説明

ゴム組成物及びこれをタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ

【課題】未乾燥状態で特定の水分率にある湿化した熱膨張性マイクロカプセルを配合したゴム組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】ジエン系ゴム100重量部及び熱によって気化又は膨張して気体を発生させる物質を内包した熱可塑性樹脂粒子からなる熱膨張性マイクロカプセル1〜20重量部を含むゴム組成物であって、当該熱膨張性マイクロカプセルの殻材が主成分となるニトリル系単量体(I)、分子中に不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)、2個以上の重合性二重結合を有する単量体(III)及び、必要に応じ、熱膨張特性を調整するための共重合可能な単量体(IV)から重合された熱可塑性樹脂から構成され、かつ当該熱膨張性マイクロカプセルが水分で湿化されていることを特徴とするゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物に関し、更に詳細には、未乾燥状態で特定の水分率にある湿化した熱膨張性マイクロカプセルを配合したゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ジエン系ゴムにシリカ、アクリロニトリル系重合体を殻材とする熱膨張性マイクロカプセル及び/又は熱膨張性黒鉛、並びに特定のポリシロキサン化合物やシリケート化合物を配合して、タイヤの氷上性能を改良する際の品質の安定化を図る技術が、特許文献1によって提案されている。しかし、従来の熱膨張性マイクロカプセルは、水分を始めとする極性物質の存在下では殻の強度が低下し、所望の膨張性能を発揮できないという問題点があった。
【0003】
【特許文献1】特開2002−356584号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、特定の変性アクリロニトリル系重合体を殻材としたことにより、水分の存在下でも殻の強度が低下しないことを利用して、特定の湿化したマイクロカプセルを用いることにより熱膨張性マイクロカプセルの膨張率の更なる改善を図り、併せて当該熱膨張性マイクロカプセルの製造原価の低減を図ることを目的とする。また、当該熱膨張性マイクロカプセルをジエン系ゴムに配合したゴム組成物をタイヤトレッドに用いた、氷上摩擦力を大幅に改善した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、ジエン系ゴム100重量部及び熱によって気化又は膨張して気体を発生させる物質を内包した熱可塑性樹脂粒子からなる熱膨張性マイクロカプセル1〜20重量部を含むゴム組成物であって、当該熱膨張性マイクロカプセルの殻材が主成分となるニトリル系単量体(I)、分子中に不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)、2個以上の重合性二重結合を有する単量体(III)及び、必要に応じ、熱膨張特性を調整するための共重合可能な単量体(IV)から重合された熱可塑性樹脂から構成され、かつ当該熱膨張性マイクロカプセルが水分で湿化されていることを特徴とするゴム組成物が提供される。
【0006】
また、本発明によれば、前記ゴム組成物をタイヤトレッド部に用いた空気入りタイヤが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明による製造段階での未乾燥状態で特定の水分率にある湿化した熱膨張性マイクロカプセルを使用すると、加熱膨張時に、当該マイクロカプセルの殻材表面に存在する水分が先ず気化した後に、引き続いて芯剤の膨張剤が気化膨張するという二段階膨張が起こり、そのため当該熱膨張性マイクロカプセルの最終膨張率が格段に向上するという作用効果を奏する。これにより、かかる当該熱膨張性マイクロカプセルを配合したゴム組成物をタイヤトレッド部に使用した空気入りタイヤでは、その加硫・加熱時に、完全に膨張した均一なマイクロカプセルが形成される結果、当該タイヤの氷上摩擦力が格段に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
従来使用してきた、アクリロニトリル系重合体を殻材とする熱膨張性マイクロカプセルは、その製造における最終段階での完全乾燥品をパラフィンで湿化したものであるが、本発明になる変性アクリロニトリル系重合体を殻材とする熱膨張性マイクロカプセルでは、その製造の最終段階における乾燥を、圧力調整したフィルタープレスを用いて、一定の水分率になるまで乾燥することによって得ることができる。この水分率としては、当該マイクロカプセルの水分率で3〜40重量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%とすることである。この水分率が3重量%未満にあり、あるいは40重量%を超えると、所望の加硫ゴムの膨張率及び氷上摩擦力が得られないので好ましくない。ここで、上記水分率とは、初期重量を測定した後、105℃で60分間乾燥させた後の乾燥重量を測定し、次式により求めたものである。
(初期重量−乾燥重量)×100/初期重量
【0009】
本発明で使用する熱膨張性マイクロカプセルの殻材は、主成分となる単量体がニトリル系単量体(I)であり、分子中に不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)、2個以上の重合性二重結合を有する単量体(III)及び、必要に応じ、膨張特性を調整するために前記単量体と共重合可能な単量体(IV)から重合した熱可塑性樹脂から構成される。当該熱可塑性樹脂は、好ましくは、主成分としてのニトリル系単量体(I)を40〜95重量%、更に好ましくは50〜90重量%、分子中に不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)を7〜60重量%、更に好ましくは10〜50重量%、2個以上の重合性二重結合を有する単量体(III)を0.05〜5重量%、更に好ましくは0.2〜3重量%、及び、必要に応じ、膨張特性を調整するために前記単量体と共重合可能な単量体(IV)を0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%から、常法により重合して得ることができる。
【0010】
当該熱膨張性マイクロカプセルは、ゴムに配合されない状態において、加熱膨張させた膨張体に荷重15MPaをかけた後の膨張体の体積保持率が好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上である。また、これらの重合により熱膨張性マイクロカプセルを得るには、重合に際して、重合開始剤が油溶性の過酸化物又はアゾ化合物であり、かつ反応温度で1〜25時間の半減期を有するものを使用することが好ましい。
【0011】
本発明において使用することができるニトリル系単量体(I)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル又はこれらの任意の混合物などが例示されるが、アクリロニトリル 及び/又はメタクリロニトリルが特に好ましい。このアクリル系単量体の使用量は、好ましくは当該熱可塑性樹脂の40〜95重量%、更に好ましくは50〜90重量%である。40重量%未満では本発明の目的を達成することは難しい。
【0012】
前記分子中に不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、スチレンスルホン酸又はそのナトリウム塩、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸及びこれらの混合物が挙げられる。分子中に不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)の使用量は、好ましくは当該熱可塑性樹脂の7〜60重量%、更に好ましくは10〜50重量%である。60重量部を超えると、本発明の目的を達成することは難しい。7重量部未満では、高温領域における膨張性が低下する虞がある。
【0013】
前記した2個以上の重合性二重結合を有する単量体(III)としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンなどの芳香族ジビニル化合物、メタクリル酸アリル、トリアクリルホルマール、トリアリルイソシアネート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、PEG#200ジ(メタ)アクリレート、PEG#400ジ(メタ)アクリレート、PEG#600ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマーなど及びこれらの任意の混合物が挙げられる。この2個以上の重合性二重結合を有する単量体(III)の使用量は、好ましくは当該熱可塑性樹脂の0.05〜5重量%、更に好ましくは0.2〜3重量%である。この量が0.05重量%未満であったり、あるいは5重量%を超えたりすると、高温度領域における膨張性能が不良になり、本発明の目的を達成することが難しくなる虞がある。
【0014】
本発明において、軟化点を調整する任意的な単量体(IV)としては、例えば、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、スチレンスルホン酸又はそのナトリウム塩、α−メチルスチレン、クロロスチレンなどのスチレン系モノマー、アクリルアミド、置換アクリルアミド、メタクリルアミド、置換メタクリルアミドなど、一般的なラジカル開始剤により重合反応が進行するモノマー、及びこれらの任意の混合物である。単量体(IV)の使用量は、好ましくは当該熱可塑性樹脂の0〜20重量%、更に好ましくは0〜15重量%であり、20重量%を超えると、本発明の目的を達成することが難しくなる虞がある。
【0015】
前記単量体混合物を重合するのに使用できる重合開始剤としては、例えば、好ましくは過酸化物である過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、ペルオキシ酸エステル、ペルオキシジカーボネート及びアゾ化合物などであって、かつ反応温度で、好ましくは1〜25時間、更に好ましくは5〜20時間の半減期を有するものが挙げられる。かかる重合開始剤は、前記単量体混合物を懸濁重合するのに有効に使用される。
【0016】
本発明における未乾燥状態で特定の水分率にある湿化した熱膨張性マイクロカプセルは、従来の熱膨張性マイクロカプセルの作製方法と同じ方法により、前記した単量体混合物を懸濁重合させて熱膨張性マイクロカプセルを得た後に、当該熱膨張性マイクロカプセルの乾燥段階で、圧力調整したフィルタープレスを用いて3〜40重量%の水分率となるまで乾燥することによって得ることができる。当該重合工程で用いる水系における分散安定剤としては、シリカ、水酸化マグネシウムなどの無機微粒子が用いられ、その他、分散安定補助剤として、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸の縮合生成物、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、各種乳化剤などが用いられる。
【0017】
本発明のゴム組成物に使用するジエン系ゴムとしては、従来よりタイヤ用その他に使用されている任意のジエン系ゴム、例えば天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴムなどを挙げることができ、これらのゴムは、単独で又は任意のブレンドとして使用することができる。
【0018】
本発明におけるゴム組成物には、ジエン系ゴム100重量部に対し、前記未乾燥状態で水分率3〜40重量%にある湿化した熱膨張性マイクロカプセルを1〜20重量部、好ましくは3〜10重量部の量で配合される。この配合量が1重量部未満では、所期の氷上摩擦力が得られず、逆に20重量部を超えると、耐摩耗性が著しく低下するので好ましくない。
【0019】
本発明におけるゴム組成物には、当該熱膨張性マイクロカプセルに加えて、更に、熱膨張性黒鉛を1〜20重量部、好ましくは3〜15重量部の量で配合することができる。当該熱膨張性黒鉛を、本発明による熱膨張性マイクロカプセルと併用すると、加硫ゴムの膨張率と氷上摩擦力をより向上させることができる。
【0020】
前記熱膨張性黒鉛は、既に公知の材料であり、公知の製造方法によって製造される。一般的には、強酸物質と酸化剤との混合液に黒鉛粒子を浸漬し、インターカレーション処理により黒鉛粒子の層間に酸を挿入させて製造する。例えば、強酸物質としては濃硫酸、酸化剤としては硝酸が使われ、これにより粒子の層間に硫酸が挿入された熱膨張性黒鉛が得られる。この熱膨張性黒鉛は、熱処理によって層間物質が揮発することによって層間が開き、膨張する。
【0021】
本発明の空気入りタイヤに使用するゴム組成物には、更に、カーボンブラックやシリカなどの補強剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、充填剤、可塑剤、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種配合剤を配合することができ、これら配合剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の技術的範囲をこれらの実施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0023】
本発明で使用する熱膨張性マイクロカプセルの湿化品の製造
水系として、固形分40重量%のコロイダルシリカ45g、ジエタノールアミン−アジピン酸縮合物1g、塩化ナトリウム150g、イオン交換水500gを加えて混合後、pH3.5に調整し、水系分散媒体を製造した。油系として、アクリロニトリル70g、メタクリロニトリル70g、メタクリル酸70g、エチレングリコールジメタクリレート3g、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1gを混合して均一溶液の単量体混合物とし、これを、イソペンタン20g、2−メチルペンタン30gと共にオートクレーブ中に仕込み、混合した。その後、前記水系分散媒体をこのオートクレーブ中に仕込み、5分間、700rpmで撹拌後、窒素置換し、反応温度60℃で、8時間反応させた。反応圧力は0.5MPa、撹拌は350rpmで行った。反応後、水分率30重量%となるようにフィルタープレスで乾燥し、本発明による熱膨張性カプセルの水分湿化品を得た。
【0024】
試験サンプルの作製
表1に示す配合系(重量部)に従って、硫黄、加硫促進剤、熱膨張性マイクロカプセル、その水分率が30重量%である上記製法によって得た熱膨張性マイクロカプセルの水分湿化品及び熱膨張性黒鉛を除く各成分を、1.7Lの密閉式バンバリーミキサーに装填して5分間混合し、当該ゴムを混合機外に放出して室温まで冷却したマスターバッチを、再度同バンバリーミキサーに投入し、これに前記で除いた硫黄、加硫促進剤、及び熱膨張性マイクロカプセル、その水分率が30重量%である上記製法によって得た熱膨張性マイクロカプセルの水分湿化品、熱膨張性黒鉛などを配合し、混合してゴム組成物を得た。次いで、このゴム組成物の一部を、直径3cm、高さ1.5cmの円柱形の金型内で170℃、15分間加硫して、加硫後に十分に水中冷却されたゴムの中心部を切り抜き、加硫ゴムの膨張率試験に供した。また、残部のゴム組成物を15cm×15cm×0.2cmの金型中で160℃、20分間加硫して試験サンプル(ゴムシート)を作製し、氷上摩擦試験に供した。
【0025】
試験法
1)加硫ゴムの膨張率試験: JIS K2249に準拠して測定した各配合系の加硫ゴムの比重を、各配合系の成分と配合量から求めた計算比重(理論値)で除算し、1.0からの差(加硫ゴムの比重の低下率)を加硫ゴムの膨張率とした。比較例1を100として、指数表示した。指数が大きい程、加硫ゴムの膨張率が大きいことを示す。
2)氷上摩擦力: 前記ゴムシートを扁平円柱状の台ゴムに張付け、インサイドドラム型氷上摩擦試験機を用いて、測定温度−1.5℃、荷重0.54MPa、ドラム回転速度25km/時間で測定した。比較例1を100として、指数表示した。指数が大きい程、氷上性能に優れることを示す。
【0026】
実施例1〜2及び比較例1〜3
結果を、以下の表1に示す。
【表1】

【0027】
表1の結果によると、従来の乾燥品の熱膨張性マイクロカプセルを配合したゴム組成物(比較例2)に比して、本発明による当該熱膨張性マイクロカプセルの水分率30重量%からなる水分湿化品を配合したゴム組成物(実施例1)では、格段に優れた加硫ゴムの膨張率及び氷上摩擦力が得られることが判る。また、この湿化品に加えて更に熱膨張性黒鉛を配合したゴム組成物(実施例2)では、実施例1のゴム組成物よりも一層優れた加硫ゴムの膨張率及び氷上摩擦力が得られることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明に従ったゴム組成物は、前記表1に示されているように、加硫ゴムの膨張率及び氷上摩擦力に優れていることから、これを空気入りタイヤのトレッド用ゴム組成物として用いれば、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム100重量部及び熱によって気化又は膨張して気体を発生させる物質を内包した熱可塑性樹脂粒子からなる熱膨張性マイクロカプセル1〜20重量部を含むゴム組成物であって、当該熱膨張性マイクロカプセルの殻材が主成分となるニトリル系単量体(I)、分子中に不飽和二重結合とカルボキシル基を有する単量体(II)、2個以上の重合性二重結合を有する単量体(III)及び、必要に応じ、熱膨張特性を調整するための共重合可能な単量体(IV)から重合された熱可塑性樹脂から構成され、かつ当該熱膨張性マイクロカプセルが水分で湿化されていることを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
前記熱膨張性マイクロカプセルが水分率3〜40重量%となるように水で湿化されている、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゴム組成物が、熱膨張性黒鉛1〜20重量部を更に含むゴム組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物をタイヤトレッド部に用いた空気入りタイヤ。

【公開番号】特開2007−302850(P2007−302850A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135536(P2006−135536)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】