説明

コールドプレート

【課題】2つの飲料冷却管路を備えたコールドプレートにおいて、一方の飲料冷却管路内の導出口側の飲料が他方の飲料冷却管路内に導入される飲料の温度の影響を受けないようにする。
【解決手段】コールドプレート10は、氷I等の冷却材を裁置面21に裁置して冷却される熱伝導性の高い冷却プレート20と、冷却プレート20の裁置面21の下側に沿って設けられて冷却プレート20の一方向に延びるとともに裁置面21の端部で折り返されて一方向と交差する交差方向に連続して配されて冷却プレート20により内部を通過する飲料が冷却される2つの飲料冷却管路30,40とを備え、両飲料冷却管路30,40の導入口部31,41を冷却プレート20における交差方向の中央部に各々配置して各飲料冷却管路30,40を各々互いに交差方向における反対向きに連続させ各飲料冷却管路30,40の導出口部32,42を冷却プレート20における交差方向の互いに反対側の端部に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール等の飲料を冷却するコールドプレートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、氷等の冷却材を裁置面に裁置して冷却される熱伝導性の高い冷却プレートと、冷却プレートの裁置面の下側に沿って設けられて冷却プレートの縦方向(一方向)に延びるとともに裁置面の縦方向の端部で折り返されて横方向(一方向と交差する交差方向)に連続して配されて冷却プレートにより内部を通過する飲料が冷却される2つの飲料冷却管路とを備えた飲料冷却用のコールドプレートが開示されている。このコールドプレートおいては、各飲料冷却管路の導入口部は冷却プレートにおける横方向の互いに反対側の端部に配置され、各飲料冷却管路はそれぞれ互いに横方向の中央側に連続され、各飲料冷却管路の導出口部は冷却プレートにおける交差方向の中央部に各々隣り合わせて配置されている。
【0003】
このコールドプレートを用いてビール樽から導出するビールを冷却して注出コックから注出するときには、各飲料冷却管路の導入口部にはビール樽から導出されるビールホースを各々接続し、各飲料冷却管路の導出口部には注出コックへと延びる飲料送出管を各々接続し、冷却プレートの裁置面に氷を裁置した状態にして、注出コックのレバーを操作すると、ビール樽から各飲料冷却管路に導入されるビールは各飲料冷却管路を通過するときに氷により冷却された冷却プレートと熱交換されて冷却され、冷却されたビールが注出コックから注出される。
【特許文献1】実開平02−062380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のコールドプレートおいては、2つ飲料冷却管路の各導出口部は冷却プレートにおける横方向の中央部に各々配置されているので、各飲料冷却管路は冷却プレートの中央部にて導出口部に導出する導出端部及びその近傍部が互いに隣り合わせて配置されている。そのため、一方の飲料冷却管路には飲料を注出する間隔が空くことで十分に冷却された飲料が待機した状態で、他方の飲料冷却管路に飲料を導入して冷却させると、一方の飲料冷却管路の導出端部及びその近傍部内で十分に冷却された飲料は隣接して配置された他方の飲料冷却管路の導出端部及びその近傍部内を通過する飲料による温度の影響を受けて十分に冷却されていない状態となることがあった。
【0005】
また、一方の飲料冷却管路の導入口部を冷却プレートにおける横方向の一方の端部に配置するとともに一方の飲料冷却管路の導出口部を冷却プレートにおける横方向の中央部に配置し、他方の飲料冷却管路の導入口部を一方の飲料冷却管路の導出口部と隣り合わせて横方向の中央部に配置するとともに他方の飲料冷却管路の導出口部を一方の飲料冷却管路の導入口部と反対側となる冷却プレートの横方向の他方の端部に配置しても、一方の飲料冷却管路の導出端部及びその近傍部分の飲料は、他方の飲料冷却管路の導入端部及びその近傍部分でまだ十分に冷却されていない飲料の温度の影響を受けることになっていた。本発明は、2つの飲料冷却管路のうち一方の飲料冷却管路内の飲料が他方の飲料冷却管路内の飲料の温度の影響を受けないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、氷等の冷却材を裁置面に裁置して冷却される熱伝導性の高い冷却プレートと、冷却プレートの裁置面の下側に沿って設けられて冷却プレートの一方向に延びるとともに裁置面の端部で折り返されて一方向と交差する交差方向に連続して配されて冷却プレートにより内部を通過する飲料が冷却される2つの飲料冷却管路とを備えたコールドプレートにおいて、両飲料冷却管路の導入口部を冷却プレートにおける交差方向の中央部に各々配置して各飲料冷却管を各々互いに交差方向における反対向きに連続させ各飲料冷却管の導出口部を冷却プレートにおける交差方向の互いに反対側の端部に配置したことを特徴とするコールドプレートを提供するものである。
【0007】
上記のように構成したコールドプレートにおいては、両飲料冷却管路の導入口部を冷却プレートにおける交差方向の中央部に各々配置して各飲料冷却管を各々互いに交差方向における反対向きに連続させ各飲料冷却管の導出口部を冷却プレートにおける交差方向の互いに反対側の端部に配置しているので、両飲料冷却管路内の飲料は導出口部側で互いに他の飲料冷却管路内の飲料の温度による影響を受けることがない。よって、一方の飲料冷却管路に飲料を導出させる間隔が空くことで十分に冷却された飲料が待機した状態で、他方の飲料冷却管路に新たに飲料を導入して冷却させても、一方の飲料冷却管路の導出口部側で十分に冷却された飲料は他方の飲料冷却管路を通過する飲料による温度の影響を受けることがなく十分に冷却された状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明によるコールドプレートの一実施形態を図面を参照して説明する。本発明に係るコールドプレート10は、氷等の冷却材を裁置面21に裁置して冷却される熱伝導性の高い冷却プレート20と、冷却プレート20の裁置面21の下側に沿って設けられて冷却プレート20の一方向に延びるとともに裁置面21の端部で折り返されて一方向と交差する交差方向に連続して配されて冷却プレート20により内部を通過する飲料が冷却される2つの飲料冷却管路30,40とを備えている。このコールドプレート10は、両飲料冷却管路30,40の導入口部31,41を冷却プレート20における交差方向の中央部に各々配置して各飲料冷却管路30,40を各々互いに交差方向における反対向きに連続させ各飲料冷却管路30,40の導出口部32,42を冷却プレート20における交差方向の互いに反対側の端部に配置した。以下に、このコールドプレート10について詳述する。
【0009】
図1及び図2に示すように、このコールドプレート10は冷却プレート20と、2つの飲料冷却管路30,40とを備えている。冷却プレート20は、各角部に丸みを付けた略直方体形状をして熱伝導性の高いアルミニウムにより鋳造されたものである。冷却プレート20は、その上面に氷などの冷却材を裁置する裁置面21を有しており、この裁置面21には、裁置面21に裁置した氷が融解したときに生じる水を流すための横方向に延びる複数の凸条21aが形成されている。
【0010】
図1及び図2に示すように、冷却プレート20内には、2つの飲料冷却管路30,40が鋳包まれている。これら飲料冷却管路30,40は、ステンレス製の管部材を螺旋状に巻回させたものである。飲料冷却管路30,40は、冷却プレート20の縦方向(一方向)に延びるとともに冷却プレート20の裁置面21の縦方向の端部で折り返されて横方向(一方向と交差する交差方向)に連続して配されている。各飲料冷却管路30,40の各導入口部31,41は、冷却プレート20における横方向(交差方向)の中央部に裁置面21から突出して互いに隣り合わせて設けられており、各飲料冷却管路30,40は、それぞれ互いに横方向における反対向きに連続しており、各飲料冷却管路30,40の各導出口部32,42は、冷却プレート20における横方向(交差方向)の互いに反対側の端部に裁置面21から上方に突出して設けられている。なお、冷却プレート20の裁置面21には、各飲料冷却管路30,40の導入口部31,41の側方に導入口部であることを示す「IN」の表示がされている。なお、冷却プレート20の裁置面21には、各飲料冷却管路30,40の導出口部32,42の側方に導出口部であることを示す「OUT」の表示をするようにしてもよい。
【0011】
上記のように構成したコールドプレート10をビールを貯えたビール樽Tと注出コックCを備えたドラフトタワーDに接続した実施形態により詳述する。図3に示すように、コールドプレート10を、断熱性のある保冷ボックスB内に収容し、各飲料冷却管路30,40の導入口部31,41にはビール樽T,Tから導出されるビールホースT1,T1を各々接続し、各飲料冷却管路30,40の導出口部32,42にはドラフトタワーD,Dの注出コックC,Cへと延びる飲料送出管D1,D1を各々接続し、冷却プレート20の裁置面21に氷Iを裁置した状態にする。なお、ビール樽T,Tには、図示しない炭酸ガスボンベから所定圧力の炭酸ガスが供給されている。ドラフトタワーD,Dの注出コックC,Cの各レバーを操作すると、ビール樽T,Tから各ビールホースT1,T1を通って各飲料冷却管路30,40に導入されるビールは、飲料冷却管路30,40を通過するときに裁置面21に裁置した氷Iにより冷却された冷却プレート20と熱交換されて冷却され、冷却されたビールは飲料送出管D1,D1を通ってドラフトタワーD,Dの注出コックC,Cから注出される。
【0012】
このコールドプレート10においては、両飲料冷却管路30,40は冷却プレート20の横方向の中央部にて導入口部31,41から縦方向に延びる導入部分が互いに隣り合って配置されていて、両飲料冷却管路30,40は、それぞれ互いに横方向における反対向きに連続しており、両飲料冷却管路30,40は導出口部32,42に向けて縦方向に延びる導出部分が冷却プレート20の横方向における互いに反対側の端部に配置されている。このため、各飲料冷却管路30、40は、各導入口部31,41から延びる上記導入部分が互いに隣り合って配置されているので、各飲料冷却管路30,40内に導入される飲料はこの導入部分で互いに他方の飲料冷却管路内の飲料の温度の影響を受けることになるが飲料冷却管路30,40内を通って導出口部32,42側へ送られるときに十分に冷却される。また、各飲料冷却管路30、40は、各導出口部32,42へと延びる上記導出部分は冷却プレート20の横方向における互いに反対側の端部に配置されているので、各飲料冷却管路30,40内を通過して十分に冷却されて導出される飲料はこの導出部分で互いに他方の飲料冷却管路内の飲料の温度の影響を受けることはない。これにより、飲料冷却管路30,40のうち一方に飲料を導出させる間隔が空くことで十分に冷却された飲料が待機した状態で、飲料冷却管路30,40のうち他方の飲料冷却管路に新たに飲料を導入しても、飲料冷却管路30,40のうち一方で十分に冷却された飲料は、上記導入部分で飲料冷却管路30,40のうち他方の飲料冷却管路に新たに導入した飲料により多少の温度影響を受けるが、飲料冷却管路の上記導入部分から導出口部に導かれる間に十分に冷却されるために、他方の飲料冷却管路に新たに導入した飲料の温度の影響を受けることがなく十分に冷却された状態のまま導出することができる。
【0013】
なお、本実施形態においては、飲料冷却管路30,40を冷却プレート20内にステンレス製の管部材を鋳包むことにより形成しているが、本発明はこれに限られるものでなく、冷却プレート20は上下の2つのプレートから成るようにし、これらのプレートの少なくとも一方に飲料冷却管路30,40となる溝を蛇行して形成させこれら2つのプレートを固着させるようにしても同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明によるコールドプレートの一実施形態を示す正面図である。
【図2】(a)は図1のコールドプレートの斜視図である。(b)は(a)の冷却プレート内部の飲料冷却管路を示す斜視図である。
【図3】図1のコールドプレートをビール樽とドラフトタワーの注出コックに接続した図である。
【符号の説明】
【0015】
10…コールドプレート、20…冷却プレート、21…裁置面、30,40…飲料冷却管路、31,41…導入口部、32,42…導出口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
氷等の冷却材を裁置面に裁置して冷却される熱伝導性の高い冷却プレートと、
前記冷却プレートの裁置面の下側に沿って設けられて前記冷却プレートの一方向に延びるとともに前記裁置面の端部で折り返されて前記一方向と交差する交差方向に連続して配されて前記冷却プレートにより内部を通過する飲料が冷却される2つの飲料冷却管路とを備えたコールドプレートにおいて、
前記両飲料冷却管路の導入口部を前記冷却プレートにおける前記交差方向の中央部に各々配置して前記各飲料冷却管を各々互いに前記交差方向における反対向きに連続させ前記各飲料冷却管の導出口部を前記冷却プレートにおける前記交差方向の互いに反対側の端部に配置したことを特徴とするコールドプレート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−144952(P2010−144952A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319962(P2008−319962)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】