サニタリー用品処理装置
【課題】サニタリー用品を細かく粉砕できるようにする。
【解決手段】処理用筐体60の内部に設けられた粉砕手段70は、互いに噛合する第1および第2の回転刃部材70A,70Bを有する。これら回転刃部材のそれぞれは、同軸上に所定の間隔を保持して設けられた複数の回転刃74,76で構成される。処理用筐体の投入口60aからサニタリー用品が投入される。投下されたサニタリー用品は回転刃部材70A,70Bの間に掻き込まれることで、サニタリー用品はこれら複数の回転刃によって粉砕される。回転刃としてクロスカット刃を使用する場合には、この回転刃によって細かく裁断された状態で粉砕される。粉砕されたサニタリー用品は回転刃部材の下側に落下する。粉砕処理中あるいは粉砕処理後に、投入口側から適量の水道水(粉砕水)を流し込むことで、粉砕されたサニタリー用品はこの水道水と共に排出口60bから下水管側に排出される。
【解決手段】処理用筐体60の内部に設けられた粉砕手段70は、互いに噛合する第1および第2の回転刃部材70A,70Bを有する。これら回転刃部材のそれぞれは、同軸上に所定の間隔を保持して設けられた複数の回転刃74,76で構成される。処理用筐体の投入口60aからサニタリー用品が投入される。投下されたサニタリー用品は回転刃部材70A,70Bの間に掻き込まれることで、サニタリー用品はこれら複数の回転刃によって粉砕される。回転刃としてクロスカット刃を使用する場合には、この回転刃によって細かく裁断された状態で粉砕される。粉砕されたサニタリー用品は回転刃部材の下側に落下する。粉砕処理中あるいは粉砕処理後に、投入口側から適量の水道水(粉砕水)を流し込むことで、粉砕されたサニタリー用品はこの水道水と共に排出口60bから下水管側に排出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はサニタリー用品を粉砕して下水用排水管側に排出できるようにしたサニタリー用品処理装置に関する。詳しくは、サニタリー用品の粉砕手段として回転刃を多数備えた回転刃部材を用い、これらを互いに噛合させながら駆動することで、サニタリー用品を効率よく粉砕できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
生理用品などで代表されるサニタリー用品は、使用後直接水洗トイレなどに投棄すると、排水管などが詰まったりするおそれがある。そのため、サニタリー用品は使用後トイレに備え付けられた専用のゴミ箱に投棄するか、ポリ袋などに入れてゴミ回収日まで保管し、燃えるゴミとして廃棄処分されるのが普通である。
【0003】
このような煩わしさを解消するため、トイレ内などにサニタリー用品処理装置を備えておき、ここに使用後のサニタリー用品を投棄し、排水管に排出できる程度に粉砕処理することで、水洗トイレに排出された汚物と同じように排水管側に廃棄できれば好ましい。このような処理装置は既に提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、最近ではベビー用の紙おむつや、成人介護用の紙おむつなどが普及しているが、これらの紙おむつなどもサニタリー用品と同じように、同じ処理装置を用いて処理できれば非常に便利である。
【0005】
【特許文献1】特開平10−140638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された処理装置は、水道水の水圧でタービンを回転させ、タービンの上部に取り付けられた回転軸に粉砕カッタを取り付けた構成となっている。粉砕カッタは水面より充分沈んだ位置に取り付けられているので、投入されたサニタリー用品が粉砕カッタまで到達するまでに時間がかかると共に、タービンの上側に回転カッタが取り付けられているため、タービンに回転力を付与するために水道水を供給すると、折角沈みかけたサニタリー用品がタービンによる回転水流によって再度浮上するおそれがあり、回転カッタによって、サニタリー用品を充分細かく粉砕できないおそれがある。細かく粉砕できたとしても、粉砕に要する時間がかかる問題も発生する。特に、成人用の紙おむつはその大きさも様々であるので、充分に粉砕できる場合とそうでない場合が生ずるおそれがある。
【0007】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、特に2つの回転刃を互いに噛み合わせた構成の粉砕手段を用いることで、紙おむつなどを含めたサニタリー用品を確実に粉砕処理できるサニタリー用品処理装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、請求項1に記載したこの発明に係るサニタリー用品処理装置は、上端側が開口されてサニタリー用品の投入口となされ、その下端側が排水管に接続される排出口となされた処理用筐体と、
上記処理用筐体の内部に装備された粉砕手段とで構成され、
上記粉砕手段は、互いに噛合する第1および第2の回転刃部材を有し、
上記粉砕手段は、互いに噛合する第1および第2の回転刃部材を有し、
上記第1および第2の回転刃部材のそれぞれは、上記投入口に対して水平に設置されると共に、これら回転刃部材は、同軸上に所定の間隔を保持して設けられた複数の回転刃で構成されたことを特徴とする。
【0009】
この発明では、上端側が開口されて投入口となされ、下端側が排出口となされた、ほぼ角体状をなす処理用筐体を有する。処理用筐体の内部に粉砕手段が設けられる。粉砕手段は、互いに噛合する第1および第2の回転刃部材を有する。
【0010】
第1および第2の回転刃部材のそれぞれは、投入口に対して水平となるように設置される。これらの回転刃部材は、同軸上に所定の間隔を保持して設けられた複数の回転刃で構成される。投入口には蓋体が設けられ、閉蓋した状態で使用される。
処理用筐体の投入口からサニタリー用品が投入される。サニタリー用品としては、上述した生理用品の他に、ベビー用紙おむつ、成人用紙おむつなど、粉砕処理して排出すべきものを含むものとする。
【0011】
投下されたサニタリー用品は第1の回転刃部材と第2の回転刃部材との間に掻き込まれることで、サニタリー用品は複数の回転刃によって切断されながら粉砕される。回転刃としてクロスカット刃を使用する場合には、この回転刃によって細かく裁断された状態で粉砕される。
【0012】
粉砕されたサニタリー用品は回転刃部材の下側に落下する。したがって粉砕処理中あるいは粉砕処理後に、投入口側から適量の洗浄水を流し込むことで、粉砕されたサニタリー用品はこの洗浄水と共に排出口から排水管(下水管)側に排出される。
【0013】
第1および第2の回転刃部材の上方に、サニタリー用品の掻き込み手段を配置する場合には、サニタリー用品がこの掻き込み手段によって強制的に回転刃部材側に掻き込まれて送り込まれると共に、この掻き込み手段によってサニタリー用品の一部が粗く切り裂かれるので、サニタリー用品を確実に粉砕することができる。
【0014】
回転刃と回転刃との間に粉砕物の掻き落とし手段を配設すれば、回転刃と回転刃との間に挟まった粉砕物を掻き落とすことができるので、粉砕物が絡まって粉砕処理が低下するおそれもない。
【発明の効果】
【0015】
この発明では、回転刃を使用した粉砕手段を用いてサニタリー用品を粉砕処理して排出するようにしたものである。
【0016】
これによれば、複数の回転刃によってサニタリー用品を強制的に裁断し、粉砕するものであるから、サニタリー用品をより確実に粉砕できる。そのため、排水管が詰まったりする事故を未然に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
続いて、この発明に係るサニタリー用品処理装置の好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1はこの発明に係るサニタリー用品処理装置40を、既存のトイレ装置(水洗トイレ)10に装備したときの関係を示す。
【0019】
洋式トイレの場合を説明すると、水洗トイレ10は便器12を有する。便器12の投入口側には便蓋14が取り付けられる。便器12の奥には水洗タンク16がある。水洗タンク16には水道管24が止水栓18を介して連結される。便器12の排出部20は、排水管(下水管)22に連結される。
【0020】
トイレ室11の内部であって、便器12に隣接した位置にサニタリー用品処理装置40が設置される。サニタリー用品処理装置40は、サニタリー用品を投入し易くするため、取り付け台座50の上に高さを調整した上で設置される。
【0021】
サニタリー用品処理装置40は、処理用筐体60を有する。処理用筐体60の下端側に設けられた排出口60bはS字トラップ管52を介して導管54に連結され、導管54は連結部56を介して排水管22と連結される。
【0022】
処理用筐体60の上端側の端面(上端面)は矩形状に開口された投入口60aとなされる。この投入口近傍に給水管26が導かれる。給水管26は洗浄水を処理用筐体60内に供給するためのものである。給水管26に設けられた止水栓28は、この例では電磁弁が使用される。
【0023】
処理用筐体60は蓋体65を有する。蓋体65によって投入口60aが閉蓋される。蓋体65にはロック手段66が設けられる。
【0024】
処理用筐体60は粉砕手段70を備える。粉砕手段70は回転刃を備える。蓋体65を開けて、投入口60a側から処分すべきサニタリー用品が処理用筐体60内に投入され、投入されたサニタリー用品をこの粉砕手段70によって細かく粉砕処理する。粉砕処理されたサニタリー用品は洗浄水と共に排出される。
【0025】
図2以下に粉砕手段70の具体例を示す。図2はサニタリー用品処理装置40の縦断面図であり、図5は投入口60a側からの平面図である。処理用筐体60はその投入口60aが矩形状をなし、下端側に向かって細くなり、下端側が排出口60bとなっている。
【0026】
処理用筐体60の内部であって、その中央部付近に粉砕手段70が設けられる。粉砕手段70は互いに噛合しあう関係に配置された第1および第2の回転刃部材70A,70Bからなり、処理用筐体60の左右側壁61a、61b(図5参照)に差し渡された状態で固定される。したがって第1および第2の回転刃部材70A,70Bは投入口60aに対して平行(水平)に配置される。
【0027】
図3に示すように、第1の回転刃部材70Aは、その回転軸70aに複数の回転刃74(74a、74b・・・)が所定の間隔を保持して配列される。第2の回転刃部材70Bも同様に構成され、その回転軸70bに同じ数か、1個多い回転刃76(76a,76b,・・・)が配列されて構成され、回転刃74と76とは互い違いとなるように配置される。回転刃74,76の大きさや設置すべき個数などは、処理用筐体60の収容スペースによって変わる。図5のような矩形状をなし、排出口60b側が細められたスペースの処理用筐体60を使用する場合には、4〜7枚の回転刃を使用してそれぞれの回転刃部材70A,70Bが構成される。
【0028】
ここで、互いに隣り合う回転刃74と76とは完全に噛み合う状態では配置されていない。それは、取り扱うサニタリー用品は、ある程度の厚みがあることから、サニタリー用品を切断し易くするため、これらの厚みを考慮して図2に示すように、隣り合う回転刃74と76との間隔や、回転軸70a,70bまでの対向距離が設定される。
【0029】
回転刃74,76としては、先端部が刃状となっている円盤状の回転刃や、その周面部に尖端を持った楕円状の回転刃(いわゆるクロスカット刃)などを使用することができる。前者の回転刃よりも後者の回転刃の方が、短冊状に細かく裁断できる。
【0030】
図4は後者の回転刃74の一例を示すもので、ほぼ180°対向する位置に一対の尖端刃75aを有する。尖端刃75aは回転方向aに向かって尖端刃の端面が対峙するような刃形状をなす。他方の回転刃76においても同じ構造の尖端刃77aを有する(図3参照)。
【0031】
図3に示すように、複数の回転刃74を回転軸70aに取り付ける場合、尖端刃75aの取り付け位置は、順次所定角度(30°程度)だけ回転位相がずれるように取り付け固定される。他方の回転刃76にあっても順次所定角度だけ回転位相がずれた状態で回転軸70bに取り付け固定される。したがって、図2のように尖端刃75a,77a同士が互いに対峙した状態で少許の間隙を保持しながら回転駆動される。実際には回転刃74と76とは噛み合った状態で駆動される訳ではないが、サニタリー用品を介在させた状態では、回転刃74と76とが噛み合ってサニタリー用品が裁断されることになる。
【0032】
この例では、さらに図2に示すように粉砕手段70の上方に掻き込み手段80が配置される。掻き込み手段80は、投入口60a側より投入されサニタリー用品が確実に粉砕手段70の中心部に導かれるようにするためのものである。そのため、この掻き込み手段80も第1および第2の掻き込み回転部材80A,80Bで構成される。
【0033】
第1の掻き込み回転部材80Aは、図5に示すように複数の回転体84(84a,84b,・・・)で構成される。回転体84には図2に示すように、その周面に弓なり状をなす複数個例えば4個の掻き込み爪85aが一体形成されており、これらの回転体84が所定の間隔を保持して複数個回転軸82aに取り付け固定される。
【0034】
第2の掻き込み回転部材80Bも同様に構成され、複数の掻き込み爪87aを有する回転体86が所定の間隔を保持して複数個回転軸82bに取り付け固定される。この場合、図2に示すように投下されたサニタリー用品を粉砕手段70側、具体的には第1の回転刃部材70Aと第2の回転刃部材70Bとの対向間隙内に落とし込めるように、掻き込み爪85a、87aの配置位置と、これら掻き込み爪85a,87aの互いの掻き込み方向が選定される。
【0035】
上述した所定間隔とは、粉砕手段70の場合よりも粗い。第1および第2の掻き込み回転部材80A,80Bの対向間隔も、粉砕手段70のそれよりも粗い。何れも粉砕機能を付与することを第一義の目的とした部材ではないからである。この掻き込み手段80にも裁断機能を付加するには、粉砕手段70と同様の回転
粉砕手段70と掻き込み手段80とは処理用筐体60に対して着脱自在に装着固定される。図5以下を参照して説明する。図5は掻き込み手段80についての具体例を示す。
【0036】
図5に示すように、第1の掻き込み回転部材80Aに設けられた回転軸82aの一端側を軸支するため、側壁61aに穿設された取り付け孔62aに取り付け固定される装着固定手段90は、軸受け90aと、この軸受け90aを固定すると共に、側壁61aに装着される固定部90bとで構成される。
【0037】
固定部90bは側壁61aに対して水密的に装着できるような材質が使用される。この例では比較的硬質のゴム材かプラスチック材で成形されており、この固定部90bを側壁61aに嵌め込んで固定するようにした場合である。
【0038】
回転軸82aの他端部も装着固定手段92によって軸支される。この装着固定手段92は、側壁61bに穿設された比較的大きな取り付け孔62bに装着固定される。この装着固定手段92も上述と同じ構成であって、その内面側に取り付けられた軸受け92aと、この軸受け92aを固定する固定部92bで構成される。
【0039】
第2の掻き込み回転部材80Bに関しても同じように構成されている。つまり回転軸82bの一端側を軸支するため、装着固定手段94が設けられ、他端側を軸支するための装着固定手段96が設けられる。装着固定手段94は軸受け94aと固定部94bとで構成され、他方の装着固定手段96も軸受け96aと固定部96bとで構成される。一方の装着固定手段94は側壁61aに設けられた取り付け孔63aに装着固定され、他方の装着固定手段96は側壁61bに設けられた比較的大きな取り付け孔63bに装着固定される。
【0040】
側壁61bの外側には、回転軸82a、82bを駆動するための駆動手段100が設けられる。そのため、それぞれの回転軸82a、82bには互いに噛合する歯車97a、97bが取り付けられると共に、この例では一方の回転軸82a側に取り付けられたプーリ101を介して駆動モータ103からの回転力が伝達される。そのため、駆動モータ103側のプーリ102と、回転軸82a側のプーリ101とがベルト104によって連結される。
【0041】
また、駆動モータ103側からの回転力を粉砕手段70側にも伝達するため、図6に示すような回転力の伝達系が構成される。そのため、粉砕手段70に設けられた回転軸70a、70bに関連して互いに噛合する一対の歯車98a、98bが設けられると共に、この例では回転軸82aに設けられた歯車84aから中間歯車99を介して歯車98a側に回転力が伝達される構成となっている。
【0042】
処理用筐体60の外面に取り付けられた駆動手段100や歯車97a、97bなどは、外部に露呈しないように矩形状をなすケース110によってカバーされている。
【0043】
処理用筐体60の投入口60a側は上述したように蓋体65が設けられているが、この蓋体65にはロック手段66を備える。そのため、蓋体65の先端部には図7および図8に示すようにロック用の爪66aが設けられ、他方このロック爪66aに対応した投入口60a側にもロック用の突起66bが設けられている。このロック爪66aをロック用突起66bに係止することによってロック手段66が構成され、ロック手段66を使用することで蓋体65をロックすることができる。
【0044】
図2に示すように、粉砕手段70に関連して、その回転刃部材70A、70Bの下側にはそれぞれ掻き落とし部材120が設けられる。この掻き落とし部材120は回転刃74と回転刃74(回転刃76と76)との間に絡みついたサニタリー用品の粉砕物を掻き落とすために設けられている。
【0045】
図9にその一例を示す。図9に示す掻き落とし部材120は、図9A,Bに示すように櫛歯状をなす板体122で構成され、上述した隣接する回転刃74の間に櫛歯124が入り込めるように、櫛歯124のピッチと深さおよび数が選定される。板体122は回転刃の回転方向を向くように所定の角度を以て折り曲げられている(図9B参照)。
【0046】
掻き落とし部材120としては、図9のような板体ではなく、回転ブラシを使用することもできる。この場合には図10に示すように1枚の回転板126に放射状に延びる多数のブラシ片126aを植設したものを、同軸上に複数配列し、それぞれの回転板126が隣接する回転刃74の間に入り込むように図2に示す処理用筐体60の内壁に取り付ければよい。回転ブラシは、それ自身回転駆動する構成が好ましい。
【0047】
図2に示すように処理用筐体60の投入口60a側には漏斗状をなす隔壁板128が設けられ、この隔壁板128の内部まで給水管26の管口26aが導出される。投入されたサニタリー用品が掻き込み手段80側に投入されないときでも、隔壁板128の作用で掻き込み手段80側に呼び込むことができる。また、この隔壁板128の作用で、掻き込み手段80および粉砕手段70の中央部に向かって給水できる。結果として、給水された水道水が効率よく掻き込み手段80側に導くことができる。
【0048】
図11はサニタリー用品処理装置40を駆動するための制御系130の一例を示す。この例ではCPUで構成された制御部131を有し、この制御部131には処理用筐体60に投入口60a側に設けられた電源スイッチ132と粉砕スイッチ133(図2参照)の各制御信号が供給される。電源スイッチ132は制御部131に対する電源スイッチとして機能する他、給水用電磁弁28や粉砕用駆動モータ103の電源スイッチとして機能する。
【0049】
電源スイッチ132と粉砕スイッチ133は共に、この例ではカバー110の上部に設けられている(図2参照)。制御部131からの制御信号に基づいて、この例では上述した電磁弁28と駆動モータ103が所定のタイミングで制御される。
【0050】
図12にそのタイミングチャートの一例を示す。図12は電源スイッチ132を投入した後のタイミングチャートを示す。サニタリー用品を処理用筐体60内に投入してから、蓋体65を閉蓋した後に粉砕スイッチ133が操作される(図12A)。粉砕スイッチ133が投入されると駆動モータ103が駆動されるため、その回転力が図6に示す伝達系を介して掻き込み手段80と粉砕手段70とに伝達される。その結果、掻き込み手段80と粉砕手段70が回転駆動される(図12B)。
【0051】
掻き込み手段80が駆動されると、投入されたサニタリー用品が掻き込み手段80の中央部側に集まるように、爪85a、87aによってサニタリー用品が掻き込まれる。掻き込まれることで掻き込み手段80の下側まで落とし込まれたサニタリー用品は粉砕手段70に到達する。粉砕手段70は多数の回転刃によって構成されているので、サニタリー用品が回転刃74と76との間に食い込まれることで、サニタリー用品は噛合する回転刃74,76同士の作用で、短冊状に裁断される。回転刃はクロスカット刃であるので、短冊状に裁断されたサニタリー用品はさらに細かく裁断されて粉砕される。
【0052】
粉砕処理時間T1が経過する前の所定時間、この例では粉砕処理が開始されてから所定時間ΔT1後に給水用の電磁弁28が作動する(図12C)。電磁弁28の作動により導水板128に案内された粉砕水は処理用筐体60の中央部に集中するから、粉砕されたサニタリー用品は水分を含んだ状態で排出口60b側に落下する。排出口60bの内径は図2に示すように投入口60a側よりも細くなっており、したがって給水量を調整することで、粉砕されたサニタリー用品が排出口60bから完全に排水管側に流下する前に、排出口60bを塞いだ状態となるから粉砕水が排出口60b側に多少溜まる。この溜水によってサニタリー用品が多少軟化することで、粉砕されたサニタリー用品の排出がスムーズになる。
【0053】
給水は、サニタリー用品を軟化し易くする目的の他に、処理用筐体60の内部を洗浄する目的もあるので、図12Cのように粉砕処理が終了して洗浄処理に充分な時間が経過してから電磁弁28への給電が停止するように制御される。ベビー用品から成人用品までを考慮すると、サニタリー用品の大きさがまちまちであることから、粉砕処理時間T1や給水時間T2は比較的長目に選定される。この例では、所定時間T1,T2とも、10〜20秒位に設定されている。これらの時間T1,T2を外部から調整できるように構成することもできる。例えば、外部に設けた調整ボタンによって「短、中、長」のような3段階に切り替えられるようにすることも可能である。給水タイミングは、図12Dのように粉砕処理が終了した時点から開始することも可能である。
【実施例2】
【0054】
図13以下に実施例2を説明する。実施例1では、粉砕手段70の上方側に掻き込み手段80を設置し、投入口60a側より投下されたサニタリー用品を効率よく粉砕手段70側に落とし込めるように構成した。
【0055】
図13では、この掻き込み手段80を省いた構成である。掻き込み手段80を省く代わりに、漏斗状に構成された隔壁板128を図のようにその開口端面128aを粉砕手段70の上部側を囲繞するように、くびれ部分からハの字状に開口する開口面とする。
【0056】
こうすることで、投入口60a側より投下されたサニタリー用品の投下位置が悪い場合でも、例えば粉砕手段70と処理用筐体60の内面との間にサニタリー用品が投下されたような場合でも、その隙間にサニタリー用品が挟まって、粉砕できなくなるのを防止している。
【0057】
図14はサニタリー用品処理装置の他の例の側面図であって、図6の場合と同じようにそれぞれの回転軸70a,70bには互いに噛合する歯車98a,98bが取り付けられ、そして一方の回転軸70aにはプーリ105が設けられている。駆動モータ103にもプーリ102が連結されているので、これらプーリ102,105間にベルト104を連結すれば、駆動モータ103の回転力を粉砕手段70に伝達して、それぞれの回転刃74,76を回転駆動できる。
【0058】
このように構成した場合でも、実施例1とほぼ同様の粉砕処理を実現できる。実施例2の場合は、どちらかと言えば簡易サニタリー用品処理装置と位置付けることができる。その他の構成は実施例1と同様であるので、その詳細説明は割愛する。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明は、家庭用のみならず、ホテル、各種病院、老人介護施設などに設置されているトイレ装置などに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明に係るサニタリー用品処理装置を水洗トイレに適用したときの一例を示す構成図である。
【図2】この発明に係るサニタリー用品処理装置の一例を示す要部断面図である。
【図3】処理用筐体内に設置される粉砕手段の一例を示す要部構成図である。
【図4】それに使用される回転刃の一例を示す正面図である。
【図5】処理用筐体の投入口側から見た部分断面図である。
【図6】その側面図である。
【図7】図5の他の側面図であって、蓋体を閉じた状態を示す側面図である。
【図8】蓋体を開けた状態を示す図7と同じような側面図である。
【図9】掻き落とし手段の一例を示す図である。
【図10】掻き落とし手段の他の例を示す図である。
【図11】この発明に係るサニタリー用品処理装置の制御系を示す要部の構成図である。
【図12】そのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図13】この発明に係るサニタリー用品処理装置の他の例を示す図2と同様な要部断面図である。
【図14】その側面図である。
【符号の説明】
【0061】
10・・・水洗トイレ、12・・・便器、40・・・サニタリー用品処理装置、50・・・取り付け台、60・・・処理用筐体、70・・・粉砕手段、70A,70B・・・回転刃部材、74,76・・・回転刃、80・・・掻き込み手段、80A,80B・・・第1および第2の掻き込み回転部材、97a,97b、98a、98b・・・歯車、100・・・駆動手段、103・・・駆動モータ、101,102,105・・・プーリ、65・・・蓋体、60a・・・投入口、60b・・・排出口
【技術分野】
【0001】
この発明はサニタリー用品を粉砕して下水用排水管側に排出できるようにしたサニタリー用品処理装置に関する。詳しくは、サニタリー用品の粉砕手段として回転刃を多数備えた回転刃部材を用い、これらを互いに噛合させながら駆動することで、サニタリー用品を効率よく粉砕できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
生理用品などで代表されるサニタリー用品は、使用後直接水洗トイレなどに投棄すると、排水管などが詰まったりするおそれがある。そのため、サニタリー用品は使用後トイレに備え付けられた専用のゴミ箱に投棄するか、ポリ袋などに入れてゴミ回収日まで保管し、燃えるゴミとして廃棄処分されるのが普通である。
【0003】
このような煩わしさを解消するため、トイレ内などにサニタリー用品処理装置を備えておき、ここに使用後のサニタリー用品を投棄し、排水管に排出できる程度に粉砕処理することで、水洗トイレに排出された汚物と同じように排水管側に廃棄できれば好ましい。このような処理装置は既に提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、最近ではベビー用の紙おむつや、成人介護用の紙おむつなどが普及しているが、これらの紙おむつなどもサニタリー用品と同じように、同じ処理装置を用いて処理できれば非常に便利である。
【0005】
【特許文献1】特開平10−140638号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された処理装置は、水道水の水圧でタービンを回転させ、タービンの上部に取り付けられた回転軸に粉砕カッタを取り付けた構成となっている。粉砕カッタは水面より充分沈んだ位置に取り付けられているので、投入されたサニタリー用品が粉砕カッタまで到達するまでに時間がかかると共に、タービンの上側に回転カッタが取り付けられているため、タービンに回転力を付与するために水道水を供給すると、折角沈みかけたサニタリー用品がタービンによる回転水流によって再度浮上するおそれがあり、回転カッタによって、サニタリー用品を充分細かく粉砕できないおそれがある。細かく粉砕できたとしても、粉砕に要する時間がかかる問題も発生する。特に、成人用の紙おむつはその大きさも様々であるので、充分に粉砕できる場合とそうでない場合が生ずるおそれがある。
【0007】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、特に2つの回転刃を互いに噛み合わせた構成の粉砕手段を用いることで、紙おむつなどを含めたサニタリー用品を確実に粉砕処理できるサニタリー用品処理装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、請求項1に記載したこの発明に係るサニタリー用品処理装置は、上端側が開口されてサニタリー用品の投入口となされ、その下端側が排水管に接続される排出口となされた処理用筐体と、
上記処理用筐体の内部に装備された粉砕手段とで構成され、
上記粉砕手段は、互いに噛合する第1および第2の回転刃部材を有し、
上記粉砕手段は、互いに噛合する第1および第2の回転刃部材を有し、
上記第1および第2の回転刃部材のそれぞれは、上記投入口に対して水平に設置されると共に、これら回転刃部材は、同軸上に所定の間隔を保持して設けられた複数の回転刃で構成されたことを特徴とする。
【0009】
この発明では、上端側が開口されて投入口となされ、下端側が排出口となされた、ほぼ角体状をなす処理用筐体を有する。処理用筐体の内部に粉砕手段が設けられる。粉砕手段は、互いに噛合する第1および第2の回転刃部材を有する。
【0010】
第1および第2の回転刃部材のそれぞれは、投入口に対して水平となるように設置される。これらの回転刃部材は、同軸上に所定の間隔を保持して設けられた複数の回転刃で構成される。投入口には蓋体が設けられ、閉蓋した状態で使用される。
処理用筐体の投入口からサニタリー用品が投入される。サニタリー用品としては、上述した生理用品の他に、ベビー用紙おむつ、成人用紙おむつなど、粉砕処理して排出すべきものを含むものとする。
【0011】
投下されたサニタリー用品は第1の回転刃部材と第2の回転刃部材との間に掻き込まれることで、サニタリー用品は複数の回転刃によって切断されながら粉砕される。回転刃としてクロスカット刃を使用する場合には、この回転刃によって細かく裁断された状態で粉砕される。
【0012】
粉砕されたサニタリー用品は回転刃部材の下側に落下する。したがって粉砕処理中あるいは粉砕処理後に、投入口側から適量の洗浄水を流し込むことで、粉砕されたサニタリー用品はこの洗浄水と共に排出口から排水管(下水管)側に排出される。
【0013】
第1および第2の回転刃部材の上方に、サニタリー用品の掻き込み手段を配置する場合には、サニタリー用品がこの掻き込み手段によって強制的に回転刃部材側に掻き込まれて送り込まれると共に、この掻き込み手段によってサニタリー用品の一部が粗く切り裂かれるので、サニタリー用品を確実に粉砕することができる。
【0014】
回転刃と回転刃との間に粉砕物の掻き落とし手段を配設すれば、回転刃と回転刃との間に挟まった粉砕物を掻き落とすことができるので、粉砕物が絡まって粉砕処理が低下するおそれもない。
【発明の効果】
【0015】
この発明では、回転刃を使用した粉砕手段を用いてサニタリー用品を粉砕処理して排出するようにしたものである。
【0016】
これによれば、複数の回転刃によってサニタリー用品を強制的に裁断し、粉砕するものであるから、サニタリー用品をより確実に粉砕できる。そのため、排水管が詰まったりする事故を未然に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
続いて、この発明に係るサニタリー用品処理装置の好ましい実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1はこの発明に係るサニタリー用品処理装置40を、既存のトイレ装置(水洗トイレ)10に装備したときの関係を示す。
【0019】
洋式トイレの場合を説明すると、水洗トイレ10は便器12を有する。便器12の投入口側には便蓋14が取り付けられる。便器12の奥には水洗タンク16がある。水洗タンク16には水道管24が止水栓18を介して連結される。便器12の排出部20は、排水管(下水管)22に連結される。
【0020】
トイレ室11の内部であって、便器12に隣接した位置にサニタリー用品処理装置40が設置される。サニタリー用品処理装置40は、サニタリー用品を投入し易くするため、取り付け台座50の上に高さを調整した上で設置される。
【0021】
サニタリー用品処理装置40は、処理用筐体60を有する。処理用筐体60の下端側に設けられた排出口60bはS字トラップ管52を介して導管54に連結され、導管54は連結部56を介して排水管22と連結される。
【0022】
処理用筐体60の上端側の端面(上端面)は矩形状に開口された投入口60aとなされる。この投入口近傍に給水管26が導かれる。給水管26は洗浄水を処理用筐体60内に供給するためのものである。給水管26に設けられた止水栓28は、この例では電磁弁が使用される。
【0023】
処理用筐体60は蓋体65を有する。蓋体65によって投入口60aが閉蓋される。蓋体65にはロック手段66が設けられる。
【0024】
処理用筐体60は粉砕手段70を備える。粉砕手段70は回転刃を備える。蓋体65を開けて、投入口60a側から処分すべきサニタリー用品が処理用筐体60内に投入され、投入されたサニタリー用品をこの粉砕手段70によって細かく粉砕処理する。粉砕処理されたサニタリー用品は洗浄水と共に排出される。
【0025】
図2以下に粉砕手段70の具体例を示す。図2はサニタリー用品処理装置40の縦断面図であり、図5は投入口60a側からの平面図である。処理用筐体60はその投入口60aが矩形状をなし、下端側に向かって細くなり、下端側が排出口60bとなっている。
【0026】
処理用筐体60の内部であって、その中央部付近に粉砕手段70が設けられる。粉砕手段70は互いに噛合しあう関係に配置された第1および第2の回転刃部材70A,70Bからなり、処理用筐体60の左右側壁61a、61b(図5参照)に差し渡された状態で固定される。したがって第1および第2の回転刃部材70A,70Bは投入口60aに対して平行(水平)に配置される。
【0027】
図3に示すように、第1の回転刃部材70Aは、その回転軸70aに複数の回転刃74(74a、74b・・・)が所定の間隔を保持して配列される。第2の回転刃部材70Bも同様に構成され、その回転軸70bに同じ数か、1個多い回転刃76(76a,76b,・・・)が配列されて構成され、回転刃74と76とは互い違いとなるように配置される。回転刃74,76の大きさや設置すべき個数などは、処理用筐体60の収容スペースによって変わる。図5のような矩形状をなし、排出口60b側が細められたスペースの処理用筐体60を使用する場合には、4〜7枚の回転刃を使用してそれぞれの回転刃部材70A,70Bが構成される。
【0028】
ここで、互いに隣り合う回転刃74と76とは完全に噛み合う状態では配置されていない。それは、取り扱うサニタリー用品は、ある程度の厚みがあることから、サニタリー用品を切断し易くするため、これらの厚みを考慮して図2に示すように、隣り合う回転刃74と76との間隔や、回転軸70a,70bまでの対向距離が設定される。
【0029】
回転刃74,76としては、先端部が刃状となっている円盤状の回転刃や、その周面部に尖端を持った楕円状の回転刃(いわゆるクロスカット刃)などを使用することができる。前者の回転刃よりも後者の回転刃の方が、短冊状に細かく裁断できる。
【0030】
図4は後者の回転刃74の一例を示すもので、ほぼ180°対向する位置に一対の尖端刃75aを有する。尖端刃75aは回転方向aに向かって尖端刃の端面が対峙するような刃形状をなす。他方の回転刃76においても同じ構造の尖端刃77aを有する(図3参照)。
【0031】
図3に示すように、複数の回転刃74を回転軸70aに取り付ける場合、尖端刃75aの取り付け位置は、順次所定角度(30°程度)だけ回転位相がずれるように取り付け固定される。他方の回転刃76にあっても順次所定角度だけ回転位相がずれた状態で回転軸70bに取り付け固定される。したがって、図2のように尖端刃75a,77a同士が互いに対峙した状態で少許の間隙を保持しながら回転駆動される。実際には回転刃74と76とは噛み合った状態で駆動される訳ではないが、サニタリー用品を介在させた状態では、回転刃74と76とが噛み合ってサニタリー用品が裁断されることになる。
【0032】
この例では、さらに図2に示すように粉砕手段70の上方に掻き込み手段80が配置される。掻き込み手段80は、投入口60a側より投入されサニタリー用品が確実に粉砕手段70の中心部に導かれるようにするためのものである。そのため、この掻き込み手段80も第1および第2の掻き込み回転部材80A,80Bで構成される。
【0033】
第1の掻き込み回転部材80Aは、図5に示すように複数の回転体84(84a,84b,・・・)で構成される。回転体84には図2に示すように、その周面に弓なり状をなす複数個例えば4個の掻き込み爪85aが一体形成されており、これらの回転体84が所定の間隔を保持して複数個回転軸82aに取り付け固定される。
【0034】
第2の掻き込み回転部材80Bも同様に構成され、複数の掻き込み爪87aを有する回転体86が所定の間隔を保持して複数個回転軸82bに取り付け固定される。この場合、図2に示すように投下されたサニタリー用品を粉砕手段70側、具体的には第1の回転刃部材70Aと第2の回転刃部材70Bとの対向間隙内に落とし込めるように、掻き込み爪85a、87aの配置位置と、これら掻き込み爪85a,87aの互いの掻き込み方向が選定される。
【0035】
上述した所定間隔とは、粉砕手段70の場合よりも粗い。第1および第2の掻き込み回転部材80A,80Bの対向間隔も、粉砕手段70のそれよりも粗い。何れも粉砕機能を付与することを第一義の目的とした部材ではないからである。この掻き込み手段80にも裁断機能を付加するには、粉砕手段70と同様の回転
粉砕手段70と掻き込み手段80とは処理用筐体60に対して着脱自在に装着固定される。図5以下を参照して説明する。図5は掻き込み手段80についての具体例を示す。
【0036】
図5に示すように、第1の掻き込み回転部材80Aに設けられた回転軸82aの一端側を軸支するため、側壁61aに穿設された取り付け孔62aに取り付け固定される装着固定手段90は、軸受け90aと、この軸受け90aを固定すると共に、側壁61aに装着される固定部90bとで構成される。
【0037】
固定部90bは側壁61aに対して水密的に装着できるような材質が使用される。この例では比較的硬質のゴム材かプラスチック材で成形されており、この固定部90bを側壁61aに嵌め込んで固定するようにした場合である。
【0038】
回転軸82aの他端部も装着固定手段92によって軸支される。この装着固定手段92は、側壁61bに穿設された比較的大きな取り付け孔62bに装着固定される。この装着固定手段92も上述と同じ構成であって、その内面側に取り付けられた軸受け92aと、この軸受け92aを固定する固定部92bで構成される。
【0039】
第2の掻き込み回転部材80Bに関しても同じように構成されている。つまり回転軸82bの一端側を軸支するため、装着固定手段94が設けられ、他端側を軸支するための装着固定手段96が設けられる。装着固定手段94は軸受け94aと固定部94bとで構成され、他方の装着固定手段96も軸受け96aと固定部96bとで構成される。一方の装着固定手段94は側壁61aに設けられた取り付け孔63aに装着固定され、他方の装着固定手段96は側壁61bに設けられた比較的大きな取り付け孔63bに装着固定される。
【0040】
側壁61bの外側には、回転軸82a、82bを駆動するための駆動手段100が設けられる。そのため、それぞれの回転軸82a、82bには互いに噛合する歯車97a、97bが取り付けられると共に、この例では一方の回転軸82a側に取り付けられたプーリ101を介して駆動モータ103からの回転力が伝達される。そのため、駆動モータ103側のプーリ102と、回転軸82a側のプーリ101とがベルト104によって連結される。
【0041】
また、駆動モータ103側からの回転力を粉砕手段70側にも伝達するため、図6に示すような回転力の伝達系が構成される。そのため、粉砕手段70に設けられた回転軸70a、70bに関連して互いに噛合する一対の歯車98a、98bが設けられると共に、この例では回転軸82aに設けられた歯車84aから中間歯車99を介して歯車98a側に回転力が伝達される構成となっている。
【0042】
処理用筐体60の外面に取り付けられた駆動手段100や歯車97a、97bなどは、外部に露呈しないように矩形状をなすケース110によってカバーされている。
【0043】
処理用筐体60の投入口60a側は上述したように蓋体65が設けられているが、この蓋体65にはロック手段66を備える。そのため、蓋体65の先端部には図7および図8に示すようにロック用の爪66aが設けられ、他方このロック爪66aに対応した投入口60a側にもロック用の突起66bが設けられている。このロック爪66aをロック用突起66bに係止することによってロック手段66が構成され、ロック手段66を使用することで蓋体65をロックすることができる。
【0044】
図2に示すように、粉砕手段70に関連して、その回転刃部材70A、70Bの下側にはそれぞれ掻き落とし部材120が設けられる。この掻き落とし部材120は回転刃74と回転刃74(回転刃76と76)との間に絡みついたサニタリー用品の粉砕物を掻き落とすために設けられている。
【0045】
図9にその一例を示す。図9に示す掻き落とし部材120は、図9A,Bに示すように櫛歯状をなす板体122で構成され、上述した隣接する回転刃74の間に櫛歯124が入り込めるように、櫛歯124のピッチと深さおよび数が選定される。板体122は回転刃の回転方向を向くように所定の角度を以て折り曲げられている(図9B参照)。
【0046】
掻き落とし部材120としては、図9のような板体ではなく、回転ブラシを使用することもできる。この場合には図10に示すように1枚の回転板126に放射状に延びる多数のブラシ片126aを植設したものを、同軸上に複数配列し、それぞれの回転板126が隣接する回転刃74の間に入り込むように図2に示す処理用筐体60の内壁に取り付ければよい。回転ブラシは、それ自身回転駆動する構成が好ましい。
【0047】
図2に示すように処理用筐体60の投入口60a側には漏斗状をなす隔壁板128が設けられ、この隔壁板128の内部まで給水管26の管口26aが導出される。投入されたサニタリー用品が掻き込み手段80側に投入されないときでも、隔壁板128の作用で掻き込み手段80側に呼び込むことができる。また、この隔壁板128の作用で、掻き込み手段80および粉砕手段70の中央部に向かって給水できる。結果として、給水された水道水が効率よく掻き込み手段80側に導くことができる。
【0048】
図11はサニタリー用品処理装置40を駆動するための制御系130の一例を示す。この例ではCPUで構成された制御部131を有し、この制御部131には処理用筐体60に投入口60a側に設けられた電源スイッチ132と粉砕スイッチ133(図2参照)の各制御信号が供給される。電源スイッチ132は制御部131に対する電源スイッチとして機能する他、給水用電磁弁28や粉砕用駆動モータ103の電源スイッチとして機能する。
【0049】
電源スイッチ132と粉砕スイッチ133は共に、この例ではカバー110の上部に設けられている(図2参照)。制御部131からの制御信号に基づいて、この例では上述した電磁弁28と駆動モータ103が所定のタイミングで制御される。
【0050】
図12にそのタイミングチャートの一例を示す。図12は電源スイッチ132を投入した後のタイミングチャートを示す。サニタリー用品を処理用筐体60内に投入してから、蓋体65を閉蓋した後に粉砕スイッチ133が操作される(図12A)。粉砕スイッチ133が投入されると駆動モータ103が駆動されるため、その回転力が図6に示す伝達系を介して掻き込み手段80と粉砕手段70とに伝達される。その結果、掻き込み手段80と粉砕手段70が回転駆動される(図12B)。
【0051】
掻き込み手段80が駆動されると、投入されたサニタリー用品が掻き込み手段80の中央部側に集まるように、爪85a、87aによってサニタリー用品が掻き込まれる。掻き込まれることで掻き込み手段80の下側まで落とし込まれたサニタリー用品は粉砕手段70に到達する。粉砕手段70は多数の回転刃によって構成されているので、サニタリー用品が回転刃74と76との間に食い込まれることで、サニタリー用品は噛合する回転刃74,76同士の作用で、短冊状に裁断される。回転刃はクロスカット刃であるので、短冊状に裁断されたサニタリー用品はさらに細かく裁断されて粉砕される。
【0052】
粉砕処理時間T1が経過する前の所定時間、この例では粉砕処理が開始されてから所定時間ΔT1後に給水用の電磁弁28が作動する(図12C)。電磁弁28の作動により導水板128に案内された粉砕水は処理用筐体60の中央部に集中するから、粉砕されたサニタリー用品は水分を含んだ状態で排出口60b側に落下する。排出口60bの内径は図2に示すように投入口60a側よりも細くなっており、したがって給水量を調整することで、粉砕されたサニタリー用品が排出口60bから完全に排水管側に流下する前に、排出口60bを塞いだ状態となるから粉砕水が排出口60b側に多少溜まる。この溜水によってサニタリー用品が多少軟化することで、粉砕されたサニタリー用品の排出がスムーズになる。
【0053】
給水は、サニタリー用品を軟化し易くする目的の他に、処理用筐体60の内部を洗浄する目的もあるので、図12Cのように粉砕処理が終了して洗浄処理に充分な時間が経過してから電磁弁28への給電が停止するように制御される。ベビー用品から成人用品までを考慮すると、サニタリー用品の大きさがまちまちであることから、粉砕処理時間T1や給水時間T2は比較的長目に選定される。この例では、所定時間T1,T2とも、10〜20秒位に設定されている。これらの時間T1,T2を外部から調整できるように構成することもできる。例えば、外部に設けた調整ボタンによって「短、中、長」のような3段階に切り替えられるようにすることも可能である。給水タイミングは、図12Dのように粉砕処理が終了した時点から開始することも可能である。
【実施例2】
【0054】
図13以下に実施例2を説明する。実施例1では、粉砕手段70の上方側に掻き込み手段80を設置し、投入口60a側より投下されたサニタリー用品を効率よく粉砕手段70側に落とし込めるように構成した。
【0055】
図13では、この掻き込み手段80を省いた構成である。掻き込み手段80を省く代わりに、漏斗状に構成された隔壁板128を図のようにその開口端面128aを粉砕手段70の上部側を囲繞するように、くびれ部分からハの字状に開口する開口面とする。
【0056】
こうすることで、投入口60a側より投下されたサニタリー用品の投下位置が悪い場合でも、例えば粉砕手段70と処理用筐体60の内面との間にサニタリー用品が投下されたような場合でも、その隙間にサニタリー用品が挟まって、粉砕できなくなるのを防止している。
【0057】
図14はサニタリー用品処理装置の他の例の側面図であって、図6の場合と同じようにそれぞれの回転軸70a,70bには互いに噛合する歯車98a,98bが取り付けられ、そして一方の回転軸70aにはプーリ105が設けられている。駆動モータ103にもプーリ102が連結されているので、これらプーリ102,105間にベルト104を連結すれば、駆動モータ103の回転力を粉砕手段70に伝達して、それぞれの回転刃74,76を回転駆動できる。
【0058】
このように構成した場合でも、実施例1とほぼ同様の粉砕処理を実現できる。実施例2の場合は、どちらかと言えば簡易サニタリー用品処理装置と位置付けることができる。その他の構成は実施例1と同様であるので、その詳細説明は割愛する。
【産業上の利用可能性】
【0059】
この発明は、家庭用のみならず、ホテル、各種病院、老人介護施設などに設置されているトイレ装置などに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】この発明に係るサニタリー用品処理装置を水洗トイレに適用したときの一例を示す構成図である。
【図2】この発明に係るサニタリー用品処理装置の一例を示す要部断面図である。
【図3】処理用筐体内に設置される粉砕手段の一例を示す要部構成図である。
【図4】それに使用される回転刃の一例を示す正面図である。
【図5】処理用筐体の投入口側から見た部分断面図である。
【図6】その側面図である。
【図7】図5の他の側面図であって、蓋体を閉じた状態を示す側面図である。
【図8】蓋体を開けた状態を示す図7と同じような側面図である。
【図9】掻き落とし手段の一例を示す図である。
【図10】掻き落とし手段の他の例を示す図である。
【図11】この発明に係るサニタリー用品処理装置の制御系を示す要部の構成図である。
【図12】そのタイミングチャートの一例を示す図である。
【図13】この発明に係るサニタリー用品処理装置の他の例を示す図2と同様な要部断面図である。
【図14】その側面図である。
【符号の説明】
【0061】
10・・・水洗トイレ、12・・・便器、40・・・サニタリー用品処理装置、50・・・取り付け台、60・・・処理用筐体、70・・・粉砕手段、70A,70B・・・回転刃部材、74,76・・・回転刃、80・・・掻き込み手段、80A,80B・・・第1および第2の掻き込み回転部材、97a,97b、98a、98b・・・歯車、100・・・駆動手段、103・・・駆動モータ、101,102,105・・・プーリ、65・・・蓋体、60a・・・投入口、60b・・・排出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端側が開口されてサニタリー用品の投入口となされ、その下端側が排水管に接続される排出口となされた処理用筐体と、
上記処理用筐体の内部に設けられた粉砕手段とで構成され、
上記粉砕手段は、互いに噛合する第1および第2の回転刃部材を有し、
上記第1および第2の回転刃部材のそれぞれは、上記投入口に対して水平に設置されると共に、これら回転刃部材は、同軸上に所定の間隔を保持して設けられた複数の回転刃で構成された
ことを特徴とするサニタリー用品処理装置。
【請求項2】
上記処理用筐体の側面に着脱孔が設けられ、
上記粉砕手段が上記着脱孔を介して上記処理用筐体に対して着脱自在に装着固定された
ことを特徴とする請求項1記載のサニタリー用品処理装置。
【請求項3】
上記回転刃は、クロスカット刃である
ことを特徴とする請求項1記載のサニタリー用品処理装置。
【請求項4】
上記粉砕手段の上方に、上記サニタリー用品に対する掻き込み手段が設けられ、
この掻き込み手段は、所定の間隔を保持して対向配置された掻き込み用の一対の回転部材で構成され、
上記回転部材には、同軸上に配置された複数の爪付き回転板を有する
ことを特徴とする請求項1記載のサニタリー用品処理装置。
【請求項5】
上記投入口付近には、洗浄水の給水管が取り付けられ、
上記サニタリー用品の粉砕処理に関連して上記洗浄水が上記処理用筐体内に給水される
ことを特徴とする請求項1記載のサニタリー用品処理装置。
【請求項6】
上記第1および第2の回転刃部材の少なくとも一方は、上記複数の回転刃の上記間隔内に掻き落とし部材が配設されている
ことを特徴とする請求項1記載のサニタリー用品処理装置。
【請求項1】
上端側が開口されてサニタリー用品の投入口となされ、その下端側が排水管に接続される排出口となされた処理用筐体と、
上記処理用筐体の内部に設けられた粉砕手段とで構成され、
上記粉砕手段は、互いに噛合する第1および第2の回転刃部材を有し、
上記第1および第2の回転刃部材のそれぞれは、上記投入口に対して水平に設置されると共に、これら回転刃部材は、同軸上に所定の間隔を保持して設けられた複数の回転刃で構成された
ことを特徴とするサニタリー用品処理装置。
【請求項2】
上記処理用筐体の側面に着脱孔が設けられ、
上記粉砕手段が上記着脱孔を介して上記処理用筐体に対して着脱自在に装着固定された
ことを特徴とする請求項1記載のサニタリー用品処理装置。
【請求項3】
上記回転刃は、クロスカット刃である
ことを特徴とする請求項1記載のサニタリー用品処理装置。
【請求項4】
上記粉砕手段の上方に、上記サニタリー用品に対する掻き込み手段が設けられ、
この掻き込み手段は、所定の間隔を保持して対向配置された掻き込み用の一対の回転部材で構成され、
上記回転部材には、同軸上に配置された複数の爪付き回転板を有する
ことを特徴とする請求項1記載のサニタリー用品処理装置。
【請求項5】
上記投入口付近には、洗浄水の給水管が取り付けられ、
上記サニタリー用品の粉砕処理に関連して上記洗浄水が上記処理用筐体内に給水される
ことを特徴とする請求項1記載のサニタリー用品処理装置。
【請求項6】
上記第1および第2の回転刃部材の少なくとも一方は、上記複数の回転刃の上記間隔内に掻き落とし部材が配設されている
ことを特徴とする請求項1記載のサニタリー用品処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−209930(P2007−209930A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−34255(P2006−34255)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
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