説明

サブミクロン繊維を生産するプロセスおよび装置、ならびに不織布およびその不織布を含む物品

【課題】使い捨て品のための、ばらつきなく高品質なサブミクロン繊維をより効率的な方法で商業的に意味のある生産高で生産する。
【解決手段】本発明は、サブミクロン繊維を生産するプロセスおよび装置、より具体的には、ポリマーフィルムをフィブリル化することでサブミクロン繊維を形成するプロセスおよび装置、ならびにそのサブミクロン繊維を組み込んだ不織布素材および物品、を提供する。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、概して、サブミクロンの繊維を生産することに関し、より具体的には、ポリマーフィルムをフィブリル化することによってサブミクロンの繊維を形成するプロセスおよび装置、および不織布材料、ならびにその不織布材料が入った物品に関するものである。
【0002】
〔背景技術〕
連続的および非連続なフィラメントスピニングテクノロジー(filament spinning technologies)が当該技術において既知であり、一般にスパンメルトテクノロジー(spunmelt technologies)と呼ばれている。スパンメルトテクノロジーとしては、メルトブロープロセスとスパンボンドプロセスの両方がある。スパンボンドプロセスでは、溶融ポリマーを供給し、次にこの溶融ポリマーに圧力をかけて、スピナレットまたは金型として知られているプレートにおける多数の開口部に押し通すことが必要である。結果として生じた連続フィラメントは、スロットドローシステム(slot draw system)、アッテネーターガン(attenuator guns)またはゴデットロール(Godet rolls)のようないくつかの方法のいずれかによって冷やされ、延伸される。連続フィラメントは、金網製のコンベヤベルトのような、動いている孔面の上に絡まっていないウェブとして集積される。多層の織物を形成するために、1つ以上のスピナレットを1列にして使用した場合、後続のウェブが先に形成されたウェブの1番上の面上に集積される。
【0003】
メルトブロープロセスは、不織布の層を形成するスパンボンドプロセスの方法に関連しており、溶融ポリマーは圧力をかけられ、スピナレットまたは金型にある開口部を通って押し出される。フィラメントが金型を出ると、高速ガスを当てて、フィラメントを細くする。このステップのエネルギーは、形成されたフィラメントの直径を著しく細くし、破砕して、長さがバラバラのマイクロファイバーを生産する程度である。この点で、フィラメントの連続性が維持されるスパンボンドプロセスとは異なる。
【0004】
Reifenhauser、Ason Neumag、NordsonおよびAccurate Productsのようなスパンメルト装置の製造会社は、数多くのメルトブローおよび/またはスパンボンド製造モデルを設計しており、これらの製造モデルは、いくつかの例をあげると、ポリマー生産量の向上、より管理しやすいプロセスのガス流またはポリマー分布、およびフィラメントデビエーション(filament deviations)の管理向上など、好ましいさまざまな特性を提供している。米国特許第4708619号、同第4813864号、同第4820142号、同第4838774号、同第5087186号、同第6427745号、および同第6565344号は、スパンボンドまたはメルトブロー用材料を処理するための製造装置の例を開示しており、これら米国特許は、参照により全て本明細書に組み込まれる。
【0005】
サブミクロンの繊維を含有する不織布から生産された物品に対する需要が増えている。サブミクロン繊維の直径は、約1000ナノメーター(つまり、1ミクロン)未満であると一般に解されている。サブミクロン繊維のウェブは、それらの表面積が大きいこと、穴が小さいこと、およびその他の特性から好まれている。サブミクロンの繊維は、さまざまな方法により、また、さまざまな材料から生産することができる。いくつかの方法が用いられてきたが、各方法には欠点があり、サブミクロン繊維をコスト効率よく生産することは困難であった。従来のスパンメルト装置の構成では、高品質で欠陥の少ない繊維およびウェブであって、大部分が非常に微細であり、サブミクロンの直径を有し、サイズの分布幅が狭い繊維を含む繊維およびウェブを提供することはできない。
【0006】
サブミクロン繊維を生産する方法には、溶融体フィブリル化によって説明される方法の類が含まれる。溶融体をフィブリル化する方法の非限定的な例としては、溶融体ブローイング(melt blowing)、溶融体繊維バースティング(melt fiber bursting)、および溶融体フィルムフィブリル化(melt film fibrillation)がある。サブミクロン繊維を溶融体以外から生産する方法としては、フィルムフィブリル化(film fibrillation)、エレクトロスピニング(electro-spinning)、および溶媒スピニング(solution spinning)を含む。サブミクロン繊維を生産する他の方法としては、大きな直径の異相構造繊維(bi-component fiber)を、アイランド−イン−ザ−シー(islands-in-the-sea)、セグメント化パイ(segmented pie)、または、サブミクロン繊維ができるように繊維をさらに処理する他の構成において、紡ぐことを含む。
【0007】
溶融体フィブリル化は、繊維製造の一般的な種類であり、一つ以上のポリマーを溶融し、可能な限り多くの形態(たとえば共押し出し成形品(co-extrusion)、同種または2成分のフィルムまたはフィラメント)に押し出され、その次に、フィブリル化または繊維化してフィラメントにする点を特徴とする。
【0008】
溶融フィルムフィブリル化は、繊維を生産するためのもう1つの方法である。溶融体フィルムが溶融体から生成され、つぎに流体を使ってその溶融体フィルムから繊維を形成する。この方法の2つの例としては、アクロン大学(University of Akron)に譲渡されたトロビン(Torobin)の米国特許第6315806号、同第5183670号、および同第4536361号と、レネカー(Reneker)の米国特許第6382526号、同第6520425号および同第6695992号がある。
【0009】
エレクトロスピニング法は、サブミクロン繊維を生産するのに用いられる一般的な方法である。この方法の一態様では、ポリマーを溶媒に溶かし、チャンバーに入れられる。チャンバーは一端が密閉されており、他端にある下方にくびれた部分に小さな開口部がある。高電位差が、ポリマー溶液と、チャンバーの開口端近くのコレクターとの間に加えられる。このプロセスの生産速度は非常に遅く、通常、繊維は少量で生産される。サブミクロン繊維を生産するためのもう一つのスピニング技術は、溶媒を利用する溶液スピニング、つまり、フラッシュスピニングである。
【0010】
溶融体フィルムフィブリル化プロセスで高い溶融体せん変形(melt shear)を得る方法の1つは、高速ガス(つまり、音速または超音速に近いガス速度)を使用することである。超音速または(音速に近い)亜音速を得るには、通常、流れをのど部(ノズルのいちばん幅の狭い部分であって、速度が音速レベルに達するところ)まで収束させた後に、発散部分で広げる必要がある。このような一般的な基準を満たす断熱ノズル(ノズル装置の境界を介して熱が出入りしない)が当該技術において公知であり、これには、いわゆるラバールノズル(Laval nozzles)が含まれる。繊維の形成にラバール型ノズルを使用することは、例えば、米国特許出願公開第2004/0099981(A1)号明細書および米国特許第5075161号および同第5260003号に開示されている。これらの方法では、ラバールノズルを利用して、ガス速度を音速および/または超音速領域まで加速している。ポリマー溶融体をこのような高速ガスにさらすと、多数の微細な繊維に裂ける。これらの方法では、普通、ガスおよびポリマー溶融体の入口および流路を吐き出しノズルに同心に作るが、これでは、装置の配置の複雑さや、装置のメンテナンス等の観点から適切でないことがある。もっとも、非同心(非環状)配置のノズルのような他のノズル構造もそれら自体の難題を抱えている。例えば、ポリマー溶融体およびガスが隣りにある別個の装置から導入される繊維またはフィラメントノズル装置では、(例えば、ポリマー溶融体の流れをその側面から導入するために)表面または壁部が高温に加熱される側面と、反対側(例えば、ガスを投入する側)にあるポリマー溶融体側より温度が低い表面または壁部と、の間を繊維化ガスが流れる場合に問題が生じやすい。このようなモデルでは、ガス流が、ラバールノズルの場合のように、従来のノズル構造における拡大部分(diverging section)において不安定になりやすい。この結果、ポリマーのせん断変形が不足し、ポリマーが逆流したりガス通路のガス側に蓄積したりするようになり、その後、過大なポリマー流が不均一に変化し、繊維化が減少するという問題が生じる。ガス側の上流で溶融体が十分蓄積した後、ポリマー溶融体は剥がれ、通常は「ショット」として吹き飛ばされる。これは、溶融体が局所的に冷却され、ポリマーのせん変形が不十分なためにもはや繊維を形成できないからである。そのような変形例の逆としてポリマーの流れが不足した場合には、せん変形が過大となり、好ましくないダストが生じる。使い捨て品のための、ばらつきなく高品質なサブミクロン繊維を、より効率的な方法で商業的に意味のある生産高で生産できるように、新たな進歩が必要とされている。
【0011】
〔概要〕
本発明は、独自のシングルステップ、溶融体フィルムのフィブリル化、高生産量のプロセス、およびこの目的のために使用されるノズル装置において生成される、高品質で欠陥が少ないサブミクロン繊維およびそのサブミクロン繊維を組み込んだ不織布生産量に向けられている。ある一態様では、サブミクロン繊維の含有量が99%を超える高品質のマイクロファイバーを含む不織布製品が、商業規模の生産量で得られる。ポリマーのせん断変形が大きくなり、ノズル装置内でショットが発達するなど好ましくない繊維の欠陥につながるポリマーの逆流又は堆積という問題も本発明によって軽減する。本発明によれば、バリア特性、しなやかさ、吸収性、不透明度が改善されており、および/または表面積が大きな高品質のマイクロ繊維性不織布製品が提供されており、これらは、幅広い産業用および消費者用繊維性ケア製品に適している。
【0012】
ガス通路内で加圧ガス流を流すことによって、高品質のサブミクロン繊維製品を高い生産量で生産する不織ウェブ製造プロセスが明らかになった。ガス通路は第1および第2の対向壁部の相互間に制限(confine)されており、第1および第2の対向壁部は、上流収束壁面および下流発散壁面をそれぞれ画定しており、下流発散壁面にポリマー溶融体を導入して加熱壁面に押し出されたポリマーフィルムを設け、加熱壁面にはガス通路内を流れるガス流が当たり、ポリマーフィルムをフィブリル化してサブミクロン直径の繊維にする。「収束(converging)」は、断面積がガスの流れ方向に減少することを意味し、「発散(diverging)」は、断面積がガスの流れ方向に増大することを意味する。一実施形態において、ガス通路は、ガスが供給端部から流入する第1の上流側部分、移行領域、およびガスが出口端部へと流れる第2の下流側部分を備えており、移行領域が第1部分を第2部分に流体接続(fluidly connect)しており、ガス通路は第2部分の出口端部で終端している。特定の実施形態では、ガス通路の第1部分が、供給端部から移行領域まで断面積が単調に減少しており、ガス通路の第2部分は、移行領域から第2部分の出口端部まで断面積が単調に増加している。少なくとも1つの流動しているポリマー流体流が、少なくとも1つの境界が定められた(bounded)ポリマー通路に通されており、このポリマー通路は、対向加熱壁部の少なくとも一方にある少なくとも1つの開口部において終端している。ポリマーは、ガス通路に導入されるまで、流動可能にし、かつ、流動可能に維持するために、通路で十分加熱される。各ポリマー流体流は、開口部の各々からフィルムの形態で押し出される。押し出された各ポリマーフィルムは、ガス流に加わり、ポリマーフィルムはフィブリル化されて、ガス通路の第2部分の出口端部から出ていくサブミクロンの繊維を含む繊維を形成する。本明細書の意図では、「単調に減少する断面積」は、ノズルの上流部分の上側(入口)端部から下側端部まで「厳格に減少する断面積」を意味し、「単調に増大する断面積」はノズルの下流部分の上側端部から出口端部まで「厳格に増大する断面積」を意味する。
【0013】
理論に縛られることを望むものではないが、本明細書に記載のように、加熱したポリマーをフィルムとして、ノズル内でガス通路の一部を画定する加熱支持壁部に導入することによって、よりよい方法でガス流の均一性を維持、制御することが可能となり、フィブリル化された繊維製品のサイズ分布が改善し、サブミクロン繊維のサイズ範囲に偏る、または、専らサブミクロン繊維のサイズ範囲となると思われる。
【0014】
特定の実施形態では、押し出された各ポリマーフィルムがガス通路の第2部分においてガス流に加わる。ポリマー溶融体をノズル装置の第2部分において、加熱された発散支持壁部上に導入すると、高品質、高含有量のサブミクロン繊維およびその結果得られるウェブを商業的な生産高で生産することが特に容易となることが分かった。さらなる実施形態では、最高品質の繊維およびウェブを生産するために、押し出されたポリマーフィルムが第2の下流部分においてガスに加わる場所は、ガスの種類、角度および移行部(transitions)を含むノズルの形状、およびガスの圧力によって決まり、低ガス圧条件などでは第2部分の上側半部に配置されることが好ましく、高ガス圧条件などでは第2部分の下側の下流側半部に配置されることが好ましい。特定の実施形態では、対向加熱壁部の少なくとも一方にポリマーフィルムが1つだけ形成され、ガスの圧力は約6.9×104Pa(10psi)を超え、ポリマーフィルムが押し出される各ポリマー通路開口部は、移行領域と第2部分の出口端部との間にある第2部分の第2の下流側半部に配置される。第2部分の下流にある第2半部に、溶融体フィルムのフィブリル化が効率よく行われ、より品質の高いマイクロファイバー製品ができる最適なガス速度の領域があることがわかった。
【0015】
本発明のもう1つの利点としては、必要なガスを減らしながらサブミクロン繊維の生産量が増える、ということがある。必要なガス量が減ると、エネルギー消費量を減らすことができ、および/または、より小さい規模の装置を稼働させながらも、依然としてサブミクロン繊維の生産レベルを商業的に有意義なものにできる。一実施形態では、ガス流およびポリマー流体流が約40:1よりも小さい、詳しくは約30:1よりも小さい、より詳しくは約15:1よりも小さいガス流/ポリマー流体流の質量流量比で第2部分に導入される。ガス流のポリマー流体流に対する質量流量比は、ガス通路の第2部分の全ポリマー開口部を通るポリマー流体流の単位時間単位メーター当たりのキログラムに対する、ガス通路を通るガス流の単位時間単位メーター当たりのキログラムとして計算する。
【0016】
より詳細な実施形態では、各ポリマー通路開口部がスリットであり、このスリットの水力直径は、ポリマー通路開口部の断面積の4倍をポリマー通路開口部の内周で割ったものと定義してもよく、各ポリマー通路開口部の上記水力直径は、約0.025mm(約0.001インチ)から約2.540mm(約0.100インチ)までの範囲にある。ポリマーフィルムは、一般的に、ポリマー通路開口部の水力直径を超えないポリマーフィルム厚さを有する。理論に限定はされないが、ポリマー流体は、ポリマー通路開口部を出たときに、例えばダイスウェル現象(die swell phenomenon)のために膨張してもよい。もっとも、ポリマー流体フィルムの厚みは、ほとんど同時に、ポリマー通路開口部の水力直径未満、あるいは水力直径と等しくなる。
【0017】
本発明のノズルの壁部で画定されたガス通路の形状の特徴を述べると、第1部分における第1および第2の壁部の間の角度を2等分するものとして定義される第1の二等分面は、第1部分をほぼ等しい体積の2つの半部分に分割し、第2部分における第1および第2の壁部の間の角度を2等分するものとして定義される第2の二等分面は、第2部分をほぼ等しい体積の2つの半部分に分割する。二等分面は、本発明の実施形態しだいで平坦であってもよいし、湾曲していてもよい。このことは、本明細書の詳細な説明でより明らかとなるであろう。一般的な実施形態において、第1および第2の壁部の第1の二等分面に対する二等分角は、第1の部分において約15度から約40度の範囲にあり、第1および第2の壁部の第2の二等分面に対する二等分角は、ガス通路の第2の部分において約2度から約20度の範囲にある。
【0018】
ポリマーをガス通路に導入するノズルの対向壁部は、熱的に同様となるように操作してもよいし、異なるように操作してもよい。一実施形態では、ガス通路の第1および第2の壁部をほぼ同じ温度に加熱し、第1および第2の二等分面に対して対称な熱的状態にする。代替の実施形態では、対向壁部の一方が熱い壁部で、他方が冷たい壁部であり、熱い壁部の温度は少なくとも冷たい壁部より高く、例えば少なくとも50℃高くてもよく、熱い壁部のみが少なくとも1つのポリマー流体通路開口部を有する。このような構成では、マイクロファイバーを熱い溶融体/「冷たい」ガス(例えば、加熱していない空気)フィブリル化環境で生産し、プロセスの複雑さおよび費用を減らすことができる。この実施形態では、第2部分の熱い壁部が第1の二等分面から約1度から20度の範囲の角度で離れていき、第2部分の冷たい壁部は、第1の二等分面の方へ約0.1度から約15の範囲の角度で近づいていく。第1の二等分面に対する熱い壁部の広がり角(diverging angle)と、第1の二等分面に対する冷たい壁部の収束角との比は、約1:1から約500:1の範囲であってもよい。各ポリマー通路の中心線と、対応するポリマー通路開口部を含む壁部との間の角度は、約10度から約100度の範囲であってもよい。各ポリマー通路開口部から押し出されたポリマーフィルムは、ガス流とともに、ポリマー繊維化面に沿って流れてもよい。この繊維化面の、第1の二等分面に対してなす配向角度(orientation angle)は、時計方向に測定された約90度から、反時計方向に測定された約45度までの範囲である。各ポリマー通路開口部に対応するポリマー繊維化面の長さは、対応するポリマー通路開口部の水力直径の約1000倍未満であってもよい。
【0019】
別の実施形態では、ガス通路の第1および第2の壁部が滑らかに湾曲しており、第1部分における対向壁部の湾曲が、ガス通路の断面積が最小の領域において、鋭利な角部を有することなく、第2部分における対向壁部の湾曲に滑らかに移行している。ガス通路の第2部分における対向壁部は、ガス通路の第2部分内部から見たときに、熱い壁部が第2の二等分面から離れるように湾曲する凸形状を有し、冷たい壁部が第2の二等分面の方へ湾曲する凹形状を有するように湾曲していてもよい。ガス通路の第2部分における熱い壁部の曲率半径の冷たい壁部の曲率半径に対する比は、約1:10000から約100:1までの範囲である。ガス流は、約150キログラム/時間/メーターから約3500キログラム/時間/メーターの範囲の質量流量の範囲で、ガス通路に導入される。
【0020】
本明細書に記載されたサブミクロン繊維を含む不織ウェブを作るためのプロセスにおいて用いられるノズルは、本発明の別の実施形態を提供する。本発明に係るノズル装置は、いかなる特定種類のポリマー材料またはフィブリル化用ガスにも限定されず、幅広いポリマー材料の中から具体的な用途に対してポリマーを個別に選択することができる。詳しくは、フィブリル化ガスは空気、窒素、水蒸気等のようなガス状材料である。ガスは、上記の1種類を用いてもよいし、異なるガスの組合せとして用いてもよい。補足的に適する気体としては、反応性ガスまたは反応性成分を有するガス、またはこれらの組合せがありうる。実施形態では、通常、ガスは、ノズルの壁部の材料に対して不活性であることができる。本明細書の意図では、用語「ノズル装置」および「ノズル」は、交換可能に用いられている。
【0021】
本発明が提供する高品質のマイクロファイバーは、狭いファイバーサイズ分布、最小限のファイバー欠陥で提供される。本発明のプロセスから直接集積された未加工不織ウェブ製品用材料は、通常、35%より多くの、詳しくは75%より多くの、そしてより詳しくは99%より多くのサブミクロン繊維を含んでいてもよい。繊維径分布の標準偏差は、通常、約0.5ミクロン未満、詳しくは約0.3ミクロン未満であってもよい。本発明はまた、メルトブロー繊維の範囲内でマイクロファイバーの生産に用いてもよい。本発明は、幅広いポリマー材料について実施することができる。繊維は、ポリマー、たとえば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、生物分解性ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、アルキド樹脂、ポリヒドロキシアルカン酸、接着剤または繊維を作ることができる他の化合物、ならびにこれらの組合せから選択されるポリマーからなっていてもよい。不織ウェブは、それ自体で、または他の材料と組み合わせて、幅広い物品に利用してもよい。不織ウェブは、例えば、フィルター、医療用衣服、医療用クリーニングワイプ、ハウスラップ構築材、包帯、防護服、バッテリーセパレータ、触媒担体、おむつ、トレーニングパンツ、大人向け失禁パッド、婦人用ケアパッドおよびおりものシートのような月経製品、タンポン、個人用クリーニング用品、個人用ケア用品、および、ベビーワイプ、顔用ワイプ、ボディワイプおよび婦人用ワイプのような個人用ケアワイプ、ならびにこれらの組合せで使用しても良い。
【0022】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、添付図面、および添付の特許請求の範囲から容易に明らかになるであろう。
【0023】
図面に記載の特徴は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。異なる図面で同様の符号をされた要素は、特に指摘しない限りは同様の構成要素を表している。
【0024】
〔詳細な説明〕
本発明はさまざまな形態での実施形態が可能であるが、本開示内容は発明の一例と見なすべきであり、かつ、説明する具体的な実施形態に発明を限定するものではないとの了解のもとで、本発明の現在のところ好ましい実施形態を図面に示し、以下に説明されるであろう。
【0025】
図1を参照すると、繊維を作るための一般的なノズル装置800が描かれており、例として、環状で軸対称の装置が示されている。ガスは、構成要素700で加圧され、この構成要素700からガス流3が供給されて、略収束形状(generally converging geometry)をした第1ノズル部分8に流入し、移行領域9へと流れ、移行領域9を通過する。次に、ガス流は略発散形状(generally diverging geometry)をした第2ノズル部分10に流入して広がり、その後、出口平面101を通って、周囲大気900へとノズル装置から出る。移行領域9は、ノズルの幅を狭くしたのど状の部分であり、上流側の収束部分が下流側の発散部分へと移行する。移行領域、すなわち、のど部には、ノズルの最小断面積がある。ポリマー溶融体が、ポリマー押出体801または他の溶融ポリマー源から、ガス通路802、すなわち、ノズル800の内部へと供給される。図に描かれている非限定的な点線804−805によって示されているように、ポリマー溶融体をノズル800内のどこにでも導入することができるが、これは、ポリマーのフィルムがノズル800の内部加熱壁面803に供給され、この壁面803にガス通路802内を流れるガス流3が当たっていて、そのポリマーフィルムをフィブリル化して直径がサブミクロンの繊維にする、ということを条件とする。
【0026】
図2を参照すると、本発明の実施形態に従ったノズル装置1が図示されており、このノズル装置1は、マイクロファイバー、特に、直径がサブミクロンの繊維を、ウェブまたはマット形態で含む不織布製品を作るためのものである。図2に示しされたノズル装置1は、例として対称形をしたガス通路4を描いている。ポリマー流体流が、湾曲した、まっすぐな、または他の適当な形状をしたポリマー通路200に沿って、ノズル装置1に導入される。仮想的な二等分軸または二等分面7が、第1部分8における対向壁部51および61の間にある空間を幾何学的に二等分し、さらに第2部分10における対向壁部5および6の間にある空間もまた幾何学的に二等分している。当然のことながら、対向壁部が直線的な(つまり、ほぼ平坦な)傾斜面であれば、バイセクター(bisector)7は平面であり、一方、対向壁部が湾曲していて連続的な同心面となっている場合には、バイセクター7は長手方向軸となる。対向壁部が向き合って傾斜しているほぼ平坦な壁部である場合、間隔をおいて直立している前後の側壁部がさらに設けられ、向き合って傾斜している壁部(5、6および51、61)を接続し、ガス通路4を液密に完全に囲む。例えば、後方側壁部43が図2に図示されている。対応する前方側壁部も同様であるが、この図を簡略化するために図2には示されていない。
【0027】
図12をさらに参照すると、同じノズル装置1が後方側壁部43と前方側壁部44を示すように図示されている。壁部43および44は、それぞれ、金型部品121および122の両端部1210/1211および1221/1222に液密に接続されている。金型部品121および122は、ノズルの第1および第2の部分を通るガス通路を画定する、前述した対向壁部を有する。金型および端部壁部の部品は、例えば成形、鋳造、機械加工などによって適切な形状に成形できる、たとえばポリマー、金属、セラミック等の材料から作ることができ、また、本明細書に記載をするような、マイクロファイバー生産プロセスの条件に耐えうる部品である。図12では、対向壁部によって画定された、積み重ねられた二重の漏斗形状の場所および形状が、図示を容易にするために、端部壁部43および44に仮想線によってトレースされている。もっとも、当然のことながら、端部壁部43および44は、ガス通路4ならびにノズルの前後の両端を閉じている。図12に図示されているように、上部ノズル入口部41は、金型121および122のそれぞれの上端部510および610の間に画定された空間である。ノズル出口部42は、金型121および122のそれぞれの下端部500および600の間に画定された空間である。
【0028】
図13および図14は、金型部品121および122によって画定された、ノズルの入口開口部41および出口開口部42のぞれぞれのノズル入口断面領域1001(端部610および510の間に画定された図13における断面領域によって示されている)と、ノズル出口断面領域1002(図14における端部500および600の間に画定された断面領域によって示されている)とを示している。図13にも示されているのは、ノズル入口部41と、ノズルの移行領域9との間に位置する対向壁部の場所1004および1005(斜線で示されている)の間に画定された中間断面領域1003である。図14にも示されているのは、ノズルの移行領域9およびノズル出口部42の間に位置する対向壁部の場所1007および1008(斜線で示されている)の間に画定された中間断面領域1006である。図13および図14では、これらの図では見えないガス通路を画定している金型の端部の位置が点線によって概略的に示されている。
【0029】
図示されているように、第1部分8の断面積は、入口部41から中間領域1003を通って、さらに移行領域9に達するまでの間で下流方向に、好ましくは少なくとも実質的に連続的に減少している。第2部分10の断面積は、移行領域9から中間領域1006を通って、さらにノズルの出口開口部42に達するまでの間で下流方向に、好ましくは少なくとも実質的に連続的に増大している。ある特定の実施形態では、ガス通路4の第1部分8が、供給端41から第1部分8の下側放出端410、つまり、移行領域9の始まるところまで単調に減少する断面領域1001を有し、ガス通路4の第2部分10は、入口420、つまり、第2部分10の始まるところ(すなわち、移行領域9の下端部)から第2部分10の出口端部42まで単調に増大する断面領域1002を有する。このような基準は、以下の本発明の追加の実施形態においても用いられる。
【0030】
次に図3を参照すると、複数のポリマー流体流2もまた、複数の対応するポリマー導入路200a〜dからガス通路4に送り込むことで、同時に導入されてもよい。ポリマー流体流の数は、与えられているノズル構成の実用的な制約以外では制限されない。加圧ガス流3がガス通路4内に導入され、上流側ノズル部分8から移行領域9を通って下流側ノズル部分10まで方向30に流れる。第1および第2対向壁部5、6が第1部分8および第2部分10を構成している。第1対向壁部5および第2対向壁部6は、第1部分8において、移行領域、すなわち、のど状部分9に向かって互いに近づく。のど状部分9は、仮想二等分平面7に垂直な方向に測定した場合に、ノズル入口部41とノズル出口部42の間で、ガス通路4の断面の幅が最も狭いところである。要するに、のど状部分9は、第1部分8を第2部分10に接続しており、ガスを一方の部分から他方の部分に導いているのである。対向壁部5および6の少なくとも一方は、第2部分10において、平面7から離れていく。この図では、第1部分8が、入口部41からのど状部9までガスの流れ方向30に対向壁部51および61の間で測った場合に、連続的に、しだいに減少する断面積65を有する。第2部分10は、のど状部9から出口部42までガスの流れ方向32に対向壁部5および6の間で測った場合に、連続的に、しだいに増大する断面積66を有する。これらの断面積65および66は、対向壁部(つまり、51、61または5、6の該当する方)の間で平面7に対して垂直に、ガス流3の方向に測定したものである。ポリマー流体流2は、ポリマー導入通路200または通路200a〜dをポリマー通路開口部20において出て、対向壁部5および6の上に流れ出て、好ましくはガス通路4の第2部分10において、高速のガス流3と混合され、フィルム11を形成する。つまり、ポリマー通路開口部を出たポリマー溶融体は、広がってフィルムという形態の細い流れになる、または他の一様に広がったポリマーの流れとなる。単一のフィルムまたは複数のフィルムはフィブリル化され、直径がサブミクロンの繊維を含む繊維12を形成し、繊維性のウェブまたはマット材料13としてノズル装置1の下に集積される。ポリマー流体流2から生じたフィルム11が繊維化される量は、ガス通路4における通路200a〜dの場所によって異なることがある。非限定的な実施形態において、通路200bおよび200cからの連続的もしくは非連続的な溶融繊維という形態をした、または、たとえばフィルム11のせん断力が過大であるために溶融粒子という形態をしたフィブリル化されたポリマー溶融体を、それぞれ、通路200aおよび200dからのフィブリル化されたポリマー溶融体フィルム11と混ぜてもよい。このような実施形態において、ポリマー流体流200bおよび200cが、それされポリマー流体流200aおよび200dと異なる種類のポリマーであれば、繊維性ウェブ材料は、多成分繊維から構成でき、より具体的には異相構造繊維から構成できる。ポリマー溶融体をノズル装置の第2部分において、加熱した、発散支持壁部に導入すると、品質が高く、含有量が高いサブミクロン繊維の生産が特に促進されること、および、商業的な生産量でウェブが得られることが分かった。ガス通路4へのポリマー通路の開口部20は、楕円形、円形、矩形または他の幾何学的断面をしていてもよい。向かい合っている面/壁部のいずれにおいても、ガス通路へのポリマー通路の開口部が一つだけあってもよいし、複数あってもよい。好ましい実施形態における単一または複数の開口部は、熱い方の側面、つまりポリマー溶融側面にある(たとえば、以下により詳細に記載される図6参照)。
【0031】
図3を再び参照すると、ポリマー通路の開口部20の高品質繊維を作るための位置は、使用しているガスの種類、ノズル部分の形状、および、ガスの圧力に依存することが分かった。ある好ましい実施形態において、流入するガスの圧力は比較的低く、約6.9×104Pa(10psi)より低く、押し出されたポリマーフィルムは、部分101と示した、第2の下流側部分10の上半部(50%)においてガスに加えられる。部分101では、ポリマー溶融体がガス通路200cから押し出される。この場合、溶融したフィルムのフィブリル化が非常に効率的に行われ、より品質の高いマイクロファイバー製品ができる最適なガス流速の領域が下流側の第2部分10の上半部で得られることが分かった。したがって、流入するガスの圧力が約6.9×104Paから1.0×105Pa(10から15psi)を超える場合の好ましい実施形態では、部分101の後の残りとして示されている、第2の下流側部分10の下側の下流側半部(50%)において押し出されたポリマーフィルムがガスに加えられる。部分101では、ポリマー溶融体がガス通路200aから押し出される。ガスの圧力が増大するにつれ、ガスとポリマー流を合流させるのに好ましい場所は下流へ移る、つまり通路200cから通路200b、通路200d、そしてガスの圧力が最も高い範囲では通路200aへと移る。
【0032】
図2〜図3に示されているような繊維製ウェブ13は、温度、集積距離(collector distance)100などのような処理条件しだいで、多量の絡まっていない繊維(loose fiber)または繊維の自立単一ウェブ(a self-supporting unitary web of fibers)から構成されていてもよい。繊維は、付加的な層を形成するために、動いている下地ウェブの上にさらに堆積させてもよい。ノズル装置1から放出された繊維は、ベルトまたは下地300の下側を減圧することによって、そのベルトまたは下地300の上に集積されてもよいし、その後の処理まで繊維をベルトまたは下地の上に堆積された状態で維持する他の手段によってベルトまたは下地300の上に集積されてもよい。繊維集積用構造体は、例えばメッシュまたはベルトであってよく、そのメッシュまたはベルトを通して減圧することにより繊維がその構造体の上に引きつけられるものであってもよい。この繊維集積用構造体には、あらかじめ成形された繊維製ウェブも含まれうる。当業者にとっては明らかであるが、ノズル装置は、多少変更を施した実質的にスロット状の構造または環状の構造からなっていてもよい。図2および図3では、実質的に平坦で対称形状のノズルを示しているが、これは簡単で非限定的な説明をするために示したものに過ぎない。
【0033】
図4は、ノズル装置1をより詳細に示すものである。この図では、より冷たい第1対向壁部5によって境界が定められているより冷たい装置側面と、より熱い第2対向壁部6によって境界が定められており、ポリマー溶融体構成部分が入っている、より熱い装置側面とを有する装置が示されている。軸または平面7が第1部分8における対向壁部5および6の間の空間を幾何学的に二等分しており、これにより収縮二等分角、すなわち半角αをも定義している。好ましくは、二等分角αは0.5度から89.5度の間であり、より好ましくは1度および45度の間であり、もっとも好ましくは15度および40度の間である。実施形態の一つでは、二等分角αが約30度である。対向壁部6は、第2部分10において軸または平面7から離れ、同時に、ガスの流れ方向30に垂直な方向に測定した、第2部分10におけるガス通路4の全断面積66は、事実上一層増大し、ガスがのど状部分9を通った後に膨張可能となるようになっている。対向している冷たい方の壁部5は、普通、軸または平面7に対して角度θで近づいている。角度βは、熱い方の対向壁部6から二等分軸または平面7へと測定され、角度θは、軸または平面7から冷たい方の対向壁5へと測定される。したがって、角度θは、対向壁部5が二等分軸または平面7に平行である場合にはゼロであり、近づいている場合には負であり、また、離れている場合には正である。対向壁部6が有する広がり角(diverging angle)βは、普通、軸または平面7に対して約1度から約90度未満でなければならず、好ましくは約2度から約20度未満である。一実施形態において、この広がり角βは約15度である。対向壁部5が有する広がり角は、軸または平面7に対して約+45度未満でなければならならないが、好ましくは約−45度から約ゼロ度の収束角を有する。βおよびθの和は、好ましくは約0.1度から約30度であるべきである。ポリマーは、ポリマー導入通路200に通され、一つ以上のポリマー通路開口部20を介してガス通路4に出て、衝突面(impingement surface)ともいう、ポリマー繊維化面63の上をフィルム、細い流れ、または、中空チューブという形態で流れ、好ましくはフィルムという形態で流れる。ポリマー溶融体通路200は、熱い方の対向壁部6に対してさまざまな角度γをとることができ、熱い方の対向壁部表面6に対して垂直(90度)からほぼ平行(一緒に流れる)までのいずれの角度でもよく(約5度)、あるいは約170度で逆流してもよいが、好ましくは10度から100度である。ポリマー繊維化面63は、各ポリマー通路開口部20の(ガスの流れ方向における)下流にあり、第2対向壁部6がポリマー溶融体2の導入部の上流から滑らかに連続したものであり、ガス流4による繊維化する前および間にポリマー溶融体がこのポリマー繊維化面63に流れ出る。ポリマー繊維化面63が熱い方の第2対向壁部6が滑らかに連続したものでなければ、このポリマー繊維化面63は角度φで傾いていてもよい。角度φは、各ポリマー通路開口部のポリマーの流れ方向における下流のポリマー繊維化面と、それぞれのポリマー通路2との間で測定されたものであり、約180度未満である。(γが90度未満である実施形態において)ポリマー通路に対して角度φが(90−γ)度あるいはそれ未満であれば、ポリマー繊維化面63は本質的にゼロとなる。あるいは、ポリマー繊維化面の向きは、二等分面または軸7に対して測定してもよい。二等分面または軸7に対して測定した場合、ポリマー繊維化面の向きの角度は、時計方向に測定した約90度から反時計方向に測定した約45度までの範囲にある。ポリマー繊維化面63の長さ「δ」は、ショット(shot)等の繊維の欠陥がほとんどない良好な繊維化プロセスにとって重要であり、それぞれのポリマー通路開口部20の水力直径の約1000倍未満でなければならず、好ましくは、それぞれのポリマー通路開口部20の水力直径の100倍未満である。このような構成例の根拠は、対向壁部6を加熱して、加圧されたがポリマー流2を溶けて流れる状態に維持しているということである。ガス通路4の第2部分10における加熱した壁部6は、中央二等分軸7から45度未満であり、好ましくは約1度から20度である広がり角βを有する。ガス通路4の第2部分10における、加熱した壁部6の反対側にある冷たい方の加熱していない壁部5は、中央軸7から30度未満であり、具体的には約0.1度から15度である収縮角θを有してもよい。ガス通路4の第2部分10における対向壁部6の広がり角βの対向壁部5の収束角θに対する比β/θは1:1から500:1の範囲である。のど状部9の断面内側形状は、例えば対向壁部が傾斜している場合(たとえば図2参照)には矩形形成をしてもよいし、あるいは湾曲した対向壁部を用いて、ガス通路を画定する連続的に湾曲した内側の境界を形成する場合には、丸くなっていてもよい。別の実施形態では、ガス通路4が壁部5および6の間に配置された環状断面の空間を含む。図4に示した壁部は傾斜していて、平らな平面として示されているが、さまざまな部分の壁部は湾曲していてもよい。このことは、第1、第2もしくはのど状部分のいずれかの壁部5および6について行ってもよく、または、これらの組合せについて行ってもよい。特定の比限定的な実施形態を以下に説明する。
【0034】
図5を参照すると、ノズル装置1の別の実施形態では、ガス通路4の第2部分10における対向壁部6および5が湾曲している。湾曲部分の縦寸法102は、約0.102mm(0.004インチ)から約50.8mm(2インチ)であってもよく、溶融体通路200の水力直径は、約0.025mm(0.001インチ)から2.540mm(0.100インチ)であってもよい。ガス通路4の第2部分10における熱い方の壁部6の曲率半径r1の冷たい方の壁部の曲率半径r2に対する比r1/r2は、1:10000から約100:1の範囲である。
【0035】
図6を参照すると、ノズル装置1の別の実施形態において、加熱壁部6の外形は図5に関連して前述した壁部と同様である。ただし、この実施形態では、ガス通路4ののど状部分9が図2〜図4の実施形態に比べて長い。加熱壁部6の反対側の壁部5は、二等分軸または平面7に向かって角度θで近づいている。角度θの範囲は、通常、約0.1度から約15度である。加熱壁部6は平面7から角度βで離れる。角度βの範囲は、通常、約1度から約20度である。図7において最もよくわかるように、ポリマー流体流2は、ガス通路4の第2部分10に1つまたは複数の開口部20を介して流入し、角度γで第2の熱い方の壁部6へ向いている。角度γは約10度から170度の範囲であってもよいが、通常、約30度から約150度の範囲であり、特に約60度から約95度の範囲である。図示されているように、加熱壁部16は、ポリマー導入通路2のすぐ下に先端部分65を備えている。一体型先端部65のポリマー繊維化面の長さは、約1.270mm(0.050インチ)未満であり、より好ましくは約0.254mm(0.010インチ)未満である。湾曲部分64は先端部分65のすぐ下に配置されており、下流方向30において中心軸から離れるように湾曲している。また、加熱壁部の反対側にある壁部5は、その壁部分151に沿って平面7の方に近づいており、先端部分152の下端から横方向に間隔をおいて配置されており、かつ、近傍にある場所において、平面7と90度+θの角度を形成するように曲げられている。湾曲部分64は、その上端において先端部分65を画定しており、ポリマー導入通路2の近くにおけるガス通路4内のガスの乱れを防止することにも役立つ。先端部分65は、サブミクロン繊維の形成を向上させる。この図面では、先端部分65にガス通路4に面した側面63があり、この側面63は実質的に平坦であってもよく、ポリマー繊維化長さδを規定する。角度γ、βおよびθが本明細書に規定する範囲内になければ、このプロセスは悪影響を受けることがある。たとえば、このために繊維化、繊維のサイズに悪影響があり、好ましくないショットの形成が増えることがある。非限定的な実例として、先端部分65は、おおよそ0.127から1.270mm(0.005から0.050インチ)の縦の長さ、すなわち衝突長さ(impingement length)δを有することであってもよく、湾曲部分64は、約1.016から2.540mm(0.040から0.100インチ)あるいはそれ以上の縦寸法を有することであってもよく、また、溶融体通路2は、約0.025から約0.254mm(約0.001から約0.010インチ)の水力直径を有していてもよく、好ましくは0.051から約0.203mm(0.002から約0.008インチ)の水力直径を有する。
【0036】
図8〜図9を参照すると、これらノズル1の代替構成におけるガス通路4の第1および第2の壁部(5、6および51、61)は、滑らかに湾曲しており、第1部分8における対向壁部5、6の湾曲が、ガス通路4の移行領域9において、いかなる鋭利な角もなく、この実例においてポリマー2が導入される第2部分10における対向壁部51、61の湾曲に滑らかに移行するようになっている。ガス通路4の第2部分10における対向壁部は、ガス通路4における第2部分10の内部から見た場合に、熱い壁部6が、曲線的な二等分面7から離れるように湾曲した凸形状を有するように湾曲しており、冷たい壁部5は、曲線上の二等分面7の方に湾曲する凹形状を有する。ガス通路4の第2部分10における熱い壁部6の曲率半径の、冷たい壁部5の曲率半径に対する比は、約1:10000から約100:1の範囲であってもよく、詳しくは約1:4から約1:1の範囲であり、より詳細には約1:2から約1:1の範囲である。第1部分8における第1および第2の壁部51、61の曲率半径は、ガス通路4の第2部分10における第1および第2の壁部5、6の長さの約1%から約1000%の範囲であってもよい。各ポリマー導入開口部20は、とりわけ、第2部分10における熱い壁部6に配置してもよい。各ポリマー開口部20はまた、ガス通路4の第2部分10における熱い壁部6の曲線上の長さの約20%から約80%の間に配置してもよい。ポリマーのフィルムは、ガス通路4の第2部分10における熱い壁部6の接線に対して約20度から約160度の範囲の角度で各ポリマー開口部20を介して第2部分10へ押し出してもよい。
【0037】
図10〜図11を参照すると、これらノズル1の代替構成のガス通路4の第1および第2の壁部(5、6および51、61)は、傾斜しており、かつ、平坦であり、移行領域9は、非対称の曲がった構成をしており、上流部分8と、この実例ではポリマー2が導入される下流部分10との間に配置されている。
【0038】
本明細書に記載のプロセスを実行するのに使用するノズル装置は、従来の金型本体に取り付け可能であるカートリッジに構成することもできる。従来の金型本体はいろいろであってもよい。もっとも、業界で標準的な機械操作に従って、発明に係るノズルを実施したカートリッジを金型本体に取り付けることができる。例えば、ノズルを支えている金型は、金型本体に、従来のボルト構造および平坦面/形を合わせた面で取り付けることができる。ガスケット/シールが必要であれば、溝が金型の上面に加工される、および/または、その位置が特定の金型本体ごとに決められる。例えば、本発明のノズル装置は、標準的なメルトスパン型装置、例えば、Reifenhauser、Ason-Neumag、Lurgi Zimmer、Accurate Products、NordsonおよびImpiantiのような製造業者が供給している装置の下側押出機本体に合うように構成されていてもよい。加圧ガスは、従来の、つまり、商業用の装置における押出機本体と組み合わせて用いられるガスマニホールド(gas manifolds)を介して、ノズル装置に供給されてもよいし、あるいは、ノズルの入口部に気密な流路および接続部を介して供給される加圧ガスの別の供給源を介して供給されることであってもよい。
【0039】
上述したノズル装置および支持装置を用いて本発明のプロセスを実行するために、ポリマーは、普通、液体を形成し、たやすく流れるまで加熱される。図面において示したように、ポリマー溶融体はノズル装置1のガス通路4の第2部分10に開口部20を介して導入され、前述したように開口部20の下に位置する壁面6に沿って下るにつれフィルムを形成する。ポリマー溶融体を形成するために、ポリマーは、溶融ポリマー流(molten polymer flow)を形成するまで十分に加熱される。例であり限定するものではないが、溶かしたポリマーがノズルにおいて繊維化する時点での粘性は、30Pa−s未満の正の数値であってもよく、特に20Pa−s未満であってもよく、0.1から20Pa−sの範囲、特に0.2から15の範囲にであってもよい。これらの粘性は、(240℃における)毎秒約100から毎秒約100000の範囲のずり速度で与えられる。溶融ポリマーは、普通、ポリマー用金型における隙間に通されているとき、および、ノズル装置のガス通路に導入されているとき、圧力が大気圧よりも大きくなっている。
【0040】
ポリマー溶融体を与えるのに用いられる開始ポリマー材料の適切で最良の溶融体流量は、用いられるポリマー材料の種類、および、ガス流特性のような他のプロセス条件しだいで変わりうる。ガラス遷移温度が約マイナス18℃であるポリエチレンの場合、適切な溶融体流量は、例えば、約35から2000デシグラム毎秒以上の範囲であってもよく、好ましくは1800デシグラム毎秒以下である。溶融体流量は、ASTM方式D−1238を用いて測定した。使用されたポリマー材料がポリエチレンである場合、例えば、約2.0から約4.0の範囲の多分散率(PDI)を有していてもよい。本明細書の意図では、PDIが所与のポリマーサンプルにおける分子量分布の尺度であり、計算されたPDIは重量平均分子量を数平均分子量で割ったものである。
【0041】
本発明に係るプロセスおよび装置におけるポリマーの生産量は、主に、具体的な使用ポリマー、ノズル構造、ならびに、ポリマーの温度および圧力で決まる。ノズル装置1の総ポリマー生産量は、約1kg/hr/mより多く、詳しくは、1から200kg/hr/mの範囲であってもよく、より詳しくは10から200kg/hr/mの範囲であり、最も詳しくは25および75kg/hr/mの範囲である。オリフィス毎では、ポリマーの生産量が約1グラム/秒/オリフィスより大きくてもよく、詳しくは約50グラム/秒/オリフィスより大きく、より詳しくは約1000グラム/秒/オリフィスより大きい。総生産量を上げるために、一度にいくつかの導入用の間隙つまりオリフィスが作動させることもできる。生産量は、圧力、温度、および速度とともに金型のオリフィス出口において測定する。ガスカーテンまたは他の補助的なガス流を使用して、二つ以上のノズルから生じるサブミクロン繊維の噴霧パターンを変えることもできる。このようなガス流またはカーテンは、隣り合うノズル間の噴霧形成の保護に役立つことがあり、また、噴霧パターンを小さくすることに役立つこともある。ガスカーテンまたはガス流は、ウェブの均一性を向上させることもある。
【0042】
本発明に係るノズル装置は、いかなる特定種類のポリマー材料にも限定されず、具体的な生産用途に対し、幅広いポリマー材料の中から独立にポリマーを選択することができる。本発明に係る繊維性ウェブの形成に適するポリマー材料は、本発明に係るノズルを用いてマイクロファイバーにフィブリル化することができるポリマーである。このようなポリマーとしては、限定はしないが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、生物分解性ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、アルキド樹脂(alkyd resins)、ポリヒドロキシアルカン酸(poly-hydroxyalkanoic acids)、接着剤または繊維を作ることができる他の化合物、ならびにこれらの組合せからなる群から選択されたポリマーがある。ポリマー材料の具体的な例は、例えばポリプロピレンである。ポリマーは、さらに、ホモポリマー、共重合体、および複合体(conjugates)から選択してもよいし、また、溶融促進剤(melt additives)または界面活性剤または顔料が混合されたポリマーが含まれていてもよい。図3に図示したような複数のポリマー通路200a−dを使用することによって、1種類以上のポリマーを一度に使用してもよい。このような実施形態では、前述したように、多成分サブミクロン繊維を含むウェブ13を生産することができる。
【0043】
ガス状の流体は、ポリマーの溶融温度よりも低い温度、詳しくは100度より低い温度、より詳しくは50度より低い温度、または、室温(例えば、約30度またはそれよりも低い温度)でノズル装置に導入してもよい。ガス状流体は加熱されてもよいが、本発明のプロセスではその必要ない。非限定的な繊維化用ガス状流体は、空気、窒素、水蒸気等の気体である。補足的に適する気体としては、反応性ガスまたは反応性成分を有するガス、またはこれらの組合せがありうる。繊維化用(つまり、フィブリル化用)ガス状流体の圧力は、サブミクロン繊維を吹き飛ばすのに十分な正圧であり、溶融ポリマーがノズル装置のガス通路に導入される隙間から押し出されるときの圧力よりも若干高い可能性がある。繊維化用ガス状流体は、普通、6.895×106Pa(1000psi)よりも低い圧力を有し、詳しくは6.895×105Pa(100psi)より低く、より詳しくは約1.0×105Paから約5.5×105Pa(約15から約80psi)より低い。使用したガス流量は、フィブリル化させるのに十分な速度でポリマーフィルムをせん断変形させるのに十分なものである。ノズル装置を通るガス流量は、普通、150キログラム/時間/メーターから約3500キログラム/時間/メーターの範囲であり、詳しくは600から2000キログラム/時間/メーターの範囲であり、より詳しくは1000から1800キログラム/時間/メーターの範囲である。単位時間単位面積当たりに流れるガスの単位質量として測定したガス質量流束の観点から見ると、ガス流は、のど状部分9における対抗壁部5および6の間の間隔ならびに用いられるガス流量しだいで約15kg/s/m2から約1500kg/s/m2までの範囲となる。本明細書の意図では、普通、ノズル1の移行領域9の断面がガス質量流束の計算に用いられる。
【0044】
本発明の1つの利点としては、必要なガスを減らしながらサブミクロン繊維の生産量が増えるので、エネルギー消費量を減らすことができ、および/または、より小さい規模の装置を稼働させながらも、サブミクロン繊維の生産レベルを依然として商業的に有意義なものにできることがある。一実施形態において、ガス流およびポリマー流体流は、普通は、約40:1よりも小さい、詳しくは約30:1よりも小さい、より詳しくは約15:1よりも小さいガス流/ポリマー流体流の質量流量比で第2部分に導入される。ある実施形態では、ガス流のポリマー流体流に対する質量流量比が10:1未満でさえあってもよい。ガス流のポリマー流体流に対する質量流量比は、第2部分の全てのポリマー開口部を通るポリマー流体流の単位時間単位メーター当たりのキログラムに対する、ガス通路を通るガス流の単位時間単位メーター当たりのキログラムとして計算する。同様に、ガス流のポリマー流体流に対する質量流束比は、約20:1よりも小さく、より好ましくは約10:1よりも小さく、最も好ましくは約7:1よりも小さい。ガス流/ポリマー流体流の質量流束比は、ガス通路の第2部分における全てのポリマー開口部を通って流れるポリマー流体質量流束のkg/s/m2に対するガス通路を通るガスの質量流束のkg/s/m2として計算する。したがって、商業的に現実的な生産量で高品質のマイクロファイバー、つまり、サブミクロン繊維のウェブを生成するより効率的で安価なプロセスによって性能の向上が得られる。他にも利点はあるが、このプロセスは、繊維形成プロセスにおいてガス側での堆積および/またはポリマーの逆流を防止する点でより効率的である。結果として生産されたウェブまたはマットは、ファイバーのサイズがたとえサブミクロンであってもウェブが均一性に優れ、かつ、繊維やウェブの欠陥が少ないことから高品質である。
【0045】
本発明により、ファイバーのサイズ分布が狭く、ファイバーの欠陥が最小である高品質のマイクロファイバーが提供される。本明細書の意図では、「高品質」ファイバーを、ファイバー直径分布が狭い主にサブミクロンのファイバーであって、ショットおよびダストのようなファイバーの欠陥が最小限であるもの、と定義する。「ショット(Shot)」は、繊維化していない不連続で大きな球形もしくは楕円形またはこれらの組合せとなっているポリマーの塊であって、その不連続な塊の最大の寸法が10から500ミクロンの範囲にあるものと定義する。非限定的な実例として、図15は、標準的なファイバー製造装置およびプロセス条件で製造したショット付きのマイクロファイバーを示す代表的な写真(500×)である。ショットは、マイクロファイバーによるウェブの形態で大きな孔および他の欠陥を作り、残している。図16は、本発明の実施形態にしたがって稼働させたノズル装置で作られた、ショットがほとんどないまたは全くないマイクロファイバーを示す代表的な写真(500×)である。図16に示す繊維性ウェブでは、繊維分布が良好であり、ポリマー−繊維およびウェブの特性変換がより効率的に達成されている。「ダスト」は、繊維の別の欠陥であり、ダストではポリマーが制御されずにまたは過剰にせん断変形して、主に球形もしくは楕円形または球形および楕円形を組み合わせたポリマーの塊であって最大寸法が10ミクロン未満であるものとなる。望ましくない低品質の繊維は、繊維径の範囲が広すぎる、または、大量のダストもしくは大量のショットが入っていることがある。ファイバーの品質が特に低いと、つまり、繊維化の結果が特に悪いと、通常直径が40ミクロンよりも大きなショットが入っていることがあり、この場合、その塊は、十分な運動量および熱エネルギー(つまり、温度)を有し、不織ウェブの厚み全体を貫通し、その不織ウェブに、ウェブの拡大検査(つまり、10倍または10×以上)で十分に視認できる明確な「ピンホール」の欠陥を形成する。したがって、高品質の繊維化によって作られたウェブおよび繊維は、繊維径分布が狭く、ダストが全くないまたは1平方ミリメーター当りの平均粒子数が10未満と量が少なく、ショットが全くないまたは1平方ミリメーター当りの平均粒子数が10未満と量が少なく、そして、貫通してピンホールを作る類のショットが全くない、または量が無視できる。このような測定および評価は、(ショットについては)10倍または好ましくは100倍の倍率の光学顕微鏡を用いて行うことができ、また、(ダストおよびショットについては)走査形電子顕微鏡写真で行うことができる。平均を出すためには、ある1つの生産条件、またはある選択された生産期間から、少なくとも10個、好ましくは20個を超えるサンプルをとって、ダストおよびショットについてこのような方法で評価する必要がある。
【0046】
本発明にしたがって生産した繊維性ウェブは、一つ以上の繊維径を示す繊維を含んでいてもよい。繊維径は、サブミクロン繊維の直径からマイクロファイバーの直径まで及ぶこともある。本明細書の意図では、「繊維径」をSEMによって画像解析をして測定する。限定はしないが、平均繊維径は、例えば、約0.1から約1ミクロン、詳しくは約0.1から約0.9ミクロン、より詳しくは約0.3から約0.6ミクロンであってもよい。本発明のプロセスから直接集積された未加工不織ウェブ製品用材料は、普通、35%より多くの、詳しくは75%より多くの、より詳しくは95%より多くの、そしてより詳しくは99%より多くのサブミクロン繊維を含んでいてもよい。繊維径分布の標準偏差は、普通、約0.5ミクロン未満、詳しくは約0.3ミクロン未満であってもよい。さらに、本発明の不織布は、非常に軽い基本重量から非常に重い基本重量までを示すことであってもよい。たとえば、限定はしないが、織地の基本重量は、約5グラム毎平方メーター(gsm)未満から、200gsmを越える範囲であってもよい。特定の実施形態において、前述したサブミクロン繊維の範囲内の繊維を含む不織布製品ウェブは、約0.01から200gsmの範囲の基本重量を有し、詳しくは約0.1から約50gsmの範囲の基本重量を有する。不織ウェブ製品の基本重量は、想定するウェブの用途しだいで様々であってもよい。一部の軽量用途については、サブミクロン繊維層の基本重量は、不織ウェブの用途によるが、例えば約10gsm未満であってもよい。いくつかの層を重ねてウェブを形成することが好ましいこともある。サブミクロン繊維層は、同一または異なる1つ、2つ、またはそれより多くの層と組み合わせてもよい。複合ウェブは、例えば、スパンボンド層/サブミクロン繊維層/スパンボンド層の3成分構造を構成しうる。複合ウェブの別の例は、スパンボンド層/1−10ミクロン繊維メルトブロー層/サブミクロン溶融フィルムフィブリル化繊維層/スパンボンド層構造から構成されうる。複合ウェブ全体の基本重量は、例えば、約5gsmから約200gsm以上の範囲であってもよく、組み合わせる層の数および種類によってさまざまでありうる。
【0047】
均一なサブミクロン繊維ウェブを本発明のプロセスによって生産することができる。ウェブの均一性は、いくつかの方法によって測定することができる。前述したショットおよびダストの割合に加え、均一性の測定基準の他の例としては、低い孔径の変動率、基本重量、通気性、および/または不透明度がある。均一性はまた、繊維のバンドル(bundles)もしくはローピング(roping)または目に見える孔、あるいは他のこのような欠陥がないことも意味しうる。均一性は、ウェブのハイドロヘッド(hydrohead)または他の防水についての測定(liquid barrier measurement)によって評価してもよい。孔径は、同業者に公知の方法で測定できる。サブミクロン繊維層の平均孔径は、約15ミクロン未満であってもよい。均一なウェブについて望ましい変動率は20%未満の可能性もある。ローピングがないことは、ウェブの正確に測った領域において繊維のロープまたはバンドルの数を数えることによって測定することができる。これは、ショットおよびダストの評価と一緒に行うことが最もよい。孔がないこともまた、ウェブの正確に測った領域において、所定の閾値よりも大きな直径を有する孔の数を数えることによって測定することができる。倍率が10−100×の光学顕微鏡もしくは走査形電子顕微鏡または他の拡大手段を使用することができる。たとえば、孔は、ライトボックスを用いて裸眼で見ることができる場合、すなわち、直径が100ミクロンを超える場合に、数に数えられてもよい。
【0048】
本発明は幅広いポリマー材料について実施することができ、不織ウェブは、それ自体で、または他の材料と組み合わせて、幅広い物品に利用することができる。本発明にしたがって生産された不織布は、織地、スクリム、フィルムおよびこれらの組合せに加え、一つ以上の繊維性層を含んでいてもよく、数多くの家庭用クリーニング製品、個人向け衛生製品、医療用製品、および不織布が使える他の最終用途製品の製造に利用してもよい。不織ウェブは、例えば、ガスまたは液体フィルター、医療用衣服、医療用クリーニングワイプ(medical cleaning wipes)、ハウスラップ構築材(housewrap construction materials)、おむつ、トレーニングパンツ、大人向け失禁パッド、婦人用ケアパッドおよびおりものシートのような月経製品、タンポン、個人用クリーニング用品、個人用ケア用品、およびベビーワイプ(baby wipe)、顔用ワイプ(facial wipes)、ボディワイプ(body wipes)および婦人用ワイプ(feminine wipes)のような個人用ケアワイプ(personal care wipes)、ならびにこれらの組合せに使用してもよい。さらに、織地は、傷の滲出液を吸収し、手術部位からの滲出の除去を助けるための医療用ガーゼまたは同様に吸収力のある手術用材料として利用してもよい。他の最終用途としては、医療、産業、自動車、在宅介護、フードサービス、およびグラフィックアート市場用の湿式または乾式の衛生用、抗病原菌、またはハードサーフェイスのワイプ(hard surface wipes) であって、クリーニング等のために容易に携帯できるものがある。
【0049】
本発明の不織布はまた、ガウン、掛け布、シャツ、ボトムウェイト(bottom weights)、白衣、フェイスマスク等のような医療用および産業用の防護衣に適した構造体や、乗用車、トラック、ボート、飛行機、オートバイ、自動車、ゴルフカートなどの乗り物用カバー、ならびに、グリルのようにたびたび野外に置かれる用具類、草刈り機や回転式耕耘機のような畑やガーデン用器材、ローンファーニチャー(lawn furniture)、床の敷物、テーブルクロス、ピクニック場用の敷物を含む保護カバー(protective covers)に適した構造体に含まれていてもよい。特定の実施形態において、この不織布は、包帯、おむつ、トレーニングパンツ、大人向け失禁パッド、婦人用ケアパッドおよびおりものシートのような月経製品、タンポン、個人用クリーニング用品、個人用ケア用品、そして、ベビーワイプ(baby wipe)、顔用ワイプ(facial wipes)、ボディワイプ(body wipes)および婦人用ワイプ(feminine wipes)のような個人用ケアワイプ(personal care wipes)、ならびにこれらの組合せからなるグループから選択された用品において使用される。この不織布はまた、マットレスプロテクター(mattress protectors)、厚い羽布団(comforters)、キルト、羽毛掛け布団カバー(duvet covers)およびベッドカバーを含むベッド用品の表面に使用してもよい。さらに、内部および外部の自動車用コンポ、カーペットの裏地、絶縁および音響減衰用の器具および機械の包装のような音響用途ならびに壁紙に使用してもよい。この不織布は、様々な濾過用途にも有益であり、このような用途としては、バッグハウス(bag house)に加えプールや温泉のフィルターがある。この不織布はまたバッテリーセパレータなど、またはエージェント/パーティクルキャリア(agent/particle carriers)(たとえば、触媒担体)として他の用途に使用してもよい。
【0050】
不織布の望ましい最終用途によっては、特定の添加剤をポリマー溶融体に直接入れてもよいし、ウェブが形成した後に加えてもよい。このような添加剤の適する非限定的な例としては、吸収増進または防止添加剤、紫外線安定剤、難燃剤、染料および顔料、芳香剤、皮膚保護薬、界面活性剤、水溶性または非水溶性機能性工業用溶剤、たとえば植物油、動物油、テルペノイド(terpenoids)、シリコンオイル(silicon oils)、鉱油、白色鉱油、パラフィン溶剤(paraffinic solvents)、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリアルファオレフィン(polyalphaolefins)、およびこれらの混合物など、トルエン、金属イオン封鎖剤(sequestering agents)、腐食抑制剤、研磨剤、石油蒸留物、脱脂剤、およびこれらの組合せがある。さらに別の添加剤としては、限定はしないがヨウ素などの抗菌成分、エタノールまたはプロパノールのようなアルコール、殺生物剤、研磨剤、金属酸化物、金属塩、金属錯体、金属合金、またはこれらの混合物のような金属材料、静菌性複合体(bacteriostatic complexes)、殺菌性複合体(bactericidal complexes)、およびこれらの組合せがある。
【0051】
本明細書に記載の全ての量、割合、比率、およびパーセンテージは、特に指摘しない限りは重量によるものである。以下の非限定的な実施例で本発明をさらに説明する。
【0052】
〔実施例〕
押出機(直径63.5mm(2.5インチ)、シングルスクリュー押出機)および従来のメルトブロー金型本体(幅635mm(25インチ))を1800MFRポリプロピレンの供給源として用いた。押出機の温度は343℃(650°F)であった。だいたい図4の構成をしたノズルを従来の押出機金型本体に、ノズル装置の上部平坦面領域に取り付けられている従来のガスケット付ボルトを用いて取り付けた。圧縮空気源は、空気源からノズルの入口へ気密な接続部および密閉部を介して供給した。ノズルの形状の特徴は以下の通りであった(図4を非限定的な例として用いる)。のど状部分9における対向壁部5および6の間の最小距離は0.406mm(0.016インチ)であった。冷たい壁部5は、二等分面7に向かって−1.5度の角度θで近づいていた。熱い壁部は、二等分面7から2度の角度βで離れていた。ポリマー通路は、第2部分の第2下流側半部において第2部分に入っており、水力直径が約0.203mm(0.008インチ)であり、熱い壁部6に対して約32度の角度γに向いていた。ポリマー繊維化面の長さδはほぼゼロであった。収束部分8の縦方向長さは約2.286mm(0.090インチ)で、二等分角αは約30度であった。のど状部分9の縦方向の長さは約0.254mm(0.010インチ)であり、拡大部分10の縦方向長さは約5.080mm(0.200インチ)であった。加圧空気は、流量300scfm(standard cubic feet per minute)、空気温度27℃(80°F)でノズルの入口端部(収束部分)に導入した。不織ウェブ製品を集積、分析したところ、以下の製品特性を有することが分かった。スパンボンド層/サブミクロ繊維層/スパンボンド層構造全体の基本重量は17.2gsm。本発明のノズル装置で生産された繊維含有率は推定約15%(2.7gsm)。サブミクロ繊維層における繊維の平均直径は0.45ミクロン、標準偏差は0.15、サブミクロ繊維の直径分布の平均に対する標準偏差の比率は0.33、繊維径の範囲は0.1ミクロンから0.85ミクロン。
【0053】
以上から、本発明の新規な概念の真の趣旨および範囲から逸脱することなく数多くの変更および変形を行えることが分かるであろう。当然のことながら、本明細書に説明した具体的な実施形態に限定するつもりはなく、また、そのように推測すべきではない。本開示内容は、特許請求の範囲に入る限り、全てのこのような変更を、添付の特許請求の範囲によって包含することを意図している。
【0054】
〔実施の態様〕
(1) 不織ウェブを作るプロセスにおいて、
加圧ガス流が、第1および第2の対向壁部の間に制限されているガス通路内を流れ、
これら対向壁部の少なくとも一方が、加熱されており、
前記ガス通路は、前記ガスが供給端部から流入する第1の上流側部分、移行領域、および前記ガスが出口端部へと流れる第2の下流側部分を備えており、
前記移行領域が、前記第1部分を前記第2部分に流体接続しており、
前記ガス通路は、前記第2部分の前記出口端部で終端しており、
前記ガス通路の前記第1部分は、前記供給端部から前記移行領域まで断面積が減少しており、前記ガス通路の前記第2部分は、前記移行領域から前記第2部分の前記出口端部まで断面積が増加しており、
少なくとも1つのポリマー流体流が、少なくとも1つの、境界が定められたポリマー通路を通って流れており、
前記ポリマー通路は、前記対向加熱壁部の少なくとも一方に設けられた少なくとも1つの開口部において終端しており、
各ポリマー流体流は、前記開口部の各々からフィルムの形態で押し出されており、
各押し出されたポリマーフィルムは、前記ガス流に加わり、前記ポリマーフィルムは、フィブリル化されて、直径がサブミクロンの繊維を含む、前記ガス通路の前記第2部分の前記出口端部から出ていく繊維を形成する、プロセス。
【0055】
(2) 実施態様1に記載のプロセスにおいて、
前記ガス流は、約150キログラム/時間/メーターから、約3500キログラム/時間/メーターまでの範囲の質量流量で前記ガス通路に導入される、プロセス。
(3) 実施態様1に記載のプロセスにおいて、
前記ガス流および前記ポリマー流体流は、約40:1より低いガス流/ポリマー流体流の質量流量比で導入される、プロセス。
(4) 実施態様1に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の入口における前記ガス流は、温度が50℃より低い、プロセス。
(5) 実施態様1に記載のプロセスにおいて、
前記不織ウェブ材は、直径がサブミクロンの繊維を35%より多く含んでいる、プロセス。
(6) 実施態様1に記載の不織ウェブにおいて、
繊維径分布の標準偏差が約0.5ミクロンより小さい、不織ウェブ。
【0056】
(7) 実施態様1に記載の不織ウェブにおいて、
繊維径分布の標準偏差が約0.3ミクロンよりも小さい、不織ウェブ。
(8) 実施態様1に記載のプロセスにおいて、
前記繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、生物分解性ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、アルキド樹脂、ポリヒドロキシアルカン酸(polyhydroalkanoic acids)、およびこれらの組合せからなる群から選択されたポリマーからなる、プロセス。
【0057】
(9) 不織ウェブを作るプロセスにおいて、
加圧ガス流が、第1および第2の対向壁部の間に制限されているガス通路内を流れ、
これら対向壁部の少なくとも一方が、加熱されており、
前記ガス通路は、前記ガスが供給端部から流入する第1の上流側部分、移行領域、および前記ガスが出口端部へと流れる第2の下流側部分を備えており、
前記移行領域が、前記第1部分を前記第2部分に流体接続しており、
前記ガス通路は、前記第2部分の前記出口端部で終端しており、
前記ガス通路の前記第1部分は、前記供給端部から前記移行領域まで断面積が単調に減少しており、前記ガス通路の前記第2部分は、前記移行領域から前記第2部分の前記出口端部まで断面積が単調に増加しており、
少なくとも1つのポリマー流体流が、少なくとも1つの、境界が定められたポリマー通路を通って流れており、
前記ポリマー通路は、前記対向加熱壁部の少なくとも一方にある少なくとも1つの開口部において終端しており、
各ポリマー流体流は、前記開口部の各々からフィルムの形態で押し出されており、
各押し出されたポリマーフィルムは、前記ガス通路の前記第2部分において前記ガス流に加わり、前記ポリマーフィルムは、フィブリル化されて、サブミクロン繊維を含む、前記ガス通路の前記第2部分の前記出口端部から出ていく繊維を形成する、プロセス。
【0058】
(10) 実施態様9に記載のプロセスにおいて、
各ポリマー通路開口部は、スリットであり、
前記スリットの水力直径は、前記ポリマー通路開口部の断面積の4倍を前記ポリマー通路開口部の内周で割ったものと定義され、
各ポリマー通路開口部の前記水力直径は、約0.025mm(0.001インチ)から約2.540mm(0.100インチ)までの範囲である、プロセス。
(11) 実施態様10に記載のプロセスにおいて、
前記ポリマーフィルムは、前記ポリマー通路開口部の前記水力直径を超えないポリマーフィルムの厚さを有する、プロセス。
(12) 実施態様11に記載のプロセスにおいて、
前記第1および第2の壁部の間の角度を二等分するものとして定義される第1二等分面が、前記第1部分をほぼ等しい体積の二つの半部に幾何学的に分割し、前記第1および第2の壁部の間の角度を二等分するものとして定義される第2二等分面が前記第2部分をほぼ等しい体積の二つの半部に幾何学的に分割する、プロセス。
【0059】
(13) 実施態様12に記載のプロセスにおいて、
前記第1および第2の壁部の前記第1二等分面に対する前記二等分角は、前記第1部分において約15度から約40度までの範囲であり、
前記第1および第2の壁部の前記第2二等分面に対する前記二等分角は、前記ガス通路の前記第2部分において約2度から約20度までの範囲である、プロセス。
(14) 実施態様13に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の前記第1および第2の壁部は、前記第1および第2の二等分面に対して対称な温度状態となるようにほぼ同一の温度に加熱される、プロセス。
(15) 実施態様14に記載のプロセスにおいて、
前記対向加熱壁部の少なくとも一方に、ポリマーフィルムが1つだけ形成され、
ポリマーフィルムが押し出されるポリマー通路開口部の各々が、前記移行領域と前記第2部分の前記出口端部との間に広がる、前記ポリマー通路を含んでいる前記加熱壁部の長さに対して定められた、第2部分の上側半部に配置されている、プロセス。
【0060】
(16) 実施態様15に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の前記第1および第2の壁部は、滑らかに湾曲しており、前記ガス通路の前記移行領域において、前記第1部分における前記対向壁部の湾曲が、いかなる鋭利な角部もなく、前記第2部分における前記対向壁部の湾曲に滑らかに移行する、プロセス。
(17) 実施態様11に記載のプロセスにおいて、
前記対向壁部の一方が熱い壁部であり、他方の壁部が冷たい壁部であり、前記熱い壁部の温度は前記冷たい壁部より少なくとも50℃高く、前記熱い壁部のみが少なくとも1つのポリマー流体通路開口部を有する、プロセス。
(18) 実施態様17に記載のプロセスにおいて、
前記第1部分における前記第1の二等分面に対する前記第1および第2の壁部の前記二等分角は、約15度から約40度までの範囲である、プロセス。
【0061】
(19) 実施態様18に記載のプロセスにおいて、
前記第2部分における前記熱い壁部は、約1度から20度までの範囲の角度で前記第1の二等分面から離れ、前記第2部分における前記冷たい壁部は、約0.1度から約15度までの範囲の角度で前記第1の二等分面の方に近づく、プロセス。
(20) 実施態様19に記載のプロセスにおいて、
前記第1の二等分面に対する前記熱い壁部の広がり角と、前記第1の二等分面に対する前記冷たい壁部の収束角との比は、約1:1から約500:1までの範囲にある、プロセス。
(21) 実施態様9に記載のプロセスにおいて、
各ポリマー通路の中心線と、対応するポリマー通路開口部を含む前記壁部との間の角度は、約10度から約100度までの範囲にある、プロセス。
(22) 実施態様21に記載のプロセスにおいて、
各ポリマー通路開口部から押し出された前記ポリマーフィルムは、前記ガス流と共にポリマー繊維化面に沿って流れ、
前記ポリマー繊維化面の前記第1の二分割面に対する配向角度は、時計方向に測って約90度から、反時計方向に測って約45度までの範囲にある、プロセス。
【0062】
(23) 実施態様22に記載のプロセスにおいて、
各ポリマー通路開口部に対応する前記ポリマー繊維化面の長さは、前記対応するポリマー通路開口部の前記水力直径の約1000倍よりも小さい、プロセス。
(24) 実施態様23に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の前記第1および第2の壁部は、滑らかに湾曲しており、前記ガス通路の前記移行領域において、前記第1部分における前記対向壁部の湾曲が、鋭利な角部が全くなく、前記第2部分における前記対向壁部の湾曲に滑らかに移行する、プロセス。
(25) 実施態様24に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の前記第2部分における前記対向壁部は湾曲していて、前記ガス通路の前記第2部分の内部から見たときに、前記熱い壁部は、前記第2の二等分面から離れるように湾曲する凸形状をしており、前記冷たい壁部は、前記第2の二等分面の方に湾曲する凹形状をしている、プロセス。
【0063】
(26) 実施態様19に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の前記第2部分における、前記熱い壁部の曲率半径の前記冷たい壁部の曲率半径に対する比は、約1:10000から約100:1までの範囲にある、プロセス。
(27) 実施態様11に記載のプロセスにおいて、
前記不織ウェブは、直径が約1ミクロンより小さい繊維を99%より多く含む、プロセス。
(28) 実施態様11に記載のプロセスにおいて、
前記ガス流は、約150キログラム/時間/メーターから約3500キログラム/時間/メーターまでの範囲の質量流量で前記ガス通路に導入される、プロセス。
(29) 実施態様11に記載のプロセスにおいて、
前記ガス流および前記ポリマー流体流は、約40:1よりも小さいガス流/ポリマー流体流の質量流量比で前記第2部分に導入される、プロセス。
(30) 実施態様11に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の入口における前記ガス流は、温度が50℃より低い、プロセス。
【0064】
(31) 実施態様11に記載のプロセスにおいて、
前記不織ウェブ材は、サブミクロンの繊維を35%より多く含んでいる、プロセス。
(32) 実施態様11に記載のプロセスにおいて、
別個の、境界が定められたポリマー通路を通って流れる異なるポリマー流体流として、複数の異なるポリマー材料を提供すること、
をさらに含み、
前記別個の、境界が定められたポリマー通路は、前記対向加熱壁部の少なくとも一方に設けられた開口部において終端しており、
前記異なるポリマー流体流は、前記開口部の各々からフィルム形態で押し出され、前記不織ウェブ材は複数成分の繊維を含む、プロセス。
(33) 実施態様9に記載のプロセスの不織ウェブ製品。
(34) 実施態様9に記載のプロセスの不織ウェブ製品において、
繊維径分布の標準偏差が、約0.5ミクロンよりも小さい、不織ウェブ製品。
(35) 実施態様9に記載のプロセスの不織ウェブ製品において、
繊維径分布の標準偏差が、約0.3ミクロンよりも小さい、不織ウェブ製品。
【0065】
(36) 実施態様9に記載のプロセスの不織ウェブ製品において、
前記繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、生物分解性ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、アルキド樹脂、ポリヒドロキシアルカン酸(polyhydroalkanoic acids)、およびこれらの組合せからなる群から選択されたポリマーからなる、不織ウェブ製品。
(37) 実施態様33に記載の不織ウェブ製品を含む物品。
(38) 実施態様37に記載の物品において、
前記物品は、フィルター、医療用衣服、医療用クリーニングワイプ(medical cleaning wipes)、ハウスラップ(housewrap)構築材、包帯、防護服、バッテリーセパレータ、触媒担体、おむつ、トレーニングパンツ、大人向け失禁パッド、婦人用ケアパッドおよびおりものシートのような月経製品、タンポン、個人用クリーニング用品、個人用ケア用品、および、ベビーワイプ(baby wipe)、顔用ワイプ(facial wipes)、ボディワイプ(body wipes)および婦人用ワイプ(feminine wipes)のような個人用ケアワイプ(personal care wipes)、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、物品
【0066】
(39) サブミクロンサイズの繊維を形成するための装置において、
ガス通路を画定する第1および第2の対向壁部であって、
前記壁部の少なくとも一方が、加熱可能であり、
前記ガス通路は、加圧ガス源からの加圧ガスを受け入れ、前記加圧ガスをガス流としてノズル内部で上流から下流の方向に流すように作動することができ、
前記ガス通路は、供給端から前記ガスが流入する第1上流側部分、移行領域、および前記ガスが出口端へと流れる第2下側部分を備え、
前記移行領域が、前記第1部分を前記第2部分に流体接続しており、
前記ガス通路が、前記第2部分の出口端で終端しており、
前記ガス通路の前記第1部分は、前記供給端から前記移行領域へと減少する断面積を有し、前記ガス通路の前記第2部分は、前記移行領域から前記第2部分の前記出口端へ増大する断面積を有する、
第1および第2の対向壁部と、
少なくとも1つの、境界が定められたポリマー通路であって、
前記ポリマー通路は、ポリマー押出機から溶融ポリマーを受け入れ、前記溶融ポリマーを、少なくとも1つの流動可能なポリマー流体流として、前記ガス通路に設けられた前記加熱壁部の少なくとも一方まで流すように作動することができ、
前記ポリマー通路は、前記対向加熱可能壁部の少なくとも1つにおける少なくとも1つの開口部において終端しており、
前記開口部の各々は、加熱可能壁部に、ポリマー流体流をフィルム形態で押し出すように作動することができ、
前記フィルムは、前記ガス通路の前記ガス流に加わって、前記ポリマーフィルムをフィブリル化して、サブミクロンの繊維を含む、前記ガス通路の前記第2部分の前記出口端から出ていく繊維を形成することができる、
少なくとも1つの、境界が定められたポリマー通路と、
を備える、装置。
【0067】
(40) 実施態様39に記載の装置において、
ポリマーフィルムが押し出される前記少なくとも1つのポリマー通路開口部は、前記ガス通路の前記第2部分に配置されている、装置。
(41) 実施態様39に記載の装置において、
ポリマーフィルムが押し出される前記少なくとも1つのポリマー通路開口部は、前記移行領域と前記第2部分の前記出口端との間に広がる、前記ポリマー通路を含む前記加熱壁部の長さに対して定められた、第2部分の下側下流半部に配置されている、装置。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】サブミクロ繊維を形成するための本発明のノズル装置の拡大された全般的な断面図である。
【図2】サブミクロ繊維を形成するための本発明の実施形態によるポリマー溶融体導入通路を1つだけ備えたノズル装置の例示的な実施形態の図12に示した切断部120に沿って取った断面図である。
【図3】サブミクロン繊維を形成する本発明の別の実施形態による複数のポリマー溶融体導入通路を備えたノズル装置の例示的な実施形態の断面図である。
【図4】サブミクロン繊維を形成する本発明の別の実施形態による、ノズルの下流部分においてポリマー導入側に発散壁部および対向収束壁部を有するノズル装置の例示的な実施形態の断面図である。
【図5】サブミクロン繊維を形成する本発明の別の実施形態による湾曲した壁面を有するノズル装置の例示的な実施形態の断面図である。
【図6】サブミクロン繊維を形成するための本発明の別の実施形態による、定められた衝突面を有するノズル装置の例示的な実施形態の断面図である。
【図7】図6によるノズル装置の下流部分の拡大断面図である。
【図8】サブミクロン繊維を形成するための本発明の別の実施形態による、上流および下流部分にガス通路のための曲線状の二分割面を有するノズル装置の例示的な実施形態の断面図である。
【図9】図8のノズル装置の代替実施形態の断面図である。
【図10】サブミクロン繊維を形成するための本発明の別の実施形態のノズル装置の例示的な実施形態の断面図である。
【図11】図10のノズル装置の代替実施形態の断面図である。
【図12】図1のノズル装置の等角図である。
【図13】図12のノズルの上面の平面図である。
【図14】図12のノズルの底面の平面図である。
【図15】ショットがあるがマイクロファイバーのSEMマイクロ写真(500×)である。
【図16】ショットがほとんどないまたは全くないマイクロファイバーのSEMマイクロ写真(500×)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織ウェブを作るプロセスにおいて、
加圧ガス流が、第1および第2の対向壁部の間に制限されているガス通路内を流れ、
これら対向壁部の少なくとも一方が、加熱されており、
前記ガス通路は、前記ガスが供給端部から流入する第1の上流側部分、移行領域、および前記ガスが出口端部へと流れる第2の下流側部分を備えており、
前記移行領域が、前記第1部分を前記第2部分に流体接続しており、
前記ガス通路は、前記第2部分の前記出口端部で終端しており、
前記ガス通路の前記第1部分は、前記供給端部から前記移行領域まで断面積が減少しており、前記ガス通路の前記第2部分は、前記移行領域から前記第2部分の前記出口端部まで断面積が増加しており、
少なくとも1つのポリマー流体流が、少なくとも1つの、境界が定められたポリマー通路を通って流れており、
前記ポリマー通路は、前記対向加熱壁部の少なくとも一方に設けられた少なくとも1つの開口部において終端しており、
各ポリマー流体流は、前記開口部の各々からフィルムの形態で押し出されており、
各押し出されたポリマーフィルムは、前記ガス流に加わり、前記ポリマーフィルムは、フィブリル化されて、直径がサブミクロンの繊維を含む、前記ガス通路の前記第2部分の前記出口端部から出ていく繊維を形成する、プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスにおいて、
前記ガス流は、約150キログラム/時間/メーターから、約3500キログラム/時間/メーターまでの範囲の質量流量で前記ガス通路に導入される、プロセス。
【請求項3】
請求項1に記載のプロセスにおいて、
前記ガス流および前記ポリマー流体流は、約40:1より低いガス流/ポリマー流体流の質量流量比で導入される、プロセス。
【請求項4】
請求項1に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の入口における前記ガス流は、温度が50℃より低い、プロセス。
【請求項5】
請求項1に記載のプロセスにおいて、
前記不織ウェブ材は、直径がサブミクロンの繊維を35%より多く含んでいる、プロセス。
【請求項6】
請求項1に記載の不織ウェブにおいて、
繊維径分布の標準偏差が、約0.5ミクロンより小さい、不織ウェブ。
【請求項7】
請求項1に記載の不織ウェブにおいて、
繊維径分布の標準偏差が、約0.3ミクロンよりも小さい、不織ウェブ。
【請求項8】
請求項1に記載のプロセスにおいて、
前記繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、生物分解性ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、アルキド樹脂、ポリヒドロキシアルカン酸、およびこれらの組合せからなる群から選択されたポリマーからなる、プロセス。
【請求項9】
不織ウェブを作るプロセスにおいて、
加圧ガス流が、第1および第2の対向壁部の間に制限されているガス通路内を流れ、
これら対向壁部の少なくとも一方が、加熱されており、
前記ガス通路は、前記ガスが供給端部から流入する第1の上流側部分、移行領域、および前記ガスが出口端部へと流れる第2の下流側部分を備えており、
前記移行領域が、前記第1部分を前記第2部分に流体接続しており、
前記ガス通路は、前記第2部分の前記出口端部で終端しており、
前記ガス通路の前記第1部分は、前記供給端部から前記移行領域まで断面積が単調に減少しており、前記ガス通路の前記第2部分は、前記移行領域から前記第2部分の前記出口端部まで断面積が単調に増加しており、
少なくとも1つのポリマー流体流が、少なくとも1つの、境界が定められたポリマー通路を通って流れており、
前記ポリマー通路は、前記対向加熱壁部の少なくとも一方にある少なくとも1つの開口部において終端しており、
各ポリマー流体流は、前記開口部の各々からフィルムの形態で押し出されており、
各押し出されたポリマーフィルムは、前記ガス通路の前記第2部分において前記ガス流に加わり、前記ポリマーフィルムは、フィブリル化されて、サブミクロン繊維を含む、前記ガス通路の前記第2部分の前記出口端部から出ていく繊維を形成する、プロセス。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセスにおいて、
各ポリマー通路開口部は、スリットであり、
前記スリットの水力直径は、前記ポリマー通路開口部の断面積の4倍を前記ポリマー通路開口部の内周で割ったものと定義され、
各ポリマー通路開口部の前記水力直径は、約0.025mm(0.001インチ)から約2.540mm(0.100インチ)までの範囲である、プロセス。
【請求項11】
請求項10に記載のプロセスにおいて、
前記ポリマーフィルムは、前記ポリマー通路開口部の前記水力直径を超えないポリマーフィルムの厚さを有する、プロセス。
【請求項12】
請求項11に記載のプロセスにおいて、
前記第1および第2の壁部の間の角度を二等分するものとして定義される第1二等分面が、前記第1部分をほぼ等しい体積の二つの半部に幾何学的に分割し、
前記第1および第2の壁部の間の角度を二等分するものとして定義される第2二等分面が、前記第2部分をほぼ等しい体積の二つの半部に幾何学的に分割する、プロセス。
【請求項13】
請求項12に記載のプロセスにおいて、
前記第1および第2の壁部の前記第1二等分面に対する前記二等分角は、前記第1部分において約15度から約40度までの範囲であり、
前記第1および第2の壁部の前記第2二等分面に対する前記二等分角は、前記ガス通路の前記第2部分において約2度から約20度までの範囲である、プロセス。
【請求項14】
請求項13に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の前記第1および第2の壁部は、前記第1および第2の二等分面に対して対称な温度状態となるようにほぼ同一の温度に加熱される、プロセス。
【請求項15】
請求項14に記載のプロセスにおいて、
前記対向加熱壁部の少なくとも一方に、ポリマーフィルムが1つだけ形成され、
ポリマーフィルムが押し出されるポリマー通路開口部の各々が、前記移行領域と前記第2部分の前記出口端部との間に広がる、前記ポリマー通路を含んでいる前記加熱壁部の長さに対して定められた、第2部分の上側半部に配置されている、プロセス。
【請求項16】
請求項15に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の前記第1および第2の壁部は、滑らかに湾曲しており、前記ガス通路の前記移行領域において、前記第1部分における前記対向壁部の湾曲が、いかなる鋭利な角部もなく、前記第2部分における前記対向壁部の湾曲に滑らかに移行する、プロセス。
【請求項17】
請求項11に記載のプロセスにおいて、
前記対向壁部の一方が熱い壁部であり、他方の壁部が冷たい壁部であり、前記熱い壁部の温度は前記冷たい壁部より少なくとも50℃高く、前記熱い壁部のみが少なくとも1つのポリマー流体通路開口部を有する、プロセス。
【請求項18】
請求項17に記載のプロセスにおいて、
前記第1部分における前記第1の二等分面に対する前記第1および第2の壁部の前記二等分角は、約15度から約40度までの範囲である、プロセス。
【請求項19】
請求項18に記載のプロセスにおいて、
前記第2部分における前記熱い壁部は、約1度から20度までの範囲の角度で前記第1の二等分面から離れ、前記第2部分における前記冷たい壁部は、約0.1度から約15度までの範囲の角度で前記第1の二等分面の方に近づく、プロセス。
【請求項20】
請求項19に記載のプロセスにおいて、
前記第1の二等分面に対する前記熱い壁部の広がり角と、前記第1の二等分面に対する前記冷たい壁部の収束角との比は、約1:1から約500:1までの範囲にある、プロセス。
【請求項21】
請求項9に記載のプロセスにおいて、
各ポリマー通路の中心線と、対応するポリマー通路開口部を含む前記壁部との間の角度は、約10度から約100度までの範囲にある、プロセス。
【請求項22】
請求項21に記載のプロセスにおいて、
各ポリマー通路開口部から押し出された前記ポリマーフィルムは、前記ガス流と共にポリマー繊維化面に沿って流れ、
前記ポリマー繊維化面の前記第1の二分割面に対する配向角度は、時計方向に測って約90度から、反時計方向に測って約45度までの範囲にある、プロセス。
【請求項23】
請求項22に記載のプロセスにおいて、
各ポリマー通路開口部に対応する前記ポリマー繊維化面の長さは、前記対応するポリマー通路開口部の前記水力直径の約1000倍よりも小さい、プロセス。
【請求項24】
請求項23に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の前記第1および第2の壁部は、滑らかに湾曲しており、前記ガス通路の前記移行領域において、前記第1部分における前記対向壁部の湾曲が、鋭利な角部が全くなく、前記第2部分における前記対向壁部の湾曲に滑らかに移行する、プロセス。
【請求項25】
請求項24に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の前記第2部分における前記対向壁部は湾曲していて、前記ガス通路の前記第2部分の内部から見たときに、前記熱い壁部は、前記第2の二等分面から離れるように湾曲する凸形状をしており、前記冷たい壁部は、前記第2の二等分面の方に湾曲する凹形状をしている、プロセス。
【請求項26】
請求項19に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の前記第2部分における、前記熱い壁部の曲率半径の前記冷たい壁部の曲率半径に対する比は、約1:10000から約100:1までの範囲にある、プロセス。
【請求項27】
請求項11に記載のプロセスにおいて、
前記不織ウェブは、直径が約1ミクロンより小さい繊維を99%より多く含む、プロセス。
【請求項28】
請求項11に記載のプロセスにおいて、
前記ガス流は、約150キログラム/時間/メーターから約3500キログラム/時間/メーターまでの範囲の質量流量で前記ガス通路に導入される、プロセス。
【請求項29】
請求項11に記載のプロセスにおいて、
前記ガス流および前記ポリマー流体流は、約40:1よりも小さいガス流/ポリマー流体流の質量流量比で前記第2部分に導入される、プロセス。
【請求項30】
請求項11に記載のプロセスにおいて、
前記ガス通路の入口における前記ガス流は、温度が50℃より低い、プロセス。
【請求項31】
請求項11に記載のプロセスにおいて、
前記不織ウェブ材は、サブミクロンの繊維を35%より多く含んでいる、プロセス。
【請求項32】
請求項11に記載のプロセスにおいて、
別個の、境界が定められたポリマー通路を通って流れる異なるポリマー流体流として、複数の異なるポリマー材料を提供すること、
をさらに含み、
前記別個の、境界が定められたポリマー通路は、前記対向加熱壁部の少なくとも一方に設けられた開口部において終端しており、
前記異なるポリマー流体流は、前記開口部の各々からフィルム形態で押し出され、前記不織ウェブ材は複数成分の繊維を含む、プロセス。
【請求項33】
請求項9に記載のプロセスの不織ウェブ製品。
【請求項34】
請求項9に記載のプロセスの不織ウェブ製品において、
繊維径分布の標準偏差が、約0.5ミクロンよりも小さい、不織ウェブ製品。
【請求項35】
請求項9に記載のプロセスの不織ウェブ製品において、
繊維径分布の標準偏差が、約0.3ミクロンよりも小さい、不織ウェブ製品。
【請求項36】
請求項9に記載のプロセスの不織ウェブ製品において、
前記繊維は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、生物分解性ポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、アルキド樹脂、ポリヒドロキシアルカン酸、およびこれらの組合せからなる群から選択されたポリマーからなる、不織ウェブ製品。
【請求項37】
請求項33に記載の不織ウェブ製品を含む物品。
【請求項38】
請求項37に記載の物品において、
前記物品は、フィルター、医療用衣服、医療用クリーニングワイプ、ハウスラップ構築材、包帯、防護服、バッテリーセパレータ、触媒担体、おむつ、トレーニングパンツ、大人向け失禁パッド、婦人用ケアパッドおよびおりものシートのような月経製品、タンポン、個人用クリーニング用品、個人用ケア用品、および、ベビーワイプ、顔用ワイプ、ボディワイプおよび婦人用ワイプのような個人用ケアワイプ、ならびにこれらの組合せからなる群から選択される、物品
【請求項39】
サブミクロンサイズの繊維を形成するための装置において、
ガス通路を画定する第1および第2の対向壁部であって、
前記壁部の少なくとも一方が、加熱可能であり、
前記ガス通路は、加圧ガス源からの加圧ガスを受け入れ、前記加圧ガスをガス流としてノズル内部で上流から下流の方向に流すように作動することができ、
前記ガス通路は、供給端から前記ガスが流入する第1上流側部分、移行領域、および前記ガスが出口端へと流れる第2下側部分を備え、
前記移行領域が、前記第1部分を前記第2部分に流体接続しており、
前記ガス通路が、前記第2部分の出口端で終端しており、
前記ガス通路の前記第1部分は、前記供給端から前記移行領域へと減少する断面積を有し、前記ガス通路の前記第2部分は、前記移行領域から前記第2部分の前記出口端へ増大する断面積を有する、
第1および第2の対向壁部と、
少なくとも1つの、境界が定められたポリマー通路であって、
前記ポリマー通路は、ポリマー押出機から溶融ポリマーを受け入れ、前記溶融ポリマーを、少なくとも1つの流動可能なポリマー流体流として、前記ガス通路に設けられた前記加熱壁部の少なくとも一方まで流すように作動することができ、
前記ポリマー通路は、前記対向加熱可能壁部の少なくとも1つにおける少なくとも1つの開口部において終端しており、
前記開口部の各々は、加熱可能壁部に、ポリマー流体流をフィルム形態で押し出すように作動することができ、
前記フィルムは、前記ガス通路の前記ガス流に加わって、前記ポリマーフィルムをフィブリル化して、サブミクロンの繊維を含む、前記ガス通路の前記第2部分の前記出口端から出ていく繊維を形成することができる、
少なくとも1つの、境界が定められたポリマー通路と、
を備える、装置。
【請求項40】
請求項39に記載の装置において、
ポリマーフィルムが押し出される前記少なくとも1つのポリマー通路開口部は、前記ガス通路の前記第2部分に配置されている、装置。
【請求項41】
請求項39に記載の装置において、
ポリマーフィルムが押し出される前記少なくとも1つのポリマー通路開口部は、前記移行領域と前記第2部分の前記出口端との間に広がる、前記ポリマー通路を含む前記加熱壁部の長さに対して定められた、第2部分の下側下流半部に配置されている、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−156807(P2008−156807A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−270394(P2007−270394)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(507215851)ポリマー・グループ・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】