説明

ゴム組成物及びこれを用いた導電性部材

【課題】電気抵抗が低く且つ均一な導電性を有し、表面平滑性を有し、成形時に加えられる応力による変形を緩和し寸法精度に優れる導電性部材を安価に製造することができるゴム組成物を提供することにある。また、これを用いた導電性部材、及び導電性部材の製造方法を提供することにある。
【解決手段】少なくともエピハロヒドリン単位及び40モル%以上のアルキレンオキサイド単位を含む未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)と、100℃における応力緩和速度が0.7以上の未加硫のゴム(B)とを含有する。好ましくは、未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)と未加硫のゴム(B)とを、質量比(A)/(B)として99/1〜80/20の割合で含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、これを用いた導電性部材及び導電性部材の製造方法に関する。特に、複写機、プリンターあるいはファクシミリの受信装置など電子写真装置に組み込まれる、帯電、現像、転写などの画像形成装置に用いられるローラーやベルトなどの導電性部材や、その製造方法、導電性部材の材料としてのゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機や、レーザープリンターあるいはファクシミリの受信装置などの電子写真装置の、帯電、現像、転写などの画像形成装置において、導電性ローラーや導電性エンドレスベルトなどの導電性部材が多用されている。例えば、電子写真装置の感光体表面を一様に帯電させる帯電装置においては、直流電圧または直流電圧に交流電圧を重畳して印加した、ローラー、ブレード、ブラシ、エンドレスベルト等の導電性帯電部材を回転する感光体に接触させて帯電を行う。
【0003】
かかる導電性部材において、その導電性として、例えば、104〜107Ωの抵抗値を有し、且つ、感光体表面を均一に帯電できるように、全体に亘って均一な抵抗値を有することが好ましい。
【0004】
このような導電性部材において、その導電性は、樹脂やゴム材などの基材に導電剤を配合することにより付与、調整されている。樹脂やゴム材などの基材に配合する導電剤として、カーボンブラックや導電性金属酸化物等の電子導電系の導電剤と、イオン導電性ゴムや4級アンモニウム塩等のイオン導電系の導電剤とを挙げることができる。電子導電系導電剤の場合、導電性粒子の添加量の増減により抵抗値の調整を容易に行なうことができるが、樹脂やゴム材などの基材への分散が容易ではなく、導電性粒子の分散状態が抵抗値およびその均一性に影響を及ぼす。導電性粒子の分散状態は、導電性粒子の粒径、ストラクチャー、表面官能基等の物性による基材との相溶性や、基材の樹脂組成物やゴム組成物の混練条件等により変動する。このため、狙いとする抵抗値を有する樹脂組成物やゴム組成物の混練条件の最適化を図り、導電性粒子を選択し、更に導電性粒子を樹脂やゴム組成物中に均一に分散させ、導電性部材における導電性の安定化を図ることは容易ではない。また、イオン導電剤を用いた場合、基材中への分散は容易ではあるものの、導電部材を所望の抵抗値、例えば107Ω以下の抵抗値に調整することは困難である。
【0005】
また、導電性帯電部材においては、感光体を均一に帯電させるために、感光体に均一に接触することが要求され、寸法誤差がなく高精度に成形されていることの要請がある。更に、転写部材にトナーを転写した後、感光体表面に残留するトナーの除去が行われているものの、クリーニング後に感光体表面に残留する極微量のトナーが、その表面に圧接して使用される導電性帯電部材に移行・付着が起こる場合がある。導電性帯電部材のトナーの付着した部位に当接する感光体の部位において帯電不良が生じ、この帯電不良によりトナーの転写が妨げられ、トナーの蓄積によって感光体の帯電不均一が増長するという悪循環を来たすことになる。この帯電不均一が生じた感光体により形成される画像不良を回避するため、トナー転写後の感光体表面の残留トナーを減少させるために、導電性帯電部材には、寸法誤差がない高精度な形状として成形されていること、感光体全面に均一な当接圧によって当接する表面を有することの要請がある。
【0006】
このような帯電部材として、例えば、帯電ローラーを製造する方法としては、ポリマーやゴム原料と各種添加剤を配合し混練した原料組成物を円筒状に押し出し、加硫缶に収納し、熱風炉等の中で加硫した後、芯金を圧入し、表面を研磨して外径を整える方法がある。また、成形金型内に配置した芯金の外周に発泡剤を含む原料組成物を充填し、成形金型を加熱して原料樹脂やゴムの加硫を行い、芯金の周囲に円筒状に発泡弾性体を成形する方法が知られている。しかしながら、芯金を圧入し表面を研磨する帯電ローラーの製造方法は、高精度かつ表面を平滑にするために長時間の研磨時間が必要があり、工程数が多くなる。また、研磨工程における喪失分を見込んで樹脂やゴム層を成形することが必要であり、樹脂やゴムの使用量からも生産コストが割高になるという問題がある。また、成形金型を用いる場合には、表面を平滑にすることは容易ではあるが、外径誤差がなく、振れのない高精度な帯電部材を作製するには、寸法精度の高い金型が必要であり、形状変更に伴ない金型の変更を余儀なくされ、コスト高になるという問題がある。
【0007】
近年、芯金と導電性ゴムを一体的に押出し成形する手法が提案されているが、表面平滑性、寸法精度に優れた導電性部材を作製することは容易ではないことから、加工性に優れたゴム組成物が提案されている。例えば、エピクロルヒドリンゴムとアクリルニトリルブタジエンゴムを所定の割合でブレンドすることにより、抵抗ムラと加工性を改善した帯電ローラーが報告されている(特許文献1)。しかしながら、この帯電ローラーにおいては導電性粒子(カーボンブラック)を分散させた電子導電系導電剤を用いているため、イオン導電系導電剤と比べて抵抗ムラの改善は充分とはいえない。
【特許文献1】特開平11−65269号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、電気抵抗が低く且つ均一な導電性を有し、表面平滑性を有し、成形時に加えられる応力による変形を緩和し寸法精度に優れる導電性部材を安価に製造することができるゴム組成物を提供することにある。また、これを用いた導電性部材、及び導電性部材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、良好なイオン導電性を有するアルキレンオキサイド単位を40モル%以上で含有し、これと共にエピクロルヒドリンなどのエピハロヒドリン系ゴムを用いることにより、電気抵抗が低く且つ均一な抵抗とする成形体を製造できることの知見を得た。更に、100℃における応力緩和速度が0.7以上と速いゴムを少量ブレンドすることにより、エピハロヒドリン系ゴムの導電性の低下を抑えつつ、ゴム組成物の応力緩和速度を速くすることができることの知見を得た。このゴム組成物を芯金と同時に押し出すと、押出し時に生じるゴムの収縮を抑制することができ、寸法精度が高く、加硫後の研磨加工における耐引裂性の向上など加工性を大幅に改善でき、表面平滑性に優れた導電性部材を安価に得られることを見い出した。特に100℃における応力緩和速度が0.7以上のゴムとして30〜40モル%のアクリロニトリル単位を含むアクリロニトリルブタジエンゴムを用いると、押出し時に生じるゴムの収縮を抑制することができ、上記効果を顕著に得ることができることの知見を得た。
【0010】
すなわち、本発明は、少なくともエピハロヒドリン単位及び40モル%以上のアルキレンオキサイド単位を含む未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)と、100℃における応力緩和速度が0.7以上の未加硫のゴム(B)とを含有することを特徴とするゴム組成物に関する。
【0011】
また、本発明は、請求項1〜5のいずれか記載のゴム組成物を加硫してなる弾性抵抗層を有することを特徴とする導電性部材や、請求項1〜5のいずれか記載のゴム組成物を導電性芯金と同時に押出した後、加硫することを特徴とする導電性部材の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のゴム組成物は、電気抵抗が低く且つ均一な導電性を有し、表面平滑性を有し、成形時や成形後に加えられる応力による変形を緩和し寸法精度に優れる導電性部材を安価に得ることができる。また、本発明の導電性部材は、電気抵抗が低く且つ均一な導電性を有し、表面平滑性を有し、成形時や成形後に加えられる応力による変形を緩和し寸法精度に優れ、安価である。更に、本発明の導電性部材の製造方法は、電気抵抗が低く且つ均一な導電性を有し、表面平滑性を有し、成形時や成形後に加えられる応力による変形を緩和し寸法精度に優れる導電性部材を安価に製造することができる導電性部材の製造方法を提供することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のゴム組成物は、少なくともエピハロヒドリン単位及び40モル%以上のアルキレンオキサイド単位を含む未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)と、100℃における応力緩和速度が0.7以上の未加硫のゴム(B)とを含有することを特徴とする。
【0014】
本発明のゴム組成物に用いる未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)は、少なくともエピハロヒドリン単位及び40モル%以上のアルキレンオキサイド単位を含むゴムである。かかるエピハロヒドリンゴム(A)に含まれるエピハロヒドリン単位としては、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、エピヨウドヒドリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうちエピクロルヒドリンが、電気抵抗が低く、入手が容易であるため好ましい。
【0015】
エピハロヒドリンゴム(A)に含まれるアルキレンオキサイド単位は、具体的には、エチレンオキシド、トリメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の単位を挙げることができ、これらの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうちエチレンオキサイドが導電性を効果的に発現させることができるため好ましい。
【0016】
上記エピハロヒドリンゴム(A)中のアルキレンオキサイド単位の含有割合としては、40モル%以上であり、好ましくは70モル%以上であり、90モル%以下であることが好ましい。アルキレンオキサイド単位の含有割合が40モル%以上であれば、電子導電系の導電剤を使用せずに抵抗値が107Ω以下の成形体を得ることができ、70モル%以上であれば、より低い抵抗が可能となり、抵抗値が106Ω以下の成形体を得ることができる。また、アルキレンオキサイド単位の含有割合が90モル%以下であれば、成形体において吸水性が上昇し環境の変化によって抵抗が変動することを抑制することができる。
【0017】
上記エピハロヒドリンゴム(A)は、上記エピハロヒドリン単位、アルキレンオキサイド単位の他、更にエピハロヒドリン単位、アルキレンオキサイド単位の機能を阻害しない範囲においてアリルグリシジルエーテル単位を含むものであってもよい。アリルグリシジルエーテル単位を含むことにより、脱ハロゲンによる加硫ではなく、一般に用いられる加硫剤、加硫促進剤であるイオウやイオウ化合物を用いて加硫成形ができる。アリルグリシジルエーテル単位のエピハロヒドリンゴム(A)中の含有割合としては、例えば、3〜8モル%を挙げることができる。
【0018】
また、本発明のゴム組成物に含まれる100℃における応力緩和速度が0.7以上の未加硫のゴム(B)は、導電性の低下を抑制し、成形時や成形後に加えられる応力による変形を迅速に緩和する機能を有し、成形体において寸法精度を高くする。このようなゴム(B)は更に成形体における研磨加工による表面粗さの低減を抑制することができる。
【0019】
ここで、応力緩和速度とは、充填剤等の未配合の未加硫原料ゴムをムーニー粘度計(ムーニービスコメータ SMV300RT:島津製作所製)にてASTM D1646に準じた測定値に基づくものとすることができる。100℃における応力緩和速度としては、具体的には、100℃の条件で1分間のプレヒート、4分間のムーニー粘度測定後、粘度測定ローターを停止させた時のローターにかかる残留応力と、1分間経過後の測定値を対数プロットし、傾きを計算することで得られるものである。
【0020】
上記未加硫ゴム(B)としては、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンノルボルネンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴムなどを挙げることができる。アクロロニトリルブタジエンゴムとしては、具体的には、30〜40モル%のアクリロニトリル単位を含む未加硫のアクリロニトリルブタジエンゴムを好ましいものとして挙げることができる。アクリロニトリルブタジエンゴム中のアクリロニトリルはゴム分子の結晶性に寄与しており、アクリロニトリルの含有割合が多いほどゴム分子の結晶性は高くなる傾向がある。アクリロニトリルブタジエンゴム中のアクリロニトリルの含有割合が30モル%以上であると、アクリロニトリルブタジエンゴムの結晶性を高くすることができる。すなわちゴム分子の分子運動量が過大となるのを抑制し、成形時において応力による変形に対する復元性が高く、迅速に緩和を図ることができる。また、アクリロニトリルの含有割合が40モル%以下であれば、ゴム組成物の分子運動量の低下を抑制し、抵抗が高くなるのを抑制することができる。
【0021】
このような未加硫エピハロヒドリンゴム(A)と100℃における応力緩和速度が0.7以上の未加硫ゴム(B)とが、その粘度において、未加硫エピクロルヒドリンゴム(A)が高粘度であり、未加硫ゴム(B)が低粘度であり、これらの粘度差が大きいことが好ましい。エピハロヒドリンゴム(A)とゴム(B)とがこのような粘度を有し、これらの含有割合が後述の範囲であると、ゴム(B)が海状態となって連続相を構成し、エピハロヒドリンゴム(A)が島状態となってゴム(B)中に分散された海島構造を構成することができる。このような海島構造によって、本発明のゴム組成物において低い電気抵抗値を有し、優れた加工性を有するものとできる。ゴム(B)が連続相を構成することにより、成形時の応力による変形に対し迅速に復元する応力緩和速度が速く、加工性を向上することができる。このような海島構造において、更に、エピハロヒドリンゴム(A)の島構造が複数が連結した状態であることが、ゴム組成物において良好な導電性を発現するため好ましい。
【0022】
上記海島構造を有するものとするため、未加硫エピハロヒドリンゴム(A)が100℃におけるムーニー粘度の範囲として55〜80を有し、未加硫のゴム(B)が100℃におけるムーニー粘度の範囲として20〜30を有することが、好ましい。エピハロヒドリンゴム(A)が100℃におけるムーニー粘度として55以上を有することにより、ゴム(B)との関連において分散相となることができる。また、ムーニー粘度が80以下であれば、ゴム組成物の混練時において、高粘度により混練が困難になるのを抑制することができる。また、ゴム(B)が100℃におけるムーニー粘度の範囲としてこの範囲を有することにより、エピハロヒドリンゴム(A)との関連において連続相となり、本発明のゴム組成物において、安定した海島構造を有することができる。
【0023】
上記エピクロルヒドリンゴム(A)とゴム(B)との含有割合としては、質量比(A)/(B)として99/1〜80/20であることが好ましく、より好ましくは、97/3〜85/15である。ゴム(B)の含有割合が、1質量%以上であれば、ゴム組成物の成形時における応力に対し迅速な緩和性を有し、加工性に優れ、20質量%以下であれば、ゴム(B)の海構造による優れた加工性を備え、低抵抗を得ることができる。ゴム(B)の含有割合が、3質量%以上、15質量%以下であれば、上記効果をより顕著に得ることができる。
【0024】
本発明のゴム組成物には、上記の他、電気抵抗を調整するため導電剤を配合することができる。導電剤としては、カーボンブラック、導電性金属酸化物等の電子導電系導電剤であってもよいが、抵抗の均一性を向上させるためにイオン導電系導電剤が好ましい。イオン導電系導電剤としては、例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム等の無機イオン物質;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルプロピルアンモニウムブロミド、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウムエトサルフェート等の陽イオン性界面活性剤;ラウリルベタイン、ステアリルべタイン、ジメチルアルキルラウリルベタイン等の両性イオン界面活性剤;過塩素酸テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、過塩素酸トリメチルオクタデシルアンモニウム等の第四級アンモニウム塩などを挙げることができる。
【0025】
また、本発明のゴム組成物には、必要に応じて、充填材、加硫剤、老化防止剤、加硫遅延剤、加工助剤など適宜配合することができる。
【0026】
上記充填剤としては、カーボンブラック、無機充填材、各種可塑材等を挙げることができる。例えば、補強性を付与する目的でカーボンブラックを添加する場合、MT、FT、GPF、SRFカーボンブラック等の導電性が低いカーボンブラックとすることが好ましい。前記カーボンブラックは、ゴム成分100質量部に対して、5〜15質量部添加することができる。また、高比表面積、高ストラクチャーといった特性を有する導電性のカーボンブラックも本発明のゴム組成物に対して抵抗の均一性を損なわない程度の量を添加することができる。
【0027】
増量材としては、各種炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ等の無機充填材を添加してもよい。また、研磨性を向上させる目的で、補強性の低い炭酸カルシウムを添加することが好ましく、その添加量としては、ゴム成分100質量部に対して30〜100質量部とすることができる。
【0028】
また、本発明のゴム組成物はエピクロルヒドリンゴムを含むことから、ハイドロタルサイト、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の受酸材を添加してもよく、その添加量としては、ゴム成分100質量部に対して、1〜10質量部とすることができる。
【0029】
可塑材としては、公知のオイル等を適宜添加することができ、本発明のゴム組成物は、エピクロルヒドリンゴムを主成分とするため、各種エステル系可塑材を用いることが好ましい。具体的には、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、フタル酸エステル等を挙げることができる。また、感光体と接触して使用する導電性部材に使用する場合には、析出した可塑材が感光体を汚染することを抑制するため、添加する可塑材としては前記エステル化合物をプロピレングリコール等の重合により高分子量化したエステル化合物が好ましい。
【0030】
加硫剤としては、イオウやイオウ含有有機化合物やパーオキサイドをはじめとする各種加硫剤を使用することができる。パーオキサイドを使用した場合は、圧縮永久歪み性は良好なものが得られるが、金型加硫等の加硫方法が限定されるうえ、得られる電気抵抗値が高くなる傾向にあって使用方法に制限が多くなる。また、2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジンを使用した場合は、圧縮永久歪み性が優れた成形物が得られるが、スコーチ性が悪化するため、取扱いに注意が必要となる。イオウやイオウ含有有機化合物を用いた場合、スコーチ性、圧縮永久ひずみの調整が容易であるため、好ましい。
【0031】
本発明のゴム組成物の製造方法としては、具体的には、上記未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)と、100℃における応力緩和速度が0.7以上の未加硫のゴム(B)と、各種添加剤とを、必要に応じて温度調整を行ない、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーといった密閉型混合機を使用して混合する方法や、オープンロールのような開放型の混合機を使用して混合する方法等を例示することができる。混合時の温度としては、70℃〜90℃の範囲が好ましい。70℃以上であれば、エピクロルヒドリン系ゴム等性ゴムを押出す場合、ゴムの吸水による加硫時のボイドの形成を抑制することができ、また、90℃以下であれば、長時間連続で押出した場合であってもゴムのスコーチを抑制することができる。
【0032】
本発明の導電性部材は、上記本発明のゴム組成物を加硫してなる弾性抵抗層を有することを特徴とする。
【0033】
本発明の導電性部材としては、電子写真装置に設けられる帯電装置、現像装置、転写装置などに組み込まれる導電性部材であることが好ましい。その形状としては、ローラー、ブレード、ブラシ、エンドレスベルト等いずれの形状であってもよく、例えば、図1に示す、導電性芯金1a上に弾性抵抗層1bを有する導電性ローラーを、一例として挙げることができる。
【0034】
上記導電性芯金は、弾性抵抗層の支持部材として機能し、導電性樹脂層の電極として機能するものが好ましい。導電性芯金の材質としては、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性を有する合成樹脂など導電性材質を挙げることができる。導電性芯金の外径としては、例えば、4〜10mmなどを挙げることができる。
【0035】
本発明の導電性部材の弾性抵抗層としては上記ゴム組成物を成形、加硫して得られるものであれば、いずれのものであってもよく、導電性部材を帯電ローラーに適用した場合、その厚さとしても適宜選択することができる。
【0036】
本発明の導電性部材の製造方法は、上記ゴム組成物を導電性芯金と同時に押出した後、加硫することを特徴とする。
【0037】
以下、本発明の導電性部材の製造方法の一例として、図1に示す導電性ローラーを、図2に模式的に示す製造装置を用いて製造する製造方法について説明する。図2に示す製造装置には、クロスヘッド19を備えた押出し機18が備えられる。クロスヘッド19には、矢印方向に回転している芯金送りローラー20によって送られる導電性芯金1aが後ろから挿入され、クロスヘッド19において、押出し機18から混練されて供給される上記ゴム組成物が導電性芯金1aの周囲を被覆する。導電性芯金1aとその周囲を被覆した未加硫のゴム組成物がクロスヘッド19から一体的に同時に押出される。クロスヘッド19の下流には、芯金端部を被覆したゴム組成物の端部を切り込み芯金端部から除去する突切冶具22が設けられ、芯金上に未加硫の弾性抵抗層を有する未加硫ローラー21を得る。
【0038】
未加硫ローラーの加熱は、熱風炉、加硫缶、熱盤、遠・近赤外線、誘導加熱などいずれの手法でもよく、加熱は130℃〜250℃で時間5分〜120分行うことができ、好ましくは140℃〜200℃で時間10〜40分で行い、導電性ローラーを得ることができる。この後、必要に応じて二次加硫することもできる。
【0039】
また、加硫後のローラーを研磨用砥石などによって、所望の形状、もしくはローラの表面粗さを整えてもよい。
【0040】
このようにして得られた導電性部材の表面には、必要に応じて導電性表面層を設けることができる。表面層としては、例えば、帯電ローラーの場合、感光体上にピンホール等の欠陥が生じたとき、ここに帯電電流が集中して、帯電部材、感光体が破損することを防止する機能を有するものとでき、その電気抵抗値としては1×106〜1×1010Ω程度が好ましい。導電性表面層としては、例えば、アクリル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、シリコーン等のバインダー高分子を基材とし、これに導電粒子を適宜分散させ、所望の電機抵抗値としたものを挙げることができる。導電粒子としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化錫等の酸化物;Cu、Ag等の金属、酸化物や金属を粒子表面に被覆して導電化した導電粒子等を用いることができる。
【0041】
上記導電性表面層の作製方法としては、上記バインダー高分子を溶剤に溶解または分散し、これに上記導電粒子等を分散させた塗工液を調製する。この塗工液を用いて、ディッピング、ビーム塗工、ロールコーター等の塗工法によって、弾性抵抗層表面にコーティングする方法や、バインダー高分子と導電粒子を練り込み、それを押出機などによって弾性抵抗層に押出し、被覆する方法等を挙げることができる。
【0042】
本発明の導電性部材には、これらの弾性抵抗層や導電性表面層の他、接着層、拡散防止層、下地層、プライマー層等の機能層を必要に応じて設けることもできる。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明のゴム組成物を適用した具体的な実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
[ゴム組成物の調製]
以下の組成を100℃に調節した加圧式ニーダーにて10分間混練して原料コンパウンドを調製した。
【0044】
組成
エピクロルヒドリンゴム3元共重合体(エピクロルヒドリン:エチレンオキサイド:アリルグリシジルエーテル=23モル%:73モル%:4モル%、ムーニー粘度ML1+4 65) 95質量部
アクリルニトリルブタジエンゴム(応力緩和速度0.8、ムーニー粘度ML1+4 27、アクリルニトリル量33.5モル%) 5質量部
充填剤としての重質炭酸カルシウム 45質量部
補強剤としてカーボンブラック(MTサーマル) 5質量部
酸化亜鉛 5質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
老化防止剤として2−メルカプトベンツイミダゾール 0.5質量部
第4級アンモニウム塩(ジメチルヒドロキシエチルオクチルアンモニウムパークロレート) 1質量部 このコンパウンドに加硫促進剤としてのジベンゾチアジルジスルフィド1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド1質量部、加硫剤としての硫黄2質量部を加えて更に10分間、25℃に調節したオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
[導電性部材の作製]
[弾性抵抗層]
得られたコンパウンドをゴム押し出し機を使用して、熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20)を5〜15μm程度の厚さに塗布した直径6mm、長さ250mmの円柱形の導電性芯金(鋼製、表面はニッケルメッキ)の周囲にローラー状になるように押出し、成形した。
【0045】
押し出し成形装置は図2に示す装置を用いた。押出し機は口径50mm、L/D=12、口径7mmのダイス、口径3のニップルを用い、ヘッド温度:70℃、前シリンダー温度:70℃、後シリンダー温度:70℃、スクリュー回転数:12rpmとした。芯金送りローラー20によりクロスヘッド19に芯金を供給し、芯金の周囲に未加硫ゴムを巻きつけた後、突切冶具22により端部のゴムを5mm除去し、仮突っ切りした。
【0046】
その後、電気オーブンの中で160℃で2時間、加硫および接着剤の硬化を行った。
【0047】
加硫後、芯金端面から10mmの部分までゴムを除去し、本突っ切りした。
【0048】
その後、プランジ研磨機(砥石GC120、砥石径300mm、砥石回転数2500rpm)にて外径8.5mmに研磨し、弾性抵抗層を作製した。
[導電性表面層]
ラクトン変性アクリルポリオール(商品名:プラクセルDC2009、ダイセル化学工業(株)製)200重量部を、500重量部のMIBK(メチルイソブチルケトン)に溶解し、固形分20重量%の溶液とした。このアクリルポリオール溶液200重量部に対してカーボンブラックをシリカにコートした導電粒子(一次粒子径14nm、コート厚さ2.0nm、カーボンブラックのPH3.5)30質量部を加えた。これに直径0.8mmのガラスビーズ200重量部を加えて、450mlのビンに入れてペイントシェーカを使い12時間分散した。この分散液370質量部にヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート型3量体(商品名:デュラネートTPA−B80E、旭化成工業製)を25重量部混合し、ボールミルで1時間攪拌して導電性表面層塗料を得た。
【0049】
得られた導電性表面層塗料をディッピンク法によりローラー状の導電性部材の弾性抵抗層表面に塗工し、30分間風乾した後、160℃で120分間乾燥し、導電性ローラー(実施例1)を得た。
[実施例2]
原料コンパウンドを以下の組成として調製した他は、実施例1と同様にして導電性ローラー(実施例2)を得た。
【0050】
組成
エピクロルヒドリンゴム3元共重合体(エピクロルヒドリン:エチレンオキサイド:アリルグリシジルエーテル=23モル%:73モル%:4モル%、ムーニー粘度ML1+4 60) 85質量部
アクリルニトリルブタジエンゴム(応力緩和速度0.8、ムーニー粘度ML1+4 27、アクリルニトリル量33.5モル%) 15質量部
充填剤としての重質炭酸カルシウム 45質量部
補強剤としてカーボンブラック(MTサーマル) 5質量部
酸化亜鉛 5質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
老化防止剤として、2−メルカプトベンツイミダゾール 0.5質量部
第4級アンモニウム塩(ジメチルヒドロキシエチルオクチルアンモニウムパークロレート) 1質量部
[実施例3]
原料コンパウンドを以下の組成として調製した他は、実施例1と同様にして導電性ローラー(実施例3)を得た。
【0051】
組成
エピクロルヒドリンゴム3元共重合体(エピクロルヒドリン:エチレンオキサイド:アリルグリシジルエーテル=40モル%:56モル%:4モル%、ムーニー粘度ML1+4 60) 95質量部
アクリルニトリルブタジエンゴム(応力緩和速度0.8、ムーニー粘度ML1+4 27、アクリルニトリル量33.5モル%) 5質量部
充填剤としての重質炭酸カルシウム 45質量部
補強剤としてカーボンブラック(MTサーマル) 5質量部
酸化亜鉛 5質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
老化防止剤として、2−メルカプトベンツイミダゾール 0.5質量部
第4級アンモニウム塩(ジメチルヒドロキシエチルオクチルアンモニウムパークロレート) 1質量部
[実施例4]
原料コンパウンドを以下の組成として調製し、得られたコンパウンドに加硫促進剤として、ジベンゾチアジルジスルフィド2質量部、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド1質量部、テトラメチルチウラムモノスルフィド1質量部、加硫剤としての硫黄2質量部を加えた他は、実施例1と同様にして導電性ローラー(実施例4)を得た。
【0052】
組成
エピクロルヒドリンゴム3元共重合体(エピクロルヒドリン:エチレンオキサイド:アリルグリシジルエーテル=23モル%:73モル%:4モル%、ムーニー粘度ML1+4 65) 95質量部
エチレンプロピレンノルボルネンゴム(応力緩和速度0.7、ムーニー粘度ML1+4 21) 5質量部
充填剤としての重質炭酸カルシウム 45質量部
補強剤としてカーボンブラック(MTサーマル) 5質量部
酸化亜鉛 5質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
老化防止剤として、2−メルカプトベンツイミダゾール 0.5質量部
第4級アンモニウム塩(ジメチルヒドロキシエチルオクチルアンモニウムパークロレート) 1質量部
[実施例5]
原料コンパウンドを以下の組成として調製した他は、実施例1と同様にして導電性ローラー(実施例5)を得た。
【0053】
組成
エピクロルヒドリンゴム3元共重合体(エピクロルヒドリン:エチレンオキサイド:アリルグリシジルエーテル=23モル%:73モル%:4モル%、ムーニー粘度ML1+4 65) 75質量部
アクリルニトリルブタジエンゴム(応力緩和速度0.8、ムーニー粘度ML1+4 27、アクリルニトリル量33.5モル%) 25質量部
充填剤としての重質炭酸カルシウム 45質量部
補強剤としてカーボンブラック(MTサーマル) 5質量部
酸化亜鉛 5質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
老化防止剤として、2−メルカプトベンツイミダゾール 0.5質量部
第4級アンモニウム塩(ジメチルヒドロキシエチルオクチルアンモニウムパークロレート) 1質量部
[比較例1]
原料コンパウンドを以下の組成として調製した他は、実施例1と同様にして導電性ローラー(比較例1)を得た。
【0054】
組成
エピクロルヒドリンゴム3元共重合体(エピクロルヒドリン:エチレンオキサイド:アリルグリシジルエーテル=23モル%:73モル%:4モル%、ムーニー粘度ML1+4 65) 100質量部
充填剤としての重質炭酸カルシウム 45質量部
補強剤としてカーボンブラック(MTサーマル) 5質量部
酸化亜鉛 5質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
老化防止剤として、2−メルカプトベンツイミダゾール 0.5質量部
第4級アンモニウム塩(ジメチルヒドロキシエチルオクチルアンモニウムパークロレート) 1質量部
[比較例2]
原料コンパウンドを以下の組成として調製した他は、実施例1と同様にして導電性ローラー(比較例2)を得た。
【0055】
組成
エピクロルヒドリンゴム3元共重合体(エピクロルヒドリン:エチレンオキサイド:アリルグリシジルエーテル=23モル%:73モル%:4モル%、ムーニー粘度ML1+4 65) 100質量部
アクリルニトリルブタジエンゴム(応力緩和速度0.55、ムーニー粘度ML1+4 32、アクリルニトリル量18モル%) 5質量部
充填剤としての重質炭酸カルシウム 45質量部
補強剤としてカーボンブラック(MTサーマル) 5質量部
酸化亜鉛 5質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
老化防止剤として、2−メルカプトベンツイミダゾール 0.5質量部
第4級アンモニウム塩(ジメチルヒドロキシエチルオクチルアンモニウムパークロレート) 1質量部[比較例3]
原料コンパウンドを以下の組成として調製した他は、実施例1と同様にして導電性ローラー(比較例3)を得た。
【0056】
組成
アクリルニトリルブタジエンゴム(応力緩和速度0.55、ムーニー粘度ML1+4 32、アクリルニトリル量18モル%) 100質量部
充填剤としての重質炭酸カルシウム 20質量部
導電性粒子としてカーボンブラック(ケッチェンブラックEC) 5質量部
(SRFカーボン) 20質量部
酸化亜鉛 5質量部
ステアリン酸亜鉛 1質量部
老化防止剤として、2−メルカプトベンツイミダゾール 0.5質量部
可塑材として、アジピン酸エステル 10質量部
[導電性ローラーの評価]
得られた各導電性ローラーについて以下のように評価を行った。
[成形時及び成形後の応力緩和性(押出し特性)の評価]
弾性抵抗層を押出し成形し、仮突っ切りした時および加硫後の本突っ切りした時の芯金端部からのゴムの収縮及び収縮に伴う剥がれを以下の基準により評価した。結果を表1に示す。
【0057】
○:仮突っ切り時の芯金端面からのゴムの軸方向の収縮及び剥がれが1mm未満であり 、加硫後の本突っ切り後の形状不良がなく、画像上の問題がない。
【0058】
△:仮突っ切り時の芯金端面からのゴムの軸方向の収縮及び剥がれが1mm以上3mm 未満であり、加硫後の本突っ切りした後の形状不良がなく、画像上の問題がない。
【0059】
×:仮突っ切り時の芯金端面からのゴムの軸方向の収縮及び剥がれが3mm以上であり、加硫後の本突っ切後の形状不良があり、画像上、ローラ端部の位置に黒もや状の画像不良がある。
[表面平滑性の評価]
弾性抵抗層の表面粗さを接触式表面粗さ計(SE−3300H:小坂研究所製)を用いて測定した。JIS1982に基づき、カットオフ0.8mm、測定距離8mm、送り速度0.1mm/sにて、導電性ローラーの任意の長手方向3個所、周方向3個所(任意の場所を起点に120°刻み)のRzを測定し、平均値を求めた。結果を表1に示す。
[導電性の評価]
導電性表面層を成形して得られた導電性ローラーについて、電気抵抗を図3に示す装置を用いて測定した。図中、1は導電性ローラ−、15はステンレス製の円筒電極、16は抵抗、17はレコーダーを示す。導電性ローラーと円筒電極間の押圧力は片側4.9N、総荷重を9.8Nとし、円筒電極を30rpmにて回転させながら外部直流電源S1から−200Vを10秒間印加した際の抵抗値を測定した。電気抵抗値は10秒間印加した際の平均値とした。
【0060】
また、電気抵抗のムラは上記条件で10秒間印加した際の最大値/最小値の値とした。結果を表1に示す。
[画像評価]
導電性表面層を成形して得られた導電性ローラーについて、画像評価を行った。
【0061】
導電性ローラーと感光体とを一体として有するプロセスカートリッジを具備する反転現像方式のA4縦出力用の電子写真式レーザープリンターを用いた。記録メディアの出力スピードは、94mm/sEcで、画像解像度は600dpiである。電子写真式レーザープリンターの各部材の詳細は以下に示す。
【0062】
感光体は、アルミシリンダーに膜厚1.8μmのOPC層をコートし、最外層として変性ポリカーボネートをバインダー樹脂とする電荷輸送層を有する感光ドラムである。トナーは、ワックスを中心に電荷制御剤と色素等を含有するスチレンとブチルアクリレートのランダムコポリマーを重合させ、更に表面にポリエステル薄層を重合させたトナー粒子にシリカ微粒子を外添したものである。このトナーは、ガラス転移温度63℃、体積平均粒径6μmである。
【0063】
15℃、湿度10%環境下で、画像比率2%のA4横の画像を連続で5万枚の通紙を行った。通紙前後において、感光体のみを未使用状態の感光体に交換し、現像バイアスの直流電圧成分を現像位置での感光体上電位とほぼ同じにして、画像露光を行わずハーフトーン濃度の画像(アナログハーフトーン)の画だしを行った。導電性ローラー汚れによる帯電不均一を以下の基準に従い評価を行った。
【0064】
◎:アナログハーフトーンで、スジ、ムラ状の帯電不良の発生はなく、均一な画像が得られた。
【0065】
○:アナログハーフトーンで僅かにスジ状の帯電不良が発生するものの、通常のハーフ トーン画像では問題のない画像が得られた。
【0066】
△:アナログハーフトーンで僅かにスジ状の帯電不良が発生し、通常のハーフトーン画 像でも僅かにスジ状の帯電不良が発生した。
【0067】
×:アナログハーフトーンで僅かにスジ状の帯電不良が発生し、通常のハーフトーン画像、またベタ白画像でも帯電不良によるカブリ画像が発生した。結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の導電性部材の一例の導電性ローラーを示す概略側面図である。
【図2】本発明の導電性部材の製造方法に用いる製造装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明の導電性部材の電気抵抗を測定する装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0070】
1 導電性ローラー
1a 導電性芯金
1b 弾性抵抗層
15.ステンレス製の円筒電極
16.抵抗
17.レコーダー
18.押出し機
19.クロスヘッド
20.芯金送りローラ
21.未加硫ローラ
22.突切冶具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともエピハロヒドリン単位及び40モル%以上のアルキレンオキサイド単位を含む未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)と、100℃における応力緩和速度が0.7以上の未加硫のゴム(B)とを含有することを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)と未加硫のゴム(B)とを、質量比(A)/(B)として99/1〜80/20の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)が100℃におけるムーニー粘度の範囲として55〜80を有し、未加硫のゴム(B)が100℃におけるムーニー粘度の範囲として20〜30を有することを特徴とする請求項1または2記載のゴム組成物。
【請求項4】
未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)が、70モル%以上のアルキレンオキサイド単位を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のゴム組成物。
【請求項5】
未加硫のゴム(B)が、30〜40モル%のアクリロニトリル単位を含む100℃における応力緩和速度が0.7以上の未加硫のアクリロニトリルブタジエンゴム(b)であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のゴム組成物。
【請求項6】
未加硫のエピハロヒドリンゴム(A)がエピクロルヒドリン単位及び40モル%以上のアルキレンオキサイド単位を含む未加硫のエピクロルヒドリンゴム(a)であって、該未加硫のエピクロルヒドリンゴム(a)と未加硫のアクリロニトリルブタジエンゴム(b)とを、質量比(a)/(b)として99/1〜80/20の割合で含有することを特徴とする請求項4記載のゴム組成物。
【請求項7】
未加硫のエピクロルヒドリンゴム(a)が100℃におけるムーニー粘度の範囲として55〜80を有し、未加硫のアクリロニトリルブタジエンゴム(b)が100℃におけるムーニー粘度の範囲として20〜30を有することを特徴とする請求項4記載のゴム組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載のゴム組成物を加硫してなる弾性抵抗層を有することを特徴とする導電性部材。
【請求項9】
導電性表面層を有することを特徴とする請求項8記載の導電性部材。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか記載のゴム組成物を導電性芯金と同時に押出した後、加硫することを特徴とする導電性部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−161889(P2007−161889A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360323(P2005−360323)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】