説明

サブチラーゼ変異体

【課題】洗浄性能、熱安定性、貯蔵安定性又は触媒活性を含む1又は複数の性質において、親ズブチラーゼに比べて変化を示す新規なズブチラーゼ変異体を提供する。
【解決手段】ズブチリシンBPN‘の変異体、及び該ズブチラーゼ変異体をコードする単離ポリヌクレオチド。該ズブチラーゼ変異体は、例えば洗浄又は洗剤組成物、例えば洗濯組成物及び皿洗浄組成物、例えば自動皿洗浄組成物において使用するのに適当である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたは複数の特性、例えば洗浄性能、熱安定性、貯蔵安定性または触媒活性において親サブチラーゼと比較して変化を示す新規のサブチラーゼ変異体に関する。本発明の変異体は、例えば清浄または洗浄用組成物、例えば洗濯洗剤組成物および食器洗浄用組成物、例えば自動食器洗浄用組成物に用いるのに適している。本発明は、変異体をコードする単離DNA配列、発現ベクター、宿主細胞、ならびに本発明の変異体の製造および使用方法にも関する。さらに本発明は、本発明の変異体を含む清浄および洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗剤産業において、酵素は、30年以上もの間、洗浄用処方物中に補足されてきた。このような処方物中に用いられる酵素は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、ならびにその他の酵素またはそれらの混合物を含む。商業的には、最も重要な酵素はプロテアーゼである。
【0003】
増加中の商業的に用いられるプロテアーゼは、天然野生型プロテアーゼのタンパク質工学処理変異体、例えばデュラザイム(商標)、レラーゼ(商標)、アルカラーゼ(商標)、サビナーゼ(商標)、プリマーゼ(商標)、デュララーゼ(商標)、エスペラーゼ(商標)、オボザイム(商標)およびカンナーゼ(商標)(Novozymes A/S)、マキサターゼTM、マキサカルTM、マキサペムTM、プロペラーゼTM、プラフェクトTM、プラフェクトOxPTM、FN2TM、FN3TMおよびFN4TM(Genencor International, Inc.)である。さらに、多数のプロテアーゼ変異体が当該技術分野で記載されている。従来技術のプロテアーゼ変異体の全一覧は、WO 99/27082に示されている。
【0004】
しかしながら多数の有用なプロテアーゼ変異体が記載されてきたけれども、洗濯または硬質表面清浄といったような多数の工業的用途のための新規の改良型プロテアーゼまたはプロテアーゼ変異体に対する必要性が依然として存在する。したがって本発明の目的は、このような目的のための改良型サブチラーゼ変異体を提供することである。
【発明の概要】
【0005】
したがって第一の態様において、本発明は、少なくとも:
a)以下の修飾:
*0AQSVPWG; A1T、V;Q2L;S3T、A、L;V4L、A;I8V、T;S9G、D、R、K、L、V;R10H、K;V11A;Q12D;A13V;P14S、T、D、A、M、V、K、Q、L、H、R、I;A15M、T;A16P;H17R;N18S、H;R19W、K、L、F、G、I;G20*、R、A;L21F、LP、LW、LA、LG;T22S、A、K、TV、TG、TL、TW、TV、G、L、TY;G23S;S24P;K27R、V28I;V30I;I35T、V;T38S;P40L;N43D;R45H、K;G46D;A48T;S49N;F50S;V51A、I、D;P52V、A;P55S、A;S57P;G61E、D、S、R、GP;N62D、ND、NE、DE、NG、E、S;V68A、S、L、I;T71A;I72V;L75I;N76S、D;N77S;S78T;V81A;A85T;S87C;A88V、T;E89G;K94N;V95C、T;L96LA、LG;G97E、D、W、A、GG、GA、GV、N、GS;A98S、D、E、T、AS、AD、AV、AE、AH、Q、N、M、L、G、R、V、S;S99D、L、A、AD、SD、SM、SG、DA、P、G、N、C、M、V、I;G100S、GE、C;S101SA、SK;G102D、S;S103D、E、Y、L、Q、H、T;V104T、S、R、I、N、M、L、D;S106D、E、T、M、G、A、L、F、I;I107T、V、M;A108V、T、S;L111I、V;A114V;N116S、D;G118D;M119L、I、V、A、S;H120N、D、Q、K、E、Y、S;V121A;L124C;L126I;G127E;S128N、I、G、C;P129PSN、T、E、D、S、N、A;S130P、T、C、*;P131M、F、W、L、A、H、T、*、PA、S、Q、R、E、G、D、C;S132G、T;A133ASA;T134A;Q137H、E、D;A138G、V;V139L、I;N140D、K;T143A;S144D、N、P;R145G;V150I;A151V、G;A152P;A158T、V、C、E、L、D、M;G160A、D;S163G、C、N、A;Y167K、A、I;A168G;A169G;R170C、S、H、L;Y171C;A172V;N173D;A174V;M175L、I、V、A、S、T;N183D;N184D、S;N185S、D;R186L、C、H;S188G;S190A;Y192H;G195F、E;V203S、A、L、Q、M、F、I;N204T、D、S;Q206L:Y209C、H;G211D;S212N、L:T213A;Y214C、H;A215D、T;N218D、S;M222L、I、V、A、S;A223G;T224A、S;A228T;A230V;A232S、L、T、P;V234I;Q236A、L、D、T、C、M、F、S;K237R;N238D;P239T、S;S240F;S242T;V244I、M、A;Q245R、K、E、D、T、F、N、V、W、G、I、S、C、L、A、M;N248P、D、S;K251E、R;N252G、H、D、V、M、S、T、E、Y、S、Q、K、A、L;A254S;T255A、S;S256N、R、G;L257G;G258K;S259A、N、G;T260A、R;N261D;L262S、Q、V;Y263H、F;G264E;S265G、R、N;V268L、I;N269T;N296K;E271A;T274S、L、A、Rのうちの少なくとも1つと組合せた、
位置62、68、97、98、99、106、131、170、245、252のうちの1つまたは複数におけるアミノ酸残基K、H、R、E、D、Q、N、C、V、L、I、P、M、F、W、Y、G、A、S、Tのうちの1つの挿入、置換または欠失、あるいは
【0006】
b)以下の組合せ変異体:
A108T+L111V;L124I+S125A;P129S+S130AT;L96LA+A151G+V203A;S49N+V203L+N218D;S3T+A16P+R45C+G100S+A230V;18V+R19K+V139I;N76D+A174AL+A194P+A230V;N185R;N62NE;H120Q+Q137E、G61GE、G61GS、G100L、A133D、V68A、N123D、L111F+Y263H、V11A+G61GE+V227A+S240F、A133E+S144K+N218D、S128A+P129S+S130SP、S9R+A15T+T22TQ+S101P、S9R+A15T+H120R+Q137D+N173S、G97E、Q245W、S9R+A15T+L96LG+Q137E+Y209H、S9R+A15T+L111V+Q137E+G211D、S9R+A15T+L111I+Q137E、S9R+A15T+L111I+H120N+Q137E、S9R+A15T+L96LG+H120Q+Q137E、S9R+A15T+T260M、S9R+A15T、Q245I、S9R+A15T+H120G+Q137E+N218D、S9R+A15T+S130P、Q245F、S9R+A15T+N218D、G63E+N76D+A194P+A230V、S9R+A15T+T224A、G100S、S9R+A15T+D60DG、A138V+V139I+A194P+N218D+A230V、A108V+A169G+R170A+Y171H、I8V+P14L+R19L+V30I+I35V+S57P+P129S+Q137D+S144D+S256N、A133D+T134S+Q137A、Q137D、A98AH、V51D、Q12E+P14L+A15T、G63E+N76D+A194P+A230V、Q12E+P14L+A15T、G97GS
のうちの1つ、あるいは
【0007】
c)位置68における1つまたは複数の修飾であって、K、H、R、E、D、Q、N、C、V、L、I、P、M、F、W、Y、G、A、SおよびTからなる群から選択されるアミノ酸残基の欠失、挿入および/または置換を含む修飾(1または複数)
を含むプロテアーゼ変異体に関する。
【0008】
第二の態様では、本発明は、以下の:
a)1つまたは複数の修飾:
X62D、XD、XE、XG、DE
X68A、S、L、I
X97E、D、W、A、N、XG、XA、XV、XS
X98S、D、E、T、XS、XD、XV
X99D、L、A、P、G、N、AD、XD、XM、XG、DA
X106D、E、T、M、G、A、L、F、I
X131M、F、W、L、A、H、T、*、S、Q、R、E、G、XA
X170C、S、H
X245R、K、E、D、T、F、N、V、W、G、I、S、C、L、A、
X252G、H、D、V、M、S、T、E、Y、S、Q、K
と、以下の修飾:
【0009】
*0AQSVPWG; A1T、V;Q2L;S3T、A、L;V4L、A;I8V、T;S9G、D、R、K、L、V;R10H、K;V11A;Q12D;A13V;P14S、T、D、A、M、V、K、Q、L、H、R、I;A15M、T;A16P;H17R;N18S、H;R19W、K、L、F、G、I;G20*、R、A;L21F、LP、LW、LA、LG;T22S、A、K、TV、TG、TL、TW、TV、G、L、TY;G23S;S24P;K27R、V28I;V30I;I35T、V;T38S;P40L;N43D;R45H、K;G46D;A48T;S49N;F50S;V51A、I、D;P52V、A;P55S、A;S57P;G61E、D、S、R、GP;N62D、ND、NE、DE、NG、E、S;V68A、S、L、I;T71A;I72V;L75I;N76S、D;N77S;S78T;V81A;A85T;S87C;A88V、T;E89G;K94N;V95C、T;L96LA、LG;G97E、D、W、A、GG、GA、GV、N、GS;A98S、D、E、T、AS、AD、AV、AE、AH、Q、N、M、L、G、R、V、S;S99D、L、A、AD、SD、SM、SG、DA、P、G、N、C、M、V、I;G100S、GE、C;S101SA、SK;G102D、S;S103D、E、Y、L、Q、H、T;V104T、S、R、I、N、M、L、D;S106D、E、T、M、G、A、L、F、I;I107T、V、M;A108V、T、S;L111I、V;A114V;N116S、D;G118D;M119L、I、V、A、S;H120N、D、Q、K、E、Y、S;V121A;L124C;L126I;G127E;S128N、I、G、C;P129PSN、T、E、D、S、N、A;S130P、T、C、*;P131M、F、W、L、A、H、T、*、PA、S、Q、R、E、G、D、C;S132G、T;A133ASA;T134A;Q137H、E、D;A138G、V;V139L、I;N140D、K;T143A;S144D、N、P;R145G;V150I;A151V、G;A152P;A158T、V、C、E、L、D、M;G160A、D;S163G、C、N、A;Y167K、A、I;A168G;A169G;R170C、S、H、L;Y171C;A172V;N173D;A174V;M175L、I、V、A、S、T;N183D;N184D、S;N185S、D;R186L、C、H;S188G;S190A;Y192H;G195F、E;V203S、A、L、Q、M、F、I;N204T、D、S;Q206L:Y209C、H;G211D;S212N、L:T213A;Y214C、H;A215D、T;N218D、S;M222L、I、V、A、S;A223G;T224A、S;A228T;A230V;A232S、L、T、P;V234I;Q236A、L、D、T、C、M、F、S;K237R;N238D;P239T、S;S240F;S242T;V244I、M、A;Q245R、K、E、D、T、F、N、V、W、G、I、S、C、L、A、M;N248P、D、S;K251E、R;N252G、H、D、V、M、S、T、E、Y、S、Q、K、A、L;A254S;T255A、S;S256N、R、G;L257G;G258K;S259A、N、G;T260A、R;N261D;L262S、Q、V;Y263H、F;G264E;S265G、R、N;V268L、I;N269T;N296K;E271A;T274S、L、A、R
のうちの少なくとも1つ、
との組合せを含むプロテアーゼ変異体に関する。
【0010】
第三の態様では、本発明は、以下の表1〜表13:
【表1】

【0011】
【表2】

【0012】
【表3】

【0013】
【表4】

【0014】
【表5】

【0015】
【表6】

【0016】
【表7】

【0017】
【表8】

【0018】
【表9】

【0019】
【表10】

【0020】
【表11】

【0021】
【表12】

【0022】
【表13】

【0023】
に開示された変化のうちの少なくとも1つを含むサブチラーゼ変異体であって、
(a)表1〜表13の変異体がプロテアーゼ活性を示し、そして
(b)各位置が図1および配列番号1に示されたズブチリシンBPN‘のアミノ酸配列の位置に対応する、
サブチラーゼ変異体に関する。
【0024】
第四の態様では、本発明は、本発明のサブチラーゼ変異体をコードする単離ポリヌクレオチドに関する。
第五の態様では、本発明は、本発明の単離ポリヌクレオチドを含む発現ベクターに関する。
第六の態様では、本発明は、本発明の発現ベクターで形質転換された微生物宿主細胞に関する。
第七の態様では、本発明は、本発明のサブチラーゼ変異体の製造方法であって、本発明の宿主が変異体の発現および分泌を促す条件下で培養され、そして変異体が回収される方法に関する。
第八の態様では、本発明は、本発明の変異体を含む清浄または洗浄用組成物、好ましくは洗濯または食器洗浄用組成物に関する。
【0025】
第九の態様では、本発明は、以下の表14〜表17:
【表14】

【0026】
【表15】

【0027】
【表16】

【0028】
【表17】

【0029】
に開示された変化のうちの少なくとも1つを含むサブチラーゼ変異体であって、
(a)表14〜表17の変異体がプロテアーゼ活性を示し、そして
(b)各位置が図1および配列番号1に示されたズブチリシンBPN‘のアミノ酸配列の位置に対応する、
サブチラーゼ変異体に関する。
【0030】
第十の態様では、本発明は、変化:N252DおよびN252Mのうちの1つを含むサブチラーゼ変異体に関する。
第十一の態様では、本発明は、以下の変化:M119L、I、V、A、S;M175L、I、V、A、SおよびM222L、I、V、A、Sのうちの1つまたは複数を、上記の表1〜表13および表14〜表17に列挙されたサブチラーゼ変異体と組合せて含むサブチラーゼ変異体に関する。
アラインメントおよびナンバリングに関しては、ズブチリシンBPN’(a)(BASBPN)およびズブチリシン309(b)(BLSAVI)間のアラインメントを示す図1が参照される。このアラインメントは、本特許出願においては、残基のナンバリングのための参照として用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、上記のギャップルーチンを用いたズブチリシンBPN’(a)およびサビナーゼ(商標)(b)間のアラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
定義
本発明をさらに詳細に考察する前に、以下の用語および慣例を先ず定義する。
アミノ酸および核酸の命名法についての詳細な説明に関しては、WO 00/71691(5ページから始まる)(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)に委ねる。
【0033】
変異体の名称に関する命名法および慣例
本発明により産生されるかまたは意図される種々のサブチラーゼ酵素変異体の説明に際しては、以下の命名法および慣例が参照を容易にするために適合されてきた:
ズブチリシンBPN’(BASBPN)を有する単離または親酵素を整列することにより、参照の枠を先ず限定する。
以下のパラメーターを用いて、変異体に番号をつけるためにGCGパッケージバージョン9.1のギャップルーチンにより、アラインメントが得られる:ギャップ作製ペナルティー=8およびギャップ拡張ペナルティー=8、ならびにそれらのデフォルト値に保持される他の全てのパラメーター。
【0034】
別の方法は、サブチラーゼ間の既知の認識アラインメント、例えばWO 91/00345に示されたアラインメントを用いることである。ほとんどの場合、差はなんら重要性も有するものでない。
それにより、多数の欠失および挿入が、BASBPN(配列番号1)に関して限定される。図1では、ズブチリシン309(配列番号2)は、BASBPNと比較した場合、位置36、58、158、162、163および164に6つの欠失を有する。これらの欠失は、図1では、星印(*)で示されている。
遺伝子操作によりポリペプチド中に導入される修飾の名称の詳細な説明に関しては、WO 00/71691,PP.7-12(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)に委ねる。
【0035】
プロテアーゼ
タンパク質基質中のアミド結合を切断する酵素は、プロテアーゼまたは(互換可能的に)ペプチダーゼとして分類される(Walsh, 1979, Enzymatic Reaction Mechanisms. W.H. Freeman and Company, San Francisco, Chapter 3参照)。
【0036】
アミノ酸位置/残基のナンバリング
別記されない場合、本明細書中で用いられるアミノ酸ナンバリングはサブチラーゼBPN’(BASBPN)配列のものに対応する。BPN’配列のさらなる説明に関しては、図1、配列番号1またはSiezen et al., Protein Engng. 4 (1991) 719-737を参照されたい。
【0037】
セリンプロテアーゼ
セリンプロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解を触媒する酵素であり、この場合、活性部位に必須セリン残基が存在する(White, Handler and Smith, 1973 “Principles of Biochemistry,” Fifth Edition, McGraw-Hill Book Company, NY, pp. 271-272)。細菌セリンプロテアーゼは、20,000〜45,000ダルトンの範囲の分子量を有する。それらは、ジイソプロピルフルオロホスフェートにより抑制される。それらは、単純末端エステルを加水分解し、そしてこれもセリンプロテアーゼである真核生物キモトリプシンと活性が類似する。より狭義の用語であるアルカリ性プロテアーゼ(亜群を網羅する)は、pH9.0〜11.0のセリンプロテアーゼの高pH最適条件を示す(再検討のためには、Priest (1977) Bacteriological Rev. 41, 711-753参照)。
【0038】
サブチラーゼ
暫定的にサブチラーゼと命名されたセリンプロテアーゼの一亜群は、Siezen et al., Protein Engng. 4 (1991) 719-737およびSiezen et al. Protein Science 6 (1997) 501-523により提唱された。それらは、以前ズブチリシン様プロテアーゼとして言及されたセリンプロテアーゼの170より多いアミノ酸配列の相同分析により限定される。ズブチリシンは以前はしばしば、グラム陽性細菌または真菌により産生されるセリンプロテアーゼとして定義されたが、現在は、Siezen等によれば、サブチラーゼの一亜群である。広範な種々のサブチラーゼが同定されており、多数のサブチラーゼのアミノ酸配列が確定されている。このようなサブチラーゼおよびそれらのアミノ酸配列のより詳細な説明に関しては、Siezen等(1997)を参照する。
【0039】
サブチラーゼの一亜群(I-S1または「真のズブチリシン」)は、「古典的ズブチリシン」、例えばズブチリシン168(BSS168)、ズブチリシンBPN’、ズブチリシンカールスバーグ(アルカラーゼ(商標)、NOVOZYMES A/S)およびズブチリシンDY(BSSDY)を含む。
【0040】
サブチラーゼのさらなる亜群(I-S2または高アルカリ性ズブチリシン)は、Siezen等(上記)により認識されている。亜群I-S2プロテアーゼは、高アルカリ性ズブチリシンとして記載され、ズブチリシンPB92(BAALKP)(マキサカル(商標)、Genencor International Inc.)、ズブチリシン309(サビナーゼ(商標)、NOVOZYMES A/S)、ズブチリシン147(BLS147)(エスペラーゼ(商標)、NOVOZYMES A/S)およびアルカリ性エラスターゼYaB(BSEYAB)のような酵素を含む。
【0041】
「サビナーゼ(商標)」
サビナーゼ(商標)は、NOVOZYMES A/Sにより市販されている。それはバシラスレンタスB. Lentusからのズブチリシン309であり、一位置(N87S)のみがBAALKPと異なる。サビナーゼ(商標)は、図1および配列番号2においてb)と呼ばれるアミノ酸配列を有する。
【0042】
親サブチラーゼ
「親サブチラーゼ」という用語は、Siezen等(1991および1997)により定義されたサブチラーゼを記述する。さらなる詳細に関しては、上記の「サブチラーゼ」の説明を参照されたい。親サブチラーゼは、天然供給源から単離されたサブチラーゼでもあり、この場合、サブチラーゼの特質を保持しながら、その後の修飾がなされた。さらに親サブチラーゼは、J.E. Ness et al., Nature Biotechnology, 17, 893-896 (1999)により記載されたようなDNAシャッフリング技法により調製されたサブチラーゼでもあり得る。
あるいは「親サブチラーゼ」という用語は、「野生型サブチラーゼ」と呼ばれ得る。
参照のために、本明細書中に記述された種々のサブチラーゼに関する頭字語の表を提示するが、さらなる頭字語に関しては、Siezen et al., Protein Engng. 4 (1991) 719-737およびSiezen et al. Protein Science 6 (1997) 501-523を参照されたい。
【0043】
【表18】

【0044】
サブチラーゼ変異体の修飾(1または複数)
本明細書中で用いられる「修飾(1または複数)」という用語は、サブチラーゼの化学的修飾、ならびにサブチラーゼをコードするDNAの遺伝子操作を包含するよう定義される。修飾(1または複数)は、アミノ酸側鎖(1または複数)の交換(1または複数)、当該アミノ酸(1または複数)中のまたはアミノ酸での置換(1または複数)、欠失(1または複数)および/または挿入であり得る。
【0045】
サブチラーゼ変異体
本発明の情況では、サブチラーゼ変異体または突然変異化サブチラーゼという用語は、本来のまたは親遺伝子を保有し、そして対応する親酵素を生成した親微生物由来の突然変異体遺伝子を発現している生物体により産生されたサブチラーゼを意味し、この場合、親遺伝子は、適切な宿主中で発現された場合に上記突然変異化サブチラーゼプロテアーゼが産生される突然変異体遺伝子を生成するために、突然変異化されている。
【0046】
相同サブチラーゼ配列
2つのアミノ酸配列間の相同は、この情況においては、パラメーター「同一性」により記述される。
2つのサブチラーゼ間の同一性の程度を確定するために、GCGパッケージバージョン9.1のギャップルーチンが、同一設定を用いて適用され得る(下記)。ルーチンからの出力は、アミノ酸アラインメントのほかに、2つの配列間の「同一性%」の算定である。
この記述に基づいて、本発明により修飾され得る適切な相同サブチラーゼを当業者が同定することは、ルーチンである。
【0047】
単離されたポリヌクレオチド
「単離された」という用語は、ポリヌクレオチドに適用される場合、ポリヌクレオチドがその天然遺伝子環境から除去されており、したがって他の異質のまたは望ましくないコード配列を含有しない、ということを意味し、そして遺伝子工学処理タンパク質産生系内で用いるのに適した形態である。このような単離分子は、それらの天然環境から分離されるものであり、cDNAおよびゲノムクローンを包含する。本発明の単離DNA分子は、それらが普通に会合される他の遺伝子を含有しないが、しかし天然5’および3’非翻訳領域、例えばプロモーターおよびターミネーターを含み得る。会合領域の同定は、当業者には明らかである(例えばDynan and Tijan, Nature 316: 774-78,1985参照)。「単離ポリヌクレオチド」という用語は、代替的に「クローン化ポリヌクレオチド」と呼ばれ得る。
【0048】
単離されたタンパク質
タンパク質に適用される場合、「単離された」という用語は、タンパク質がネイティブ環境から除去された、ということを指す。好ましい形態では、単離タンパク質は、他のタンパク質、特に他の相同タンパク質(即ち「相同不純物」)を実質的に含有しない(下記参照)。
単離されたタンパク質は、SDS-PAGEにより確定した場合、10%より高い、好ましくは20%より高い、さらに好ましくは30%より高い純度を有する。さらに、高精製形態で、即ちSDS-PAGEにより確定した場合、40%より高い、60%より高い、80%より高い、さらに好ましくは95%より高い、さらに好ましくは99%より高い純度を有するタンパク質を提供するのが好ましい。
「単離されたタンパク質」という用語は、代替的に「精製されたタンパク質」と呼ばれ得る。
【0049】
相同不純物(Homologous impurity)
「相同不純物」という用語は、本発明のサブチラーゼが本来得られる相同細胞から生じる任意の不純物(例えば本発明のサブチラーゼ以外の別のポリペプチド)を意味する。
〜得られる
「〜得られる」という用語は、特定の微生物供給源に関連して本明細書中で用いる場合、特定の供給源により、あるいは供給源からの遺伝子が挿入された細胞によりポリヌクレオチドおよび/またはサブチラーゼが産生されることを意味する。
【0050】
基質
プロテアーゼに関する基質と関連して用いられる「基質」という用語は、その最も広い形態で、ズブチリシンプロテアーゼによる加水分解を受け易い少なくとも1つのペプチド(アミド)結合を含有する化合物を含む、と解釈されるべきである。
産物
プロテアーゼ酵素的反応由来の産物と関連して用いられる「産物」という用語は、本発明の情況では、サブチラーゼプロテアーゼを包含する加水分解反応の産物を含むと解釈されるべきである。産物は、その後の加水分解反応における基質であり得る。
【0051】
洗浄性能
本発明の情況では、「洗浄性能」という用語は、例えば洗浄または硬質表面清浄化中に清浄にされるべき対象上に存在するタンパク質様または有機汚れを除去する酵素の能力として用いられる。本明細書中の実施例3における洗浄性能試験も参照されたい。
【0052】
本発明は、1つまたは複数の特性、例えば洗浄性能、熱安定性、貯蔵安定性または触媒活性において親サブチラーゼと比較して変化を示す新規のサブチラーゼ変異体に関する。
本発明の一部であるよう意図される変異体は、野生型サブチラーゼと比較した場合、1つまたは複数のアミノ酸残基が置換され、欠失され、または挿入されたような変異体であり、上記の変異体は、少なくとも:
【0053】
a)以下の修飾:
*0AQSVPWG; A1T、V;Q2L;S3T、A、L;V4L、A;18V、T;S9G、D、R、K、L、V;R10H、K;V11A;Q12D;A13V;P14S、T、D、A、M、V、K、Q、L、H、R、I;A15M、T;A16P;H17R;N18S、H;R19W、K、L、F、G、I;G20*、R、A;L21F、LP、LW、LA、LG;T22S、A、K、TV、TG、TL、TW、TV、G、L、TY;G23S;S24P;K27R、V28I;V30I;I35T、V;T38S;P40L;N43D;R45H、K;G46D;A48T;S49N;F50S;V51A、I、D;P52V、A;P55S、A;S57P;G61E、D、S、R、GP;N62D、ND、NE、DE、NG、E、S;V68A、S、L、I;T71A;I72V;L75I;N76S、D;N77S;S78T;V81A;A85T;S87C;A88V、T;E89G;K94N;V95C、T;L96LA、LG;G97E、D、W、A、GG、GA、GV、N、GS;A98S、D、E、T、AS、AD、AV、AE、AH、Q、N、M、L、G、R、V、S;S99D、L、A、AD、SD、SM、SG、DA、P、G、N、C、M、V、I;G100S、GE、C;S101SA、SK;G102D、S;S103D、E、Y、L、Q、H、T;V104T、S、R、I、N、M、L、D;S106D、E、T、M、G、A、L、F、I;I107T、V、M;A108V、T、S;L111I、V;A114V;N116S、D;G118D;M119L、I、V、A、S;H120N、D、Q、K、E、Y、S;V121A;L124C;L126I;G127E;S128N、I、G、C;P129PSN、T、E、D、S、N、A;S130P、T、C、*;P131M、F、W、L、A、H、T、*、PA、S、Q、R、E、G、D、C;S132G、T;A133ASA;T134A;Q137H、E、D;A138G、V;V139L、I;N140D、K;T143A;S144D、N、P;R145G;V150I;A151V、G;A152P;A158T、V、C、E、L、D、M;G160A、D;S163G、C、N、A;Y167K、A、I;A168G;A169G;R170C、S、H、L;Y171C;A172V;N173D;A174V;M175L、I、V、A、S、T;N183D;N184D、S;N185S、D;R186L、C、H;S188G;S190A;Y192H;G195F、E;V203S、A、L、Q、M、F、I;N204T、D、S;Q206L:Y209C、H;G211D;S212N、L:T213A;Y214C、H;A215D、T;N218D、S;M222L、I、V、A、S;A223G;T224A、S;A228T;A230V;A232S、L、T、P;V234I;Q236A、L、D、T、C、M、F、S;K237R;N238D;P239T、S;S240F;S242T;V244I、M、A;Q245R、K、E、D、T、F、N、V、W、G、I、S、C、L、A、M;N248P、D、S;K251E、R;N252G、H、D、V、M、S、T、E、Y、S、Q、K、A、L;A254S;T255A、S;S256N、R、G;L257G;G258K;S259A、N、G;T260A、R;N261D;L262S、Q、V;Y263H、F;G264E;S265G、R、N;V268L、I;N269T;N296K;E271A;T274S、L、A、R
のうちの少なくとも1つ、
と組合せた、位置62、68、97、98、99、106、131、170、245、252のうちの1つまたは複数におけるアミノ酸残基K、H、R、E、D、Q、N、C、V、L、I、P、M、F、W、Y、G、A、S、Tのうちの1つの挿入、置換または欠失、あるいは
【0054】
b)以下の組合せ変異:
A108T+L111V;L124I+S125A;P129S+S130AT;L96LA+A151G+V203A;S49N+V203L+N218D;S3T+A16P+R45C+G100S+A230V;18V+R19K+V139I;N76D+A174AL+A194P+A230V;N185R;N62NE;H120Q+Q137E、G61GE、G61GS、G100L、A133D、V68A、N123D、L111F+Y263H、V11A+G61GE+V227A+S240F、A133E+S144K+N218D、S128A+P129S+S130SP、S9R+A15T+T22TQ+S101P、S9R+A15T+H120R+Q137D+N173S、G97E、Q245W、S9R+A15T+L96LG+Q137E+Y209H、S9R+A15T+L111V+Q137E+G211D、S9R+A15T+L111I+Q137E、S9R+A15T+L111I+H120N+Q137E、S9R+A15T+L96LG+H120Q+Q137E、S9R+A15T+T260M、S9R+A15T、Q245I、S9R+A15T+H120G+Q137E+N218D、S9R+A15T+S130P、Q245F、S9R+A15T+N218D、G63E+N76D+A194P+A230V、S9R+A15T+T224A、G100S、S9R+A15T+D60DG、A138V+V139I+A194P+N218D+A230V、A108V+A169G+R170A+Y171H、I8V+P14L+R19L+V30I+I35V+S57P+P129S+Q137D+S144D+S256N、A133D+T134S+Q137A、Q137D、A98AH、V51D、Q12E+P14L+A15T、G63E+N76D+A194P+A230V、Q12E+P14L+A15T、G97GS
のうちの1つ、あるいは
【0055】
c)位置68における1つまたは複数の修飾であって、K、H、R、E、D、Q、N、C、V、L、I、P、M、F、W、Y、G、A、SおよびTからなる群から選択されるアミノ酸残基の欠失、挿入および/または置換を含む修飾(単数または複数)
を含む。
【0056】
さらに本発明の変異体は、表1〜表13および表14〜表17に示された変化の少なくとも1つまたは複数を含み、この場合、
(a)表1〜表13、および表14〜表17の変異体はプロテアーゼ活性を有し、そして
(b)各位置は、ズブチリシンBPN’(配列番号1)のアミノ酸配列の位置に対応する。
本発明の第一の態様のサブチラーゼ変異体は、天然から同定され、単離された親または野生型サブチラーゼであり得る。このような親野生型サブチラーゼは、当該技術分野で既知の標準技法により、特定的にスクリーニングされ得る。
【0057】
これを実行する好ましい一方法は、多数の異なる微生物、好ましくは異なるバシラス属菌株からのサブチラーゼから当該保存DNA領域を増幅する特異的PCRによるものであり得る。
サブチラーゼは、それらのDNAおよびアミノ酸配列が相同であるという意味で、一群の保存酵素である。したがって当該ポリヌクレオチド配列に隣接する相対的に特異的なプライマーを構築し得る。
【0058】
多数の異なる微生物、好ましくは異なるバシラス属菌株からDNAを増幅し、その後上記増幅PCR断片をDNAシーケンシングするためにこのようなPCRプライマーを用いて、本発明のサブチラーゼ変異体を産生する菌株を同定し得る。菌株ならびにこのような当該サブチラーゼの部分DNA配列が同定されれば、このようなサブチラーゼのクローニング、発現および精製を当業者が完了することは、ルーチン作業である。しかしながら本発明のサブチラーゼ変異体は、主として親サブチラーゼの変異体である、と予測される。
【0059】
本明細書中に記載された用途に適したサブチラーゼ変異体は、当該技術分野で既知の標準技法により、例えば部位特異的/無作為突然変異誘発により、あるいは異なるサブチラーゼ配列のDNAシャッフリングにより構築され得る。さらなる詳細に関しては、本明細書中の「材料および方法」の節および実施例1(下記)を参照されたい。
【0060】
当業者が理解するように、本明細書中に記載された変異体は、1つまたは複数のさらなる修飾、特に1つまたは複数のさらなる置換または挿入を含み得る。さらに、本明細書中に記載された変異体は、ただ1つより多い位置での突然変異を包含し得る。例えば本発明の変異体は、1つの位置、2つの位置、3つの位置または3つより多い位置、例えば4〜8つの位置での突然変異を含有し得る。
親サブチラーゼは、天然からのまたは多様性の人工作製からの酵素のため、ならびに親サブチラーゼからの変異体の設計および産生のために、亜群I-S2またはI-S2、特に亜群I-S2に属するのが好ましい。
【0061】
亜群I-S1からの変異体に関しては、BSS168(BSSAS、BSAPRJ、BSAPRN、BMSAMP)、BASBPN、BSSDY、BLSCAR(BLKERA、BLSCA1、BLSCA2、BLSCA3)、BSSPRCおよびBSSPRDまたは亜群I-S1の特質を保持しているそれらの機能的変異体からなる群から親サブチラーゼを選択するのが好ましい。
亜群I-S2からの変異体に関しては、BSAPRQ、BLS147(BSAPRM、BAH101)、BLSAVI(BSKSMK、BAALKP、BLSUBL)、BYSYAB、BAPB92、TVTHERおよびBSAPRSまたは亜群I-S2の特質を保持しているそれらの機能的変異体からなる群から親サブチラーゼを選択するのが好ましい。
特に親サブチラーゼはBLSAVI(サビナーゼ(商標)、NOVOZYMES A/S)であり、したがって本発明の好ましいサブチラーゼ変異体はサビナーゼ(商標)の変異体である。
【0062】
本発明はまた、上記のサブチラーゼ変異体のいずれかをそのアミノ酸配列に対する任意のその他の修飾と組合せて包含する。特に、酵素に改良された特性を提供するための当該技術分野で既知の他の修飾との組合せが予測される。当該技術分野は、異なる改良型特性を有する多数のサブチラーゼ変異体を記載し、そしてそれらの多くは、本明細書中の「発明の背景」の節に記述されている(上記)。それらの参照は、本明細書中に記載されたサブチラーゼ変異体と有益に組合せられ得るサブチラーゼ変異体を同定するための参照として、ここに開示される。このような組合せは、位置:222(酸化安定性を改良する)、218(熱安定性を改良する)、酵素を安定化するCa2+結合部位における置換、例えば位置76、ならびに従来技術から明らかな多数のその他のものを含む。
【0063】
さらなる実施形態では、本明細書中に記載されたサブチラーゼ変異体は、以下の位置:
27、36、56、76、87、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、120、123、159、167、170、206、218、222、224、232、235、236、245、248、252および274、のいずれかにおける1つまたは複数の修飾(1または複数)と有益に組合せられ得る。
【0064】
特に以下のBLSAVI、BLSUBL、BSKSMKおよびBAALKP修飾は、組合せのために適切であると考えられる:
K27R、*36D、S56P、N62D、V68A、N76D、S87N、G97N、S99SE、S101G、S103A、V104A、V104I、V104N、V104Y、S106A、H120D、H120N、N123S、G159D、Y167A、R170S、R170L、A194P、N204D、V205I、Q206E、L217D、N218S、N218D、M222S、M222A、T224S、A232V、K235L、Q236H、Q245R、N248D、N252K、T274A。
【0065】
さらに修飾S101G+V104N、S87N+S101G+V104N、K27R+V104Y+N123S+T274A、N76D+S103A+V104I、S99D+S101R+S103A+V104I+G160S、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+V199M+V205I+L217D、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+A194P+V199M+V205I+L217D、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+V205IまたはN76D+V104Aのいずれか、あるいは上記の修飾(1または複数)の任意の1つまたは複数と組合せた修飾K27R、*36D、S56P、N62D、V68A、N76D、S87N、G97N、S99SE、S101G、S103A、V104A、V104I、V104N、V104Y、S106A、H120D、H120N、N123S、G159D、Y167A、R170S、R170L、A194P、N204D、V205I、Q206E、L217D、N218S、N218D、M222S、M222A、T224S、A232V、K235L、Q236H、Q245R、N248D、N252KおよびT274Aのその他の組合せを含む変異体は、改良された特性を示す。
【0066】
特に興味深い変異体は、本発明による修飾のほかに、以下の置換:
S101G+S103A+V104I+G159D+A232V+Q236H+Q245R+N248D+N252K
を含有する変異体である。
さらに本発明の主な態様(1または複数)のサブチラーゼ変異体は、好ましくは位置129、131および194のいずれかにおける1つまたは複数の修飾(1または複数)、好ましくは129K、131Hおよび194P修飾、最も好ましくはP129K、P131HおよびA194P修飾と組合される。それらの修飾(1または複数)のいずれかが、その産生においてより高い発現レベルのサブチラーゼ変異体を提供すると予測される。
【0067】
本発明の選定変異体の洗浄性能は、本明細書中の実施例3に開示された洗浄性能試験で試験され得る。洗浄性能試験は、標準または市販洗剤組成物中に混入される場合、参照系、即ち親サブチラーゼまたはより良好な洗浄性能を示す類似のサブチラーゼ(同一洗剤系に混入され、同一条件下で試験される)と比較して、標準テキスタイルからタンパク質様汚れを除去する変異体の能力を査定するために用いられ得る。本出願の酵素変異体は、自動機械的応力検定(AMSA)を用いて試験された。AMSA試験を用いて、大量の小容積酵素−洗剤溶液の洗浄性能が迅速に検査され得る。この試験を用いて、選定変異体の洗浄性能が最初に検査されるが、論理的根拠は、選定変異体が親サブチラーゼと比較した試験において有意の改良を示さない場合、普通はさらなる試験実験を実行する必要はない、ということである。
【0068】
したがって本明細書中に記載された目的のために特に興味深い変異体は、洗浄性能試験(実施例3)において記載されるような、市販洗剤組成物、例えば米国型洗剤、アジア型、欧州型またはラテンアメリカ型洗剤中で試験される場合、同一条件下で試験される親サブチラーゼと比較して改良された洗浄性能を示すような変異体である。
洗浄性能における改良は、本明細書中の実施例3で限定されるいわゆる強度値(Int)を算定することにより定量され得る。
【0069】
本発明の非常に興味深い実施形態では、本発明の変異体は、洗浄性能試験で試験される場合、少なくとも1の性能スコア(S)、好ましくは2の性能スコアを有し、この場合:
S(2)=変異体は、3つの酵素濃度(5、10および30 nM)の全てで参照より良好に遂行し、
S(1)=変異体は、1つまたは2つの濃度で参照より良好に遂行する。
明らかに、本発明の変異体は、少なくとも規定最低レベルに関して、さらに好ましくは規定最高レベルで、上記判定基準を満たす、というのが好ましい。
【0070】
サブチラーゼ変異体の生成
サブチラーゼをクローニングするための、そして遺伝子(例えばサブチラーゼ遺伝子)に置換、欠失または挿入を導入するための多数の方法が、当該技術分野で周知である。
概して、遺伝子のクローニングのためのそして上記遺伝子中に突然変異(無作為および/または部位特異的)を導入するための標準手法は、本発明のサブチラーゼ変異体を生成するために用いられ得る。適切な技法のさらなる説明のために、本明細書中の実施例1(下記)ならびに(Sambrook et al.(1989) Molecular cloning:A laboratory manual, Cold Spring Harbor lab., Cold Spring Harbor, NY;Ausubel, F.M. et al.(eds.) “Current protocols in Molecular Biology”, John Wiley and Sons, 1995;Harwood, C.R., and Cutting, S.M. (eds.) “Molecular Biological Methods for Bacillus”, John Wiley and Sons, 1990)、ならびにWO 96/34946が参照される。
【0071】
さらにサブチラーゼ変異体は、多様性の人工的作製のための標準技法により、異なるサブチラーゼ遺伝子のDNAシャッフリングにより、構築され得る(WO 95/22625;Stemmer WPC, Nature 370: 389-91 (1994))。例えば現実に同定された1つまたは複数の部分サブチラーゼ配列を有するサビナーゼ(商標)をコードする遺伝子のDNAシャッフリングは、改良型洗浄性能変異体に関するその後のスクリーニング後に、本明細書中に記載された目的に適したサブチラーゼ変異体を提供する。
【0072】
発現ベクター
本発明の酵素をコードするDNA構築物を含む組換え発現ベクターは、組換えDNA手法に付されると便利である任意のベクターであり得る。
ベクターの選択はしばしば、それが導入されるべきである宿主細胞によっている。したがってベクターは、自律的複製ベクター、即ちその複製が染色体複製と無関係である染色体外存在物、例えばプラスミドとして存在するベクターである。
あるいはベクターは、宿主細胞中への導入時に、一部分またはその全部が宿主細胞中に組み込まれ、それが組み込まれた染色体(1または複数)と一緒に複製されるものであり得る。
【0073】
ベクターは、好ましくは本発明の酵素をコードするDNA配列がDNAの転写のために必要とされる付加的セグメントに作用可能に連結される発現ベクターである。概して、発現ベクターはプラスミドまたはウイルスDNAに由来するか、あるいは両方の素子を含有し得る。「作用可能に連結される」という用語は、セグメントが、それらの意図された目的のために協力してそれらが機能するよう、例えば転写がプロモーターで開始し、酵素をコードするDNA配列を通して進行するよう、整列されることを示す。
プロモーターは、選定宿主細胞中で転写活性を示す任意のDNA配列であり、そして宿主細胞に対して同種であるかまたは異種であるタンパク質をコードする遺伝子に由来し得る。
【0074】
細菌宿主細胞中での使用のための適切なプロモーターの例としては、バシラス・ステアロサーモフィルスマルトース原性アミラーゼ遺伝子、バシラス・リケニフォルミスα−アミラーゼ遺伝子、バシラス・アミロリケファシエンスα−アミラーゼ遺伝子、枯草菌アルカリ性プロテアーゼ遺伝子またはバシラス・プミルス キシロシダーゼ遺伝子のプロモーター、あるいはλファージPRまたはPLプロモーターまたは大腸菌lac、trpまたはtacプロモーターが挙げられる。
本発明の酵素をコードするDNA配列はまた、必要な場合、適切なターミネーターに作用可能に接続され得る。
【0075】
本発明の組換えベクターはさらに、当該宿主細胞中でベクターを複製させるDNA配列を含み得る。ベクターは、選択可能マーカー、例えばその産物が宿主細胞中の欠陥を補足する遺伝子、あるいは例えば抗生物質、例えばカナマイシン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、テトラサイクリン、スペクチノマイシン等に対する耐性、あるいは重金属または除草剤に対する耐性をコードする遺伝子も含み得る。
【0076】
宿主細胞の分泌経路に本発明の酵素を向けるために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列またはプレ配列としても既知である)は、組換えベクター中に提供され得る。分泌シグナル配列は、正しいリーディングフレームで、酵素をコードするDNA配列に連結される。分泌シグナル配列は、普通は酵素に会合されるものであり得るし、あるいは別の分泌タンパク質をコードする遺伝子からのものであり得る。
【0077】
それぞれ本発明の酵素、プロモーターおよびにんいにターミネーターおよび/または分泌シグナル配列をコードするDNA配列を結繋するために、そして複製または組込みに必要な情報を含有する適切なベクター中にそれらを挿入するために用いられる手法は、当業者に周知である(例えばSambrook et al.、前記)。
【0078】
宿主細胞
宿主細胞中に導入される本発明の酵素をコードするDNA配列は、当該宿主に対して同種であるかまたは異種であり得る。宿主細胞に対して同種である場合、即ち現実に宿主細胞により産生される場合、それは典型的には別のプロモーター配列と、あるいは適用可能な場合には、その天然環境における以外の別の分泌シグナル配列および/またはターミネーター配列と作用可能に接続される。「同種の」という用語は、当該宿主生物から生じる酵素をコードするDNA配列を含むよう意図される。「異種の」という用語は、現実に宿主細胞により発現されないDNA配列を含むよう意図される。したがってDNA配列は別の生物からであり、あるいはそれは合成配列であり得る。
【0079】
本発明のDNA構築物または組換えベクターが導入される宿主細胞は、本発明の酵素を産生し得る任意の細胞であり、例としては、細菌、酵母、真菌および高等真核生物細胞、例えば植物が挙げられる。
培養時に本発明の酵素を産生し得る細菌宿主細胞の例は、グラム陽性細菌、例えばバシラス属の菌株、例えば枯草菌Bacillus subtilus、バシラス・リケニフォルミス、バシラス・レンタス、バシラス・ブレビス、バシラス・ステアロサーモフィルス、バシラス・アルカロフィルス、バシラス・アミロリケファシエンス、バシラス・コアギュランス、バスラス・サーキュランス、バスラス・ラウツス、バシラス・メガテリウムまたはバシラス・ツリンギエンシス、あるいはストレプトミセス属の菌株、例えばストレプトミセス・リビダンス、ストレプトミセス・ムリヌス、あるいはグラム陰性細菌、例えば大腸菌である。
【0080】
細菌の形質転換は、プロトプラスト形質転換、電気穿孔、接合により、あるいはそれ自体既知の方法でコンピテント細胞を用いることにより、実行され得る(Sambrook et al.、上記と比較)。
細菌、例えば大腸菌中で酵素を発現する場合、酵素は、典型的には不溶性顆粒(封入体として既知である)として細胞質中に保持され得るし、あるいは細菌分泌配列により細胞膜周辺腔に向けられ得る。前者の場合、細胞は溶解され、顆粒が回収されて、変性され、その後、酵素は変性剤を希釈することにより再フォールディングされる。後者の場合、酵素は、細胞を崩壊させることにより、例えば音波処理または浸透圧ショックにより細胞膜周辺腔から回収されて、細胞膜周辺腔の内容物を放出し、そして酵素を回収する。
グラム陽性細菌、例えばバシラス属またはストレプトミセス属菌株中で酵素を発現する場合、酵素は細胞質中に保持され得るし、あるいは細菌分泌配列により細胞外培地に向けられる。後者の場合、酵素は、下記のように培地から回収され得る。
【0081】
サブチラーゼ変異体の製造方法
本発明は、本発明による単離酵素の製造方法を提供するが、この場合、酵素をコードするDNA配列で形質転換された適切な宿主細胞は、酵素の生成を可能にする条件下で培養され、その結果生じた酵素が培養から回収される。
酵素をコードするDNA配列を含む発現ベクターが異種宿主細胞中で形質転換される場合、本発明の酵素の異種組換え生成を可能にすると思われる。それにより、同種不純物を含有しないことを特徴とする高度精製サブチラーゼ組成物を製造し得る。
【0082】
形質転換化宿主細胞を培養するために用いられる培地は、当該宿主細胞を増殖させるのに適した任意の慣用的培地であり得る。発現サブチラーゼは、培地中に分泌され、そして周知の手法により、例えば遠心分離または濾過により培地から細胞を分離し、硫酸アンモニウムのような塩により培地のタンパク質様構成成分を沈殿させ、その後、クロマトグラフィー手法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等により、培地から回収され得る。
【0083】
清浄および洗浄用組成物
本発明の酵素は付加され、したがって洗浄用組成物の一構成成分になる。概して、清浄および洗浄用組成物は当該技術分野で十分に記載されており、適切な清浄および洗浄用組成物のさらなる説明に関しては、WO 96/34946;WO 97/07202;WO 95/30011が参照される。
【0084】
本発明の洗浄用組成物は、例えば手洗いまたは洗濯機用洗剤組成物、例えば汚れた布帛の前処理に適した洗濯添加剤組成物、ならびにすすぎ付加布帛柔軟剤組成物として処方され得るし、あるいは一般家庭の硬質表面清浄化操作に用いるための洗剤組成物として処方され、あるいは手洗いまたは機械洗い食器洗浄操作のために処方され得る。
特定の態様において、本発明は、本発明の酵素を含む洗剤添加剤を提供する。洗剤添加剤ならびに洗剤組成物は、1つまたは複数のその他の酵素、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、アkルボヒドラーゼ、セルラーゼ、ぺクチナーゼ、マンナーゼ、アラビナーゼ、ガラクタナーゼ、キシラナーゼ、オキシダーゼ、例えばラッカーゼおよび/またはペルオキシダーゼを含み得る。
【0085】
概して、選定酵素(1または複数)の特性は、選定洗剤と適合性であるべきであり(即ち、pH最適条件、他の酵素および非酵素成分との適合性)、そして酵素(1または複数)は有効量で存在すべきである。
【0086】
プロテアーゼ
適切なプロテアーゼとしては、動物、植物または微生物起源のものが挙げられる。微生物起源が好ましい。化学修飾またはタンパク質工学処理突然変異体が含まれる。プロテアーゼは、セリンプロテアーゼまたはメタロプロテアーゼ、好ましくはアルカリ性微生物プロテアーゼまたはトリプシン様プロテアーゼであり得る。アルカリ性プロテアーゼの例は、ズブチリシン、特にバシラス属由来のもの、例えばズブチリシンNovo、ズブチリシン・カールスバーグ、ズブチリシン309、ズブチリシン147およびズブチリシン168である(WO 89/06279に記載)。トリプシン様プロテアーゼの例は、トリプシン(例えばブタまたはウシ起源の)およびフザリウムプロテアーゼである(WO 89/06270およびWO 94/25583に記載)。
【0087】
有用なプロテアーゼの例は、WO 92/19729、WO 98/20115、WO 98/20116およびWO 98/34946に記載された変異体、特に以下の位置:27、36、57、76、87、97、101、104、120、123、167、170、194、206、218、222、224、235および274のうちの1つまたは複数に置換を有する変異体である。
好ましい市販プロテアーゼ酵素としては、デュラザイム(商標)、レラーゼ(商標)、アルカラーゼ(商標)、サビナーゼ(商標)、プリマーゼ(商標)、デュララーゼ(商標)、エスペラーゼ(商標)、オボザイム(商標)およびカンナーゼ(商標)(Novozymes A/S)、マキサターゼTM、マキサカルTM、マキサペムTM、プロペラーゼTM、プラフェクトTM、プラフェクトOxPTM、FN2TM、FN3TMおよびFN4TM(Genencor International, Inc.)が挙げられる。
【0088】
リパーゼ
適切なリパーゼとしては、細菌または真菌起源のものが挙げられる。化学修飾またはタンパク質工学処理突然変異体が含まれる。有用なリパーゼの例としては、フミコラ属(異名サーモミセス属)からの、例えばEP 258 068およびEP 305 216に記載されたようなフミコラ・ラヌギノサ(サーモミセス・ラヌギノズス)からの、あるいはWO 96/13580に記載されたようなフミコラ・インソレンスからのリパーゼ、例えばシュードモナス・アルカシゲネスまたはシュードモナス・シュードアルカリゲネス(EP 218 272)、シュードモナス・セパシア(EP 331 376)、シュードモナス・スツツェリ(GB 1,372,034)、シュードモナス・フルオレッセンス、シュードモナス属菌株SD 705(WO 95/06720およびWO 96/27002)、シュードモナス・ウイスコンシネンシス(WO 96/12012)からのシュードモナス リパーゼ、例えば枯草菌(Dartois et al. (1993), Biochemica et Biophysica Acta, 1131, 253-360)、バシラス・ステアロサーモフィルス(JP 64/744992)またはバシラス・プミルス(WO 91/16422)からのバシラス リパーゼが挙げられる。
【0089】
その他の例は、例えばWO 92/05249、WO 94/01541、EP 407 225、EP 260 105;WO 95/35381、WO 96/00292、WO 95/30744、WO 94/25578、WO 95/14783、WO 95/22615、WO 97/04079およびWO 97/07202に記載されたようなリパーゼ変異体である。
好ましい市販リパーゼ酵素としては、リペックス(商標)、リポラーゼ(商標)およびリポラーゼウルトラ(商標)(Novozymes A/S)が挙げられる。
【0090】
アミラーゼ
適切なアミラーゼ(αおよび/またはβ)としては、細菌または真菌起源のものが挙げられる。化学修飾またはタンパク質工学処理突然変異体が含まれる。アミラーゼとしては、例えばバシラス属、例えばGB 1,296,839により詳細に記載されたバシラス・リケニフォルミスの特定菌株から得られるα−アミラーゼが挙げられる。
有用なアミラーゼの例は、WO 94/02597、WO 94/18314、WO 96/23873およびWO 97/43424に記載された変異体、特に以下の位置:15、23、105、106、124、128、133、154、156、181、188、190、197、202、208、209、243、264、304、305、391、408および444のうちの1つまたは複数における置換を有する変異体である。
市販アミラーゼは、デュラミル(商標)、テルマミル(商標)、フンガミル(商標)およびバン(商標)(Novozymes A/S)、ラピダーゼTMおよびプラスターTM(Genencor International Inc.)である。
【0091】
セルラーゼ
適切なセルラーゼとしては、細菌または真菌起源のものが挙げられる。化学修飾またはタンパク質工学処理突然変異体が含まれる。適切なセルラーゼとしては、バシラス属、シュードモナス属、フミコラ属、フザリウム属、チエラビア属、アクレモニウム属からのセルラーゼ、例えば米国特許第4,435,307号、米国特許第5,648,263号、米国特許第5,691,178号、米国特許第5,776,757号およびWO 89/09259に開示されたフミコラ・インソレンス、ミセリオフトラ・サーモフィラおよびフザリウム・オキシスポルムから産生される真菌セルラーゼが挙げられる。
【0092】
特に適切なセルラーゼは、カラーケア利点を有するアルカリ性または中性セルラーゼである。このようなセルラーゼの例は、EP 0 495 257、EP 0 531 372、WO 96/11262、WO 96/29397、WO 98/08940に記載されたセルラーゼである。その他の例は、WO 94/07998、EP 0 531 315、米国特許第号、米国特許第号、米国特許第号、WO 95/24471、WO 98/12307およびPCT/DK98/00299に記載されたもののようなセルラーゼ変異体である。
市販セルラーゼとしては、セルザイム(商標)およびカレザイム(商標)(Novozymes A/S)、クラジナーゼTMおよびプラダックスHATM(Genencor International Inc.)およびKAC-500(B)TM(Kao Corporation)が挙げられる。
【0093】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ
適切なペルオキシダーゼ/オキシダーゼとしては、植物、細菌または真菌起源のものが挙げられる。化学修飾またはタンパク質工学処理突然変異体が含まれる。有用なペルオキシダーゼの例としては、WO 93/24618およびWO 98/15257に記載されたもののような担子菌類のヒトヨタケ(Coprinus cinereus)からのペルオキシダーゼおよびその変異体が挙げられる。市販ペルオキシダーゼとしては、グアルドザイム(商標)(Novozymes A/S)が挙げられる。
【0094】
洗剤酵素(1または複数)は、1つまたは複数の酵素を含有する別個の添加剤を付加することにより、あるいはこれらの酵素の全てを含む併合添加剤を付加することにより、洗剤組成物中に含まれ得る。本発明の洗剤添加剤、即ち別個の添加剤または併合添加剤は、例えば顆粒、液体、スラリー等として処方され得る。好ましい洗剤添加剤処方物は、顆粒、特に非ダスティング粒、液体、特に安定化液体、またはスラリーである。
【0095】
非ダスティング粒は、例えば米国特許第4,106,991号および第4,661,452号に開示されたように生成され、そして任意に当該技術分野で既知の方法により被覆され得る。蝋質コーティング材料の例は、1000〜20000の平均モル重量を有するポリ(エチレンオキシド)製品(ポリエチレングリコール、PEG);16〜50のエチレンオキシド単位を有するエトキシル化ノニルフェノール;アルコールが12〜20個の炭素原子を含有し、そして15〜80酸化エチレン単位が存在するエトキシル化脂肪アルコール;脂肪アルコール;脂肪酸;ならびに脂肪酸のモノおよびジおよびトリグリセリドである。流動床技法による適用に適した皮膜形成コーティング材料の例は、GB 1483591に示されている。液体酵素調製物は、確立された方法に従って、例えばポリオール、例えばプロピレングリコール、糖または糖アルコール、乳酸またはホウ酸を付加することにより安定化され得る。保護化酵素は、EP 238,216に開示された方法に従って調製され得る。
【0096】
本発明の洗剤組成物は、任意の便利な携帯で、例えばバー、錠剤、粉末、顆粒、ペーストまたは液体であり得る。液体洗剤は、典型的には70%までの水および0〜30%の有機溶媒を含有する水性であり得るし、あるいは非水性であり得る。
洗剤組成物は、1つまたは複数の界面活性剤を含み、これらは非イオン性、例えば半極性および/または陰イオン性および/または両イオン性であり得る。界面活性剤は、典型的には0.1重量%〜60重量%のレベルで存在する。
【0097】
その中に含まれる場合、洗剤は通常は約1%〜約40%の陰イオン性界面活性剤、例えば線状アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩(脂肪アルコール硫酸塩)、アルコールエトキシ硫酸塩、二次アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−またはアルケニルコハク酸または石鹸を含有する。
その中に含まれる場合、洗剤は通常は約0.2%〜約40%の非イオン性界面活性剤、例えばアルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドまたはグルコサミンのN−アシルN−アルキル誘導体(「グルカミド」)を含有する。
【0098】
洗剤は、0〜65%の洗剤ビルダーまたは錯化剤、例えばゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、アルキル−またはアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩または層化ケイ酸塩(例えばHoechstからのSKS-6)を含有し得る。
洗剤は、1つまたは複数のポリマーを含み得る。例は、カルボキシメチル−セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニル−ピリジン−N−オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリカルボキシレート、例えばポリアクリレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマーおよびラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマーである。
【0099】
洗剤は、H22供給源、過酸生成漂白活性剤、例えばテトラアセチルエチレンジアミンまたはノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩と組合され得る例えば過ホウ酸塩または過炭酸塩を含み得る漂白系を含有し得る。あるいは漂白系は、例えばアミド、イミドまたはスルホン型のペルオキシ酸を含み得る。
洗剤は、他の慣用的洗剤成分、例えば布帛状態調節剤、例えば粘土、起泡増進剤、石鹸泡抑制剤、腐蝕防止剤、汚れ沈殿防止剤、防汚再沈着剤、染料、殺細菌剤、蛍光発光剤、ヒドロトロープ剤、金属変色防止剤または香料も含有し得る。
局所的および部分的条件、例えば水硬度および水温の変化は、部分洗剤組成物を必要とする。洗剤例1および2は、それぞれ典型的ラテンアメリカ洗剤および典型的欧州粉末洗剤の組成物に関する範囲を提供する。
【0100】
【表19】

【0101】
【表20】

【0102】
本発明の洗剤組成物の酵素(1または複数)は、慣用的安定剤、例えばポリオール、例えばプロピレングリコールまたはグリセロール、糖または糖アルコール、乳酸、ホウ酸またはホウ酸誘導体、例えば芳香族ホウ酸エステル、あるいはフェニルボロン酸誘導体、例えば4−ホルミルフェニルボロン酸を用いて安定化され、そして組成物は、例えばWO 92/19709およびWO 92/19708に記載されたように処方され得る。
【0103】
洗剤組成物中では、任意の単一酵素、特に本発明の酵素は、洗浄液1 リットル当たり酵素0.01〜200 mg、好ましくは洗浄液1 リットル当たり酵素0.05〜50 mg、特に洗浄液1 リットル当たり酵素0.1〜10 mgに対応する量で付加され得る、と目下意図される。
本発明の酵素はさらに、WO 97/07202(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)に開示された洗剤処方物中に混入され得る。
【0104】
材料および方法
テキスタイル
標準テキスタイル片は、EMPA St. Gallen, Lerchfeldstrasse 5, CH-9014 St. Gallen, Switzerlandから入手される。特にEMPA116型(血液、ミルクおよびインク汚れ付き綿テキスタイル)およびEMPA117型(血液、ミルクおよびインク汚れ付きポリエステル/綿テキスタイル)。
【0105】
菌株およびプラスミド
バシラス・レンタス菌株309は、NCIBに寄託され、寄託番号NCIB 10309を与えられ、米国特許第3,723,250号(この記載内容は、参照により本明細書中で援用される)に記載される。親サブチラーゼ309またはサビナーゼ(商標)は、菌株309から得られる。発現宿主生物は枯草菌Bacillus subtilusである。
プラスミドpSX222は、大腸菌−枯草菌シャトルベクターおよび枯草菌発現ベクターとして用いられる(WO 96/34946に記載)。
【0106】
一般分子生物学的方法:
別記しない限り、DNA操作および形質転換は、分子生物学の標準方法を用いて実施される(Sambrook et al.(1989) Molecular cloning:A laboratory manual, Cold Spring Harbor lab., Cold Spring Harbor, NY;Ausubel, F.M. et al.(eds.) “Current protocols in Molecular Biology”, John Wiley and Sons, 1995;Harwood, C.R., and Cutting, S.M. (eds.) “Molecular Biological Methods for Bacillus”, John Wiley and Sons, 1990)。
【0107】
DNA操作のための酵素
別記しない限り、DNA操作のための全酵素、例えば制限エンドヌクレアーゼ、リガーゼ等は、New England Biolabs, Inc.から得られる。DNA操作のための酵素は、供給元の仕様書に従って用いられる。
【0108】
発酵:
サブチラーゼ酵素の生成のための発酵は、15 mlの二重TY培地を含有する50 ml試験管中で2〜3日間、225 rpmで回転振盪台上でpH7.3で37℃で実施される。
TY培地の説明に関しては、page 1.1.3, Media Preparation and Bacteriological Tools in “Current protocols in Molecular Biology”. John Wiley and Sons, 1995;Harwood, C.R., and Cutting, S.M.を参照されたい。
【0109】
精製
宿主細胞から分泌されるサブチラーゼ変異体は、周知の手法により、例えば遠心分離または濾過により培地から細胞を分離し、硫酸アンモニウムのような塩により培地のタンパク質様構成成分を沈殿させ、その後、クロマトグラフィー手法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等により、培地から回収されるのが便利である。
【0110】
洗浄性能試験
洗剤組成物中の選定サブチラーゼ変異体の洗浄性能を査定するために、洗浄実験を実施する。自動機械応力検定(AMSA)を用いて、本出願の酵素変異体を試験する。AMSA試験を用いて、大量の小容積酵素−洗剤溶液の洗浄性能が検査され得る。AMSAプレートは、溶液を試験するための多数のスロット、ならびに全てのスロット開口部に対して洗浄されるべきテキスタイル材料見本をしっかり圧搾する蓋を有する。洗浄時間中、プレート、試験溶液、テキスタイルおよび蓋は激しく振盪されて、試験溶液をテキスタイルと接触させ、機械的応力を適用する。さらなる説明に関しては、WO 02/42740、特にページ23〜24の段落「特定方法実施形態」を参照されたい。
【0111】
洗剤
本発明のサブチラーゼ酵素の洗浄性能試験のための洗剤は、市場で完全処方市販洗剤を購入し、その後、加熱処理(水溶液中で85℃で5分間)により酵素構成成分を不活性化することにより得られる。さらに、酵素を含まない市販洗剤基剤は、メーカーから直接購入され得る。さらに適切なモデル洗剤は、本明細書中のページ19〜24の提示に従って構成され、洗浄性能試験のために用いられ得る。
【0112】
実施例1酵素変異体の構築および発現:
部位特異的突然変異誘発:
所望の突然変異を含有するオリゴを用いてPCRにより産生されるDNA断片の伝統的クローニング(Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., Cold Spring Haror, 1989)により、特定の挿入/欠失/置換を含む本発明のズブチリシン309(サビナーゼ(商標))部位特異的変異体を作製する。
【0113】
鋳型プラスミドDNAは、ズブチリシン309の変異体を含有するpSX222またはこの類似体であり得る。変異体の構築へのオリゴ特異的突然変異誘発により、突然変異を導入する。
ズブチリシン309変異体を大腸菌中で形質転換する。これらの形質転換体の一晩培養から精製されたDNAを、制限エンドヌクレアーゼ消化、DNA断片の精製、結繋、枯草菌の形質転換により、枯草菌中で形質転換する。Dubnau et al., 1971, J. Mol. Biol. 56, pp. 209-221により記載されたように、枯草菌の形質転換を実施する。
【0114】
特定領域に突然変異を導入するための部位特異的突然変異誘発
部位特異的突然変異誘発を実施するために用いられる全体的戦略を以下に示す:
突然変異の部位に隣接するDNA配列に対応する突然変異誘発性プライマー(オリゴヌクレオチド)を合成し、挿入/欠失/置換を限定するDNA塩基対により分離する。
【0115】
その後、その結果生じた突然変異誘発性プライマーを、修飾化プラスミドpSX222とのPCR反応に用いる。その結果生じたPCR断片を精製し、二次PCR反応で延長し、その結果生じたPCR産物を精製し、三次PCR反応で延長した後、エンドヌクレアーゼにより消化して、大腸菌−枯草菌シャトルベクターpSX222中でクローン化する。PCR反応は、正常条件下で実施する。プラスミドDNAを周知の技法で大腸菌中で形質転換し、一大腸菌コロニーをシーケンシングして、意図された突然変異を確証する。
本明細書中の2ページの表1〜表13に列挙した変異体の各々を、上記のように構築し得る。
本発明のサブチラーゼ変異体を精製するために、本発明の変異体を含むpSX222発現プラスミドをコンピテント枯草菌株中で形質転換して、上記のように発酵させた。
【0116】
実施例2精製および酵素濃度の査定
発酵後、疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)およびその後の真空濾過を用いて、ズブチリシン変異体の精製を成し遂げる。
酵素を捕捉するために、HCICは、4−メルカプト−エチル−ピリジン(4-MEP)が結合されるセルロースマトリックスを用いる。
80〜100 μmのサイズのセルロースマトリックスのビーズを酵母抽出物およびズブチリシン変異体を分泌し得る形質転換化枯草菌を含有する培地と混合し、Unifilter(商標)微小プレート中でpH9.5デインキュベートする。
【0117】
4-MEPはpH>7で疎水性であり、そしてズブチリシン変異体はpH9.5で疎水性であるので、ビーズ上の分泌酵素および4-MEP間で疎水性会合が作られる。インキュベーション後、ビーズおよび酵素をフィルター上に保持しながら、真空濾過により培地および細胞破砕屑を除去する。
ビーズから酵素を溶離するために、溶離緩衝液(pH5)でフィルターを洗浄することにより、ここでpHを下げる。それにより、酵素がビーズから分離し、緩衝液から回収され得る。
【0118】
活性部位滴定(AST)により、精製ズブチリシン酵素変異体の濃度を査定する。
精製酵素を異なる濃度で高親和性阻害剤CI-2Aとともにインキュベートして、種々の量の活性部位を抑制する。プロテアーゼおよび阻害剤は1:1比で互いに結合し、したがって酵素濃度は阻害剤の濃度に直接関連し、その時点で全プロテアーゼは不活性になる。残存プロテアーゼ活性を測定するために、基質(トリス/HCl緩衝液中0.6 mM Suc-Ala-Ala-Pro-Phe-pNA)を阻害剤とのインキュベーション後に付加し、その後4分間、分解産物pNA(パラニトロフェノール)の発生を、Elisa読取器で405 nmで定期的に測定する。
【0119】
本明細書中の2ページの表1〜表13に列挙した本発明の変異体の各々を上記の手法に従って精製し、その後、酵素濃度を確定した。
下記のように洗剤中の洗浄性能に関して、既知の濃度の表1〜表13の変異体を試験した。
【0120】
実施例3サビナーゼ変異体の洗浄性能
市販洗剤基剤組成物中での選定サブチラーゼ変異体の洗浄性能を査定するために、洗浄実験を実施した。自動機械応力検定(AMSA)を用いて、本出願の酵素変異体を試験した。AMSA試験を用いて、大量の小容積酵素−洗剤溶液の洗浄性能が検査され得る。AMSAプレートは、溶液を試験するための多数のスロット、ならびに全てのスロット開口部に対して洗浄されるべきテキスタイル材料見本をしっかり圧搾する蓋を有する。洗浄時間中、プレート、試験溶液、テキスタイルおよび蓋は激しく振盪されて、試験溶液をテキスタイルと接触させ、機械的応力を適用する。さらなる説明に関しては、WO 02/42740、特にページ23〜24の段落「特定方法実施形態」を参照されたい。
【0121】
以下に明記した実験条件下で、2つの検定を実行した:
【表21】

【0122】
本明細書中の24ページの洗剤例1における提示に従って、ラテンアメリカ型洗剤を構成した。試験系へのCaCl2およびMgCl2(Ca2+:Mg2+=4:1)の付加により、水硬度を6〜9°dHに調整した。洗浄後、テキスタイル片を水道水中で流し洗いして、風乾した。
【0123】
【表22】

【0124】
本明細書中の24ページの洗剤例2における提示に従って、欧州粉末型洗剤を構成した。試験系へのCaCl2*2H2O;MgCl2*6H2O;NaHCO3(Ca2+:Mg2+:HCO3-=4:1:10)の付加により、水硬度を15°dHに調整した。洗浄後、テキスタイル片を水道水中で流し洗いして、風乾した。
その特定酵素変異体とともに洗浄されたテキスタイル試料の色の明度として、酵素変異体の性能を測定する。明度は、白色光で照明した場合にテキスタイル試料から反射する光の強度としても表され得る.テキスタイルが汚れると、反射光の強度は、清浄テキスタイルより低くなる。したがって反射光の強度を用いて、酵素変異体の洗浄性能を測定し得る。
【0125】
商業用平床型スキャナー(PFU DL2400pro)を用いてカラー測定を行い、これを用いて、洗浄テキスタイル試料の画像を捕捉する。200 dpiの分解能で、24 ビットの出力色深度で、走査を実行した。精確な結果を得るために、コダック反射IT8ターゲット(Kodak reflective IT8 target)を用いてスキャナーをしばしば較正した。
走査画像から光強度に関する値を抽出するために、特別設計ソフトウエアアプリケーションを用いる(Novozymes Color Vector Analyzer)。プログラムは画像から24ビットピクセル値を回収し、それらを赤、緑および青に関する値(RGB)に変換する。ベクトルとして一緒にRGB値を付加し、次にその結果生じたベクトルの長さを考慮することにより、強度値(Int)を算定する:
【0126】
【数1】

【0127】
次式に従って、変異体の洗浄性能(P)を算定した:
P=Int(v)−Int(r)
式中、Int(v)は、酵素変異体で洗浄されたテキスタイル表面の光強度値であり、そして
Int(r)は、参照酵素ズブチリシン309(BLSAVI)で洗浄されたテキスタイル表面の光強度値である。
下記の表23〜表26および表24〜表36に示した結果は、試験した酵素変異体の性能(P)を合計した性能スコア(S)である。
S(2)は、3つの濃度(5、10および30 Nm)の全てで変異体が参照より良好に実施したことを示し、そして
S(1)は、1または2つの濃度で変異体が参照より良好に実施したことを示す。
【0128】
【表23】

【0129】
【表24】

【0130】
【表25】

【0131】
【表26】

【0132】
【表27】

【0133】
【表28】

【0134】
【表29】

【0135】
【表30】

【0136】
【表31】

【0137】
【表32】

【0138】
【表33】

【0139】
【表34】

【0140】
【表35】

【0141】
【表36】

【0142】
【表37】

【0143】
本明細書中の24ページの洗剤例2における提示に従って、欧州粉末型洗剤を構成した。試験系へのCaCl2*2H2O;MgCl2*6H2O;NaHCO3(Ca2+:Mg2+:HCO3-=4:1:10)の付加により、水硬度を15°dHに調整した。洗浄後、テキスタイル片を水道水中で流し洗いして、風乾した。
【0144】
【表38】

【0145】
【表39】

【0146】
【表40】

【0147】
【表41】

本明細書中の24ページの洗剤例2における提示に従って、欧州粉末型洗剤を構成した。試験系へのCaCl2*2H2O;MgCl2*6H2O;NaHCO3(Ca2+:Mg2+:HCO3-=4:1:10)の付加により、水硬度を15°dHに調整した。洗浄後、テキスタイル片を水道水中で流し洗いして、風乾した。
【0148】
【表42】

【0149】
【表43】

【0150】
【表44】

【0151】
【表45】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロテアーゼ変異体であって、
a)以下の修飾:
*0AQSVPWG; A1T、V;Q2L;S3T、A、L;V4L、A;I8V、T;S9G、D、R、K、L、V;R10H、K;V11A;Q12D;A13V;P14S、T、D、A、M、V、K、Q、L、H、R、I;A15M、T;A16P;H17R;N18S、H;R19W、K、L、F、G、I;G20*、R、A;L21F、LP、LW、LA、LG;T22S、A、K、TV、TG、TL、TW、TV、G、L、TY;G23S;S24P;K27R、V28I;V30I;I35T、V;T38S;P40L;N43D;R45H、K;G46D;A48T;S49N;F50S;V51A、I、D;P52V、A;P55S、A;S57P;G61E、D、S、R、GP;N62D、ND、NE、DE、NG、E、S;V68A、S、L、I;T71A;I72V;L75I;N76S、D;N77S;S78T;V81A;A85T;S87C;A88V、T;E89G;K94N;V95C、T;L96LA、LG;G97E、D、W、A、GG、GA、GV、N、GS;A98S、D、E、T、AS、AD、AV、AE、AH、Q、N、M、L、G、R、V、S;S99D、L、A、AD、SD、SM、SG、DA、P、G、N、C、M、V、I;G100S、GE、C;S101SA、SK;G102D、S;S103D、E、Y、L、Q、H、T;V104T、S、R、I、N、M、L、D;S106D、E、T、M、G、A、L、F、I;I107T、V、M;A108V、T、S;L111I、V;A114V;N116S、D;G118D;M119L、I、V、A、S;H120N、D、Q、K、E、Y、S;V121A;L124C;L126I;G127E;S128N、I、G、C;P129PSN、T、E、D、S、N、A;S130P、T、C、*;P131M、F、W、L、A、H、T、*、PA、S、Q、R、E、G、D、C;S132G、T;A133ASA;T134A;Q137H、E、D;A138G、V;V139L、I;N140D、K;T143A;S144D、N、P;R145G;V150I;A151V、G;A152P;A158T、V、C、E、L、D、M;G160A、D;S163G、C、N、A;Y167K、A、I;A168G;A169G;R170C、S、H、L;Y171C;A172V;N173D;A174V;M175L、I、V、A、S、T;N183D;N184D、S;N185S、D;R186L、C、H;S188G;S190A;Y192H;G195F、E;V203S、A、L、Q、M、F、I;N204T、D、S;Q206L:Y209C、H;G211D;S212N、L:T213A;Y214C、H;A215D、T;N218D、S;M222L、I、V、A、S;A223G;T224A、S;A228T;A230V;A232S、L、T、P;V234I;Q236A、L、D、T、C、M、F、S;K237R;N238D;P239T、S;S240F;S242T;V244I、M、A;Q245R、K、E、D、T、F、N、V、W、G、I、S、C、L、A、M;N248P、D、S;K251E、R;N252G、H、D、V、M、S、T、E、Y、S、Q、K、A、L;A254S;T255A、S;S256N、R、G;L257G;G258K;S259A、N、G;T260A、R;N261D;L262S、Q、V;Y263H、F;G264E;S265G、R、N;V268L、I;N269T;N296K;E271A;T274S、L、A、Rのうちの少なくとも1つと組合せた、
位置62、68、97、98、99、106、131、170、245、252のうちの1つまたは複数におけるアミノ酸残基K、H、R、E、D、Q、N、C、V、L、I、P、M、F、W、Y、G、A、S、Tのうちの1つの、挿入、置換または欠失、あるいは
b)以下の組合せ変異体:
A108T+L111V;L124I+S125A;P129S+S130AT;L96LA+A151G+V203A;S49N+V203L+N218D;S3T+A16P+R45C+G100S+A230V;I8V+R19K+V139I;N76D+A174AL+A194P+A230V;N185R;N62NE;H120Q+Q137E、G61GE、G61GS、G100L、A133D、V68A、N123D、L111F+Y263H、V11A+G61GE+V227A+S240F、A133E+S144K+N218D、S128A+P129S+S130SP、S9R+A15T+T22TQ+S101P、S9R+A15T+H120R+Q137D+N173S、G97E、Q245W、S9R+A15T+L96LG+Q137E+Y209H、S9R+A15T+L111V+Q137E+G211D、S9R+A15T+L111I+Q137E、S9R+A15T+L111I+H120N+Q137E、S9R+A15T+L96LG+H120Q+Q137E、S9R+A15T+T260M、S9R+A15T、Q245I、S9R+A15T+H120G+Q137E+N218D、S9R+A15T+S130P、Q245F、S9R+A15T+N218D、G63E+N76D+A194P+A230V、S9R+A15T+T224A、G100S、S9R+A15T+D60DG、A138V+V139I+A194P+N218D+A230V、A108V+A169G+R170A+Y171H、I8V+P14L+R19L+V30I+I35V+S57P+P129S+Q137D+S144D+S256N、A133D+T134S+Q137A、Q137D、A98AH、V51D、Q12E+P14L+A15T、G63E+N76D+A194P+A230V、Q12E+P14L+A15T、G97GS、V51A+S163T;V139I+A151G;S9R+A15T+L96LG+S130*;A169G+R170H
のうちの1つ、あるいは
c)位置68における1つまたは複数の修飾であって、K、H、R、E、D、Q、N、C、V、L、I、P、M、F、W、Y、G、A、SおよびTからなる群から選択されるアミノ酸残基の欠失、挿入および/または置換を含む修飾(1または複数)、
を含む前記プロテアーゼ変異体。
【請求項2】
下記の1つまたは複数の修飾:
X62D、E、S、XD、XE、XG、DE
X68A、S、L、I
X97E、D、W、A、N、XG、XA、XV、XS
X98S、D、E、T、N、M、L、G、R、V、XS、XD、XV
X99D、L、A、P、G、N、C、M、V、I、AD、XD、XM、XG、DA
X106D、E、T、M、G、A、L、F、I
X131M、F、W、L、A、H、T、*、S、Q、R、E、G、D、C、XA
X170C、S、H、L
X245R、K、E、D、T、F、N、V、W、G、I、S、C、L、A、M
X252G、H、D、V、M、S、T、E、Y、S、Q、K、A、L
と、以下の修飾:
*0AQSVPWG; A1T、V;Q2L;S3T、A、L;V4L、A;I8V、T;S9G、D、R、K、L、V;R10H、K;V11A;Q12D;A13V;P14S、T、D、A、M、V、K、Q、L、H、R、I;A15M、T;A16P;H17R;N18S、H;R19W、K、L、F、G、I;G20*、R、A;L21F、LP、LW、LA、LG;T22S、A、K、TV、TG、TL、TW、TV、G、L、TY;G23S;S24P;K27R、V28I;V30I;I35T、V;T38S;P40L;N43D;R45H、K;G46D;A48T;S49N;F50S;V51A、I、D;P52V、A;P55S、A;S57P;G61E、D、S、R、GP;N62D、ND、NE、DE、NG、E、S;V68A、S、L、I;T71A;I72V;L75I;N76S、D;N77S;S78T;V81A;A85T;S87C;A88V、T;E89G;K94N;V95C、T;L96LA、LG;G97E、D、W、A、GG、GA、GV、N、GS;A98S、D、E、T、AS、AD、AV、AE、AH、Q、N、M、L、G、R、V、S;S99D、L、A、AD、SD、SM、SG、DA、P、G、N、C、M、V、I;G100S、GE、C;S101SA、SK;G102D、S;S103D、E、Y、L、Q、H、T;V104T、S、R、I、N、M、L、D;S106D、E、T、M、G、A、L、F、I;I107T、V、M;A108V、T、S;L111I、V;A114V;N116S、D;G118D;M119L、I、V、A、S;H120N、D、Q、K、E、Y、S;V121A;L124C;L126I;G127E;S128N、I、G、C;P129PSN、T、E、D、S、N、A;S130P、T、C、*;P131M、F、W、L、A、H、T、*、PA、S、Q、R、E、G、D、C;S132G、T;A133ASA;T134A;Q137H、E、D;A138G、V;V139L、I;N140D、K;T143A;S144D、N、P;R145G;V150I;A151V、G;A152P;A158T、V、C、E、L、D、M;G160A、D;S163G、C、N、A;Y167K、A、I;A168G;A169G;R170C、S、H、L;Y171C;A172V;N173D;A174V;M175L、I、V、A、S、T;N183D;N184D、S;N185S、D;R186L、C、H;S188G;S190A;Y192H;G195F、E;V203S、A、L、Q、M、F、I;N204T、D、S;Q206L:Y209C、H;G211D;S212N、L:T213A;Y214C、H;A215D、T;N218D、S;M222L、I、V、A、S;A223G;T224A、S;A228T;A230V;A232S、L、T、P;V234I;Q236A、L、D、T、C、M、F、S;K237R;N238D;P239T、S;S240F;S242T;V244I、M、A;Q245R、K、E、D、T、F、N、V、W、G、I、S、C、L、A、M;N248P、D、S;K251E、R;N252G、H、D、V、M、S、T、E、Y、S、Q、K、A、L;A254S;T255A、S;S256N、R、G;L257G;G258K;S259A、N、G;T260A、R;N261D;L262S、Q、V;Y263H、F;G264E;S265G、R、N;V268L、I;N269T;N296K;E271A;T274S、L、A、R
のうちの少なくとも1つ、
との組合せを含む請求項1記載のプロテアーゼ変異体。
【請求項3】
1つまたは複数の以下の変化:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

を含む請求項1または2記載のサブチラーゼ変異体であって、
(a)変異体がプロテアーゼ活性を有し、そして
(b)各位置が配列番号1に示されたズブチリシンBPN’のアミノ酸配列の位置に対応する、
サブチラーゼ変異体。
【請求項4】
親サブチラーゼが亜群I−S1に属する請求項1〜3のいずれかに記載の変異体。
【請求項5】
親サブチラーゼが亜群I−S2に属し、そして親が好ましくはBLSAVI(サビナーゼ(商標))である請求項1〜3のいずれかに記載の変異体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに明示されたようなサブチラーゼ変異体をコードする単離DNA配列。
【請求項7】
請求項6記載の単離DNA配列を含む発現ベクター。
【請求項8】
請求項7記載の発現ベクターで形質転換される微生物宿主細胞。
【請求項9】
細菌、好ましくはバシラス属、特にバシラス・レンタスである請求項8記載の微生物宿主細胞。
【請求項10】
真菌または酵母、好ましくは糸状真菌、特にアスペルギルス属である請求項9記載の微生物宿主細胞。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれかに明示されたような宿主が変異体の発現および分泌を促す条件下で培養され、そして変異体が回収される請求項1〜5のいずれかに明示されたようなサブチラーゼ変異体の産生方法。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれかに明示されたような変異体を含む清浄または洗浄用組成物、好ましくは洗濯または食器洗浄用組成物。
【請求項13】
セルラーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、クチナーゼ、プロテアーゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、ラクターゼ、グリコアミラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リグニナーゼまたはそれらの混合物をさらに含む請求項12記載の組成物。
【請求項14】
選択用および/または食器洗浄用洗剤中の請求項1〜5のいずれかに明示されたような変異体の使用。
【請求項15】
1つまたは複数の修飾:K27R、*36D、S56P、N62D、V68A、N76D、S87N、G97N、S99SE、S101G、S103A、V104A、V104I、V104N、V104Y、S106A、H120D、H120N、N123S、G159D、Y167A、R170S、R170L、A194P、N204D、V205I、Q206E、L217D、N218S、N218D、M222S、M222A、T224S、A232V、K235L、Q236H、Q245R、N248D、N252K、T274A、S101G+V104N、S87N+S101G+V104N、K27R+V104Y+N123S+T274A、N76D+S103A+V104I、S99D+S101R+S103A+V104I+G160S、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+V199M+V205I+L217D、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+A194P+V199M+V205I+L217D、S3T+V4I+S99D+S101R+S103A+V104I+G160S+V205I、およびN76D+V104A
をさらに含む請求項3記載のサブチラーゼ変異体。
【請求項16】
以下の置換:
S101G+S103A+V104I+G159D+A232V+Q236H+Q245R+N248D+N252K
を含む請求項3記載のサブチラーゼ変異体。

【図1】
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【公開番号】特開2011−50392(P2011−50392A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−244071(P2010−244071)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【分割の表示】特願2005−502097(P2005−502097)の分割
【原出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】