説明

ゴニオステージ装置

【課題】従来より小型化が可能なゴニオステージ装置を提供する。
【解決手段】一部に球面部分112を有するテーブル部110と、前記球面部分112に当接して、前記テーブル部110を3点支持する支持部材211a〜211cと、前記テーブル部110に連結されて、前記テーブル部100のテーブル面111の向きを操作する面方向操作部220と、前記面方向操作部220の位置を変化させる面方向操作駆動部240と、前記テーブル部110と一体をなし、前記テーブル部110を、テーブル面111に垂直な軸を中心に回転させる回転操作部230と、前記回転操作部230の位置を変化させる回転操作駆動部250とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転中心が装置の外側にあるステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゴニオステージ、スイベルステージ等と呼ばれる、回転中心が装置の外側にあるステージ装置(以下、ゴニオステージ装置という)が知られている。
【0003】
このゴニオステージ装置は、装置の外側にある点を中心に回転可能なステージであって、例えば、光ファイバ等の光軸調整(調心)等に利用される。
【0004】
例えば、特許第3022549号公報には、微動ステージの上方に位置する中心軸を中心として、当該微動ステージに傾斜動作を付勢して所定角度で位置決めを行う微動位置決めステージ装置が開示されている。また、特開2008−149426号公報には、凹円弧面を有する本体と、凹円弧面に対応する凸円弧面を有し、凸円弧面の曲率中心を中心として凹円弧面に沿って回動可能に配置されるステージを備えたスイベルステージ装置が開示されており、当該スイベルステージ装置を、90°位相をずらして上下2段に配置した構成が記載されている。
【0005】
特開2008−149426号公報に記載されているように、従来のゴニオステージ装置では、2以上の回転軸を持たせる場合、1つの軸を中心に回転可能なステージを、軸の向きを変えて2段以上積み重ねるようにしているので、装置が大型化してしまう。
【特許文献1】特許第3022549号公報(段落0109〜0133、図5〜7)
【特許文献2】特開2008−149426号公報(段落0011、図1,2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来より小型化が可能なゴニオステージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るゴニオステージ装置は、一部に球面部分を有するテーブル部と、前記球面部分に当接して、前記テーブル部を支持する支持部と、前記テーブル部に連結されて、前記テーブル部のテーブル面の向きを操作する面方向操作部と、前記面方向操作部の位置を変化させる面方向操作駆動部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、前記テーブル部の前記球面部分が、前記支持部に常に当接しているように、前記テーブル部を付勢する付勢手段(例えば、ばね)を更に備えるようにしてもよい。
【0009】
また、前記面方向操作駆動部は、前記面方向操作部の一部に当接する第一当接部を備え、当該第一当接部を移動させることで、前記面方向操作部の位置を変化させるようにしてもよい。この場合、前記第一当接部は、前記面方向操作部の前記一部を収容可能な収容部を有し、当該収容部に、前記面方向操作部の前記一部を収容した状態で移動することで、前記面方向操作部の位置を変化させるようにしてもよい。そして、前記面方向操作部は、前記第一当接部が当接する部分に球面部を備えるようにしてもよい。
【0010】
また、前記テーブル部と一体をなし、前記テーブル部を、前記テーブル面に垂直な軸を中心に回転させる回転操作部と、前記回転操作部の位置を変化させる回転操作駆動部とを更に備えるようにしてもよい。この場合、前記回転操作駆動部は、前記回転操作部の一部に当接する第二当接部を備え、当該第二当接部を移動させることで、前記回転操作部の位置を変化させるようにしてもよい。そして、前記第二当接部は、一組の平行板によって構成するようにしてもよい。また、前記回転操作部は、前記第二当接部が当接する部分に球面部を備えるようにしてもよい。更に、前記回転操作部が備える前記球面部の中心と、前記面方向操作部が備える前記球面部の中心とを結ぶ線が、前記テーブル部のテーブル面と平行になるように、配置するようにしてもよい。また、前記回転操作駆動部は、前記第二当接部を移動させる直動ステージを備えるようにしてもよい。
【0011】
また、前記面方向操作部は、前記第一当接部が当接する部分に円柱面部を備えるようにしてもよい。この場合、前記第一当接部の前記収容部は、矩形状の孔で構成され、前記円柱面部の側面と、前記収容部の側面とが線接触するようにしてもよい。
【0012】
また、前記面方向操作駆動部は、前記第一当接部を移動させるXYステージを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来より小型化が可能なゴニオステージ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明によるゴニオステージ装置の構成を示す斜視図である。
【0016】
同図に示すように、本発明によるゴニオステージ装置100は、テーブル部110と、本体部120と、ケーブル130と、コネクタ140とを備える。
【0017】
テーブル部110は、ゴニオステージ装置100の可動部分を構成するものであって、当該ゴニオステージ装置100の外部にある所定の点(回転中心)を中心に、所定の範囲内において、任意の方向に回転可能なものである。当該テーブル部110には、所定の治具等を介して、姿勢決め対象となる物(例えば、光ファイバ等)が固定されることになる。
【0018】
本体部120は、ゴニオステージ装置100の静止部分(固定部分)を構成するものであって、当該本体部120に対して、テーブル部110が動作(装置外部の所定の点を中心に回転)することになる。本体部120内には、テーブル部110を動作させるための機構が収容されている。
【0019】
ケーブル130及びコネクタ140は、ゴニオステージ装置100の動作に必要な電力を供給すると共に、ゴニオステージ装置100と外部の制御装置(不図示)との間で必要な信号のやりとりを行うためのものである。
【0020】
次に、ゴニオステージ装置100の内部構成について説明する。
【0021】
図2は、ゴニオステージ装置100の内部構成を説明するための図である。なお、同図では、ゴニオステージ装置100の内部構成や動作がわかりやすくなるように、図1などに比較して、簡略化した表示にしている。
【0022】
また、以下では、X軸、Y軸及びZ軸の各軸の方向は、図2に示すように決められているものとする。そして、例えば、X軸方向といった場合には、基本的に、正負両方の方向を含むものとする。更に、X軸を中心とした回転方向をα方向、Y軸を中心とした回転方向をβ方向とし、テーブル部110のテーブル面に垂直な軸を中心とした回転方向をγ方向とする。なお、同図に示した状態では、Z軸の方向と、テーブル面に垂直な方向とが一致しているため、Z軸を中心とした回転方向をγ方向として示している。
【0023】
同図に示すように、ゴニオステージ装置100は、テーブル部110と、支持部211と、トップベース212と、ボトムベース213と、側壁部214と、面方向操作部220と、回転操作部230と、面方向操作駆動部240、回転操作駆動部250とを備える。
【0024】
前述したように、テーブル部110は、ゴニオステージ装置100の外部にある所定の点290を中心に、所定の範囲内(例えば、α方向及びβ方向にそれぞれ±5°、γ方向に±12°の範囲内)において、任意の方向に回転可能なものである。テーブル部110は、2つの平行な平面によって球の一部を切り取ったような形状を有しており、治具等が取り付けられるテーブル面(上面)を構成する円形の平面部分111と、支持部211によって支持される面(側面)を構成する球面部分112と、面方向操作部220が取り付けられる面(底面)を構成する円形の平面部分とを備える。
【0025】
支持部211は、テーブル部110の球面部分112に当接して、テーブル部110を支持するものである。本実施形態では、支持部211は、3つの支持部材211a〜211cで構成されており、3つの支持部材211a〜211cによって、テーブル部110を3点支持している。
【0026】
各支持部材211a〜211cは、先端が丸められた円柱状の形状を有しており、それぞれ、先端部分において、テーブル部110の球面部分112と点接触する。各支持部材211a〜211cは、面方向操作部220を囲むように配置されて、テーブル部110を3点支持する。支持部材211a〜211cは、トップベース212上において、テーブル部110の球面部分112を3点支持可能な位置に固定されている。本実施形態では、支持部材211a〜211cは、トップベース212の中心から等距離で、隣接する支持部材211a〜211cとトップベース212の中心とがなす角度がすべて等しく(すなわち、120°に)なるように配置されている。
【0027】
トップベース212は、支持部材211a〜211cが固定される部材であって、矩形平板状の形状を有する。なお、同図では、トップベース212は、他の構成要素の配置をわかりやすくするため、一部を切り欠いた状態で示している。トップベース212の中央部分には、面方向操作部220及び回転操作部230を通すための貫通孔が形成されている。当該貫通孔の大きさは、テーブル部110の可動範囲内において、面方向操作部220や回転操作部230が、トップベース212と干渉しないような大きさに決められる。支持部材211a〜211cは、当該貫通孔の回りに配置されることになる。
【0028】
ボトムベース213は、ゴニオステージ装置100のベースとなる部材であって、矩形平板状の形状を有する。ボトムベース213上には、面方向操作駆動部240が取り付けられる。また、ボトムベース213の各辺付近には、側壁部214が立設されており、トップベース212を所定の高さに支持している。
【0029】
面方向操作部220は、テーブル部110の底面(テーブル面111と反対側の面)に固定されて、テーブル部110(テーブル面111)の向きを操作する部材である。また、回転操作部230は、面方向操作部220に固定されて、テーブル部110と一体をなし、テーブル部110を、テーブル面111(を構成する円)の中心を通り、テーブル面に垂直な軸を中心に回転させる部材である。
【0030】
図3は、面方向操作部220及び回転操作部230の構造を説明するための図である。
【0031】
同図に示すように、面方向操作部220は、大径部221と、小径部222と、球面部223とを備えている。
【0032】
大径部221は、円柱状の形状を有し、その一端がテーブル部110の底面中央に連結されている。また、大径部221の他端には、小径部222が設けられている。小径部222は、大径部221より径の小さい円柱状の形状を有し、大径部221と中心軸が一致するように同軸状に配置されている。そして、小径部222の端部には、球面部223が設けられている。球面部223は、球状の形状を有し、大径部221及び小径部222の中心軸上に、球の中心がくるように配置されている。なお、図2に示すように、球面部223の下端部付近には、引張コイルばね(後述)を取り付けるための孔が形成されているが、簡単のため、図3では、省略してある。ゴニオステージ装置100では、当該球面部223に当接する部材を移動させることによって、当該球面部232の位置を変化させ、その結果、面方向操作部220と一体をなすテーブル部110のテーブル面111(の法線)の向きを変える。
【0033】
一方、回転操作部230は、連結部231と、球面部232とを備える。
【0034】
連結部231は、L字状の形状を有し、一方の端部が面方向操作部220の大径部221と連結され、他方の端部が球面部232と連結される。球面部232は、球状の形状を有し、連結部231によって、当該球面部232の中心と、面方向操作部220の球面部223の中心とを結ぶ線が、テーブル部110のテーブル面111と平行になるような位置に配置される。すなわち、同図に示したような状態において、2つの球面部223,232の中心の高さが一致するように配置される。2つの球面部223,232をこのように配置するようにした場合の効果については、後述する。また、本実施形態では、図2に示す初期状態(原点位置)において、2つの球面部223,232がY軸方向に並ぶように配置される。ゴニオステージ装置100では、球面部232に当接する部材を移動させることによって、当該球面部223の位置を変化させ、その結果、回転操作部230と一体をなすテーブル部110を、テーブル面に垂直な軸を中心に回転させる。
【0035】
次に、以上のような構造を有する面方向操作部220及び回転操作部230をそれぞれ駆動する面方向操作駆動部240及び回転操作駆動部250について説明する。
【0036】
面方向操作駆動部240は、面方向操作部220(球面部223)の位置を変化させることで、テーブル部110(テーブル面111)の向きを変えるもので、図2に示すように、第1直動ステージ241と、第2直動ステージ242と、平板部材243と、柱状部材244とを備える。
【0037】
第1直動ステージ241及び第2直動ステージ242は、それぞれ、ベースプレート、テーブル、送りねじ機構等を備え、ベースプレートに対して、テーブルを直線状になめらかに移動させることができるものである。第1直動ステージ241及び第2直動ステージ242の送りねじ機構にはそれぞれ、ステージ駆動用のモータ245,246が連結されており、モータ245,246の回転量を制御することで、テーブルの移動量を制御することが可能となっている。
【0038】
同図に示すように、本実施形態では、第1直動ステージ241のテーブルが、Y軸方向に移動できるように、ボトムベース213上に、第1直動ステージ241のベースプレートが固定される。そして、第1直動ステージ241の上に、90°向きを変えた状態で第2直動ステージ242が載せられている。すなわち、第2直動ステージ242のテーブルが、X軸方向に移動できるように、第1直動ステージ241のテーブル上に、第2直動ステージ242のベースプレートが固定される。以上のように配置された第1直動ステージ241及び第2直動ステージ242によって、いわゆるXYステージが構成されることになる。
【0039】
以上のように配置された第1直動ステージ241及び第2直動ステージ242の上には、平板部材243が載せられ、更にその上には、柱状部材244が載せられている。すなわち、第2直動ステージ242のテーブル上に、平板部材243が固定され、当該平板部材243上に、柱状部材244が立設(固定)されている。
【0040】
平板部材243は、第1直動ステージ241及び第2直動ステージ242によって構成されるXYステージの動きに従って、XY平面上を水平に移動可能な部材であって、矩形平板状の形状を有する。
【0041】
柱状部材244は、平板部材243上に立設される四角柱状の部材であって、上面に、面方向操作部220の球面部223を収容するための孔(球面収容部)が形成されている。なお、同図では、柱状部材244は、他の構成要素の配置をわかりやすくするため、一部を切り欠いた状態で示している。
【0042】
柱状部材244は、上面に形成された孔(球面収容部)に、面方向操作部220の球面部223を収容した状態、すなわち、面方向操作部220の球面部223と当接した状態で、平板部材243と共に、XY平面上を水平に移動することによって、面方向操作部220の球面部223の位置を変え、その結果、テーブル部110のテーブル面111(の法線)の向きを変える。
【0043】
なお、図2に示すように、柱状部材244に形成された孔(球面収容部)内には、引張コイルばね247が配置されており、その一端が、面方向操作部220の球面部223に取り付けられ、他端が、平板部材243上に設けられたばね取付部に取り付けられている。
【0044】
引張コイルばね247は、面方向操作部220を介して、テーブル部110を引っ張って、支持部211の方向へ付勢するものである。すなわち、引張コイルばね247は、その付勢力によって、テーブル部110の球面部分112が、常に、支持部211に当接した状態、すなわち、支持部材211a〜211cによって3点支持された状態で、テーブル部110が動くようにするものである。テーブル部110の球面部分112が、常に、支持部材211a〜211cによって3点支持された状態で動くようにすることにより、テーブル部110は、テーブル部110の球面部分112を構成する球の中心を回転中心とした回転運動のみをするようになる。つまり、テーブル部110は、テーブル部110の上方に位置する所定の点(球面部分112を構成する球の中心)290を中心とした回転のみを行うことになる。
【0045】
また、面方向操作駆動部240を構成する平板部材243上には、回転操作駆動部250が載置されている。回転操作駆動部250は、回転操作部230(球面部232)の位置を変化させることで、テーブル部110を、テーブル面111の中心を通って、テーブル面111に垂直な軸(以下、テーブル面中心軸という)を中心に回転させるもので、図2に示すように、第3直動ステージ251と、平板部材252と、一組の平行板253とを備える。回転操作駆動部250は、面方向操作駆動部240を構成する平板部材243上に載置されており、平板部材243上に立設された柱状部材244に対する回転操作部230の位置を変化させるものである。
【0046】
第3直動ステージ251は、第1直動ステージ241及び第2直動ステージ242と同様に、ベースプレート、テーブル、送りねじ機構等を備え、送りねじ機構には、ステージ駆動用のモータ254が連結されている。
【0047】
同図に示すように、本実施形態では、第3直動ステージ251のテーブルが、X軸方向に移動できるように、平板部材243上に、第3直動ステージ251のベースプレートが固定される。そして、第3直動ステージ251の上には、平板部材252が載せられ、更にその上には、平行板253が載せられている。すなわち、第3直動ステージ251のテーブル上に、平板部材252が固定され、当該平板部材252上に、平行板253が立設(固定)されている。
【0048】
平板部材252は、第3直動ステージ251のテーブルの動きに従って、X軸方向に直線状に移動可能な部材であって、矩形平板状の形状を有する。
【0049】
平行板253は、平板部材252上に立設される2枚の平板状の部材であって、回転操作駆動部230の球面部233を間に挟んで、X軸方向に並ぶように配置される。すなわち、平行板253を構成する各平板状部材は、第1直動ステージ241の移動方向となるY軸方向と平行となるように配置される。
【0050】
平行板252は、その間に、回転操作部230の球面部232を挟んだ状態、すなわち、回転操作部230の球面部232と当接した状態で、平板部材252と共に、X軸方向に直線状に移動することによって、柱状部材244に収容された面方向操作部220の球面部223に対する、回転操作部230の球面部232のX軸方向の位置を変え、その結果、テーブル部110を、テーブル面中心軸を中心に回転させる。
【0051】
次に、以上のような構成を有するゴニオステージ装置100の動作について説明する。
【0052】
図4は、テーブル部110を、図2に示した初期状態から、α方向に回転させた状態を示す図である。
【0053】
この場合、図4に示すように、第1直動ステージ241を動作させて、柱状部材244をY軸方向に移動させている。柱状部材244のY軸方向への移動に伴い、柱状部材244の球面収容部に収容された、面方向操作部220の球面部223がY軸方向に押されることになる。このとき、面方向操作部220の球面部223は、柱状部材244の内周面上を滑りながら移動する。それに伴い、面方向操作部220と一体をなすテーブル部110は、その球面部分112を3点支持部材211a〜211cで支持された状態で、α方向に回転することになる。この際、回転操作部230の球面部232は、平行板253と平行に移動することになるので、テーブル面中心軸を中心とした回転は生じないことになる。
【0054】
図5は、テーブル部110を、図2に示した初期状態から、β方向に回転させた状態を示す図である。
【0055】
この場合、図5に示すように、第2直動ステージ242を動作させて、柱状部材244をX軸方向に移動させている。柱状部材244のX軸方向への移動に伴い、柱状部材244の球面収容部に収容された、面方向操作部220の球面部223がX軸方向に押されることになる。このとき、面方向操作部220の球面部223は、柱状部材244の内周面上を滑りながら移動する。それに伴い、面方向操作部220と一体をなすテーブル部110は、その球面部分112を3点支持部材211a〜211cで支持された状態で、β方向に回転することになる。この際、回転操作部230の球面部232は、面方向操作部220の球面部223及び平行板253と同じ距離だけX軸方向に移動することになるので、平行板253との関係で差動は発生せず、テーブル面中心軸を中心とした回転は生じないことになる。
【0056】
ここで、回転操作部230の球面部232と面方向操作部220の球面部223を、テーブル部110のテーブル面111と平行に並ぶように配置した場合の効果について説明する。
【0057】
図6及び図7は、回転操作部230の球面部232の配置位置と移動量との関係を説明するための図である。図6(a)及び図7(a)は、X軸方向から見た図で、図6(b)及び(c)並びに図7(b)及び(c)は、Y軸方向から見た図である。
【0058】
図6(a)及び(b)に示すように、回転操作部230の球面部232と、面方向操作部220の球面部223の高さが異なるように配置、すなわち、回転操作部230の球面部232の中心と面方向操作部220の球面部223の中心とを結ぶ線が、テーブル面111と平行にならないように配置にした場合、面方向操作部220の球面部223をX軸方向に押して移動させると、同図(c)に示すように、面方向操作部220の球面部223のX方向の移動量x1と、回転操作部230の球面部232のX軸方向の移動量x2に差が生じることになる。この時、平行板253は、(第3直動ステージ251を動作させない限り)面方向操作部220の球面部223と同じ距離x1だけX軸方向に移動することになるので、回転操作部230の球面部232と、平行板253との間に差動が生じることとなり、その結果、テーブル面中心軸を中心とした回転が生じることになる。
【0059】
一方、図7(a)及び(b)に示すように、回転操作部230の球面部232及び面方向操作部220の球面部223を、テーブル面111と平行に配置するようにした場合には、面方向操作部220の球面部223をX軸方向に押して移動させると、同図(c)に示すように、回転操作部230の球面部232も、同じ距離x1だけX軸方向に移動することになる。この時、平行板253についても、(第3直動ステージ251を動作させない限り)面方向操作部220の球面部223と同じ距離x1だけX軸方向に移動することになるので、回転操作部230の球面部232と、平行板253との間に差動は生じず、テーブル面中心軸を中心とした回転は生じないことになる。
【0060】
すなわち、回転操作部230の球面部232と面方向操作部220の球面部223とが、テーブル面111と平行に並ぶように配置することにより、α、β、γの3つの方向の回転を独立に制御することが可能になる。
【0061】
図8は、テーブル部110を、図2に示した初期状態から、γ方向に回転させた状態を示す図である。
【0062】
この場合、図8に示すように、第3直動ステージ251を動作させて、平行板253をX軸方向に移動させている。平行板253のX軸方向への移動に伴い、平行板253に挟まれた回転操作部230の球面部232がX軸方向に押されることになる。この際、回転操作部230の球面部232は、平行板253の内側面上を滑りながら移動する。それに伴い、回転操作部230と一体をなすテーブル部110は、その球面部分112を3点支持部材211a〜211cで支持された状態で、γ方向に回転することになる。
【0063】
図9は、テーブル部110を、図2に示した初期状態から、α、β、γのすべての方向に回転させた状態を示す図である。
【0064】
この場合、図9に示すように、第1直動ステージ241及び第2直動ステージ242を動作させて、柱状部材244をXY平面内において水平に移動させると共に、第3直動ステージ251を動作させて、平行板253をX軸方向に移動させている。柱状部材244のXY平面内での移動に伴い、柱状部材244の球面収容部に収容された、面方向操作部220の球面部223が水平方向に押される一方で、平行板253のX軸方向への移動に伴い、平行板253に挟まれた回転操作部230の球面部232がX軸方向に押されることになる。それに伴い、面方向操作部220及び回転操作部230と一体をなすテーブル部110は、その球面部分112を3点支持部材211a〜211cで支持された状態で、α、β、γのすべての方向に回転することになる。
【0065】
次に、本発明によるゴニオステージ装置の別の実施形態(第二実施形態)について説明する。
【0066】
上述した実施形態(第一実施形態)では、テーブル部110を、装置外側の回転中心を中心に、α、β、γの3つの方向に回転できるようにしていたが、第二実施形態は、テーブル部110を、装置外側の回転中心を中心に、α、βの2つの方向にのみ回転可能としたものである。
【0067】
以下では、基本的に、第一実施形態と異なる部分についてのみ説明する。第一実施形態と同様の構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
図10は、本発明による別のゴニオステージ装置1000の内部構成を説明するための図である。
【0069】
同図に示すように、ゴニオステージ装置1000は、テーブル部110と、支持部211(211a〜211c)と、トップベース212と、ボトムベース213と、側壁部214と、面方向操作部1020と、面方向操作駆動部1040とを備える。
【0070】
すなわち、ゴニオステージ装置1000は、図2に示したゴニオステージ装置100から、回転操作部230及び回転操作駆動部240を取り除いたような構成を有している。
【0071】
更に、ゴニオステージ装置1000では、面方向操作部1020及び面方向操作駆動部1040を構成する柱状部材1044の形状が、ゴニオステージ装置100のものと異なっている。
【0072】
すなわち、面方向操作部1020の端部(柱状部材1044に収容される部分)の形状が、第一実施形態では、球面状だったのが、第二実施形態では、四角柱の4つの側面をそれぞれ円柱側面状に突出させたような形状にしている。それにあわせて、柱状部材1044に形成される孔(端部収容部)の形状も、第一実施形態では、円形だったのが、第二実施形態では、矩形にしている。なお、第一実施形態と第二実施形態とでの柱状部材の形状の違いは、面方向操作部の端部を収容する孔の形状の違いのみである。
【0073】
図11は、面方向操作部1020の構造を説明するための図である。同図(a)は正面図を示し、同図(b)は底面図を示し、同図(c)は側面図を示す。
【0074】
同図に示すように、面方向操作部1020は、円柱部1021と、円柱面部1022と、ばね取付部1023とを備えている。
【0075】
円柱部1021は、円柱状の形状を有し、その一端がテーブル部110の底面中央に連結されている。また、円柱部1021の他端には、円柱面部1022が設けられている。
【0076】
円柱面部1022は、前述したように、四角柱の4つの側面をそれぞれ、円柱側面状に突出させたような形状を有している。同図(a)及び同図(c)に示すように、円柱面部1022は、正面及び側面から見たときに、水平に寝かした円柱の上下を2つの平面で切り取ったような形状を有し、円柱部1021の中心軸と、各円柱面を構成する円柱の中心軸とが一点で直交するように配置されている。
【0077】
このような形状を有する円柱面部1022を、柱状部材1044に形成された矩形状の孔(円柱面収容部)に収容することにより、円柱面部1022の各側面と、矩形状の孔の各辺とが線接触することとなり、柱状部材1044に対する面方向操作部1020(テーブル部110)のγ方向の回転が規制されることとなる。
【0078】
従って、ゴニオステージ装置1000では、柱状部材1044は、上面に形成された矩形状の孔(円柱面収容部)に、面方向操作部1020の円柱面部1022を収容した状態、すなわち、面方向操作部1020の円柱面部1023と当接した状態で、平板部材243と共に、XY平面上を水平に移動することによって、面方向操作部1020の円柱面部1022の位置を変え、その結果、テーブル部110のテーブル面111(の法線)の向きを変えるが、その際、テーブル面111は、テーブル面に垂直な軸を中心に回転することはないことになる。
【0079】
円柱面部1022の底面中央には、ばね取付部1023が連結されている。ばね取付部1023は、引張コイルばね247の一端を取り付けるためのものである。
【0080】
次に、以上のような構成を有するゴニオステージ装置1000の動作について説明する。
【0081】
図12は、テーブル部110を、図10に示した初期状態から、α方向に回転させた状態を示す図である。
【0082】
この場合、図12に示すように、第1直動ステージ241を動作させて、柱状部材1044をY軸方向に移動させている。柱状部材1044のY軸方向への移動に伴い、柱状部材1044の円柱面収容部に収容された、面方向操作部1020の円柱面部1022がY軸方向に押されることになる。この際、面方向操作部1020の円柱面部1022は、柱状部材1044の内周面上を滑りながら移動する。それに伴い、面方向操作部1020と一体をなすテーブル部110は、その球面部分112を3点支持部材211a〜211cで支持された状態で、α方向に回転することになる。
【0083】
図13は、テーブル部110を、図10に示した初期状態から、β方向に回転させた状態を示す図である。
【0084】
この場合、図13に示すように、第2直動ステージ242を動作させて、柱状部材1044をX軸方向に移動させている。柱状部材1044のX軸方向への移動に伴い、柱状部材1044の円柱面収容部に収容された、面方向操作部1020の円柱面部1022がX軸方向に押されることになる。この際、面方向操作部1020の円柱面部1022は、柱状部材1044の内周面上を滑りながら移動する。それに伴い、面方向操作部1020と一体をなすテーブル部110は、その球面部分112を3点支持部材211a〜211cで支持された状態で、β方向に回転することになる。
【0085】
図14は、テーブル部110を、図10に示した初期状態から、α方向及びβ方向に回転させた状態を示す図である。
【0086】
この場合、図14に示すように、第1直動ステージ241及び第2直動ステージ242を動作させて、柱状部材1044をXY平面内において水平に移動させている。柱状部材1044のXY平面内での移動に伴い、柱状部材1044の円柱面収容部に収容された、面方向操作部1020の円柱面部1022が水平方向に押されることになる。それに伴い、面方向操作部1020と一体をなすテーブル部110は、その球面部分112を3点支持部材211a〜211cで支持された状態で、α方向及びβ方向に回転することになる。この際、面方向操作部1020の円柱面部1022の各側面と、柱状部材1044の円柱面収容部の各側面とは、線接触しているので、テーブル面中心軸を中心としたγ方向の回転は生じないことになる。
【0087】
以上説明したように、上述した実施形態においては、一つのテーブル部110を、3つ(第1実施形態)又は2つ(第二実施形態)の軸を中心に回転できるようにしているので、一つの軸を中心に回転可能なものを複数段積み重ねる従来のゴニオステージ装置に比べて、装置の小型化を図ることが可能となる。
【0088】
また、上述した実施形態においては、球面部分112の球面曲率が異なるテーブル部110を別途用意するだけで、装置の外側に設けられる回転中心の位置を簡単に変えることができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、当然のことながら、本発明の実施形態は、上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態では、3つの支持部材211a〜211cによって、テーブル部110の球面部分112を支持していたが、4以上の複数の支持部材を使って支持することも考えられる。
【0090】
また、上述した第一実施形態では、柱状部材244に形成される孔(球面収容部)の形状を、円形としていたが、球面部223の位置を規制可能な他の形状(例えば、矩形や三角形)にすることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明によるゴニオステージ装置100の構成を示す斜視図である。
【図2】ゴニオステージ装置100の内部構成を説明するための図である。
【図3】面方向操作部220及び回転操作部230の構造を説明するための図である。
【図4】テーブル部110を、図2に示した初期状態から、α方向に回転させた状態を示す図である。
【図5】テーブル部110を、図2に示した初期状態から、β方向に回転させた状態を示す図である。
【図6】回転操作部230の球面部232の配置位置と移動量との関係を説明するための図(その1)である。
【図7】回転操作部230の球面部232の配置位置と移動量との関係を説明するための図(その2)である。
【図8】テーブル部110を、図2に示した初期状態から、γ方向に回転させた状態を示す図である。
【図9】テーブル部110を、図2に示した初期状態から、α方向、β方向及びγ方向のすべてに回転させた状態を示す図である。
【図10】本発明による別のゴニオステージ装置1000の内部構成を説明するための図である。
【図11】面方向操作部1020の構造を説明するための図である。
【図12】テーブル部110を、図10に示した初期状態から、α方向に回転させた状態を示す図である。
【図13】テーブル部110を、図10に示した初期状態から、β方向に回転させた状態を示す図である。
【図14】テーブル部110を、図10に示した初期状態から、α方向及びβ方向に回転させた状態を示す図である。
【符号の説明】
【0092】
100 ゴニオステージ装置
110 テーブル部
111 テーブル面
112 球面部分
120 本体部
130 ケーブル
140 コネクタ
211 支持部
211a〜211c 3点支持部材
212 トップベース
213 ボトムベース
214 側壁部
220 面方向操作部
221 大径部
222 小径部
223 球面部
230 回転操作部
231 連結部
232 球面部
240 面方向操作駆動部
241 第1直動ステージ
242 第2直動ステージ
243 平板部材
244 柱状部材
245,246 モータ
247 引張コイルばね
250 回転操作駆動部
251 第3直動ステージ
252 平板部材
253 平行板
254 モータ
290 回転中心点
1000 ゴニオステージ装置
1020 面方向操作部
1021 円柱部
1022 円柱面部
1023 ばね取付部
1040 面方向操作駆動部
1044 柱状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部に球面部分を有するテーブル部と、
前記球面部分に当接して、前記テーブル部を支持する支持部と、
前記テーブル部に連結されて、前記テーブル部のテーブル面の向きを操作する面方向操作部と、
前記面方向操作部の位置を変化させる面方向操作駆動部と
を備えたことを特徴とするゴニオステージ装置。
【請求項2】
前記テーブル部の前記球面部分が、前記支持部に常に当接しているように、前記テーブル部を付勢する付勢手段を更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載のゴニオステージ装置。
【請求項3】
前記面方向操作駆動部は、
前記面方向操作部の一部に当接する第一当接部を備え、
当該第一当接部を移動させることで、前記面方向操作部の位置を変化させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のゴニオステージ装置。
【請求項4】
前記第一当接部は、前記面方向操作部の前記一部を収容可能な収容部を有し、当該収容部に、前記面方向操作部の前記一部を収容した状態で移動することで、前記面方向操作部の位置を変化させる
ことを特徴とする請求項3に記載のゴニオステージ装置。
【請求項5】
前記面方向操作部は、前記第一当接部が当接する部分に球面部を備える
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のゴニオステージ装置。
【請求項6】
前記テーブル部と一体をなし、前記テーブル部を、前記テーブル面に垂直な軸を中心に回転させる回転操作部と、
前記回転操作部の位置を変化させる回転操作駆動部と
を更に備える
ことを特徴とする請求項5に記載のゴニオステージ装置。
【請求項7】
前記回転操作駆動部は、
前記回転操作部の一部に当接する第二当接部を備え、
当該第二当接部を移動させることで、前記回転操作部の位置を変化させる
ことを特徴とする請求項6に記載のゴニオステージ装置。
【請求項8】
前記第二当接部は、一組の平行板によって構成される
ことを特徴とする請求項7に記載のゴニオステージ装置。
【請求項9】
前記回転操作部は、前記第二当接部が当接する部分に球面部を備える
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のゴニオステージ装置。
【請求項10】
前記回転操作部が備える前記球面部の中心と、前記面方向操作部が備える前記球面部の中心とを結ぶ線が、前記テーブル部のテーブル面と平行になるように、配置されている
ことを特徴とする請求項9に記載のゴニオステージ装置。
【請求項11】
前記回転操作駆動部は、前記第二当接部を移動させる直動ステージを備える
ことを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記載のゴニオステージ装置。
【請求項12】
前記面方向操作部は、前記第一当接部が当接する部分に円柱面部を備える
ことを特徴とする請求項4に記載のゴニオステージ装置。
【請求項13】
前記第一当接部の前記収容部は、矩形状の孔で構成され、
前記円柱面部の側面と、前記収容部の側面とが線接触する
ことを特徴とする請求項12に記載のゴニオステージ装置。
【請求項14】
前記面方向操作駆動部は、前記第一当接部を移動させるXYステージを備える
ことを特徴とする請求項3〜13のいずれか一項に記載のゴニオステージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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