説明

サラシア含有組成物

【課題】本発明の目的は、食品または医薬品として使用されるサラシア属植物抽出物を高含量で含む組成物であって、保存安定性が高く、特に長期保存による変色および崩壊時間延長が抑制された組成物を提供することである。
【解決手段】本発明により、サラシア属植物抽出物、二酸化ケイ素、およびカルボキシメチルセルロースまたはその金属塩を含む組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サラシア属植物成分を含有する組成物、特に食品として利用されるサラシア属植物成分を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
サラシア・オブロンガ(Salacia oblonga)、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)、サラシア・キネンシス(Salacia chinensis;サラシア・プリノイデス(Salacia prinoides)と同種)などのサラシア属の植物は、インド、スリランカ、タイ、ベトナム、中国南部地域などに生育するニシキギ科のつる性多年生植物である。これらのサラシア属植物は、インド、スリランカ、東南アジア諸国の伝承医学では天然の薬物として利用されてきている。さらに近年になって、これらの植物の抽出物が、糖尿病および肥満に対する予防作用、血糖降下作用、リパーゼ阻害作用などの薬効を有することが報告されている(特許文献1〜5および非特許文献1)。
【0003】
このようなサラシア属植物が有する健康増進または健康維持に役立つ種々の効果に着目して、サラシア属植物成分を摂取するための組成物または食品について報告されている(特許文献6〜11)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−301882号公報
【特許文献2】特開平11−116496号公報
【特許文献3】特開平11−29472号公報
【特許文献4】特開2001−261569号公報
【特許文献5】特開2005−8572号公報
【特許文献6】特開2010−11749号公報
【特許文献7】特開2010−70号公報
【特許文献8】特開2009−219370号公報
【特許文献9】特開2009−215276号公報
【特許文献10】特開2009−215275号公報
【特許文献11】特開2009−60792号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】薬理と治療(JPT)、2008年、36巻、1号、39−48頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
食品、医薬品などの原料としてサラシア属植物成分を使用する場合、サラシア属植物の抽出物を濃縮、乾燥し、粉末化して得られるサラシアエキス末などを使用することができる。サラシアエキス末などのサラシア属植物の抽出物はサラシア属植物が有する種々の薬効成分を含んでおり、健康食品、機能性食品などの原料として好ましく用いることができる。しかし、サラシア属植物抽出物は酸化されやすく、サラシア属植物抽出物を含む食品は保存中に酸化による変色が生じる場合がある。また、サラシアエキス末は吸湿性が高く、吸湿により粘着性が高まる性質を有するため、サラシアエキス末を成分とした食品では保存中の吸湿による品質の低下が生じやすく、特に、サラシアエキス末を成分とした錠剤では、保存中に錠剤の崩壊性が低下する点が問題となる。その一方で、サラシア属植物成分を効率的に摂取するためには、サラシア属植物抽出物を高含量で含む食品、医薬品の開発が望まれている。
【0007】
また、サラシア属植物抽出物の酸化や吸湿を防止し、組成物の保存安定性を高めるために二酸化ケイ素を組成物に配合した場合、二酸化ケイ素が組成物の結合性を低下させることも問題となる。例えば、上記組成物を錠剤の形態とする場合、十分な保存安定性を得るために二酸化ケイ素の含量を高めると、錠剤硬度が不十分となる点が問題であった。
【0008】
本発明の目的は、食品または医薬品として使用されるサラシア属植物抽出物を含む組成物であって、保存安定性が高く、特に長期保存による変色および崩壊時間延長が抑制された組成物を提供することである。当該組成物は十分な結合性を有し、適度な硬度を有する錠剤とすることにも適している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題解決のために鋭意研究を進めたところ、サラシア属植物抽出物を、カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩、および二酸化ケイ素と共に配合することにより、高度な保存安定性を有する組成物を調製することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明の一つの側面によれば、サラシア属植物抽出物、二酸化ケイ素、およびカルボキシメチルセルロースまたはその金属塩を含む組成物が提供される。当該組成物は、例えば、顆粒、カプセル剤、または錠剤などの形態であってもよい。
【0011】
本発明のさらに一つの側面によれば、サラシア属植物抽出物、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩を含む錠剤または顆粒が提供される。
本発明の別の側面によれば、サラシア属植物抽出物、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩を含む食品が提供される。当該組成物は、例えば、顆粒、カプセル剤、または錠剤などの形態であってもよい。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、サラシア属植物抽出物、カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩と共に二酸化ケイ素を含んでなる経口摂取用組成物が提供される。本発明の経口摂取用組成物は、医薬または食品として使用することができ、例えば、顆粒、カプセル剤、または錠剤などの形態であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
サラシア属植物抽出物を含有する本発明の組成物は、保存安定性が高く、特に長期保存による変色および崩壊性低下が抑制されており、さらに十分な結合性を有するため、適切な硬度を有する錠剤の製造に適しているという優れた性質を有する。本発明の組成物は、長期保存に適し、サラシア属植物成分を安全かつ継続的に摂取することに適しており、特に健康維持または健康増進を目的として摂取するための食品として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
抽出原料として使用するサラシア属植物としては、例えば、サラシア・キネンシス、サラシア・レティキュラータおよびサラシア・オブロンガなどのサラシア属植物を使用することができ、採取後に乾燥した幹、根、葉、果実、または幹および根部の樹皮を裁断または粉砕したものを使用することができる。抽出は慣用の方法を適宜利用して行うことができ、例えば、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出、超臨界抽出、カラム抽出などの方法により行ってもよい。
【0015】
抽出溶媒としては特に限定されないが、水、低級アルコール(メタノールおよびエタノール)、アセトンなどの親水性溶媒、またはそれらの混合溶媒を用いることが好ましく、特に水を使用することが好ましい。抽出時には加熱することが好ましく、例えば、抽出溶媒の還流温度で抽出を行うことができる。水を溶媒として使用する場合は、例えば60〜110℃、好ましくは80〜98℃の温度下、例えば1〜24時間、好ましくは1〜4時間の抽出時間で抽出を行うことができる。
【0016】
本発明で使用する抽出物として、抽出液濃縮物を乾燥して得られる固体を使用することができる。抽出液の濃縮方法としては従来技術を適宜利用することができ、例えば、減圧乾燥法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法などを行うことができる。特に固体化した濃縮物さらに粉末化することにより得られるサラシアエキス末を本発明において好ましく使用することができる。
【0017】
サラシア属植物の抽出液は精製処理に付してもよい。精製処理としては、例えば、活性炭、イオン吸着樹脂などの吸着剤による処理、液−液向流分配処理などが挙げられる。サラシア属植物抽出物は市販品を購入したものを使用してもよい。
【0018】
本発明の組成物が含有するサラシア属植物抽出物の量は、摂取の効率性および組成物の各形態において求められる特性の観点から適宜設定することができる。例えば、本発明の組成物は、組成物全体に対して50重量%以下、好ましくは40重量%以下、特に35重量%以下のサラシア属植物抽出物を含有してもよい。また、本発明の組成物は、例えば、組成物全体に対して5重量%以上、好ましくは10重量%以上、特に30重量%以上のサラシア属植物抽出物を含有してもよい。本発明の1つの態様において、サラシア属植物抽出物の量は、組成物全体に対して5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、特に30〜35重量%である。本発明の組成物によるサラシア属植物抽出物の摂取量は、対象の体型、年齢、体調などにより、適宜調節することができる。例えば、体重60kgの成人に対して、サラシア属植物の抽出物を150mg/日以上、好ましくは200mg/日以上、より好ましくは300mg/日以上の用量で、かつ例えば3000mg/日以下、好ましくは2400mg/日以下、より好ましくは1800mg/日以下の用量で投与することができる。
【0019】
本発明で使用されるカルボキシメチルセルロースまたはその金属塩としては、例えばカルボキシメチルセルロースならびにそのナトリウム塩、カリウム塩およびカルシウム塩など、およびそれらの混合物が挙げられ、カルボキシメチルセルロースとその金属塩を併用してもよい。特に、カルボキシメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースカルシウムを好ましく使用することができ、または両者を併用することも好ましい。カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩は、食品添加物または医薬品原料として使用できるものであれば特に限定されず、例えばエーテル化度は0.45〜1.0(mol/C6)を使用することができる。具体的には、NS−300(ニチリン化学工業株式会社製)、E.C.G−505(ニチリン化学工業株式会社製)、E.C.G−FA(ニチリン化学工業株式会社製)などを使用することができる。
【0020】
本発明の組成物に含まれるカルボキシメチルセルロースまたはその金属塩の量は適宜設定することができる。例えば、本発明の組成物は、組成物全体に対して2.0重量%以下、好ましくは2.0%以下、特に1.8重量%以下のカルボキシメチルセルロースおよび/またはその金属塩を含有してもよい。また、本発明の組成物は、例えば、組成物全体に対して0.5重量%以上、好ましくは1.0重量%以上、特に1.5重量%以上のカルボキシメチルセルロースおよび/またはその金属塩を含有してもよい。本発明の1つの態様において、カルボキシメチルセルロースおよび/またはその金属塩の量は、組成物全体に対して0.1〜2.0重量%、好ましくは0.5〜2.0重量%、特に1.0〜1.8重量%である。
【0021】
本発明で使用される二酸化ケイ素としては、食品添加物または医薬品添加物として使用されるものであれば特に限定されない。本発明の1つの態様において、二酸化ケイ素として、平均粒径が15μm以下の二酸化ケイ素を使用することができる。具体的には、アエロジル200、アエロジル200FAD(登録商標、日本アエロジル株式会社製)、カープレックス#67、カープレックスFPS−500(登録商標、DSL.ジャパン株式会社製)などを使用することができる。
【0022】
本発明の組成物に含まれる二酸化ケイ素の量は適宜設定することができる。例えば、本発明の組成物は、組成物全体に対して1重量%未満、好ましくは0.75重量%以下、特に0.75重量%以下の二酸化ケイ素を含有してもよい。また、本発明の組成物は、例えば、組成物全体に対して0.25重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、特に0.75重量%以上の二酸化ケイ素を含有してもよい。本発明の1つの態様において、二酸化ケイ素の量は、組成物全体に対して0.25〜0.75重量%、好ましくは0.5〜0.75重量%、特に0.75重量%である。
【0023】
本発明の組成物は、必要に応じ、従来公知の賦形剤(例えば、乳糖、白糖、デンプン、結晶セルロースなど)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ポビドンなど)、崩壊剤(例えば、デンプン、寒天、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、など)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルクなど)、着色剤(例えば、カラメル、クチナシ色素など)、保存剤(例えば、L-アスコルビン酸など)、流動化剤(例えば、二酸化ケイ素など)、防腐剤(例えば、安息香酸など)、pH調整剤(例えば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなど)、界面活性剤(例えば、サポニン、レシチン、ショ糖脂肪酸エステルなど)、コーティング剤(例えば、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロースなど)などの成分を配合して調製することもできる。
【0024】
本発明の組成物は好ましくは錠剤として調製される。錠剤の調製は、本発明の属する技術分野において周知の方法、例えば、打錠機を用いての圧縮成型法により行うことができる。打錠は、混合した成分をそのまま打錠してもよく、または混合した成分を造粒工程に付し、得られる顆粒を打錠してもよい。1つの態様において、本発明の錠剤は、各成分を処方に従って添加配合し、混合、造粒、乾燥、整粒および混合を行い、得られた調製混合物を打錠することによって調製することができる。また、錠剤の成形後に、コーティング剤を用いてコーティング錠剤にしてもよい。
【0025】
本発明の組成物は顆粒として調製してもよい。顆粒の調製は、本発明の属する技術分野において周知の方法、例えば、転動造粒法、流動層造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、攪拌造粒法などにより行うことができる。当該顆粒の製造は、例えば、結合水などを使用する湿式造粒、または乾式造粒により行ってもよい。当該顆粒をカプセルに充填することにより、カプセル剤とすることもできる
また、本発明の組成物は、1以上の追加成分を配合して調製してもよい。追加成分の例としては、血糖降下剤、抗コレステロール剤、免疫賦活剤、抗酸化剤、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ミネラル分(鉄、亜鉛、マグネシウム、ヨードなど)、脂肪酸(EPA、DHAなど)などを挙げることができる。
【0026】
ここで、血糖降下剤の例としては、特に限定はされないが、難消化性デキストリン、α−リノレン酸、豆鼓エキス、小麦アルブミン、L−アラビノース、および植物由来成分(例えば、グアバ葉、桑葉、しょうが、アマチャヅル、オオムギ、キダチアロエ、セイヨウタンポポ、ダイダイ、チョウセンアザミ、ニンニク、ハトムギ、バナバ、ビルベリー、ブラックコホシュ、マコモ、杜仲葉、月見草、カイアポ、ニガウリ、マデグルシルまたはそれらの抽出物)などが挙げられる。
【0027】
抗コレステロール剤の例としては、特に限定はされないが、大豆タンパク質、リン脂質結合大豆ペプチド、キトサン、植物ステロール、植物ステロールエステル、植物スタノールエステル、難消化性デキストリン、アルギン酸ナトリウム、サイリウム種皮、アスタキサンチン、イノシトール、コエンザイムA、カルシウム、マグネシウム、カルニチン、シルクプロテイン、タウリン、メチオニン、α−リノレン酸、グアガム、コンドロイチン硫酸、大豆サポニン、および植物由来成分(例えば、アマチャヅル、アルファルファ、イチョウ、オオバコ、オオムギ、オーツ麦、オリーブ、ガジュツ、ギムネマ、キャッツクロー、クコ、クロレラ、スピルリナ、西洋サンザシ、唐辛子、ニンニク、ビルベリー、ベニバナ、ユッカ、ラフマ、アガリクス、紅麹、またはそれらの抽出物)などが挙げられる。
【0028】
免疫賦活剤の例としては、特に限定はされないが、ラクトフェリン、アルギニン、トリプトファン、バリン、ロイシン、キチン、キトサン、および植物由来成分(例えば、アガリクス、冬虫夏草、アロエ、キダチアロエ、エキナセア、オウギ、キャッツクロー、クコ、スピルリナ、ハトムギ、紅花、マカ、マコモ、ラフマ、またはそれらの抽出物)などが挙げられる。
【0029】
抗酸化剤の例としては、特に限定はされないが、乾燥酵母、グルタチオン、リポ酸、ケルセチン、カテキン、コエンザイムQ10、エンゾジノール、プロアントシアニジン類、アントシアニジン、アントシアニン、カロチン類、リコピン、フラボノイド、リザベラトロール、イソフラボン類、亜鉛、メラトニン、および植物由来成分(例えば、イチョウ葉、月桃葉、ハイビスカス、またはそれらの抽出物)などが挙げられる。
【0030】
ビタミンの例としては、特に限定はされないが、ビタミンA群に属するビタミン[例えば、レチナール、レチノール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピンおよび薬理学的に許容されるそれらの塩類(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールなど)など]、ビタミンB群に属するビタミン[例えば、チアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、フルスルチアミン、リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド、ピリドキシン、ピリドキサール、ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン、メチルコバラミン、デオキシアデノコバラミン、葉酸、テトラヒドロ葉酸、ジヒドロ葉酸、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチニックアルコール、パントテン酸、パンテノール、ビオチン、コリン、イノシトール、パンガミン酸および薬理学的に許容されるそれらの塩類(例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサール、リン酸ピリドキサールカルシウム、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンC群に属するビタミン[アスコルビン酸及びその誘導体、エリソルビン酸及びその誘導体、および薬理学的に許容されるそれらの塩類(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウムなど)など]、ビタミンD群に属するビタミン[例えば、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、ヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロキシコレカルシフェロール、ジヒドロタキステロール、および薬理学的に許容されるそれらの塩類など]、ビタミンE群に属するビタミン[例えば、トコフェロール及びその誘導体、ユビキノン誘導体及びそれらの薬理学的に許容される塩類(酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)など]、その他のビタミン[例えば、カルニチン、フェルラ酸、γ−オリザノール、オロチン酸、ルチン(ビタミンP)、エリオシトリン、ヘスペリジン、および薬理学的に許容されるそれらの塩類(塩化カルニチンなど)など〕などが挙げられる。
【0031】
アミノ酸の例としては、特に限定はされないが、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、トレオニン、アラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、リジン、グリシン、アスパラギン、アスパラギン酸、セリン、グルタミン、グルタミン酸、プロリン、チロシン、システイン、ヒスチジン、オルニチン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、グリシルグリシン、アミノエチルスルホン酸(タウリン)、シスチン、または薬理学的に許容されるそれらの塩類(例えばアスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、塩酸システインなど)などが挙げられる。好ましい例は、バリン、ロイシンおよびイソロイシン等の分岐鎖アミノ酸、グルタチオン、システイン、グルタミン酸、グリシン、セリン、トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン、ヒスチジン、メチオニン、スレオニン、リジン、シスチン、アルギニン、アラニン、アスパラギン酸、プロリン、アミノエチルスルホン酸である。
【0032】
食品または医薬として使用される本発明は、食品または医薬として許容される公知の添加物を用いて製造することができ、食品または医薬の分野で採用されている通常の製剤化手法を適用することができる。
【0033】
本発明の組成物は、さらに何らかの加工を加えて、またはそのままで食品(健康食品(栄養機能食品、特定保健用食品、サプリメントなど)、病者用食品など)として使用することができる。また、本発明が食品である場合には、機能性食品、健康食品、特定保健用食品、特別用途食品、サプリメントなどの形態で本発明を実施することができる。本発明の好適な態様により、血糖値低下作用、GLP−1活性増強作用、糖尿病予防作用、膵臓保護作用を有する量のサラシア属植物またはその抽出物を含有する特定保健用食品又は特別用途食品である飲食品が提供される。ここで、当該食品の包装、パッケージ、添付文書または広告に、その作用効果(血糖値低下作用、GLP−1活性増強作用、糖尿病予防作用、膵臓保護作用)に関する記載が付されていてもよい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において示されるパーセンテージは特に言及がなければ重量%を意味する。
【0035】
試験に使用したサラシアエキス末は、以下の方法で調製することができるサラシア・キネンシス水抽出物を粉末化することにより調製した。サラシア・キネンシスの幹の部分を5mm角に裁断したチップ(1kg)に熱水(20kg)を加え、98℃で120分攪拌抽出した。得られた抽出液を、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮(濃縮温度45℃、Brix=30になるまで)し、濃縮液を凍結乾燥させて本発明のサラシア・キネンシス抽出物(98.5g)を得た。
【0036】
また、その他の成分として、結晶セルロース(セオラスFD301、旭化成ケミカルズ株式会社製)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(CMC−Caと称する、E.C.G−FA、ニチリン化学工業株式会社製)、二酸化ケイ素(アエロジル200FAD、日本アエロジル株式会社製)、ステアリン酸マグネシウム(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を使用した。
【0037】
油圧プレス機(理研精機株式会社製)とそれに対応した臼と杵を用いて、以下の表(実施例1〜12、比較例1〜6)に示す処方の混合物をそれぞれ100kg/cmの圧力で圧縮成形し、直径9mm、重量320mgの錠剤を作成した。
【0038】
錠剤をアルミパウチに入れて密封し、温度50℃湿度60%条件で10日間保管し、保管前後で錠剤の変色と崩壊時間を比較した。変色の評価は、製造直後に薄茶色であった錠剤と比較しての変色を目視により確認した。評価基準については、変色が認められないものを◎、錠剤の一部に弱い変色が認められるものを○、錠剤の全体に変色が認められるが、錠剤の色は薄茶色であるものを△、錠剤の全体に強い変色が認められ、錠剤が黒またはそれに近い色になったものを×と表示した。
【0039】
錠剤の崩壊時間は、日本薬局方に記載された即放性製剤の崩壊試験方法(「6.09崩壊試験法」第十五改正日本薬局方−条文と注釈−、廣川書店、241〜245頁)にしたがって行った。崩壊性については、製造直後の錠剤が完全崩壊するまでの時間(崩壊時間)と比較して、保管後の錠剤の崩壊時間の延長が3分未満であるものを◎、3分以上6分未満であるものを○、6分以上10分未満であるものを△、10分以上の延長が認められたものを×と表示した。
【0040】
錠剤硬度は、製造直後の錠剤について錠剤硬度計(PC−30、岡田精工株式会社製)を用いて測定した。90N以上のものを◎、90N未満、70N以上のものを○、70N未満、40N以上のものを△、40N未満のものを×と表示した。
【0041】
試験結果を下記の表に示す。
【0042】
【表1】

【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
上記試験結果より、比較例の錠剤は、10日間保管後、変色および崩壊性の低下が許容できない程度であったのに対し、本件発明の錠剤の場合では変色および崩壊時間延長が顕著に抑制されることが確認された。例えば実施例1の錠剤(二酸化ケイ素を0.25重量%、CMC−Ca0.5重量%)であっても、4倍量の二酸化ケイ素を含む比較例4と比較して、10日間保管後の変色および崩壊性において明らかに優れていることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サラシア属植物抽出物、二酸化ケイ素、およびカルボキシメチルセルロースまたはその金属塩を含む組成物。
【請求項2】
組成物全体に対して、カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩を0.5重量%以上含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物全体に対して、二酸化ケイ素を0.25〜0.75重量%含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
カルボキシメチルセルロースまたはその金属塩が、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
サラシア属植物抽出物がサラシア・キネンシス、サラシア・レティキュラータおよびサラシア・オブロンガから選択されるサラシア属植物の抽出物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
錠剤または顆粒である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
食品として使用される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。

【公開番号】特開2011−178690(P2011−178690A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42703(P2010−42703)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000186588)小林製薬株式会社 (518)
【Fターム(参考)】