説明

ゴルフ場グリーンの芝植生保全装置

【課題】 グリーンまわりの景観を損なわず、プレイ時にグリーンまわりの視界や目標の障害にならないゴルフ場グリーンの芝植生保全装置を提供する。
【解決手段】 ゴルフ場グリーンの芝を低温又は高温、乾燥等による植生害から保護するためのゴルフ場グリーンの芝植生保全装置である。グリーン域周辺の地下に設けた地下格納庫1と、グリーン域の上方空間に空気流を生じさせる送風機5とでなる。送風機5は地下格納庫1に格納されていて伸縮支柱6の上端部に備えられている。地下格納庫1は地面に対して同一面を成す開閉蓋2を備えている。送風機5は、地下格納庫1の開閉蓋2を開いて伸縮支柱6を伸長させて所定の送風高さに位置させ、かつ短縮させて地下格納庫1に格納する。地下格納庫1の開閉蓋2は、その上面が地下格納庫1の周辺地面と同様の外観となるように人工芝4が張られている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ場グリーンの芝を低温又は高温、乾燥等による植生害から保護するゴルフ場グリーンの芝植生保全装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ場グリーンのまわりに送風ファンを設置して、プレイオフの時間帯にグリーン上に風を送り込み、冬場においては霜降を防ぎ、夏場においては高温多湿の環境を改善することが行われている(実開平5−15747号公報参照)。
また、ゴルフ場の芝生植生、特にグリーンの芝生育成管理において、冷却した水を散布し、芝の病害に対する芝生管理方法は、特開平5−23044号公報に記載されている。
なお、農作物の霜害を防止する昇降式の防霜ファンであって、使用しないときは送風ファンを地面まで下降させておくことができる構成については、特開平10−113076号公報、特開2001−55号公報及び特開2002−247923号公報にそれぞれ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−15747号公報
【特許文献2】特開平5−23044号公報
【特許文献3】特開平10−113076号公報
【特許文献4】特開2001−55号公報
【特許文献5】特開2002−247923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前掲の特許文献1において紹介している装置によれば、ゴルフ場グリーンのまわりに設置した送風ファンを、使用時には所要の高さまで上昇させて送風し、使用しないときには地面まで下降させておくことにより、グリーンまわりの景観を損なったりプレイの障害にならないように意図している。
しかしながら、使用しないときに送風ファンを地面まで下降させておいても、グリーンまわりには送風ファンが地面から盛り上がるように存在しているので、それを背丈の低い樹木等を含む草むらで覆うようにしても(特許文献1の段落「0006」)、グリーンまわりの景観を損なったりプレイの障害になることは否めない。
【0005】
そこで本発明は、グリーン域周辺に地面に対して同一面を成す開閉蓋を備えた地下格納庫を設けて、送風機を使用時には所定の送風高さに位置させ、使用しないときには地下格納庫に格納して開閉蓋を閉める構成としたことにより、特にプレイ時においてグリーンまわりの景観を損なわず、プレイ時にグリーンまわりの視界や目標の障害にならないゴルフ場グリーンの芝植生保全装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記目的を達成するため請求項1ないし3に係るゴルフ場グリーンの芝植生保全装置を提案する。
すなわち、請求項1に係るゴルフ場グリーンの芝植生保全装置は、
ゴルフ場グリーンの芝を低温又は高温、乾燥等による植生害から保護するための装置であって、
グリーン域周辺の地下に設けた地下格納庫と、
グリーン域の上方空間に空気流を生じさせる送風機とでなり、
前記送風機は前記地下格納庫に格納されていて伸縮支柱の上端部に備えられているとともに、地下格納庫は地面に対して同一面を成す開閉蓋を備えており、
前記送風機は、地下格納庫の開閉蓋を開いて伸縮支柱を伸長させて所定の送風高さに位置させ、かつ短縮させて地下格納庫に格納する構成であること
を特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2に係るゴルフ場グリーンの芝植生保全装置は、請求項1の構成において、送風機は、送風にともなって水霧を噴射する噴霧機能部を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
さらに、請求項3に係るゴルフ場グリーンの芝植生保全装置は、請求項1の構成において、地下格納庫の開閉蓋は、その上面が地下格納庫の周辺地面と同様の外観となるように装飾が施されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、グリーン域周辺に地面に対して同一面を成す開閉蓋を備えた地下格納庫を設けて、送風機を使用時には所定の送風高さに位置させ、使用しないときには地下格納庫に格納して開閉蓋を閉める構成としたことにより、特にプレイ時においてグリーンまわりの景観を損なわず、プレイ時にグリーンまわりの視界や目標の障害にならないゴルフ場グリーンの芝植生保全装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係るゴルフ場グリーンの芝植生保全装置の一部を切欠して示す斜視図である。
【図2】同上格納状態の一部を切欠して示す斜視図である。
【図3】本発明の他の実施の形態に係るゴルフ場グリーンの芝植生保全装置の一部を切欠して示す斜視図である。
【図4】同上一部の詳細を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び図2において、1は地下格納庫であってグリーン域周辺の地下に設置されている。地下格納庫1は地面に対して同一面を成す開閉蓋2を備えている。開閉蓋2は、蓋開閉装置3によって地面と同一面を成すように水平に支持されており、地面に対してスライドするように開閉自在となっている。開閉蓋2の上面は地下格納庫の周辺地面と同様の外観となるように装飾が施されており、図示の実施の形態では地面と同様の外観を呈するように人工芝4が全面に張られている。なお開閉蓋2には自然芝を植生してもよい。
【0012】
5は送風機であってグリーン域の上方空間に空気流を生じさせるためのものである。この送風機5は、地下格納庫1内に垂直姿勢に支持されて格納された伸縮支柱6の上端部に備えられている。そして、送風機5は地下格納庫1の開閉蓋2を開いて伸縮支柱6を伸長させて所定の送風高さに位置させ(図1)、かつ短縮させて地下格納庫に格納する構成となっており、この状態において地下格納庫1は開閉蓋2を閉じる(図2)。伸縮支柱6は地下格納庫1内に設置されたアクアポンプ7による水圧により昇降させる構成である。地下格納庫1内には排水用の水中ポンプ8が設けられている。
【0013】
図3及び図4に示す本発明の他の実施の形態にあっては、送風機5の送風側に送風にともなって水霧を噴射する噴霧機能部9を備えている。この噴霧機能部9には、地下格納庫1内に設置された噴霧用高圧ポンプ10から給水ホース11を経て給水され、噴霧ノズル12から噴霧され、送風機5から送風される風圧によって拡散した水霧として噴射される。なお、噴霧機能部9は送風機5に対して着脱自在の構成として、必要に応じて装着して使用するものとすることも可能である。この実施の形態においてその他の構成は図1及び図2に示すものと同構成あるから、同構成箇所には同符号を付してその説明を省略する。
【0014】
以上、図1及び図2に示す本発明の一実施の形態、また図3及び図4に示す本発明の他の実施の形態のいずれにあっても、グリーン域周辺に地面に対して同一面を成す開閉蓋2を備えた地下格納庫1を設けて、送風機5を使用時には所定の送風高さに位置させ、使用しないときには地下格納庫1に格納して開閉蓋2を閉める構成であるから、特にプレイ時においてグリーンまわりの景観を損なわず、プレイ時にグリーンまわりの視界や目標の障害にならないものである。
【0015】
ゴルフ場グリーンの芝を低温又は高温、乾燥等による植生害から保護するゴルフ場グリーンの芝植生保全管理にあたって、寒冷期で霜降が予想される場合には、送風機5によるグリーン上方空間に外気温風を送風するか、さらには外気温より高い温度の水による水霧を加えた送風を行うとよい。また、外気の湿度が低い場合には寒冷期又は温暖期に拘わらず水霧を含んだ送風を行うことはグリーンの雰囲気をプレイに適した状態に保つことができるうえ、グリーン芝の植生を適切に保全するうえでも有効である。さらに、夏場の高温多湿や猛暑状態においては外気温より低い水に水霧を含んだ送風を行うことによりグリーンの雰囲気をプレイに適した状態に保つことができるうえ、グリーン芝の植生を適切に保全するうえでも有効なことは前述同様である。
【符号の説明】
【0016】
1 地下格納庫
2 開閉蓋
3 蓋開閉装置
4 人工芝
5 送風機
6 伸縮支柱
7 アクアポンプ
8 水中ポンプ
9 噴霧機能部
10 噴霧用高圧ポンプ
11 給水ホース
12 噴霧ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ場グリーンの芝を低温又は高温、乾燥等による植生害から保護するための装置であって、
グリーン域周辺の地下に設けた地下格納庫と、
グリーン域の上方空間に空気流を生じさせる送風機とでなり、
前記送風機は前記地下格納庫に格納されていて伸縮支柱の上端部に備えられているとともに、地下格納庫は地面に対して同一面を成す開閉蓋を備えており、
前記送風機は、地下格納庫の開閉蓋を開いて伸縮支柱を伸長させて所定の送風高さに位置させ、かつ短縮させて地下格納庫に格納する構成であること
を特徴とするゴルフ場グリーンの芝生植生保全装置。
【請求項2】
送風機は、送風にともなって水霧を噴射する噴霧機能部を備えていることを特徴とする請求項1記載のゴルフ場グリーンの芝生植生保全装置。
【請求項3】
地下格納庫の開閉蓋は、その上面が地下格納庫の周辺地面と同様の外観となるように装飾が施されていることを特徴とする請求項1記載のゴルフ場グリーンの芝生植生保全装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−39991(P2012−39991A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200328(P2010−200328)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(510241890)豊中機工株式会社 (1)
【Fターム(参考)】