られ、且つ、硬化の際も低収縮でフィルムの反り(カール)が少ないコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、及び該組成物を硬化させた硬化層を有するフィルム基材に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アセチル化セルロース樹脂などを用いて製造されるプラスチックフィルムは、工業用途で多用されている。これらフィルムは、例えば、フラットパネルディスプレイの内部に組み込まれる偏光板保護フィルムとして利用されるが、これらのフィルムには、高い耐擦傷性が求められている。
【0003】
耐擦傷性を高める方法としては、種々の方法が検討されているが、有機溶剤を使用しない等の環境上の優位性の点から、近年、フィルム上に架橋密度の高い多官能アクリレートを主体とした活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗布し、紫外線(UV)や電子線(EB)等の活性エネルギー線で硬化させハードコート層を形成する方法が実施されるようになってきている。
【0004】
このハードコート層に要求される耐擦傷性としては、例えば、偏光板保護フィルムとして80μm厚TACフィルムを基材とする場合、該フィルム上で鉛筆硬度4Hレベルの高硬度が要求される。
【0005】
しかしながら、前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は硬化反応の際に体積収縮が生じ、その結果、フィルムがカールする場合がある。フィルムが薄いほどカールが起こり易いが、近年、例えば、フラットパネルディスプレイの薄型化に伴い、偏光板保護フィルムもより薄いもの、例えば、40μm厚のものを用いる動きがあるなど、カールし易い膜厚のフィルムを用いるようになってきている。従って、硬度が高く、且つ、よりカールしにくい硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が要求されてきている。
【0006】
硬度が高く、カールしにくい硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物としては、例えば、ノルボルナンジイソシアネートと、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレートとの付加反応物であるウレタンアクリレートを含有するフィルム保護層用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1で開示されたウレタンアクリレートはその構造中に剛直なノルボルナン構造とヌレート構造とを有する為、硬度が高く、カールしにくい硬化塗膜が得られる。しかしながら、特許文献1で開示された活性エネルギー線硬化型樹脂組成物で用いるウレタンアクリレートでも、剛直なノルボルナン構造とヌレート構造との含有量に限界がある為、硬度と耐カール性が十分でない場合がある。
【0007】
【特許文献1】特開2007−131837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、硬度が高く、且つ、よりカールしにくい硬化塗膜が得られるコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意検討した結果、ウレタン(メタ)アクリレートの製造に用いるイソシアネート化合物としてノルボルナンジイソシアネートをヌレート化して得られるイソシアヌレートを用いることにより、特許文献1で開示されたウレタンアクリレートの3倍数のノルボルネン構造を有するウレタン(メタ)アクリレートが得られる事、これにより該ウレタン(メタ)アクリレートを含有する樹脂組成物を用いることにより硬度が高く、カールしにくい硬化塗膜が得られる事、用いるイソシアネート化合物としては、ノルボルネンジイソシアネートのイソシアヌレートに限定されることなくビシクロ環を有するジイソシアネートのイソシアヌレートであれば硬度が高く、カールしにくい硬化塗膜が得られる事等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、ビシクロ環を含有するジイソシアネートをヌレート化して得られるポリイソシアネート(a1)と水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)を含有することを特徴とするコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、前記コーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させて得られる硬化層を有することを特徴とするフィルム基材を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は硬度が高く、また、硬化収縮も少ないことからカールしにくい硬化物が得られる。従って、フィルム基材の保護層を形成させるための組成物として特に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明で用いる重合体ウレタン(メタ)アクリレート(A)の調製に用いるジイソシアネート(a1)は、ビシクロ環を含有するジイソシアネートをヌレート化して得られる。ビシクロ環を含有するジイソシアネートとしては、例えば、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチルノルボルナン(ノルボルナンジイソシアネート)、2,5−または2,6−ジイソシアナートメチル−2−イソシネートプロピルノルボルナン、ビシクロヘプタントリイソシアネート等が挙げられる。なかでもノルボルナンジイソシアネートが好ましい。
【0014】
ここで、本発明で用いるポリイソシアネート(a1)の調製時にはイソシアネート化合物として、ビシクロ環を含有するジイソシアネートのみを用いるのが、表面硬度が高く、低硬化収縮の硬化塗膜が得られることから好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で前記ビシクロ環を含有するジイソシアネート以外のイソシアネート化合物も使用することができる。前記ビシクロ環を含有するジイソシアネート以外のジイソシアネート化合物を使用する場合の使用量はビシクロ環を含有するジイソシアネート100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。
【0015】
前記ビシクロ環を含有するジイソシアネート以外のイソシアネート化合物としては、例えば、ビシクロ環を含有するジイソシアネート以外の脂肪族系ポリイソシアネート、芳香族系ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0016】
前記ビシクロ環を含有するジイソシアネート以外の脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、直鎖状脂肪族系ポリイソシアネート、環式脂肪族系ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0017】
前記直鎖状脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等のジイソシアネート;
【0018】
1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナート−4−イソシアナートメチルオクタン、2−イソシアナートエチル(2,6−ジイソシアナート)ヘキサノエート等のトリイソシアネート等が挙げられる。
【0019】
環式脂肪族系ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−ビス(イソシアナートメチルシクロヘキサン)、1,3−または1,4−ジイソシアナートシクロヘキサン、3,5,5−トリメチル(3−イソシアナートメチル)シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート等のジイソシアネー等が挙げられる。
【0020】
前記芳香族系ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、1,4−キシレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,4−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1、5―ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1、4―フェニレンジイソシアネート、1、6―フェニレンジイソシアネート等のジイソシアネート;
【0021】
トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアナートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート等が挙げられる。
【0022】
さらに上記脂肪族系ジイソシアネート化合物及び/または芳香族ジイソシアネートと多官能ポリオール化合物から合成されるアダクト型ポリイソシアネート化合物、脂肪族系ジイソシアネート化合物及び/または芳香族ジイソシアネート化合物の3量体からなるイソシアヌレート型ポリイソシアネート等もビシクロ環を含有するジイソシアネート以外のイソシアネート化合物として挙げられる。
【0023】
本発明で用いるポリイソシアネート(a1)は、例えば、ビシクロ環を含有するジイソシアネート又は、ビシクロ環を含有するジイソシアネートと必要に応じて使用しても良い他のポリイソシアネートとの混合物にイソシアヌレート化触媒を添加してイソシアヌレート化を進行させる事により得られる。
【0024】
イソシアヌレート化触媒としては、通常用いられるイソシアヌレート化触媒、例えば、N−ヒドロキシプロピル−トリメチルアンモニウム−t−ブチルベンゾエート、N−ヒドロキシブチル−トリメチルアンモニウム−ネオペンタン酸、N−ヒドロキシブチル−トリメチルアンモニウム−ピバリン酸、N−ヒドロキシプロピル−トリブチルアンモニウム−ネオペンタン酸、N−ヒドロキシプロピル−トリブチルアンモニウム−オクトエート等を用いることが出来る。
【0025】
イソシアヌレート化触媒の添加量は、ビシクロ環を含有するジイソシアネート又は、ビシクロ環を含有するジイソシアネートと必要に応じて使用しても良い他のポリイソシアネートとの混合物の重量に対して通常0.001〜0.1重量%、好ましくは0.002〜0.05重量%の範囲である。
【0026】
イソシアヌレート化触媒は通常、触媒を溶解する有機溶媒に希釈して使用することができる。この目的に適した溶媒としては、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ブチルセロソルブアセテートなどがあり、また少量であればエチルアルコール、n−ブチルアルコール、2−エチルヘキサノール、ブチルセロソルブ、ベンジルアルコ−ル、3−メチル−3−メトキシ−ブタノール(MMB)等のアルコール類を用いてもよい。
【0027】
イソシアヌレート化反応は、通常、30〜120℃の温度範囲、好ましくは40〜80℃の温度範囲で実施される。30〜120℃の温度範囲で反応させる事により触媒の活性が損なわれずイソシアヌレート反応が良好に進む、得られるポリイソシアヌレートが着色しにくい等の利点がある。
【0028】
イソシアヌレート化反応は、通常のイソシアヌレート型ポリイソシアネートの生成が、最初に存在したイソシアネート基の15〜25重量%、好ましくは8〜17%の範囲内に入るように設定された転化率で反応を終了させる。転化率を15〜25重量%とすることにより、生成したポリイソシアネート(a1)の分子量が高くなり過ぎず、分子量分布がブロードとなりにくく、その結果十分な性能を発揮しやすくなる。また、転化率を15〜25重量%とすることにより、生成時のポリイソシアネート(a1)のゲル化を防ぐことができる。
【0029】
反応終了後のイソシアヌレート化触媒は、モノクロロ酢酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、モノフルオロ酢酸もしくはリン酸のごとき各種酸類、または塩化ベンゾイルのごとき各種有機酸のハロゲン化物などの失効剤(失活剤)により、容易に失活される。
【0030】
イソシアヌレート化反応後、得られる化合物は、通常ポリイソシアネート(a1)と未反応のイソシアネート化合物(ビシクロ環を含有するジイソシアネート等)との混合物となる。この混合物から通常は未反応のイソシアネート化合物を除去しポリイソシアネート(a1)を得るが、未反応のイソシアネート化合物が入っていてもその量が本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記混合物をポリイソシアネート(a1)として使用することができる。未反応のイソシアネート化合物の除去は、例えば、通常の蒸留または抽出等の方法により、容易に行うことができる。
【0031】
本発明で用いる水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、前記各アクリレートのカプロラクトンまたは酸化アルキレン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート−アクリル酸付加物、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリルレート、トリメチロールプロパン−酸化アルキレン付加物−ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
前記水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)の中でも、水酸基を2個以上有する化合物を用いるとウレタン(メタ)アクリレート(A)として1分子当たりの官能基数(エチレン性不飽和二重結合の数)が多いウレタン(メタ)アクリレートが得られ、その結果、高硬度の硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型アクリル樹脂組成物となることから好ましく、水酸基を2〜5個有する化合物を用いるのがより好ましい。
【0033】
更に、水酸基を2〜5個有する化合物の中でもペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが高い架橋密度が達成でき、その結果高硬度を達成できるという効果を有することから好ましい。
【0034】
ポリイソシアネート(a1)と(メタ)アクリレート(a2)との反応は、種々の方法を採用することができる。具体的には、例えば、ポリイソシアネート(a1)と(メタ)アクリレート(a2)とを混合して、50〜120℃、より好ましくは70〜90℃に加熱すれば良い。なお、ポリイソシアネート(a1)と(メタ)アクリレート(a2)の使用量は特に限定されないが、通常、(a1)のイソシアネート基:(a2)の水酸基=1.0:1.0〜1.0:2.0である。である。使用量を当該範囲にすることで、組成物の安定性を高めることができる。
【0035】
本発明用いるウレタン(メタ)アクリレート(A)の(メタ)アクリロイル基当量としては特に制限されるものではないが、一分子中にシクロ環構造またはビシクロ環構造を有しつつ、アクリロイル基等量が150〜600g/eqであれば、硬度が高く、且つ、硬化収縮の少ない硬化塗膜が得られることから好ましい。
【0036】
本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物はウレタン(メタ)アクリレート(A)を含有する組成物であるが、更に、コロイダルシリカ(B)を含有させるのが好ましい。本発明で用いるコロイダルシリカ(B)は、硬化塗膜の硬度を向上させ、耐擦り傷性を著しく改善する。コロイダルシリカ(B)の平均粒径(一次粒子径)としては、硬度に対する効果と塗膜の透明性の観点から1〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
【0037】
また、本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中のコロイダルシリカ(B)の含有率としては、硬度に対する効果と硬化性の観点から該組成分中の塗膜形成成分の重量を基準として15〜60重量%が好ましく、20〜50重量%がより好ましい
【0038】
本発明のコーティングコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には、また、本発明の効果を損なわない範囲で種々の化合物を添加することができる。これらの化合物としては、例えば、前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)以外の重合性不飽和二重結合を有する単量体、紫外線吸収剤、酸化防止剤、シリコン系添加剤、フッ素系添加剤、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、離型剤、シランカップリング剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤等が挙げられる。
【0039】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)以外の重合性不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、芳香環を有する重合性単量体、環状脂肪族構造を有する重合性単量体、複素環構造を有する重合性単量体、スチレン系化合物、直鎖状脂肪族構造を有する重合性単量体等が挙げられる。
【0040】
前記芳香環を有する重合性単量体としては、例えば、芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。芳香環を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニル−2−(4−アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2−フェニル−2−(4−アクリロイルオキシアルコキシフェニル)プロパン、2,4,6−トリクロロフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、p−フェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート;
【0041】
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物構造を含む単量体、具体的には、例えば、下記一般式(1)で表される2官能(メタ)アクリレート
【0042】
【化1】

(式中、R1、R2はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表す。m1、m2はそれぞれ繰り返し単位数を示す整数であり、m1とm2との合計は平均値で1〜20である。);
【0043】
ビスフェノールFのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールFのエチレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールFのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物に(メタ)アクリル酸がエステル結合したビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物構造を有する単量体;
【0044】
ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ビスフェノールSのプロピレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールSのエチレンオキシド付加物、ハロゲン化ビスフェノールSのプロピレンオキシド付加物等のビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物に(メタ)アクリル酸がエステル結合したビスフェノールSのアルキレンオキサイド付加物構造を有する単量体;
【0045】
2,2′−ジ(ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン及びそれらのハロゲン化物、2,2′−ジ(ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン及びそれらのハロゲン化物に(メタ)アクリル酸がエステル結合した化合物;
【0046】
ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3−フェニルフェニル]−スルフィド、ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ−3,5−ジメチルフェニル]−スルフィド、ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル)スルフォン;
【0047】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、一部ハロゲン置換されたビスフェノールA型エポキシ樹脂、一部ハロゲン置換されたビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びそれらの混合物からなる群から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるビスフェノール型のエポキシ(メタ)アクリレートやフェノールノボラック型のエポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型のエポキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格のエポキシ(メタ)アクリレートまたはこれらの混合物;
【0048】
ポリオールと環状構造を有する有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート、環状構造を有するジオールと有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート、環状構造を有する有機ポリイソシアネートと水酸基含有(メタ)アクリレートの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
前記環状脂肪族構造を有する重合性単量体としては、例えば、環状脂肪族を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。環状脂肪族を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジルシクロカーボネート(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
前記スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等が挙げられる。
【0051】
前記複素環系化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクトン、アクリロイルホルモリン;
【0052】
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、およびそれらに1〜20モルのアルキレンオキサイドあるいはεカプロラクトンを開環付加させた水酸基含有化合物などの水酸基を有する化合物に(メタ)アクリル酸がエステル結合したイソシアヌル酸構造を有する化合物等が挙げられる。
【0053】
直鎖状脂肪族構造を有する重合性単量体としては、例えば、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ドコシル等の炭素数1〜22のアルキル基を持つ(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸ヒドロキエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリセロール、ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等のヒドロキシアルキル基を有するアクリル酸エステル類等が挙げられる。
【0054】
また、以下の重合性単量体も本発明で用いる重合性不飽和二重結合を有する単量体として例示する事ができる。例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、α−エチル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−プロピル(メタ)アクリル酸グリシジル、α−n−ブチル(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシブチル、(メタ)アクリル酸−4,5−エポキシペンチル、(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、α−エチル(メタ)アクリル酸−6,7−エポキシペンチル、βーメチルグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ラクトン変性(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシル、ビニルシクロヘキセンオキシド等の重合性不飽和二重結合及びエポキシ基を有する重合性単量体;
【0055】
(メタ)アクリル酸;β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2ーアクリロイルオキシエチルコハク酸、2ーアクリロイルオキシエチルフタル酸、2ーアクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸及びこれらのラクトン変性物等エステル結合を有する不飽和モノカルボン酸;マレイン酸等の重合性不飽和二重結合及びカルボキシル基を有する重合性単量体;
【0056】
フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジブチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸メチルブチル、イタコン酸メチルエチルなどの不飽和ジカルボン酸エステル類;
【0057】
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン誘導体類;ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエンなどのジエン系化合物類;塩化ビニル、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニルやハロゲン化ビニリデン類;メチルビニルケトン、ブチルビニルケトンなどの不飽和ケトン類;酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル類;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル類;アクリルアミドやそのアルキド置換アミド類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのN−置換マレイミド類;
【0058】
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレンもしくはヘキサフルオロプロピレンの如きフッ素含有α−オレフィン類;またはトリフルオロメチルトリフルオロビニルエーテル、ペンタフルオロエチルトリフルオロビニルエーテルもしくはヘプタフルオロプロピルトリフルオロビニルエーテルの如き(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1から18なる(パー)フルオロアルキル・パーフルオロビニルエーテル類;2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレートもしくはパーフルオロエチルオキシエチル(メタ)アクリレートの如き(パー)フルオロアルキル基の炭素数が1から18なる(パー)フルオロアルキル(メタ)アクリレート類等のフッ素含有エチレン性不飽和単量体類;
【0059】
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;
【0060】
(メタ)アクリル酸フォスフォエチル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]フォスフェート、トリ[(メタ)アクリロイルオキシエチル]フォスフェート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
【0061】
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールにカプロラクトン付加した化合物のジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートジ(メタ)アクリレート、
【0062】
トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラメチロールメタン、およびそれらに1〜20モルのアルキレンオキサイドを付加させた水酸基含有化合物などの水酸基を3つ以上有する化合物に(メタ)アクリル酸が3分子以上エステル結合した化合物等が挙げられる。
【0063】
前記ウレタン(メタ)アクリレート(A)以外の重合性不飽和二重結合を有する単量体を使用する場合、その使用量としては、塗膜形成成分の重量を基準として0〜50重量%が好ましい。
【0064】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体、2−(2′−キサンテンカルボキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−o−ニトロベンジロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0065】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。
【0066】
前記シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体など如きアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン類が挙げられる。
【0067】
上記した如き種々の添加剤の使用量としては、その効果を十分発揮し、また紫外線硬化を阻害しない範囲であることから、該注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物100重量部に対し、それぞれ0.01〜10重量部の範囲であることが好ましい。
【0068】
本発明の注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には必要に応じて溶剤を含有させても良いが、溶剤の含有率は少ないほうが作業環境を汚染しにくい注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られることから好ましい。具体的には、本発明の注型重合用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の溶剤含有率は1重量%以下が好ましい。
【0069】
本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に加えることができる光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;
【0070】
キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどのキサントン、チオキサントン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのアシロインエーテル類;
【0071】
ベンジル、ジアセチルなどのα-ジケトン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、p−トリルジスルフィドなどのスルフィド類;4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸類;
【0072】
3,3′-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノ)クマリン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフオリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4′−メチルジメチルスルフィド、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリルニ量体、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−[ジ−(エトキシカルボニルメチル)アミノ]フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(4−エトキシ)フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−エトキシ)フェニル−S−トリアジンアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン等が挙げられる。
【0073】
前記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。その使用量は特に制限はないが、感度を良好に保ち、結晶の析出、塗膜物性の劣化等防止するため、本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物100重量部に対して0.05〜20重量部用いることが好ましく、なかでも0.1〜10重量部が特に好ましい。
【0074】
前記光重合開始剤としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2′−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オンの群から選ばれる1種または2種類以上の混合系が、硬化性が高いコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られるため特に好ましい。
【0075】
前記光重合開始剤の市販品としては、例えば、Irgacure−184、同149、同261、同369、同500、同651、同754、同784、同819、同907、同1116、同1664、同1700、同1800、同1850、同2959、同4043、Darocur−1173(チバスペシャルティーケミカルズ社製)、ルシリンTPO(BASFF社製)、KAYACURE−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA〔日本化薬(株)製〕、VICURE−10、同55(STAUFFER Co.LTD製)、TRIGONALP1(AKZO Co.LTD製)、SANDORY 1000(SANDOZ Co.LTD製)、DEAP(APJOHN Co.LTD製)、QUANTACURE−PDO、同ITX、同EPD(WARD BLEKINSOP Co.LTD製)等が挙げられる。
【0076】
さらに、本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物では、前記光重合開始剤に種々の光増感剤を併用することができる。光増感剤としては、例えば、アミン類、尿素類、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物またはニトリル類もしくはその他の含窒素化合物等が挙げられる。
【0077】
本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いた物品の製造では、紫外線等の活性エネルギー線は、支持体となる透明基材面を通して照射される場合が多い。そのため、光重合開始剤は、長波長領域に吸光能力を有する開始剤が好ましく、例えば、紫外線が360〜450nmの範囲において光開始能力を発揮する光重合開始剤が好ましい。
【0078】
更に本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、粘度や基板への接着性改良等を目的として、他の樹脂を併用することができる。
【0079】
前記他の樹脂としては、例えば、メチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート系共重合物等のアクリル樹脂;ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン系共重合物;ポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリブタジエンやブタジエン−アクリロニトリル系共重合物などのポリブタジエン樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0080】
本発明のフィルム基材は、本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させて得られる硬化層を有することを特徴とする。具体的には、各種フィルム基材に公知の方法でコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗布、乾燥後、活性エネルギー線を照射することにより硬化させて得られるものである。
【0081】
コーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗布量としては、例えば、各種フィルム基材上に、乾燥後の重量が0.1〜30g/m、好ましくは1〜20g/mになるように塗布するのが好ましい。
【0082】
本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を塗布するフィルム基材としては、各種公知の基材にもちいることができる。具体的には、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等)等が挙げられる。
【0083】
本発明のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の塗布方法としては、特に限定されず公知の方法を採用することができ、例えばバーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷法等が挙げられる。
【0084】
照射する活性エネルギー線としては、例えば、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線により硬化させる場合、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整されるが、高圧水銀灯を使用する場合、通常80〜160W/cmの光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜50m/分で硬化させるのが好ましい。一方、電子線により硬化させる場合、通常10〜300kVの加速電圧を有する電子線加速装置にて、搬送速度5〜50m/分で硬化させるのが好ましい。
【実施例】
【0085】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。例中の部及び%は、特に記載のない限り、すべて重量基準である。
【0086】
実施例1
攪拌装置、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、酢酸ブチルを17.5重量部、ノルボルネンジイソシアネート(三井化学ポリウレタン株式会社製「コスモネートNBDI」)70重量部を仕込み、攪拌しながら系内温度が60℃になるまで昇温した。これに4級アンモニウム塩系触媒であるバーノックBDP−25(DIC株式会社製)を、発熱に注意しながら8回に分割して合計0.21重量部加え、反応時間10時間で、ビシクロ環を含有するジイソシアネートをヌレート化して得られるポリイソシアネート中間体を得た。得られた中間体の不揮発分は79.1%、NCO%=14.4であった。
この中間体を攪拌装置、冷却管、空気導入管を備えた反応装置に14.6重量部仕込み、メトキノン0.02重量部、ジブチル錫アセテート(日東化成株式会社製「ネオスタンU−200」0.02重量部、を加えて80℃まで昇温した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM−305」)26重量部滴下し、滴下終了後6時間ホールドしてビシクロ環を含有するジイソシアネートをヌレート化して、不揮発分80.9%のポリイソシアネートと水酸基を含有する(メタ)アクリレートとを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートを得た。
得られたビシクロ環を含有するジイソシアネートをヌレート化して得られるポリイソシアネートと水酸基を含有する(メタ)アクリレート(A1)124重量部(固形分換算100重量部)、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(チバスペシャルティケミカルズ社製「Irgacure184」)4重量部、酢酸ブチル80重量部を攪拌混合してハードコート用活性エネルギー線硬化型組成物を調整した。得られた組成物を、トリアセチルセルロースフィルム(80μm厚)に膜厚10μmになるように塗布し、80℃で1分乾燥させ、窒素雰囲気下で高圧水銀灯を用いて250mJ/cm照射して硬化させた。得られた塗膜の鉛筆硬度は3H、5cm角のフィルムの4頂点の浮き平均で表されるカール値は4mmであった。尚、カール値は小さい程フィルムのカールが小さいことを表す。
【0087】
比較例1
攪拌機、ガス導入管、冷却管、及び温度計を備えたフラスコに、酢酸ブチル252部、ノルボルナンジイソシアネート206部、メトキシハイドロキノン0.5部、ジブチル錫ジアセテート0.5部を仕込み、空気を吹き込みながら、70℃に昇温した後、ビス(2−アクリロイルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート/トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(TAIC)混合物(質量比56/44の混合物)1318部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で3時間反応させ、さらにイソシアネート基を示す2250cm−1の赤外線吸収スペクトルが消失するまで反応を行い、ウレタンアクリレート/TAIC混合物(質量比62/38の混合物、不揮発分80%の酢酸ブチル溶液)を得た。
【0088】
このウレタンアクリレート/TAIC混合物37.5部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/ジペンタエリスリトールペンタアクリレート混合物(質量比70/30の混合物)70部、Irgacure184 2部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド1部、酢酸エチル33部、及び酢酸ブチル59.5部を混合し、40℃に加熱後混合して均一にし、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。実施例1と同様にして硬化塗膜を得た。得られた塗膜の鉛筆硬度は3H、5cm角のフィルムの4頂点の浮き平均で表されるカール値は>10mmであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビシクロ環を含有するジイソシアネートをヌレート化して得られるポリイソシアネート(a1)と水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)を含有することを特徴とするコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリイソシアネート(a1)が、ノルボルナンジイソシアネートをヌレート化して得られるポリイソシアネートである請求項1記載のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
前記水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)が一分子中に2個以上の(メタ)アクリロイルを有する(メタ)アクリレートである請求項1記載のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
前記水酸基を含有する(メタ)アクリレート(a2)がペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートまたはジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートである請求項1記載のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
更にコロイダルシリカ(B)を含有する請求項1記載のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
前記コロイダルシリカ(B)が平均粒径1〜100nmのコロイダルシリカであり、且つ、該コロイダルシリカの含有率が活性エネルギー線硬化型樹脂組成物中の塗膜形成成分の重量を基準として20〜60重量%である請求項5記載のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載のコーティング用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させて得られる硬化層を有することを特徴とするフィルム基材。

【公開番号】特開2010−83961(P2010−83961A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253241(P2008−253241)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】