説明

サブミクロン構造の基材上で生体物質および化学物質を検出するための方法およびシステム

1またはそれ以上のサブミクロン構造を含む1またはそれ以上の表面を有する金属フィルム;1またはそれ以上の分析対象物をフィルム表面の少なくとも部分に対して適用して、前記金属フィルムと相互作用させるための装置;光の少なくともいくらかが官能化された金属フィルムにより光学的に変化を受けるように適合されるように、金属フィルムの表面を照射するための光源;そして、光学的に変化を受けた光を回収するための光学検出サブシステムであって、ここで変化を受けた光は、前記フィルム上での表面プラズモン共鳴の指標である;を一般に含み、そして回収された光に基づいて分析対象物1またはそれ以上の特性を検出する;生物学的分析対象物または生化学的分析対象物を検出するための方法およびシステム。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、概して、液体中に懸濁するかまたはそうでなければ存在し、そしてその後サブミクロン構造のフィルム上に固定化される、化学物質および生体物質を定量化するための方法および装置に基づくセンサに関する。
【0002】
現在使用されているかまたは知られている金属フィルムベースのセンサは、表面プラズモン共鳴(SPR)効果を利用する。表面プラズモン共鳴効果は、表面プラズモンの結果であり、それらは本質的には、導電性表面、典型的には金属表面、に沿ってまたはそれを超えて伝播する光の波である。これらの波は、導電性物質の表面上の遊離の電子と相互作用し、それが次いで光の波との共鳴で振動する。この振動効果の特性は、様々な異なる用途のために操作しそして測定することができる様々な因子に依存する。
【0003】
これらのセンサ中での光強度の変化または波長の変化を、近接したサンプルの複雑な屈折率の関数として測定する。これらのセンサは、生化学的反応を研究するために幅広く使用されている。しかしながら、この従来型のSPR技術の既知の限界は、その相対的に低い感度であり、それはある状況の下では、感度を10-6 RIUにまで改善することができるが、典型的には10-3〜10-5屈折率単位(RIU)の範囲である。しかしながら、要求が厳しい現在の生化学的用途のためには、約10-9 RIUまたはそれ以上の感度が必須である。従って、より先進的なSPR技術を、生化学的センサにおいて適用した。このより先進的なSPR技術は、グース-ヘンシェン(Goos-Hanchen)(GH)効果を適用することに基づいている。いくつかのセンサにおいては、GH効果が小さく、そして測定値を感知するためには有用ではない。別のセンサにおいては、GH効果はより実質的であり、そしてそれを使用してエバネッセント波の伝播を改善する。
【0004】
以前の報告されたGH SPRの実演では、金、銀またはプラチナなどの固体金属フィルムを使用する。これらの固体金属フィルムセンサの屈折率(RI)分解能は、およそ10-8 RIUと報告されたが、それではよりよいものではあるが、要求が厳しい生化学的用途のためには依然として不十分である。干渉計、ヘテロダイン、およびその他のものを含め、異なるタイプの位相検出もまた、報告されてきた。
【発明の概要】
【0005】
本発明の方法およびシステムの1またはそれ以上の態様は、プリズムに基づく構造を組み合わせるための必要性を排除することにより、そしてSPRベースのセンサの感度または検出限界を改善することにより、既存のGH-SPR技術の問題点を部分的に克服する。本発明の方法およびシステムの1またはそれ以上の態様は、金属フィルム上にサブミクロン構造の特定のパターンを作成する。一般的に波長以下の開口部のこれらのセンサアレイは、異常光学的伝送および分光フィルタリング(しかしこれらには限定されない)を含む、光学的システムについての以前は利用できなかった特性をもたらす。例えば、いくつかの態様において、サブミクロンサイズの穴、ピラーまたはスリットを作成することにより、金属フィルムのパターニングを、近接場の光強度を亢進する。これらの亢進により、以前に利用可能であったSPRベースのセンサよりも、化学物質および生体物質のより小さな変化を検出することができる。これらの亢進は、自己参照の能力をさらに提供する。自己参照は、温度、圧力および光源強度ドリフトなどの周囲条件における非制御的変動のため、光学的反応を補正する手段を参照する。
【0006】
生物学的または生化学的分析対象物を検出するための方法の1またはそれ以上の態様は、一般的に以下の工程:1またはそれ以上のサブミクロン構造を含む金属フィルムを提供する工程;1またはそれ以上の分析対象物をフィルム表面の少なくとも部分に対して適用して、金属フィルムを官能化する工程;金属フィルムの表面を光源で照射する工程であって、ここで光の少なくともいくらかが官能化された金属フィルムにより光学的に変位され;光学的に変位を受けた光を回収する工程であって、変位を受けた光は、フィルムの1またはそれ以上の表面上での表面プラズモン共鳴の指標であり;そして回収された光に基づいて、分析対象物の1またはそれ以上の特性を検出する工程;を含むことができる。サブミクロン構造は、100 nm未満または100 nmの直径を有するナノホールまたはナノピラーを含むことができ、そして50 nm未満または50 nmの直径を有するナノホールをさらに含むことができる。ナノホールのピッチは、200 nmまたはそれ未満であってもよく、そして100 nmまたはそれ未満であるピッチをさらに有していてもよい。金属フィルムは、金(Au)、銀(Ag)、またはその他の適した金属を含むことができ、そして50〜250 nmの範囲の厚さであってもよい。分析対象物は、蛍光標識された物質など(しかしこれに限定されない)の、様々な生体物質または生化学的物質を含んでいてもよい。ナノピラーは、用途に応じて、様々な誘電特性を有することができる、複数の複合層を含んでいてもよい。
【0007】
金属フィルムセンサは、用途に応じて、10-8 RIU未満の屈折率解像度を生成するように、光を反射しまたは変位させるように適合させることができる。金属フィルムは、サブミクロン構造のランダムなパターンまたは予め決められたパターンを含んでいてもよい。金属フィルムは、独立して存在しているものであっても、完全にまたは部分的に固定化されたものであっても、あるいは基材上に支持化されたものであってもよい。基材は、クオーツを含む(しかしこれには限定されない)様々な物質を含んでいてもよい。
【0008】
生物学的分析対象物または生化学的分析対象物を検出するための方法の別の態様は、概して、以下の工程:1またはそれ以上のサブミクロン構造を含む金属フィルムを提供する工程;1またはそれ以上の認識レセプターを1またはそれ以上の前記サブミクロン構造に対して適用する工程;前記金属フィルムの表面を光源で照射する工程であって、ここで光の少なくともいくらかが前記金属フィルムにより光学的に変化を受け;前記光学的に変化を受けた光を回収する工程であって、ここで前記変化を受けた光は前記フィルム上での表面プラズモン共鳴の指標であり;そして前記回収された光に基づいて、前記分析対象物の1またはそれ以上の特性を検出する工程;を含む。
【0009】
認識レセプターは、前記光を変化させることができる誘電特性を有するタグサブミクロン構造を含んでいてもよい;ここで、前記回収された光は、伝送モードの光、反射モードの光、または伝送モードの光と反射モードの光の両方を含んでいてもよい。
【0010】
センサ中で使用されるタグは、金属サブミクロン構造を有していてもよく、そしてここで前記金属は:Au、Al、Ag、Ni、Pt、Pd、貴金属、そしてUV-VIS-IRスペクトル領域中でプラズモン共鳴を有する金属からなる群から選択される。このタグは、誘電性サブミクロン構造も含んでもよく、そしてここで前記誘電性サブミクロン構造は、SiO2およびポリスチレンからなる群から選択されるコロイド状粒子を含む。
【0011】
光を回収する工程はまた、少なくとも1つのプラズモンバンドを含むように選択されたスペクトル領域全体にわたり光を回収する工程を含んでいてもよく;そして多変数解析を使用して1またはそれ以上のスペクトル感度を解析する工程であって、ここで前記多変数解析を適合させて、前記検出を改善すること;をさらに含んでいてもよい。多変数解析は、共鳴ピークシフト、ピーク強度、ピークの広がり、ピークの形状変化、およびピークの歪みを同時的に解析する工程が含まれていてもよい。
【0012】
生物学的分析対象物または生化学的分析対象物を検出するための方法の別の態様は、概して、以下の工程:少なくとも1つの開口を有するサブミクロンスリットを含む複数のサブミクロンの開口部を含む金属フィルムを提供する工程;少なくとも1つのナノスリットの前記開口内部の1またはそれ以上の認識レセプターを、官能化された前記スリットに接着させる工程;前記金属フィルムの表面を光源で照射する工程であって、ここで前記光の少なくとも部分が、前記官能化されたスリットにより光学的に変化を受け;光学的に変化を受けた光を回収する工程であって、ここで前記変化を受けた光は1またはそれ以上の前記ナノスリット上でのプラズモン共鳴の指標であり;そして前記回収された光に基づいて、前記分析対象物の1またはそれ以上の特性を検出する工程;を含む。
【0013】
生物学的分析対象物または生化学的分析対象物を検出するためのシステムの1またはそれ以上の態様は、概して以下のもの:1またはそれ以上のサブミクロン構造を含む1またはそれ以上の表面を有する金属フィルム;1またはそれ以上の分析対象物をフィルム表面の少なくとも部分に対して適用して、金属フィルムを官能化させるための装置;光の少なくともいくらかが、官能化された金属フィルムにより光学的に変位を受けるように適合されるように、前記金属フィルムの表面を照射するための光源;そして光学的に変位を受けた光を回収するための光学検出サブシステムであって、ここで変位を受けた光は、フィルムの1またはそれ以上の表面上の表面プラズモン共鳴の指標であり、そして回収された光に基づいて分析対象物の1またはそれ以上の特性を検出する工程;が含まれていてもよい。このシステムは、10-8 RIU未満である反射指数(reflective index)を有する変位を受けた光を生成するように適合させることができる。同様に、サブミクロン構造は、100 nm未満または100 nmの直径を有するナノホールまたはナノピラーを含むことができ、そして50 nm未満または50 nmの直径を有するナノホールをさらに含むことができる。ナノホールのピッチは、200 nmまたはそれ未満であってもよく、そして100 nmまたはそれ未満のピッチをさらに有していてもよい。金属フィルムは、金(Au)を含んでいてもよく、そして40〜120 nm厚のあいだであってもよい。分析対象物は、蛍光標識された物質などの、様々な非標識または標識生体物質または生化学的物質を含んでいてもよいが、これらには限定されない。ナノピラーは、用途に応じて、異なる誘電特性を有していてもよい複数の複合層を含んでいてもよい。金属フィルムは、サブミクロン構造の無作為的なパターンまたは予め定められたパターンを含んでいてもよい。金属フィルムは、独立しているものであっても、完全にまたは部分的に固定されたものであっても、またはそうでなければ基材上に支持化されていてもよい。基材は、クオーツを含む様々な物質を含んでいてもよいが、これには限定されない。
【0014】
生物学的分析対象物および生化学的分析対象物を解析するために適合されるSPRセンサの態様の一つは、一般的に以下のものを含むことができる:1またはそれ以上のサブミクロン構造を含む1またはそれ以上の表面を有する金属フィルムであって、金属フィルムが10-8 RIU未満の屈折率解像度を提供することができ、そして金属フィルムが表面プラズモン共鳴を有するものである。金属フィルムは、分析対象物が金属フィルムの1またはそれ以上の表面の表面プラズモン共鳴を変化させるように、1またはそれ以上の生物学的分析対象物または生化学的分析対象物により官能化されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明のこれらのそしてその他の特徴、側面、および利点は、添付の図面を参照して以下の詳細な説明が読まれる場合に、よりよく理解されることとなるだろう。
【図1】図1は、官能化サブミクロン構造の金属基材上の生化学的物質を検出するための本発明の方法の態様のフロー図である。
【図2】図2は、官能化サブミクロン構造の金属基材上の生化学的物質を検出するための本発明のシステムのスキーム図である。
【図3】図3は、複数のサブミクロンサイズの穴を含むパターニングされた金属フィルムの態様のスキーム図である。
【図4】図4は、Auフィルム中に形成された複数の概してピラミッド型のサブミクロン穴を含む、パターニングされた金属フィルムの態様の上面図である。
【図5】図5は、通常SEM画像中のAおよび拡大SEM画像中のBにおいて示される、金属フィルム中に形成された複数の概して環状のサブミクロン穴を含む、パターニングされた金属フィルムの態様の上面図である。
【図6】図6は、約35 nmの直径そして約200 nmのピッチサイズを有する複数の概して環状のサブミクロン穴を含むパターニングされた金属フィルムの態様の上面図である。
【図7】図7は、伝送モードおよび反射モードの両方におけるパターニングされた金属フィルムの態様から得られた、光学的測定のスキーム図である。
【図8】図8は、ナノホールアレイの4つの態様を示す:A)金属フィルムを通じての全体的に基質にまで伸長するサブミクロン穴を有するアレイ;B)穴の底部と基質とのあいだの残りの金属層により金属フィルムを通じて部分的に伸長するサブミクロン穴を有するアレイ;C)金属フィルムを通じて全体的に伸長するサブミクロン穴を有する独立のアレイ;D)金属フィルムを通じて部分的に伸長するサブミクロン穴を有する独立のアレイ。
【図9】図9は、ナノホールアレイの2つの態様を示す:A)基材に接着した金属フィルムを介して異なる深さのサブミクロン穴を有するアレイ;B)異なる深さのサブミクロン穴を有する独立のアレイ。
【図10】図10は、金属フィルムにおける、サブミクロン穴パターンの2つの態様を示す。
【図11】図11は、生物学的に官能化されたサブミクロン穴アレイの、2つのサブミクロン穴の上面図および3つの態様の横断面図を示す。
【図12】図12は、サブミクロンアイランド(あるいはサブミクロンピラーともいう)アレイの3つの態様を示す:A)サブミクロンアイランドを有するアレイ;B)複合材料サブミクロンアイランドを有するアレイ;C)多層複合材料サブミクロンアイランドを有するアレイ。
【図13】図13は、官能化サブミクロンアイランドアレイの3つの態様を示す:A)上面および側面を官能化されたサブミクロンアイランドを有するアレイ;B)上面および側面を官能化された複合材料サブミクロンアイランドを有するアレイ;C)側面を官能化された複合材料サブミクロンアイランドを有するアレイ。
【図14】図14は、サブミクロン穴を有する部分的アレイの態様の画像を示す。
【図15】図15は、サブミクロン穴を有する全体アレイの態様の画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の方法およびシステムは、既存のGH-SPR技術の問題点を解消し、そしてSPRセンサの検出能力を高める。これらの改良は、金属フィルム上にあらかじめ定められたパターンを作成することにより、1またはそれ以上の態様によって部分的に達成される。波長未満の開口部のアレイは、異常な光学的伝送特性およびスペクトルフィルタリング特性など(これらには限定されない)の光学的システムに関する優れた特性を提供する。金属フィルム中または金属フィルム上にサブミクロン構造を作成することによる金属フィルムのパターニングにより、近接場光強度が増強される。そのようなサブミクロン構造には、ナノホールおよびナノピラー(ナノアイランドとも呼ばれる)が含まれていてもよい(しかしこれらには限定されない)。この増強により、化学物質および生体物質におけるよりわずかな変化の検出が可能になり、そして非増強化金属フィルムと比較して、より小さなスケールでの検出が可能になる。ナノホールは、定義できる深さおよび周囲長を一般に有する、金属層中に伸長する陥凹部または空洞部のことをいう。穴は、正確に丸型である必要はないが、しかし細長い溝とは識別可能である。用語、ナノピラーは、ナノアイランドと互換的であり、そして金属フィルムまたは基質の第1表面から外へ伸長し、そして定義できる高さおよび周囲長を有する構造のことをいう。
【0017】
ある態様においては、サブミクロンパターンは、光の波長と実質的に同一の直径を一般的に有する、複数の穴またはピラーを含む。しかしながら、非常に小型の生体物質および生化学的物質の特性を検出するために十分なほど小さな屈折率解像度を達成するためには、穴またはピラーの直径は、好ましくは100 nm未満または100 nmであり、そしてさらにより好ましくは50 nm未満または50 nmである。サブミクロン構造は、フィルムにおいて、無作為的にパターニングするか、あらかじめ定められたパターンでパターニングすることができる。これらのサブミクロン構造の輪郭を描くために使用することができる適用可能なナノ-製造技術の限定的ではない例には、ナノリソグラフィー、ナノ球体リソグラフィー、イオンエッチング、および当該技術分野において既知のその他の方法が含まれるが、これらには限定されない。サブミクロン構造の直径および空間的ピッチは、所定の用途により適合するかまたは定義することができ、そして一般的に光の波長の関数に依存する。サブミクロン構造のピッチは、非常に小さな生体物質および生化学的物質の特性を検出するために十分なほど小さな屈折率解像度を達成するためには、好ましくは200 nm未満または200 nmであり、そしてより好ましくは100 nm未満または100 nmである。
【0018】
生物学的分析対象物または生化学的分析対象物を検出するための本発明の方法の態様を、図1に示し、そしてこの方法は概して、以下の工程を含む:1またはそれ以上のサブミクロン構造を含む金属フィルムを提供する工程;1またはそれ以上の分析対象物をフィルム表面の少なくとも部分に対して適用して、前記金属フィルムを官能化させる工程;その金属フィルム表面を光源で照射する工程であって、ここで光の少なくともいくらかが光学的に変位を受けそして回収される。回収された光の量および品質は、その光の光学的変位および強度の程度に部分的に依存する。回収された光は、そのフィルムの1またはそれ以上の表面上での表面プラズモン共鳴の指標であり、それは(滑らかな金属表面と比較した場合)サブミクロン構造および分析対象物により、変化を受ける。次いで、検出された光を使用して、生物学的分析対象物または生化学的分析対象物の1またはそれ以上の特性を解析しそして定量する。分析対象物は、単変量であっても、多変量であってもよい。
【0019】
センサベースのシステム10の態様が図2に示され、そして一般的に、1またはそれ以上のサブミクロン構造を含む1またはそれ以上の表面を有する金属フィルム16;1またはそれ以上の分析対象物22をフィルム表面の少なくとも部分に対して適用して、金属フィルム16を官能化させるための装置24;光の少なくともいくらかが官能化された金属フィルムにより光学的に変化を受けるように適合されるように、その金属フィルムの表面を照射するための光源12;前記フィルムの1またはそれ以上の表面上での表面プラズモン共鳴の指標である前記光学的に変位を受けた光を回収し、そしてその回収された光に基づいて分析対象物の1またはそれ以上の特性を検出するための光学検出サブシステム18;を含む。光源12は、多色照射装置およびレーザーを含む(しかしこれらには限定されない)様々な適切な光源であってもよい。システム10は、光の位相または偏光を変化させるための光モジュレータ14を含むことができる。システムは、分析対象物を適用するための装置24を含む必要はない。そのような態様において、このシステムは、一般的に、照射構成要素および検出構成要素を含み、その中で金属フィルムセンサまたはセンサが、既に以前に金属フィルムに対して適用されている1またはそれ以上の分析対象物により、負荷をかけられる。このシステムの態様のいずれか一つは、照射構成要素および検出構成要素から回収されたデータをプロセッシングして、データから生物学的にそして生化学的に関連する情報を生成するための1またはそれ以上のプロセッシング装置20を含んでもよい。
【0020】
この方法およびシステムの1またはそれ以上の態様において、化学的感受性物質および/または生物学的感受性物質を、無作為的にパターニングしたかまたは予め決められたようにパターニングした複数のサブミクロン構造を含む金属フィルム上に適用する。生化学的感受性物質は、アレイ化、インクジェット印刷、スクリーン印刷、蒸気沈着、スプレー、描画コーティング、および当該技術分野において既知のその他の沈着方法を含む(しかしこれらには限定されない)、様々な技術を使用して金属フィルム上に沈着させることができる。生体物質または生化学的物質は、標識されていても、標識されていなくてもよい。標識された物質は、どのような数およびどのような型のマーカーおよび色素(例えば、蛍光色素)によって標識化またはマークされていてもよく、マーカーおよび色素は、以下のものを含むが、それらには限定されない:細胞染色または形態染色、免疫組織化学染色および免疫細胞化学染色などの免疫学的染色、細胞遺伝学的染色、in situハイブリダイゼーション染色、細胞化学的染色、DNAおよび染色体マーカー、および基質結合アッセイ染色。例えば、そのようなマーカーおよび色素には、以下のものが含まれるが、これらには限定されない:Her2/neu、EGF-R/erbB(上皮細胞増殖因子レセプター)、ER(エストロゲンレセプター)、PR(プロゲステロンレセプター)、AR(アンドロゲンレセプター)、P53(腫瘍抑制遺伝子)、β-カテニン(オンコジーン)、ホスホ-β-カテニン(β-カテニンのリン酸化型)、GSK3β(グリコーゲンシンターゼキナーゼ-3βタンパク質)、PKCβ(メディエータG-タンパク質結合型レセプター)、NFΚβ(核因子カッパB)、Bcl-2(B細胞リンパ腫オンコジーン2)、CyclinD(細胞周期調節)、VEGF(血管内皮増殖因子)、E-カドヘリン(細胞-対-細胞相互作用分子)、c-met(チロシンキナーゼレセプター)、ケラチン、汎-カドヘリン(pan-cadherin)、平滑筋アクチン、DAPI、ヘマトキシリン、エオジン。
【0021】
生体物質または生化学的物質が金属フィルムに適用される場合、物質が金属フィルムと相互作用する。この相互作用が、フィルムの電気-光学的特性に影響を与え、それが効果的に金属フィルムセンサのSPRまたは屈折率反応を変化させる。ナノ構造の金属フィルムの製作は、概して図3に示される。
【0022】
例として、センサの態様のいくつかのための穴を、集束イオンビーム加工(FIB)システム(FEI NOVA 200 Dual Beam FIB-SEM)を使用して作製した。このシステムの適用は、製造されたナノホールの正確な深さ調節を、約5 nmの正確さで提供する。穴間のピッチは、約5 nmの解像度で調節された。FIBツールは、ミリメートルスケールで大きなパターン化された領域を提供した。FIBパターニングは、望ましくない表面損傷を引き起こさなかった。パターンは、クオーツ上に沈着されたAuフィルム中に作製された。Auフィルムの厚さは、40〜120 nmのあいだであった。ナノ構造の金属フィルムのさらなる例を、図4、図5および図6に示す。
【0023】
図4は、金(Au)フィルム中に形成されるピラミッドの形状で、ナノホール32を伴う金属フィルム30(アレイとも呼ばれる)を示す。パターニングは、100 nmのピッチを有する50×50μmの領域上で行われた。図5Aおよび図5Bは、約35 nmの直径および約800 nmのピッチサイズの環状のナノホール42の5×5アレイ40を示す。図5Aは、5×5アレイの一般的なSEM視野であり、そして図5Bは、より拡大した同一のアレイの一部である。図6は、約35 nmの直径および約200 nmのピッチサイズの環状のナノホール52のアレイ50を示す。
【0024】
図14は、金フィルム中に形成される環の形状で、穴33を有する金属フィルム31(アレイとも呼ばれる)を示す。パターニングは、500 nmのピッチおよび約210 nmの直径の穴を有する30×30μmの領域上で行われた。図14は、製造されたアレイの一部のSEM像である。
【0025】
図15は、金フィルム中に形成される環の形状で、穴37を有する金属フィルム35(アレイとも呼ばれる)を示す。パターニングは、400nmのピッチおよび約180 nmの直径の穴を有する30×30μmの領域上で行われた。図15は、完全なアレイのSEM像でもある。この四角形のアレイのこのSEM像は、金属フィルムの52°の傾きでとられた。
【0026】
図7は、光学的測定値をどのようにしてナノ構造アレイ60から得ることができるかを示す伝送モードおよび反射モードを示す。ナノ構造アレイは、穴またはアイランド(ピラー)を含むことができる。注目すべきことは、例えば、集束イオンビーム(FIB)ミリングを使用して、金属フィルム中に穴を形成することができる。例えば、ナノリソグラフィー、化学蒸気沈着、金属スパッタリング、イオンエッチング、および当該技術分野において既知のその他の方法を使用して、基材上にピラーを形成することができる。
【0027】
図8は、ナノホールアレイが、全体の金属フィルム厚を介して形成され、またはフィルム中の金属の特定の残りの厚さを有するように形成される場合のいくつかの態様を示す。ナノホールアレイを有するこれらの金属フィルムは、基材上に存在するかまたは独立のものであるかのいずれかである。アレイ70は、金属フィルム78および接着層74全体を介して伸長するナノホール72とともに示される。接着層74を使用して、金属フィルム78を基質76に固定化する。基質76は、クオーツなどの多数の適切な型の透過性物質を含むことができる。その他の有用な金属には、アルミニウムおよび銀が含まれるが、これらには限定されない。接着層は、金のガラス表面への接着を促進する。適切な接着剤の例には、クロムおよびチタンが含まれるが、これらには限定されない。基質物質の例には、ガラス、クオーツ、シリコン、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、およびポリカーボネート、テフロン(登録商標)AF、およびナフロンなどのポリマーが含まれるが、これらには限定されない。アレイ80は、金属層84を介して部分的に伸長するナノホール82により示される。金属層84は、基質86に対して同様に固定される。アレイ90は、独立の金属フィルム94を介して完全に伸長するナノホール92により示される。アレイ100は、金属フィルム104を介して部分的に伸長するナノホール102により示される別の独立の態様である。金属フィルムは、基材上に部分的に固定化することができ、そして用途に応じて、部分的に独立のものであってもよいこともまた想定される。
【0028】
図9は、金属フィルム中の穴の様々な深さを有するように、ナノホールアレイを形成する場合の2つの態様を示す。アレイ110は、金属フィルム116中に様々な深さを有するナノホール112を有することが示される。金属フィルム116を、接着剤118を使用して基質114に対して固定化する。基質114および接着剤118の両方が、様々な適切に透過性の物質を含むことができる。アレイ120は、独立の金属フィルム124中に様々な深さを有するナノホール112を有することが示される。
【0029】
図10は、金属フィルム中にナノホールパターンの様々な形状を有する、アレイ130およびアレイ132の2つの例示的態様を示す。これらのパターンおよび形状は、限定的ではない。いずれかの適切なパターンおよび形状を、用途に応じて使用することができる。
【0030】
図11は、生物学的に官能化したナノホールアレイ構造のいくつかの例示的な態様を示す。一態様において、金属フィルム140(例えば金)を、別の金属146の薄層(ナノメートル厚)(例えばガリウム)によりコーティングする。この沈着を、FIBシステムを使用して行う。次に、FIBを使用して、ガリウム金属フィルムの領域を除去し、そして金フィルム中にナノホール142を作製する。従って、金ナノホールは、むき出しの金フィルムのその周りにリング144を有する。金のこの領域は、生物学的認識レセプター148の接着のためにさらに使用される。接着方法の例は、チオール-化学ベースの方法である。同様のレセプター-接着方法は、アレイ150の底部上のレセプター152およびアレイ160中の穴の側面上のレセプター162の接着のために使用される。
【0031】
図12は、ナノピラー(ナノアイランド)構造のいくつかの例を示し、ここでナノピラーは、単一の物質から形成され、または様々なまたは交互の物質の複合材料構造を含む。これらの物質は、様々な誘電特性を有することができる。アレイ170は、複数のアイランド172を有することが示される。アレイ180は、複数の複合材料アイランド182を有することが示される。アレイ190は、様々な誘電特性を有する複数の複合層194を含む、複数の複合材料アイランド192を有することが示される。ピラーまたはアイランドは、電子ビームリソグラフィーを使用して、作製することができる。このプロセスにおいて、照射感受性フィルムまたは抵抗(resist)を、走査型ビーム電子顕微鏡の真空チャンバ中に静置し、そして電子ビームにより曝露する。曝露の後、フィルムを、従来からの現像(development)およびその他の製造プロセスのために、真空チャンバから取り出す。このプロセスは、各ナノピラーの望ましい形状の描写を可能にし、そしてナノメートルレベルの解像度をもたらす。様々なフィルムの層を用いて電子ビームパターニング(現像(development)と一緒の曝露)工程を繰り返すことにより、多層構造が、ナノメートルの正確さで形成される。このプロセスを、ナノ開口部のためにそしてナノピラーのために使用することができる。
【0032】
図13は、生物学的に官能化されたナノアイランドアレイ構造のいくつかの例を示す。一態様において、アレイ200は、生物学的レセプター204により上面および側面を官能化された複数のナノアイランド202とともに示される。アレイ210は、バイオレセプター214により上面および側面を官能化された複数の複合材料ナノアイランド212とともに示される。アレイ220は、バイオレセプター224により側面を官能化された複合材料ナノアイランド222とともに示される。
【0033】
部分的に記載される亢進は、自己参照の能力をもたらす。自己参照は、温度、圧力および光源強度ドリフトなどの周囲条件における調節されていない変化のため、光学的反応について補正する手段のことをいう。単波長でまたは多波長での光の強度の検出に基づく光学的測定において、光源強度、検出器感度、そしてセンサチップの温度不安定性の変動により、分析対象物濃度とは関連せず、むしろこれらのそしてその他の既知のノイズ源と関連する測定されたシグナルの変化を引き起こす。
【0034】
この方法およびシステムの亢進を使用して、次いで、シグナル変動のこれらの源を補正することができる。一つの選択肢は、2つのセンサチップを使用することに基づくものであり、この場合一つの別個のチップは検知フィルムを有して作製される。もう一つの別個のチップは、検知フィルムなしで作製される。測定は、両方のチップ上で行われ、そして参照チップ由来のシグナルを使用して、分析対象物結合に関連しない予期せぬ効果について補正する。しかしながら、2つのチップを使用することにより、解決すべき残りの問題が存在する可能性が依然として存在する。これらのチップは、それらが2つの異なるチップであり、そして2つの異なる条件またはサンプルフローの領域に曝露されるため、異なる作用を受ける。従って、この亢進により、単一のチップが検知および参照の両方を行うことができる。例えば、そのような態様の一つでは、偏光干渉法を使用し、この場合一つの偏光を参照として使用して、一方別の偏光を検知のために使用する。
【0035】
1またはそれ以上の方法において、同一のチップを測定、参照および検知の両方のために使用する。いくつかの非常に狭い空間領域を、検知および参照のために単一のチップ上で使用する。検知領域および参照領域は、ナノスリットのアレイにより規定され、そしてスリットとスリットそれ自体との間の不透明な空間に対応する。例えば、スリット間の空間は、参照領域であり、そして官能化されたスリットは検知領域である。さらなる例として、スリット間の官能化された空間を検知領域として使用することができ、そしてスリットを参照領域として使用することができる。参照および検知のためにスリットアレイを有する単一チップを使用する場合、天然に偏光した光または直線偏光した光のいずれかを使用することができる。検知および参照のために使用される直線偏光した光は、同一の偏光または異なる偏光を有する。
【0036】
本発明の特定の特徴のみが本明細書中で示されそして記載されたが、多数の修飾および変化が当業者には思いつくだろう。従って、添付する特許請求の範囲は、本発明の真の思想中に含まれるものとして、全てのそのような修飾および変化をカバーするものと意図されることを理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1またはそれ以上のサブミクロン構造を含む金属フィルムを提供する工程;
1またはそれ以上の分析対象物を前記フィルム表面の少なくとも部分に対して適用して、前記金属フィルムと相互作用させる工程;
前記金属フィルムの表面を光源で照射する工程であって、ここで光の少なくともいくらかが前記金属フィルムにより光学的に変化を受け;
前記光学的に変化を受けた光を回収する工程であって、ここで前記変位を受けた光は前記フィルム上での表面プラズモン共鳴の指標であり;そして
前記回収された光に基づいて、前記分析対象物の1またはそれ以上の特性を検出する工程;
を含む、生物学的分析対象物または生化学的分析対象物を検出するための方法。
【請求項2】
前記変化を受けた光が、前記分析対象物の屈折率の指標である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サブミクロン構造が、5〜1500 nmの直径を有するサブミクロンの開口部を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記サブミクロン構造が、5〜1500 nmの開口を有するサブミクロンの開口部を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
複数の前記開口部が、200 nmまたはそれ未満のピッチを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
複数の前記開口部が、100 nmまたはそれ未満のピッチを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属フィルムが、40〜320 nmのあいだの厚さのAuフィルムである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記サブミクロン構造が、100 nm未満または100 nmの直径を有するサブミクロンの開口部を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記分析対象物が、蛍光標識された生体物質または生化学的物質を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記サブミクロン構造が、100 nm未満または100 nmの少なくとも1つの外形寸法を有するナノピラーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記サブミクロン構造が、50 nm未満または50 nmの少なくとも1つの外形寸法を有するナノピラーを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記分析対象物が、蛍光標識された生体物質または生化学的物質を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
1またはそれ以上の前記ナノピラーが、複数の複合層を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
2またはそれ以上の前記複合層が、互いに異なる誘電特性を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
複数の前記サブミクロン構造が、200 nm未満のピッチを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
複数の前記サブミクロン構造が、100 nm未満のピッチを有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記金属フィルムが、サブミクロン構造のあらかじめ定められたパターンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記金属フィルムが、基材上で提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記基材がクオーツを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1またはそれ以上のサブミクロン構造を含む1またはそれ以上の表面を有する金属フィルム;
1またはそれ以上の分析対象物を前記フィルム表面の少なくとも部分に対して適用して、前記金属フィルムと相互作用させるための装置;
光の少なくともいくらかが前記金属フィルムにより光学的に変化を受けるように適合されるように、前記金属フィルムの表面を照射するための光源;そして
前記フィルムの1またはそれ以上の前記表面上での表面プラズモン共鳴の指標である前記光学的に変位を受けた光を回収し、そして前記回収された光に基づいて前記分析対象物の1またはそれ以上の特性を検出するための光学検出サブシステム;
を含む、生物学的分析対象物または生化学的分析対象物を検出するためのシステム。
【請求項21】
前記サブミクロン構造が、50 nm未満または50 nmの直径を有するナノホールを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
1またはそれ以上の前記ナノホールが、Auのリングにより囲まれている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
1またはそれ以上の前記分析対象物が、前記リング少なくとも部分上にある、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
1またはそれ以上の前記ナノホールがAuを含む内部表面を有し、そして1またはそれ以上の認識レセプターが、前記Au内部表面の少なくとも部分上に提供される、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記フィルムが、1またはそれ以上の前記分析対象物が相互作用しない不活性層を含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項26】
複数のサブミクロン構造が、100 nm未満または100 nmのピッチを有する、請求項20に記載のシステム。
【請求項27】
前記サブミクロン構造が、50 nm未満または50 nmの少なくとも1つの外形寸法を有するナノピラーを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項28】
複数の前記サブミクロン構造が、100 nm未満または100 nmのピッチを有する、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
1またはそれ以上の前記ナノピラーが、互いに異なる誘電特性を有する複数の複合層を含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
1またはそれ以上のサブミクロン構造を有する1またはそれ以上の表面を有し、10-8 RIU未満の屈折率解像度を提供することができ、そして表面プラズモン共鳴を有する、金属フィルム;
を含む、生物学的分析対象物および生化学的分析対象物を解析するために適合されたセンサ。
【請求項31】
前記分析対象物が前記金属フィルムの1またはそれ以上の前記表面の前記表面プラズモン共鳴を変化させる様に、前記金属フィルムが1またはそれ以上の生物学的分析対象物または生化学的分析対象物により官能化される、請求項30に記載のセンサ。
【請求項32】
1またはそれ以上のサブミクロン構造を含む金属フィルムを提供する工程;
1またはそれ以上の認識レセプターを1またはそれ以上の前記サブミクロン構造に対して適用する工程;
前記金属フィルムの表面を光源で照射する工程であって、ここで光の少なくともいくらかが前記金属フィルムにより光学的に変化を受け;
前記光学的に変化を受けた光を回収する工程であって、ここで前記変化を受けた光は前記フィルム上での表面プラズモン共鳴の指標であり;そして
前記回収された光に基づいて、前記分析対象物の1またはそれ以上の特性を検出する工程;
を含む、生物学的分析対象物または生化学的分析対象物を検出するための方法。
【請求項33】
前記認識レセプターが、前記光を変化させることができる誘電特性を有するタグサブミクロン構造を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記回収された光が、伝送モードの光、反射モードの光、または伝送モードの光と反射モードの光の両方を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
光を回収する前記工程が、少なくとも1つのプラズモンバンドを含ませるために、選択されたスペクトル領域にわたる光を回収することを含み;そして多変数解析を使用して1またはそれ以上のスペクトル感度を解析する工程をさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記多変数解析を適合させて、前記検出を改善する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記多変数解析が、共鳴ピークシフト、ピーク強度、ピークの広がり、ピークの形状変化、およびピークの歪みを解析することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記タグが金属サブミクロン構造を含み、そして前記金属が、Au、Al、Ag、Ni、Pt、Pd、貴金属、およびUV-VIS-IRスペクトル領域内でプラズモン共鳴を有する金属からなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記タグが誘電性サブミクロン構造を含み、そして前記誘電性サブミクロン構造がSiO2およびポリスチレンからなる群から選択されるコロイド状粒子を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの開口を有するサブミクロンスリットを含む複数のサブミクロンの開口部を含む金属フィルムを提供する工程;
少なくとも1つのナノスリットの前記開口内部の1またはそれ以上の認識レセプターを、官能化された前記スリットに接着させる工程;
前記金属フィルムの表面を光源で照射する工程であって、ここで前記光の少なくとも部分が、前記官能化されたスリットにより光学的に変化を受け;
前記光学的に変化を受けた光を回収する工程であって、ここで前記変化を受けた光は1またはそれ以上の前記ナノスリット上でのプラズモン共鳴の指標であり;そして
前記回収された光に基づいて、前記分析対象物の1またはそれ以上の特性を検出する工程;
を含む、生物学的分析対象物または生化学的分析対象物を検出するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−526316(P2010−526316A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507357(P2010−507357)
【出願日】平成20年5月5日(2008.5.5)
【国際出願番号】PCT/SE2008/000308
【国際公開番号】WO2008/136734
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(509088240)ジーイー・ヘルスケア・バイオ−サイエンシズ・アーベー (22)
【Fターム(参考)】