説明

サッシ

【課題】簡易な構成で遮音性を持たせることができ、意匠も高いサッシを提供する。
【解決手段】框体4は断面中空状の中空部23を有し、凹状の開口溝24を内周面にそれぞれ備え、ガラス体5は室内側の第1ガラス5aと室外側の第2ガラス5bとからなり、開口溝24の底壁24aには第1ガラスと第2ガラスの間隙領域5cと中空部23とを連通させる連通孔28が形成され、底壁24aには連通孔28を中空部23から第1ガラスと第2ガラスの間隙領域5cに向けて延長する延長部材29が取付けられ、延長部材29は、開口溝24に固着される固定面部29cと、固定面部から垂直方向に立ち上がり連通孔の幅を有して対向する2つの対向面部29dとを有し、室内側の対向面部29dと開口溝の室内壁24aとで第1ガラス5aを挟持し、室外側の対向面部29dと開口溝の室外壁24bとで第2ガラス5bを挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に設けられる枠体内に障子を納めてなるサッシに関し、特に優れた遮音性能を有するサッシに関する。
【背景技術】
【0002】
建物開口部に設けられる枠体内に障子を納めてなるサッシにおいて、遮音性能を高くしたものが知られている。遮音性能を高くしたサッシとしては、例えばサッシを室内外に2つ設けた二重サッシなどが知られている。しかし、二重サッシは、見込方向にサッシ2つ分の幅を必要とし、またコストも高いという問題がある。
【0003】
そこで、ガラスによって遮音性能を高くする技術も知られている。例えば、特許文献2には、ガラスによって遮音性能を向上させる技術が記載されており、板ガラスと板ガラスの間に共鳴器が介装され、該共鳴器によって板ガラス間の間隔が保持された遮音ガラスが開示されている。そして、板ガラス間の間隙部と共鳴器内部の中空部とを連通する貫通孔が共鳴器に設けられていて、特に中低周波数域における遮音性能が向上されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−63844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、遮音ガラスはガラスによって遮音性能を得るものであるため、共鳴器を板ガラスの間に介装しなければならず、共鳴器の形状や大きさが制限される。さらに、共鳴器またはスペーサー部材が、板ガラスの間に介装されているため、共鳴器やスペーサー部材が遮音ガラスから露出して外部から見えやすいという意匠上の問題もあった。さらにまた、板ガラス間に共鳴器を備えなければならないので、ガラス自体が重量化するとともに、高価となる場合があった。
【0006】
本発明は前記課題を鑑みてなされたものであり、簡易な構成で遮音性を持たせることができ、意匠性も高いサッシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係るサッシは、方形状に枠組みしてなる枠体内に、上下框と左右の縦框からなる方形状の框体内にガラス体を納めてなる障子を納めたサッシにおいて、
前記框体を構成する上下框と左右の縦框は断面中空状の中空部を有すると共に、内周側に向かって開放する凹状の開口溝を内周面にそれぞれ備え、
前記ガラス体は室内側の第1ガラスと室外側の第2ガラスとからなり、
前記開口溝の底壁には前記第1ガラスと第2ガラスの間隙領域と前記中空部とを連通させる連通孔が形成されると共に、前記底壁には該連通孔を前記中空部から前記第1ガラスと第2ガラスの間隙領域に向けて延長する延長部材が取付けられ、
前記延長部材は、前記開口溝の底壁に当接して固着される固定面部と、該固定面部から垂直方向に立ち上がり前記連通孔の幅を有して対向する2つの対向面部とを有してなり、室内側の前記対向面部と前記開口溝の室内壁とで前記第1ガラスを挟持し、室外側の前記対向面部と前記開口溝の室外壁とで前記第2ガラスを挟持することを特徴として構成されている。
【0008】
また、本発明に係るサッシは、方形状に枠組みしてなる枠体内に、上下框と左右の縦框からなる方形状の框体内にガラス体を納めてなる障子を納めたサッシにおいて、
前記框体を構成する上下框と左右の縦框は断面中空状の中空部を有すると共に、内周側に向かって開放する凹状の開口溝を内周面にそれぞれ備え、
前記開口溝に四周に渡って納められ断面中空状の中空部を有する基部材と、該基部材の内周側において前記ガラス体の外周部を四周に渡って納める凹状のガラス収納溝を有する収納部材と、該収納部材に納められる前記ガラス体とを有するガラス体ユニットを備え、
前記ガラス体ユニットに納められる前記ガラス体は、室内側の第1ガラスと室外側の第2ガラスとからなり、
前記収納部材のガラス収納溝の底壁と前記基部材には、前記第1ガラスと第2ガラスの間隙領域と前記中空部とを連通させる連通孔が形成されると共に、前記底壁には前記連通孔を前記中空部から前記第1ガラスと第2ガラスの間隙領域に向けて延長する延長部材が取付けられ、
前記延長部材は、前記ガラス収納溝の底壁に当接して固着される固定面部と、該固定面部から垂直方向に立ち上がり前記連通孔の幅を有して対向する2つの対向面部とを有してなり、室内側の前記対向面部と前記ガラス収納溝の室内壁とで前記第1ガラスを挟持し、室外側の前記対向面部と前記ガラス収納溝の室外壁とで前記第2ガラスを挟持することを特徴として構成されている。
【0009】
さらに、本発明に係るサッシは、前記延長部材は室内部品と室外部品の2部品からなり、該室内部品と室外部品はそれぞれ前記対向面部を有すると共に、該対向面部を対向配置してなることを特徴として構成されている。
【0010】
さらにまた、本発明に係るサッシは、前記延長部材は前記固定面部と2つの対向面部を一体的に有してなり、前記2つの対向面部は連結部により連結される共に、該連結部に前記開口溝の連通孔と連通する延長部材連通孔を形成してなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るサッシによれば、開口溝の底壁に連通孔が形成され、底壁には延長部材が取付けられ、延長部材は、開口溝の底壁に固着される固定面部と、固定面部から垂直方向に立ち上がり連通孔の幅を有して対向する2つの対向面部とを有し、室内側の対向面部と開口溝の室内壁とで第1ガラスを挟持し、室外側の対向面部と開口溝の室外壁とで第2ガラスを挟持することにより、框体の中空部を共鳴器の構成要素として用い、また延長部材でガラス体の保持もなすこととなるので、共鳴器の構成要素を露出させず意匠性に配慮しつつ、簡易に共鳴器を構成できるので、簡易な構成で遮音性を持たせることができ、意匠性も高いサッシとすることができる。
【0012】
また、本発明に係るサッシによれば、基部材と収納部材及びガラス体からなるガラス体ユニットを備え、ガラス収納溝の底壁と基部材に連通孔が形成され、底壁には延長部材が取付けられ、延長部材は、ガラス収納溝の底壁に固着される固定面部と、固定面部から垂直方向に立ち上がり連通孔の幅を有して対向する2つの対向面部とを有し、室内側の対向面部とガラス収納溝の室内壁とで第1ガラスを挟持し、室外側の対向面部とガラス収納溝の室外壁とで第2ガラスを挟持することにより、意匠性が高くしつつ簡易な構成で遮音性を持たせると共に、既存のサッシのガラス体をガラス体ユニットに交換することで、容易に遮音機能を追加することができる。
【0013】
さらに、本発明に係るサッシによれば、延長部材は室内部品と室外部品の2部品からなり、室内部品と室外部品はそれぞれ対向面部を有すると共に、対向面部を対向配置してなる、または延長部材は固定面部と2つの対向面部を一体的に有してなり、2つの対向面部は連結部により連結される共に、連結部に開口溝の連通孔と連通する延長部材連通孔を形成してなることにより、簡易な構成の延長部材により共鳴器を構成し、かつガラス体の保持もなすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態におけるサッシの縦断面図である。
【図2】第1の実施形態におけるサッシの横断面図である。
【図3】図1の上枠付近拡大図である。
【図4】図1の下枠付近拡大図である。
【図5】図2の縦枠付近拡大図である。
【図6】図2の召合わせ框付近拡大図である。
【図7】第2の実施形態におけるサッシの縦断面図である。
【図8】第2の実施形態におけるサッシの横断面図である。
【図9】図7の上枠付近拡大図である。
【図10】図7の下枠付近拡大図である。
【図11】図8の縦枠付近拡大図である。
【図12】図8の召合わせ框付近拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本発明の第1の実施形態におけるサッシの縦断面図を、図2には本発明の第1の実施形態におけるサッシの横断面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、第1の実施形態のサッシは、上枠10と下枠11及び左右の縦枠12、12を方形状に枠組みしてなる枠体1内に、内障子2と外障子3を引き違い状に納めてなる引き違いサッシである。
【0016】
内障子2と外障子3は、それぞれ上框20と下框21及び左右の縦框22a、22bを方形状に框組みしてなる框体4内にガラス体5を納めて構成されている。框体4を構成する縦框22a、22bは、縦枠12側に配置される枠側縦框22aと、内障子2と外障子3の召合わせ側に配置される召合わせ框22bとからなっている。
【0017】
框体4を構成する上框20と下框21、枠側縦框22aと召合わせ框22bは、いずれも断面中空状の中空部23を有している。また、中空部23の内周側には、ガラス体5の外周部を保持するための開口溝24が、内周側に向かって開放する凹状にそれぞれ形成されている。開口溝24は、底壁24aと室内壁24b及び室外壁24cからなっている。
【0018】
開口溝24に外周部が保持されるガラス体5は、室内側の第1ガラス5aと室外側の第2ガラス5bとが、対向配置されて構成されている。第1ガラス5aと第2ガラス5bは、それぞれ単板ガラスからなり、これらの間の領域は、空間状の間隙領域5cとなっている。
【0019】
第1ガラス5aと第2ガラス5bの種類は特に限定されるものではなく、一般的なシリカガラスの他、強化ガラス,合わせガラス,網入りガラス,線入りガラス等を使用することができる。また、ポリカーボネート,アクリル樹脂等の樹脂製板ガラスも使用可能である。さらに、第1ガラス5aと第2ガラス5bの厚さも特に限定されるものではない。
【0020】
開口溝24の底壁24aには、間隙領域5cと共鳴器として機能する中空部23とを連通する連通孔28が、長手方向に沿う長孔状に形成されている。また、底壁24aには、連通孔28を中空部23から間隙領域5cに向けて延長する延長部材29が取付けられる。
【0021】
図3には図1の上枠10付近拡大図を、図4には図1の下枠11付近拡大図を、図5には図2の縦枠12付近拡大図を、図6には図2の召合わせ框22b付近拡大図を、それぞれ示している。上框20と下框21に取付けられる延長部材29は、室内側の第1部品29aと室外側の第2部品29bからなり、それぞれ底壁24aに当接して固定される固定面部29cと、固定面部29cから垂直方向に立ち上がる対向面部29dとで、断面略L字状をなすように形成されており、第1部品29aの対向面部29dと第2部品29bの対向面部29dとが、連通孔28の幅を有して対向配置されるように底壁24aに取付けられている。
【0022】
縦框22に取付けられる延長部材29は、1部品からなり、底壁24aに当接して固定される固定面部29cと、固定面部29cから垂直方向に立ち上がる2つの対向面部29dを有している。また、2つの対向面部29d間は、連結部29eにより連結されている。
【0023】
本実施形態においては、縦框22のうち召合わせ框22bについては、底壁24aに連通孔28を設けている。召合わせ框22bに取付けられる延長部材29には、連結部29eに連通孔28と連通する延長部材連通孔29fが形成されている。なお、枠側縦框22aには連通孔28を設けていないが、延長部材29はガラス体5を支持する機能も有するため、枠側縦框22aにも召合わせ框22bと同様の延長部材29が取付けられている。
【0024】
このような延長部材29により、上框20と下框21及び召合わせ框22bにおいては、連通孔28と略同一断面形状の空間が連通孔28に連続して形成され、このスリット状の空間により、連通孔28が中空部23から間隙領域5cに向けて延長されている。
【0025】
開口溝24を構成する室内壁24bと第1ガラス5aの室内面の間には、気密材26が設けられ、また開口溝24を構成する室外壁24cと第2ガラス5bの室外面の間にも、気密材26が設けられる。また、延長部材29の対向面部29dと第1ガラス5aの室外面の間、及び延長部材29の対向面部29dと第2ガラス5bの室内面の間にも、それぞれ気密材26が設けられる。これらによって、ガラス体5は、第1ガラス5aと第2ガラス5bの間に延長部材29を挟みつつ、外周部が框体23の開口溝24に挟持固定される。
【0026】
また、ガラス体5を構成する第1ガラス5aと第2ガラス5bは、いずれも外周面と下框21の開口溝24の底壁24aとの間にセッティングブロック27が設けられ、このセッティングブロック27上に載置されることで、框体4内において所定位置に配置される。
【0027】
前述のように、框体4の中空部23と間隙領域5cとが連通孔28及び延長部材29により連通されている。これにより、連通孔28の内部及びその近傍部分の空気が、特定の周波数で強く振動し、連通孔28の内壁面と空気との摩擦によって、音響エネルギーが熱エネルギーに変換され、摩擦熱として消費されるため、吸音作用が生じて騒音が吸音される。このとき、連通孔28の幅や延長部材29の寸法及び中空部23の容積は、共鳴周波数が所望の値となるように設定すればよい。
【0028】
連通孔28は、その幅によって共鳴周波数が異なるため、例えば、特定周波数域を遮音するのに特化したサッシとすることもできる。また、框体4の各辺において、連通孔28の幅に多様性を持たせることにより、幅広い周波数域に対して遮音性能が優れるサッシとすることもできる。このように、連通孔28の幅や設置形態を変更することにより、バリエーションに富んだサッシを得ることが可能である。
【0029】
また、延長部材29による連通孔28の延長方向の長さ(以降は首部長さと記す)によっても、共鳴周波数が異なる。首部長さが長いほど共鳴周波数は低くなり、短いほど共鳴周波数は高くなる。このように、首部長さを調節することで、共鳴周波数を変えることができるため、用途に応じたサッシを得ることが可能である。
【0030】
以下に、框体4の構造と共鳴周波数(f0)との相関式を示す。本発明における共
鳴器は、ヘルムホルツ共鳴器を応用した構造であるため、共鳴器の共鳴周波数(f0)は
、サッシの構造により可変的である。共鳴周波数(f0)は、下記相関式を用いて、下
記の各ファクターにより算出され、相関式から算出される共鳴周波数(f0)付近におい
て高い吸音性能が得られる。
【0031】
【数1】

【0032】
b:連通孔の幅
B:中空部の空気層の幅(左右方向の長さ)
L:中空部の空気層の厚さ(上下方向の長さ)
A:中空部の断面積(=B×L)
t:首部長さ
p:開口率(b/B)
t’:開口端補正
C:空気中の音速
0:共鳴周波数
【0033】
なお、開口端補正t’は、首部長さを補正するためのパラメータである。前述したように、前記スリット空間内の空気が振動するが、実際にはスリット空間の上端の若干上方及
び下端の若干下方の空気も振動しており、吸音に寄与している。よって、共鳴周波数を算出する際には、この部分を補正する必要があるため、首部長さtを開口端補正t’で補正している。
【0034】
上框20と召合わせ框22bの各中空部23には、連通孔28付近に該連通孔28の開口を跨ぐように吸音材23aが設けられている。吸音材23aにより、振動する空気の音響エネルギーから熱エネルギーへの変換が促進されるため、窓サッシの遮音性能をさらに向上させることができる。吸音材23aの種類は特に限定されるものではないが、グラスウール,ロックウール等の繊維材が好ましい。また、アルミニウム繊維,アルミニウム切削屑,アルミニウム焼結体等のアルミニウム製吸音材が好ましい。アルミニウム製吸音材は、吸湿しないため劣化が起こりにくい上、リサイクル性に優れている。
【0035】
このように、框体4の中空部23を共鳴器の構成要素として用い、また延長部材29を開口溝24の底壁24aに固着して、連通孔28を第1ガラス5aと第2ガラス5bの間隙領域5cに連通させるようにすると共に、延長部材29でガラス体5の保持もなすことにより、共鳴器の構成要素を露出させず意匠性に配慮しつつ、簡易に共鳴器を構成できるので、簡易な構成で遮音性を持たせることができ、意匠性も高いサッシとすることができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図7には本発明の第2の実施形態におけるサッシの縦断面図を、図8には本発明の第2の実施形態におけるサッシの横断面図を、それぞれ示している。第2の実施形態のサッシは、第1の実施形態のサッシと基本的な構成においては共通するので、共通する構成についての説明は省略する。
【0037】
本実施形態では、ガラス体5は框体4に直接納められているのではなく、框体4内にガラス体5を有するガラス体ユニット6を納めて、障子が構成されている。ガラス体ユニット6は、框体4の開口溝24に四周に渡って納められる断面中空状の中空部31を有する基部材30と、基部材30の内周側に取付けられ、ガラス体5の外周部を四周に渡って納める凹状のガラス収納溝34を有する収納部材33と、第1ガラス5a及び第2ガラス5bからなるガラス体5とで構成されている。
【0038】
基部材30は、断面略方形の中空状に形成されており、その見込方向幅は框体4の開口溝24の幅に適合し、また見付方向幅は框体4の開口溝24に略納まるように形成されている。これにより、ガラス体ユニット6は、セッティングブロック27を介して框体4の開口溝24に納められ、第1の実施形態のガラス体5の代わりに框体4に保持させることができる。
【0039】
ガラス体ユニット6を構成する収納部材33は、ガラス収納溝34が框体4の開口溝24と略同断面を有する凹状に形成されている。これにより、ガラス体5を第1の実施形態と同様の構造で保持することができる。
【0040】
図9には図7の上枠10付近拡大図を、図10には図7の下枠11付近拡大図を、図11には図8の縦枠12付近拡大図を、図12には図8の召合わせ框22b付近拡大図を、それぞれ示している。ガラス体ユニット6は、基部材30の中空部31を共鳴器を構成する中空部とし、基部材30の上面と収納部材33の底壁34aには、中空部31と連通する連通孔35が形成されている。また、収納部材33の底壁34aには、第1の実施形態と同様の延長部材29が固着される。
【0041】
上下辺の延長部材29は、第1の実施形態と同じ構成を有し、連通孔35を第1ガラス5aと第2ガラス5bの間の間隙領域5cに連通させている。縦辺については、図4に示すように、枠側縦框22aと召合わせ框22bのいずれについても連通孔35が形成されており、それぞれに設けられた基部材30の中空部31と間隙領域5cとが、延長部材29によって連通されている。
【0042】
ガラス体5を構成する第1ガラス5aは、ガラス収納溝34の室内壁34bと延長部材29を構成する第1部品29aの対向面部29dとで、外周部が挟持されている。また、ガラス体5を構成する第2ガラス5bは、ガラス収納溝34の室外壁34cと延長部材29を構成する第2部品29bの対向面部29dとで、外周部が挟持されている。
【0043】
このように、共鳴器の構成を有したガラス体ユニット6を、框体4の開口溝24に納めて保持することによっても、サッシに簡易な構成で遮音性を持たせることができる。また、共鳴器の構成自体は第1の実施形態と同様であり、意匠性も高い遮音サッシとすることができる。
【0044】
第1の実施形態の構成は、框体4を共鳴器の構成要素とするものであり、障子を新規に形成する場合に適している。一方、第2の実施形態の構成は、ガラス体ユニット6に共鳴器の構成要素を設けたものであり、既存の障子に対し、ガラス体5のみを取り外してガラス体ユニット6を代わりに取付けることにより、既存のサッシに遮音性を持たせる場合に適している。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【符号の説明】
【0046】
1 枠体
2 内障子
3 外障子
4 框体
5 ガラス体
6 ガラス体ユニット
10 上枠
11 下枠
12 縦枠
20 上框
21 下框
22a 縦框(枠側縦框)
22b 縦框(召合わせ框)
23 中空部
23a 吸音材
24 開口溝
24a 底壁
24b 室内壁
24c 室外壁
26 気密材
27 セッティングブロック
28 連通孔
29 延長部材
29a 第1部品
29b 第2部品
29c 固定面部
29d 対向面部
29e 連結部
29f 延長部材連通孔
30 基部材
31 中空部
33 収納部材
34 ガラス収納溝
34a 底壁
34b 室内壁
34c 室外壁
35 連通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形状に枠組みしてなる枠体内に、上下框と左右の縦框からなる方形状の框体内にガラス体を納めてなる障子を納めたサッシにおいて、
前記框体を構成する上下框と左右の縦框は断面中空状の中空部を有すると共に、内周側に向かって開放する凹状の開口溝を内周面にそれぞれ備え、
前記ガラス体は室内側の第1ガラスと室外側の第2ガラスとからなり、
前記開口溝の底壁には前記第1ガラスと第2ガラスの間隙領域と前記中空部とを連通させる連通孔が形成されると共に、前記底壁には該連通孔を前記中空部から前記第1ガラスと第2ガラスの間隙領域に向けて延長する延長部材が取付けられ、
前記延長部材は、前記開口溝の底壁に当接して固着される固定面部と、該固定面部から垂直方向に立ち上がり前記連通孔の幅を有して対向する2つの対向面部とを有してなり、室内側の前記対向面部と前記開口溝の室内壁とで前記第1ガラスを挟持し、室外側の前記対向面部と前記開口溝の室外壁とで前記第2ガラスを挟持することを特徴とするサッシ。
【請求項2】
方形状に枠組みしてなる枠体内に、上下框と左右の縦框からなる方形状の框体内にガラス体を納めてなる障子を納めたサッシにおいて、
前記框体を構成する上下框と左右の縦框は断面中空状の中空部を有すると共に、内周側に向かって開放する凹状の開口溝を内周面にそれぞれ備え、
前記開口溝に四周に渡って納められ断面中空状の中空部を有する基部材と、該基部材の内周側において前記ガラス体の外周部を四周に渡って納める凹状のガラス収納溝を有する収納部材と、該収納部材に納められる前記ガラス体とを有するガラス体ユニットを備え、
前記ガラス体ユニットに納められる前記ガラス体は、室内側の第1ガラスと室外側の第2ガラスとからなり、
前記収納部材のガラス収納溝の底壁と前記基部材には、前記第1ガラスと第2ガラスの間隙領域と前記中空部とを連通させる連通孔が形成されると共に、前記底壁には前記連通孔を前記中空部から前記第1ガラスと第2ガラスの間隙領域に向けて延長する延長部材が取付けられ、
前記延長部材は、前記ガラス収納溝の底壁に当接して固着される固定面部と、該固定面部から垂直方向に立ち上がり前記連通孔の幅を有して対向する2つの対向面部とを有してなり、室内側の前記対向面部と前記ガラス収納溝の室内壁とで前記第1ガラスを挟持し、室外側の前記対向面部と前記ガラス収納溝の室外壁とで前記第2ガラスを挟持することを特徴とするサッシ。
【請求項3】
前記延長部材は室内部品と室外部品の2部品からなり、該室内部品と室外部品はそれぞれ前記対向面部を有すると共に、該対向面部を対向配置してなることを特徴とする請求項1または2記載のサッシ。
【請求項4】
前記延長部材は前記固定面部と2つの対向面部を一体的に有してなり、前記2つの対向面部は連結部により連結される共に、該連結部に前記開口溝の連通孔と連通する延長部材連通孔を形成してなることを特徴とする請求項1記載のサッシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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