説明

コーナークッション

【課題】 繰り返しの使用により適したコーナークッションの提供を目的とする。
【解決手段】 長尺の第1カバー部材(1)及び第2カバー部材(2)の間にクッション材(4)を挟み込んだコーナークッション(10)である。かかるコーナークッション(10)は、第1カバー部材(1)及び第2カバー部材(2)の両側部において長尺方向に沿って間欠的に磁石(3)をその間に挟み込んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保安用のコーナークッションに関し、特に工事現場の外周を囲むフェンス等に取り付けて使用される保安用のコーナークッションに関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場の周囲を歩行する歩行者等の安全のために工事現場を囲って外周部にフェンスが設けられる。かかるフェンスのコーナー部や出入り口などでは、歩行者が誤ってこれに衝突しても怪我をしないように保安用のクッションを取り付けている。このようなコーナークッションは、歩行者に対してフェンスのコーナー部等の存在をあらかじめ知らしめる警戒表示を与える目的でも使用される。
【0003】
例えば特許文献1では、斜め縦縞の警戒表示模様を与えられた表面シート部材と粘着剤を塗布された裏面シート部材との間にクッション材を挟み込んだコーナークッションが開示されている。コーナークッションは、裏面シート部材の粘着剤で取り付け対象物に貼り付けられて使用される。対象物に一度貼り付けられた後は、これを剥がして再利用しようとしても粘着剤を裏面シート部材に塗布し直さないときれいに貼り付けることはできない。そのため手間及びコストを考慮すると、このようなコーナークッションは一般的に使用後に廃棄されてしまうのである。
【0004】
一方、例えば特許文献2では、磁石を使用して繰り返し取り付け可能なコーナークッションが開示されている。袋状のカバー部材の両側部に沿って長尺の磁石が取り付けられており、カバー部材をこの磁石の磁力によって取り付け対象物に取り付けるのである。その後、カバー部材の内部に発泡剤を注入すると取り付け対象物の形状に沿ったコーナークッションが形成される。使用後にあっては、発泡剤によるクッション材をカバー部材の内部から抜き取ってカバー部材だけが再利用される。
【特許文献1】特開2000−104226号公報
【特許文献2】特開平10−331291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで特許文献2に開示のコーナークッションでは、カバー部材の内部にあるクッション材については使用後に廃棄される。また一定期間使用されたカバー部材の内部からクッション材を取り出す作業は手間でもある。
【0006】
本発明は以上のような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は繰り返しの使用により適したコーナークッションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるコーナークッションは、長尺の第1カバー部材及び第2カバー部材の間にクッション材を挟み込んだ保安用のコーナークッションであって、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の両側部において長尺方向に沿って間欠的に磁石をその間に挟み込んだことを特徴とする。
【0008】
本発明のコーナークッションによれば、取り付け対象物への繰り返しの取り付けが可能であって、その着脱も非常に容易である。また折り畳んだり巻いたりできる上、重量も軽いのでその保管及び運搬などが非常に容易である。さらに、第1カバー部材及び第2カバー部材のどちら側の面であっても表向きに使用することができるので使用寿命が長い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の1つの態様による保安用のコーナークッションは、長尺の第1カバー部材及び第2カバー部材の間にクッション材を挟み込んだコーナークッションである。かかるコーナークッションは第1カバー部材及び第2カバー部材の両側部において長尺方向に沿って間欠的に磁石をその間に挟み込んだことを特徴としている。
【0010】
かかる態様によれば、コーナークッションは磁石の磁力によって取り付け対象物に取り付けられるから、取り付け対象物への繰り返しの取り付けが可能である。また、その着脱も容易である。更に、磁石をコーナークッションの長尺方向に沿って間欠的に配置したので、コーナークッションを磁石と磁石との間の間欠部で折り曲げることができる。つまりコーナークッションを折り畳んだり巻いたりできる。さらに磁石の総重量を減ずることもできて、コーナークッションの保管及び運搬などが容易になる。またコーナークッションは、折り畳んだり巻いたりして出荷できるから長尺に製造して出荷し、現場において取り付け対象物に合った寸法に切断して使用可能である。さらに磁石をカバー部材の間に挟み込んでいるので第1カバー部材及び第2カバー部材のどちら側の面であっても表を向けて使用できる。例えば、第1カバー部材を表向きに使用して表装面が汚れたり損傷した場合には、第2カバー部材を表向きにして使用できる。つまり倍の使用寿命を得る。
【0011】
また上記態様において、第1カバー部材及び第2カバー部材を縫い合わせた袋部内に磁石は1つずつ収容される。かかる態様によれば各磁石の位置がずれないから取り付け対象物にしっかり固定できる。また上記した如くコーナークッションは切断して使用され得るので切り口から雨水などが浸入しやすい。しかしながらこのような場合にあっても、縫い目穴から水は排出されるのでカバー部材の内部を常に乾燥させておくことができる。つまり、カバー部材内部に貯まった水でコーナークッションに接触した歩行者が濡れ、また滴る水で見映えが低下することを防止できる。しかも縫い目穴によりカバー部材内部の通気性が高いので、常にクッション材を乾燥させておくこともできる。故に、水を吸ってクッション材の弾性が劣化することを防止できる。またカバー部材内部の高い通気性により、外気温が変化してもカバー部材が膨張したり、破裂しない。また、コーナークッションを折り畳んだり巻いたりしてもカバー部材の内部の空気が抜け易いからコンパクトにまとめ易い。
【0012】
さらに上記態様において、第1カバー部材及び第2カバー部材の表装部に警戒表示模様を与えて、それぞれの面を表向きにして警戒表示ができる。また、第1及び第2カバー部材の表装部にそれぞれ異なった種類の警戒表示模様を与えると、その表裏の向きを変えるだけで使用場所に合わせた警戒表示ができる。すなわち多数の種類のコーナークッションを在庫せずに済む。
【0013】
また上記態様において、表装部の警戒表示模様がグラビア印刷によって与えられる。かかる態様によれば発色性の良好な警戒表示模様、すなわち歩行者に対してより注意を喚起する効果の高い警戒表示模様を与えるとともに、長尺のコーナークッションを安価に提供できる。
【0014】
さらに上記態様において、クッション材は非吸水性弾力材からなる。これによれば、カバー部材の内部に水が侵入してもクッション材に染みこんで滞留しないのでカバー部材の内部を素早く乾燥させることができる。かかる態様において非吸水性弾力材は、非吸水性のシート材の間に気泡を閉じこめた気泡緩衝材からなることが好ましい。気泡緩衝材は折り曲げ容易であって、しかも繰り返し折り曲げても弾力を失わないから、コーナークッションを繰り返し使用して、また折り畳んだりしても劣化しない。
【0015】
次に、本発明による1つの実施例について、図1乃至図8を用いて詳細に説明する。
【0016】
図1に示すように、コーナークッション10は、第1カバー部材1若しくは第2カバー部材2のいずれか一方を表向きにして、工事現場の外周を囲むスチール製のフェンス5の角部に磁石3によって着脱自在に取り付けて使用される。
【0017】
図2及び図3に示すように、コーナークッション10は、警戒表示模様6を表面に与えられた第1カバー部材1及び第2カバー部材2の間に磁石3、一連の長尺若しくは所定長さのクッション材4を挟み込んで縫製される。なお、以下において、コーナークッション10の長手方向を単に「長尺方向」と称し、長尺方向と垂直な方向を単に「幅方向」と称することにする。
【0018】
詳細には、第1カバー部材1及び第2カバー部材2は、引裂き強度の高い非吸水性のシート材からなり、例えば、軟質塩化ビニル樹脂のような合成樹脂に繊維を挟み込んだ複合構造のターポリンの如きシート材からなる。なお、第1カバー部材1及び第2カバー部材2の素材等は、風によってめくれ上がったり、ばたついたりしないように選択される。第1カバー部材1及び第2カバー部材2は帯状シートであって、その表装面1a及び2aには歩行者の注意を喚起する警戒表示模様6が与えられている。例えば、警戒表示模様6は、黄色と黒色、緑色と白色などの任意の2色を組合せた斜め縦縞模様である。このようなカラーの警戒表示模様6は、グラビア印刷によると高い発色性を得られるので好適である。
【0019】
ここで第1カバー部材1及び第2カバー部材2の表装面1a及び2aのそれぞれに異なる警戒表示模様6を与えると、ユーザーはどちらの面を表向きに使用するかを選択できる。つまり、それぞれの警戒表示模様6を有する2つのコーナークッション10を保有していなくとも、このような1つのコーナークッション10を保有するだけで2種類の警戒表示模様6を表示できる。これによりコーナークッション10の保有在庫数を減ずることができる。
【0020】
また、第1カバー部材1及び第2カバー部材2の表装面1a及び2aのそれぞれに同じ警戒表示模様6を与えてもよい。例えば、いずれか一方の表装面1a(又は2a)を表に向けて使用中に、汚れや傷、また損傷が生じて歩行者に対する注意喚起に影響を与えることがある。また見映えに問題を生じるような場合などもある。このような場合にあっても、裏返してもう一方の表装面2a(又は1a)を表向きにして使用できる。つまり、コーナークッション10の寿命を倍以上に長ずる。
【0021】
磁石3は、カバー部材(1,2)の両側部に沿って間隔をあけて間欠的に配置される。すなわち幅方向に離間して、カバー部材(1,2)の長尺方向に沿って配置されている。磁石3はフェライト磁石であるが、取り付け対象物への吸着力を高めるようにサマリウムコバルト磁石やネオジム磁石などを使用しても良い。
【0022】
クッション材4は、幅方向中央部に長尺方向に沿って配置されている。クッション材4は非吸水性の弾力材であって、例えばポリエチレンの如き非吸水性シート材の間に気泡を閉じこめた気泡緩衝材である。気泡緩衝材は折り曲げやすく、繰り返し折り曲げても緩衝性能を長く保持することができる。
【0023】
図4及び図5に示すように、磁石3及びクッション材4を挟み込んだカバー部材(1,2)は、幅方向に沿った縫い目7a及び長尺方向に沿った縫い目7bに沿って非吸水性の丈夫な糸によって縫い合わされている。縫い目(7a、7b)は磁石3及びクッション材4の1つ1つの周囲を囲むように設けられる。つまり、カバー部材(1,2)を縫い合わせて形成される袋部8内に磁石3及びクッション材4が収容されておりこれらは大きく移動しない。また、一連の長尺のクッション材4をカバー部材(1,2)と共に縫い目(7a、7b)において縫い合わせてもよく、この場合もクッション材4は移動しない。
【0024】
次に、上記したコーナークッション10の提供方法について図4、図6乃至図8を用いて詳細に説明する。
【0025】
図6に示すように、コーナークッション10は、長尺に製造されて、折り畳んだ状態で提供される。
【0026】
図4に示すように、一列に並ぶ磁石3の間の間欠部9において、コーナークッション10を長尺方向に折り畳むことができる。つまり、図7(a)に示すように長尺方向に伸ばした状態から、図7(b)又は図7(c)に示すように幅方向の両側部に間欠部9を含む折り目において、長尺方向に折り曲げ可能である。
【0027】
ここで図7(b)のように、折り目の外周側に配置される第1カバー部材1の間欠部9の長さXが(2T+2t)よりも長ければ、コーナークッション10を完全に折り畳むことが可能である。ここでTは磁石3の厚さ、tはカバー部材2の厚さである。なお、第2カバー部材2を折り目の外周側に配置したときであっても同様である。
【0028】
一方、図7(c)に示すように、長さXが(2T+2t)よりも短ければコーナークッション10を完全には折り畳むことができない。その場合にあっては、図8に示すような巻いた状態で提供され得る。
【0029】
図7(b)及び(c)のいずれにおいても、コーナークッション10は、縫い目(7a,7b)の穴を介してその内部と外部との通気性があるため、これを折り畳んでも、例えば、袋部8内の空気は容易に抜けるのでコンパクトにまとまりやすいのである。
【0030】
また、クッション材4が気泡緩衝材からなるため、コーナークッション10を小さく折り畳んだり巻いたり、また再利用にあたってこれを繰り返したとしても弾性力が劣化しない。
【0031】
上記したように、折り畳んで提供されたコーナークッション10は、磁石3の間欠部9で幅方向に切断することにより、取り付け対象物に適した長さに調整されて使用され得る。例えば、図4に示すように、間欠部9で切断すると容易に切断できて好適である。つまり、長尺方向に隣り合う磁石3の間の間欠部9には、2本の縫い目7aが平行に間隔を開けて配置されており、この間の切断代11aでこれを切断した場合、縫い目7aによって磁石3の入った袋部8は開口せず、磁石3が脱落しない。同様に隣り合うクッション材4の間の2本の縫い目7aの間の切断代11bでこれを切断した場合もクッション材4は脱落しない。
【0032】
切断されたコーナークッション10において、警戒表示模様6を与えられた表装面1a及び2aのうちのいずれか一方が表示面として選択される。図1に示すように、表示面の他方の面を取り付け対象物のフェンス5のコーナー部に対向させて、コーナークッション10はコーナー部を覆うようにあてがわれて、コーナー部に密着せしめられる。コーナークッション10は、両側部に配置された磁石3の磁力によって取り付け対象物のコーナー部脇の平面部に両側部を吸着させて取り付けられる。
【0033】
ここでコーナークッション10は取り付け対象物のフェンス5から浮き上がってしまうと、見映え及び脱離等に関して好ましくないが、クッション材4が気泡緩衝材であると取り付け対象物の形状に沿って密着できてこれを防止できる。
【0034】
また、コーナークッション10は、間欠部9において風でめくれあがったり、ばたついたりしないように、また折り曲げたり巻いたりできるように、カバー部材(1,2)及びクッション材4の素材、磁石3の寸法や配置などが適宜、調整される。
【0035】
取り付け対象物のフェンス5に取り付けられたコーナークッション10は、雨に曝されることがある。しかしながら、カバー部材(1,2)の袋部8に水が侵入しても水は縫い目(7a,7b)の穴より速やかに排出されるから、袋部8の内部は乾燥しやすい。また、クッション材4は非吸水性の弾力材であるため、水の侵入があってもこれを滞留させない。さらに、縫い目(7a,7b)の穴を介してコーナークッション10の内外の通気性を高めているので、その内部は速やかに乾燥する。外気温の寒暖の差によって袋部8内の空気によって膨張したり破裂することもないのである。
【0036】
使用後のコーナークッション10は、取り付け対象物のフェンス5などから取り外される。コーナークッション10は磁力によって着脱自在に取り付けられているからその取り外しは容易である。取り外したコーナークッション10は、折り畳むか又は巻いて運搬及び保管しやすいようにまとめられ、保管場所に運搬・保管され、また、次の使用場所に運搬される。なお、コーナークッション10は適宜、伸ばしたまま運搬したり保管したりすることもできる。
【0037】
次の使用場所に運搬されたコーナークッション10は、再び取り付け対象物のフェンス5に磁石3の磁力で取り付けられる。クッション材4は気泡緩衝材からなるため、繰り返し折り曲げても緩衝性能の変化が小さく、繰り返し使用してもほとんど劣化しないのである。
【0038】
以上、本発明による代表的実施例を述べたが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、当業者であれば、添付した特許請求の範囲を逸脱することなく種々の代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明によるコーナークッションの斜視図である。
【図2】本発明によるコーナークッションの分解斜視図である。
【図3】本発明によるコーナークッションの正面図である。
【図4】本発明によるコーナークッションの正面図である。
【図5】本発明によるコーナークッションの断面図である。
【図6】本発明によるコーナークッションの側面図である。
【図7】本発明によるコーナークッションの要部の断面図である。
【図8】本発明によるコーナークッションの側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 第1カバー部材
1a 表装面
1b 内側面
2 第2カバー部材
2a 表装面
2b 内側面
3 磁石
4 クッション材
5 フェンス
6 警戒表示模様
7a、7b 縫い目
8 袋部
9 間欠部
10 コーナークッション
11a、11b 切断代

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の第1カバー部材及び第2カバー部材の間にクッション材を挟み込んだ保安用コーナークッションであって、
前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の両側部において長尺方向に沿って間欠的に磁石をその間に挟み込んだことを特徴とするコーナークッション。
【請求項2】
前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材を縫い合わせた袋部内に前記磁石を1つずつ収容することを特徴とする請求項1記載のコーナークッション。
【請求項3】
前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材の表装部に警戒表示模様を与えたことを特徴とする請求項1又は2記載のコーナークッション。
【請求項4】
前記表装部の警戒表示模様がグラビア印刷によって与えられていることを特徴とする請求項3記載のコーナークッション。
【請求項5】
前記クッション材は非吸水性弾力材からなることを特徴とする請求項1乃至4のうちの1に記載のコーナークッション。
【請求項6】
前記非吸水性弾力材は非吸水性のシート材の間に気泡を閉じこめた緩衝材からなることを特徴とする請求項5記載のコーナークッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−185526(P2009−185526A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26875(P2008−26875)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【出願人】(507325611)
【Fターム(参考)】