説明

ゴム組成物

本発明は、(A)少なくとも1種のゴム、(B)少なくとも1種の酸化物系充填剤及び(C)少なくとも1種の、一般式(X)(X’)(X")Si‐R‐Hal の(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランを含有するゴム組成物に関する。このゴム組成物を成形体の製造に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物、その製造及びその使用に関する。
【0002】
AT379404Bから、ハロゲン不含のゴムをベースとする加硫可能なゴム組成物が公知である。そのゴム組成物は、式 X‐C2m+1−p‐SiR(OR)3−n の有機シラン0.1〜30質量%を含有する。
【0003】
更に、JP2005232445A2から、式 (R‐O)(3−m)‐(R‐Si‐R‐X のゴム添加剤が公知である。
【0004】
JP2002145890A2から、(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランからのポリスルフィド系オルガノ(アルキルポリエーテルシラン)の製法が公知である。
【0005】
オルガノ(アルキルポリエーテルシラン)を含有する公知のゴム組成物の欠点は、継続引裂抵抗が悪いことである。
【0006】
本発明の課題は、加硫後に、改善された継続引裂抵抗を有するゴム組成物を得ることである。
【0007】
本発明の目的は、
(A)少なくとも1種のゴム、
(B)少なくとも1種の酸化物系充填剤及び
(C)少なくとも1種の、式I:
(X)(X’)(X")Si‐R‐Hal I
[式中、
Halは、F、Cl、Br又はIであり、
Xは、アルキルポリエーテル基 O‐((CRII‐O‐)Alk であり、
ここで、RIIは、相互に無関係で、H、フェニル‐又はアルキル基であり、
w=2〜20、有利に2〜17、特に有利に2〜15、非常に特に有利に2〜13、極めて有利に2〜10であり、
t=2〜20、有利に3〜17、特に有利に3〜15、非常に特に有利に4〜15、極めて有利に4〜10であり、
Alkは、6個以上の炭素原子を有する、分枝鎖又は非分枝鎖の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、脂肪族、芳香族又は混合された脂肪族/芳香族系の単結合性炭化水素基、有利にC〜C25‐、特に有利にC〜C22‐、非常に特に有利にC〜C17‐、極めて有利にC11〜C16‐炭化水素基であり、
X’は、分枝鎖又は非分枝鎖のアルキル、有利にC〜C18アルキル、特に有利に‐CH、‐CH‐CH、‐CH(CH)‐CH、‐CH‐CH‐CH又はC‐C18‐アルキル、
分枝鎖又は非分枝鎖のアルコキシ、有利に分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C22アルコキシ、特に有利に‐OCH、‐OCH‐CH、‐OCH(CH)‐CH、‐OCH‐CH‐CH、‐OC19、‐OC1021、‐OC1123、‐OC1225、‐OC1327、‐OC1429、‐OC1531、‐OC1633、‐OC1735又は‐OC1837
分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C25アルケニルオキシ、有利にC〜C20アルケニルオキシ、特に有利にC〜C18アルケニルオキシ、
〜C35アリールオキシ、有利にC〜C30アリールオキシ、特に有利にフェニルオキシ(‐OC)又はC〜C18アリールオキシ、
分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C35アルキルアリールオキシ基、有利にC〜C30アルキルアリールオキシ基、特に有利にベンジルオキシ、(‐O‐CH‐C)又は‐O‐CH‐CH‐C
分枝鎖又は非分枝鎖のC‐C35アラルキルオキシ基、有利にC‐C25アラルキルオキシ基、特に有利にトリルオキシ(‐O‐C‐CH)又はC〜C18アラルキルオキシ基、
又はXであり、
X"は、分枝鎖又は非分枝鎖のアルキル、有利にC〜C18アルキル、特に有利に‐CH、‐CH‐CH、‐CH(CH)‐CH、‐CH‐CH‐CH又はC〜C18‐アルキル、
分枝鎖又は非分枝鎖のアルコキシ、有利に分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C22アルコキシ、特に有利に‐OCH、‐OCH‐CH、‐OCH(CH)‐CH、‐OCH‐CH‐CH、‐OC19、‐OC1021、‐OC1123、‐OC1225、‐OC1327、‐OC1429、‐OC1531、‐OC1633、-OC1735又は‐OC1837
分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C25アルケニルオキシ、有利にC〜C20アルケニルオキシ、特に有利にC〜C18アルケニルオキシ、
〜C35アリールオキシ、有利にC〜C30アリールオキシ、特に有利にフェニルオキシ(‐OC)又はC〜C18アリールオキシ、
分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C35アルキルアリールオキシ基、有利にC〜C30アルキルアリールオキシ基、特に有利にベンジルオキシ、(‐O‐CH‐C)又は‐O‐CH‐CH‐C
分枝鎖又は非分枝鎖のC‐C35アラルキルオキシ基、有利にC‐C25アラルキルオキシ基、特に有利にトリルオキシ(‐O‐C‐CH)又はC〜C18アラルキルオキシ基、
又はXであり、
は、場合により置換されている、分枝鎖又は非分枝鎖の、飽和又は不飽和の、脂肪族、芳香族又は混合された脂肪族/芳香族系の二結合性C〜C30炭化水素基である]の(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランを含有することを特徴とするゴム組成物である。
【0008】
【化1】

【0009】
【化2】

【0010】
【化3】

【0011】
【化4】

【0012】
【化5】

であってよく、この際、炭化水素鎖(Alk)は、分枝鎖又は非分枝鎖であってよい。
【0013】
一般式Iの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、次のものであってよく、この際、アルキル基(Alk)は、非分枝鎖又は分枝鎖であってよい:
【化6】

【0014】
【化7】

【0015】
【化8】

【0016】
【化9】

【0017】
【化10】

【0018】
【化11】

【0019】
【化12】

【0020】
【化13】

【0021】
【化14】

【0022】
【化15】

【0023】
【化16】

【0024】
【化17】

【0025】
Alk=C15、C17、C19、C1021、C1123、C1225、C1327、C14129、C1531、C1633、C1735、C1837、C1939又はC2041である式Iの化合物は、次のものであってよく、この際、基Alkは非分枝鎖又は分枝鎖であってよい:
【化18】

【0026】
【化19】

【0027】
【化20】

【0028】
【化21】

【0029】
【化22】

【0030】
本発明によるゴム組成物において、一般式Iの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン又は同様に一般式Iの化合物を含む混合物を使用することができる。
【0031】
本発明によるゴム組成物において、一般式Iの化合物の加水分解物、オリゴマー又はポリマーのシロキサン及び縮合物を、(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランとして使用することができる。
【0032】
式Iの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、純粋形でも、不活性の有機又は無機担体上に担持されても、かつ有機又は無機担体と予備反応されても、混合過程に添加され得る。有利な担体物質は、沈降又は高熱製造の珪酸、蝋、熱可塑性樹脂、天然又は合成シリケート、天然又は合成酸化物、例えば、酸化アルミニウム、又はカーボンブラックであってよい。更に、式Iの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、使用すべき充填剤と予備反応されて、混合過程に添加されることもできる。
【0033】
有利な蝋は、融点、溶融範囲又は軟化範囲50°〜200℃、有利に70°〜180℃、特に有利に90°〜150℃、非常に特に有利に100°〜120℃を有する蝋であってよい。使用される蝋は、オレフィン系蝋であってよい。使用される蝋は、飽和及び不飽和炭化水素鎖を有することができる。使用される蝋は、ポリマー又はオリゴマー、有利にエマルジョン‐SBR又は/及び溶液‐SBRを含有することができる。使用される蝋は、長鎖アルカン又は/及び長鎖カルボン酸を含有することができる。使用される蝋は、エチレンビニルアセテート及び/又はポリビニルアルコール」を含有することができる。
【0034】
式Iの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、有機物質又は有機物質混合物と物理的に混合されて、混合過程に添加され得る。
【0035】
有機物質又は有機物質混合物は、ポリマー又はオリゴマーを含有することができる。ポリマー又はオリゴマーは、へテロ原子‐含有のポリマー又はオリゴマー、例えば、エチレンビニルアルコール又は/及びポリビニルアルコールであってよい。ポリマー又はオリゴマーは、飽和又は不飽和エラストマー、有利にエマルジョン‐SBR又は/及び溶液‐SBRであってよい。式Iの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン及び有機物質又は有機物質混合物を含む混合物の融点、溶融範囲又は軟化範囲は、50〜200℃、有利に70〜180℃、特に有利に70〜150℃、非常に特に有利に70〜130℃、極めて有利に90〜110℃であってよい。
【0036】
本発明によるゴム組成物の酸化物系充填剤として、次のものを使用することができる:
例えば、シリケートの溶液の沈降によって製造される非晶質珪酸(沈降珪酸)又はハロゲン化珪素の火炎加水分解によって製造される非晶質珪酸(高熱製造珪酸)。非晶質珪酸は、比表面積5〜1000m/g、有利に20〜400m/g、(BET‐表面積)及び一次粒度10〜400nmを有してよい。珪酸は、場合により、他の金属酸化物、例えば、Al‐、Mg‐、Ca‐、Ba‐、Zn‐酸化物及び酸化チタンとの混合酸化物として存在することができる。
【0037】
合成シリケート、例えば、珪酸アルミニウム又はアルカリ土類金属珪酸塩、例えば、珪酸マグネシウム又は珪酸カルシウム。合成シリケートは、BET‐表面積20〜400m/g及び一次粒径10〜400nmを有してよい。
【0038】
合成又は天然の酸化‐及び水酸化アルミニウム。
【0039】
天然のシリケート、例えば、カオリン及び他の天然由来の珪酸。
【0040】
ガラス繊維及びガラス繊維製品(マット、索状物)又は微小ガラス球。
【0041】
BET‐表面積20〜400m/gを有する、シリケートの溶液の沈降によって製造された非晶質珪酸(沈降珪酸)を使用することが有利である。非晶質珪酸は、各々ゴム100部に対して(phr)、5〜150質量部の量で使用され得る。
【0042】
前記の充填剤は、単独で、又は混合して使用され得る。特に有利な実施では、ゴム組成物は、各々ゴム100質量部に対して、酸化物系充填剤10〜150質量部を、場合によりカーボンブラック0〜100質量部、及び式Iの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン1〜20質量部と一緒に含有することができる。
【0043】
付加的な充填剤として、カーボンブラック、例えば、火炎ブラック、ファーネスブラック、ガスブラック又はサーマルブラック、又は合成又は天然の炭酸カルシウム、例えば、沈降炭酸カルシウムを使用することができる。カーボンブラックは、BET‐表面積20〜200m/gを有してよい。カーボンブラックは、場合により、へテロ原子、例えば、Siを含有することができる。
【0044】
本発明によるゴム組成物の製造のために、天然ゴムのほかに、合成ゴムも好適である。有利な合成ゴムは、例えば、W. ホフマン(Hofmann),ゴム技術(Kautschuktechnologie), Genter Verlag, Stuttgart 1980 に記載されている。これらは、特に、
ポリブタジエン(BR);
ポリイソプレン(IR);
スチロール/ブタジエン‐共重合体(SBR)、例えば、エマルジョン‐SBR(E‐SBR)又は溶液‐SBR(L‐SBR)。スチロール/ブタジエン‐共重合体は、スチロール含量1〜60質量%、有利に2〜50質量%、特に有利に10〜40質量%、非常に特に有利に15〜35質量%を有することができる;
クロロプレン(CR);
イソブチレン/イソプレン‐共重合体(IIR);
アクリルニトリル含量5〜60、有利に10〜50質量%(NBR)、特に有利に10〜45質量%(NBR)、非常に特に有利に19〜45質量%(NBR)を有するブタジエン/アクリルニトリル‐共重合体;
部分的水素化又は完全水素化のNBR‐ゴム(HNBR);
エチレン/プロピレン/ジエン‐共重合体(EPDM);
付加的な官能基、例えば、カルボキシ‐、シラノール‐又はエポキシ基を有する前記のゴム、例えば、エポキシド化NR、カルボキシ‐官能化NBR又はシラノール‐(‐SiOH)又はシリルアルコキシ‐官能化(‐Si‐OR)SBR;
及びこれらのゴムの混合物を包含する。PKW‐タイヤトレッドの製造のために、殊に、ガラス転移温度−50℃以上を有する陰イオン重合化L‐SBR‐ゴム(溶液‐SBR)及びジエンゴムとのその混合物が重要であり得る。
【0045】
本発明によるゴム組成物は、更なるゴム助剤、例えば、反応促進剤、老化防止剤、熱安定剤、光保護剤、オゾン保護剤、加工助剤、軟化剤、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、蝋、増量剤、有機酸、遅延剤、金属酸化物及び活性剤、例えば、トリエタノールアミン又はヘキサントリオールを含有することができる。
【0046】
更なるゴム助剤は、次のものである:
分子量50〜50000g/モル、有利に50〜20000g/モル、特に有利に200〜10000g/モル、非常に特に有利に400〜6000g/モル、極めて有利に500〜3000g/モルを有するポリエチレングリコール又は/及びポリプロピレングリコール又は/及びポリブチレングリコール、
炭化水素末端のポリエチレングリコールAlk‐O‐(CH‐CH‐O)yI‐H又はAlk‐(CH‐CH‐O)yI‐Alk
炭化水素末端のポリプロピレングリコールAlk‐O‐(CH‐CH(CH)‐O)yI‐H又はAlk‐O‐(CH‐CH(CH)‐O)yI‐Alk
炭化水素末端のポリブチレングリコールAlk‐O‐(CH‐CH‐CH‐CH‐O)yI‐H、Alk‐O‐(CH‐CH(CH)‐CH‐O)yI‐H、Alk‐O‐(CH‐CH‐CH‐CH‐O)yI‐Alk又はAlk‐O‐(CH‐CH(CH)‐CH‐O)yI‐Alk
[この際、yは、平均して2〜25、有利にyは、平均して2〜15、特に有利にyは、平均して3〜8及び10〜14、非常に特に有利にyは、平均して3〜6及び10〜13であり、かつ
Alkは、1〜35、有利に4〜25、特に有利に6〜20、非常に特に有利に10〜20、極めて有利に11〜14個の炭素原子を有する、分枝鎖又は非分枝鎖の、非置換又は置換された、飽和又は不飽和の炭化水素である]、
ポリエチレングリコール‐、ポリプロピレングリコール‐、ポリブチレングリコール‐又はその混合物でエーテル化されたネオペンチルグリコールHO‐CH‐C(Me)‐CH‐OH、ペンタエリスリットC(CH‐OH)又はトリメチロールプロパンCH‐CH‐C(CH‐OH)
[この際、エーテル化ポリアルコール中のエチレングリコール、プロピレングリコール又は/及びブチレングリコールの繰返し単位は、2〜100、有利に2〜50、特に有利に3〜30、非常に特に有利に3〜15であってよい]。
【0047】
の平均値算定のために、ポリアルキレングリコール単位の分析測定可能な量を、‐Alkの分析測定可能な量に対して比較することができる[ポリアルキレングリコール‐単位量)/(‐Alk量)]。量の測定のために、例えば、H‐及び13C‐核共鳴分光法を使用することができる。
【0048】
本発明によるゴム組成物は、更なるシランを含有することができる。
【0049】
更なるシランとして、本発明によるゴム組成物に、エトキシシリル基含有のメルカプトオルガニルシラン又は/及びエトキシシリル基含有のチオシアナトオルガニルシラン又は/及びエトキシシリル基含有のブロック化メルカプトオルガニルシラン又は/及びエトキシシリル基含有のポリスルフィド系アルコキシシランを添加することができる。
【0050】
更なるシランとして、本発明によるゴム組成物に、トリエトキシシリル基含有のメルカプトオルガニルシラン又は/及びトリエトキシシリル基含有のチオシアナトオルガニルシラン又は/及びトリエトキシシリル基含有のブロック化メルカプトオルガニルシラン又は/及びトリエトキシシリル基含有のポリスルフィド系アルコキシシランを添加することができる。
【0051】
更なるシランとして、本発明によるゴム組成物に、珪素にC17‐O‐、C1021‐O‐、C12125‐O‐、C1429‐O‐、C1633‐O‐又はC1837‐O‐基を有するメルカプトオルガニル(アルコキシシラン)を添加することができる。
【0052】
更なるシランとして、本発明によるゴム組成物に、珪素にC17‐O‐、C1021‐O‐、C12125‐O‐、C1429‐O‐、C1633‐O‐又はC1837‐O‐基を有するチオシアナトオルガニル(アルコキシシラン)を添加することができる。
【0053】
更なるシランとして、本発明によるゴム組成物に、珪素にC17‐O‐、C1021‐O‐、C12125‐O‐、C1429‐O‐、C1633‐O‐又はC1837‐O‐基を有するブロック化メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)を添加することができる。
【0054】
更なるシランとして、本発明によるゴム組成物に、珪素に二官能性アルコール(ジオール)を有するブロック化メルカプトオルガニル(アルコキシシラン)(例えば、ゼネラルエレクトリック社(Firma General Electric)のNXT LowV又はNXT Ultra-LowV)を添加することができる。
【0055】
更なるシランとして、本発明によるゴム組成物に、珪素にC17‐O‐、C1021‐O‐、C1225‐O‐、C1429‐O‐、C1633‐O‐又はC1837‐O‐基を有するポリスルフィド系アルコキシシランを添加することができる。
【0056】
更なるシランとして、本発明によるゴム組成物に、式:
EtO‐Si(Me)‐CH‐CH‐CH‐S‐CH‐CH‐CH‐Si(Me)(OEt)、EtO‐Si(Me)‐CH‐CH‐CH‐S‐CH‐CH‐CH‐Si(Me)(OEt)又はEtO‐Si(Me)‐CH‐CH‐CH‐S‐CH‐CH‐CH‐Si(Me)(OEt)を添加することができる。
【0057】
更なるシランとして、本発明によるゴム組成物に、3‐メルカプトプロピル(トリエトキシシラン)(例えば、デグッサ社(Firma Degussa AG) のSi263)、3‐チオシアナトプロピル(トリエトキシシラン)(例えば、デグッサ社のSi264)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(例えば、デグッサ社のSi69)、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(例えば、デグッサ社のSi266)を添加することができる。
【0058】
更なるシランとして、本発明によるゴム組成物に、アルキルポリエーテルアルコール含有のメルカプトオルガニルシラン(例えば、デグッサ社のSi363)又は/及びアルキルポリエーテルアルコール含有のチオシアナトオルガニルシラン又は/及びアルキルポリエーテルアルコール含有のブロック化メルカプトオルガニルシラン又は/及びアルキルポリエーテルアルコール含有のポリスルフィド系シランを添加することができる。
【0059】
アルキルポリエーテルアルコール含有のメルカプトオルガニルシランは、一般式II:
(X)(X’)(X")Si‐R‐SH II
の化合物であってよい。
【0060】
アルキルポリエーテルアルコール含有のチオシアナトオルガニルシランは、一般式III:
(X)(X’)(X")Si‐R‐SCH III
の化合物であってよい。
【0061】
アルキルポリエーテルアルコール含有のブロック化メルカプトオルガニルシランは、一般式IV:
(X)(X’)(X")Si‐R‐S‐C(O)‐AlkII IV
の化合物であってよく、この際、AlkIIは、分枝鎖又は非分枝鎖の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、脂肪族、芳香族又は混合された脂肪族/芳香族の単結合性炭化水素基、有利にC〜C25‐、特に有利にC〜C22‐、非常に特に有利にC〜C17‐、極めて有利にC11〜C16‐炭化水素基である。
【0062】
アルキルポリエーテルアルコール含有のポリスルフィド系シランは、一般式V:
[(X)(X’)(X")Si‐R‐S
の化合物であってよく、ここで、m=1〜8である。
【0063】
更なるシランの必要量又は所望量の最少化は、経済的又はゴム技術的理由から目的とされ得る。
【0064】
ゴム助剤は、特に使用目的に志向する公知量で使用され得る。各々使用される加工助剤の常量は、ゴムに対して(phr)、0.001〜50質量%、有利に0.001〜30質量%、特に有利に0.01〜30質量%、非常に特に有利に0.1〜30質量%であってよい。
【0065】
本発明によるゴム組成物は、硫黄加硫可能なゴム組成物であってよい。
【0066】
本発明によるゴム組成物は、ペル酸化物架橋結合可能なゴム組成物であってよい。
【0067】
架橋結合剤として、硫黄又は硫黄供給物質を使用することができる。硫黄は、ゴムに対して、0.1〜10質量%、有利に0.1〜5質量%の量で使用され得る。
【0068】
式Iの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、無機物質(例えば、ガラス球、ガラスフリッター、ガラス表面、ガラス繊維、金属、酸化物系充填剤、珪酸)と有機ポリマー(例えば、デュロプラスト、サーモプラスト、エラストマー)との間の接着助剤として、又は酸化物系表面の架橋結合剤及び表面変性化剤として使用され得る。式Iの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、充填ゴム組成物、例えば、タイヤトレッドにおけるカップリング剤として使用され得る。
【0069】
ゴム助剤の必要量又は所望量の最少化は、経済的又はゴム技術的理由から目的とされ得る。
【0070】
本発明によるゴム組成物は、更なる加硫促進剤を含有することができる。
【0071】
加硫促進剤は、使用されるゴムに対して、0.1〜10質量%、有利に0.1〜5質量%の量で使用され得る。
【0072】
本発明によるゴム組成物は、
(D)チウラムスルフィド‐及び/又はカルバメート促進剤及び/又は相応する亜鉛塩、
(E)場合により、窒素含有の助‐活性剤、
(F)場合により、更なるゴム助剤及び
(G)場合により、更なる促進剤
を含有することができる。
【0073】
本発明のもう1つの目的は、本発明によるゴム組成物の製法であり、この方法は、少なくとも1種のゴム、少なくとも1種の酸化物系充填剤及び少なくとも1種の、式(I)の(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランを混合させることを特徴とする。
【0074】
本発明による方法は、温度>25℃で実施され得る。
【0075】
本発明による方法は、温度範囲80℃〜200℃、有利に100°〜180℃、特に有利に110℃〜160℃で実施され得る。
【0076】
本方法は、連続的に又は不連続的に実施され得る。
【0077】
一般式(I)の(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランの添加及び充填剤の添加は、物質温度100〜200℃で行なわれ得る。しかし、これは40〜100℃のより低い温度で、例えば、更なるゴム助剤と一緒に行なうこともできる。
【0078】
ゴムと充填剤、場合によりゴム助剤及び一般式(I)の(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランとの混合は、通例の混合装置、例えば、ロール、内部混合機及び混合押出機中で行なわれ得る。そのようなゴム組成物は、通例的に、内部混合機中で製造され得て、この際、先ず1段階以上の連続する熱機械的混合段階で、ゴム、充填剤、一般式(I)の(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン及びゴム助剤を、100〜170℃で加入混合させる。この際、個々の成分の添加順序及び添加時点は、得られる組成物特性に決定的に影響を与え得る。通例的に、そうして得られるゴム組成物に、内部混合機中で又はロール上で、40〜110℃で、架橋結合化学物質を加え、かつ次の方法段階、例えば、成形及び加硫のための、いわゆる粗組成物に加工され得る。
【0079】
本発明によるゴム組成物の加硫は、80〜200℃、有利に130〜180℃の温度で、場合により10〜200バールの圧力下に行なわれ得る。
【0080】
本発明によるゴム組成物は、空気タイヤ、タイヤトレッド、ケーブル被覆、ホース、伝動ベルト、コンベアベルト、ロールカバー、タイヤ、靴底、密封要素、例えば、シールリング及び制動要素の製造のための成形体の製造に使用され得る。
【0081】
本発明のもう1つの目的は、加硫により本発明によるゴム組成物から得られる成形体である。
【0082】
本発明によるゴム組成物の利点は、高い継続引裂抵抗である。
例:
次の化合物をゴム組成物中で使用する。
【0083】
化合物1:ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドは、デグッサ社(Firma Degussa AG)の商品名Si266として得られる。
【0084】
化合物2:3‐(トリエトキシシリル)プロパンチオールとエトキシル化C13‐アルコールとの反応生成物、VPSi363は、デグッサ社の製品である。
【0085】
化合物3:3‐オクタノイル‐チオプロピル(トリエトキシシラン)は、GE‐OSiの商品名NXTとして得られる。
【0086】
化合物4:S2,15{‐C‐Si(OC[O‐CH‐CH‐)O‐C1327]}は、DE102006008670.8‐43に記載された方法により製造される:
フラスコ中で、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド(デグッサ社)のSi266)479gを、ルテンソル(Lutensol)TO5(BASF AG社)848g及びTi(OBu) 1gと混合させる。混合物を蒸留装置中で減圧下に140℃に加熱させる。圧力を240分間の間に、400ミリバールから50ミリバールに減圧させ、相応するエタノールを留去させる。
【0087】
生成物1230gを単離させる。この生成物を核共鳴分光法で検査し、これは、式 S2,15{‐C‐Si(OC[O‐CH‐CH‐)O‐C1327]} に相応する。
【0088】
比較例の化合物:
化合物5:Cl‐CH‐CH‐CH‐Si(OEt)[(O‐CH‐CH‐OC
合成:
フラスコ中に、3‐クロロプロピルトリエトキシシラン(Si230、デグッサ社)480g、トリエチレングリコールモノブチルエーテル825g及びTi(OBu) 1gを前以て装入させ、130℃に加熱し、生成するエタノールを真空中で留去させる。液状生成物1120gが得られる。
【0089】
化合物6:Cl‐CH‐CH‐CH‐Si(OEt)[O‐CH‐CH‐O‐CH
合成:
フラスコ中に、3‐クロロプロピルトリエトキシシラン(Si230、デグッサ社)750g、HO‐CH‐CH‐O‐CH(メチルグリコール)474g及びTi(OBu) 1gを前以て装入させ、130℃に加熱し、生成するエタノールを、カラムを介して真空中で留去させる。液状生成物930gが得られる。
【0090】
本発明による例のための化合物:
化合物7:Cl‐CH‐CH‐CH‐Si(OEt)[(O‐CH‐CH‐O‐C17
合成:
フラスコ中に、3‐クロロプロピルトリエトキシシラン(Si230、デグッサ社)435g、H‐(O‐CH‐CH‐O‐C17(シェーラー&シェーファー社(Firma Schaerer & Schaepfer)のアデュキソール(Aduxol)Hex 03)950g及びTi(OBu) 0.6gを前以て装入させ、128℃に加熱し、生成するエタノールを真空中で留去させる。液状生成物1190gが得られる。
【0091】
化合物8:Cl‐CH‐CH‐CH‐Si(OEt)[(O‐CH‐CH‐O‐C1327
合成:
フラスコ中に、3‐クロロプロピルトリエトキシシラン(Si230、デグッサ社)343g、H‐(O‐CH‐CH‐O‐C1327(BASF AG社のルテンソルTO3)950g及びTi(OBu) 0.5gを前以て装入させ、132℃に加熱し、生成するエタノールを真空中で留去させる。液状生成物1155gが得られる。
【0092】
化合物9:Cl‐CH‐CH‐CH‐Si(OEt)[(O‐CH‐CH‐O‐C‐O‐C19
合成:
フラスコ中に、3‐クロロプロピルトリエトキシシラン(Si230、デグッサ社)300g、H‐(O‐CH‐CH‐O‐C‐O‐C19(シェーラー&シェーファー社のアデュキソール AH 3)885g及びTi(OBu) 0.3gを前以て装入させ、145〜150℃に加熱し、生成するエタノールを真空中で留去させる。生成物1038gが単離される。
【0093】
例1:ゴム組成物
ゴム組成物に使用される基本処方を、次の例1に挙げる。この際、単位phrは、使用される粗ゴム100部に対する質量割合を意味する。化合物1〜4は、8phrを添加され、化合物5〜9は、各々2phrを混合添加される。実験系列の各々最初の組成物は、化合物1〜4の1化合物だけを含有する。
【0094】
ゴム組成物及び加硫物の一般的製法は、書物:"ゴム技術便覧(Rubber Technology Handbook)"、W. ホフマン(Hofmann)、ハンサー出版(Hanser Verlag)1994 に記載されている。
【0095】
【表1】

【0096】
ポリマー VSL 5025-1 は、スチロール含量25質量%及びブタジエン含量75質量%を有する、バイエル社の溶液重合のSBR‐コポリマーである。このコポリマーは、油37.5phrを含有し、かつムーニー(Mooney)‐粘度(ML1+4/100℃)50を示す。
【0097】
ポリマー ブナ(Buna)CB 24 は、シス‐1,4‐含量少なくとも96%及びムーニー‐粘度44±5を有する、バイエル社のシス‐1,4‐ポリブタジエン(ネオジム型)である。
【0098】
ウルトラシル(Ultrasil)7000 GR は、デグッサ社の易分散性珪酸であり、BET‐表面積170m/gを有する。
芳香族油として、ケメタル(Chemetall)のナフトレン(Naftlen)ZD を使用し、ブルカノックス(Vulkanox)4020 は、バイエル社のPPDであり、プロテクター(Protektor) G3108 は、パラメルト(Paramelt) B. V. のオゾン保護蝋である。ブルカシット(Vulkacit) CZ (CBS) 及びブルカシットD (DPG)は、バイエル社の商品である。パーカシット(Perkacit) TBZTD(テトラベンジルチウラムテトラスルフィド)は、フレックスシス(Flexsys)N. V. の製品である。
【0099】
ゴム組成物を、内部混合機中で、表2における混合処方に相応して製造する。
【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
表3に、ゴム試験法を総括する。
【0103】
【表4】

【0104】
例1a:
例1aにおいて、全組成物中で、化合物1を8phrで使用する。それに加えて、組成物2〜6に、化合物5〜9を表4により使用する。
【0105】
【表5】

【0106】
表5は、ゴム技術試験の結果を示す。
【0107】
【表6】

【0108】
表5でのデータから明らかなように、ゴム組成物4〜6は、2つの比較例組成物2及び3及び(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランを添加しない組成物、組成物1と比較して、改善された継続引裂特性を特徴とする。この際、粗組成物の粘度及び加硫物の硬度は比較可能である。
【0109】
例1b:
ここで、例1aと同様にして、化合物2を化合物5〜9と組み合わせる。この場合も、第一組成物(組成物7)に、第二化合物を添加しない(表6参照)。
【0110】
【表7】

【0111】
表7に、ゴム技術的データを総括する。
【0112】
【表8】

【0113】
この場合も、例1aと同様の結論が明らかである。本発明による組成物10〜12は、比較例組成物8及び9よりも、及び化合物2だけを含有する組成物7よりも、より良好な継続引裂特性を有する。
【0114】
例1c:
この例では、化合物3を表8により組み合わせる。
【0115】
【表9】

【0116】
結果を表9に総括する。
【0117】
【表10】

【0118】
この場合も、本発明による組成物16の継続引裂抵抗は最高である。
【0119】
例1d:
この例では、化合物4を表10により組み合わせる。
【0120】
【表11】

【0121】
結果を表11に総括する。
【0122】
【表12】

【0123】
この場合も、2つの本発明による組成物20及び21の継続引裂抵抗は最高である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)少なくとも1種のゴム、
(B)少なくとも1種の酸化物系充填剤及び
(C)少なくとも1種の、一般式I:
(X)(X’)(X")Si‐R‐Hal I
[式中、
Halは、F、Cl、Br又はIであり、
Xは、アルキルポリエーテル基 O‐((CRII‐O‐)Alk であり、
ここで、RIIは、相互に無関係で、H、フェニル‐又はアルキル基であり、
w=2〜20であり、
t=2〜20であり、
Alkは、6個以上の炭素原子を有する、分枝鎖又は非分枝鎖の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の、脂肪族、芳香族又は混合された脂肪族/芳香族系の単結合性炭化水素基であり、
X’は、分枝鎖又は非分枝鎖のアルキル、分枝鎖又は非分枝鎖のアルコキシ、分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C25アルケニルオキシ、C〜C35アリールオキシ、分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C35アルキルアリールオキシ基、分枝鎖又は非分枝鎖のC‐C35アラルキルオキシ基又はXであり、
X"は、分枝鎖又は非分枝鎖のアルキル、分枝鎖又は非分枝鎖のアルコキシ、分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C25アルケニルオキシ、C〜C35アリールオキシ、分枝鎖又は非分枝鎖のC〜C35アルキルアリールオキシ基、分枝鎖又は非分枝鎖のC‐C35アラルキルオキシ基又はXであり、
は、場合により置換されている、分枝鎖又は非分枝鎖の、飽和又は不飽和の、脂肪族、芳香族又は混合された脂肪族/芳香族系の二結合性C〜C30炭化水素基である]の(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシラン
を含有するゴム組成物。
【請求項2】
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、一般式Iの(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランを含む混合物である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランは、不活性の有機又は無機担体上に担持されている又は有機又は無機担体と予備反応されている、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項4】
付加的なシランを含有する、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項5】
(D)チウラムスルフィド‐及び/又はカルバメート促進剤及び/又は相応する亜鉛塩、
(E)場合により、窒素含有の助‐活性剤、
(F)場合により、更なるゴム助剤及び
(G)場合により、更なる促進剤
を含有する、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項6】
少なくとも1種のゴム、少なくとも1種の酸化物系充填剤及び少なくとも1種の、式(I)の(ハロゲンオルガニル)アルキルポリエーテルシランを混合させることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載のゴム組成物の製法。
【請求項7】
成形体の製造のための、請求項1から5までのいずれか1項に記載のゴム組成物の使用。
【請求項8】
空気タイヤ、タイヤトレッド、ケーブル被覆、ホース、伝動ベルト、コンベアベルト、ロールカバー、タイヤ、靴底、シールリング及び制動要素における、請求項1から5までのいずれか1項に記載のゴム組成物の使用。

【公表番号】特表2009−540026(P2009−540026A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−513633(P2009−513633)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054547
【国際公開番号】WO2007/141109
【国際公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】